(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004938
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】スライド式防護柵
(51)【国際特許分類】
E01F 13/04 20060101AFI20240110BHJP
E01F 15/04 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
E01F13/04 Z
E01F15/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022104848
(22)【出願日】2022-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000161817
【氏名又は名称】ケイコン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100221855
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 康造
(72)【発明者】
【氏名】山本 佳顕
【テーマコード(参考)】
2D101
【Fターム(参考)】
2D101CA06
2D101DA04
2D101EA07
2D101FB21
(57)【要約】
【課題】交通規制内へ車両が進入することによる事故被害を軽減させることができ、かつ短期間の交通規制でも使用できる、スライド式防護柵を提供する。
【解決手段】スライド式防護柵3は、工事規制範囲2の起終点に設置された固定ブロック5に、連結鎖7で連結された鋼製ブロック連続体4を備え、鋼製ブロック連続体4は、互いに連結された鋼製ブロックユニット4Unで構成され、鋼製ブロックユニット4Unは、前側の鋼製ブロック4UnAFの内側に、後側の鋼製ブロック4UnABを収納して構成し、鋼製ブロック4UnAmの前部及び後部には、収納展開領域4Kを有し、展開に際し、引き出された前側の鋼製ブロック4UnAFの後部に、後側の鋼製ブロック4UnABの前部を、位置決め装置4Cにより位置決め挿入連結されたものである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高速道路の車道上で補修工事等を行う場合に、工事規制範囲内へ車両が進入することを防止するためのスライド式防護柵であって、
前記工事規制範囲に設置される起点固定ブロック及び終点固定ブロックと、前記起点固定ブロック及び前記終点固定ブロックに連結された鋼製ブロック連続体とを備え、
前記鋼製ブロック連続体は、互いに連結された鋼製ブロックユニットで構成され、
前記鋼製ブロックユニットは、前側の鋼製ブロックの内側に、後側の前記鋼製ブロックを収納して構成し、前記鋼製ブロックの前部及び後部には、収納展開領域を有し、
展開に際し、引き出された前側の前記鋼製ブロックの後部に、後側の前記鋼製ブロックの前部を挿入連結したことを特徴とする、スライド式防護柵。
【請求項2】
前記収納展開領域には、連結穴と、位置決め装置と、位置決め穴と、車輪とを備え、
前記鋼製ブロックの中央部には、収納した状態で吊り上げるための吊り上げ穴を備えたことを特徴とする、請求項1に記載のスライド式防護柵。
【請求項3】
展開に際し、前記起点固定ブロックの鎖連結金具と、前記起点固定ブロックに対面する前記鋼製ブロックユニットの最も後側の前記鋼製ブロックの後部の前記連結穴との間に、連結鎖が設置され、
前記終点固定ブロックの前記鎖連結金具に設置した電動ウインチのワイヤの端部は、前記終点固定ブロックに対面する前記鋼製ブロックユニットの最も前側の前記鋼製ブロックの前部の前記連結穴に連結され、
前記電動ウインチを稼働牽引させて前記車輪により、互いに連結された前記鋼製ブロックユニットが展開され、
展開された前記鋼製ブロック間の前記連結穴には連結ボルトが挿入締結され、
前記終点固定ブロックの前記鎖連結金具と、前記終点固定ブロックに対面する前記鋼製ブロックユニットの最も前側の前記鋼製ブロックの前部の前記連結穴との間に、前記連結鎖が設置されたことを特徴とする、請求項2に記載のスライド式防護柵。
【請求項4】
前記鋼製ブロックは、断面形状が三角形の三角柱体であり、
前側の前記鋼製ブロックと後側の前記鋼製ブロックの長さは同一であり、後側の前記鋼製ブロックの高さ及び幅は、前側の前記鋼製ブロックより所定寸法小さく設定され、
前記鋼製ブロックユニットは、前側の前記鋼製ブロックの前部に前記収納展開領域を確保して、後側の前記鋼製ブロックの前部を収納し、後側の前記鋼製ブロックの後部は、前側の前記鋼製ブロックの後部より前記収納展開領域を確保して突出したことを特徴とする、請求項3に記載のスライド式防護柵。
【請求項5】
前記鋼製ブロックの断面形状である前記三角形が直角三角形であり、前記三角柱体を形成する斜辺面は前記工事規制範囲内へ設置され、垂直面は前記車道に隣接して垂直に設置され、
前記鋼製ブロックの前記斜辺面の下部には、前記車道上に起立した際に路面反力の支点となるスパイクと、前部収納車輪及び後部収納車輪とを備え、
前記垂直面の下部には、前部固定車輪及び後部固定車輪を備えたことを特徴とする、請求項4に記載のスライド式防護柵。
【請求項6】
前記前部収納車輪は、前記斜辺面下部外面に設けたレンチ穴の下部に前部収納車輪受け金具を設けて、車輪収納軸ボルト及び車輪収納軸ナットにより固定され、
前記後部収納車輪は、前記斜辺面下部外面に後部収納車輪受け金具を設けて、前記車輪収納軸ボルト及び前記車輪収納軸ナットにより固定され、
前記前部収納車輪及び前記後部収納車輪の前記車輪収納軸ナットを回転させることにより、前記鋼製ブロックの移動時には前記鋼製ブロックを上昇させて、前記前部収納車輪及び前記後部収納車輪に前記鋼製ブロックの自重の一部を支持させ、
前記前部固定車輪は、前記垂直面下部内面に前部固定車輪受け金具を設けて固定され、
前記後部固定車輪は、前記垂直面下部外面に後部固定車輪受け金具を設けて固定され、
前記前部固定車輪及び前記後部固定車輪に前記鋼製ブロックの自重の一部を支持させたことを特徴とする、請求項5に記載のスライド式防護柵。
【請求項7】
前記鋼製ブロックの前部の前記収納展開領域は、前記収納展開領域の中間位置に、前記斜辺面と前記垂直面に固着された前記直角三角形形状を保持するための端面版を備え、
前記端面版の前側に前記連結穴と前記位置決め穴を配置し、前記端面版の後側に前記前部固定車輪を固着したことを特徴とする、請求項6に記載のスライド式防護柵。
【請求項8】
前記位置決め装置は、位置決め金具とバネ内装回転支点とから構成され、前記位置決め装置は前記位置決め穴に嵌合し、前側の前記鋼製ブロックの後部に後側の前記鋼製ブロックの前部が位置決め挿入連結され、
前記位置決め装置は、前記鋼製ブロックの後部の前記収納展開領域の前記斜辺面の上部外面に取り付けられ、前記位置決め穴は、前記鋼製ブロックの前部及び後部の前記収納展開領域の前記斜辺面の上部外面に配置され、
前記位置決め金具は、アーム部と、該アーム部の一端部に形成された直角三角形状鉤部とから構成し、前記直角三角形状鉤部は斜め開放面と直角面を有し、前記アーム部の他端部は、前記バネ内装回転支点に回転自在に固定され、前記バネ内装回転支点は前記直角三角形状鉤部を、前記位置決め穴を通して後側の前記鋼製ブロックの前記斜辺面の外面に常時押圧し、
前記鋼製ブロックユニットを展開するために前側の前記鋼製ブロックを引き出して前側の前記鋼製ブロックの後部の前記位置決め穴に、後側の前記鋼製ブロックの前部の前記位置決め穴が重なった際、前記直角三角形状鉤部の前記直角面は、前記重なった位置決め穴に垂直に落ち込んで嵌合し、
前記直角三角形状鉤部の前記斜め開放面は、引き出し側から引き出し側の反対側に、斜め外側に上昇する面であり、後側の前記鋼製ブロックの前記位置決め穴から斜め外側に上昇して抜け出すことにより嵌合を解除するものであり、
収納に際し、後側の前記鋼製ブロックを、引き出し側に引き込むことにより、前記直角三角形状鉤部は、後側の前記鋼製ブロックの前記位置決め穴から、上昇して抜け出し、嵌合が解除され、
後側の前記鋼製ブロックは、前側の前記鋼製ブロックの前記前部固定車輪に当接するまで引き込まれ、前側の前記鋼製ブロックは、前記前部固定車輪と固着された前記端面版を介して引き込まれることを特徴とする、請求項7に記載のスライド式防護柵。
【請求項9】
前記起点固定ブロック及び前記終点固定ブロックと、前記鋼製ブロック連続体は、起終点方向に前記連結鎖で連結され、
前記鋼製ブロック連続体の重心に作用する自重は、前記前部収納車輪及び前記後部収納車輪の収納により、前記斜辺面の下部の前記スパイクにより前記路面反力として支持され、
前記車道側から前記垂直面に衝突荷重を受けた際、前記鋼製ブロック連続体の前記垂直面下端部の前記前部固定車輪及び前記後部固定車輪は浮き上がり、前記連結鎖の連結による張力を発生して、前記衝突荷重に抵抗することを特徴とする、請求項5乃至請求項8のいずれか1項に記載のスライド式防護柵。
【請求項10】
前記鋼製ブロックにおいて、前記三角柱体を形成する前記斜辺面の中央部分を、前記斜辺面の上端部を補強のための折り曲げとして残して開口部を形成し、補修工事施工範囲としたことを特徴とする、請求項5項に記載のスライド式防護柵。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
高速道路上で工事等を行う場合に、交通規制内へ車両が進入することを防止するための仮設の防護柵であり、交通規制内へ車両が進入することによる事故の被害を軽減させることができ、かつ短期間の交通規制でも使用できる、スライド式防護柵に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高速道路上で工事等を行う場合、通常、ラバーコーンを設置して交通規制を行い、作業を行っている。ラバーコーンは設置が容易なものの、車両の進入を防止することはできず、規制内に一般車が進入する事故が発生している。また、コンクリート製や鋼製等の仮設防護柵は、車両の進入を防止する一定の強度を有するものの、設置に時間を要し、交通渋滞等が発生している。
【0003】
特許文献1の鋼製の防護柵6は、仮設防護柵に使用されるものであり、耐久性に優れ、設置・撤去作業が簡単で、繰り返し使用できる。防護柵6は、錐5を内部に有する仮設防護柵基礎1と支柱61とガードレール本体62とから構成されている。防護柵6を仮設防護柵基礎1に設置する手順は、基台31に配設された挿通筒35に穿孔された穴35aと、基台41に配設された挿通筒35に穿孔された穴35aが重なるように仮設防護柵基礎1を長手方向に配設する。次に、支柱61を挿通筒35に固定する。そして、基礎1は、防護柵6と分離できる構造のため、基礎1のみを上下・左右方向に積み上げて保管できる。さらに防護柵6は鋼製のため、コンクリート製に比べ体積を小さくすることができる。
【0004】
特許文献2の車両進入阻止柵は、道路封鎖や交通規制等の目的で使用する、車両等の進入を物理的に阻止するものである。車両進入阻止柵10は、基部にキャスター13を備える第一の柱体11と第二の柱体12に、複数のフレーム20を中央部可動連結部材21、上部可動連結部材22、下部可動連結部材23にて連続井桁型構造に係止して成る柵体15の両端を可動可能に接合しており、全体としてアコーディオン状に任意の幅に展開可能となっている。そして、柵体15の連続井桁構造の数は用途に応じて増加可能である。さらに、ワイヤ40を備え、ワイヤ制動機構50を経由して、柵体15の中央部可動連結部材21の下面を連続的に潜る形で第二の柱体12まで水平に張架され、さらに第二の柱体12と柵体15とを接合する上部可動連結部材22を経由して上部可動連結部材21の上面を連続的に跨ぐ形で第一の柱体11方向へと回帰し、ワイヤ終点16に強固に固定されている。設営時には、第一の柱体を路上等に固定し、第二の柱体を手動で牽引することにより道路等を封鎖する形に展開させ、撤去時には収縮させる。なお、両柱体の基部にそれぞれキャスター(転輪)を備えることにより、柵体の展開・収縮の作業や収縮状態の車両進入阻止柵の移動や搬送が容易となっている。またワイヤによって二重に補強されるため、車両進入阻止柵の強行突破を図ろうとする車両が衝突した場合に、車両を強制停止させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-100030号公報
【特許文献2】実用新案登録第3183503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
高速道路上で工事等を行う場合、通常、ラバーコーンを設置して交通規制を行い、作業を行っているが、ラバーコーンは設置が容易なものの、車両の進入を防止することはできず、規制内に一般車が進入する事故が発生している。特に交通規制内の作業エリアでは生身の作業員が働いており、ここに一般車が進入すると重大な事故につながる可能性がある。そのため、車両進入による事故が発生しない、もしくは被害を軽減できる対策が求められている。一方で、長期間交通規制を行う場合は、仮設防護柵を設置するが、設置等に時間がかかり、設置に場所をとることから、短期間の交通規制(日々の規制)では使用が困難である。交通規制内へ車両が進入することによる事故の被害を軽減させることができ、かつ短期間の交通規制でも使用できる技術が求められている。
【0007】
特許文献1は、仮設防護柵に関する発明であり、発明が解決しようとする課題も、車両の衝突に対する耐久性及び設置・撤去作業が簡単なことである。しかしながら、仮設防護柵基礎1と支柱61とガードレール本体62とから構成された防護柵6を組み立てながら設置する手順は多数の工程を要し、設置・撤去作業が容易とはいえない。
【0008】
特許文献2は、道路封鎖や交通規制等の目的で使用する車両等の進入を防止する車両侵入阻止柵に関する発明であり、発明が解決しようとする課題は、柵体の展開・縮退のためのワイヤを使用して、特に車両の侵入阻止できる車両侵入阻止柵を提供することである。このため、道路封鎖や交通規制等の工事規制範囲では作業員が作業を行うことはなく、侵入車両による作業員の安全に関しては、検討されていない。
【0009】
このような先行技術の問題点等に鑑みて、本発明は、工事規制範囲内への車両侵入による事故被害の軽減と、短時間での設置・撤去できる、交通規制材として、
(a)車両進入による事故の被害を軽減させるもので、
(b)短期間で設置・撤去できるものであり、
(c)作業箇所の移動に伴い、あわせて移動できるもの、
を、提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願請求項1に係る発明は、高速道路の車道上で補修工事等を行う場合に、工事規制範囲内へ車両が進入することを防止するためのスライド式防護柵であって、前記工事規制範囲に設置される起点固定ブロック及び終点固定ブロックと、前記起点固定ブロック及び前記終点固定ブロックに連結された鋼製ブロック連続体とを備え、前記鋼製ブロック連続体は、互いに連結された鋼製ブロックユニットで構成され、前記鋼製ブロックユニットは、前側の鋼製ブロックの内側に、後側の前記鋼製ブロックを収納して構成し、前記鋼製ブロックの前部及び後部には、収納展開領域を有し、展開に際し、引き出された前側の前記鋼製ブロックの後部に、後側の前記鋼製ブロックの前部を挿入連結したことを特徴とする、スライド式防護柵である。
【0011】
本願請求項2に係る発明は、前記収納展開領域には、連結穴と、位置決め装置と、位置決め穴と、車輪とを備え、前記鋼製ブロックの中央部には、収納した状態で吊り上げるための吊り上げ穴を備えたことを特徴とする、請求項1に記載のスライド式防護柵である。
【0012】
本願請求項3に係る発明は、展開に際し、前記起点固定ブロックの鎖連結金具と、前記起点固定ブロックに対面する前記鋼製ブロックユニットの最も後側の前記鋼製ブロックの後部の前記連結穴との間に、連結鎖が設置され、前記終点固定ブロックの前記鎖連結金具に設置した電動ウインチのワイヤの端部は、前記終点固定ブロックに対面する前記鋼製ブロックユニットの最も前側の前記鋼製ブロックの前部の前記連結穴に連結され、前記電動ウインチを稼働牽引させて前記車輪により、互いに連結された前記鋼製ブロックユニットが展開され、展開された前記鋼製ブロック間の前記連結穴には連結ボルトが挿入締結され、前記終点固定ブロックの前記鎖連結金具と、前記終点固定ブロックに対面する前記鋼製ブロックユニットの最も前側の前記鋼製ブロックの前部の前記連結穴との間に、前記連結鎖が設置されたことを特徴とする、請求項2に記載のスライド式防護柵である。
【0013】
本願請求項4に係る発明は、前記鋼製ブロックは、断面形状が三角形の三角柱体であり、前側の前記鋼製ブロックと後側の前記鋼製ブロックの長さは同一であり、後側の前記鋼製ブロックの高さ及び幅は、前側の前記鋼製ブロックより所定寸法小さく設定され、前記鋼製ブロックユニットは、前側の前記鋼製ブロックの前部に前記収納展開領域を確保して、後側の前記鋼製ブロックの前部を収納し、後側の前記鋼製ブロックの後部は、前側の前記鋼製ブロックの後部より前記収納展開領域を確保して突出したことを特徴とする、請求項3に記載のスライド式防護柵である。
【0014】
本願請求項5に係る発明は、前記鋼製ブロックの断面形状である前記三角形が直角三角形であり、前記三角柱体を形成する斜辺面は前記工事規制範囲内へ設置され、垂直面は前記車道に隣接して垂直に設置され、前記鋼製ブロックの前記斜辺面の下部には、前記車道上に起立した際に路面反力の支点となるスパイクと、前部収納車輪及び後部収納車輪とを備え、前記垂直面の下部には、前部固定車輪及び後部固定車輪を備えたことを特徴とする、請求項4に記載のスライド式防護柵である。
【0015】
本願請求項6に係る発明は、前記前部収納車輪は、前記斜辺面下部外面に設けたレンチ穴の下部に前部収納車輪受け金具を設けて、車輪収納軸ボルト及び車輪収納軸ナットにより固定され、前記後部収納車輪は、前記斜辺面下部外面に後部収納車輪受け金具を設けて、前記車輪収納軸ボルト及び前記車輪収納軸ナットにより固定され、前記前部収納車輪及び前記後部収納車輪の前記車輪収納軸ナットを回転させることにより、前記鋼製ブロックの移動時には前記鋼製ブロックを上昇させて、前記前部収納車輪及び前記後部収納車輪に前記鋼製ブロックの自重の一部を支持させ、前記前部固定車輪は、前記垂直面下部内面に前部固定車輪受け金具を設けて固定され、前記後部固定車輪は、前記垂直面下部外面に後部固定車輪受け金具を設けて固定され、前記前部固定車輪及び前記後部固定車輪に前記鋼製ブロックの自重の一部を支持させたことを特徴とする、請求項5に記載のスライド式防護柵である。
【0016】
本願請求項7に係る発明は、前記鋼製ブロックの前部の前記収納展開領域は、前記収納展開領域の中間位置に、前記斜辺面と前記垂直面に固着された前記直角三角形形状を保持するための端面版を備え、前記端面版の前側に前記連結穴と前記位置決め穴を配置し、前記端面版の後側に前記前部固定車輪を固着したことを特徴とする、請求項6に記載のスライド式防護柵である。
【0017】
本願請求項8に係る発明は、前記位置決め装置は、位置決め金具とバネ内装回転支点とから構成され、前記位置決め装置は前記位置決め穴に嵌合し、前側の前記鋼製ブロックの後部に後側の前記鋼製ブロックの前部が位置決め挿入連結され、前記位置決め装置は、前記鋼製ブロックの後部の前記収納展開領域の前記斜辺面の上部外面に取り付けられ、前記位置決め穴は、前記鋼製ブロックの前部及び後部の前記収納展開領域の前記斜辺面の上部外面に配置され、前記位置決め金具は、アーム部と、該アーム部の一端部に形成された直角三角形状鉤部とから構成し、前記直角三角形状鉤部は斜め開放面と直角面を有し、前記アーム部の他端部は、前記バネ内装回転支点に回転自在に固定され、前記バネ内装回転支点は前記直角三角形状鉤部を、前記位置決め穴を通して後側の前記鋼製ブロックの前記斜辺面の外面に常時押圧し、前記鋼製ブロックユニットを展開するために前側の前記鋼製ブロックを引き出して前側の前記鋼製ブロックの後部の前記位置決め穴に、後側の前記鋼製ブロックの前部の前記位置決め穴が重なった際、前記直角三角形状鉤部の前記直角面は、前記重なった位置決め穴に垂直に落ち込んで嵌合し、前記直角三角形状鉤部の前記斜め開放面は、引き出し側から引き出し側の反対側に、斜め外側に上昇する面であり、後側の前記鋼製ブロックの前記位置決め穴から斜め外側に上昇して抜け出すことにより嵌合を解除するものであり、収納に際し、後側の前記鋼製ブロックを、引き出し側に引き込むことにより、前記直角三角形状鉤部は、後側の前記鋼製ブロックの前記位置決め穴から、上昇して抜け出し、嵌合が解除され、後側の前記鋼製ブロックは、前側の前記鋼製ブロックの前記前部固定車輪に当接するまで引き込まれ、前側の前記鋼製ブロックは、前記前部固定車輪と固着された前記端面版を介して引き込まれることを特徴とする、請求項7に記載のスライド式防護柵である。
【0018】
本願請求項9に係る発明は、前記起点固定ブロック及び前記終点固定ブロックと、前記鋼製ブロック連続体は、起終点方向に前記連結鎖で連結され、前記鋼製ブロック連続体の重心に作用する自重は、前記前部収納車輪及び前記後部収納車輪の収納により、前記斜辺面の下部の前記スパイクにより前記路面反力として支持され、前記車道側から前記垂直面に衝突荷重を受けた際、前記鋼製ブロック連続体の前記垂直面下端部の前記前部固定車輪及び前記後部固定車輪は浮き上がり、前記連結鎖の連結による張力を発生して、前記衝突荷重に抵抗することを特徴とする、請求項5乃至請求項8のいずれか1項に記載のスライド式防護柵である。
【0019】
本願請求項10に係る発明は、前記鋼製ブロックにおいて、前記三角柱体を形成する前記斜辺面の中央部分を、前記斜辺面の上端部を補強のための折り曲げとして残して開口部を形成し、補修工事施工範囲としたことを特徴とする、請求項5項に記載のスライド式防護柵である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、起点固定ブロックと終点固定ブロックに連結された鋼製ブロック連続体により、車両進入による事故の被害を軽減できる。また、鋼製ブロック連続体が、複数個の鋼製ブロックユニットで構成され、鋼製ブロックユニットは前側の鋼製ブロックの内側に、後側の鋼製ブロックを収納して、収納展開領域を有して構成し、収納及び展開が容易なため、短期間で設置・撤去できる。
【0021】
加えて、鋼製ブロックの前部及び後部の収納展開領域には、収納及び展開のための連結穴、位置決め装置及び車輪を備え、さらに中央部には、収納した状態で吊り上げるための吊り上げ穴を備え、収納及び展開が容易で、短期間で設置・撤去できる。さらに、車輪を備え、作業箇所の移動に伴い合せて移動できる。
【0022】
加えて、展開に際して、起点固定ブロック及び終点固定ブロックと、鋼製ブロックユニットの鋼製ブロックを連結鎖で連結して、終点固定ブロックに設置した電動ウインチにより鋼製ブロックの車輪を使用して引き出すことで、容易に展開され、短期間で設置できる。
【0023】
加えて、各鋼製ブロックの長さは同一で、各高さ及び幅は収納出来るように順次小さく設定し、各鋼製ブロックの前部及び後部に収納展開領域を確保することにより、収納及び展開が容易で、短期間で設置・撤去できる。
【0024】
加えて、鋼製ブロックユニットの断面形状は直角三角形であり、斜辺面が工事規制範囲内への配置で、垂直面は車道に垂直な配置であり、垂直面に車両が衝突した場合には、斜辺面下部のスパイクによる支点反力と連結鎖より連結された固定ブロックと鋼製ブロック全体が衝突荷重に抵抗し、車両進入による事故の被害を軽減させる。また、鋼製ブロックの下部には車輪を備えており、短期間で設置・撤去でき、さらに、作業箇所の移動に伴い、合せて移動できる。
【0025】
加えて、斜辺面に設けた前部収納車輪及び後部収納車輪は、車輪収納軸ナットを回転することにより、容易に収納又は着地し、短期間で設置・撤去できるものでる。
【0026】
加えて、鋼製ブロックの前部の収納展開領域の中間位置に端面版を備え、端面版の前後には連結穴と位置決め穴及び前部固定車輪が配置され、収納時に後側の鋼製ブロックを介して前側の鋼製ブロックを引き込み、短期間で撤去できる。
【0027】
加えて、展開時には、引出される前側の鋼製ブロックの後部と、後側の鋼製ブロックの前部を、位置決めし連結する位置決め装置により、自動で連結を完了する。収納時には、後側の鋼製ブロックを終点側に引き込み、位置決め装置が位置決め穴から自動で開放され、合せて前側の鋼製ブロックも引き込まれ、短期間で設置・撤去できる。
【0028】
加えて、衝突荷重が大きい場合、斜辺面下端部のスパイクを支点として、鋼製ブロック連続体の前部固定車輪及び後部固定車輪が浮き上がる。このことにより、連結鎖で連結された鋼製ブロック連続体の自重により連結鎖に張力を発生させ、衝突荷重に抵抗する抵抗メカニズムであり、車両進入による事故の被害を軽減させる。
【0029】
加えて、鋼製ブロックの斜辺面の中央部分に開口部を作成し、補修工事施工範囲を確保して、工事規制範囲内での作業が可能となり、車両進入による事故の被害を軽減させる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】工事規制範囲を形成する平面図で、起点固定ブロックと終点固定ブロック間に、鋼製ブロック連続体を構成する鋼製ブロックユニットを展開した図である。
【
図2】鋼製ブロック連続体を構成する鋼製ブロックユニットで、(a)は正面図、(b)は平面図、(c1)、(c2)は断面図である。
【
図3】(a)鋼製ブロックユニットの前側の鋼製ブロックと後側の鋼製ブロックを、連結ボルトで連結して移動する際の正面図で、(b)収納展開領域における連結ボルトによる連結詳細図である。
【
図4】鋼製ブロックユニットを工程順に展開した正面図で、(a)は第1及び第2鋼製ブロックユニットを積み下ろし連結した図、(b)は第1鋼製ブロックユニットの最も前側の鋼製ブロックを引き出した図、(c)は、鋼製ブロックユニットの展開が完了した図。
【
図5】(a)は後部収納車輪、(b)は前部収納車輪の、詳細断面図である。
【
図6】(a)は後部固定車輪、(b)は前部固定車輪の、詳細断面図である。
【
図7】(a)は鋼製ブロックユニットを展開する際、前側の鋼製ブロックを引き出し、位置決め装置の位置決め金具により、後側の鋼製ブロックが引き出される機構を示し、(b)は鋼製ブロックユニットを収納する際、後側の鋼製ブロックを引き込み、位置決め装置の位置決め金具が解除される機構を示している。
【
図8】鋼製ブロックユニットの鋼製ブロックの斜辺面の中央部分に開口部を作成し、補修工事施工範囲を確保した例であり、(a)は平面図、(b)は斜視図である。
【
図9】衝突荷重に対する抵抗機構を示した外力図であり、(a)は断面図、(b)は平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照する等して説明する。以下の説明は、高速道路の車道1上で補修工事等を行う場合に、工事規制範囲2内へ車両が進入することを防止するための、スライド式防護柵3に関するものである。
【0032】
<用語の定義>
工事規制範囲2の側方には通行車両が走行しており、工事規制範囲2側方の走行車両上流側を工事規制範囲2の「起点2A」、下流側を工事規制範囲2の「終点2B」という。また工事規制は通常、側方走行車両上流側より規制作業を行うことから、「起点2A」とは、交通規制を開始する地点で、「終点2B」とは交通規制を終了する地点である。そして、「起終点方向」とは、「起点2A」と「終点2B」を結ぶ方向であり、スライド式防護柵3の軸方向を意味する。
鋼製ブロックユニット4Un(鋼製ブロック4UnAm)は、引き出し方向である終点2Bに向って設置される。このため鋼製ブロック4UnAmでは、引き出し方向である終点2Bに向う側又は方向を「前側」といい、引き出し方向と反対側の起点2Aに向う側又は方向を「後側」という。
鋼製ブロック4UnAmの「前部」及び「後部」とは、引き出し方向に対する鋼製ブロック4UnAmの部分を示すものであり、引き出し方向である終点2B側の部分を「前部」といい、引き出し方向と反対側の起点2A側の部分を「後部」という。
鋼製ブロック4UnAmの「内側」及び「外側」とは、鋼製ブロック4UnAmを切断した断面部材の内部を「内側」といい、断面部材の外部を「外側」という。
鋼製ブロック4UnAmの「内面」及び「外面」とは、鋼製ブロック4UnAmを切断した断面部材面において、内側を形成する面を「内面」といい、外側を形成する面を「外面」という。
鋼製ブロックユニット4Unとして、各鋼製ブロック4UnAm(m=1~N)をm=1~N個、互いの内側に配置することを「収納」という。
鋼製ブロックユニット4Unとして、収納された各鋼製ブロック4UnAm(m=1~N)を、引き出し方向である終点2B側に向って、引き出すことを「展開」という。
「収納展開領域」とは、各鋼製ブロック4UnAmを展開及び収納するために、必要な装置や部材を設置するための領域で、所定長さを有している。
【0033】
図1は、起点固定ブロックと終点固定ブロック間に、鋼製ブロック連続体を構成する鋼製ブロックユニットを展開し、工事規制範囲を形成した平面図、
図2は、鋼製ブロックユニットの正面図、平面図、及び断面図、
図3は、(a)前側の鋼製ブロックと後側の鋼製ブロックを連結ボルトで連結した正面図、(b)収納展開領域における連結ボルトによる連結詳細図、を示す。
【0034】
<起終点固定ブロック5と鋼製ブロック連続体4の構成>
図1は、工事規制範囲2の起点2Aに起点固定ブロック51を、終点2Bに終点固定ブロック52を、設置したものである。そして、起終点方向所定長さの鋼製ブロック連続体4の両側を、それぞれ起点固定ブロック51及び終点固定ブロック52に、連結鎖7で連結し、防護柵3を形成したものである。当該構成は、衝突荷重300を受けた際、連結鎖7の連結により張力303を発生して衝突荷重300に抵抗する機構を備えており、車両進入による事故の被害を軽減させる効果を発揮する。
【0035】
鋼製ブロック連続体4は、起終点方向所定長さを満足する、互いに連結された複数個(n=1~N)の鋼製ブロックユニット4Un(n=1~N)で構成されている。上記個数nは、必要とする工事規制範囲2の長さ、後述する単一の鋼製ブロックユニット4Unの長さ、及び構成する鋼製ブロック4UnAm(m=1~N)の個数、により決定され、通常n=2~3程度である。
図1は、一例としてn=3の鋼製ブロックユニット4U1、4U2及び4U3を設置して、前後の鋼製ブロックユニット4Un同士を連結したものである。
【0036】
鋼製ブロックユニット4Unは、所定数(m=1~N)の鋼製ブロック4UnAmで構成され、前側の鋼製ブロック4UnAF(m=1)の内側に、後側の鋼製ブロック4UnAB(m=2)を収納し、同様に残り(m=3~N)の鋼製ブロック4UnAmを収納した、鋼製ブロック4UnAm(m=1~N)をN段の階段状に収納したものである。
図1に示す、鋼製ブロックユニット4Un(n=1~3)の鋼製ブロック4UnAm(m=1~3)は、m=3の鋼製ブロック4UnA1、4UnA2及び4UnA3を、3段の階段状に収納したものである。
【0037】
図1に示すように、鋼製ブロックユニット4Un(n=1~3)の互いの連結は、終点固定ブロック52に対面する鋼製ブロックユニット4U1の最も後側の鋼製ブロック4U1A3の後部に、他の鋼製ブロックユニット4U2の最も前側の鋼製ブロック4U2A1の前部が、挿入連結される。同様に、次の鋼製ブロックユニット4U2の最も後側の鋼製ブロック4U2A3の後部に、他の鋼製ブロックユニット4U3の最も前側の鋼製ブロック4U3A1の前部が、挿入連結される。
【0038】
鋼製ブロックユニット4Un(n=1~3)の展開に際し、引き出された前側の鋼製ブロック4UnA1の後部に、後側の鋼製ブロック4UnA2の前部が挿入連結される。さらに、引き出された前側の鋼製ブロック4UnA2の後部に、後側の鋼製ブロック4UnA3の前部が、挿入連結される。そして、所定数m=3の鋼製ブロック4UnA1、4UnA2及び4UnA3が、終点方向に引き出され、挿入連結される。
図1では、4U1:4U1A1、4U1A2、4U1A3、4U2:4U2A1、4U2A2、4U2A3、4U3:4U3A1、4U3A2、4U3A3が互いに連結されて表示されている。
【0039】
図1に示すように、終点固定ブロック52に対面する鋼製ブロックユニット4U1の最も前側の鋼製ブロック4U1A1の前部が、終点固定ブロック52と連結鎖7で連結されている。起点固定ブロック51に対面する鋼製ブロックユニット4U3の最も後側の鋼製ブロック4U3A3の後部が連結鎖7で連結されている。
【0040】
図1に示す工事規制範囲2の起終点2ABに設置される固定ブロック5(51、52)は、一例として断面台形状のコンクリート製固定ブロック(長さ3000mm、上端幅200mm、下端幅400mm、高さ800mm、1.5t重/本)である。固定ブロック5の長手方向の両端部上方には、連結鎖7を固定する連結金具5Aが固着されている。固定ブロック5は、起終点2ABとも走行車両への衝突ダメージが少ない位置に据え付けられる。
【0041】
<鋼製ブロックユニット4Unの構成>
図2(a)、(b)に示すように、鋼製ブロックユニット4Unは、引き出し方向である終点2Bに向って最も前側で、かつ最も外側に、前側の鋼製ブロック4UnA1が配置されている。前側の鋼製ブロック4UnA1の内側には、後側方向(引き出し方向と反対側、起点方向)に一例として200mmの収納展開領域4Kを確保して、後側の鋼製ブロック4UnA2が配置されて収納されている。後側の鋼製ブロック4UnA2の後部は、前側の鋼製ブロック4UnA1の後部より、後側方向(引き出し方向と反対側、起点方向)に一例として200mmの収納展開領域4Kを確保して突出されている。
さらに前側の鋼製ブロック4UnA2の内側には、後側方向(引き出し方向と反対側、起点方向)に一例として200mmの収納展開領域4Kを確保して、後側の鋼製ブロック4UnA3が配置されて収納されている。後側の鋼製ブロック4UnA3の後部は、前側の鋼製ブロック4UnA2の後部より、後側方向(引き出し方向と反対側、起点方向)に一例として200mmの収納展開領域4Kを確保して突出されている。
【0042】
<前部の収納展開領域4Kの構成>
図2(a)、(b)に示すように、鋼製ブロック4UnAmの前部には、先端部から後側方向(引き出し方向と反対側、起点2A方向)に、一例として200mmの収納展開領域4Kが確保され配置されている。収納展開領域4Kの中間位置(先端部から後側方向100mmの位置)には、鋼製ブロック4UnAmの形状を補強する端面版4Dが配置され、その前側には傾斜面4Jaと垂直面4Jcを貫通して連結穴4Bが配置され、傾斜面4Jaには位置決め穴4C3が上方に配置されている。また、その後側の100mmの範囲には、前部固定車輪4E及び前部収納車輪4Fが下方に配置されている。
図2(c1)も参照のこと。
【0043】
<後部の収納展開領域4Kの構成>
図2(a)、(b)に示すように、鋼製ブロック4UnAmの後部には、終端部から前側方向(引き出し方向、終点2B方向)に、一例として200mmの収納展開領域4Kが確保され配置されている。引き出し方向である終点2B側の100mmの範囲には、後部固定車輪4G及び後部収納車輪4Hが下方に配置されている。引き出し方向と反対側である起点2A側の100mmの範囲には、傾斜面4Jaと垂直面4Jcを貫通して連結穴4Bが上方に配置されている。さらに、傾斜面4Jaには位置決め装置4C(位置決め金具4C1、バネ内装回転支点4C2)、及び位置決め穴4C3が上方に配置されている。
図2(c2)も参照のこと。
【0044】
鋼製ブロック4UnAmの中央部には、収納した状態で吊り上げるための吊り上げ穴4Aが配置されている。各鋼製ブロック4UnAm(m=1~N)は収納展開領域4Kを確保して後側に収納され、鋼製ブロックユニット4Unを構成している。このため、各鋼製ブロック4UnAm(m=1~N)の吊り上げ穴4Aは、収納展開領域4Kの長さ分ずれて配置されて、収納した状態で吊り上げることができる吊り上げ穴4Aを形成している。
鋼製ブロック4UnAmは、収納及び展開が容易なため、短期間で設置・撤去できる。さらに、車輪を備えており、作業箇所の移動に伴いあわせて移動できる。
【0045】
図3(a)、(b)に示すように、終点固定ブロック52に取り付けた電動ウインチ6により引き出された前側の鋼製ブロック4UnAFの後部の収納展開領域4Kの一部に、後側の鋼製ブロック4UnABの前部の収納展開領域4Kの一部が挿入されている。前側の鋼製ブロック4UnAFの後部と後側の鋼製ブロック4UnABの前部は、位置決め装置4C(4C1、4C2)が重なった位置決め穴4C3に嵌合し、位置決め挿入連結されている(
図3(b)のA-A断面参照)。
傾斜面4Jaと垂直面4Jcを貫通した連結穴4Bには連結ボルト8が挿入締結され、前側の鋼製ブロック4UnAFの後部と後側の鋼製ブロック4UnABの前部が強固に挿入連結される。連結穴4Bへの連結ボルト8の挿入締結は、各鋼製ブロック4UnAmの引き出し位置決め完了時、又は所定数の鋼製ブロック4UnAmの引き出し展開完了時等、実施の時期は任意に選択できる。作業工程的には、全ての各鋼製ブロック4UnAmの展開が終了した時点で、互いの連結穴4Bに連結ボルト8を締結して鋼製ブロック連続体4の連結が完了するのが望ましい。
収納に際しては、連結穴4Bに挿入締結された連結ボルト8は、事前に撤去される。
上記装置等を備えているため、展開が容易で、短期間で設置できる。
【0046】
<鋼製ブロック4UnAmの諸元>
鋼製ブロック4UnAmを形成する材料は、耐久性や美観の観点から、通常鋼板にさび止め塗装したもの、溶融亜鉛メッキ鋼板、又はZAM鋼板(登録商標)等が使用される。断面形状は、防護柵機能を有する形状であれば任意であるが、経済性、機能性、安定性から、実施例では断面形状が三角形の三角柱体が採用されている。
図2では、鋼製ブロック4UnAmは、一例として断面形状が斜辺面4Ja、垂直面4Jc、底面開放状態の直角三角形の三角柱体4Jに成形されている。成形には、公知の折り曲げ、ねじ止め又は溶接等が採用される。鋼製ブロック4UnAmを形成する斜辺面4Jaは工事規制範囲2内へ設置され、垂直面4Jcは車道1に隣接して垂直に設置される。なお、断面形状は底辺のない三角形であるが三角柱体と呼称する。
【0047】
前側の鋼製ブロック4UnAFと後側の鋼製ブロック4UnABの起終点方向の長さは、一例として同一の4000mmである。後側の鋼製ブロック4UnABの高さ及び幅は、前側の鋼製ブロック4UnAFの高さより一例として10mm低く、幅は10mm狭く設定され、収納可能に構成されている。
最も前側の鋼製ブロック4UnA1の諸元は、一例として、ZAM鋼板(登録商標)3.2mmを使用、直角三角形の三角柱体に成型、長さ4000mm、幅400mm、高さ800mm、重量約200Kg重である。一例として鋼製ブロックユニット4Unの鋼製ブロック4UnAmの所定数をm=5とした場合、鋼製ブロックユニット4Unの全長は4800mm、合計重量は1000Kg重となる。そして、所定数m=5を展開した場合、鋼製ブロックユニット4Unの展開延長は、19.6mとなる。
上記構成により、収納及び展開が容易なため、短期間で設置・撤去できる。
【0048】
<鋼製ブロック4UnAmの展開工程>
図4(a)は、起点2Aに起点固定ブロック51を、終点2Bに終点固定ブロック52を設置し、鋼製ブロック連続体4を形成する、2個の鋼製ブロックユニット4U1、4U2を連結設置したものである。
【0049】
(1)鋼製ブロックユニット4Unの設置と連結
2個の鋼製ブロックユニット4U1、4U2を設置するに際し、始めに終点固定ブロック52側に鋼製ブロックユニットU1を吊り下ろす。次に、鋼製ブロックユニットU1と起点固定ブロック51との間に、鋼製ブロックユニット4U2を吊り下ろす。鋼製ブロックユニット4U2を吊り下ろす際、鋼製ブロックユニット4U1の最も後側の鋼製ブロック4U1A3の後部に、鋼製ブロックユニット4U2の最も前側の鋼製ブロック4U2A1の前部を挿入し、鋼製ブロック4U1A3の連結穴4Bと鋼製ブロック4U2A1の連結穴4Bの位置を調整しながら、鋼製ブロックユニット4U2の設置を行う。互いの連結穴4Bに連結ボルト8を挿入締結して、連結された鋼製ブロックユニットの設置が完了する。
【0050】
(2)起点固定ブロック51と起点側鋼製ブロック4U2A3との連結
起点固定ブロック51に対面する鋼製ブロックユニット4U2の最も後側の鋼製ブロック4U2A3の後部の連結穴4Bと、起点固定ブロック51の鎖連結金具5Aとを連結鎖7で連結する。
【0051】
図4(b)は、終点固定ブロック52に設置した電動ウインチ6により、互いに連結した鋼製ブロックユニット4U1及び4U2から、各鋼製ブロック4UnAmを引き出し、展開したものである。
【0052】
(1)電動ウインチ6の設置
終点固定ブロック52に対面する鋼製ブロックユニット4U1の最も前側の鋼製ブロック4U1A1の前部の連結穴4Bに、終点固定ブロック52の鎖連結金具5Aに取り付けた電動ウインチ6のワイヤ61の端部を連結する。
【0053】
(2)鋼製ブロックユニット4U1の引き出し
終点固定ブロック52の鎖連結金具5Aに取り付けた電動ウインチ6で、鋼製ブロックユニット4U1の最も前側の鋼製ブロック4U1A1を、鋼製ブロックユニット4U1の車輪4E・4F・4G・4Hを利用して引き出す。引き出された前側の鋼製ブロック4U1A1の後部に、後側の鋼製ブロック4U1A2の前部を位置決め装置4Cと位置決め穴4C3により位置決め挿入連結し、4U1A2を引き出す。引き出された前側の鋼製ブロック4U1A2の後部に、後側の鋼製ブロック4U1A3の前部を位置決め装置4Cと位置決め穴4C3により位置決め挿入連結し、4U1A3を引き出す。そして、所定数m=3の鋼製ブロック4U1Amの終点A2方向への展開を完了する。
【0054】
(3)鋼製ブロックユニット4U2の引き出し
上記(2)の鋼製ブロック4U1A3の引き出しに伴い、鋼製ブロック4U1A3の後部に連結された、鋼製ブロックユニット4U2の最も前側の鋼製ブロック4U2A1が、鋼製ブロック4U1A3により引き出される。上記(2)の手順と同様に、鋼製ブロックユニット4U2の所定数m=3の鋼製ブロック4U2Amを、順次引き出し、位置決め装置4Cと位置決め穴4C3により位置決め挿入連結を行う。そして、2個の鋼製ブロックユニット4U1及び4U2の展開を完了する。
(4)連結穴4Bに連結ボルト8を締結
全ての鋼製ブロック4UnAmの展開が終了した時点で、互いの連結穴4Bに連結ボルト8を締結して鋼製ブロック連続体4の連結を完了する。
【0055】
図4(c)は、終点固定ブロック52に設けた電動ウインチ6を撤去して、終点固定ブロック52に対面する4U1A1の前部の連結穴4Bと、終点固定ブロック52の鎖連結金具5Aとを連結鎖7で連結したものである。これにより、起点固定ブロック51と終点固定ブロック52間に鋼製ブロック連続体4の設置が完了する。
上記電動ウインチ6により鋼製ブロック4UnAmの車輪を使用して引き出すことで、容易に展開され、短期間で設置できる。
【0056】
<収納車輪と固定車輪>
図5(a)には、斜辺面4Jaの下部外面に設置した後部収納車輪受け金具9Dに支持され、車輪収納軸ボルト92及び車輪収納軸ナット93により、20~30mm上下動可能に固定された車輪9を備えた、後部収納車輪4Hが示されている。車輪収納軸ナット93を電動レンチ100(図示省略)で回転させることにより、容易に後部収納車輪4Hを上昇・下降させ、斜辺面4Jaの下端全長にわたり設けられたスパイク4Iを下降・上昇させてスライド式防護柵3設置時には車道1に接地させ、移動・収納時には車道1から切り離すことができる。そして、スパイク4Iは、高速道路の車道1上に起立して路面反力302の支点となる。また、後部収納車輪4Hを下降させて車道1に着地し、容易に車輪9により移動することができる。
傾斜面4Jaの上部外面に、位置決め装置4C(位置決め金具4C1、バネ内装回転支点4C2)が取付けられ、位置決め穴4C3が配置されていることが、
図5(a)に図示されている。
【0057】
図5(b)には、斜辺面4Jaの下部外面に設けたレンチ穴4F1の下部に、前部収納車輪受け金具9Bを設けて支持させ、車輪収納軸ボルト92及び車輪収納軸ナット93により上下動可能に固定された車輪9を備えた、前部収納車輪4Fが示されている。電動レンチ100(図示省略)の先端をレンチ穴4F1内に挿入することにより、車輪収納軸ナット93を、斜辺面4Jaの外部から電動レンチ100(図示省略)で回転させることにより、容易に前部収納車輪4Fを上昇・下降させ、斜辺面4Jaの下端全長にわたり設けられたスパイク4Iを下降・上昇させてスライド式防護柵3設置時には車道1に接地させ、移動・収納時には車道1から切り離すことができる。そして、スパイク4Iは、高速道路の車道1上に起立して路面反力302の支点となる。また、前部収納車輪4Fを下降させて車道1に着地し、容易に車輪9により移動することができる。
前部収納車輪4F及び後部収納車輪4Hの車輪収納軸ナット93を回転させることにより、鋼製ブロック4UnAmの移動時には鋼製ブロック4UnAmを上昇させて、前部収納車輪4F及び後部収納車輪4Hに鋼製ブロック4UnAmの自重の一部を支持させている。なお、「自重の一部を支持」とは、前部収納車輪4F及び後部収納車輪4Hと、前部固定車輪4E及び後部固定車輪4Gとで、自重を分担支持しているということである。
傾斜面4Jaの上部外面に、位置決め穴4C3が配置されていることが、
図5(b)に図示されている。
図5(a)、(b)の構成により、斜辺面下部のスパイクの支点反力により、車両進入による事故の被害を軽減させることができる。また、鋼製ブロックの下部には収納及び着地可能な車輪を備えており、短期間で設置・撤去できる。さらに、作業箇所の移動に伴い、合せて移動できる。
【0058】
図6(a)には、垂直面4Jcの下部外面に、逆L字形後部固定車輪受け金具9Cを設けて固定された車輪9を備えた、後部固定車輪4Gが示されている。後部固定車輪4Gの上部には、連結穴4Bが配置されている。車輪9の一例として鋼車輪91(φ80mm)が使用できる。
図6(b)には、垂直面4Jcの下部内面に、逆L字形前部固定車輪受け金具9Aを設けて固定された車輪9を備えた、前部固定車輪4Eが示されている。車輪9の一例として鋼車輪91(φ80mm)が使用できる。
上記構成の前部固定車輪4E及び後部固定車輪4Gにより、鋼製ブロック4UnAmの自重の一部を支持させている。
【0059】
図6(b)に示すように、鋼製ブロック4UnAmの前部の収納展開領域4K(一例として200mm)の中間位置(先端部から後側方向100mmの位置)には、斜辺面4Jaと垂直面4Jcに固着されて、直角三角形形状を保持する端面版4Dが配置されている。そして、端面版4Dの前側には連結穴4Bが上方に配置されている。また、端面版4Dの後側に固着した前部固定車輪4Eが下方に配置されている。
さらに、前部固定車輪4Eと端面版4Dは、位置決め装置4Cに連動する機能を持っている。すなわち、収納の際、位置決め装置4Cの機構により、後側の鋼製ブロック4UnABは、前側の鋼製ブロック4UnAFの前部固定車輪4Eに当接するまで引き込まれる。そして、前側の鋼製ブロック4UnAFは、前部固定車輪4Eと固着された端面版4Dを介して終点側に移動する。
収納時に、後側の鋼製ブロックを介して前側の鋼製ブロックを引き込むことができ、短期間で撤去できる。
【0060】
<位置決め装置4Cによる鋼製ブロック4UnAmの位置決めと引き出し機構>
図7(a)は、鋼製ブロックユニット4Unを展開する際、前側の鋼製ブロック4UnAFを引き出すことにより、位置決め装置4Cの位置決め金具4C1が位置決め穴4C3に嵌合することにより、後側の鋼製ブロック4UnABが引き出される機構を示している。
【0061】
<位置決め装置4Cと位置決め穴4C3の構成と、配置位置>
位置決め装置4Cは、位置決め金具4C1及びバネ内装回転支点4C2とから構成され、位置決め装置4Cの位置決め金具4C1が位置決め穴4C3に嵌合することで、位置決め挿入連結が完了する。
位置決め装置4C(位置決め金具4C1、バネ内装回転支点4C2)は、鋼製ブロック4UnAmの後部の斜辺面4Jaの上部外面に取付けられている。
位置決め穴4C3は、鋼製ブロック4UnAmの前部及び後部の斜辺面4Jaの上部外面に、配置されている。位置決め穴4C3の斜辺面4Ja下端のスパイク4Iからの高さは、各鋼製ブロック4UnAmとも同一である。
【0062】
<位置決め金具4C1の構成>
位置決め金具4C1は、アーム部4C12と、該アーム部4C12の一端部に形成された直角三角形状鉤部4C11と、から構成されている。そして、直角三角形状鉤部4C11は斜め開放面4C11aと直角面4C11bを有している。また、アーム部4C12の他端部は、前側の鋼製ブロック4UnAFの後部の、斜辺面4Jaの上部外面に設けられたバネ内装回転支点4C2に、回転自在に固定されている。また、バネ内装回転支点4C2は、位置決め穴4C3を通して、直角三角形状鉤部4C11を後側の鋼製ブロック4UnABの斜辺面4Jaの外面に常時押圧している。
直角三角形状鉤部4C11の直角面4C11bは、重なった位置決め穴4C3・4C3に垂直に落ち込んで嵌合するものである。鋼製ブロックユニット4Unを展開するために前側の鋼製ブロック4UnAFを引き出した際、前側の鋼製ブロック4UnAFの後部の位置決め穴4C3と、後側の前記鋼製ブロック4UnABの前部の位置決め穴4C3とが重なり、重なった位置決め穴4C3・4C3となる。
斜め開放面4C11aは、引き出し側から引き出し側の反対側に、斜め外側に上昇する面である。斜め開放面4C11aが引き込み力を受け、後側の鋼製ブロック4UnABの位置決め穴4C3から斜め外側に上昇して抜け出すことにより、後側の鋼製ブロック4UnABの位置決め穴4C3と前側の鋼製ブロック4UnAFの位置決め穴4C3との嵌合は解除され、嵌合を解除する機能を有している。
収納に際し、後側の鋼製ブロック4UnABを、引き出し側に引き込むことにより、直角三角形状鉤部4C11は、後側の鋼製ブロック4UnABの位置決め穴4C3から、上昇して抜け出し、嵌合が解除される。そして、後側の鋼製ブロック4UnABは、前側の鋼製ブロック4UnAFの前部固定車輪4Eに当接するまで引き込まれる。そうすると、前側の鋼製ブロック4UnAFは、前部固定車輪4Eと固着された端面版4Dを介して引き込まれる。
【0063】
<鋼製ブロック4UnAmの位置決めと引き出し手順>
(1)終点固定ブロック52の鎖連結金具5Aに取り付けた電動ウインチ6で、前側の鋼製ブロック4UnAFが、終点2B側に引き出される。
(2)前側の鋼製ブロック4UnAFの後部には位置決め金具4C1が設けられている。そして、直角三角形状鉤部4C11は、バネ内装回転支点4C2により、位置決め穴4C3を介して、後側の鋼製ブロック4UnABの外面に押圧されている(
図7(a)1)。
(3)前側の鋼製ブロック4UnAFが引き出される(
図7(a)1)。
(4)前側の鋼製ブロック4UnAFの引き出しにより、後部の位置決め穴4C3と、後側の鋼製ブロック4UnABの前部に設けた位置決め穴4C3とが、一致し重なった位置決め穴4C3・4C3となる(
図7(a)2)。
(5)前側の鋼製ブロック4UnAFの直角三角形状鉤部4C11は、後部の位置決め穴4C3と、後側の鋼製ブロック4UnABの前部に設けた位置決め穴4C3とを、位置決め嵌合する。直角三角形状鉤部4C11の直角面4C11bは、重なった位置決め穴4C3・4C3に垂直に落ち込んで嵌合している。(
図7(a)2)。
(6)前側の鋼製ブロック4UnAFの引き出し(
図7(a)3-1)と共に、後側の鋼製ブロック4UnABが引き出される(
図7(a)3-2)。
【0064】
<鋼製ブロック4UnAmを収納する際の位置決め解除と収納手順>
図7(b)は、鋼製ブロックユニット4Unを収納する際、後側の鋼製ブロック4UnABを引き込むことにより、位置決め装置4Cの位置決め金具4C1が解除され、前側の鋼製ブロック4UnAFが引き込まれる機構を示している。
(1)鋼製ブロックユニット4Unの各鋼製ブロック4UnAmが嵌合連結されている。
なお、収納に際しては、連結穴4Bに挿入締結された連結ボルト8は、事前に撤去される。
(2)終点固定ブロック52の鎖連結金具5Aに取り付けた電動ウインチ6により、後側の鋼製ブロック4UnABが、起点2A側から終点2B側に引き込まれる(
図7(b)1)。
(3)前側の鋼製ブロック4UnAFに設けられた直角三角形状鉤部4C11の斜め開放面4C11aに、後側の鋼製ブロック4UnABを起点2A側から終点2B側に引き込む力が作用する(
図7(b)2-1)。
(4)直角三角形状鉤部4C11の斜辺面4C11aは、後側の鋼製ブロック4UnABの前部に設けた位置決め穴4C3から、斜め外側に上昇して抜け出し、連結が解除される(
図7(b)2-2)。
(5)後側の鋼製ブロック4UnABは、前側の鋼製ブロック4UnAFの前部固定車輪4Eに当接するまで、引き込まれる。(
図7(b)3、4)。
(6)前側の鋼製ブロック4UnAFは、前部固定車輪4Eと固着された端面版4Dを介して引き込まれる(
図7(b)5)。
上記位置決め装置の展開時の自動連結機構、及び収納時の自動連結解除機構等により、短期間で設置・撤去できるものである。
【0065】
<衝突荷重300に対する抵抗機構>
図9は、起終点固定ブロック51、52(図示省略)と、展開が完了した複数個の鋼製ブロックユニットUnからなる鋼製ブロック連続体4が、起終点方向に連結鎖7で連結された状態で、衝突荷重300を受けた際の外力の釣り合いを示している。
【0066】
図9(b)に示すように、起点固定ブロック51及び終点固定ブロック52(図示省略)と、鋼製ブロック連続体4とが、起終点方向に連結鎖7で連結されている。
図9(a)に示すように、鋼製ブロック連続体4の重心に作用する自重301は、前部収納車輪4F及び後部収納車4H輪の収納により、斜辺面4Jaの下端部のスパイク4Iにより路面反力302として、支持されている。そして、車道1側から高さ垂直面4Jcに衝突荷重300を受けた際、衝突荷重300が大きい場合、斜辺面4Jaの下端部のスパイク4Iを支点として、鋼製ブロック連続体4の前部固定車輪4E及び後部固定車輪4Gが浮き上がる。該浮き上りにより、連結鎖7で連結された鋼製ブロック連続体4の自重301により連結鎖7に張力を発生させ、衝突荷重300に抵抗することができる抵抗メカニズムである。当該抵抗メカニズムにより、車両進入による事故の被害を軽減できる。
【0067】
<他の実施例:補修工事施工範囲の開口部>
図8(b)の斜視図に示すように、鋼製ブロックユニットUnの鋼製ブロック4UnAmにおいて、三角柱体を形成する斜辺面4Jaの中央部分を、斜辺面4Jaの上端部を補強のための折り曲げ201として残して開口部を形成し、補修工事施工範囲200としたものである。
図8(a)は平面図である。鋼製ブロック連続体4を構成する中間の鋼製ブロック4UnAm(一例として長さ4000mm)において、当該鋼製ブロック4UnAmの斜辺面4Jaの開口部(一例として延長1500mm)を利用して、補修工事施工範囲200内の補修工事を、工事規制範囲内で実施することが出来る。そして、車両進入による事故の被害を軽減させるものである。
【符号の説明】
【0068】
1 高速道路の車道
1A 走行方向
2 工事規制範囲
2A 起点
2B 終点
3 スライド式防護柵
4 鋼製ブロック連続体
4Un 鋼製ブロックユニット(n=1~N)
4U1 第1ユニット
4U2 第2ユニット
4UnAm 鋼製ブロック(m=1~N)
4UnAF 前側の鋼製ブロック
4UnAB 後側の鋼製ブロック
4A 吊り上げ穴
4B 連結穴
4C 位置決め装置
4C1 位置決め金具
4C11 直角三角形状鉤部
4C11a 斜め開放面
4C11b 直角面
4C12 アーム部
4C2 バネ内装回転支点
4C3 位置決め穴
4D 端面版
4E 前部固定車輪
4F 前部収納車輪
4F1 レンチ穴
4G 後部固定車輪
4H 後部収納車輪
4I スパイク
4J 直角三角形の三角柱体
4Ja 斜辺面
4Jc 垂直面
4K 収納展開領域
5 固定ブロック
5A 鎖連結金具
51 起点固定ブロック
52 終点固定ブロック
6 電動ウインチ
61 電動ウインチワイヤ
7 連結鎖
8 連結ボルト
9 車輪
9A 前部固定車輪受け金具
9B 前部収納車輪受け金具
9C 後部固定車輪受け金具
9D 後部収納車輪受け金具
91 鋼製車輪
92 車輪収納軸ボルト
93 車輪収納軸ナット
100 電動レンチ
200 補修工事施工範囲
201 補強折り曲げ
300 衝突荷重
301 自重
302 スパイクによる路面反力
303 連結による張力