(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049390
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】熱可塑性構造を製造するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
B29C 70/10 20060101AFI20240402BHJP
B29K 105/08 20060101ALN20240402BHJP
B29K 101/12 20060101ALN20240402BHJP
【FI】
B29C70/10
B29K105:08
B29K101:12
【審査請求】未請求
【請求項の数】25
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023166617
(22)【出願日】2023-09-28
(31)【優先権主張番号】17/936,375
(32)【優先日】2022-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】オーガル, アーモル
(72)【発明者】
【氏名】ウィルカーソン, ランドール ダウ
(72)【発明者】
【氏名】ルービン, アレクサンダー
【テーマコード(参考)】
4F205
【Fターム(参考)】
4F205AA32
4F205AA34
4F205AC03
4F205AD16
4F205AG07
4F205AH31
4F205HA02
4F205HA23
4F205HA34
4F205HA46
4F205HB01
4F205HC07
4F205HF05
4F205HK03
4F205HK04
4F205HK31
4F205HL02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】高性能で生産性の高い熱可塑性構造を製造するための方法、熱可塑性プリフォーム構造、および熱可塑性構造を構築するためのシステムを提供する。
【解決手段】熱可塑性構造を製造するための方法及び装置が、第1の複数の編組プライをマンドレル上に横たえ、1以上の一方向プライを複数の編組プライ上に横たえることを含む。第2の複数の編組プライが、1以上の一方向プライ上に横たえられる。これにより、レイアップが、編組プライと一方向プライとが組み合わされた熱可塑性構造を形成する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性構造(702)を製造するための方法であって、
第1の複数の編組プライ(102a)をマンドレル(604)上に横たえること(1100)、
1以上の一方向プライ(102b)を前記第1の複数の編組プライ(102a)上に横たえること(1104)、及び
第2の複数の編組プライ(102a)を前記1以上の一方向プライ(102b)上に横たえること(1108)を含む、方法。
【請求項2】
1以上のパッチ(718、720)を前記第1の複数の編組プライ(102a)又は前記第2の複数の編組プライ(102a)上に横たえること(1106)を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1以上のパッチ(718、720)は、1以上の編組パッチ(720)を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記1以上のパッチ(718、720)は、1以上の一方向パッチ(718)を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記1以上のパッチ(718、720)が、前記第2の複数の編組プライ(102a)の後続の編組層(722)に最初に接触する縁部(902)上に、前記1以上のパッチをスポット溶接することを更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記1以上の一方向プライ(102b)は、スリットを有する一方向テープを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記1以上の一方向プライ(102b)を前記第1の複数の編組プライ(102a)上にタック溶接することを更に含み、前記タック溶接することは、前記1以上の一方向プライ(102b)の一端部のみを前記第1の複数の編組プライ(102a)上にタック溶接することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記マンドレル(604)は、その上に1以上の一方向プライ(606)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記マンドレル(604)は、前記マンドレル(604)の長さに沿って変化する断面形状を有する複数のセクション(1002)を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
編組材料と前記1以上の一方向プライ(102b)とを交互配置すること(712)を実行する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記1以上の一方向プライ(102b)を前記第1の複数の編組プライ(102a)上に横たえる前に、前記1以上の一方向プライ(102b)を加熱することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
一つ以上の前記横たえること(1100、1104、1108)の後に固結(726)を実行すること、及び前記固結を検査すること(728)を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法に従って組み立てられる航空機(1302)の一部分。
【請求項14】
第1の複数の編組プライ(102a)、
前記第1の複数の編組プライ(102a)上に横たえられた1以上の一方向プライ(102b)、及び
前記1以上の一方向プライ(102b)上に横たえられた第2の複数の編組プライ(102a)を含む、熱可塑性プリフォーム構造(702)。
【請求項15】
前記第1の複数の編組プライ(102a)又は前記第2の複数の編組プライ(102a)上に、1以上のパッチ(718、720)を更に含む、請求項14に記載の熱可塑性プリフォーム構造(702)。
【請求項16】
前記1以上のパッチ(718、720)は、1以上の編組パッチ(720)を含む、請求項15に記載の熱可塑性プリフォーム構造(702)。
【請求項17】
前記1以上のパッチ(718、720)は、1以上の一方向パッチ(102b)を含む、請求項15に記載の熱可塑性プリフォーム構造(702)。
【請求項18】
前記1以上のパッチ(718、720)が、前記第2の複数の編組プライ(102a)の後続の編組層に最初に接触する縁部上に、前記1以上のパッチ(718、720)がスポット溶接されている、請求項15に記載の熱可塑性プリフォーム構造(702)。
【請求項19】
前記1以上の一方向プライ(102b)は、スリットを有する一方向テープを含む、請求項14に記載の熱可塑性プリフォーム構造(702)。
【請求項20】
前記1以上の一方向プライ(102b)は、前記第1の複数の編組プライ(102a)上にタック溶接されている、請求項14に記載の熱可塑性プリフォーム構造(702)。
【請求項21】
前記1以上の一方向プライ(102b)の一端部のみが、前記第1の複数の編組プライ上にタック溶接されている、請求項20に記載の熱可塑性プリフォーム構造(702)。
【請求項22】
請求項14に記載の熱可塑性構造を使用して航空機(1302)の一部分を製造すること。
【請求項23】
熱可塑性構造(702)を構築するためのシステム(200)であって、
マンドレル(604)、及び
前記マンドレル上に熱可塑性プリフォーム構造を形成するために複数のプライの層を構築するように構成された1以上の機械を備えるツーリングシステムを備え、前記ツーリングシステムは、
第1の複数の編組プライ(102a)を前記マンドレル(604)上に横たえること(1100)、
1以上の一方向プライ(102b)を前記第1の複数の編組プライ(102a)上に横たえること(1104)、及び
第2の複数の編組プライ(102a)を前記1以上の一方向プライ(102b)上に横たえること(1108)、を実行するように構成されている、システム(200)。
【請求項24】
前記機械は、1以上のパッチ(718、720)を前記第1の複数の編組プライ(102a)又は前記第2の複数の編組プライ(102a)上に横たえること(1106)を実行するように更に構成されている、請求項23に記載のシステム(200)。
【請求項25】
前記マンドレル(604)は、前記マンドレル(604)の長さに沿って変化する断面形状を有する複数のセクション(1002)を備える、請求項23に記載システム(200)。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[0001] 熱可塑性複合材(TPC)製造プロセスを使用して航空機用の熱可塑性パネルを製造するなど、種々の技法を使用してプラスチック製品を形成することができる。例えば、航空機の重量を減らすために、複合材料の割合を増やして航空機を設計及び製造する。この軽量化は、最大積載量や燃料効率などの性能特性を改善する。更に、複合材料は、航空機内の様々な構成要素に、より長い耐用年数を提供する。
【0002】
[0002] 複合材構造を製造するときに、典型的には複数の複合材料の層が工具上に横たえられ又は積み重ねられる。例えば、ポリマー樹脂を予め含浸させた繊維シート(「プリプレグ」として知られる)の複数の層が工具上に横たえられ、次いで、複合材最終製品を形成することができる。すなわち、積み重ねられた層は、その後、加工されて固結した複合材構造を形成する。
【0003】
[0003] 熱可塑性複合材を使用することで、より軽量で構造の性能を向上させることができるが、TPCを使用して複雑な形状を作製することは、既存のレイアップや固結工法では非常に困難である。したがって、航空機用途で複雑な形状の部品を製造するために金属材料や熱硬化性樹脂ベースの炭素複合材を使用する場合などに、TPC製造を行う時間と費用が増加する。例えば、非標準部品を製造するための知られている複合材製造プロセスは、費用と時間が非常にかかる熱可塑性プロセスステップを含む。
【発明の概要】
【0004】
[0004] 開示される複数の実施例は、以下で挙げられる添付図面を参照しながら、以下で詳細に説明される。以下の概要は、本明細書で開示される幾つかの実施例を説明するために提供される。しかし、それは、全ての実施例が、任意の特定の構成又は動作のシーケンスに限定されることを意図するものではない。
【0005】
[0005] 特定の複数の実施例は、第1の複数の編組プライをマンドレル上に横たえ、1以上の一方向プライを複数の編組プライ上に横たえることを含む、熱可塑性構造を製造するための方法を提供する。該方法は、第2の複数の編組プライを1以上の一方向プライ上に横たえることを更に含む。
【0006】
[0006] 幾つかの実施例では、熱可塑性プリフォーム構造が、第1の複数の編組プライ、及び複数の編組プライ上に横たえられた1以上の一方向プライを含む。第2の複数の編組プライが、1以上の一方向プライ上に横たえられる。
【0007】
[0007] 幾つかの実施例では、熱可塑性構造を構築するためのシステムが、マンドレル、及びマンドレル上に熱可塑性プリフォーム構造を形成するために複数のプライの層を構築するように構成された1以上の工具を備える機械を含む。該機械は、第1の複数の編組プライをマンドレル上に横たえ、1以上の一方向プライを複数の編組プライ上に横たえ、第2の複数の編組プライを1以上の一方向プライ上に横たえるように構成されている。
【0008】
[0008] 説明された特徴、機能、及び利点は、様々な実施例において個別に実現可能であるか、又は、更に別の実施例に組み込まれてよく、かかる更に別の実施例の更なる詳細事項は、以下の説明及び図面を参照することで理解され得る。
【0009】
[0009] 本開示のこれらの特徴、態様、及び利点、及びその他の特徴、態様、及び利点は、添付の図面を参照して以下の詳細な説明を読むことで、より良く理解される。図面全体を通して、同様の特徴は同様の部分を表わしている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】[0010] 一実施態様に従って製造されたローターブレードの一部分の図である。
【
図2】[0011] 複数の層を有するスタックアップの一部分の図である。
【
図3】[0012] 一実施態様に従って複合材構造を構築するためのシステムのブロック図である。
【
図4】[0013] 一実施態様による二軸編組の図である。
【
図5】[0014] 一実施形態による一方向テープの図である。
【
図6】[0015] 一実施態様に従って部分的に製造されたプリフォームの図である。
【
図7】[0016] 一実施態様に従って熱可塑性構造を製造するためのプロセスフローのブロック図である。
【
図8】[0017] 一実施態様による一方向テープを有する熱可塑性プリフォームの一部分を示す。
【
図9】[0018] 一実施態様による一方向テープ及びパッチを有する熱可塑性プリフォームの一部分を示す。
【
図10】[0019] 一実施態様によるマンドレルの断面を示す。
【
図11】[0020] 一実施態様に従って熱可塑性プリフォームを製造するための方法を示すフローチャートである。
【
図12】[0021] 様々な実施態様を好適に採用する装置の製造及び保守方法のブロック図である。
【
図13】[0022] 本開示の様々な態様が好適に採用され得る装置のブロック図である。
【
図14】[0023] 飛行装置の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0024] 対応する参照符号は、図面全体を通して対応する部品を示す。
【0012】
[0025] 上記の概要、ならびに特定の複数の実施形態、実施態様、及び実施例の以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて読むことによってより良く理解されるだろう。本明細書で使用されるときに、「一(a)」又は「1つの(an)」に続く単数形の要素又はステップは、複数の当該要素又はステップを必ずしも除外しないと理解されたい。更に、「一」実施形態、実施態様、又は実施例への言及は、挙げられている特徴を同様に包含する更なる実施形態、実施態様、又は実施例を排除すると解釈されることを意図していない。更に、逆のことが明示的に述べられていない場合、特定の特性を有する1以上の要素を「備える」又は「有する」複数の実施形態、実施態様、及び実施例は、かかる特性を有さない更なる要素を含み得る。
【0013】
[0026] 複数の実施形態、実施態様、及び実施例を説明するために、「上部(top)」、「下部(bottom)」、「上側(upper)」、「下側(lower)」、「垂直(vertical)」などの、様々な空間的及び方向的用語が使用されているが、かかる用語は、単に図面で示されている配向に関して使用されているに過ぎない。これらの配向は、逆転され、回転され、又は別様に変更されてよく、これにより、上側は、構造物が180度ひっくり返されれば下側になり、構造物が90度枢動すれば左側又は右側になる、等々のことが起こる。
【0014】
[0027] 本明細書で説明されるように、様々な実施態様は、特に幾何学的に複雑な閉じたプロファイルを有する部品(例えば、ヘリコプターのローターブレード)を製造するためのTPC製造プロセスを提供する。幾つかの実施例は、高速でのレイアップを実現し、レイアップ費用と材料の無駄とを削減するために、編組レイアップと一方向テープとを組み合わせる。一実施例では、ブラダー成形技法を使用するTPCの固結により、溶接や接合プロセス(例えば、金属‐TPC、TPC‐TPCの接合など)にも対応する「ワンショットTPC」で複雑な構成要素を製造することが容易になる。幾つかの実施態様では、層又はプライが、二軸編組プライと一方向プライとを含む。すなわち、二軸編組プライと一方向プライとの組み合わせが、熱可塑性樹脂プリフォーム(例えば、プリフォーム構成又は形状にレイアップされたプライの層)などのレイアップを形成する。1以上の実施態様では、局所的に置かれた一方向パッチ及び/又は二軸編組パッチが、二軸編組周方向プライ(例えば、巻管編組)と組み合わせて使用される。
【0015】
[0028] 1以上の実施例は、ヘリコプター用のローターブレード100を示している
図1で示されているような熱可塑性航空機部品などの、熱可塑性複合材部品の製造を可能にする。ローターブレード100は、種々の種類のプライ、すなわち編組プライの層102aと一方向プライの層102bとで構成される複数の層102から形成される(複数の層102を有するスタックアップ又はレイアップ120の構成が、
図2で示されている)。すなわち、ローターブレード100は、幾つかの実施例では、種々の種類のプライ層を有する多層構造であるレイアップから形成される。
【0016】
[0029] 編組プライと一方向プライとの交互層102a、102bを有するレイアップ120が図示されているが、任意の配置が提供可能であることに留意されたい。例えば、第1の複数の層102aを形成する複数の編組プライは、1以上の層102bを形成する1以上の一方向プライによって分離された第2の複数の層102bを形成する別の複数の編組プライによって分離され得る。すなわち、任意の数の層102a、102bが、レイアップを形成し得る。その場合、レイアップ内の層102a、102bの配置は、所望又は必要に応じて変更することができる。レイアップ120内の102a、102bの各々の数は、同じであって又は異なってよく、ならびに対称又は非対称に配置され/積み重ねられてよい。例えば、対称は、以下のように配置され/積み重ねられた層であり得る。すなわち、102a、102b、102a、102b、及び最後に102a、又は102a、102a、102b、102a、及び最後に102aであり、一方で、非対称は、以下のように配置され/積み重ねられた層であり得る。すなわち、102a、102b、102a、102a、及び最後に102a、又は同様なものである。5つのプライが図示されているが、任意の数のプライが、積層体内に存在し得る。層102a、102bのうちの1以上が、ローターブレード100の全長112よりも短く延在することに留意されたい。幾つかの実施態様では、一方向プライの層102bのうちの1以上が、部品の長さ又は幅の一部分のみに沿って配置される。例えば、一方向プライの層102bのうちの1以上は、部品の強度を高めることが所望される又は必要とされる位置(例えば、遷移セクション)に配置される。しかし、様々な実施例では、レイアップ内の層102a、102bの構成が、部品の中心軸に対して対称である。
【0017】
[0030] 幾つかの実施例では、複数の層102aを形成する複数の編組プライが、x方向114とy方向116(例えば、x方向及びy方向における+/-)における二軸編組を使用して形成される。しかし、他の構成や配向も考えられる。
【0018】
[0031] 一実施例では、
図3で示されているように、複合材構造を構築するためのシステム200が、編組機218、巻取機206、及び成形機208を含む。一実施例では、複合材構造が、本明細書で説明されるような編組プライなどの巻管編組と、一方向プライとの組み合わせで構築される。システム200は、概して、治工具202、及び治工具202が相互作用する作業成果物204を含む。治工具202は、編組機218、巻取機206、及び成形機208を含む。作業成果物204は、管状編組210、巻管編組212、一方向プライ214、及び複合材構造216を含む。巻管編組212はまた、管状編組の巻かれたもの(winding)とも呼ばれ、種々の管形状(例えば、種々の形状又はプロファイルを有する中空構造)をとり得る。管状編組210は、編組機218によって形成される。巻管編組212は、巻取機206によって管状編組210から形成される。複合材構造216は、成形機208によって巻管編組210と一方向プライ214とから形成される(例えば、一方向テープが、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂のいずれかが予め含浸された他の補強材料を含むプリプレグのロールから切断される)。複合構造216は、所望の要件を満たすために特定の繊維配向とレイアップとを必要とするものなどの任意の構造である。例えば、複合材構造216は、幾つかの実施例ではローターブレードなどの航空機又はヘリコプター用の1以上の部品である(一方で、レイアップのプリフォームは管状であり、管状プリフォームは、平坦な積層体にも平坦化され、平坦化された管状プリフォームからフレーム又はストリンガなどの他の構造を形成するためにも使用され得る)。理解されるように、幾つかの実施例における治工具202は、熱可塑性構造の製造に使用される鋳造機や後処理機、切断デバイスなどの他の機械又は構成要素を含む。これらの機械又は構成要素は、例示の容易さのために図示されていない。
【0019】
[0032] 幾つかの実施例では、種々の種類のプライで構成された複数の層102、すなわち編組プライの層102aと一方向プライの層102bとが、
図4で示されているような編組配置及び
図5で示されている非編組配置からのものである(例えば、プライ内の繊維が平行なサイドバイサイド配置の一方向テープから形成される)。ここでの繊維の配向は、0度に見えるが、それぞれ、+45度若しくは-45又は90度であり得る。すなわち、幾つかの実施例では、編組プライの層102aが、一方向プライの編組から形成される。しかし、プライ内の繊維が平行である限り、編組プライの任意の形態の繊維配向が使用され得る。
【0020】
[0033] 特に
図4及び
図5を参照すると、編組層は、編組プロセスによって形成されて、例えば管状編組210を形成する。図示されている一実施例では、管状編組210が、二軸編組400を含む。二軸編組400では、要素(一方向に配置されたトウ500であって、一方向繊維502を有するトウ500のような一方向要素)のマトリックス。トウ500は、直交平行要素406に対してバイアス角度(α)で配置された直交平行要素404のマトリックスを形成するために、織り込まれるか又は編組される。バイアス角度αは、例えば、より急な編組角度が柔軟性の増加及び/又は輪郭に適合するための能力の増加をもたらす特定の用途に基づいて決定される。要素404及び406は、任意の適切な材料で形成され得ることに留意されたい。
【0021】
[0034] 次に
図5を参照すると、非編組トウ500が、幾つかの実施例において熱的又は接着剤接合によって共に保持される連続ストリップ内に複数の一方向繊維502を有する単一のトウ/テープとして構成される。一方向繊維502は、互いに平行である。一方向繊維502は、一実施例では、樹脂が予め含浸されている。樹脂は、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)などの熱可塑性物質である。しかし、樹脂は、例えば、エポキシやシアネートエステルなどの熱硬化性樹脂であり得ることを理解されたい。一方向樹脂502は、幾つかの実施例では、プリプレグ樹脂(図示せず)でタッキングされるなどして共に保持される。一方向トウ500は、例えば、スリットテープの熱可塑性物質、室温で実質的にタックフリーである熱硬化性テープ、エポキシ若しくは熱可塑性バインダーが塗布されたバインダードドレイロービングプリプレグ(bindered dray roving prepreg)、実質的にタックフリーである熱硬化性プリプレグ、又は低タック熱硬化性プリプレグで構築され得る。
【0022】
[0035] 再び
図2を参照すると、幾つかの実施例では、作業成果物204が、管状編組210、巻管編組212、一方向プライ214、及び複合材構造216の更なる変形を含む。例えば、幾つかの実施例では、編組材料パッチ(例えば、
図7で示されている編組パッチ720)又は一方向材料パッチ(例えば、
図7で示されている一方向パッチ718)が、本明細書でより詳細に説明されるように、部品の遷移セクションなどにおいて、巻管編組212上に配置される。
【0023】
[0036] システム200は、以下で説明されることとなるように、航空機の製造及び保守の文脈で採用され得る。例えば、システム200は、機体及び内装を含む航空機又は他のビークルの構成要素及びサブアセンブリの製造、航空機のシステムインテグレーション、並びに航空機の日常的な整備及び保守において使用され得る。
【0024】
[0037] したがって、様々な実施例は、きつい半径及び遷移セクションを有する幾何学的に複雑な部品(例えば、ヘリコプターのプロペラブレード)用の連続的に編組されたプライ及び一方向プライを有する熱可塑性構造を、マンドレルの上などで製造する。一実施例では、製造方法が、編組と一方向との熱可塑性構造のプリプレグ熱可塑性材料を組み合わせる。すなわち、様々な実施例は、より粘着性の高いプリプレグ熱可塑性材料を使用して実施可能である(一方で、他の方法が、三軸編組などを使用して、熱硬化性物質を用いて実施可能である)。幾つかの実施例では、編組と交互一方向とのプライを平坦にして、フレームやストリンガなどの固い成形可能な積層体を形成することができる。
図6は、一実施例に従って部分的に製造されたプリフォーム600を示している。見られ得るように、編組材料602の層が、マンドレル604(
図6で見て編組を通して視認可能である)上に提供される(例えば、横たえられる又は巻かれる)。例えば、一実施態様は、マンドレル604上に編組材料602の2以上の層を横たえることを含む。編組材料602の層の上には、一方向プライ606(例えば、ゼロ度プライ)がある。すなわち、図示されている一実施態様では、一方向プライ606が、編組材料602の層を覆ってマンドレル604上に横たえられる。部分的に製造されたプリフォーム600は、組み合わされた編組と一方向との熱可塑性構造を形成する種々の層を示すためにのみ示されていることを理解されたい。本明細書で説明されるように、様々な数の様々な層、様々な層の様々な配置などを含む、種々の構成が考えられる。
【0025】
[0038] 熱可塑性構造702を製造するためのプロセスフロー700の一実施例が、
図7で示されている。見られ得るように、プロセスフロー700は、704における部品設計で開始する。例えば、航空機部品用の仕様、要件、パラメータなどの航空機部品の設計が規定される。次いで、航空機部品は、熱可塑性構造702として形成される。すなわち、部品設計は、製造される熱可塑性構造702を規定する。
【0026】
[0039] プロセスフロー700の設計部分は、706における部品アセンブリ概念ステップに続く。例えば、このステップでは、熱可塑性構造702を使用する1以上の部品のアセンブリ用の仕様が開発される。理解されるように、704及び706における設計ステップは、任意の適切な熱可塑性製造方法に従って実行される。すなわち、704及び706における設計ステップは、熱可塑性製造技術エリアにおける1以上の設計技法又は方法を使用して実行される。
【0027】
[0040] プロセスフロー700は、706におけるレイアップ設計、並びに708におけるマンドレル設計及び製造を含む。例えば、プライレイアップ構成とマンドレルタイプとは、それぞれ、706と708とにおいて規定される。幾つかの実施例では、706におけるレイアップ設計が、マンドレル604上の編組材料602と一方向プライ606との層の構成又は順序(及び数)を規定することを含む(全てが
図6で示されている)。マンドレル設計及び製造は、本明細書でより詳細に説明されるような複数部分又はセグメント化されたマンドレル(例えば、ニアネット形状の熱可塑性成形用のセグメント化されたマンドレル)などの、種々の種類のマンドレルを含み得る。
【0028】
[0041] プロセスフロー700は、レイアップ設計に基づいて716でプリフォームスタックを形成する。プリフォームスタックは、一方向プライとの組み合わせ(例えば、積み重ね)で710における編組によって形成される編組材料の層を含む。編組材料の層と組み合わされるのは、例えば、712における一方向テープインターリーブ及び/又は714における一方向若しくは編組パッチなどである。すなわち、716におけるプリフォームスタックは、複数のプライ又はプライとパッチとの組み合わせから形成される。幾つかの実施例におけるパッチは、1以上の一方向パッチ718及び/又は1以上の編組パッチ720を含む。それらは、1以上の編組層722上に積み重ねられ又は配置されることに留意されたい。例えば、パッチ718、720は、プリフォームの限られた部分の上にプライスタックアップを形成するより小さなプライであり得る。幾つかの実施例では、パッチ718、720が、予めキッティングされ、複数のプライの追加として置かれる(例えば、(1以上の)予めキッティングされたプライが、編組前に編組プリフォーム又はマンドレル上に手で置かれる)。一実施例では、1以上の一方向パッチ718及び/又は1以上の編組パッチ720が、編組材料602及び一方向プライ606の層と同じ材料構造を有する(例えば、繊維の種類、樹脂の種類、繊維の配向などが、同じであり得る)。理解されるように、種々の実施態様(例えば、製造される部品)内のプライとパッチとの数及び配置は、所望又は必要に応じて変更される。
【0029】
[0042] プロセスフロー700は、次いで、726において固結を実行するための固結工具724の使用を含む形成ステップを提供する。すなわち、716において形成されたプリフォームスタックは、固結工具(例えば、
図3で示されている成形機208)を使用して固結される。すなわち、マンドレル上の層状プライが固結されて、熱可塑性構造702(例えば、
図3で示されている複合材構造216)を形成する。次いで、728においてトリミングと検査とが行われる。例えば、熱可塑性構造702は、最終部品(例えば、ヘリコプターのプロペラブレードなどのローターブレードなど)を製造するために、仕様にトリミングされ、検査される。
【0030】
[0043] 様々な実施例では、716において形成されたプリフォームスタックなどの熱可塑性プリフォームの製造又は形成が、改善された最終部品、すなわち、きつい半径及び遷移セクションを有する部品のような、より頑丈で形状に適合した部品をもたらす。一実施例では、
図8及び
図9を参照すると、熱可塑性プリフォームが以下のように製造される。すなわち、
【0031】
[0044] 1.以下のステップを繰り返すことによってレイアップを形成する。すなわち、
【0032】
[0045] a.編組材料の2以上の層800をマンドレル802の上に横たえる(例えば、+/-45度における又は関係する輪郭に基づく二軸編組)。
【0033】
[0046] b.0度(単軸)プライを軟化状態まで(T<Tgまで)加熱する。
【0034】
[0047] c.0度プライ804(例えば、一方向テープ)をマンドレル802の上に横たえ、プライをきついマンドレル半径の上でスリット818し(例えば、反対側が完全な層を有する片側スリット)、次いで、単軸プライの端部812を下層のプライ(すなわち、層800)の上にタッキング(例えば、溶接鉄を使用してスポット溶接806及び任意選択的なスポット溶接808を形成するためのタッキング)して、プライ804を共に保持し及び/又は下層のプライ(すなわち、層800)の上にその位置を維持する。幾つか実施例ではプライ804が、スポット溶接で適所にタッキングされるが、幾つかの実施例では、プライ804が、単軸プライの周りに織られたポリマープリプレグの細いフィラメントで適所に保持され、束縛又は拘束することができる。幾つかの実施例では、ポリイミド(Pl)膜を使用して、固結部品の鋭利な縁部との相互作用によってもたらされる損傷の可能性を低減させる。また、幾つかの実施例では、片側タッキングが使用され、低温条件中での変形性を高めるために遷移ゾーン816がタッキングされていない。
【0035】
[0048] d.単一のステップで成形可能なプライの最大数は、編組マンドレル直径(D)対積層体の厚さ(T)のアスペクト比の制限に基づく(例えば、幾つかの実施例では一度に4から20のプライのオーダーにある)。横たえるプロセスの1以上のステップは、自動的に実行され、手動で実行され、又は両方の組み合わせであり得ることに留意されたい。
【0036】
[0049] 2.単軸又は編組材料の1以上のパッチ900を1以上の繊維セクション904の上に固定し、1以上のパッチ900が最初に後続の編組層に接触することになる縁部902上に1以上のパッチ900をスポット溶接する(例えば、パッチ902が、重なる編組すなわち2以上の層800に最初に接触する縁部902上に、パッチをスポット溶接する)。例示の容易さのために、単一のパッチ900が図示されていることに留意されたい。複数のパッチ900が使用されるときに、幾つかの実施例では、隣接するパッチ900が、荷重遷移の構造要件を満たすように、1から3インチだけ互いに重なり合う。幾つかの実施例では、パッチ900が、普通であれば1つの用途で付加され得るよりも大きな厚みが所望される場所で、同心円状に配置される。
【0037】
[0050] 3.固結は、本明細書でより詳細に説明される。
【0038】
[0051] 4.検査は、本明細書でより詳細に説明される。例えば、1以上の非破壊検査(NDI)プロセスを使用して、部品の壁厚を測定し、長手方向及び円周方向のプライドロップによる任意の変化する壁厚を特定することができる。これは、部品の中に設計されたものを確認し、アスペクト比計算の一部としても使用され得る。幾つかの実施例では、任意のしわを特定するための表面品質検査など、及び/又は、遷移セクションにおけるプリフォームスタックの任意のロッキングやしわなどを特定するための積層体品質検査などの、他の検査が実行される。
【0039】
[0052] 幾つかの実施例では、プリフォームレイアップが、
図10で示されているようにマンドレル1000上に形成される。この実施例では、マンドレル1000が、熱可塑性物質を編組するためのニアネット形状のマンドレルである。すなわち、マンドレル1000は、マンドレル1000の種々のセグメントを規定する複数のセクション1002を有する多部品又はセグメント化されたマンドレルである。見られ得るように、マンドレル1000は、マンドレル長さに沿って変化する断面形状を有するセクション1002を含むが、略一定の(実質的に一定の)断面外周(P)を維持する。一実施例では、マンドレル1000が、(例えば、溶接を可能にするために)金属部品であるセクション1002から形成された多部品編組マンドレル1000である。幾つかの実施例では、各セクション1002が、全体のマンドレルを形成するために直列に共に接合された別個の部品である。様々なマンドレル構成を形成するために、種々のセクションが組み合わされ得るか又は直列に含まれ得ることを理解されたい。
【0040】
[0053] 幾つかの実施例では、マンドレルセクション1002が、段差1008によって形成された段差セクション(例えば、遷移セクション)を有する中央円錐状スパイン1006によってしっかりと保持される。それによって、円錐状スパイン1006と段差1008との組み合わせが、マンドレルセクション1002を共に堅く保持する。すなわち、マンドレルセクション1002は、円錐状スパイン1006に沿って当接係合状態で維持されている。幾つかの実施例では、アンダーカットによるプリフォームの脱型性を低減させるD形状断面にあるニアネット形状のマンドレルが提供される。種々の形状又は構成を有するマンドレルセクション1002を使用することができ、種々の形状又は構成を有するスパインを使用することができることに留意されたい。更に、幾つかの実施例では、保持機構(図示せず)が、遠位テーパ―端部に設けられ得るか、又は各セクション1002が保持機構を有し得る。
【0041】
[0054] 幾つかの実施例では、真っすぐな編組マンドレルが、局所的な増肉と共に使用される。局所的な増肉は、マンドレルと一体化され得るか又はマンドレルの上に追加され得る。これらの実施例では、一方向層の統合が、遷移セクションにおけるドレープ柔軟性を確実にするために、本明細書で説明されるような部分的にスリットが入った層を含む。
【0042】
[0055]
図11は、1以上の実施例に従って複雑な部品を形成することにおいて使用されるような、熱可塑性プリフォームを製造するための方法1100のフローチャートである。方法1100は、例えば、航空機の1以上の部品を組み立てるために実施され得る。方法1100におけるステップは、図示されているのとは異なる順序で実行され得、1以上のステップが追加又は除去され得、複数のステップが同時に又は連続的に実行され得ることに留意されたい。
【0043】
[0056] 方法1100は、1102において編組プライ(例えば、熱可塑性編組プライ)をマンドレル上に横たえることを含む。幾つかの実施例では、最初に一方向プライが配置され、その上に編組が行われる。例えば、編組層の1以上の層は、本明細書で説明されるような巻き付けプロセスを使用して、マンドレル上に形成される。しかし、任意の適切なプロセスを使用して、編組層の1以上の層を横たえることができる。種々の編組角度を有する種々のサイズの編組が使用され得る。幾つかの実施例では、編組層の1以上の層が、+/-四十度のプライを使用して形成される。他の実施例では、編組層の1以上の層が、+/-七十度のプライを使用して形成され、所望の厚さを維持しながらマンドレルの輪郭により良好に適合する。理解されるように、他の編組角度も考えられ、使用され得る。
【0044】
[0057] 幾つかの実施例では、1102において編組プライをマンドレル上に横たえることが、米国特許第9,174,393号などで説明されるように、オーバーブレイデッドマンドレルを形成するために、管状マンドレルの形態を採るようなマンドレルの外面の上に連続繊維熱可塑性複合材料でマンドレルをオーバーブレイディングすることを含む。幾つかの実施例では、連続繊維熱可塑性複合材料が、炭素繊維複合材料、炭素繊維強化ポリフェニレンサルファイド(PPS)、炭素繊維強化ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、炭素繊維強化ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、及び炭素繊維強化ポリエチレンイミン(PEI)を含む、炭素繊維強化ポリマー材料、ナイロン、又は別の適切な熱可塑性複合材料のうちの1つである。幾つかの実施例における連続繊維熱可塑性複合材料は、連続スリットテープ熱可塑性複合材料、プリプレグ一方向テープ、プリプレグ織物(図示せず)、交絡繊維材料、準等方性若しくは異方性連続繊維熱可塑性複合材料、又は別の適切な連続繊維熱可塑性複合材料である。連続繊維熱可塑性複合材料は、バイアス方向(B)(又は一方向プライ層を形成するための幾つかの実施例ではゼロ(0)度方向)においてマンドレルに巻き付けられ及び/又は編組される。連続繊維熱可塑性複合材料が、バイアス方向(B)に巻き付けられるか又は編組されるときに、連続繊維熱可塑性複合材料は加熱され得る。それによって、連続繊維熱可塑性複合材料が、加熱及び固結されるときに、埋め込まれた樹脂粉末(図示せず)が、ドライ繊維を充填し、溶融して固結された管状構造をもたらす。様々な実施例における連続繊維熱可塑性複合材料は、種々の厚さ、ゲージ、長さに沿ったバイアス角度、断面形状、長さに沿った断面角度経路、湾曲、ドロップの形状、及びトウの数を有し得ることに留意されたい。
【0045】
[0058] 幾つかの実施例では、1104において、1以上の一方向プライ(例えば、熱可塑性一方向プライ)が、編組層の1以上の層上に横たえられる。例えば、一方向テープの1以上のピースが、編組層の1以上の層の上にタッキングされる。タッキングは、最終的な固結又は硬化まで所望の輪郭で一方向テープの1以上のピースを保持する。幾つかの実施例では、方法1100が、1106において、1以上のパッチを遷移セクションに横たえることを含む。1以上のパッチは、編組パッチ又は一方向パッチであり得ることに留意されたい。1以上のパッチは、編組層の1以上の層及び/又は1以上の一方向プライ上に横たえられ得ることにも留意されたい。幾つかの実施例では、1106において1以上のパッチを遷移セクションに横たえることが、任意選択的に実行され、及び/又は他のセクションで実行され得る。
【0046】
[0059] 次いで、1108において、編組プライの1以上の層が、スタック上に横たえられる。すなわち、編組プライの1以上の層は、1以上の一方向プライ及び/又は1以上の編組パッチ若しくは一方向パッチ上に横たえられる。1以上の一方向プライ及び/又は1以上の編組パッチ若しくは一方向パッチは、その上に横たえられた編組プライの1以上の層と同じ層内に横たえられ得る。1以上の層は、例えば、片側タッキングやオーバーブレイディングによって、適所に固定され得ることに留意されたい。幾つかの実施例では、パッチが編組の外側に配置され又は置かれ得ることを理解されたい。
【0047】
[0060] 方法1100のステップは、所望の又は必要とされる熱可塑性プリフォームを組み立てるために繰り返され、様々な実施例では、熱可塑性プリフォームが、種々の固結プロセスを使用して固結され得る。例えば、多段階固結プロセスが、複数の熱可塑性プリフォームを使用して幾つかの実施例で実行される。該プリフォームは、予め固結された複数の熱可塑性プリフォームスタック(例えば、各二十二層の2つのスタック)を含み、次いで、他の熱可塑性プリフォームスタックと共固結された、固結された熱可塑性プリフォームを含む。任意の固結プロセスが、種々の動作パラメータと共に使用され得ることに留意されたい。一実施例では、華氏608度(摂氏320度)に到達したときの滞留時間を有する加熱中に、7.3psi(0.5bar)の圧力印加が使用される。次いで、華氏700度(摂氏371度)に到達したときに、ゆっくりとした圧力印加が行われる。次いで、十五分の滞留時間が固結をもたらす。温度や動作時間などの種々のパラメータが所望又は必要に応じて使用され得ることを理解されたい。
【0048】
[0061] したがって、熱可塑性プリフォームを規定するレイアップが形成される。該プリフォームは、複雑な形状寸法を有する部品などの種々の熱可塑性部品の形成を可能にする。例えば、湾曲したセントロイドライン(centroid line)を有し、D字形状及び円形断面を有する複雑なブレードの形状寸法が形成される。様々な実施例が、例えば、編組及び交互配置された一方向テープを使用する、従来とは異なる繊維配向を組み合わせたユニークなやり方を提供する。様々な実施例はまた、複雑なレイアップを生み出す課題や、本明細書で説明されるような予め積み重ねられたレイアップの固結も解決する。
【0049】
[0062] 本開示の実施例は、
図12で示されている航空機の製造及び保守方法1200に照らして説明され得る。製造前の段階中に、例示的な方法1200は、航空機の仕様及び設計1202、並びに材料の調達1204を含み得る。製造段階中に、航空機の構成要素及びサブアセンブリの製造1206、並びにシステムインテグレーション1208が行われる。その後、航空機は、認可及び納品1210を経て、運航1212に供され得る。顧客により運航されている期間に、航空機には、定期的な整備及び保守1214(改造、再構成、改修なども含み得る)が予定される。
【0050】
[0063] 例示的な方法1200の各プロセスは、システムインテグレータ、第三者、及び/又はオペレータ(例えば、顧客)によって実行又は実施され得る。本説明の目的では、システムインテグレータが、任意の数の航空機製造業者及び主要システム下請業者を含み得るが、これらに限定されず、第三者は、任意の数のベンダー、下請業者、及び供給業者を含み得るが、これらに限定されず、且つ、オペレータは、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス機関などであり得る。
【0051】
[0064] 本明細書で説明されるシステムと共に、任意の数の他のシステムも含まれ得ることに留意されたい。また、航空宇宙産業の例を示したが、この原理は、自動車産業のような他の産業に適用してもよい。
【0052】
[0065] 本明細書で示され又は説明された装置及び方法は、製造及び保守方法1200の1以上の任意の段階中に利用することができる。例えば、構成要素及びサブアセンブリの製造1206に対応する構成要素又はサブアセンブリは、航空機の運航期間中に製造される構成要素又はサブアセンブリと同様の方式で、作製又は製造され得る。また、装置、方法、又はこれらの組み合わせの1以上の態様は、例えば、航空機の組み立てを大幅に効率化するか、又は航空機の費用を大幅に削減することにより、サブアセンブリの製造1206及びシステムインテグレーション1208という製造状態中に利用され得る。同様に、装置又は方法を実現する1以上の態様、又はこれらの組み合わせは、限定するわけではないが例としては、航空機の運航期間中に、例えば整備及び保守1214で利用され得る。
【0053】
[0066] 次に
図13を参照すると、装置1300が提供される。
図13で示されているように、装置1300の一実施例は、航空ビークル、航空機、ヘリコプター、貨物機、空飛ぶ自動車、地球軌道衛星、惑星探査機、深宇宙探査機、太陽探査機などの、飛行装置1302である。これもまた
図13で示されているように、装置1300の更なる一実施例は、自動車、トラック、重機、建設機械、ボート、船、潜水艦などのような地球上の輸送装置1304である。
図13で示されている装置1300の更なる一実施例は、以下のモジュールのうちの少なくとも1以上を備えるモジュール式装置1306である。航空モジュールは、エアリフトや飛行能力を提供する。ペイロードモジュールは、貨物や生き物(人々、動物など)などの物を搬送する能力を提供する。地球上モジュールは、地球上での機動能力を提供する。本明細書で開示される解決策は、航空モジュールやペイロードモジュールなどのモジュール若しくはペイロードや地球上などに個別に若しくは群内で、或いは全てのモジュールに適用される。
【0054】
[0067] 次に
図14を参照すると、本開示の一実施態様が好適に採用される飛行装置1302のより具体的な図が描かれている。この実施例では、飛行装置1302が、
図12の装置の製造及び保守方法1200によって製造された航空機であり、複数のシステム1404及び内装1406を有する機体1402を含む。複数のシステム1404の複数の実施態様には、推進システム1408、電気システム1410、液圧システム1412、及び環境システム1414のうちの1以上が含まれる。しかし、他のシステムも候補として挙げられる。航空宇宙産業の例を示したが、種々の好適な複数の実施例が、自動車産業などの他の産業に適用される。
【0055】
[0068] したがって、様々な実施例が、熱可塑性構造の製造を容易にする。様々な実施例は、種々の製造環境を使用して実施され得る。
【0056】
[0069] 1以上の実施例は、コンピューティングデバイスを含む自動化されたシステム内に実装され得る。幾つかの実施例では、コンピューティングデバイスが、1以上のプロセッサ、1以上のプレゼンテーション構成要素、及びメモリを含む。コンピューティングデバイスに関連付けられる本開示の複数の実施例は、パーソナルコンピュータ、ラップトップ、スマートフォン、携帯タブレット、手で握るデバイス(hand-held device)、家電製品、専用コンピューティングデバイスなどを含む、様々なコンピューティングデバイスによって実施される。「ワークステーション」、「サーバ」、「ラップトップ」、「手で握るデバイス」などの範疇の間で区別は行われない。
【0057】
[0070] 一実施例では、メモリが、本明細書で説明されるコンピュータ可読媒体のいずれかを含む。一実施例では、メモリを使用して、編組プロセスを制御することなどの、本明細書で開示される様々な動作を実行するように構成された指示命令を記憶し、該指示命令にアクセスする。幾つかの実施例では、メモリが、揮発性及び/若しくは不揮発性メモリ、取り外し可能若しくは取り外し不可能メモリ、仮想環境内のデータディスク、又はそれらの組み合わせの形態を採る、コンピュータ記憶媒体を含む。一実施例では、(1以上の)プロセッサが、メモリ902や入力/出力(I/O)構成要素などのような様々なエンティティからデータを読み出す任意の量の処理ユニットを含む。具体的には、(1以上の)プロセッサが、本開示の態様を実装するためのコンピュータで実行可能な指示命令を実行するようにプログラムされている。一実施例では、指示命令が、プロセッサによって、コンピューティングデバイス内の複数のプロセッサによって、又はコンピューティングデバイス900の外部のプロセッサによって実行される。幾つかの実施例では、(1以上の)プロセッサが、以下で説明され、添付の図面で描かれているフローチャート内で示されるものなどの指示命令を実行するようにプログラムされている。
【0058】
[0071] (1以上の)プレゼンテーション構成要素は、作業人員又は別のデバイスにデータ表示を提示する。一実施例では、プレゼンテーション構成要素が、ディスプレイデバイス、スピーカー、印刷構成要素、振動構成要素などを含む。コンピュータのデータが、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)で視覚的に、スピーカーを介して聴覚的に、コンピューティングデバイスの間で無線で、有線接続を経由して、又は他のやり方などの、幾つかのやり方で提示されることは、当業者であれば理解し、評価するだろう。
【0059】
[0072] 一実施例では、(1以上の)プレゼンテーション構成要素が、人間の相互作用が減らされる又は必要とされないのに十分な程、処理及び動作が自動化されているときには使用されない。I/Oポートは、コンピューティングデバイスが、I/O構成要素を含む他のデバイスに論理的に結合されることを可能にする。I/O構成要素のうちの幾つかは、ビルトインされている。I/O構成要素の例には、例えば、非限定的に、マイクロフォン、キーボード、マウス、ジョイスティック、ゲームパッド、サテライトディッシュ、スキャナ、プリンター、無線デバイスなどが含まれる。
【0060】
[0073] コンピューティングデバイスは、以下のデバイスに直接又は間接的に結合するバスを含む。すなわち、メモリ、1以上のプロセッサ、1以上のプレゼンテーション構成要素、入力/出力(I/O)ポート、I/O構成要素、電源、及びネットワーク構成要素である。コンピューティングデバイスは、任意の単一の構成要素又はコンピューティングデバイス内で図示されている構成要素の組み合わせに関連する任意の依存性又は要件を有するものと解釈されるべきではない。バスは、1以上のバス(アドレスバス、データバス、又はそれらの組み合わせなど)を表している。
【0061】
[0074] 幾つかの実施例では、コンピューティングデバイスが、ネットワーク構成要素を使用して、ネットワークに通信可能に結合されている。幾つかの実施例では、ネットワーク構成要素が、ネットワークインターフェースカード及び/又はネットワークインターフェースカードを動作させるためのコンピュータで実行可能な指示命令(例えば、ドライバ)を含む。一実施例では、コンピューティングデバイスと他のデバイスとの間の通信が、有線又は無線接続にわたる任意のプロトコル又は機構を使用して行われる。幾つかの実施例では、ネットワーク構成要素が、転送プロトコルを使用して公的、私的、又はハイブリッド(公的及び私的)にわたり、短距離通信技術(例えば、近距離通信(NFC)、ブルートゥース(登録商標)ブランドの通信、若しくは同様なもの)を使用して無線でデバイス間で、又はそれらの組み合わせで、データを通信するように動作可能である。
【0062】
[0075] コンピューティングデバイスに関連して説明されたが、本開示の複数の実施例は、多くの他の汎用若しくは専用計算システム環境、構成、又はデバイスを用いて実装可能である。本開示の態様で使用されるために適した周知の計算システム、環境、及び/又は構成の実施態様は、非限定的に、スマートフォン、携帯タブレット、携帯計算デバイス、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、手で握る又はラップトップデバイス、マルチプロセッサシステム、ゲーミングコンソール、マイクロプロセッサベースのシステム、セットトップボックス、プログラマブル家電、携帯電話、装着可能又はアクセサリフォームファクター(例えば、時計、眼鏡、ヘッドセット、又はイヤホン)内の携帯計算及び/又は通信デバイス、ネットワークパーソナルコンピュータ(PC)、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ、上述のシステム又はデバイスのうちのいずれかを含む分散型計算環境、仮想現実(VR)デバイス、ホログラフィックデバイス、並びに同様なものを含む。そのようなシステムやデバイスは、キーボードやポインティングデバイスなどの入力デバイスから、ジェスチャー入力、近接入力(ホバリングなどによる)、及び/又は音声入力を介する、を含む任意のやり方で、ユーザからの入力を受け取る。
【0063】
[0076] 本開示の複数の実施態様は、1以上のコンピュータ、又はソフトウェア、ファームウェア、若しくはハードウェア、或いはそれらの組み合わせ内の他のデバイスによって実行される、プログラムモジュールなどのコンピュータで実行可能な指示命令の一般的な文脈で説明されている。一実施例では、コンピュータで実行可能な指示命令が、1以上のコンピュータで実行可能な構成要素又はモジュールの中に構造化される。概して、プログラムモジュールは、非限定的に、特定の作業を実行し、特定の抽象的なデータタイプを実装する、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、及びデータ構造を含む。一実施例では、本開示の態様が、任意の数のそのような構成要素又はモジュールの構造化によって実装される。例えば、本開示の態様は、図面内で示され、本明細書で説明された特定のコンピュータで実行可能な指示命令、又は特定の構成要素若しくはモジュールに限定されない。本開示の他の実施態様は、図示され且つ本明細書で説明されたものよりも多い又は少ない機能を有する種々のコンピュータで実行可能な指示命令又は構成要素を含む。汎用コンピュータを含む実施態様では、本開示の態様が、本明細書で説明される指示命令を実行するように構成されたときに、汎用コンピュータを、専用コンピューティングデバイスに変換する。
【0064】
[0077] 一実施例として、非限定的に、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体及び通信媒体を備える。コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読指示命令、データ構造、プログラムモジュールなどの情報の記憶のための任意の方法又は技術において実装される、揮発性及び不揮発性、取り外し可能及び取り外し不可能なメモリを含む。コンピュータ記憶媒体は、有形であり、通信媒体とは相互に排他的である。コンピュータ記憶媒体は、ハードウェア内に実装され、搬送波や伝播信号を含まない。本開示の目的のためのコンピュータ記憶媒体は、信号それ自体ではない。一実施例では、コンピュータ記憶媒体が、ハードディスク、フラッシュドライブ、半導体メモリ、相変化ランダムアクセスメモリ(PRAM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、動的ランダムアクセスメモリ(DRAM)、他の種類のランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、電気的に消去可能なプログラマブルリードオンリーメモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ若しくは他のメモリ技術、コンパクトディスクリードオンリーメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)若しくは他の光学的ストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ若しくは他の磁気記憶デバイス、又はコンピューティングデバイスによってアクセスされる情報を記憶するために使用される任意の他の伝送媒体を含む。対照的に、通信媒体は、典型的には、搬送波や他の移送メカニズムなどのようなモジュール化されたデータ信号内のコンピュータ可読指示命令、データ構造、プログラムモジュール、又は同様なものを具現化し、任意の情報伝達媒体を含む。
【0065】
[0078] 本明細書において所与のいかなる範囲又は値も、当業者には自明であるように、求められる効果を失うことなく拡張されたり、変更されたりし得る。
【0066】
[0079] 本主題は、構造的特徴及び/又は方法論的行為に固有の言語で説明されてきたが、添付の特許請求の範囲で定義される主題は、必ずしも上記の特定の特徴又は行為に限定されないことを理解されたい。むしろ、上述した具体的な特徴及び作用は、特許請求の範囲を実装する例示的な形態として開示されている。
【0067】
[0080] 上述の利益及び利点は、一実施態様に関連するか、又は幾つかの実施態様に関連し得ることが理解されるであろう。複数の実施態様は、述べられた問題の何れか又は全てを解決するもの、又は述べられた利益及び利点の何れか又は全てを有するものに限定されない。「1つの/ある(an)」アイテムへの言及が、そのようなアイテムのうちの1以上を表わすことも、更に理解されよう。
【0068】
[0081] 本明細書で示され説明された本開示の実施例における動作の実行又は実施の順序は、特に指定されない限り、必須ではない。すなわち、動作は、特に指定されない限り、任意の順序で実行することができ、本開示の実施例は、本明細書で開示されたものに追加して又はより少ない動作を含んでよい。例えば、特定の動作を、別の動作(例えば種々のステップなど)の前に、別の動作と同時に、又は別の動作の後に実行又は実施することは、本開示の複数の態様及び実施態様の範囲に含まれると想定される。
【0069】
[0082] この明細書では、「備える/含む(comprising)」という語が、その後に続く特徴(複数可)又は作用(複数可)を、(1以上の追加の特徴又は作用の存在を排除することなく)含むことを意味するよう、使用されている。「備える(comprising)」、「含む(including)」、及び「有する(having)」という語は、包括的であることが意図されており、列挙された要素以外にも更なる要素が存在し得ることを意味している。言い換えれば、「含む」、「備える」、「有する」、「含有する」、「関与する」、及びそのバリエーションの使用は、その後に記載された項目及び更なる項目を包含することを意味する。更に、「一実施態様」に対する言及は、挙げられている特徴も組み込んだ更なる複数の実施態様の存在を除外すると解釈されることを意図していない。「例示的な(exemplary)」という用語は、「の一実施例(an example of)」を意味するものとする。
【0070】
[0083] 本開示の態様及び実施態様又はそれらの実施例の要素を導入するときに、「1つの(a、an)、及び「前記(the、said)」という冠詞は、かかる要素のうちの1以上が存在していることを意味するためのものである。言い換えると、本明細書及び特許請求の範囲で使用される冠詞「a」、「an」、「the」、及び「said」は、それ以外のことを明確に意図する場合でなければ、「少なくとも1つの」を意味すると理解されるべきである。
【0071】
[0084] 「A、B、及びCのうちの1以上」という言い回しは、「少なくとも1つのA及び/又は少なくとも1つのB及び/又は少なくとも1つのC」を意味する。言い回し「及び/又は(and/or)」は、本明細書及び特許請求の範囲で使用されるように、そのように結合された要素、すなわち、幾つかの場合では併せて存在する及び他の場合では分離して存在する複数の要素の「いずれか或いは両方」を意味すると理解されるべきである。「及び/又は」を伴って挙げられた複数の要素は、同じ様態で、すなわち、そのように結合された複数の要素のうちの「1以上」として解釈されるべきである。具体的に特定された複数の要素に関連するか関連しないに関わらず、「及び/又は」という句で具体的に特定された複数の要素以外に、他の要素が任意選択的に存在してもよい。したがって、非限定的な実施例として、「備える(comprising)」などのオープンエンドな言語と併せて使用されるときに、「A及び/又はB」への言及は、一実施態様ではAのみ(任意選択的にB以外のエンティティを含む)、別の一実施態様ではBのみ(任意選択的にA以外のエンティティを含む)、更に別の一実施態様では、AとBの両方(任意選択的に他のエンティティを含む)を指し得るなどである。
【0072】
[0085] 本明細書及び特許請求の範囲で使用されるときに、「又は(or)」は、上述された「及び/又は」と同じ意味を有すると理解されるべきである。例えば、リスト内の項目を分けるときに、「又は」又は「及び/又は」は、包含的、すなわち、少なくとも1つの包含として解釈されるが、また、1より多い数の、要素の幾つかの又はリストの、及び任意選択的に更なる挙げられていない項目も含むと解釈される。「のうちのただ1つ」又は「のうちの正にそれ1つ」、或いは、特許請求の範囲内で使用されるときに、「から成る」という、明らかに反対を意味する用語のみが、要素の幾つかの又はリストのうちの正確に1つの要素を含むことを指す。概して、使用される「又は」という用語は、「いずれか」、「のうちの1つ」、又は「のうちの正に1つ」などの排他的な用語が前に付いている場合にのみ、排他的な選択肢(すなわち、「一方又は他方であるが両方でない」)を示すものと解釈される。「本質的に~から成る」は、特許請求の範囲内で使用されるときに、特許法の分野で使用されるその通常の意味を有するものとする。
【0073】
[0086] 本明細書及び特許請求範囲で使用されるときに、1以上の要素のリストに言及する「少なくとも1つの」という言い回しは、要素のリスト内の要素のうちの任意の1以上から選択される少なくとも1つ要素を意味するものと理解されるべきであるが、要素のリスト内で具体的に挙げられた各及び全ての要素の少なくとも1つを含む必要は必ずしもなく、要素のリスト内の要素の組み合わせを排除するものではない。この規定は、「少なくとも1つの」という言い回しが言及する要素のリスト内で具体的に特定された要素以外にも、具体的に特定されたそれらの要素と関連するか又は関連しないかにかかわらず、要素が任意選択的に存在し得ることも許容する。したがって、非限定的な一実施例として、「AとBのうちの少なくとも1つ」(又は同じく「A又はBのうちの少なくとも1つ」)は、一実施態様で、任意選択的に2以上のAを含む少なくとも1つのAであって、Bが存在しない(任意選択的にB以外の要素を含む)少なくとも1つのA、別の一実施態様で、任意選択的に2以上のBを含む少なくとも1つのBであって、Aが存在しない(任意選択的にA以外の要素を含む)少なくとも1つのB、更に別の一実施態様で、任意選択的に2以上のAを含む少なくとも1つのA及び任意選択的に2以上のBを含む少なくとも1つのB(任意選択的に他の要素を含む)を指し得るなどである。
【0074】
[0087] クレーム要素を変更するための特許請求の範囲内での「第1」、「第2」、「第3」などの序数用語の使用は、それ自体では、あるクレーム要素の別のクレーム要素に対する任意の優先度、有意、順序、又は方法の作用が実施される時間的な順序を暗示するものではない。序数用語は、クレーム要素を区別するために、特定の名前を持つ1つのクレーム要素を同じ名前(序数用語がない場合)を持つ別の要素から区別するためのラベルとしてのみ使用される。
【0075】
[0088] 本開示の態様を詳細に説明したが、添付の特許請求の範囲で規定される本開示の態様の範囲から逸脱することなく修正及び変更が可能であることは明らかであろう。上記の構造、製品、及び方法には、本開示の態様の範囲から逸脱せずとも様々な変更が行われうるので、上記の説明に包含され、添付図面で図示されている全ての事項は、例示であり、限定的な意味ではないと解釈されることが意図されている。
【0076】
[0089] 上記の説明は、限定ではなく、例示を意図するものであることを理解するべきである。例えば、上述した実施態様(及び/又はそれらの態様)は、互いに組み合わせて使用され得る。加えて、本開示の様々な実施態様の教示には、それらの範囲から逸脱することなく特定の状況又は材料に適応させるために、多数の改変が加えられ得る。本明細書で説明される材料の形状寸法及び種類は、本開示の様々な実施態様のパラメータを規定することを意図しているが、これらの実施態様は限定的なものではなく例示的な実施態様である。上述の説明を精査することにより、当業者には他の多くの他の実施態様が明らかであろう。本開示の様々な実施態様の範囲は、添付の特許請求の範囲、並びに、かかる特許請求の範囲が認められる均等物の全範囲を参照して決定されるべきである。添付の特許請求の範囲において、「含む(including)」及び「そこにおいて(in which)」という語は、それぞれ、「備える(comprising)」及び「そこで(wherein)」という語の明白な同義語として使用される。また、「第1」、「第2」、及び「第3」などの用語は単に符号として使用され、それらの対象物に数的要件を課すことを意図するものではない。更に、以下の特許請求の範囲の限定は、ミーンズプラスファンクション形式で記述されておらず、かかる特許請求の範囲の限定が、更なる構造を欠く機能の記述が後続する、「~のための手段(means for)」という言い回しを明示的に使用しない限り、米国特許法第112条(f)に基づいて解釈されることを意図するものではない。
【0077】
[0090] ここに記載した説明では、ベストモードを含む本開示の様々な実施態様を開示し、且つ当業者が任意のデバイス又はシステムの作成及び使用、並びに組込まれた任意の方法の実行を含め、本開示の様々な実施態様を実施することを可能にするために実施例を使用している。本開示の様々な実施態様の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者が想起する他の実施例を含む。かかる他の実施例は、実施例が特許請求の範囲の文言と相違しない構造物要素を有する場合、又は、実施例が、特許請求の範囲の文言とごくわずかな相違しかない同等の構造物要素を含む場合、特許請求の範囲内であることが意図される。
【外国語明細書】