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特開2024-49436避難支援装置、避難支援システム、避難支援方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049436
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】避難支援装置、避難支援システム、避難支援方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/26 20240101AFI20240403BHJP
   G06Q 30/06 20230101ALI20240403BHJP
【FI】
G06Q50/26
G06Q30/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155663
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 裕央
(72)【発明者】
【氏名】廣江 信雄
(72)【発明者】
【氏名】加藤 友梨
(72)【発明者】
【氏名】中西 拓己
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 和史
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L030BB58
5L030BB63
5L049BB58
5L049BB63
5L049CC35
5L050CC35
(57)【要約】
【課題】 避難対応を支援することが可能な避難支援装置等を提供することを目的の一つとする。
【解決手段】 本開示の一態様にかかる避難支援装置は、避難所に存在する物資を示す既存物資情報と、前記避難所にいる避難者に関する情報を示す避難者情報と、を前記避難所に設置された管理装置から人工衛星を介して取得する取得手段と、前記既存物資情報と前記避難者情報とに基づいて、前記避難所に対して必要な物資の過不足を推定する推定手段と、推定された物資の過不足を示す情報を出力装置に出力させる出力制御手段と、を備える。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
避難所に存在する物資を示す既存物資情報と、前記避難所にいる避難者に関する情報を示す避難者情報と、を前記避難所に設置された管理装置から人工衛星を介して取得する取得手段と、
前記既存物資情報と前記避難者情報とに基づいて、前記避難所に対して必要な物資の過不足を推定する推定手段と、
推定された物資の過不足を示す情報を出力装置に出力させる出力制御手段と、を備える、
避難支援装置。
【請求項2】
前記取得手段は、前記避難所に対して配送される予定の物資を示す配送予定情報を取得し、
前記推定手段は、前記既存物資情報と、前記避難者情報と、前記配送予定情報と、に基づいて、前記避難所に対して必要な物資の過不足を推定する、
請求項1に記載の避難支援装置。
【請求項3】
前記取得手段は、前記避難者の識別情報を前記管理装置から人工衛星を介して取得し、
前記推定手段は、取得された前記識別情報に基づいて、前記識別情報に関連付けられた、前記避難者が受けた医療行為に関する情報である医療情報を取得し、前記医療情報をさらに利用して、前記避難所に対して必要な医療用品を含む物資の過不足を推定する、
請求項1に記載の避難支援装置。
【請求項4】
前記医療情報は、前記避難者に対して処方された医薬品に関する情報を含み、
前記推定手段は、前記避難所に対して必要な医薬品を含む物資の過不足を推定する、
請求項3に記載の避難支援装置。
【請求項5】
前記識別情報は、前記避難者の公的証明書に関する証明情報である、
請求項3または4に記載の避難支援装置。
【請求項6】
推定された物資の過不足を示す情報及び前記避難者情報の少なくもいずれかに基づいて、避難すべき避難所を示す避難指示情報を生成する生成手段を備える、
請求項1に記載の避難支援装置。
【請求項7】
管理装置と避難支援装置とを含み、
前記管理装置は、
避難所に設置され、
前記避難所にいる避難者に関する避難者情報の入力を受け付ける受付手段と、
前記避難者情報と、予め記憶された、前記避難所に存在する物資を示す既存物資情報と、を送信する送信制御手段と、を備え、
前記避難支援装置は、
前記既存物資情報と、前記避難者情報と、を前記管理装置から人工衛星を介して取得する取得手段と、
前記既存物資情報と前記避難者情報とに基づいて、前記避難所に対して必要な物資の過不足を推定する推定手段と、
推定された物資の過不足を示す情報を出力装置に出力させる出力制御手段と、を備える、
避難支援システム。
【請求項8】
マイナンバーを読み取ることにより個人情報を生成
前記受付手段は、公的証明書から読み取られた個人情報を前記避難者情報として受け付ける、
請求項7に記載の避難支援システム。
【請求項9】
避難所に存在する物資を示す既存物資情報と、前記避難所にいる避難者に関する情報を示す避難者情報と、を前記避難所に設置された管理装置から人工衛星を介して取得し、
前記既存物資情報と前記避難者情報とに基づいて、前記避難所に対して必要な物資の過不足を推定し、
推定された物資の過不足を示す情報を出力装置に出力させる、
避難支援方法。
【請求項10】
避難所に存在する物資を示す既存物資情報と、前記避難所にいる避難者に関する情報を示す避難者情報と、を前記避難所に設置された管理装置から人工衛星を介して取得する処理と、
前記既存物資情報と前記避難者情報とに基づいて、前記避難所に対して必要な物資の過不足を推定する処理と、
推定された物資の過不足を示す情報を出力装置に出力させる処理と、をコンピュータに実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、災害発生時の避難対応を支援する技術に関連する。
【背景技術】
【0002】
災害が発生した場合、自治体等により避難対応が行われる。避難対応の一例は、避難所の開設である。例えば、自治体の職員等は、各地に避難所を開設し、避難所を管理する。このような避難所の管理を支援する技術が存在する。
【0003】
特許文献1には、避難者の生体情報と予め記憶された複数の住民の生体情報とを用いて生体認証を行い、避難所に受け入れられた避難者を避難者リストにより管理する技術が開示される。
【0004】
また、特許文献2には避難所に避難した人々の個人情報を避難所側装置から入力し、そのデータを集計することが開示される。さらに特許文献2に開示される技術では、そのデータから、必要とする食料、衣料等の物資の数量を決定し、行政側から物資の供給を受けることが行われる。
【0005】
避難所の物資の管理に関連して、特許文献3には、性別等の属性や避難所の収容者数から必要な物資について発注を行うことが開示される。また、特許文献4には、備蓄品の想定必要数量から、備蓄数量を減算し、減算した結果を要調達数量とすることが開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2022/044200号
【特許文献2】特開平10-334146号公報
【特許文献3】特開2015-195030号公報
【特許文献4】特開2014-191793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、避難所において必要な物資を自治体等に要求することがある。このとき避難所から自治体等に向けて各種の情報が発信される。自治体等は、情報を受けて、物資の調達等の避難対応を行う。
【0008】
ここで、避難所から自治体等に向けて情報が発信される際に、基地局や中継局等の地上系の通信網のみを用いる場合、災害によって基地局等が被災すると、自治体等は、避難所からの情報を受け取ることができない可能性がある。すると、自治体等は、適切に避難対応を行うことが困難となる場合がある。
【0009】
本開示は、上記課題を鑑みてなされたものであり、避難対応を支援することが可能な避難支援装置等を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一態様にかかる避難支援装置は、避難所に存在する物資を示す既存物資情報と、前記避難所にいる避難者に関する情報を示す避難者情報と、を前記避難所に設置された管理装置から人工衛星を介して取得する取得手段と、前記既存物資情報と前記避難者情報とに基づいて、前記避難所に対して必要な物資の過不足を推定する推定手段と、推定された物資の過不足を示す情報を出力装置に出力させる出力制御手段と、を備える。
【0011】
本開示の一態様にかかる避難支援システムは、管理装置と避難支援装置とを含み、前記管理装置は、避難所に設置され、前記避難所にいる避難者に関する避難者情報の入力を受け付ける受付手段と、前記避難者情報と、予め記憶された、前記避難所に存在する物資を示す既存物資情報と、を送信する送信制御手段と、を備え、前記避難支援装置は、前記既存物資情報と、前記避難者情報と、を前記管理装置から人工衛星を介して取得する取得手段と、前記既存物資情報と前記避難者情報とに基づいて、前記避難所に対して必要な物資の過不足を推定する推定手段と、推定された物資の過不足を示す情報を出力装置に出力させる出力制御手段と、を備える。
【0012】
本開示の一態様にかかる避難支援方法は、避難所に存在する物資を示す既存物資情報と、前記避難所にいる避難者に関する情報を示す避難者情報と、を前記避難所に設置された管理装置から人工衛星を介して取得し、前記既存物資情報と前記避難者情報とに基づいて、前記避難所に対して必要な物資の過不足を推定し、推定された物資の過不足を示す情報を出力装置に出力させる。
【0013】
本開示の一態様にかかるプログラムは、避難所に存在する物資を示す既存物資情報と、前記避難所にいる避難者に関する情報を示す避難者情報と、を前記避難所に設置された管理装置から人工衛星を介して取得する処理と、前記既存物資情報と前記避難者情報とに基づいて、前記避難所に対して必要な物資の過不足を推定する処理と、推定された物資の過不足を示す情報を出力装置に出力させる処理と、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、避難対応を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1の実施形態の人工衛星を介して情報を取得する仕組みの一例を模式的に示す図である。
図2】第1の実施形態の避難支援装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図3】第1の実施形態の避難支援装置の動作の一例を説明するフローチャートである。
図4】第2の実施形態の避難支援システムの構成の一例を示す模式図である。
図5】第2の実施形態の避難支援システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
図6】第2の実施形態の既存物資情報の一例を示す図である。
図7】第2の実施形態の物資の過不足を示す情報の一例を示す図である。
図8】第2の実施形態の避難支援システムの動作の一例を示すシーケンス図である。
図9】第3の実施形態の避難支援システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
図10】第3の実施形態の避難支援システムの動作の一例を示すシーケンス図である。
図11】変形例2の避難支援システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
図12】本開示の第1、第2、及び第3の実施形態の避難支援システムを実現するコンピュータ装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本開示の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0017】
<第1の実施形態>
第1の実施形態の避難支援装置の概要について説明する。
【0018】
第1の実施形態の避難支援装置は、避難所に設置された管理装置から、人工衛星を介して情報を取得する。そして、避難支援装置は、取得した情報に基づいて、各種の処理を行う。ここで、本願における、避難支援装置が管理装置から情報を取得する仕組みを説明する。
【0019】
図1は、人工衛星を介して情報を取得する仕組みの一例を模式的に示す図である。図1の例では、避難所に管理装置200が設置される。管理装置200は、サーバ等のコンピュータを含む装置である。また、自治体施設には、避難支援装置100が設置される。避難支援装置100は、サーバ等のコンピュータを含む装置である。自治体施設は、自治体によって管理される施設である。例えば自治体施設は、役所であってもよいし、気象、消防、警察、及び防衛に関する行政機関であってもよい。なお、避難支援装置100が設置される場所はこれに限定されない。すなわち、避難支援装置100は、自治体以外の組織または人物によって管理される施設に設置されてよい。
【0020】
管理装置200は、例えば、避難所の状況を示す情報を人工衛星に向けて発信する。避難所の状況とは、例えば、避難所の場所、避難所の開設状況、避難所の物資、及び、避難者に関する情報等である。人工衛星は、例えば静止衛星である。特に、人工衛星は、特定の地域の上空を通る準天頂衛星であってよい。
【0021】
避難支援装置100は、人工衛星から避難所の状況を示す情報を取得する。このとき、避難支援装置100は、管制局を通じて、人工衛星から情報を取得してよい。このように、避難支援装置100は、避難所に設置された管理装置200から発信された情報を、人工衛星を介して取得する。
【0022】
次に、避難支援装置100の機能構成の一例を説明する。図2は、避難支援装置100の機能構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、避難支援装置100は、取得部110と推定部120と出力制御部130とを備える。
【0023】
取得部110は、管理装置200から発信された情報を、人工衛星を介して取得する。管理装置200は、既存物資情報と避難者情報とを発信する。既存物資とは避難所に存在する物資を示す。物資は、食料、衣料、寝具、及び医療用品等、避難所において避難者が使用する物品である。避難所に存在する物資とは、例えば、災害発生のために避難所に備蓄される物資である。既存物資情報には、物資の種類ごとの数量が示されてよい。例えば、既存物資情報には、食料のうち、乾パン、インスタント麺、及び水等のそれぞれの数量が示されてよい。
【0024】
避難者情報は、避難所にいる避難者に関する情報である。避難者情報は、例えば、避難者ごとの年齢及び性別等の個人情報を含む。
【0025】
管理装置200は、例えば、避難所にいる自治体の職員により操作される。そして当該操作により、管理装置200は、既存物資情報と避難者情報とを発信する。
【0026】
このように、取得部110は、避難所に存在する物資を示す既存物資情報と、避難所にいる避難者に関する情報を示す避難者情報と、を避難所に設置された管理装置200から人工衛星を介して取得する。取得部110は、取得手段の一例である。
【0027】
推定部120は、取得された既存物資情報と避難者情報とに基づいて、物資の過不足を推定する。より具体的には、推定部120は、避難所において必要な物資の過不足を推定する。例えば、避難者の人数と所定期間に消費されると想定される物資の数(想定消費数)を示す消費情報とが対応付けられた情報が予め定められているとする。この場合、推定部120は、避難者情報から避難者の人数を示す情報を取得する。また推定部120は、取得された避難者の人数に対応する消費情報を特定する。そして、推定部120は、特定された消費情報に示された物資の数と既存物資情報に示された物資の数とに基づいて、物資の過不足を推定してよい。
【0028】
このとき、推定部120は、機械学習を利用して物資の過不足を推定してよい。例えば、推定部120は、少なくとも避難者の人数と消費情報との関係が予め学習された学習モデルを利用して、避難所における消費情報を特定する。具体的には、推定部120は、学習モデルに、取得された避難者情報を入力する。推定部120は、学習モデルによって出力された消費情報を、避難所に対応する消費情報として取得する。そして、推定部120は、避難所に対応する消費情報と既存物資情報とに基づいて、物資の過不足を推定する。
【0029】
また、推定部120は、避難者の人数及び備蓄される物資の数と、物資の過不足と、の関係が予め学習された学習モデルを利用して、避難所において必要な物資の過不足を推定してよい。この場合、推定部120は、避難者情報と既存物資情報とを学習モデルに入力することにより、物資の過不足を推定する。
【0030】
なお、上述の例に限られず、物資の過不足を推定する方法は種々の手法であってよい。
【0031】
このように、推定部120は、既存物資情報と避難者情報とに基づいて、避難所に対して必要な物資の過不足を推定する。推定部120は、推定手段の一例である。
【0032】
出力制御部130は、推定された過不足を示す情報を出力装置に出力させる。出力装置は、避難支援装置100と、無線又は有線で通信可能に接続される装置である。出力装置は、例えば、ディスプレイを備える装置である。出力制御部130は、出力制御手段の一例である。
【0033】
次に、避難支援装置100の動作の一例を、図3を用いて説明する。なお本開示において、フローチャートの各ステップを「S1」のように、各ステップに付した番号を用いて表現する。
【0034】
図3は、避難支援装置100の動作の一例を説明するフローチャートである。取得部110は、避難所に存在する物資を示す既存物資情報と、避難所にいる避難者に関する情報を示す避難者情報と、を避難所に設置された管理装置200から人工衛星を介して取得する(S1)。推定部120は、既存物資情報と避難者情報とに基づいて、避難所に対して必要な物資の過不足を推定する(S2)。そして、出力制御部130は、推定された物資の過不足を示す情報を出力装置に出力させる(S3)。
【0035】
このように、第1の実施形態の避難支援装置100は、避難所に存在する物資を示す既存物資情報と、避難所にいる避難者に関する情報を示す避難者情報と、を避難所に設置された管理装置200から人工衛星を介して取得する。そして、避難支援装置100は、既存物資情報と避難者情報とに基づいて、避難所に対して必要な物資の過不足を推定し、推定された物資の過不足を示す情報を出力装置に出力させる。
【0036】
避難所から発信される情報を、特定の装置が基地局や中継局等の地上系の通信網のみを用いて取得する場合、災害によって基地局等が被災すると特定の装置は安定して情報を取得することができない。これに対して、避難支援装置100は、避難所に設置された管理装置200から、避難者情報等を、人工衛星を介して取得する。これにより、避難支援装置100は、地上系の通信網のみを用いる場合と比べて、災害時にも安定して情報を取得することができる。そのため、避難支援装置100は、より正確に物資の過不足を推定することができる。よって、避難支援装置100のユーザは、推定された物資の過不足に基づく物資の発注等、適切な避難対応を行うことができる。すなわち、避難支援装置100は、避難対応を支援することができる。
【0037】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態の避難支援装置について説明する。第2の実施形態では、第1の実施形態で説明した避難支援装置に関する更なる例を説明する。なお、第1の実施形態と重複する内容は、一部説明を省略する。
【0038】
図4は、避難支援システム1000の構成の一例を示す模式図である。図4の例では、避難支援システム1000は、避難支援装置100と管理装置200とを備える。避難支援装置100と管理装置200とは、無線または有線のネットワークを介して通信可能に接続される。このとき、避難支援装置100と管理装置200とは、少なくとも人工衛星を介して通信可能に接続される。なお、本実施形態においても、図1の例と同様に、管理装置200は避難所に設置され、避難支援装置100は自治体施設に設置される。
【0039】
また、管理装置200は、各種の装置と通信可能に接続されてよい。図4の例では、管理装置200は、IC(Integrated Circuit)チップを読み取り可能な読み取り装置を有するコンピュータと、カメラと、通信可能に接続される。なお、管理装置200と通信可能に接続される装置はこの例に限られない。
【0040】
[避難支援システム1000の詳細]
図5は、避難支援システム1000の機能構成の一例を示すブロック図である。図5に示すように管理装置200は、受付部210と送信制御部220とを備える。さらに管理装置200は、記憶装置230を有する。なお、記憶装置230は管理装置200と通信可能に接続される外部の装置であってもよい。
【0041】
受付部210は、避難者情報の入力を受け付ける。このとき、受付部210は、各種の手法で避難者情報の入力を受け付けてよい。例えば、管理装置200のユーザが、入力デバイスを利用して避難者情報を入力することにより、受付部210は、避難者情報を受け付けてよい。
【0042】
また、受付部210は、撮影画像から推定される情報を、避難者情報として受け付けてもよい。この場合、管理装置200は、カメラと通信可能に接続される。すなわちカメラは避難所に設置される。例えば、カメラは避難所の出入り口に設置され、避難者のそれぞれを撮影する。そして、カメラは撮影画像を管理装置200に送信する。受付部210は、撮影画像に映る人物の性別と年齢とを推定する。撮影画像から人物の性別と年齢とを推定する手法は既知の手法であってよい。例えば、受付部210は、撮影画像から顔領域を検出し、顔領域における特徴量を抽出する。そして、受付部210は、抽出された特徴量を利用して、特徴量と性別及び年齢との関係を学習した学習モデルに基づいて撮影画像に映る人物の性別及び年齢を推定する。このように、受付部210は、撮影画像から推定される避難者の性別及び年齢の情報を、避難者情報として受け付けてよい。なおこの場合、避難者情報には、性別と年齢とが対応付けられた情報が含まれる。性別と年齢とが対応付けられた情報の数が避難者の数として集計可能である。また、カメラにおいて、撮影画像から人物の性別と年齢とが推定されてもよい。この場合は、カメラは、推定結果を管理装置200に送信する。
【0043】
また、受付部210は、生体認証の結果を、避難者情報として受け付けてもよい。例えば、生体認証として顔認証が行われる場合、管理装置200は、カメラと通信可能に接続される。カメラは、避難者のそれぞれを撮影する。そして、カメラは撮影画像を管理装置200に送信する。受付部210は、撮影画像を利用して顔認証を行う。顔認証の手法は、既知の手法であってよい。例えば受付部210は、撮影画像に含まれる顔画像から抽出される特徴量と顔画像データベースに含まれる顔画像に含まれる特徴量とを照合することにより顔認証を行う。顔画像データベースは、顔画像または顔画像から抽出される特徴量と、個人情報と、が関連付けられたデータベースである。個人情報には、人物の氏名、年齢、性別、及び住所等が含まれる。顔画像データベースは、例えば、記憶装置230に格納される。受付部210は、照合が合致した人物の個人情報を避難者情報として受け付ける。なお、顔認証は、カメラにおいて行われてもよい。この場合は、顔画像データベースは、カメラまたはカメラと通信可能に接続される装置に格納される。そしてカメラは、照合が合致した顔画像に関連付けられた個人情報を、管理装置200に送信する。
【0044】
上記の例において、生体認証は顔認証に限られない。生体認証は、指紋、掌紋、静脈、及び虹彩等を利用した認証方法であってよい。この場合、各生体情報を検出する装置が管理装置200と通信可能に接続される。
【0045】
また、受付部210は、公的証明書から読み取り可能な情報を避難者情報として受け付けてもよい。公的証明書は、人物の個人情報を有する、本人確認可能な書類を示す。公的証明書の一例は、マイナンバーカード及び運転免許証等である。例えば、管理装置200と通信可能に接続されるカメラが公的証明書を撮影する。そして、カメラは撮影画像を管理装置200に送信する。受付部210は、撮影画像から、公的証明書に記載された個人情報を読み取る。そして、受付部210は、読み取られた個人情報を、避難者情報として受け付ける。撮影画像から公的証明書に記載されている情報を読み取る手法は、既知の文字認識手法であってよい。文字認識手法の一例は、OCR(Optical Character Recognition)である。なお、カメラにおいて文字認識が行われてもよい。この場合、カメラは、読み取られた個人情報を管理装置200に送信する。
【0046】
また、公的証明書に個人情報が格納されたICチップが搭載されている場合、受付部210は、ICチップから読み取られた個人情報を、避難者情報として受け付けてよい。この場合、管理装置200は、ICチップを読み取り可能な読み取り装置を有するコンピュータと通信可能に接続される。例えば、当該読み取り装置に公的証明書がかざされることにより、読み取り装置は、ICチップから個人情報を読み取る。ICチップから情報を読み取る手法は、例えばNFC(Near Field Communication)等の技術により実現される。そして、読み取られた個人情報は、コンピュータを介して管理装置200に送信される。受付部210は、送信された個人情報を避難者情報として受け付ける。
【0047】
このように、受付部210は、避難所にいる避難者に関する避難者情報の入力を受け付ける。受付部210は、受付手段の一例である。
【0048】
送信制御部220は、各種の情報を発信する。発信された情報は、人工衛星を介して避難支援装置100に送信される。以降、送信制御部220が、人工衛星に情報を発信することにより避難支援装置100に情報を送信することを、単に避難支援装置100に情報を送信する、と説明する。
【0049】
送信制御部220は、既存物資情報と避難者情報とを避難支援装置100に送信する。既存物資情報は、予め記憶される。例えば既存物資情報は、記憶装置230に格納される。送信制御部220は、記憶装置230から既存物資情報を読み出し、読み出された既存物資情報を避難支援装置100に送信する。図6は、既存物資情報の一例を示す図である。既存物資情報は、物資の種類と数量とが対応付けられた情報である。図6の例では、例えば、物資の種類「水」に対して数量「100」が対応付けられている。これは、避難所には、100単位(例えばペットボトル100本)の水が備蓄されていることを示す。
【0050】
また、送信制御部220は、受付部210によって受け付けられた避難者情報を避難支援装置100に送信する。
【0051】
なお、避難者情報と既存物資情報とには、避難所を識別する避難所識別情報が関連付けられる。すなわち、避難支援装置100は、避難所識別情報とともに、避難者情報と既存物資情報とを取得する。避難所識別情報には、例えば、避難所のID(IDentifier)が含まれる。さらに避難所識別情報には、避難所の名称、位置情報、及び避難所を管理する自治体の名称等が含まれてよい。避難支援装置100は、取得した避難者情報及び既存物資情報が、どこの避難所からの情報であるか識別することができる。
【0052】
このように、送信制御部220は、避難者情報と、予め記憶された、既存物資情報と、を送信する。送信制御部220は、送信制御手段の一例である。
【0053】
図5の説明に戻る。避難支援装置100は、取得部110と推定部120と出力制御部130とを備える。
【0054】
取得部110は、管理装置200から、人工衛星を介して既存物資情報と避難者情報とを取得する。
【0055】
推定部120は、避難所に対して必要な物資の過不足を推定する。まず推定部120は、避難者情報に基づいて避難者の人数を集計する。このとき推定部120は、避難者の属性ごとの人数も集計してよい。例えば、推定部120は、避難者のうち、性別ごとの人数を集計してもよいし、年齢ごとの人数を集計してもよい。
【0056】
例えば、避難者の人数と消費情報とが対応づけられた対応情報が、避難支援装置100が有する記憶装置に格納されているとする。推定部120は、集計した人数に対応する消費情報を特定する。そして、推定部120は、特定された消費情報に示された物資の想定消費数と既存物資情報に示された物資の数との差に基づいて、物資の過不足を推定してよい。
【0057】
このとき、推定部120は、属性ごとに集計された避難者の人数の情報を利用して物資の過不足を推定してよい。例えば、生理用品は、女性の人数が多いほど消費数が多いことが想定される。また、例えば粉ミルクは、3歳未満の人数が多いほど消費数が多いことが想定される。そのため、属性ごとの人数に応じて物資の過不足を推定することにより、より正確に物資の過不足を推定できる。
【0058】
この場合、対応情報に、属性ごとの人数と所定期間に消費されると想定される物資の数とが対応付けられた情報が含まれる。例えば、対応情報には、女性が10人未満である場合、及び、女性が10人から20人未満である場合等のそれぞれの場合に対応する、生理用品の想定消費数が示される。推定部120は、集計された女性の人数に対応する、生理用品の想定消費数を特定する。
【0059】
また、物資の過不足の推定方法は上記の例に限られない。例えば、推定部120は、属性ごとの避難者の人数と消費情報との関係が予め学習された学習モデルを利用して、避難所における消費情報を特定してもよい。このとき推定部120は、学習モデルに集計した属性ごとの避難者の人数を入力する。推定部120は、学習モデルによって出力された消費情報を、避難所に対応する消費情報として特定する。そして、推定部120は、特定した消費情報と既存物資情報とに基づいて、物資の過不足を推定する。
【0060】
また、推定部120は、属性ごとの避難者の人数及び備蓄される物資の数と、物資の過不足と、の関係が予め学習された学習モデルを利用して、避難所において必要な物資の過不足を推定してよい。この場合、推定部120は、集計された属性ごとの避難者の人数と既存物資情報とを学習モデルに入力することにより、物資の過不足を推定する。
【0061】
図7は、物資の過不足を示す情報の一例を示す図である。図7の例では、物資の種類と既存物資の数量と想定消費数と物資の過不足とが関連付けられた情報が示される。例えば「水」は、既存物資の数量が「100」であり、想定消費数が「200」である。また「水」の過不足は「-100」と示される。すなわち、「水」の数量が100足りないことが示される。
【0062】
出力制御部130は、推定された物資の過不足を示す情報を出力装置に出力させる。例えば、出力制御部130は、物資の過不足を示す情報をディスプレイに表示させる。なお、出力制御部130は、図7に示すように、各物資の過不足をすべて出力させてもよいし、一部の物資の過不足を出力させてもよい。例えば、出力制御部130は、各物資のうち、不足している物資について、物資の種類と不足している数量とを出力させてもよい。
【0063】
[避難支援システム1000の動作例]
次に、避難支援システム1000の動作の一例を、図8を用いて説明する。図8は、避難支援システム1000の動作の一例を示すシーケンス図である。
【0064】
まず管理装置200の受付部210は、避難者情報を受け付ける(S101)。このとき上述したように、避難者情報は、管理装置200のユーザが入力した情報、撮影画像から推定される情報、生体認証の結果に基づく情報、及び、公的証明書から読み取り可能な情報のいずれであってもよい。送信制御部220は、記憶装置230から既存物資情報を読み出す(S102)。そして、送信制御部220は、避難者情報と既存物資情報とを避難支援装置100に送信する(S103)。このとき避難者情報と既存物資情報とは、人工衛星を介して避難支援装置100に送信される。
【0065】
避難支援装置100の取得部110は、人工衛星を介して避難者情報と既存物資情報とを取得する(S104)。推定部120は、避難者情報に基づいて、避難者の人数を集計する(S105)。このとき推定部120は、避難者の属性ごとの人数も集計してよい。また、推定部120は、物資の過不足を推定する(S106)。そして、出力制御部130は、推定された物資の過不足を示す情報を、出力装置に出力させる(S107)。
【0066】
なお、避難支援システム1000の動作は上述の例に限られない。例えば、S101の処理とS102の処理の順番は逆であってもよい。
【0067】
このように、第2の実施形態の避難支援システム1000は、管理装置200と避難支援装置100とを含む。管理装置200は、避難所に設置され、避難所にいる避難者に関する避難者情報の入力を受け付け、避難者情報と、予め記憶された、避難所に存在する物資を示す既存物資情報と、を送信する。また、避難支援装置100は、既存物資情報と、避難者情報と、を管理装置200から人工衛星を介して取得する。そして、避難支援装置100は、既存物資情報と避難者情報とに基づいて、避難所に対して必要な物資の過不足を推定し、推定された物資の過不足を示す情報を出力装置に出力させる。
【0068】
避難所から発信される情報を、基地局や中継局等の地上系の通信網のみを用いて取得する場合、災害によって基地局等が被災すると安定して情報を取得することができない。これに対して、避難支援装置100は、避難所に設置された管理装置200から、避難者情報等を、人工衛星を介して取得する。これにより、避難支援装置100は、地上系の通信網のみを用いる場合と比べて、災害時にも安定して情報を取得することができる。そのため、避難支援装置100は、より正確に物資の過不足を推定することができる。よって、避難支援装置100のユーザは、推定された物資の過不足に基づく物資の発注等、適切な避難対応を行うことができる。すなわち、避難支援装置100は、避難対応を支援することができる。
【0069】
[変形例1]
避難支援装置100は、更なる情報を利用して物資の過不足を推定してよい。
【0070】
例えば、取得部110は、配送予定情報を取得してもよい。配送予定情報は、避難所に対して配送される予定の物資を示す情報である。例えば、配送予定情報は、避難所に対して配送される予定の物資の種類と数量とが対応づけられた情報である。さらに配送予定情報には、配送先の避難所の避難所識別情報が含まれる。配送予定情報は、避難支援装置100が有する記憶装置、または、避難支援装置100と通信可能に接続される外部の装置に格納される。取得部110は、管理装置200から取得した避難所識別情報に基づいて配送予定情報を取得する。例えば、取得部110は、取得された避難所識別情報と同一の避難所識別情報を含む配送予定情報を取得する。なお、取得部110は、配送予定情報を、人工衛星を介さず取得してよい。
【0071】
推定部120は、既存物資情報と避難者情報と配送予定情報とに基づいて物資の過不足を推定する。例えば、避難者の人数と消費情報とが対応づけられた対応情報が、避難支援装置100が有する記憶装置に格納されているとする。推定部120は、集計した人数に対応する消費情報を特定する。そして、推定部120は、特定された消費情報に示された物資の想定消費数から、既存物資情報に示された物資の数と配送予定情報に示された物資の数との合計を減算することにより、物資の過不足を推定してよい。
【0072】
また、学習モデルを利用して物資の過不足が出力される場合、推定部120は、学習モデルにより出力された物資の過不足から、配送予定情報に示された物資の数を減算することにより、避難所に対して必要な物資の過不足を推定してもよい。
【0073】
このように、変形例1の避難支援装置100は、避難所に対して配送される予定の物資を示す配送予定情報を取得し、既存物資情報と、避難者情報と、配送予定情報と、に基づいて、避難所に対して必要な物資の過不足を推定する。
【0074】
避難所に配送するための物資が既に発注されている可能性がある。この場合、物資の種類によっては供給過多になる可能性がある。これに対して、変形例1の避難支援装置100は、配送される予定の物資を示す配送予定情報を考慮して物資の過不足を推定することができる。これにより、変形例1の避難支援装置100は、適切な物資の数量の推定を行うことができる。
【0075】
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態の避難支援装置について説明する。第3の実施形態では、特定の種類の物資について推定する例を説明する。なお、第1及び第2の実施形態と重複する内容は、一部説明を省略する。
【0076】
[避難支援システム1001の詳細]
図9は、避難支援システム1001の機能構成の一例を示すブロック図である。図9の例では、避難支援システム1001は、避難支援装置101と管理装置201とを備える。第1及び第2の実施形態と同様に、避難支援装置101と管理装置201とは、無線又は有線のネットワークを介して通信可能に接続される。このとき、避難支援装置101と管理装置201とは、少なくとも人工衛星を介して通信可能に接続される。
【0077】
管理装置201は、管理装置200の処理に加え、以下に説明する処理を行ってよい。
【0078】
管理装置201は、受付部211と送信制御部221とを備える。さらに管理装置201は、記憶装置230を有する。
【0079】
受付部211は、避難者を識別する識別情報の入力を受け付けてよい。識別情報は、所定の文字列または符号列であってよい。この場合、例えば、管理装置201のユーザまたは避難者が、入力デバイスを利用して識別情報を入力することにより、受付部211は、識別情報を受け付けてよい。
【0080】
また、識別情報は、公的証明書に搭載される証明情報であってよい。証明情報は、公的証明書の有効性を示す情報である。例えば証明情報は、外部の認証局等から発行された電子証明書である。マイナンバーカード等のICチップを含む公的証明書には、当該ICチップに電子証明書が搭載される。証明情報には、公的証明書に記載される個人情報が含まれてもよい。
【0081】
管理装置201は、ICチップを読み取り可能な読み取り装置を有するコンピュータと通信可能に接続される。識別情報が証明情報である場合、当該読み取り装置に公的証明書がかざされることにより、読み取り装置は、ICチップから証明情報を読み取る。そして、読み取られた証明情報は、コンピュータを介して管理装置201に送信される。受付部211は、送信された証明情報を、識別情報として受け付ける。
【0082】
なお、読み取り装置は、公的証明書の機能を有する携帯端末がかざされることにより、証明情報を読み取ってもよい。例えば、上述した電子証明書が搭載された携帯端末は、公的証明書の機能を有する端末となる。このような公的証明書の機能を有する端末は、公的証明書一体型端末と呼ばれることもある。例えば、マイナンバーカードの電子証明書を搭載した携帯端末は、マイナンバーカードの機能を有し、マイナンバーカード一体型端末と呼ばれることもある。読み取り装置は、例えばこのような公的証明書一体型端末から証明情報を読み取ってもよい。
【0083】
送信制御部221は、識別情報を避難支援装置101に送信する。例えば、送信制御部221は、避難所にいる避難者であって、少なくとも一以上の識別情報を、避難支援装置101に送信する。このとき送信制御部221は、例えば、識別情報を避難所識別情報とともに送信する。また、送信制御部221は、既存物資情報及び避難者情報の少なくともいずれかとともに識別情報を送信してもよい。
【0084】
避難支援装置101は、避難支援装置100の処理に加え、以下に説明する処理を行ってよい。
【0085】
避難支援装置101は、取得部111と推定部121と出力制御部130とを備える。取得部111は、識別情報を取得する。より具体的には、取得部111は、避難者の識別情報を管理装置201から人工衛星を介して取得する。
【0086】
推定部121は、識別情報に基づいて医療情報を取得する。医療情報とは、人物が受けた医療行為に関する情報を示す。例えば、医療情報は、人物に対して処方された医薬品に関する情報を含む。人物に対して処方された医薬品に関する情報の一例は、お薬手帳である。これに限らず、医療情報には、人物の通院している病院に関する情報、人物の既往歴、及び治療中の怪我及び病気に関する情報等が含まれてもよい。
【0087】
医療情報は、識別情報と関連付けて格納される。例えば、医療情報と識別情報とが関連付けられたデータベースが存在する。データベースは、避難支援装置101と通信可能に接続される外部の装置に格納される。なお、データベースは、避難支援装置101が有していてもよい。推定部121は、取得部111によって取得された識別情報を利用して、当該識別情報と合致する医療情報をデータベースから取得する。このとき、避難所の管理装置201にて受け付けられた識別情報に基づいて医療情報が取得される。すなわち取得された医療情報は、避難者が受けた医療行為に関する情報である。
【0088】
そして、推定部121は、取得された医療情報を利用して、避難所に対して必要な物資の過不足を推定する。例えば、推定部121が、医療情報として、避難者に対して処方された医薬品に関する情報を取得したとする。このとき、推定部121は、当該医療情報に示された医薬品であって、所定期間に消費される医薬品の数(想定必要数)を推定する。例えば、所定期間を1週間とするならば、1週間で消費される医薬品の数を推定する。1日2回1錠服用する医薬品であれば、推定部121は、当該医薬品が14錠消費されると推定する。そして、推定部121は、既存物資情報に含まれる当該医薬品の数と推定された医薬品の想定必要数との差をとることにより、医薬品の過不足を推定する。このとき、既存物資情報に当該医薬品の情報が示されていない場合、推定部121は、医薬品の想定必要数が不足しているとしてよい。なお、推定方法はこの例に限られない、必要な医薬品が特定されたら、推定部121は、予め定められた数が不足していると推定してもよい。このように、推定部121は、避難所に対して必要な医薬品を含む物資の過不足を推定してよい。
【0089】
また、医療情報に基づいて物資の過不足を推定する例は、この例に限られない。例えば、推定部121が医療情報として治療中の怪我を示す情報を取得したとする。このとき推定部121は、怪我の治療に必要な医療用品の過不足を推定する。例えば、骨折の治療中の避難者がいる場合、推定部121は、ガーゼ、包袋、及びテープ等の医療用品の過不足を推定する。
【0090】
このように、推定部121は、取得された識別情報に基づいて、識別情報に関連付けられた、避難者が受けた医療行為に関する情報である医療情報を取得する。そして、推定部121は、医療情報をさらに利用して、避難所に対して必要な医療用品を含む物資を推定する。
【0091】
[避難支援システム1001の動作例]
次に、避難支援システム1001の動作の一例を、図10を用いて説明する。図10は、避難支援システム1001の動作の一例を示すシーケンス図である。
【0092】
まず管理装置201の受付部211は、識別情報の入力を受け付ける(S201)。例えば、受付部211は、公的証明書から読み取られた証明情報を識別情報として受け付ける。また、受付部211は、避難者情報を受け付ける(S202)。送信制御部221は、記憶装置230から既存物資情報を読み出す(S203)。そして、送信制御部221は、避難者情報と既存物資情報と識別情報とを避難支援装置101に送信する(S204)。
【0093】
避難支援装置101の取得部111は、人工衛星を介して避難者情報と既存物資情報と識別情報とを取得する(S205)。推定部121は、避難者情報に基づいて、避難者の人数を集計する(S206)。また、推定部121は、識別情報に基づいて医療情報を取得する(S207)。そして、推定部121は、物資の過不足を推定する(S208)。そして、出力制御部130は、推定された物資の過不足を示す情報を、出力装置に出力させる(S209)。
【0094】
このように、第3の実施形態の避難支援装置101は、避難者の識別情報を管理装置201から人工衛星を介して取得する。そして、避難支援装置101は、取得された識別情報に基づいて、識別情報に関連付けられた、避難者が受けた医療行為に関する情報である医療情報を取得し、医療情報をさらに利用して、避難所に対して必要な医療用品を含む物資の過不足を推定する。
【0095】
第3の実施形態において、例えば、医療情報は、避難者に対して処方された医薬品に関する情報を含む。このとき、避難支援装置101は、避難所に対して必要な医薬品を含む物資の過不足を推定する。
【0096】
これにより、避難支援装置101は、必要な医療用品を示す情報も出力できる。さらに、避難支援装置101は、実際に避難者が受けた医療行為に関する情報を利用するので、より正確に医療用品を含む物資の過不足を推定できる。
【0097】
[変形例2]
推定された物資の過不足を示す情報や、集計された避難者情報等は、避難指示情報の生成に利用可能である。
【0098】
避難指示情報は、住民に避難を促すための情報である。避難指示情報には、発生した災害の種類を示す情報、災害の発生場所、及び、避難を促す地域を示す情報等が含まれる。避難指示情報は、インターネット、テレビ放送、及びラジオ放送等を通じて出力される。例えば、避難指示情報は、スマートフォン及び携帯電話等の携帯端末、及び、テレビに出力される。
【0099】
図11は、変形例2の避難支援システム1001の機能構成の一例を示すブロック図である。図11に示すように、避難支援装置101は、生成部140を備えてよい。生成部140は、生成手段の一例である。
【0100】
生成部140は、避難指示情報を生成する。このとき、生成部140は、集計された避難者情報に基づいて、避難すべき避難所を示す避難指示情報を生成する。例えば、生成部140は、複数の避難所のうち、避難者の数が定員として定められている人数未満の避難所を特定する。そして、生成部140は、特定された避難所に避難する旨を示す避難指示情報を生成する。
【0101】
また、生成部140は、推定された物資の過不足を示す情報に基づいて、避難すべき避難所を示す避難指示情報を生成してよい。例えば、生成部140は、複数の避難所のうち、不足している物資の種類及び物資の数が所定の閾値未満である避難所を特定する。そして、生成部140は、特定された避難所に避難する旨を示す避難指示情報を生成する。
【0102】
このように、避難支援装置101は、推定された物資の過不足を示す情報及び避難者情報の少なくともいずれかに基づいて、避難すべき避難所を示す避難指示情報を生成する。これにより、避難支援装置101は、物資の不足数が多い避難所や、避難者が多い避難所でない避難所を、まだ避難していない住民に知らせることができる。
【0103】
<避難支援装置のハードウェアの構成例>
上述した第1、第2、及び第3の実施形態の避難支援システムを構成するハードウェアについて説明する。図12は、各実施形態における避難支援システムを構成するコンピュータ装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。コンピュータ装置90において、各実施形態及び各変形例で説明した、避難支援システム及び避難支援方法が実現される。例えば、各実施形態及び各変形例で説明した、避難支援装置、及び管理装置のそれぞれが、図12に示すハードウェア構成を有していてよい。
【0104】
図12に示すように、コンピュータ装置90は、プロセッサ91、RAM(Random Access Memory)92、ROM(Read Only Memory)93、記憶装置94、入出力インタフェース95、バス96、及びドライブ装置97を備える。なお、避難支援装置及び管理装置は、複数の電気回路によって実現されてもよい。
【0105】
記憶装置94は、プログラム(コンピュータプログラム)98を格納する。プロセッサ91は、RAM92を用いて本避難支援装置のプログラム98を実行する。具体的には、例えば、プログラム98は、図3図8、及び図10に示す処理をコンピュータに実行させるプログラムを含む。プロセッサ91が、プログラム98を実行することに応じて、本避難支援システムの各構成の機能が実現される。プログラム98は、ROM93に記憶されていてもよい。また、プログラム98は、記憶媒体80に記録され、ドライブ装置97を用いて読み出されてもよいし、図示しない外部装置から図示しないネットワークを介してコンピュータ装置90に送信されてもよい。
【0106】
入出力インタフェース95は、周辺機器(キーボード、マウス、表示装置など)99とデータをやり取りする。入出力インタフェース95は、データを取得または出力する手段として機能する。バス96は、各構成を接続する。
【0107】
なお、避難支援システムの実現方法には様々な変形例がある。例えば、避難支援装置及び管理装置は、それぞれ専用の装置として実現することができる。また、避難支援装置及び管理装置は、それぞれ複数の装置の組み合わせに基づいて実現することができる。
【0108】
各実施形態の機能における各構成を実現するためのプログラムを記憶媒体に記録させ、該記憶媒体に記録されたプログラムをコードとして読み出し、コンピュータにおいて実行する処理方法も各実施形態の範疇に含まれる。すなわち、コンピュータ読取可能な記憶媒体も各実施形態の範囲に含まれる。また、上述のプログラムが記録された記憶媒体、及びそのプログラム自体も各実施形態に含まれる。
【0109】
該記憶媒体は、例えばフロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD(Compact Disc)-ROM、磁気テープ、不揮発性メモリカード、またはROMであるが、この例に限られない。また該記憶媒体に記録されたプログラムは、単体で処理を実行しているプログラムに限らず、他のソフトウェア、拡張ボードの機能と共同して、OS(Operating System)上で動作して処理を実行するプログラムも各実施形態の範疇に含まれる。
【0110】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【0111】
また、上記実施形態及び変形例は、適宜組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0112】
100、101 避難支援装置
110、111 取得部
120、121 推定部
130 出力制御部
140 生成部
200、201 管理装置
210、211 受付部
220、221 送信制御部
230 記憶装置
1000、1001 避難支援システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12