(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049392
(43)【公開日】2024-04-09
(54)【発明の名称】換気システム及び換気方法
(51)【国際特許分類】
F24F 7/007 20060101AFI20240402BHJP
F24F 11/77 20180101ALI20240402BHJP
F24F 11/64 20180101ALI20240402BHJP
F24F 11/66 20180101ALI20240402BHJP
【FI】
F24F7/007 B
F24F11/77
F24F11/64
F24F11/66
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023166790
(22)【出願日】2023-09-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-01-18
(31)【優先権主張番号】P 2022155073
(32)【優先日】2022-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】王 羽峰
(72)【発明者】
【氏名】笹井 雄太
(72)【発明者】
【氏名】鈴村 啓
(72)【発明者】
【氏名】橋本 哲
【テーマコード(参考)】
3L056
3L260
【Fターム(参考)】
3L056BD01
3L260AB15
3L260BA12
3L260BA15
3L260CA17
3L260CA20
3L260CA35
3L260EA04
3L260FC06
(57)【要約】
【課題】対象空間におけるユーザが睡眠期間中に風量調節機器から動作音を発生させない換気システムを提供する。
【解決手段】対象空間(S1)へ供給される空気の風量を調節する風量調節機器(60)を備え、該対象空間(S1)を換気する換気システムであって、ユーザの睡眠期間中における対象空間(S1)の必要換気量を推定する推定部と、風量調節機器(60)を制御する制御部(101)とを備え、制御部(101)は、推定された必要換気量に基づいて、ユーザの入眠前に前記風量調節機器(60)の風量調節を行う。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象空間(S1)を換気する換気システムであって、
前記対象空間(S1)へ供給される空気の風量を調節する風量調節機器(60)と、
前記風量調節機器(60)を制御する制御部(101)と、
ユーザの睡眠期間中における前記対象空間(S1)の必要換気量を推定する推定部(103)とを備え、
前記風量調節機器(60)は、開度調節可能なダンパ(61)を有し、
前記制御部(101)は、推定された必要換気量に基づいて、ユーザの入眠前に前記ダンパ(61)の開度を調節することで前記対象空間(S1)へ供給される空気の風量調節を行う換気システム。
【請求項2】
前記制御部(101)は、ユーザの睡眠期間中において前記ダンパ(61)の開度を固定する
請求項1に記載の換気システム。
【請求項3】
前記推定部(103)は、
ユーザの睡眠期間中の前記対象空間(S1)の負荷と
前記対象空間(S1)の負荷が変動する時間情報とに基づいて、
ユーザの睡眠期間中の前記対象空間(S1)のCO2濃度の定常状態が目標値となるように必要換気量を推定する
請求項1または2に記載の換気システム。
【請求項4】
前記対象空間(S1)の負荷は、該対象空間(S1)中のCO2濃度であり、
前記推定部(103)は、
直近の複数日間のおける各日の睡眠期間中のCO2濃度の最大値のうち、選択された統計的に信頼できる第1濃度と、該第1濃度となる時刻における換気量とに基づいて、前記対象空間(S1)の定常状態のCO2濃度が目標CO2濃度となるように必要換気量を推定する
請求項3に記載の換気システム。
【請求項5】
前記対象空間(S1)の負荷は、該対象空間(S1)のCO2濃度であり、
前記推定部(103)は、直近複数日間のCO2濃度の変化に基づいてユーザの睡眠期間を推定する
請求項3に記載の換気システム。
【請求項6】
前記推定部(103)は、直近の複数日間の前記対象空間(S1)に設けられる照明器具の明るさの変化に基づいて、ユーザの就寝時刻、起床時刻、または睡眠期間を推定する
請求項3に記載の換気システム。
【請求項7】
前記制御部(101)は、
前記推定部(103)により推定された必要換気量では、前記対象空間(S1)の換気量に過不足が生じると予測される場合、
前記対象空間(S1)以外の空間(S2,S3)の前記風量調節機器(60)を制御することで、前記対象空間(S1)の換気量の過剰分または不足分を調整する
請求項1または2に記載の換気システム。
【請求項8】
前記制御部(101)は、前記対象空間(S1)の現在のCO2濃度と目標CO2濃度とに基づいて、前記推定部(103)により推定された必要換気量の過不足を判定する
請求項7に記載の換気システム。
【請求項9】
前記推定部(103)は、
過去の一定期間におけるユーザの入眠前の前記対象空間(S1)におけるCO2濃度の変化パターンに基づいて、前記対象空間(S1)で就寝するユーザの人数を推定し、かつ、推定された人数に合わせた必要換気量を推定する
請求項1または2に記載の換気システム。
【請求項10】
対象空間(S1)を換気する換気方法であって、
ユーザの睡眠期間中における前記対象空間(S1)の必要換気量を推定する工程と、
推定された前記必要換気量に基づいて、ユーザの入眠前に前記対象空間(S1)へ供給される空気の風量を調節する風量調節機器(60)が備えるダンパ(61)の開度を調節することで前記対象空間(S1)へ供給される空気の風量調節を行う工程とを有する
換気方法。
【請求項11】
対象空間(S1)を換気する換気プログラムであって、
ユーザの睡眠期間中における前記対象空間(S1)の必要換気量を推定する推定処理と、
推定された前記必要換気量に基づいて、ユーザの入眠前に前記対象空間(S1)へ供給される空気の風量を調節する風量調節機器(60)が備えるダンパ(61)の開度を調節することで前記対象空間(S1)へ供給される空気の風量調節を行う風量調節処理とを実行する換気プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、換気システム及び換気方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、単一の換気装置を用いて複数の部屋を個別に換気するシステムがある。このシステムでは、各部屋の空気通路に設けられた風量調節機器を制御することで換気量が調節される(例えば特許文献1)。特許文献1に記載の換気システムは、各部屋の空気通路に設けられる風量調節板と電動ダンパとを用いて、必要に応じて各部屋の給気風量を個別に調節する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、風量調節機器が部屋の換気量を調節する際に、該風量調節機器の動作音が発生する場合がある。例えば、ユーザが寝室で寝ているときに風量調節機器の動作音が聞こえてくると、該ユーザは睡眠が妨げられることで不快感を受けるおそれがある。
【0005】
本開示の目的は、対象空間におけるユーザが睡眠期間中に発生する風量調節機器の動作音を抑える換気システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様は、
対象空間(S1)を換気する換気システムであって、
前記対象空間(S1)へ供給される空気の風量を調節する風量調節機器(60)と、
前記風量調節機器(60)を制御する制御部(101)と、
ユーザの睡眠期間中における前記対象空間(S1)の必要換気量を推定する推定部(103)とを備え、
前記風量調節機器(60)は、開度調節可能なダンパ(61)を有し、
前記制御部(101)は、推定された必要換気量に基づいて、ユーザの入眠前に前記ダンパ(61)の開度を調節することで前記対象空間(S1)へ供給される空気の風量調節を行う。
【0007】
第1の態様では、ユーザの睡眠期間中に換気量を変更する必要がなく、ユーザの睡眠期間中にダンパ(61)の動作を不要にできる。その結果、ユーザの睡眠期間中におけるダンパ(61)の動作音の発生を抑制でき、ユーザの睡眠が阻害されることを抑制できる。
【0008】
第2の態様は、第1の態様において、
前記制御部(101)は、ユーザの睡眠期間中において前記ダンパ(61)の開度を固定する。
【0009】
ダンパ(61)の開度が固定されるため、睡眠期間中における風量調節機器(60)からの騒音を抑えることができる。
【0010】
第3の態様は、第1または第2の態様において、
前記推定部(103)は、
ユーザの睡眠期間中の前記対象空間(S1)の負荷と
前記対象空間(S1)の負荷が変動する時間情報とに基づいて、
ユーザの睡眠期間中の前記対象空間(S1)のCO2濃度の定常状態が目標値となるように必要換気量を推定する。
【0011】
第3の態様では、ユーザの睡眠期間中の対象空間(S1)のCO2濃度の定常状態を予め設定された目標CO2濃度にすることができる。
【0012】
第4の態様は、第3の態様において、
前記対象空間(S1)の負荷は、該対象空間(S1)中のCO2濃度であり、
前記推定部(103)は、
直近の複数日間のおける各日の睡眠期間中のCO2濃度の最大値のうち、選択された統計的に信頼できる第1濃度と、該第1濃度となる時刻における換気量とに基づいて、前記対象空間(S1)のCO2濃度の定常状態が目標CO2濃度となるように必要換気量を推定する。
【0013】
第4の態様では、各複数日間における統計的に信頼できるCO2濃度の最大値を上回らないように必要換気量を設定できる。これにより、ユーザの睡眠期間中の対象空間(S1)CO2濃度が高すぎたり低すぎたりすることを抑制でき、ユーザに質のよい睡眠を与えることができる。
【0014】
第5の態様は、第2または第3の態様において、
前記対象空間(S1)の負荷は、該対象空間(S1)のCO2濃度であり、
前記推定部(103)は、直近複数日間のCO2濃度の変化に基づいてユーザの睡眠期間を推定する。
【0015】
第5の態様では、ユーザの睡眠期間の前後において、対象空間(S1)のCO2濃度は比較的大きく変化する。この変化に基づいて睡眠期間を推定できる。
【0016】
第6の態様は、第2または第3の態様において、
前記推定部(103)は、直近の複数日間の前記対象空間(S1)に設けられる照明器具の明るさの変化に基づいてユーザの就寝時刻、起床時刻、または睡眠期間を推定する。
【0017】
第6の態様では、照明器具の明るさの変化に基づいて、ユーザの睡眠期間を推定できる。
【0018】
第7の態様は、第1~第6の態様のいずれか1つにおいて、
前記制御部(101)は、
前記対象空間(S1)の現在のCO2濃度と目標CO2濃度とに基づいて、前記推定部(103)により推定された必要換気量では、前記対象空間(S1)の換気量に過不足が生じると予測される場合、
前記対象空間(S1)以外の空間(S2,S3)の前記風量調節機器(60)を制御することで、前記対象空間(S1)の換気量の過剰または不足を調整する。
【0019】
第7の態様では、対象空間(S1)のCO2濃度が目標濃度を超えることを抑制できる。
【0020】
第8の態様は、第7の態様において、
前記制御部(101)は、前記対象空間(S1)の現在のCO2濃度と目標CO2濃度とに基づいて、前記推定部(103)により推定された必要換気量の過不足を判定する。
【0021】
第8の態様では、制御部()が現在のCO2濃度が目標CO2濃度となっているか判定するため、このような判定を行う装置を別途設ける必要がなくなる。
【0022】
第9の態様は、第1~第8の態様のいずれか1つにおいて、
前記推定部(103)は、
過去の一定期間におけるユーザの入眠前の前記対象空間(S1)におけるCO2濃度の変化パターンに基づいて、前記対象空間(S1)で就寝するユーザの人数を推定し、かつ、推定された人数に合わせた必要換気量を推定する。
【0023】
第9の態様では、対象空間(S1)に複数人いても、CO2濃度の目標値に応じて必要換気量換気できる。
【0024】
第10の態様は、対象空間(S1)を換気する換気方法であって、
ユーザの睡眠期間中における前記対象空間(S1)の必要換気量を推定する工程と、
推定された前記必要換気量に基づいて、ユーザの入眠前に前記対象空間(S1)へ供給される空気の風量を調節する風量調節機器(60)が備えるダンパ(61)の開度を調節することで前記対象空間(S1)へ供給される空気の風量調節を行う工程とを有する。
【0025】
第11の態様は、
対象空間(S1)を換気する換気プログラムであって、
ユーザの睡眠期間中における前記対象空間(S1)の必要換気量を推定する推定処理と、
推定された前記必要換気量に基づいて、ユーザの入眠前に前記対象空間(S1)へ供給される空気の風量を調節する風量調節機器(60)が備えるダンパ(61)の開度を調節することで前記対象空間(S1)へ供給される空気の風量調節を行う風量調節処理とを実行する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、実施形態の換気システムの構成を示す概略図である。
【
図3】
図3は、換気装置の加湿動作時の空気流路の切り換えを示す図である。(A)は、第1状態を示す。(B)は第2状態を示す。
【
図4】
図4は、制御装置と各種の機器との関係を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、統計的に信頼できるCO
2濃度を説明するためのグラフである。
【
図6】
図6は、実施形態の換気方法を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、変形例の換気方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。また、以下に説明する各実施形態、変形例、その他の例等の各構成は、本発明を実施可能な範囲において、組み合わせたり、一部を置換したりできる。
【0028】
(1)換気システム
図1に示すように本実施形態の換気システム(10)は、一戸建てやマンションなど複数の部屋(S1~S3)を有する住宅(H)に適用される。複数の部屋(S1~S3)には寝室(S1)が含まれる。寝室(S1)は、対象空間(S1)の一例である。以下では各部屋(S1~S3)内の空間を、室内空間と呼ぶ場合がある。
【0029】
換気システム(10)は、各部屋(S1~S3)を換気する。各部屋(S1~S3)には給気口(15)が設けられ、部屋以外の屋内空間(S4)(例えば廊下)には排気口(16)が設けられる。換気システム(10)は、室外空気(OA)を取り込んで、給気口(15)から供給空気(SA)として各部屋(S1~S3)に供給すると同時に、各部屋(S1~S3)の室内空気(RA)を排気口(16)から取り込んで、排出空気(EA)として屋外(室外空間(O))に排出する。複数の部屋(S1~S3)の空気を合わせて室内空気(RA)と呼ぶ場合がある。換気システム(10)は、換気ユニット(20)、風量調節機器(60)、外気CO2センサ(71)、内気CO2センサ(72)及び制御装置(100)を有する。
【0030】
(1-1)換気ユニット
換気ユニット(20)は、換気装置(21)と複数のダクト(11~14)とを有する。複数の給気ダクト(13)、排気ダクト(14)、外気ダクト(11)及び内気ダクト(12)を含む。
【0031】
外気ダクト(11)の流入端は、室外空間(O)に連通している。外気ダクト(11)の流出端は換気装置(21)に接続される。外気ダクト(11)には、室外空気(OA)が流入する。内気ダクト(12)の流入端は排気口(16)に接続する。内気ダクト(12)の流出端は換気ユニット(20)に接続される。内気ダクト(12)には、複数の部屋(S1~S3)の室内空気(RA)が流入する。
【0032】
給気ダクト(13)の流入端は、換気装置(21)に接続される。給気ダクト(13)の流出端は各室内空間(S1~S3)に連通している。具体的に、給気ダクト(13)は、換気装置(21)から各部屋(S1~S3)に向かって複数に分岐し、各部屋(S1~S3)の給気口(15)に接続する。給気ダクト(13)から各室内空間(S1~S3)へ供給空気(SA)が送られる。排気ダクト(14)の流出端は室外空間(O)に連通している。排気ダクト(14)から室外空間(O)へ排出空気(EA)が送られる。
【0033】
(1-2)換気装置
本実施形態の換気装置(21)は、各室内空間(S1~S3)を換気すると共に、各室内空間(S1~S3)の調湿を行う。換気装置(21)は、室内空間(S1~S3)を加湿するときは加湿動作を実行し、室内空間(S1~S3)を除湿するときは除湿動作を実行する。
【0034】
図2に示すように、換気装置(21)は、ケーシング(24)、給気ファン(22)、排気ファン(23)、2つの吸着熱交換器(41,42)、及び流路切換部(50)を備える。
【0035】
給気ファン(22)及び排気ファン(23)は、ケーシング(24)に収容される。給気ファン(22)及び排気ファン(23)は、2つの吸着熱交換器(41,42)の下流側に配置される。給気ファン(22)の吐出側は、給気ダクト(13)と連通している。排気ファン(23)の吐出側は、排気ダクト(14)と連通している。給気ファン(22)は、2つの吸着熱交換器(41,42)のいずれかを通過した空気を給気ダクト(13)へ搬送する。給気ファン(22)は、2つの吸着熱交換器(41,42)のいずれかを通過した空気を排気ダクト(14)へ搬送する。
【0036】
2つの吸着熱交換器(41,42)は、第1吸着熱交換器(41)及び第2吸着熱交換器(42)である。2つの吸着熱交換器(41,42)は、冷媒が循環する冷媒回路(図示省略)に接続される。2つの吸着熱交換器(41,42)は、一方が蒸発器として機能する場合、他方は放熱器として機能し、一方が放熱器として機能する場合、他方は蒸発器として機能するように切り換えられる。
【0037】
各吸着熱交換器(41,42)には、水分を吸着し、吸着した水分を空気中に脱離する吸着材が担持される。蒸発器として機能する吸着熱交換器(41,42)では、吸着材に吸着された水分は空気中に放出される。放熱器として機能する吸着熱交換器(41,42)では、吸着材は空気中の水分を吸着する。
【0038】
図3に示すように、流路切換部(50)は、換気装置(21)を流れる空気の流路を切り換える。流路切換部(50)は、例えばダンパなどで構成される。流路切換部(50)は、2つの吸着熱交換器(41,42)の上流側と下流側とに配置される。例えば、加湿運転では、流路切換部(50)は、空気通路を第1状態と第2状態とに交互に連続して切り換える。第1状態では、蒸発器として機能する第1吸着熱交換器(41)に外気ダクト(11)及び給気ダクト(13)が連通し、放熱器として機能する第2吸着熱交換器(42)に内気ダクト(12)及び排気ダクト(14)が連通する(
図3(A)参照)。第2状態では、蒸発器として機能する第2吸着熱交換器(42)に外気ダクト(11)及び給気ダクト(13)が連通し、放熱器として機能する第1吸着熱交換器(41)に内気ダクト(12)及び排気ダクト(14)が連通する。(
図3(B)参照)第1状態において、第1吸着熱交換器(41)の吸着材中の水分量が飽和する直前に第2状態に切り換えられる。続いて、第2状態において第2吸着熱交換器(42)の吸着材中の水分量が飽和する直前に第1状態に切り換えられる。このように連続的に加湿された供給空気(SA)を室内空間(S1~S3)に供給できる。除湿運転については説明を省略する。
【0039】
(1-3)風量調節機器
図1に示すように、風量調節機器(60)は、給気口(15)から室内に供給する供給空気(SA)の風量を調節する。本実施形態の風量調節機器(60)は、VAV(Variable Air Volume)である。風量調節機器(60)は、各部屋(S1~S3)に繋がる給気ダクト(13)のそれぞれに設けられる。風量調節機器(60)は、ダンパ(61)と風速センサ(62)とを有する。
【0040】
ダンパ(61)は、給気ダクト(13)の開度を調節する。ダンパ(61)は、制御装置(100)により制御される。風速センサ(62)は、給気ダクト(13)の風速を検出する。風速センサ(62)のセンサ値に基づいて、給気口(15)からの風量が測定される。すなわち、室内空間(S1~S3)に流入する空気量が測定される。各風量調節機器(60)は、制御装置(100)によって個別に制御される。
【0041】
(1-4)外気CO2センサ及び内気CO2センサ
外気CO2センサ(71)は、屋外(室外空間(O))に配置される。例えば、外気CO2センサ(71)は、外気ダクト(11)の流入端近傍に配置される。外気CO2センサ(71)は、室外空間(O)の二酸化炭素濃度を検出する。外気CO2センサ(71)は、室外空間(O)のCO2濃度を示す信号を制御装置(100)に向かって出力する。
【0042】
内気CO2センサ(72)は、各部屋(S1~S3)の二酸化炭素濃度を検出する。内気CO2センサ(72)は、各部屋(S1~S3)に設けられる。内気CO2センサ(72)は、その部屋(S1~S3)の平均的なCO2濃度を示す位置に設けられる。内気CO2センサ(72)は、例えば各部屋(S1~S4)の空気が廊下(S4)に流出する位置に設けられる。内気CO2センサ(72)は、その部屋(S1~S3)のCO2濃度を示す信号を制御装置(100)に向かって出力する。
【0043】
(1-5)制御装置
図4に示すように制御装置(100)は、制御部(101)、記憶部(102)及び推定部(103)を有する。制御装置(100)は、換気システム(10)の各種の機器と有線または無線で接続されることで、各種の機器との間で所定の情報を送受信する。
【0044】
(1-5-1)制御部
制御部(101)は、換気装置(21)及び風量調節機器(60)を制御する。制御部(101)は、MCU(Micro Control Unit,マイクロコントローラユニット)、電気回路、電子回路を含む。MCUは、CPU(Central Processing Unit,中央演算処理装置)、メモリ、通信インターフェースを含む。メモリには、CPUが実行するための各種のプログラムが記憶されている。制御部(101)は、推定部(103)によって推定された必要換気量に基づいて、ユーザの入眠前にダンパ(61)の開度を調節することで寝室(S1)へ供給される空気の風量調節を行う。
【0045】
(1-5-2)記憶部
記憶部(102)は、制御部(101)が受信した各CO2センサ(71,72)からの二酸化炭素濃度に情報を記憶する。具体的に、記憶部(102)は、受信したCO2濃度とその受信日時(時刻)とを連続的に記憶する。記憶部(102)が記憶する間隔は、秒単位であってもよいし分単位であってもよい。
【0046】
(1-5-3)推定部
推定部(103)は、ユーザの睡眠期間中の寝室(S1)の負荷と、寝室(S1)の負荷が変動する時間情報とに基づいて、ユーザの睡眠期間中に寝室(S1)のCO2濃度の定常状態が目標値となるように必要換気量を推定する。本実施形態の「負荷」は、CO2濃度である。寝室(S1)の負荷は、寝室のCO2濃度を意味する。定常状態は、寝室(S1)内のCO2濃度が収束し、概ね一定に維持されている状態を意味する。例えば、定常状態は、寝室(S1)のCO2濃度が±0.01%の範囲から±0.3%の範囲で所定の期間推移している状態をいう。
【0047】
推定部(103)は、記憶部(102)に保存された直近の複数日間(例えば現在から過去1週間)における各日の所定期間のCO2濃度の最大値のうち、統計的に信頼できるCO2濃度と、該CO2濃度となる時刻における換気量とを選択する。所定期間は、ユーザの睡眠中の期間である。すなわち、所定期間は睡眠期間である。統計的に信頼できるCO2濃度は、本開示の第1濃度の一例である。
【0048】
「統計的に信頼できるCO
2濃度」は、例えば各日の所定期間のCO
2濃度の最大値のうち極端に高いCO
2濃度や極端に低いCO
2濃度を除いた日のCO
2濃度の最大値のうち概ね同じ値を示す複数のCO
2濃度を示す。例えば
図5の(A)に示すように、現在から過去7日間における3~6日目のCO
2濃度が統計的に信頼できるCO
2濃度となる。この場合、統計的に信頼できるCO
2濃度は、3~6日目のいずれのCO
2濃度でもよいが、3~6日目の平均値であってもよい。また、所定期間のCO
2濃度の平均値から所定値以上離れたCO
2濃度を示す日を除いて、その他の日のCO
2濃度の平均値またはその平均値から所定濃度の範囲内のCO
2濃度を、統計的に信頼できるCO
2濃度としてもよい。同様に、
図5の(2)に示すように、現在から過去7日間における3日目及び5日目のCO
2濃度が統計的に信頼できるCO
2濃度となる。
【0049】
本実施形態の寝室(S1)の負荷が変動する時間情報は、寝室(S1)内のユーザの睡眠期間である。睡眠期間は、ユーザが入眠する時刻から覚醒する時刻までを含んでいればよく、ユーザの就寝時刻から起床時刻までであってもよいし、ユーザの入眠時刻から起床時刻、または、ユーザの就寝時刻から覚醒時刻までであってもよい。
【0050】
寝室(S1)においてユーザの睡眠期間前後で、寝室(S1)内のCO2濃度は比較的大きく変化する。このことを利用して、本実施形態の推定部(103)は、記憶部(102)に保存された直近の複数日間(例えば現在から過去1週間)のCO2濃度の変化に基づいて、各日のユーザの入眠時刻と覚醒時刻とを推定する。なお、ユーザの睡眠期間中の一時的な起床(例えば夜中にトイレに行くなど)では、CO2濃度の変化は比較的小さい。従って、このような一時的な起床は「覚醒時刻」から除くことができる。
【0051】
(2)換気方法
本実施形態の換気システム(10)による換気方法の一例について、
図6を参照しながら説明する。寝室(S1)の換気方法は、ユーザの睡眠期間中における寝室(S1)の必要換気量を推定する工程と、推定された必要換気量に基づいて、ユーザの入眠前に寝室(S1)へ供給される空気の風量を調節する風量調節機器(60)が備えるダンパ(61)の開度を調節することで寝室(S1)へ供給される空気の風量調節を行う工程とを有する。
【0052】
ステップS11では、推定部(103)は、過去7日間における各日のユーザの睡眠期間を推定する。具体的に、推定部(103)は、各日のユーザの入眠時刻及び覚醒時刻とを推定する。ユーザの入眠時刻および覚醒時刻は、記憶部(102)に保存された過去7日間における寝室(S1)のCO2濃度の変化に基づいて推定される。
【0053】
ステップS12では、推定部(103)は、記憶部(102)に保存された過去7日間の各日のユーザの睡眠期間におけるCO2濃度の最大値を選択する。7日間であるため、7つのCO2濃度の最大値が選択される。
【0054】
ステップS13では、推定部(103)は、選択された7つのCO2濃度の最大値のうち、統計的に信頼できるCO2濃度を選択する。
【0055】
ステップS14では、推定部(103)は、ステップS13で選択したCO2濃度が計測された時の換気量QMAXと外気CO2濃度COAを選択する。
【0056】
ステップS15では、推定部(103)は、ステップS13で選択されたCO2濃度CMAXと、ステップS14で選択した換気量QMAX及び外気CO2濃度COAとに基づいて、必要換気量を推定する。具体的に、推定部(103)は、ユーザの睡眠期間のCO2濃度の定常状態の目標値が800ppmとなるように必要換気量Qtvを決定する。必要換気量Qtvは、次式により求められる。目標値は、CO2濃度として寝室(S1)の人にとって適切な濃度である。
Qtv={(CMAX-COA)/(800-COA)}×QMAX
ステップS16では、制御部(101)は、推定されたユーザの入眠時刻前に、ステップS15で求められた必要換気量Qtvに基づいて、寝室(S1)に繋がる給気ダクト(13)の風量調節機器(60)を制御する。具体的に風量調節機器(60)のダンパ(61)の開度(給気口(15)からの風量)が調節される。制御部(101)は、本制御後に、風量調節機器(60)が自律的にダンパ(61)の開度調節を行わないように、風量調節機器(60)に強制停止信号を送る。すなわち、制御部(101)は、ユーザの睡眠期間中においてダンパ(61)の開度を固定する。これにより、ユーザの睡眠期間中は風量調節機器(60)の動作しない。なお、制御部(101)は、寝室(S1)を含め他の部屋すべての総換気量を設定し、この設定換気量に基づいて換気装置(21)の給気ファン(22)及び排気ファン(23)の風量を制御する。
【0057】
(3)換気プログラム
制御部()は、ユーザの睡眠期間中における寝室(S1)の必要換気量を推定する推定処理と、推定された必要換気量に基づいて、ユーザの入眠前に寝室(S1)へ供給される空気の風量を調節する風量調節機器(60)が備えるダンパ(61)の開度を調節することで寝室(S1)へ供給される空気の風量調節を行う風量調節処理とを実行する換気プログラムを備える。具体的な処理は、上記(2)で説明した通りである。
【0058】
(4)特徴
(4-1)特徴1
本実施形態の換気システム(10)は、ユーザの睡眠期間中における寝室(S1)(対象空間)の必要換気量を推定する推定部(103)と、風量調節機器(60)を制御する制御部(101)とを備える。制御部(101)は、推定された必要換気量に基づいて、ユーザの入眠前に風量調節機器(60)の風量調節を行う。
【0059】
これによると、ユーザの睡眠期間中に寝室(S1)への給気の風量調節が行われないため、寝室(S1)の給気口(15)につながる給気ダクト(13)の風量調節機器(60)は動作しない。その結果、ユーザの睡眠期間中に風量調節機器(60)の動作音が発生することを抑制できる。これにより、ユーザの睡眠が阻害されることを抑制できる。
【0060】
(4-2)特徴2
本実施形態の換気システム(10)では、推定部(103)は、ユーザの睡眠期間中の寝室(S1)の負荷と寝室(S1)の負荷が変動する時間情報とに基づいて、ユーザの睡眠期間中の寝室(S1)のCO2濃度の定常状態が目標値となるように必要換気量を推定する。これにより、ユーザの睡眠期間中の寝室(S1)の換気量が必要換気量となるように風量調節できる。
【0061】
(4-3)特徴3
本実施形態の換気システム(10)では、寝室(S1)の負荷は、寝室(S1)中のCO2濃度であり、推定部(103)は、直近の複数日間のおける各日の睡眠期間中のCO2濃度の最大値のうち、選択された統計的に信頼できるCO2濃度と、該CO2濃度となる時刻における換気量とに基づいて、寝室(S1)のCO2濃度の定常状態が目標値となるように必要換気量を推定する。
【0062】
各複数日間における統計的に信頼できるCO2濃度の最大値を上回らないように必要換気量を設定できる。これにより、ユーザの睡眠期間中の対象空間(S1)CO2濃度が高すぎたり低すぎたりすることを抑制でき、ユーザに質のよい睡眠を与えることができる。
【0063】
(4-4)特徴4
本実施形態の換気システム(10)では、寝室(S1)の負荷は、該対象空間(S1)のCO2濃度であり、推定部(103)は、直近複数日間のCO2濃度の変化に基づいてユーザの睡眠期間を推定する。ユーザの睡眠期間の前後において、対象空間(S1)のCO2濃度は比較的大きく変化する。ユーザの入眠時刻と覚醒時刻とに基づいてユーザの睡眠期間を推定できる。
【0064】
(5)変形例
変形例の換気システム(10)では、制御部(101)は、寝室(S1)の現在のCO
2濃度と目標CO
2濃度とに基づいて、推定部(103)により推定された必要換気量では、換気量に過不足が生じると予測される場合、寝室(S1)以外の空間(S2,S3)の風量調節機器(60)を制御することで、寝室(S1)の換気量の過剰分または不足分を調整する。以下、
図7を参照しながら説明する。
【0065】
ステップS21~S26は、上記実施形態のステップS11~S16と同じであるため説明を省略する。
【0066】
ステップS27では、制御部(101)は、現在がユーザの睡眠期間中であるか否かを判定する。現在がユーザの睡眠期間中であると判定された場合(ステップS27のYES)、ステップS28が実行される。現在がユーザの睡眠期間中でないと判定された場合(ステップS27のNO)、ユーザの覚醒時間または起床時間が経過したと推測され、通常の風量調節機器(60)の動作が実行される。
【0067】
ステップS28では、制御部(101)は、寝室(S1)の現在のCO2濃度が、目標CO2濃度であるか否かを判定する。制御部(101)は、寝室(S1)の現在のCO2濃度が、目標CO2濃度の所定範囲内にあるか否かを判定してもよい。現在のCO2濃度が目標CO2濃度より高い場合、換気量は不足している。一方、現在のCO2濃度が目標CO2濃度より低い場合、換気量は過剰である。例えば、寝室(S1)の目標CO2濃度は、800ppmとする。寝室(S1)の現在のCO2濃度が、800ppmより高いと判定された場合(ステップS28のYES)、ステップS29が実行される。寝室(S1)の現在のCO2濃度が、目標CO2濃度以下と判定された場合(ステップS28のNO)、再びステップS27が実行される。
【0068】
ステップS29では、推定部(103)は、寝室(S1)の現在のCO2濃度が目標CO2濃度となるように現在の換気量の不足分または過剰分を推定する。
【0069】
ステップS30では、制御部(101)は、ステップS28で推定された不足換気量又は過剰換気量に基づいて、寝室(S1)の以外の部屋(S2,S3)に繋がる給気ダクト(13)の風量調節機器(60)を制御する。具体的に、寝室(S1)に繋がる給気ダクト(13)のダンパ(61)の開度が固定された状態で、風量調節機器(60)の他のダンパ(61)の開度が絞られると、寝室(S1)の以外の部屋(S2,S3)への給気量(換気量)が減少する分、寝室(S1)への給気量(換気量)が増大する。これにより、寝室(S1)の換気量の不足分を補うことができる。一方、寝室(S1)に繋がる給気ダクト(13)のダンパ(61)の開度が固定された状態で、風量調節機器(60)の他のダンパ(61)の開度が大きくなると、寝室(S1)の以外の部屋(S2,S3)への給気量(換気量)が増大する分、寝室(S1)への給気量(換気量)が減少する。これにより、寝室(S1)の換気量の過剰分を減らすことができる。その後、ステップS27が再び実行される。なお、ユーザの睡眠期間中に寝室(S1)以外の部屋に繋がる風量調節機器(60)が動作しても、寝室(S1)にいるユーザの睡眠の妨げにはならない。
【0070】
(6)その他の実施形態
上記実施形態および変形例については、以下のような構成としてもよい。
【0071】
推定部(103)は、過去の一定期間におけるユーザの入眠前の寝室(S1)におけるCO2濃度の変化パターンに基づいて、寝室(S1)で就寝するユーザの人数を推定し、かつ推定された人数に合わせた必要換気量を推定してもよい。
【0072】
具体的に、推定部(103)は、一人で就寝する場合の寝室(S1)のCO2濃度の基準となる変化パターンと、過去の一定期間(例えば過去7日間)におけるユーザの入眠前の寝室(S1)におけるCO2濃度の変化パターンとを比較することで、寝室(S1)にいる人数を推測する。推定部(103)は、推測された人数に基づいて、定常状態の目標CO2濃度を決定する。推定部(103)は、この目標CO2濃度に基づいて必要換気量を推定する。
【0073】
推定部(103)は、直近の複数日間の寝室(S1)に設けられる照明器具の明るさの変化に基づいてユーザの就寝時刻または起床時刻を推定してもよい。この場合、例えば制御装置(100)に有線または無線により接続される光センサが寝室(S1)内に設けられており、該光センサは寝室(S1)内の明るさを検知して制御装置(100)にその信号を出力する。
【0074】
このように、寝室(S1)のCO2濃度の変化に加え、寝室(S1)の照明器具の明るさの変化に基づいてユーザの入眠時刻(就寝時刻)または覚醒時刻(起床時刻)を推定することで、ユーザの睡眠期間をより正確に推定できる。
【0075】
また、ユーザの就寝時刻及び起床時刻に照明器具の明るさが変化する場合、推定部(103)は、照明器具の明るさの変化のみに基づいてユーザの睡眠期間を推定できる。さらに、起床時刻に照明器具の明るさが変化しなくても、翌朝の寝室(S1)の明るさの変化(例えば、朝に寝室(S1)のユーザがカーテンを開けることで明るさが変化する)を光センサが感知することで起床時刻を推定してもよい。
【0076】
「統計的に信頼できるCO2濃度の最大値」は、予め設定された所定の濃度範囲にあるCO2濃度としてもよい。その濃度範囲内に収まるCO2濃度を「統計的に信頼できるCO2濃度の最大値」としてもよい。また、例えば上記実施形態で直近の複数日間では統計的に信頼できるCO2濃度の最大値が得られない場合、該複数日間をのばしてもよい。例えば、直近の複数日間を現在から過去1週間としたときに、その期間では統計的に信頼できるCO2濃度の最大値が得られない場合、直近の複数日間を10日間としたり14日間としたりしてもよい。また、選択された統計的に信頼できるCO2濃度は、統計学的に公知の演算方法から求めてもよい。
【0077】
上記変形例において、制御部(101)は、寝室(S1)の現在のCO2濃度と目標CO2濃度とに基づいて、推定部(103)により推定された必要換気量では、換気量に過剰が発生すると予測される場合、寝室(S1)以外の空間(S2,S3)の風量調節機器(60)を制御することで、寝室(S1)の換気量の過剰を調整してもよい。具体的に、制御部(101)は、寝室(S1)以外の空間(S2,S3)の風量調節機器(60)のダンパ(61)の開度を大きくする。これにより、寝室(S1)の風量調節機器(60)のダンパ(61)の開度が固定された状態で、寝室(S1)への空気の供給量を抑えられる結果、寝室(S1)の換気量も減少する。また、制御部(101)は、換気装置(21)の設定換気量を低く調節してもよい。このことで、全部屋(S1~S4)の空気の供給量が抑えられ、寝室(S1)の空気の供給量も抑えられる。
【0078】
本開示の換気システム(10)が適用される対象空間(S1)は、寝室でなくてもよい。ユーザが睡眠する部屋であれば、例えばリビングであってもよい。また、本開示の換気システム(10)が適用される対象空間(S1)は、複数であってもよい。
【0079】
風量調節機器(60)は、VAVに限定されず、CAV(Constant Air Volume)またはリニアダンパであってもよい。
【0080】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態および変形例は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。以上に述べた「第1」、「第2」、…という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0081】
以上説明したように、本開示は、換気システム及び換気方法について有用である。
【符号の説明】
【0082】
10 換気システム
60 風量調節機器
101 制御部
103 推定部
S1 寝室(対象空間)
S2,S3 寝室以外の空間(対象空間以外の空間)