(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049401
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
H04N 23/55 20230101AFI20240403BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20240403BHJP
G02F 1/1343 20060101ALI20240403BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240403BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20240403BHJP
G01J 1/02 20060101ALN20240403BHJP
【FI】
H04N5/225 400
G02F1/13 505
G02F1/1343
G09F9/30 339Z
G09F9/00 362
G01J1/02 C
G01J1/02 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021016568
(22)【出願日】2021-02-04
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】望月 一秀
(72)【発明者】
【氏名】青木 良朗
【テーマコード(参考)】
2G065
2H088
2H092
5C094
5C122
5G435
【Fターム(参考)】
2G065AA04
2G065AB02
2G065DA15
2H088EA38
2H088HA02
2H088HA10
2H088JA09
2H088MA20
2H092GA13
2H092GA14
2H092JB05
2H092JB11
2H092NA25
2H092PA07
2H092QA09
2H092RA10
5C094AA60
5C094BA03
5C094BA43
5C094EA05
5C094FA01
5C122EA12
5C122EA53
5C122FB07
5C122FF06
5C122FK12
5C122GE06
5C122GE11
5C122GG04
5G435AA00
5G435BB12
5G435CC09
5G435EE49
(57)【要約】
【課題】 撮像時の光の反射や回折による画像のぼやけを抑制することが可能な電子機器を提供する。
【解決手段】 電子機器は、表示パネルと、撮像素子と、を備え、前記表示パネルは、前記撮像素子と重畳しない第1領域と、前記撮像素子と重畳する第2領域と、を有し、前記表示パネルは、第1電極と、前記第1電極に重畳する第2電極と、液晶層と、を有し、前記第2電極は、前記第1領域に設けられる複数の第1スリットと、前記第2領域に設けられる複数の第2スリットと、を有し、前記複数の第2スリットは、フィボナッチ数列を基本として配列される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルと、
撮像素子と、を備え、
前記表示パネルは、前記撮像素子と重畳しない第1領域と、前記撮像素子と重畳する第2領域と、を有し、
前記表示パネルは、第1電極と、前記第1電極に重畳する第2電極と、液晶層と、を有し、
前記第2電極は、前記第1領域に設けられる複数の第1スリットと、前記第2領域に設けられる複数の第2スリットと、を有し、
前記複数の第2スリットは、フィボナッチ数列を基本として配列される、電子機器。
【請求項2】
前記複数の第2スリットは、それぞれ、円形形状を有する、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記複数の第2スリットは、それぞれ、長方形形状を有し、
前記第2スリットの長手方向は、前記液晶層の初期配向方向と平行である、請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記第2領域は、複数の第3領域を有し、
前記複数の第3領域は、それぞれ、フィボナッチ数列を基本として配列される前記複数の第2スリットを有する、請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記複数の第3領域は、それぞれ、正六角形形状を有する、請求項4に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示領域及び撮像素子を同一面側に備えた電子機器が広く実用化されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本実施形態は、撮像時の光の反射や回折による画像のぼやけを抑制することが可能な電子機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態に係る電子機器は、表示パネルと、撮像素子と、を備え、前記表示パネルは、前記撮像素子と重畳しない第1領域と、前記撮像素子と重畳する第2領域と、を有し、前記表示パネルは、第1電極と、前記第1電極に重畳する第2電極と、液晶層と、を有し、前記第2電極は、前記第1領域に設けられる複数の第1スリットと、前記第2領域に設けられる複数の第2スリットと、を有し、前記複数の第2スリットは、フィボナッチ数列を基本として配列される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、実施形態の電子機器を示す分解斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2の線A1-A2に沿った電子機器の断面図である。
【
図5】
図5は、電極及びスリットを示す平面図である。
【
図8】
図8は、実施形態における電子機器の他の構成例を示す平面図である。
【
図9】
図9は、実施形態における電子機器の他の構成例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
以下、図面を参照しながら一実施形態に係る電子機器について詳細に説明する。
【0008】
本実施形態においては、第1方向X、第2方向Y、及び、第3方向Zは、互いに直交しているが、90度以外の角度で交差していてもよい。第3方向Zの矢印の先端に向かう方向を上又は上方と定義し、第3方向Zの矢印の先端に向かう方向とは反対側の方向を下又は下方と定義する。
【0009】
また、「第1部材の上方の第2部材」及び「第1部材の下方の第2部材」とした場合、第2部材は、第1部材に接していてもよく、又は第1部材から離れて位置していてもよい。後者の場合、第1部材と第2部材との間に、第3の部材が介在していてもよい。一方、「第1部材の上の第2部材」及び「第1部材の下の第2部材」とした場合、第2部材は第1部材に接している。
【0010】
また、第3方向Zの矢印の先端側に電子機器を観察する観察位置があるものとし、この観察位置から、第1方向X及び第2方向Yで規定されるX-Y平面に向かって見ることを平面視という。第1方向X及び第3方向Zによって規定されるX-Z平面、あるいは第2方向Y及び第3方向Zによって規定されるY-Z平面における電子機器の断面を見ることを断面視という。
【0011】
図1は、実施形態の電子機器を示す分解斜視図である。
図1に示す電子機器ERPは、照明装置ILD、表示パネルPNL、撮像素子PAを有している。詳細は後述するが、表示パネルPNLは液晶表示パネルであり、液晶素子LCDを有している。
照明装置ILDは、導光板LG1と、光源EM1と、筐体CSと、を備えている。このような照明装置ILDは、例えば、
図1において破線で簡略化して示す表示パネルPNLを照明するものである。
【0012】
導光板LG1は、第1方向X及び第2方向Yによって規定されるX-Y平面と平行な平板状に形成されている。導光板LG1は表示パネルPNLに対向している。導光板LG1は、側面S1と、側面S1の反対側の側面S2と、開口部OP1と、を有している。側面S1及びS2はそれぞれ第1方向Xに沿って延出している。例えば、側面S1及びS2は、第1方向X及び第3方向Zによって規定されるX-Z平面と平行な面である。開口部OP1は、導光板LG1を第3方向Zに沿って貫通した貫通孔である。開口部OP1は、第2方向Yにおいて、側面S1及びS2との間に位置し、側面S1よりも側面S2に近接している。
複数の光源EM1は、第1方向Xに沿って間隔をおいて並んでいる。光源EM1は、それぞれ、配線基板FPC1に実装され、配線基板FPC1と電気的に接続されている。
【0013】
筐体CSは、導光板LG1と、光源EM1とを収容している。筐体CSは、側壁W1乃至W4と、底板BPと、開口部OP2と、突部PPと、を有している。側壁W1及びW2は、第1方向Xに沿って延出し、互いに対向している。側壁W3及びW4は、第2方向Yに沿って延出し、互いに対向している。開口部OP2は、底板BPを第3方向Zに沿って貫通した貫通孔である。開口部OP2は、第3方向Zにおいて、開口部OP1に重畳している。突部PPは、第3方向Zに沿って底板BPから表示パネルPNLに向かって突出し、開口部OP2を囲むように設けられている。
【0014】
図1に示す電子機器ERPの撮像素子PAは、第3方向Zにおいて、開口部OP2に重畳するように設けられている。撮像素子PAは、配線基板FPC2に実装され、配線基板FPC2と電気的に接続されている。撮像素子PAは、開口部OP2、突部PPの内部、及び開口部OP1を通り、表示パネルPNLと対向している。
表示パネルPNLは、導光板LG1に重畳するとともに、開口部OP1において配線基板FPC2及び撮像素子PAにも重畳している。
【0015】
図2は、表示パネルを示す図である。
図2(A)は、表示パネルPNLの平面図である。
図2(B)は、画素PXの回路図である。
図2(A)に示すように、表示領域DAは、ノッチを含まない略四角形の領域であるが、4つの角が丸みを有していてもよく、四角形以外の多角形や円形であってもよい。表示領域DAは、シールSEで囲まれた内側に位置している。
表示パネルPNLは、表示領域DAにおいて、第1方向X及び第2方向Yにマトリクス状に配列された複数の画素PXを備えている。表示領域DAにおける各画素PXは、同一の回路構成を有している。
【0016】
図2(B)に示すように、各画素PXは、スイッチング素子SW、画素電極PE、共通電極CE、液晶層LC等を備えている。スイッチング素子SWは、例えば薄膜トランジスタ(TFT)によって構成され、走査線GL及び信号線SLと電気的に接続されている。走査線GLには、スイッチング素子SWを制御するための制御信号が供給される。信号線SLには、制御信号とは異なる信号として、映像信号が供給される。画素電極PEは、スイッチング素子SWと電気的に接続されている。液晶層LCは、画素電極PEと共通電極CEとの間に生じる電界によって駆動されている。容量Csは、例えば、共通電極CEと同電位の電極、及び、画素電極PEと同電位の電極の間に形成される。
【0017】
配線基板FPC3は、第1基板SUB1の延出部Exに実装され、電気的に接続されている。駆動素子DRVは、配線基板FPC3に実装され、配線基板FPC3に電気的に接続されている。なお、駆動素子DRVは、延出部Exに実装され、延出部Exに電気的に接続されていてもよい。駆動素子DRV、例えば、画像表示に必要な信号を出力するディスプレイドライバなどを内蔵している。配線基板FPC4は、折り曲げ可能なフレキシブルプリント回路基板である。
【0018】
表示領域DAは、撮像素子PAと重畳しない領域(領域AA1とする)、及び、撮像素子PAと重畳する領域(領域AA2とする)を有している。領域AA1に配置される画素PXは、カラーフィルタCFを備えている。画素PXは、赤、緑、青のいずれかの色を表示することができる。また、画素PXが白画素である場合には、画素PXは、白(または透明)、グレー、黒のいずれかを表示することができる。
【0019】
図3は、
図2の線A1-A2に沿った電子機器の断面図である。
図3は、表示パネルPNL、撮像素子PA、及び、照明装置ILDを含む第2方向Yに沿った電子機器ERPの断面を示している。
図3に示すように、照明装置ILDは、さらに、反射シートRS、拡散シートSS、プリズムシートPS1乃至PS2、波長変換素子、粘着テープTP1を備えている。
【0020】
反射シートRS、導光板LG1、拡散シートSS、プリズムシートPS1、及び、プリズムシートPS2は、第3方向Zに沿ってこの順に配置され、筐体CSに収容されている。筐体CSは、金属製の筐体CS1と、樹脂製の台座CS2とを備えている。台座CS2は、筐体CS1とともに突部PPを形成している。拡散シートSS、プリズムシートPS1、及び、プリズムシートPS2の各々は、開口部OP1に重畳する開口部OP3を有している。筐体CSの突部PPは、開口部OP1及びOP3の内側に位置している。
【0021】
偏光板PL1、表示パネルPNL、偏光板PL2、及び、カバー部材CGは、第3方向Zに沿ってこの順に配置され、第3方向Zに沿って進行する光に対して、光学的なスイッチ機能を備えた液晶素子LCDを構成している。
【0022】
より詳細には、第1基板SUB1の基材BA1に接して、偏光板PL1が設けられている。第2基板SUB2の基材BA2に接して、偏光板PL2が設けられている。偏光板と基材(基板)との間には、図示しない接着剤や接着テープが設けられており、偏光板を基材に接着している。
カバー部材CGの材料は、例えばガラスが挙げられる。
粘着テープTP1は、例えば、透明または白色の両面粘着テープであり、照明装置ILDと液晶素子LCDとを接着している。本実施形態において、粘着テープTP1は、偏光板PL1とプリズムシートPS2とを接着している。
【0023】
表示パネルPNLは、画像を表示する表示領域DAと、表示領域DAを囲む非表示領域NDAと、を備えている。表示パネルPNLは、第1基板SUB1と、第2基板SUB2と、液晶層LCと、シールSEと、を備えている。シールSEは、非表示領域NDAに位置し、第1基板SUB1と第2基板SUB2とを接着するとともに、液晶層LCを封止している。すなわち、表示領域DAは、第1基板SUB1、第2基板SUB2、及び、第1基板SUB1と第2基板SUB2に挟持される液晶層LCが占める領域のうち、シールSEと重畳しない領域である。
【0024】
以下、第1基板SUB1及び第2基板SUB2の主要部について説明する。第1基板SUB1は、基材BA1と、配向膜AL1と、を備えている。第2基板SUB2は、基材BA2と、カラーフィルタCFと、遮光層BMと、透明層OCと、配向膜AL2と、を備えている。
基材BA1及び基材BA2は、ガラス基板や可撓性の樹脂基板などの透明基板である。配向膜AL1及びAL2は、液晶層LCに接している。
カラーフィルタCF、遮光層BM、及び、透明層OCは、基材BA2と液晶層LCとの間に位置している。なお、
図3に示す例では、カラーフィルタCFは、第2基板SUB2に設けられたが、第1基板SUB1に設けられてもよい。
【0025】
遮光層BMは、非表示領域NDAに位置している。表示領域DAと非表示領域NDAとの境界LBは、例えば、遮光層BMの内端(表示領域DA側の端部)によって規定される。シールSEは、遮光層BMと重畳する位置に設けられている。
カラーフィルタCFの詳細については、ここでは省略するが、カラーフィルタCFは、例えば、赤画素に配置される赤カラーフィルタ、緑画素に配置される緑カラーフィルタ、及び、青画素に配置される青カラーフィルタを備えている。また、カラーフィルタCFは、白画素に配置される透明樹脂層を備えている場合もある。透明層OCは、カラーフィルタCF及び遮光層BMを覆っている。透明層OCは、例えば、透明な有機絶縁層である。透明層OCは、領域AA1及びAA2に亘って配置され、領域AA1においてはカラーフィルタCFに接し、領域AA2においては基材BA2に接している。配向膜AL1と配向膜AL2とは、領域AA1及びAA2に亘って設けられている。
【0026】
本実施形態において、撮像素子PAは、一例としてカメラである。なお、撮像素子PAは、一例として、可視光を検出するもの、赤外線を検出するもの、検出対象物の近接をセンシングする近接センサ、検出対象物から反射された赤外線を検出する検出素子などや、それぞれを組み合わせたものでもよい。電子機器ERPは、撮像素子PAの代わりに、又は撮像素子PAに加えて、発光素子を備えていてもよい。当該発光素子としては、検出対象物に向けて赤外線を投射する投射素子が挙げられる。
【0027】
撮像素子PAは、筐体CSの開口部OP2に重畳するように設けられ、突部PPに囲まれた内側に位置している。撮像素子PAの一部又は全部は、第3方向Zにおいて、表示パネルPNLの表示領域DAと重畳している。表示パネルPNLと撮像素子PAとを有する電子機器ERPにおいて、電子機器ERPの使用者から見て、撮像素子PAが表示パネルPNLの奥側に設けられていればよい。
【0028】
撮像素子PAは、例えば、少なくとも一つのレンズを含む光学系OPSと、センサ素子IMSと、筐体HSと、を備えている。センサ素子IMSは、画像を検知可能なイメージセンサである。筐体HSは、光学系OPS及びセンサ素子IMSを収容している。光学系OPSは、表示パネルPNLとセンサ素子IMSとの間に位置している。
【0029】
図4は、表示パネルの断面図である。表示パネルPNLにおいて、領域AA1には複数の画素PXが設けられている。画素PXは、画素電極PE、共通電極CE,液晶層LCを有している。画素電極PEは櫛歯状電極(線状電極ともいう)であり、櫛歯状電極間にはスリットST1が配置される。共通電極CEと画素電極PEとの間E1に、スリットST1を介して、電界が発生する。共通電極CEと画素電極PEとの間E1の電界により、液晶層LCを駆動する。
領域AA2は、撮像素子PAの光学的な絞りとして機能する。領域AA2には、電極LE、共通電極CE,液晶層LCが設けられている。電極LEには、複数のスリットST2が設けられている。共通電極CEと電極LEとの間E2に、スリットST2を介して、電界が発生する。共通電極CEと電極LEとの間E2の電界により、液晶層LCを駆動する。共通電極CEと画素電極PEとの間E1の電界及び共通電極CEと電極LEとの間E2の電界は、いわゆる横電界である。
【0030】
以下に表示パネルPNLの詳細な断面構成について説明する。なお
図4に示す表示パネルPNLにおいては、照明装置ILDの図示は省略している。
第1基板SUB1は、基材BA1と配向膜AL1との間に、絶縁層INS1及びINS2と、共通電極CEと、画素電極PEと、電極LEと、を備えている。なお、
図2に示した走査線GL、信号線SL、及び、スイッチング素子SWは、例えば、基材BA1と共通電極CEとの間に位置している。共通電極CEは、絶縁層INS1の上に位置し、絶縁層INS2によって覆われている。
【0031】
画素電極PE及び電極LEは、絶縁層INS2の上に位置し、配向膜AL1によって覆われている。画素電極PEの各々は、絶縁層INS2を介して、共通電極CEと対向している。電極LEは、絶縁層INS2を介して、共通電極CEと対向している。
共通電極CE、画素電極PE、及び電極LEは、インジウム錫酸化物(ITO)やインジウム亜鉛酸化物(IZO)などの透明な導電材料によって形成されている。画素電極PEは、例えば線状電極や櫛歯状電極であり、共通電極CEは、たとえ例えば複数の画素PXに亘って共通に設けられた平板状の電極である。なお、画素電極PEを平板状の電極とし、画素電極PEと液晶層LCとの間に線状の共通電極CEを設ける構造であってもよい。絶縁層INS1は、詳述しないが、無機絶縁層及び有機絶縁層を含んでいる。電極LEの形状の詳細については後述する。絶縁層INS2は、例えば、シリコン窒化物等の無機絶縁層である。
【0032】
第2基板SUB2において、遮光層BMは、
図3に示した非表示領域NDAの遮光層BMと一体的に形成されている。カラーフィルタCFは、赤カラーフィルタCFR、緑カラーフィルタCFG、及び、青カラーフィルタCFBを含んでいる。緑カラーフィルタCFGは、画素電極PEと対向している。赤カラーフィルタCFR及び青カラーフィルタCFBも、それぞれ図示しない他の画素電極PEと対向している。
【0033】
表示パネルPNLは、例えば、走査線GLと電気的に接続された走査線駆動回路(非表示)、及び、信号線SLと電気的に接続された信号線駆動回路を含む駆動部(非表示)を有している。駆動部は、表示領域DAのうち領域AA1の各画素PXに対して、画像表示に必要な信号を出力し、液晶層LCの透過率を制御する。液晶層LCの透過率は、液晶層LCに印加される電圧の大きさに応じて制御される。
【0034】
図3及び
図4に示すように、撮像素子PAに重畳して、電極LE及び共通電極CEが配置されている。電極LE及び共通電極CEは、上述したように透明な導電材料により形成される透明電極である。複数のスリットST2を設けた電極LEでは、光学干渉により、ゴーストが発生する恐れが生じる。特に、隣り合うスリットST2の間隔が等しいと、ゴーストの発生と顕著となってしまう。
一方、スリットST2の間隔、換言すると、スリットST2を挟んで配置される電極部の間隔が短いと、液晶層LCの駆動電圧が小さくなり、駆動しやすいという利点がある。ゴーストの発生と液晶層LCの駆動電圧の低下はトレードオフの関係にある。
【0035】
そこで本実施形態では、複数のスリットST2の配置をフィボナッチ配列とする。換言するとスリットST2を挟んで配置される電極部をフィボナッチ配列とする。これにより、ゴーストの発生を抑制しつつ、液晶層LCの駆動電圧を低下することができる。
【0036】
図5は、電極LE及びスリットST2を示す平面図である。スリットST2は、非周期配列であり、準周期的配列でもある、フィボナッチ数列を基本として配列されている。本明細書ではこのような配列をフィボナッチ配列と呼ぶ。フィボナッチ配列は、ひまわりの種の配列等にたとえられ、
図5に示すような渦巻き状を呈する配列である。
フィボナッチ数列は、(x、y)=([a×t×cos{(α/180)nt}]、[a×t×sin{(α/180)nt}])(式1)からなる数列である。ただし、aは任意の定数、tは自然数、αは黄金角(α={360/(1+φ)}=137.5°)、φは黄金比(φ={(1+√5)/2}=1.6018)である。
【0037】
フィボナッチ配列は、時計回り及び反時計回りのらせんが組み合わせられた配列を有しており、外側に近づくにつれ放射状になる。スリットST2をフィボナッチ配列にすることにより、一定の規則性を有しつつ、所定の程度以上でランダムに配置することができる。スリットST2をランダムに配置することで、ゴーストの発生を抑制することができる。一方、スリットST2の配列が一定の規則性を有することで、画素電極PEの駆動電圧に近い電圧で、電極LEを駆動することができる。換言すると、電極LEの駆動について、画素電極PEの駆動電圧に加えて、さらなる電圧を印加する必要性が低くなる。よって、電極LEの透過性を維持しつつ、駆動電圧が増大を抑制することが可能である。
なお
図5において、スリットST2の大きさは例示であり、これに限定されない。スリットST2は、式1に基づいて配列されていれば、任意の大きさを取ることができる。
【0038】
図5では円形形状のスリットST2を示しているが、スリットST2の形状はこれに限定されない。例えば、正六角形、正八角形、正十六角形等の点対称な形状であってもよいし、長方形等の線対称な形状であってもよい。
【0039】
なお電極LEは、一体形成され連続した導電膜、いわゆるベタ膜に限定されず、複数に分割された電極であってもよい。
図6は、電極LEの平面図である。電極LEは、同心円状に配置される3つの電極LE1、LE2、及びLE3を有している。図面を見易くために表示していないが、電極LE1、LE2、及びLE3には、それぞれスリットST2が設けられている。
電極LE1には、電極LE1と一体形成された配線LEW1が接続されている。電極LE2には、電極LE2と一体形成された配線LEW2が接続されている。電極LE3には、電極LE3と一体形成された配線LEW3が接続されている。
【0040】
電極LE1及び配線LEW1、電極LE2及び配線LEW2、並びに、電極LE3及び配線LEW3との間には、それぞれ間隙GPが設けられている。間隙GPにより、電極LE1、LE2、及びLE3は、それぞれ絶縁されている。
配線LEW1、LEW2、及びLE3を介して、外部から電極LE1、LE2、及びLE3に独立して電圧が印加される。電圧が印加される電極に応じて、液晶層LCの配向を変えることにより、領域AA2に絞り機能を付与することができる。
【0041】
図7は、画素を示す平面図である。なお
図7では、説明に必要な構成のみを図示しており、スイッチング素子SW、共通電極CE、カラーフィルタCFなどの図示を省略している。
図7に示すように、複数の画素PXは、横電界を利用する表示モードの一つであるFFS(Fringe Field Switching)モードに対応した構成を有している。
複数の走査線GLは、第1方向Xに沿って延伸し、第2方向Yに沿って配列されている。複数の
信号線SLは、第1方向Xに沿って配列され、第2方向Yに沿って延伸する。
画素電極PEは、信号線SLに沿って延伸するスリットST1を有している。スリットST1巻に配置される画素電極PEの電極部を、櫛歯状電極PECとする。
図7に示す例では、1つの画素電極PEに、2つのスリットST1及び3つの櫛歯状電極PECが配置されているが、これに限定されない。スリットST1及び櫛歯状電極PECは、好適な数で配置することが可能である。
【0042】
本実施形態に示すように、領域AA2に配置される電極LEにおいて、スリットST2をフィボナッチ配列にすることにより、一定の規則性を有しつつ、所定の程度以上でランダムに配置することができる。よって、電極LEの透過性を維持しつつ、画素PXを駆動する電圧で、領域AA2を駆動することができる。これにより、駆動電圧の増大を抑制することが可能である。撮像時の光の反射や回折による画像のぼやけを抑制することができる。
【0043】
<構成例1>
図8は、実施形態における電子機器の他の構成例を示す平面図である。
図8に示した構成例では、
図5に示した構成例と比較して、スリットの形状が長方形であるという点で異なっている。
図8(A)は、電子機器ERPにおける領域AA2の平面図である。
図8(B)は、
図8(A)の部分拡大図である。
【0044】
図8において、第2方向Yに対して時計回りに鋭角θに交差する方向を方向D1と定義し、方向D2と直交する方向を方向D2と定義する。スリットST2の長手方向は、方向D1に沿っており、短手方向は、方向D2に沿っている。
液晶層LCの初期配向方向IODは、方向D1に平行である。液晶層LCに電圧が印加されると、液晶層LCの液晶分子の配向が変化する。初期配向方向IODとスリットST2の長手方向が平行であると、液晶分子の配向が変化可能な面積が大きくなり、透過率を上昇させることができる。
【0045】
また
図8において、スリットST2の長手方向における長さは、ランダムであることが好ましい。換言すると、方向D1及びD2で隣り合うスリットST2は、それぞれ長手方向の長さが異なることが好ましい。これによりゴーストの発生がより抑制可能である。
ただし、スリットST2の長手方向における長さが揃っていた場合であっても、実施形態と同様にゴーストの発生を抑制しつつ、駆動電圧の増加を防ぐことができる。撮像時の光の反射や回折による画像のぼやけを抑制することが可能である。
本構成例においても、実施形態と同様の効果を奏する。
【0046】
<構成例2>
図9は、実施形態における電子機器の他の構成例を示す平面図である。
図9に示した構成例では、
図5に示した構成例と比較して、フィボナッチ配列されたスリットST2が設けられる領域を、複数有するという点で異なっている。
図9は、電子機器ERPにおける領域AA2の平面図である。領域AA2は、複数の領域AA3を有している。領域AA3それぞれには、フィボナッチ配列されたスリットST2が設けられている。
【0047】
フィボナッチ配列では、外側に近づくほど放射状に配列される。つまり外側に近づくほど、スリットST2間の距離が長くなる。そのため、領域AA2における外側の駆動電圧は、内側より高くなるという恐れが生じる。
しかしながら、フィボナッチ配列された領域AA3を複数配置すると、スリットST2間の距離が長くなりすぎない。1つの領域AA3の外側に配置されたスリットST2は、別の1つの領域AA3のA外側に配置されたスリットST2に近接するからである。よって駆動電圧の増加を防ぐことができる。
【0048】
図9に示す例では、領域AA3それぞれの形状は正六角形である。すなわち、複数の領域AA3は、ハニカム構造を構成している。これにより、スリットST2を効率よく配置できる。
しかしながら、領域AA3それぞれの形状は、正六角形形状に限定されない。領域AA3それぞれは、他の形状、例えば正八角形形状、正十六角形形状等の点対称な形状を有していてもよい。
本構成例においても、実施形態と同様の効果を奏する。
【0049】
本発明の実施形態を説明したが、実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0050】
AA1…領域、AA2…領域、AA3…領域、ERP…電子機器、IOD…初期配向方向、LC…液晶層、LE…電極、PA…撮像素子、PE…画素電極、PEC…櫛歯状電極、PNL…表示パネル、PX…画素、ST1…スリット、ST2…スリット。