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特開2024-49437避難支援装置、避難支援方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049437
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】避難支援装置、避難支援方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/26 20240101AFI20240403BHJP
   G08B 27/00 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
G06Q50/26 300
G08B27/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155664
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 裕央
(72)【発明者】
【氏名】廣江 信雄
(72)【発明者】
【氏名】加藤 友梨
(72)【発明者】
【氏名】中西 拓己
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 和史
【テーマコード(参考)】
5C087
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5C087AA02
5C087AA03
5C087AA25
5C087DD02
5C087EE07
5C087EE14
5C087FF01
5C087FF02
5C087GG08
5C087GG66
5C087GG68
5C087GG82
5C087GG83
5L049CC35
5L050CC35
(57)【要約】
【課題】 災害発生時の避難対応において、訪問すべき場所を示す情報を提供することが可能な避難支援装置等を提供することを目的の一つとする。
【解決手段】 本開示の一態様にかかる避難支援装置は、端末の位置情報を取得する位置情報取得手段と、取得された前記位置情報が災害発生地域内である場合、当該位置情報に対応する建物を特定する特定手段と、公益事業のサービスの使用量を計測する計器であって、特定された前記建物に設置された計器の稼働状況を取得する稼働状況取得手段と、前記稼働状況に応じて、前記建物に人物がいるか否かを判定する判定手段と、を備える。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
取得された前記位置情報が災害発生地域内である場合、当該位置情報に対応する建物を特定する特定手段と、
公益事業のサービスの使用量を計測する計器であって、特定された前記建物に設置された計器の稼働状況を取得する稼働状況取得手段と、
前記稼働状況に応じて、前記建物に人物がいるか否かを判定する判定手段と、を備える、
避難支援装置。
【請求項2】
前記稼働状況に災害発生以降の単位時間あたりのサービスの使用量が示され、
前記判定手段は、当該単位時間あたりのサービスの使用量が閾値以上となっている場合、前記建物に人物がいると判定する、
請求項1に記載の避難支援装置。
【請求項3】
前記稼働状況取得手段は、特定された前記建物から所定の範囲に存在する建物である近隣建物に設置された計器の稼働状況を取得し、
前記判定手段は、特定された前記建物の計器の稼働状況と、前記近隣建物の計器の稼働状況と、を比較することにより、特定された前記建物に人物がいるか否か判定する、
請求項1に記載の避難支援装置。
【請求項4】
前記稼働状況取得手段は、特定された前記建物が、複数の住居を有する集合住宅の場合、特定された前記建物に設置された複数の計器のそれぞれの稼働状況を取得し、
前記判定手段は、取得されたそれぞれの稼働状況から、特定された前記建物のうちの複数の住居のそれぞれについて人物がいるか否かを判定する、
請求項1乃至3のいずれかに記載の避難支援装置。
【請求項5】
前記人物がいると判定された建物を、訪問すべき場所として決定する決定手段をさらに備える、
請求項1に記載の避難支援装置。
【請求項6】
前記端末に避難指示に関する通知を行う通知手段をさらに備え、
前記通知手段は、前記人物がいると判定された建物に対応する位置情報を発信した端末に、前記避難指示に関する通知を行い、
前記決定手段は、前記避難指示に関する通知が行われた端末から返信が無かった場合に、前記人物がいると判定された建物を前記訪問すべき場所として決定する、
請求項5に記載の避難支援装置。
【請求項7】
前記決定手段は、前記人物がいると判定された建物に対応する位置情報を発信した端末の、所有者が所定の条件を満たす場合、前記人物がいると判定された建物を前記訪問すべき場所として決定する、
請求項5に記載の避難支援装置。
【請求項8】
地域ごとの想定される被災の程度を示す災害状況情報を取得し、当該災害状況情報に基づいて、所定の地点から決定された前記訪問すべき場所までのルートを算出するルート算出手段をさらに備える、
請求項5乃至7のいずれかに記載の避難支援装置。
【請求項9】
端末の位置情報を取得し、
取得された前記位置情報が災害発生地域内である場合、当該位置情報に対応する建物を特定し、
公益事業のサービスの使用量を計測する計器であって、特定された前記建物に設置された計器の稼働状況を取得し、
前記稼働状況に応じて、前記建物に人物がいるか否かを判定する、
避難支援方法。
【請求項10】
端末の位置情報を取得する処理と、
取得された前記位置情報が災害発生地域内である場合、当該位置情報に対応する建物を特定する処理と、
公益事業のサービスの使用量を計測する計器であって、特定された前記建物に設置された計器の稼働状況を取得する処理と、
前記稼働状況に応じて、前記建物に人物がいるか否かを判定する処理と、をコンピュータに実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、災害発生時の避難対応を支援する技術に関連する。
【背景技術】
【0002】
災害が発生した場合、各種の避難対応が行われる。避難対応の一例としては、災害が発生した地域から人物を避難させることが挙げられる。
【0003】
人物を避難させることに関連する技術が特許文献1に開示される。特許文献1に開示される技術では、被災地域において動けない被災者が所持している携帯電話が発する携帯電波と測位衛星の測距信号とから携帯電話の位置を算出することで、被災者の位置特定を行う。すなわち、特許文献1に開示される技術では、携帯電話の位置から人物の存在を推定し、当該人物を避難させる。
【0004】
また、人物の存在の推定に関連して、特許文献2には、生活基盤サービスの使用量に基づいて、各家庭の将来の在宅状況を予測する技術が開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-224306号公報
【特許文献2】特開2017-219975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、避難指示が発令されている地域にもかかわらず、当該地域から避難しない人物がいる可能性がある。このような場合に、避難対応として、自治体の職員等が、災害が発生した地域の住宅に訪問することがある。例えば職員は、住宅に人物が存在するか否か確認し、人物が存在する場合、当該人物に避難を促す。
【0007】
ここで、住宅に人物が存在するかどうかわからない場合、職員はすべての住宅を訪問する必要がある。しかしながら、職員が、災害が発生した地域のすべての住宅を訪問することは、職員にとって負担となる。
【0008】
本開示は、上記課題を鑑みてなされたものであり、災害発生時の避難対応において、訪問すべき場所を示す情報を提供することが可能な避難支援装置等を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様にかかる避難支援装置は、端末の位置情報を取得する位置情報取得手段と、取得された前記位置情報が災害発生地域内である場合、当該位置情報に対応する建物を特定する特定手段と、公益事業のサービスの使用量を計測する計器であって、特定された前記建物に設置された計器の稼働状況を取得する稼働状況取得手段と、前記稼働状況に応じて、前記建物に人物がいるか否かを判定する判定手段と、を備える。
【0010】
本開示の一態様にかかる避難支援方法は、端末の位置情報を取得し、取得された前記位置情報が災害発生地域内である場合、当該位置情報に対応する建物を特定し、公益事業のサービスの使用量を計測する計器であって、特定された前記建物に設置された計器の稼働状況を取得し、前記稼働状況に応じて、前記建物に人物がいるか否かを判定する。
【0011】
本開示の一態様にかかるプログラムは、端末の位置情報を取得する処理と、取得された前記位置情報が災害発生地域内である場合、当該位置情報に対応する建物を特定する処理と、公益事業のサービスの使用量を計測する計器であって、特定された前記建物に設置された計器の稼働状況を取得する処理と、前記稼働状況に応じて、前記建物に人物がいるか否かを判定する処理と、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、災害発生時の避難対応において、訪問すべき場所を示す情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1の実施形態の避難支援装置を含む構成の一例を模式的に示す図である。
図2】第1の実施形態の避難支援装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図3】第1の実施形態の避難支援装置の動作の一例を説明するフローチャートである。
図4】第2の実施形態の避難支援システムの構成の一例を示すブロック図である。
図5】第2の実施形態の建物を特定する方法の一例を説明する図である。
図6】第2の実施形態の避難支援装置の動作の一例を説明するフローチャートである。
図7】第3の実施形態の避難支援システムの構成の一例を示すブロック図である。
図8】第3の実施形態の関連情報の一例を示す図である。
図9】第3の実施形態の端末に表示された避難指示情報の一例である。
図10】第3の実施形態の避難支援装置の動作の一例を説明するフローチャートである。
図11】第3の実施形態の避難支援装置の動作の他の例を説明するフローチャートである。
図12】第3の実施形態の変形例5の避難支援システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
図13】本開示の第1、第2、及び第3の実施形態の費用算出装置を実現するコンピュータ装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本開示の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0015】
<第1の実施形態>
第1の実施形態の避難支援装置の概要について説明する。
【0016】
図1は、避難支援装置100を含む構成の一例を模式的に示す図である。図1に示すように避難支援装置100は、端末200と管理装置400と、無線又は有線のネットワークを介して通信可能に接続される。
【0017】
端末200は、人物が所有する端末である。端末200は、一以上存在してよい。端末200は、複数の人物がそれぞれ所有する端末であってよい。例えば、端末200は、スマートフォン、タブレット端末、及び、パーソナルコンピュータ等である。端末200は、自機の位置情報を取得可能な装置であればよい。例えば端末200は、人工衛星からの測位信号を受信する測位信号受信装置を備える。測位信号受信装置は、例えば、GPS(Global Positioning System)衛星等のGNSS(Global Navigation Satellite System)の測位衛星から送信された測位信号を受信し、受信した信号に基づいて自機の位置を示す位置情報を取得する。このとき測位信号受信装置は、準天頂衛星から送信された測位信号も受信してよい。例えば、測位信号受信装置は、準天頂衛星でない測位衛星からの測位信号に加え、準天頂衛星からの測位信号を用いることにより、より安定した位置情報の測位を実現することができる。
【0018】
端末200は、自機の位置情報を避難支援装置100に送信する。このとき、端末200は、位置情報とともに端末200を識別する端末識別情報を送信してよい。
【0019】
計器300は、公益事業のサービスの使用量を計測する機器である。公益事業のサービスとは、電気、ガス、及び水道等、生活に用いられるライフラインを示す。本開示において、計器300によって計測される情報を、単に、サービスの使用量と称する。計器300は一以上存在する。計器300は、少なくとも建物ごとに設置される。建物が集合住宅の場合等、一の建物に対して複数の計器が設置される場合もある。計器300は、サービスの使用量を管理装置400に送信する。このとき、計器300は、識別情報とともにサービスの使用量を送信してもよい。この場合の識別情報は、計器300を識別する情報であってもよいし、サービスを使用した住居を識別する情報であってもよい。
【0020】
管理装置400は、サーバ等のコンピュータ装置である。管理装置400は、計器300からサービスの使用量を取得する。管理装置400は、建物ごとにサービスの使用量を関連付けて格納する。
【0021】
次に、避難支援装置100の機能構成の一例を説明する。図2は、避難支援装置100の機能構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、避難支援装置100は、位置情報取得部110と特定部120と稼働状況取得部130と判定部140とを備える。
【0022】
位置情報取得部110は、端末200の位置情報を取得する。位置情報取得部110は、位置情報取得手段の一例である。
【0023】
特定部120は、取得された位置情報に対応する建物を特定する。例えば、特定部120は、取得された位置情報が、災害発生地域であるか否かを判定する。災害発生地域は、災害が発生した地域、及び、災害が発生する可能性のある地域を含む。災害発生地域は、例えば、防災機関によって発信される警報等に示されるものであってよい。
【0024】
取得された位置情報が災害発生地域内である場合、特定部120は、当該位置情報に対応する建物を特定する。例えば、特定部120は、位置情報が示す位置に建てられた建物を、位置情報に対応する建物として特定する。
【0025】
このように、特定部120は、取得された位置情報が災害発生地域内である場合、当該位置情報に対応する建物を特定する。特定部120は、特定手段の一例である。
【0026】
稼働状況取得部130は、特定された建物における計器300の稼働状況を取得する。例えば、稼働状況取得部130は、管理装置400から、特定された建物に設置された計器300によって計測されたサービスの使用量を特定する。そして、稼働状況取得部130は、特定されたサービスの使用量に基づく計器300の稼働状況を取得する。このとき、稼働状況は、サービスの使用量そのものであってもよいし、単位時間あたりのサービスの使用量であってもよい。
【0027】
このように、稼働状況取得部130は、公益事業のサービスの使用量を計測する計器300であって、特定された建物に設置された計器300の稼働状況を取得する。稼働状況取得部130は、稼働状況取得手段の一例である。
【0028】
判定部140は、稼働状況から、建物に人物がいるか否かを判定する。建物に人物がいる場合、人物は、電気、ガス、及び水道等の公益事業のサービスを利用している可能性が高い。そのため、判定部140は、取得された計器300の稼働状況に基づいて、建物に人物がいるか否かを判定する。例えば、判定部140は、稼働状況から、計器300が稼働しているかどうか(すなわち、サービスが使用されているか否か)に応じて、建物に人物がいるか否かを判定してよい。また、例えば、取得された稼働状況にサービスの使用量が示されているとする。このとき判定部140は、当該サービスの使用量が閾値以上の場合、計器300が設置された建物に人物がいると判定してよい。また例えば、取得された稼働状況に単位時間あたりのサービスの使用量が示されているとする。このとき判定部140は、単位時間あたりのサービスの使用量が閾値以上の場合、計器300が設置された建物に人物がいると判定してよい。
【0029】
このように、判定部140は、稼働状況に応じて、建物に人物がいるか否かを判定する。判定部140は、判定手段の一例である。
【0030】
次に、避難支援装置100の動作の一例を、図3を用いて説明する。なお本開示において、フローチャートの各ステップを「S1」のように、各ステップに付した番号を用いて表現する。
【0031】
図3は、避難支援装置100の動作の一例を説明するフローチャートである。位置情報取得部110は、端末200の位置情報を取得する(S1)。特定部120は、取得された位置情報が災害発生地域内である場合、当該位置情報に対応する建物を特定する(S2)。稼働状況取得部130は、公益事業のサービスの使用量を計測する計器であって、特定された建物に設置された計器の稼働状況を取得する(S3)。そして、判定部140は、稼働状況に応じて、建物に人物がいるか否かを判定する(S4)。
【0032】
このように、第1の実施形態の避難支援装置100は、端末200の位置情報を取得し、取得された位置情報が災害発生地域内である場合、当該位置情報に対応する建物を特定する。そして避難支援装置100は、公益事業のサービスの使用量を計測する計器であって、特定された建物に設置された計器の稼働状況を取得し、稼働状況に応じて、建物に人物がいるか否かを判定する。
【0033】
これにより、避難支援装置100は、災害発生地域内の人物がいる建物の場所を推定することができる。そのため、例えば、自治体の職員が災害発生地域の住宅に訪問する際に、職員は、人物がいるとされる建物の場所を、訪問すべき場所として知ることができる。このように、避難支援装置100は、災害発生時の避難対応において、訪問すべき場所を示す情報を提供することができる。
【0034】
さらに、避難支援装置100は、端末200の位置情報と公益事業のサービスを計測する計器の稼働状況とを利用して人物がいるか否かを判定する。これは、単に所定の端末の位置情報のみを利用するよりも、人物がいるか否かを判定する精度を向上させることができる。
【0035】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態の避難支援装置について説明する。第2の実施形態では、第1の実施形態で説明した避難支援装置に関する更なる例を説明する。なお、第1の実施形態と重複する内容は、一部説明を省略する。
【0036】
図4は、避難支援システム1000の構成の一例を示すブロック図である。図4の例では、避難支援システム1000は、避難支援装置100と端末200と管理装置400とを備える。また、管理装置400は、計器300と通信可能に接続される。端末200と計器300とは複数存在してよい。
【0037】
避難支援装置100のユーザは、避難対応のために、災害発生地域の建物に訪問する人物である。当該ユーザは、例えば自治体の職員であるが、この例に限られない。警察及び自衛隊等の行政機関に所属する人物であってよい。本開示では避難支援装置100のユーザが自治体の職員であるとして説明する。
【0038】
避難支援装置100は、サーバ等のコンピュータであってよい。避難支援装置100は、例えば、役所等の自治体によって管理される施設に設置される。この例に限られず、避難支援装置100は、クラウド上で実現される装置であってよい。例えばユーザは、ユーザが操作するコンピュータと避難支援装置100とが通信可能に接続されることにより、避難支援装置100の機能を利用することが可能であってよい。
【0039】
管理装置400は、例えば、公益事業者によって管理されるサーバであってよい。管理装置400には、サービスの利用者ごとに、サービスの使用量と契約情報とが関連付けられたデータベースが格納される。契約情報には、サービスの利用者の氏名及び住所、並びに識別情報等が含まれる。
【0040】
[避難支援装置100の詳細]
図4に示すように、避難支援装置100は、位置情報取得部110と特定部120と稼働状況取得部130と判定部140とを備える。
【0041】
位置情報取得部110は、端末200の位置情報を取得する。端末200が複数存在する場合、位置情報取得部110は、複数の端末200のそれぞれの位置情報を取得する。
【0042】
位置情報取得部110は、定期的に端末200から位置情報を取得してもよいし、所定のタイミングでのみ端末200から位置情報を取得してよい。例えば、位置情報取得部110は、災害発生時に端末200の位置情報を取得してもよい。このとき、位置情報取得部110は、防災機関によって発信された危機管理情報を取得したことに応じて、端末200の位置情報を取得してよい。
【0043】
防災機関は、災害及び事故等に応じた危機管理を行う機関である。防災機関は、気象、消防、警察、及び防衛に関する行政機関であってもよいし、災害及び事故等を監視する民間機関であってもよい。危機管理情報は、災害が発生したこと、または、災害が発生する可能性があることを示す情報である。具体的には、危機管理情報は、災害の内容と対象地域とを示す情報を含む。危機管理情報は、例えば、地震発生の速報、気象に関する警報、及び、武力攻撃やテロに関する注意喚起等であってよい。位置情報取得部110は、例えば、このような危機管理情報が発信されたことを契機として位置情報を取得してよい。また、位置情報取得部110は、ユーザの操作を契機として位置情報を取得してもよい。
【0044】
特定部120は、地域判定部1201と建物特定部1202とを備える。地域判定部1201は、取得された位置情報が災害発生地域内であるか否かを判定する。地域判定部1201は、例えば、取得された位置情報が、危機管理情報に示される対象地域に含まれるか否かを判定する。すなわち、危機管理情報に示される対象地域を災害発生地域としてよい。また、地域判定部1201は、危機管理情報に示される対象地域のうち、より大きい被害が想定される地域を災害発生地域としてよい。例えば、対象地域のうち、ハザードマップにおいて想定される被害の程度が所定の閾値以上の地域を、災害発生地域としてよい。
【0045】
建物特定部1202は、取得された位置情報が災害発生地域内である場合、当該位置情報に対応する建物を特定する。例えば、建物特定部1202は、取得された位置情報に示された位置に建てられた建物を特定する。このとき、建物特定部1202は、地図情報を利用してよい。図5は、建物を特定する方法の一例を説明する図である。図5では、災害発生地域内の地図が示される。また、図5において、AからJのアルファベットが記載されたハッチング領域は、建物を示す。例えば、位置情報によって示された位置が位置aであるとする。このとき、位置aは建物Jの領域に含まれる。したがって、建物特定部1202は、位置aに対応する建物を建物Jとして特定する。
【0046】
また、建物特定部1202は、位置情報によって示された位置から所定の範囲内であって、最も近い位置の建物を、位置情報に対応する建物として特定してよい。図5の例では、位置bは、いずれの建物の領域内でない。一方で、位置bは、建物Iの領域に隣接している。このような場合、建物特定部1202は、位置bに対応する建物を建物Iとして特定してよい。これにより、建物特定部1202は、位置情報に誤差が発生している場合であっても、対応する建物を特定することができる。
【0047】
なお、建物特定部1202は、建物を特定する際に図5に示されるような地図を利用しなくともよい。建物特定部1202は、建物を識別する情報と、建物が存在する範囲を示す情報とが関連付けられた情報を利用すればよい。
【0048】
稼働状況取得部130は、特定された建物に設置された計器の稼働状況を取得する。具体的には、稼働状況取得部130は、建物特定部1202によって特定された建物に設置された計器によって計測されたサービスの使用量から、稼働状況を取得する。例えば、図5の例において、位置aに対応する建物Jが特定されたとする。このとき、稼働状況取得部130は、管理装置400のデータベースから建物Jに対応するサービスの使用量を特定する。そして、稼働状況取得部130は、例えば、現時点のサービスの使用量を稼働状況として取得してよい。現時点とは、例えば、位置情報が取得されてから所定時間以内を示す。
【0049】
また、稼働状況取得部130は、単位時間あたりのサービスの使用量を稼働状況として取得してよい。例えば稼働状況取得部130は、災害発生以降(すなわち危機管理情報が発信されて以降)であって、1日あたりのサービスの使用量を稼働状況として取得してよい。また、稼働状況取得部130は、災害発生前のサービスの使用量と災害発生後のサービスの使用量との差を稼働状況として取得してもよい。
【0050】
判定部140は、稼働状況が所定の条件を満たすか否かに応じて、建物に人物がいるか否かを判定する。例えば、稼働状況に1日あたりのサービスの使用量が示されている場合、判定部140は、当該使用量が所定の閾値以上の場合、特定された建物に人物がいると判定する。このように、稼働状況に災害発生以降の単位時間あたりのサービスの使用量が示される場合、判定部140は、当該単位時間あたりのサービスの使用量が閾値以上となっている場合、建物に人物がいると判定してよい。
【0051】
なお、判定結果を含む情報は、例えば、図示しない出力制御部によって、避難支援装置100と通信可能に接続されるディスプレイ等に出力される。出力される情報には、人物がいる建物の名称及び場所等を示す情報が含まれる。
【0052】
[避難支援装置100の動作例]
次に、避難支援装置100の動作の一例を、図6を用いて説明する。図6は、避難支援装置100の動作の一例を説明するフローチャートである。なお、本動作例においては、一の端末200が存在するとする。
【0053】
位置情報取得部110は、端末200の位置情報を取得する(S101)。地域判定部1201は、取得された位置情報が災害発生地域内であるか否かを判定する。位置情報が災害発生地域内で無い場合(S102の「No」)、避難支援装置100は処理を終了する。
【0054】
位置情報が災害発生地域内である場合(S102の「Yes」)、建物特定部1202は、取得された位置情報に対応する建物を特定する(S103)。稼働状況取得部130は、特定された建物に設置された計器の稼働状況を取得する(S104)。判定部140は、取得された稼働状況が所定の条件を満たすか否か判定する。取得された稼働状況が所定の条件を満たさない場合(S105の「No」)、避難支援装置100は処理を終了する。
【0055】
取得された稼働状況が所定の条件を満たす場合(S105の「Yes」)、判定部140は、特定された建物に人物がいると判定する。そして、避難支援装置100は、人物がいる建物の情報をディスプレイ等に出力させる(S106)。
【0056】
なお、避難支援装置100の動作は上述の例に限られない。例えば、複数の端末200が存在する場合、S101の処理において、位置情報取得部110は、複数の端末200の位置情報を取得する。そして、避難支援装置100は、取得された位置情報ごとにS102からS105の処理を行ってよい。
【0057】
このように、第2の実施形態の避難支援装置100は、端末200の位置情報を取得し、取得された位置情報が災害発生地域内である場合、当該位置情報に対応する建物を特定する。そして避難支援装置100は、公益事業のサービスの使用量を計測する計器であって、特定された建物に設置された計器の稼働状況を取得し、稼働状況に応じて、建物に人物がいるか否かを判定する。
【0058】
これにより、避難支援装置100は、災害発生地域内の人物がいる建物の場所を推定することができる。そのため、例えば、自治体の職員が災害発生地域の住宅に訪問する際に、職員は、人物がいるとされる建物の場所を、訪問すべき場所として知ることができる。このように、避難支援装置100は、災害発生時の避難対応において、訪問すべき場所を示す情報を提供することができる。
【0059】
さらに、避難支援装置100は、端末200の位置情報と公益事業のサービスを計測する計器の稼働状況とを利用して人物がいるか否かを判定する。これは、単に所定の端末の位置情報のみを利用するよりも、人物がいるか否かを判定する精度を向上させることができる。
【0060】
[変形例1]
端末200は、上述した例に限られない。例えば、端末200は、帽子及び靴等の衣服に取り付けられた装置であってよい。また、端末200は、防災バッグ等の鞄に取り付けられた装置であってもよい。さらに、端末200は、人体に埋め込み可能なマイクロチップであってもよい。
【0061】
[変形例2]
管理装置400は、避難支援装置100が有する装置であってよい。すなわち、避難支援装置100は、定期的に計器300からサービスの使用量を取得し、避難支援装置100が有する管理装置にサービスの使用量を格納してよい。この場合、第2の実施形態の例では、管理装置400は、役所等の自治体によって管理される装置であってよい。
【0062】
[変形例3]
建物が集合住宅等の場合、一の建物に対して複数の計器300が設置されることがある。例えば、建物特定部1202によって特定された建物が集合住宅であったとする。この場合、稼働状況取得部130は、特定された建物に設置された複数の計器300のそれぞれの稼働状況を取得する。
【0063】
判定部140は、取得された稼働状況のそれぞれについて判定を行う。そして判定部140は、取得された稼働状況のうちの少なくともいずれかが所定の条件を満たす場合、特定された建物に人物がいると判定してよい。
【0064】
このように、変形例3の避難支援装置100は、特定された建物が、複数の住居を有する集合住宅の場合、特定された建物に設置された複数の計器のそれぞれの稼働状況を取得する。そして、避難支援装置100は、取得されたそれぞれの稼働状況から、特定された建物のうちの複数の住居のそれぞれについて人物がいるか否かを判定する。これにより、避難支援装置100は、建物が集合住宅であっても、建物に人物がいるか否かを判定することができる。さらに、避難支援装置100は、複数の稼働状況のそれぞれについて判定を行うので、特定された建物のうちのいずれの住居に人物がいるかを特定することもできる。
【0065】
[変形例4]
建物に人物がいるか否かを判定する手法は上述の例に限られない。例えば、稼働状況取得部130は、特定された建物の近隣の建物である近隣建物に設置された計器300の稼働状況を取得する。近隣建物とは、災害発生地域内の建物であって、特定された建物から所定の範囲に存在する建物であってよい。稼働状況取得部130は、複数の近隣建物のそれぞれに設置された計器300の稼働状況を取得してよい。
【0066】
そして、判定部140は、特定された建物の計器300の稼働状況と、近隣建物の計器300の稼働状況を比較することによって特定された建物に人物がいるか否かを判定してよい。災害発生時であれば、多数の人物が避難することが想定される。そして、避難している人物の建物では、サービスの使用量が、避難していない人物の建物に比べて多いことが考えられる。そのため、判定部140は、特定された建物の計器300が、近隣建物の計器300よりも頻繁に稼働していれば、特定された建物に人物がいると判定可能である。
【0067】
このように、変形例4の避難支援装置100は、特定された建物から所定の範囲に存在する建物である近隣建物に設置された計器300の稼働状況を取得し、特定された建物の計器300の稼働状況と、周辺建物の計器300の稼働状況と、を比較することにより、特定された建物に人物がいるか否か判定してよい。
【0068】
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態の避難支援装置について説明する。第3の実施形態では、訪問すべき場所を決定する際の更なる例を説明するなお、第1及び第2の実施形態と重複する内容は、一部説明を省略する。
【0069】
図7は、避難支援システム1001の構成の一例を示すブロック図である。図7の例では、避難支援システム1001は、避難支援システム1000のうち、避難支援装置100が避難支援装置101に代わっている。すなわち、避難支援システム1001は、避難支援装置101と端末200と管理装置400とを備える。また、管理装置400は、計器300と通信可能に接続される。端末200と計器300とは複数存在してよい。
【0070】
[避難支援装置101の詳細]
避難支援装置101は、避難支援装置100の機能に加え、以下に説明する機能を有してよい。
【0071】
避難支援装置101は、位置情報取得部110と特定部120と稼働状況取得部130と判定部140と決定部150と通知部160と出力制御部170とを備える。
【0072】
決定部150は、人物がいると判定された建物を、訪問すべき場所として決定する。決定部150は、決定手段の一例である。例えば、決定部150は、判定部140によって人物がいると判定された場合、人物がいると判定された建物を、訪問すべき場所として決定する。
【0073】
また決定部150は、人物がいると判定された建物をすべて訪問すべき場所として決定しなくてもよい。すなわち決定部150は、人物がいると判定された建物が複数ある場合、複数の建物のうちの一部の建物を訪問すべき場所として決定してよい。このとき決定部150は、位置情報を発信した端末200の端末識別情報に基づいて取得可能な情報から、訪問すべき場所を決定する。例えば、決定部150は、関連情報から、端末識別情報に関連付けられた情報を特定する。関連情報は、端末識別情報に関連付けられた端末200の所有者に関する情報を含む情報である。
【0074】
図8は、関連情報の一例を示す図である。図8の例において、人物がいると判定された建物に対応する位置情報を発信した端末200の端末識別情報が「a1」である場合、決定部150は、端末識別情報「a1」に関連付けられた所有者識別情報「x1」を特定する。ここで所有者識別情報は、端末200を所有する人物を一意に定める情報である。所有者識別情報は、マイナンバー等、数字や記号等で表される文字列であってよい。また、所有者識別情報は、氏名であってもよい。決定部150は、特定された所有者識別情報に関連付けられる、所有者の個人情報を取得する。この場合の個人情報は、例えば、所有者の年齢及び障害の有無である。個人情報は、住民基本台帳等の人物の情報が管理される情報から取得可能である。
【0075】
決定部150は、例えば所有者の年齢が70歳以上である場合、当該所有者の端末200から発信された位置情報に対応する建物であって、人物がいると判定された建物を、訪問すべき場所として決定する。また、決定部150は、例えば所有者が特定の障害を有している場合、当該所有者の端末200から発信された位置情報に対応する建物であって、人物がいると判定された建物を、訪問すべき場所として決定する。
【0076】
このように、決定部150は、人物がいると判定された建物に対応する位置情報を、発信した端末200の所有者が所定の条件を満たす場合、人物がいると判定された建物を訪問すべき場所として決定してよい。
【0077】
なお、上述の例に限られず、決定部150は、端末識別情報に関連付けられた情報から訪問すべき場所を決定してよい。例えば、関連情報が、端末識別情報とフラグとが関連付けられた情報を示すとする。決定部150は、例えば位置情報を発信した端末200の端末識別情報に対するフラグが立っているか否かに応じて、訪問すべき場所を決定してよい。
【0078】
また、決定部150は、後述する通知部160による通知に応じて、訪問すべき場所を決定してよい。
【0079】
通知部160は、端末200に通知を行う。具体的には、災害発生地域内の位置情報を発信した端末200に避難指示に関する通知を行う。このとき、通知部160は、人物がいると判定された建物に対応する位置情報を発信した端末200に、通知を行ってよい。端末200は、通知を受信すると避難指示情報を表示する。
【0080】
図9は、端末200に表示された避難指示情報の一例である。図9の例では、「災害発生地域です。避難してください。」という避難を促す情報が示されている。また、この例では最寄りの避難所の場所を示す地図も示されている。最寄りの避難所の場所は、端末200の位置情報から算出可能である。このように、通知部160は、避難を促す情報と避難所の場所を示す情報とを含むような、避難指示に関する通知を行ってよい。
【0081】
また、図9では「返信」のマークが避難指示情報に含まれる。このように、通知部160は、端末200から返信可能な通知を行う。例えば、「返信」のマークが選択されることにより端末200から自動的に返信が行われる。
【0082】
決定部150は、通知が行われた端末200から返信が無かった場合に、訪問すべき場所を決定してよい。より具体的には、人物がいると判定された建物のうち、当該建物に対応する位置情報を発信した端末200から、通知に対する返信が無かった場合に、決定部150は、当該建物を訪問すべき場所として決定してよい。
【0083】
出力制御部170は、各種情報を出力装置に出力させる。例えば、出力制御部170は、決定部150により決定された、訪問すべき場所を示す情報を出力装置に出力させる。出力装置は、例えば、避難支援装置101と通信可能に接続されたディスプレイ又はプロジェクタ等を含む装置である。
【0084】
[避難支援装置101の動作例1]
次に避難支援装置101の動作の一例を、図10を用いて説明する。図10は、避難支援装置101の動作の一例を説明するフローチャートである。なお、本動作例では、端末200の所有者に関する情報に基づいて、訪問すべき場所を決定する例を説明する。また、本動作例においては、一の端末200が存在するとする。
【0085】
位置情報取得部110は、端末200の位置情報と端末識別情報とを取得する(S201)。S202からS205の処理は、S102からS105の処理と同様であるため記載を一部省略する。
【0086】
取得された稼働状況が所定の条件を満たす場合(S205の「Yes」)、判定部140は、特定された建物に人物がいると判定する。そして、決定部150は、特定された建物に対応する位置情報を発信した端末200の端末識別情報に基づいて、関連情報から、当該端末識別情報に関連付けられた所有者識別情報を特定する(S206)。決定部150は、所有者識別情報に関連付けられた個人情報を取得する(S207)。取得された個人情報から、所有者が所定の条件を満たさない場合(S208の「No」)、避難支援装置101は、処理を終了する。
【0087】
取得された個人情報から、所有者が所定の条件を満たす場合(S208の「Yes」)、決定部150は、特定された建物を、訪問すべき場所として決定する(S209)。所定の条件とは、例えば、所有者が70歳以上であるか否かであってよい。取得された個人情報から、所有者が70歳以上であると判別される場合、決定部150は、特定された建物を訪問すべき場所として決定する。
【0088】
そして、出力制御部170は、訪問すべき場所を示す情報を、避難支援装置101と通信可能に接続される出力装置に出力させる(S210)。
【0089】
なお、避難支援装置101の動作は上述の例に限られない。例えば、複数の端末200が存在する場合、S201の処理において、位置情報取得部110は、複数の端末200の位置情報と端末識別情報とを取得する。また、避難支援装置101は、取得された位置情報ごとにS202からS209の処理を行ってよい。そして、避難支援装置101は、S210の処理において、訪問すべき場所のすべてを示す情報を出力装置に出力させてよい。
【0090】
[避難支援装置101の動作例2]
次に避難支援装置101の動作の他の例を、図11を用いて説明する。図11は、避難支援装置101の動作の他の例を説明するフローチャートである。なお、本動作例では、通知に対する返信に応じて、訪問すべき場所を決定する例を説明する。また、本動作例においては、一の端末200が存在するとする。
【0091】
位置情報取得部110は、端末200の位置情報と端末識別情報とを取得する(S301)。S302からS305の処理は、S102からS105の処理と同様であるため記載を一部省略する。
【0092】
取得された稼働状況が所定の条件を満たす場合(S305の「Yes」)、判定部140は、特定された建物に人物がいると判定する。そして、通知部160は、端末200に避難指示に関する通知を行う(S306)。このとき、通知部160は、人物がいると判定された建物に対応する位置情報であって、当該位置情報を発信した端末200に通知を行う。そして、通知を行った端末200から、所定時間以内に返信があった場合(S307の「Yes」)、避難支援装置101は、処理を終了する。すなわち、避難支援装置101は、人物がいると判定された建物であっても訪問すべき建物としなくてよい。
【0093】
通知を行った端末200から、所定時間以内に返信が無かった場合(S307の「No」)、決定部150は、特定された建物を訪問すべき場所として決定する(S308)。すなわち、人物がいると判定された建物がある場合であって、当該建物に対応する位置情報を発信した端末200から通知に対する返信が無かった場合に、決定部150は、人物がいると判定された建物を、訪問すべき場所として決定する。
【0094】
そして、出力制御部170は、訪問すべき場所を示す情報を、避難支援装置101と通信可能に接続される出力装置に出力させる(S309)。
【0095】
なお、避難支援装置101の動作は上述の例に限られない。例えば、複数の端末200が存在する場合、S301の処理において、位置情報取得部110は、複数の端末200の位置情報と端末識別情報とを取得する。また、避難支援装置101は、取得された位置情報ごとにS302からS308の処理を行ってよい。そして、避難支援装置101は、S309の処理において、訪問すべき場所のすべてを示す情報を出力装置に出力させてよい。
【0096】
このように、第3の実施形態の避難支援装置101は、人物がいると判定された建物に対応する位置情報を発信した端末に、避難指示に関する通知を行う。そして、避難支援装置101は、避難指示に関する通知が行われた端末から返信が無かった場合に、人物がいると判定された建物を訪問すべき場所として決定する。
【0097】
通知に対して返信がなかった場合、端末200の所有者は、動ける状態にない可能性がある。これに対して避難支援装置101は、そのような人物がいると推定される場所を優先的に訪問させることができる。
【0098】
また、第3の実施形態の避難支援装置101は、人物がいると判定された建物に対応する位置情報を発信した端末の、所有者が所定の条件を満たす場合、人物がいると判定された建物を訪問すべき場所として決定する。
【0099】
これにより、避難支援装置101は、例えば、高齢者や障害をもっている人物等、所定の人物がいると推定される場所を優先的に訪問させることができる。
【0100】
[変形例5]
避難支援装置101は、訪問すべき場所までのルートを算出してもよい。図12は、変形例5の避難支援システム1001の構成の一例を示すブロック図である。図12の例では、避難支援装置101は、ルート算出部180を備える。
【0101】
ルート算出部180は、所定の地点から、決定された訪問すべき場所までのルートを算出する。例えば、ルート算出部180は、役所等、自治体の職員がいる場所から、訪問すべき場所までのルートを、地図情報を用いて算出する。
【0102】
このとき、ルート算出部180は、地域ごとに被災の程度が想定される場合、被災の程度に基づいてルートを算出してよい。例えば、ルート算出部180は、自治体の職員がいる場所と訪問すべき場所とを含む地域の、災害状況情報を取得する。災害状況情報は、地域ごとの想定される被災の程度を示す情報である。災害状況情報は、例えば、ハザードマップである。そして、ルート算出部180は、災害状況情報に基づいて、災害が発生している場所を避けるルートを算出してよい。
【0103】
このように、ルート算出部180は、地域ごとの想定される被災の程度を示す災害状況情報を取得し、当該災害状況情報に基づいて、所定の地点から決定された訪問すべき場所までのルートを算出する。ルート算出部180は、ルート算出手段の一例である。
【0104】
<避難支援装置のハードウェアの構成例>
上述した第1、第2、及び第3の実施形態の避難支援装置を構成するハードウェアについて説明する。図13は、各実施形態における避難支援装置を構成するコンピュータ装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。コンピュータ装置90において、各実施形態及び各変形例で説明した、避難支援装置及び避難支援方法が実現される。
【0105】
図13に示すように、コンピュータ装置90は、プロセッサ91、RAM(Random Access Memory)92、ROM(Read Only Memory)93、記憶装置94、入出力インタフェース95、バス96、及びドライブ装置97を備える。なお、避難支援装置は、複数の電気回路によって実現されてもよい。
【0106】
記憶装置94は、プログラム(コンピュータプログラム)98を格納する。プロセッサ91は、RAM92を用いて本避難支援装置のプログラム98を実行する。具体的には、例えば、プログラム98は、図3図6図10、及び図11に示す処理をコンピュータに実行させるプログラムを含む。プロセッサ91が、プログラム98を実行することに応じて、本避難支援装置の各構成の機能が実現される。プログラム98は、ROM93に記憶されていてもよい。また、プログラム98は、記憶媒体80に記録され、ドライブ装置97を用いて読み出されてもよいし、図示しない外部装置から図示しないネットワークを介してコンピュータ装置90に送信されてもよい。
【0107】
入出力インタフェース95は、周辺機器(キーボード、マウス、表示装置など)99とデータをやり取りする。入出力インタフェース95は、データを取得または出力する手段として機能する。バス96は、各構成を接続する。
【0108】
なお、避難支援装置の実現方法には様々な変形例がある。例えば、避難支援装置は、それぞれ専用の装置として実現することができる。また、避難支援装置は、それぞれ複数の装置の組み合わせに基づいて実現することができる。
【0109】
各実施形態の機能における各構成を実現するためのプログラムを記憶媒体に記録させ、該記憶媒体に記録されたプログラムをコードとして読み出し、コンピュータにおいて実行する処理方法も各実施形態の範疇に含まれる。すなわち、コンピュータ読取可能な記憶媒体も各実施形態の範囲に含まれる。また、上述のプログラムが記録された記憶媒体、及びそのプログラム自体も各実施形態に含まれる。
【0110】
該記憶媒体は、例えばフロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD(Compact Disc)-ROM、磁気テープ、不揮発性メモリカード、またはROMであるが、この例に限られない。また該記憶媒体に記録されたプログラムは、単体で処理を実行しているプログラムに限らず、他のソフトウェア、拡張ボードの機能と共同して、OS(Operating System)上で動作して処理を実行するプログラムも各実施形態の範疇に含まれる。
【0111】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【0112】
また、上記実施形態及び変形例は、適宜組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0113】
100、101 避難支援装置
110 位置情報取得部
120 特定部
1201 地域判定部
1202 建物特定部
130 稼働状況取得部
140 判定部
150 決定部
160 通知部
170 出力制御部
180 ルート算出部
200 端末
300 計器
400 管理装置
1000、1001 避難支援システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13