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特開2024-4944監視システム、監視装置、監視方法及び監視プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004944
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】監視システム、監視装置、監視方法及び監視プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/04 20060101AFI20240110BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20240110BHJP
   G08B 25/00 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
G08B25/04 K
G08B21/02
G08B25/00 510M
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022104858
(22)【出願日】2022-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】河野 命
【テーマコード(参考)】
5C086
5C087
【Fターム(参考)】
5C086AA22
5C086BA07
5C086CA28
5C086CB36
5C086DA08
5C086FA18
5C087AA02
5C087AA03
5C087AA26
5C087AA51
5C087DD03
5C087DD30
5C087EE18
5C087FF02
5C087FF04
5C087GG02
5C087GG08
5C087GG70
5C087GG83
(57)【要約】
【課題】発報が不要な状況において発報が行われることを回避しつつ、発報が必要な状況では発報が確実に行われやすい監視システム、監視装置、監視方法及び監視プログラムを提供する。
【解決手段】発報装置2と、被監視者Dの状態を検知する状態検知部と、状態検知部により所定状態が検知されたことに応じて発報装置2を作動させることが可能な発報制御部と、被監視者Dとは異なる人物であって所定の属性を有する人物である所定属性人物Eが、被監視者Dの存在するエリアBに存在するか否かを判定する判定部と、を備え、状態検知部により所定状態が検知され、且つ、判定部によりエリアBに所定属性人物Eが存在すると判定された場合、発報制御部は発報装置2を作動させず、状態検知部により所定状態が検知され、且つ、判定部によりエリアBに所定属性人物Eが存在しないと判定された場合、発報制御部は発報装置2を作動させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発報装置と、
被監視者の状態を検知する状態検知部と、
前記状態検知部により所定状態が検知されたことに応じて前記発報装置を作動させることが可能な発報制御部と、
前記被監視者とは異なる人物であって所定の属性を有する人物である所定属性人物が、前記被監視者の存在するエリアに存在するか否かを判定する判定部と、を備え、
前記状態検知部により前記所定状態が検知され、且つ、前記判定部により前記エリアに前記所定属性人物が存在すると判定された場合、前記発報制御部は前記発報装置を作動させず、
前記状態検知部により前記所定状態が検知され、且つ、前記判定部により前記エリアに前記所定属性人物が存在しないと判定された場合、前記発報制御部は前記発報装置を作動させる監視システム。
【請求項2】
前記所定状態は、前記被監視者の危険状態である請求項1に記載の監視システム。
【請求項3】
前記所定の属性は、前記被監視者の介助を行う係員であることである請求項1または2に記載の監視システム。
【請求項4】
前記係員が身に付ける物である特定物を検出する検出部を備え、
前記判定部は、前記検出部による検出結果に基づいて、前記所定属性人物が前記エリアに存在するか否かを判定する請求項3に記載の監視システム。
【請求項5】
前記エリアに入る人物の生体情報、及び、前記エリアに存在する人物の生体情報のうち、少なくとも何れか一方を取得する生体情報取得部を備え、
前記判定部は、前記生体情報取得部により取得された生体情報に基づいて、前記所定属性人物が前記エリアに存在するか否かを判定する請求項1または2に記載の監視システム。
【請求項6】
前記状態検知部により前記所定状態が検知され、且つ、前記判定部により前記エリアに前記所定属性人物が存在すると判定された場合において、所定の第1条件が満たされた場合、前記発報制御部は前記発報装置を作動させる請求項1または2に記載の監視システム。
【請求項7】
前記第1条件は、前記状態検知部により前記所定状態とは異なる異常状態が検知されたことである請求項6に記載の監視システム。
【請求項8】
前記所定属性人物の状態を検知する人物状態検知部をさらに備え、
前記第1条件は、前記人物状態検知部により異常状態が検知されたことである請求項6に記載の監視システム。
【請求項9】
前記第1条件は、前記所定状態が所定時間に亘って継続したことである請求項6に記載の監視システム。
【請求項10】
前記状態検知部により前記所定状態が検知され、且つ、前記判定部により前記エリアに前記所定属性人物が存在しないと判定された場合において、所定の第2条件が満たされた場合、前記発報制御部は前記発報装置を作動させない請求項1または2に記載の監視システム。
【請求項11】
前記第2条件は、現在時刻が予め設定された時間帯に含まれることである請求項10に記載の監視システム。
【請求項12】
前記エリアは、前記被監視者の存在する部屋である請求項1または2に記載の監視システム。
【請求項13】
前記発報装置は、画像表示による発報が可能な表示装置である請求項1または2に記載の監視システム。
【請求項14】
前記発報装置は、前記所定属性人物の呼び出しが可能な呼出装置である請求項1または2に記載の監視システム。
【請求項15】
被監視者の状態を検知する状態検知部と、
前記状態検知部により所定状態が検知されたことに応じて、前記状態検知部による検知結果を示す情報である状態情報を外部に送信可能な送信部と、
前記被監視者とは異なる人物であって所定の属性を有する人物である所定属性人物が、前記被監視者の存在するエリアに存在するか否かを判定する判定部と、を備え、
前記状態検知部により前記所定状態が検知され、且つ、前記判定部により前記エリアに前記所定属性人物が存在すると判定された場合、前記送信部は前記状態情報を外部に送信せず、
前記状態検知部により前記所定状態が検知され、且つ、前記判定部により前記エリアに前記所定属性人物が存在しないと判定された場合、前記送信部は前記状態情報を外部に送信する監視装置。
【請求項16】
監視システムにおける監視方法であって、
被監視者の状態を検知する状態検知ステップと、
前記被監視者とは異なる人物であって所定の属性を有する人物である所定属性人物が、前記被監視者の存在するエリアに存在するか否かを判定する判定ステップと、
前記状態検知ステップにより所定状態が検知され、且つ、前記判定ステップにより前記エリアに前記所定属性人物が存在すると判定された場合には発報装置を作動させず、前記状態検知ステップにより前記所定状態が検知され、且つ、前記判定ステップにより前記エリアに前記所定属性人物が存在しないと判定された場合には前記発報装置を作動させる発報ステップと、を備える監視方法。
【請求項17】
被監視者の状態を示す情報を取得する状態取得機能と、
前記被監視者とは異なる人物であって所定の属性を有する人物である所定属性人物が、前記被監視者の存在するエリアに存在するか否かを判定する判定機能と、
前記状態取得機能により所定状態を示す情報が取得され、且つ、前記判定機能により前記エリアに前記所定属性人物が存在すると判定された場合には発報装置を作動させず、前記状態取得機能により前記所定状態が検知され、且つ、前記判定機能により前記エリアに前記所定属性人物が存在しないと判定された場合には前記発報装置を作動させる発報機能と、をコンピュータに実現させる監視プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視システム、監視装置、監視方法及び監視プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、被監視者を監視する監視システムが記載されている。この監視システム(特許文献1では「被監視者監視システム」)においては、所定のエリア内にいる被監視者が所定の行動をした場合、発報装置(特許文献1では「携帯端末ユニット」)が作動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6123971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の監視システムにおいては、被監視者の存在するエリアに二人以上の人物が存在する場合、発報装置の作動が阻止される。そのため、発報装置を作動させるべき状況であるにもかかわらず、発報装置の作動が阻止されてしまう事態が想定される。
【0005】
例えば、被監視者が老人福祉施設の入居者であり、当該入居者が所定の行動(例えば起床や転倒等)をした結果、介助が必要な状態となり、且つ、当該入居者の介助を行う係員が当該入居者の存在するエリアに存在していない場合、発報装置を作動させるべきである。しかしながら、この場合において、当該入居者の存在するエリアに別の入居者が存在していると、発報装置の作動が阻止されてしまう。
【0006】
本発明の目的は、発報が不要な状況において発報が行われることを回避しつつ、発報が必要な状況では発報が確実に行われやすい監視システム、監視装置、監視方法及び監視プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る監視システムの特徴は、発報装置と、被監視者の状態を検知する状態検知部と、前記状態検知部により所定状態が検知されたことに応じて前記発報装置を作動させることが可能な発報制御部と、前記被監視者とは異なる人物であって所定の属性を有する人物である所定属性人物が、前記被監視者の存在するエリアに存在するか否かを判定する判定部と、を備え、前記状態検知部により前記所定状態が検知され、且つ、前記判定部により前記エリアに前記所定属性人物が存在すると判定された場合、前記発報制御部は前記発報装置を作動させず、前記状態検知部により前記所定状態が検知され、且つ、前記判定部により前記エリアに前記所定属性人物が存在しないと判定された場合、前記発報制御部は前記発報装置を作動させることにある。
【0008】
本発明に係る監視方法の特徴は、監視システムにおける監視方法であって、被監視者の状態を検知する状態検知ステップと、前記被監視者とは異なる人物であって所定の属性を有する人物である所定属性人物が、前記被監視者の存在するエリアに存在するか否かを判定する判定ステップと、前記状態検知ステップにより所定状態が検知され、且つ、前記判定ステップにより前記エリアに前記所定属性人物が存在すると判定された場合には発報装置を作動させず、前記状態検知ステップにより前記所定状態が検知され、且つ、前記判定ステップにより前記エリアに前記所定属性人物が存在しないと判定された場合には前記発報装置を作動させる発報ステップと、を備えることにある。
【0009】
本発明に係る監視プログラムの特徴は、被監視者の状態を示す情報を取得する状態取得機能と、前記被監視者とは異なる人物であって所定の属性を有する人物である所定属性人物が、前記被監視者の存在するエリアに存在するか否かを判定する判定機能と、前記状態取得機能により所定状態を示す情報が取得され、且つ、前記判定機能により前記エリアに前記所定属性人物が存在すると判定された場合には発報装置を作動させず、前記状態取得機能により前記所定状態が検知され、且つ、前記判定機能により前記エリアに前記所定属性人物が存在しないと判定された場合には前記発報装置を作動させる発報機能と、をコンピュータに実現させることにある。
【0010】
本発明によれば、被監視者が所定状態となった際、被監視者の存在するエリアに所定属性人物が存在する場合は発報装置は作動せず、所定属性人物が存在しない場合は発報装置が作動することとなる。
【0011】
これにより、例えば、被監視者が老人福祉施設の入居者であり、所定の属性が「入居者の介助を行う係員であること」である場合において、被監視者である入居者が所定状態(例えば転倒した状態)となった際、当該入居者の存在するエリアに係員が存在していれば、発報装置は作動しない。また、被監視者である入居者が所定状態(例えば転倒した状態)となった際、当該入居者の存在するエリアに係員が存在しない場合、仮に別の入居者が存在していても、発報装置が作動する。即ち、別の入居者の存在によって発報が阻止されてしまう事態を回避できる。
【0012】
このように、本発明によれば、発報が不要な状況において発報が行われることを回避しつつ、発報が必要な状況では発報が確実に行われやすい。
【0013】
本発明に係る監視装置の特徴は、被監視者の状態を検知する状態検知部と、前記状態検知部により所定状態が検知されたことに応じて、前記状態検知部による検知結果を示す情報である状態情報を外部に送信可能な送信部と、前記被監視者とは異なる人物であって所定の属性を有する人物である所定属性人物が、前記被監視者の存在するエリアに存在するか否かを判定する判定部と、を備え、前記状態検知部により前記所定状態が検知され、且つ、前記判定部により前記エリアに前記所定属性人物が存在すると判定された場合、前記送信部は前記状態情報を外部に送信せず、前記状態検知部により前記所定状態が検知され、且つ、前記判定部により前記エリアに前記所定属性人物が存在しないと判定された場合、前記送信部は前記状態情報を外部に送信することにある。
【0014】
本発明によれば、被監視者が所定状態となった際、被監視者の存在するエリアに所定属性人物が存在する場合は状態情報は外部に送信されず、所定属性人物が存在しない場合は状態情報は外部に送信されることとなる。即ち、例えば状態情報が外部の発報装置に送信されれば、被監視者が所定状態となった際、被監視者の存在するエリアに所定属性人物が存在する場合は発報装置は作動せず、所定属性人物が存在しない場合は発報装置が作動することとなる。
【0015】
これにより、例えば、被監視者が老人福祉施設の入居者であり、所定の属性が「入居者の介助を行う係員であること」である場合において、被監視者である入居者が所定状態(例えば転倒した状態)となった際、当該入居者の存在するエリアに係員が存在していれば、発報装置は作動しない。また、被監視者である入居者が所定状態(例えば転倒した状態)となった際、当該入居者の存在するエリアに係員が存在しない場合、仮に別の入居者が存在していても、発報装置が作動する。即ち、別の入居者の存在によって発報が阻止されてしまう事態を回避できる。
【0016】
このように、本発明によれば、発報が不要な状況において発報が行われることを回避しつつ、発報が必要な状況では発報が確実に行われやすい。
【0017】
さらに、本発明において、前記所定状態は、前記被監視者の危険状態であると好適である。
【0018】
本構成によれば、被監視者が危険状態にある場合(例えば被監視者が転倒した場合)に、被監視者の存在するエリアに所定属性人物が存在しない場合は発報装置が作動することとなる。これにより、例えば、被監視者が老人福祉施設の入居者であり、所定の属性が「入居者の介助を行う係員であること」である場合に、係員が、発報に応じて、危険状態にある当該入居者の介助に向かうことができる。
【0019】
さらに、本発明において、前記所定の属性は、前記被監視者の介助を行う係員であることであると好適である。
【0020】
本構成によれば、被監視者が所定状態(例えば転倒した状態)となった際、当該被監視者の存在するエリアに係員が存在していれば、発報装置は作動しない。また、当該被監視者が所定状態(例えば転倒した状態)となった際、当該被監視者の存在するエリアに係員が存在しない場合、仮に当該被監視者以外の人物が存在していても、発報装置が作動する。即ち、被監視者以外の人物の存在によって発報が阻止されてしまう事態を回避できる。
【0021】
このように、本構成によれば、発報が不要な状況において発報が行われることを回避しつつ、発報が必要な状況では発報が行われ、係員が発報に応じて被監視者の介助に向かうことができる。
【0022】
さらに、本発明において、前記係員が身に付ける物である特定物を検出する検出部を備え、前記判定部は、前記検出部による検出結果に基づいて、前記所定属性人物が前記エリアに存在するか否かを判定すると好適である。
【0023】
本構成によれば、特定物(例えばICカードや係員の制服等)の検出に基づいて、所定属性人物が被監視者の存在するエリアに存在するか否かが判定される。これにより、例えば顔認証等によって所定属性人物の存否を判定する構成に比べて、判定のアルゴリズムがシンプルになりやすい。
【0024】
さらに、本発明において、前記エリアに入る人物の生体情報、及び、前記エリアに存在する人物の生体情報のうち、少なくとも何れか一方を取得する生体情報取得部を備え、前記判定部は、前記生体情報取得部により取得された生体情報に基づいて、前記所定属性人物が前記エリアに存在するか否かを判定すると好適である。
【0025】
本構成によれば、所定属性人物が身に付ける物(例えばICカードや係員の制服等)に依存することなく、所定属性人物の存否を判定することができる。即ち、所定属性人物の存否の判定のために、所定属性人物が共通して特定の物を身に付ける必要がない。従って、監視システムの運用にあたり、所定属性人物に対し、特定の物を身に付けることを義務付ける必要がない。これにより、監視システムの運用が容易になりやすい。
【0026】
さらに、本発明において、前記状態検知部により前記所定状態が検知され、且つ、前記判定部により前記エリアに前記所定属性人物が存在すると判定された場合において、所定の第1条件が満たされた場合、前記発報制御部は前記発報装置を作動させると好適である。
【0027】
被監視者が所定状態(例えば転倒した状態)となった際、被監視者の存在するエリアに所定属性人物が存在していても、状況によっては発報を行うべきケースが想定される。例えば、被監視者の存在するエリアに一人の所定属性人物が存在しているとき、被監視者が、一人の所定属性人物では対処ができないような異常状態(例えば大量に出血した状態)となった場合には、発報を行うべきである。
【0028】
本構成によれば、第1条件を適宜設定することにより、被監視者の存在するエリアに所定属性人物が存在するが発報を行うべき状況において、発報装置を作動させることができる。これにより、監視システムのユーザー(例えば被監視者の介助を行う係員)が、発報を受けて適切な対処を行うことができる。
【0029】
さらに、本発明において、前記第1条件は、前記状態検知部により前記所定状態とは異なる異常状態が検知されたことであると好適である。
【0030】
本構成によれば、被監視者が所定状態(例えば転倒した状態)となった際、被監視者の存在するエリアに所定属性人物が存在していても、被監視者が異常状態(例えば大量に出血した状態)となった場合には、発報が行われる。これにより、監視システムのユーザー(例えば被監視者の介助を行う係員)が、発報を受けて適切な対処を行うことができる。
【0031】
さらに、本発明において、前記所定属性人物の状態を検知する人物状態検知部をさらに備え、前記第1条件は、前記人物状態検知部により異常状態が検知されたことであると好適である。
【0032】
本構成によれば、被監視者が所定状態(例えば転倒した状態)となった際、被監視者の存在するエリアに所定属性人物が存在していても、当該所定属性人物が異常状態(例えば被監視者に暴行を加えている状態)となった場合には、発報が行われる。これにより、監視システムのユーザー(例えば被監視者の介助を行う係員)が、発報を受けて適切な対処を行うことができる。
【0033】
さらに、本発明において、前記第1条件は、前記所定状態が所定時間に亘って継続したことであると好適である。
【0034】
本構成によれば、被監視者が所定状態(例えば転倒した状態)となった際、被監視者の存在するエリアに所定属性人物が存在していても、被監視者が比較的長い時間に亘って所定状態のままである場合には、発報が行われる。これにより、監視システムのユーザー(例えば被監視者の介助を行う係員)が、発報を受けて適切な対処を行うことができる。
【0035】
さらに、本発明において、前記状態検知部により前記所定状態が検知され、且つ、前記判定部により前記エリアに前記所定属性人物が存在しないと判定された場合において、所定の第2条件が満たされた場合、前記発報制御部は前記発報装置を作動させないと好適である。
【0036】
被監視者が所定状態(例えば転倒した状態)となった際、被監視者の存在するエリアに所定属性人物が存在していなくても、状況によっては発報を行うべきでないケースが想定される。例えば、被監視者または監視システムのユーザーが、特定の時間帯には発報を行わないことを希望している場合、当該時間帯には発報を行うべきでない。
【0037】
本構成によれば、第2条件を適宜設定することにより、被監視者の存在するエリアに所定属性人物が存在しないが発報を行うべきでない状況において、発報装置の作動を回避することができる。これにより、発報を行うべきでない状況において発報を行ってしまう事態を回避することが可能となる。
【0038】
さらに、本発明において、前記第2条件は、現在時刻が予め設定された時間帯に含まれることであると好適である。
【0039】
本構成によれば、被監視者または監視システムのユーザーが特定の時間帯には発報を行わないことを希望している場合に、当該時間帯においては発報が行われない構成を実現できる。
【0040】
さらに、本発明において、前記エリアは、前記被監視者の存在する部屋であると好適である。
【0041】
被監視者が所定状態(例えば転倒した状態)となった際、当該被監視者の存在する部屋に所定属性人物が存在している場合、当該所定属性人物が被監視者の所定状態に対処可能であるため、発報は不要である。
【0042】
また、被監視者が所定状態となった際、当該被監視者の存在する部屋に所定属性人物が存在していない場合、発報が必要である。
【0043】
本構成によれば、被監視者が所定状態となった際、当該被監視者の存在する部屋に所定属性人物が存在している場合は発報装置は作動せず、所定属性人物が存在しない場合は発報装置が作動することとなる。
【0044】
従って、本構成によれば、発報が不要な状況において発報が行われることを回避しつつ、発報が必要な状況では発報が確実に行われやすい。
【0045】
さらに、本発明において、前記発報装置は、画像表示による発報が可能な表示装置であると好適である。
【0046】
本構成によれば、発報装置が、発報の際、例えば被監視者を撮像した画像を表示することにより、監視システムのユーザーが被監視者の状態を詳細に把握することが可能な構成を実現できる。これにより、監視システムのユーザーが適切な対処を行いやすい。
【0047】
さらに、本発明において、前記発報装置は、前記所定属性人物の呼び出しが可能な呼出装置であると好適である。
【0048】
本構成によれば、被監視者が所定状態となった際、当該被監視者の存在するエリアに所定属性人物が存在しない場合、所定属性人物が呼び出される。これにより、所定属性人物が呼び出しを受けて適切な対処を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】被監視者の存在するエリアに所定属性人物が存在しない場合の例を示す図である。
図2】被監視者の存在するエリアに所定属性人物が存在する場合の例を示す図である。
図3】監視システムのブロック図である。
図4】発報決定フローのフローチャートである。
図5】本発明による監視方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本発明を実施するための形態について、図面に基づき説明する。
【0051】
〔監視システムの全体構成〕
図1に示すように、本実施形態における監視システムAは、監視装置1及び発報装置2を備えている。監視装置1と発報装置2とは、所定のネットワークを介して互いに接続されている。
【0052】
監視装置1は、被監視者Dの存在するエリアBに設置されている。監視装置1は、被監視者Dを監視する。監視装置1は、被監視者Dの状態に応じて、発報装置2を作動させることが可能である。発報装置2を所持する所定属性人物Eは、発報装置2による発報により、エリアBの外にいながら、被監視者Dの状態を把握することができる。
【0053】
例えば、図1に示す例では、被監視者Dが転倒した状態である。これに応じて、監視装置1は、発報装置2を作動させることが可能である。
【0054】
尚、本実施形態において、被監視者Dは老人福祉施設の入居者であり、エリアBは老人福祉施設における被監視者Dの居室である。即ち、本実施形態におけるエリアBは、被監視者Dの存在する部屋である。尚、本発明はこれに限定されず、エリアBは、部屋でなくても良い。例えば、被監視者Dが廊下に存在する場合、エリアBは当該廊下である。また、被監視者Dが比較的広い空間内(例えば屋外の広場等)に存在している場合、エリアBは、当該空間の全体であっても良いし、当該空間のうち被監視者Dの近傍のみであっても良い。エリアBは、被監視者Dの様子を他者(所定属性人物E)が目視で確認できる範囲であると好適である。
【0055】
また、所定属性人物Eは、被監視者Dとは異なる人物であって所定の属性を有する人物である。本実施形態において、当該所定の属性は、被監視者Dの介助を行う係員であることである。即ち、所定属性人物Eは、老人福祉施設の係員(職員)である。
【0056】
ただし、本発明はこれに限定されない。「所定の属性」は、「被監視者Dの介助を行う係員であること」以外の属性であっても良い。例えば、「所定の属性」は、「被監視者Dの親族、または、被監視者Dの介助を行う係員であること」であっても良いし、特定の人物であること(例えば、「特定のXさんまたはYさんであること」)であっても良い。
【0057】
尚、本実施形態において、所定属性人物Eは、監視システムAのユーザーでもある。
【0058】
本実施形態における発報装置2は、係員が携帯する情報端末(スマートフォンやタブレット等)である。また、図1に示す例では、係員である所定属性人物Eは居室以外の部屋(例えば控え室)に位置している。
【0059】
監視システムAに含まれる監視装置1は、一つであっても良いし、複数個であっても良い。即ち、監視システムAは、一人の被監視者Dを監視するものであっても良いし、複数人の被監視者Dを監視するものであっても良い。
【0060】
老人福祉施設内に複数の監視装置1が設置されていても良い。例えば、監視装置1は、老人福祉施設の各居室に一つずつ設置されていても良いし、居室以外の領域(例えば廊下等)に設置されていても良い。
【0061】
老人福祉施設内に存在する所定属性人物Eは、一人であっても良いし、複数人であっても良い。監視システムAに含まれる発報装置2は、一つであっても良いし、複数個であっても良い。複数人の所定属性人物Eが、それぞれ、発報装置2を一つずつ携帯していても良い。発報装置2は、所定属性人物E用の部屋(例えば控え室)に設置されたパソコン、ディスプレイ、ランプ、スピーカー等であっても良い。また、発報装置2は、所定属性人物Eではない人物(例えば被監視者Dの親族)が携帯するものであっても良いし、所定属性人物Eではない人物(例えば被監視者Dの親族)の自宅に設置されたパソコン、ディスプレイ、ランプ、スピーカー等であっても良い。
【0062】
図2に示す例では、第1人物E1及び第2人物E2が示されている。第1人物E1及び第2人物E2は、何れも、所定属性人物Eである。
【0063】
第1人物E1は、被監視者Dの存在する居室であるエリアBとは異なる部屋(例えば控え室)に位置している。第2人物E2は、被監視者Dの存在する居室であるエリアBに位置している。また、図2に示す例では、図1に示す例と同様に、被監視者Dが転倒した状態である。この場合、本実施形態の監視システムAでは、原則的に、監視装置1は、発報装置2を作動させない。
【0064】
以下では、監視システムAについて詳述する。
【0065】
〔状態検知部〕
図3に示すように、監視装置1は、撮像部3及び制御部4を有している。撮像部3は、エリアB(図1参照)内を撮像する。尚、撮像部3の撮像範囲は、エリアBの全体であっても良いし、エリアBの一部のみであっても良い。また、撮像部3の撮像範囲に、エリアBの外部が含まれていても良い。
【0066】
本実施形態において、撮像部3は、赤外線カメラにより構成されている。ただし、本発明はこれに限定されず、撮像部3は、エリアB内を撮像可能であれば、赤外線カメラ以外のいかなる装置であっても良い。撮像部3は、ToF(Time of flight)カメラであると好適である。撮像部3により取得される撮像画像は、深度の情報を含む画像である深度画像であると好適である。尚、撮像部3により取得される撮像画像は、動画であっても良いし、静止画であっても良い。
【0067】
図3に示すように、制御部4は、状態検知部41を有している。撮像部3は、取得した撮像画像を、状態検知部41へ送る。
【0068】
また、図3に示すように、監視システムAは、音を検知する音検知装置5を備えている。音検知装置5は、例えば、エリアB内に設置されていても良い。音検知装置5は、公知のマイクであっても良い。音検知装置5は、検知した音を示す情報を、状態検知部41へ送る。
【0069】
状態検知部41は、撮像部3から受け取った撮像画像、及び、音検知装置5から受け取った音を示す情報に基づいて、被監視者Dの状態を検知する。即ち、監視システムAは、被監視者Dの状態を検知する状態検知部41を備えている。
【0070】
本実施形態において、状態検知部41は、受け取った撮像画像に基づいて、被監視者Dの骨格を示す情報である骨格モデルを生成する。骨格モデルは、撮像画像を解析して被監視者Dの関節の位置を3次元的に認識し、各関節を直線で結んで生成される。
【0071】
さらに、状態検知部41は、撮像画像及び生成された骨格モデルに基づいて、被監視者Dの体位(例えば、立位、臥位、座位)を検知すると共に、撮像画像、骨格モデル、音を示す情報に基づいて、被監視者Dが所定状態にあるか否か、及び、当該所定状態とは異なる異常状態にあるか否かを検知するように構成されている。
【0072】
特に限定されないが、当該所定状態は、被監視者Dの危険状態(例えば転倒した状態)であっても良い。また、特に限定されないが、当該異常状態は、被監視者Dが大量に出血した状態や、被監視者Dが所定属性人物Eからの暴行を受けている状態であっても良い。尚、撮像画像あるいは骨格モデルに基づいて転倒等の危険状態や異常状態を検知する技術については公知であるため説明を省略する。
【0073】
また、状態検知部41は、音を示す情報に基づいて被監視者Dが悲鳴を上げているか否かの判定を行うと共に、当該判定の結果に基づいて、被監視者Dの危険状態や異常状態を検知するように構成されていても良い。
【0074】
尚、撮像部3による撮像範囲には、被監視者D以外の人物が存在する場合がある。そのため、状態検知部41が、撮像画像に写っている人物を識別可能であると好適である。撮像画像に写っている人物を識別すれば、状態検知部41が誤って被監視者D以外の人物の状態を検知してしまう事態を回避できる。これにより、例えば、被監視者D以外の人物(例えば所定属性人物E)が所定状態(例えば転倒した状態)となった場合に、誤って、被監視者Dが所定状態となったものと検知してしまう事態を回避できる。
【0075】
尚、状態検知部41が撮像画像に写っている人物を識別する方法は、特に限定されないが、機械学習されたニューラルネットワークを用いて撮像画像を解析することにより人物が識別されても良い。
【0076】
〔人物状態検知部〕
図3に示すように、制御部4は、人物状態検知部42を有している。撮像部3は、取得した撮像画像を、人物状態検知部42へ送る。また、音検知装置5は、検知した音を示す情報を、人物状態検知部42へ送る。
【0077】
人物状態検知部42は、撮像部3から受け取った撮像画像、及び、音検知装置5から受け取った音を示す情報に基づいて、エリアB内に存在する所定属性人物E(図2参照)の状態を検知する。即ち、監視システムAは、所定属性人物Eの状態を検知する人物状態検知部42をさらに備えている。
【0078】
本実施形態において、人物状態検知部42は、受け取った撮像画像に基づいて、所定属性人物Eの骨格を示す情報である骨格モデルを生成する。骨格モデルは、撮像画像を解析して所定属性人物Eの関節の位置を3次元的に認識し、各関節を直線で結んで生成される。
【0079】
さらに、人物状態検知部42は、撮像画像及び生成された骨格モデルに基づいて、所定属性人物Eの体位(例えば、立位、臥位、座位)を検知すると共に、撮像画像、骨格モデル、音を示す情報に基づいて、所定属性人物Eが異常状態にあるか否かを検知するように構成されている。
【0080】
特に限定されないが、当該異常状態は、所定属性人物Eが被監視者Dに暴行を加えている状態であっても良い。例えば、所定属性人物Eが所定の時間に亘って激しく動き続けている場合や、所定属性人物Eが手を振り下げる動作を所定の回数行った場合に、所定属性人物Eが異常状態(被監視者Dに暴行を加えている状態)にあると検知されても良い。
【0081】
また、人物状態検知部42は、音を示す情報に基づいて所定属性人物Eが怒声を上げているか否かの判定を行うと共に、当該判定の結果に基づいて、所定属性人物Eの異常状態を検知するように構成されていても良い。
【0082】
尚、人物状態検知部42が、撮像画像に写っている人物を識別可能であると好適である。撮像画像に写っている人物を識別すれば、人物状態検知部42が誤って所定属性人物E以外の人物の状態を検知してしまう事態を回避できる。これにより、例えば、所定属性人物E以外の人物(例えば被監視者D)が異常状態となった場合に、誤って、所定属性人物Eが異常状態となったものと検知してしまう事態を回避できる。
【0083】
尚、人物状態検知部42が撮像画像に写っている人物を識別する方法は、特に限定されないが、機械学習されたニューラルネットワークを用いて撮像画像を解析することにより人物が識別されても良い。
【0084】
〔判定部〕
図3に示すように、制御部4は、特定物検出部43(本発明に係る「検出部」に相当)を有している。撮像部3は、取得した撮像画像を、特定物検出部43へ送る。特定物検出部43は、撮像部3から受け取った撮像画像に基づいて、画像解析を行うことにより特定物を検出する。特定物とは、老人福祉施設の係員である所定属性人物Eが身に付ける物である。即ち、監視システムAは、係員が身に付ける物である特定物を検出する特定物検出部43を備えている。
【0085】
尚、特に限定されないが、特定物は、例えば係員の制服やバッジ等であっても良い。
【0086】
エリアB内に所定属性人物Eが存在する場合、特定物が撮像画像に写り、特定物検出部43によって特定物が検出されることとなる。エリアB内に所定属性人物Eが存在しない場合、特定物は撮像画像に写らないため、特定物検出部43によって特定物は検出されない。
【0087】
また、図1から図3に示すように、監視システムAは、入室検知装置6(本発明に係る「生体情報取得部」に相当)及び退室検知装置7を備えている。入室検知装置6及び退室検知装置7は、何れも、エリアBの出入口に設けられたドア8の近傍に設置されている。
【0088】
入室検知装置6は、エリアBに入る人物の生体情報を取得するように構成されている。即ち、監視システムAは、エリアBに入る人物の生体情報を取得する入室検知装置6を備えている。例えば、ドア8が通常は閉状態であり、入室検知装置6が生体情報を取得したことに応じて、ドア8が一時的に開状態となるように構成されていても良い。尚、特に限定されないが、入室検知装置6により取得される生体情報は、例えば顔情報であっても良いし、指紋情報であっても良い。
【0089】
退室検知装置7は、エリアBから出る人物の生体情報を取得するように構成されている。例えば、ドア8が通常は閉状態であり、退室検知装置7が生体情報を取得したことに応じて、ドア8が一時的に開状態となるように構成されていても良い。尚、特に限定されないが、退室検知装置7により取得される生体情報は、例えば顔情報であっても良いし、指紋情報であっても良い。
【0090】
図3に示すように、制御部4は、判定部44を有している。特定物検出部43による検出結果は、判定部44へ送られる。また、入室検知装置6及び退室検知装置7により取得された生体情報は、判定部44へ送られる。
【0091】
判定部44は、特定物検出部43による検出結果と、入室検知装置6及び退室検知装置7により取得された生体情報と、に基づいて、所定属性人物EがエリアBに存在するか否かを判定する。
【0092】
即ち、監視システムAは、被監視者Dとは異なる人物であって所定の属性を有する人物である所定属性人物Eが、被監視者Dの存在するエリアBに存在するか否かを判定する判定部44を備えている。また、判定部44は、特定物検出部43による検出結果に基づいて、所定属性人物EがエリアBに存在するか否かを判定する。また、判定部44は、入室検知装置6により取得された生体情報に基づいて、所定属性人物EがエリアBに存在するか否かを判定する。
【0093】
ここで、入室検知装置6及び退室検知装置7により取得された生体情報に基づく判定について詳述する。判定部44は、この老人福祉施設の全係員の生体情報(例えば顔情報や指紋情報)を記憶している。判定部44は、判定部44に記憶されている生体情報と、入室検知装置6により取得された生体情報と、を照合することにより、エリアBに入った人物が所定属性人物Eであるか否かを判定する。また、判定部44は、判定部44に記憶されている生体情報と、退室検知装置7により取得された生体情報と、を照合することにより、エリアBから出た人物が所定属性人物Eであるか否かを判定する。
【0094】
そして、判定部44は、入室検知装置6及び退室検知装置7により取得された生体情報の履歴が、第1パターン、第2パターン、第3パターンの何れであるかを判定する。第1パターンは、エリアBに所定属性人物Eが入った後、エリアBから所定属性人物Eが出ていないパターンである。第2パターンは、エリアBに所定属性人物Eが入った後、エリアBから所定属性人物Eが出たパターンである。第3パターンは、エリアBに所定属性人物Eが入っていないパターンである。
【0095】
判定部44は、特定物検出部43によって特定物が検出された場合、入室検知装置6及び退室検知装置7により取得された生体情報にかかわらず、所定属性人物EがエリアBに存在すると判定する。
【0096】
また、判定部44は、入室検知装置6及び退室検知装置7により取得された生体情報の履歴が、上述の第1パターンである場合には、特定物検出部43による検出結果にかかわらず、所定属性人物EがエリアBに存在すると判定する。
【0097】
また、判定部44は、特定物検出部43によって特定物が検出されず、且つ、入室検知装置6及び退室検知装置7により取得された生体情報の履歴が、上述の第2パターンまたは第3パターンである場合には、所定属性人物EがエリアBに存在しないと判定する。
【0098】
尚、本発明はこれに限定されない。判定部44は、特定物検出部43によって特定物が検出され、且つ、入室検知装置6及び退室検知装置7により取得された生体情報の履歴が第1パターンである場合にのみ、所定属性人物EがエリアBに存在すると判定するように構成されていても良い。
【0099】
〔信号送信部〕
図3に示すように、制御部4は、信号送信部45(本発明に係る「発報制御部」、「送信部」に相当)を有している。状態検知部41及び人物状態検知部42による検知結果は、信号送信部45へ送られる。また、判定部44による判定結果は、信号送信部45へ送られる。
【0100】
信号送信部45は、状態検知部41により所定状態が検知された場合、発報装置2に所定の発報信号(本発明に係る「状態情報」に相当)を送信可能に構成されている。当該発報信号は、状態検知部41による検知結果を示す情報である。
【0101】
発報装置2は、当該発報信号を受信すると作動する。より具体的には、発報装置2は、画像表示、及び、所定属性人物Eを呼び出す音声により発報を行う。即ち、発報装置2は、画像表示による発報が可能な表示装置であると共に、所定属性人物Eの呼び出しが可能な呼出装置である。
【0102】
尚、当該画像表示は、撮像部3による撮像画像を表示するものであっても良い。また、当該画像表示及び当該呼び出し音声の内容は、例えば、被監視者Dの氏名、居室の位置(部屋番号等)、現在の状態等を知らせるものであっても良い。また、発報装置2は、振動による発報が可能であっても良い。
【0103】
即ち、監視システムAは、状態検知部41により所定状態が検知されたことに応じて発報装置2を作動させることが可能な信号送信部45を備えている。また、監視装置1は、状態検知部41により所定状態が検知されたことに応じて、状態検知部41による検知結果を示す情報である発報信号を外部に送信可能な信号送信部45を備えている。
【0104】
信号送信部45は、状態検知部41及び人物状態検知部42による検知結果、及び、判定部44による判定結果に基づき、図4に示す発報決定フローに従って、上述の発報信号を発報装置2に送信するか否かを決定するように構成されている。
【0105】
〔発報決定フロー〕
図4に示す発報決定フローが開始されると、まず、ステップS01の処理が実行される。ステップS01では、状態検知部41により所定状態が検知されたか否かが判定される。状態検知部41により所定状態が検知されていない場合(図4のステップS01にて「No」)、この発報決定フローは一旦終了する。状態検知部41により所定状態が検知された場合(図4のステップS01にて「Yes」)、処理はステップS02へ移行する。
【0106】
ステップS02では、判定部44により所定属性人物EがエリアBに存在すると判定されたか否かが判定される。所定属性人物EがエリアBに存在すると判定された場合(図4のステップS02にて「Yes」)、処理はステップS03へ移行する。また、所定属性人物EがエリアBに存在しないと判定された場合(図4のステップS02にて「No」)、処理はステップS04へ移行する。
【0107】
ステップS03では、所定の第1条件が満たされたか否かが判定される。本実施形態における第1条件は、人物状態検知部42により異常状態が検知されたことである。尚、本発明はこれに限定されない。第1条件は、例えば、状態検知部41により所定状態とは異なる異常状態が検知されたことであっても良いし、所定状態が所定時間(例えば5分間)に亘って継続したことであっても良い。
【0108】
第1条件が満たされた場合(図4のステップS03にて「Yes」)、処理はステップS05へ移行する。
【0109】
ステップS05では、信号送信部45が、上述の発報信号を発報装置2に送信する。即ち、この場合、信号送信部45は、発報装置2を作動させる。その後、この発報決定フローは一旦終了する。
【0110】
このように、状態検知部41により所定状態が検知され、且つ、判定部44によりエリアBに所定属性人物Eが存在すると判定された場合において、所定の第1条件が満たされた場合、信号送信部45は発報装置2を作動させる。
【0111】
第1条件が満たされていない場合(図4のステップS03にて「No」)、この発報決定フローは一旦終了する。従って、この場合、信号送信部45は、上述の発報信号を発報装置2に送信しない。即ち、この場合、信号送信部45は、発報装置2を作動させない。
【0112】
ステップS04では、所定の第2条件が満たされたか否かが判定される。本実施形態における第2条件は、現在時刻が予め設定された時間帯に含まれることである。当該時間帯は、例えば被監視者Dの意思、あるいは被監視者Dの監視に関する契約(例えば監視時間帯に関する取り決め)に従って予め入力されることによって設定されたものであっても良いし、所定属性人物Eが被監視者Dの体を拭く時間帯や、排泄の時間帯等、被監視者Dのケアの時間帯であっても良い。
【0113】
尚、本発明はこれに限定されない。第2条件は、例えば、状態検知部41により所定状態が検知された時刻が予め設定された時間帯に含まれることであっても良い。
【0114】
第2条件が満たされた場合(図4のステップS04にて「Yes」)、この発報決定フローは一旦終了する。従って、この場合、信号送信部45は、上述の発報信号を発報装置2に送信しない。即ち、この場合、信号送信部45は、発報装置2を作動させない。
【0115】
このように、状態検知部41により所定状態が検知され、且つ、判定部44によりエリアBに所定属性人物Eが存在しないと判定された場合において、所定の第2条件が満たされた場合、信号送信部45は発報装置2を作動させない。
【0116】
第2条件が満たされていない場合(図4のステップS04にて「No」)、処理はステップS05へ移行する。この場合、信号送信部45は、上述の発報信号を発報装置2に送信する。即ち、この場合、信号送信部45は、発報装置2を作動させる。その後、この発報決定フローは一旦終了する。
【0117】
以上の説明から明らかなように、状態検知部41により所定状態が検知され(図4のステップS01にて「Yes」)、且つ、判定部44によりエリアBに所定属性人物Eが存在しないと判定された場合(図4のステップS02にて「No」)、第2条件が満たされる場合を除き、信号送信部45は発報信号を送信する。即ち、状態検知部41により所定状態が検知され、且つ、判定部44によりエリアBに所定属性人物Eが存在しないと判定された場合、信号送信部45は発報装置2を作動させる。また、状態検知部41により所定状態が検知され、且つ、判定部44によりエリアBに所定属性人物Eが存在しないと判定された場合、信号送信部45は発報信号を外部に送信する。
【0118】
この構成により、図1に示すように、被監視者Dが所定状態(例えば転倒した状態)となったとき、被監視者Dの存在するエリアBに所定属性人物Eが存在しない場合には、監視装置1から発報装置2に発報信号が送信される。これにより、監視装置1は発報装置2を作動させる。
【0119】
また、以上の説明から明らかなように、状態検知部41により所定状態が検知され(図4のステップS01にて「Yes」)、且つ、判定部44によりエリアBに所定属性人物Eが存在すると判定された場合(図4のステップS02にて「Yes」)、第1条件が満たされる場合を除き、信号送信部45は発報信号を送信しない。即ち、状態検知部41により所定状態が検知され、且つ、判定部44によりエリアBに所定属性人物Eが存在すると判定された場合、信号送信部45は発報装置2を作動させない。また、状態検知部41により所定状態が検知され、且つ、判定部44によりエリアBに所定属性人物Eが存在すると判定された場合、信号送信部45は発報信号を外部に送信しない。
【0120】
この構成により、図2に示すように、被監視者Dが所定状態(例えば転倒した状態)となったとき、被監視者Dの存在するエリアBに所定属性人物Eが存在する場合には、監視装置1から発報装置2に発報信号が送信されない。即ち、監視装置1は発報装置2を作動させない。
【0121】
尚、制御部4、及び、制御部4に含まれる状態検知部41等の各機能部は、マイクロコンピュータ等の物理的な装置であっても良いし、ソフトウェアにおける機能部であっても良い。例えば、制御部4に含まれる各機能部に対応するプログラムを図示しないROMや不揮発性メモリに記憶しておき、それらプログラムをCPUにロードして実行することにより、各機能部に対応するプロセスが実行される構成であっても良い。
【0122】
以上で説明した構成によれば、被監視者Dが所定状態となった際、被監視者Dの存在するエリアBに所定属性人物Eが存在する場合は発報装置2は作動せず、所定属性人物Eが存在しない場合は発報装置2が作動することとなる。
【0123】
これにより、例えば、被監視者Dが老人福祉施設の入居者であり、所定の属性が「入居者の介助を行う係員であること」である場合において、被監視者Dである入居者が所定状態(例えば転倒した状態)となった際、当該入居者の存在するエリアBに係員が存在していれば、発報装置2は作動しない。また、被監視者Dである入居者が所定状態(例えば転倒した状態)となった際、当該入居者の存在するエリアBに係員が存在しない場合、仮に別の入居者が存在していても、発報装置2が作動する。即ち、別の入居者の存在によって発報が阻止されてしまう事態を回避できる。
【0124】
このように、以上で説明した構成によれば、発報が不要な状況において発報が行われることを回避しつつ、発報が必要な状況では発報が確実に行われやすい。
【0125】
〔その他の実施形態〕
(1)上記実施形態において各部材により行われることを1つまたは複数のステップにより行う監視方法として構成されていても良い。例えば、図5に示すように、状態検知部41に対応する状態検知ステップS11と、判定部44に対応する判定ステップS12と、信号送信部45に対応する発報ステップS13と、を備える監視方法として構成されていても良い。
【0126】
この場合、発報ステップS13は、状態検知ステップS11により所定状態が検知され、且つ、判定ステップS12によりエリアBに所定属性人物Eが存在すると判定された場合には発報装置2を作動させず、状態検知ステップS11により所定状態が検知され、且つ、判定ステップS12によりエリアBに所定属性人物Eが存在しないと判定された場合には発報装置2を作動させるステップである。
【0127】
(2)上記実施形態における各部材の機能をコンピュータに実現させる監視プログラムとして構成されていても良い。例えば、状態検知部41に対応する状態取得機能と、判定部44に対応する判定機能と、信号送信部45に対応する発報機能と、をコンピュータに実現させる監視プログラムとして構成されていても良い。
【0128】
この場合、状態取得機能は、被監視者Dの状態を示す情報を取得する機能である。「被監視者Dの状態を示す情報」は、具体的には、撮像部3により取得された撮像画像であっても良いし、当該撮像画像に基づいて検知された被監視者Dの状態を示す情報であっても良い。
【0129】
また、この場合、発報機能は、状態取得機能により所定状態を示す情報が取得され、且つ、判定機能によりエリアBに所定属性人物Eが存在すると判定された場合には発報装置2を作動させず、状態取得機能により所定状態が検知され、且つ、判定機能によりエリアBに所定属性人物Eが存在しないと判定された場合には発報装置2を作動させる機能である。
【0130】
当該監視プログラムは、例えば、スマートフォン等の携帯端末に記憶され、当該携帯端末において実行されるように構成されていても良い。この場合、当該携帯端末が本発明に係る「発報装置」として機能するように構成されていても良い。
【0131】
(3)状態検知部41、人物状態検知部42、特定物検出部43、判定部44、信号送信部45のうちの一部または全てが、監視装置1の外部(例えば所定属性人物Eが利用するパソコン等)に設けられていても良い。
【0132】
(4)図4に示した発報決定フローにおいて、ステップS03が存在しなくても良いし、ステップS04が存在しなくても良い。
【0133】
(5)音検知装置5が監視装置1に含まれていても良い。
【0134】
(6)入室検知装置6及び退室検知装置7が、係員の身に付けるICカードを読み込む装置として構成されていても良い。この場合、ICカードは本発明に係る「特定物」に相当すると共に、入室検知装置6及び退室検知装置7は、何れも、本発明に係る「検出部」に相当する。
【0135】
(7)監視装置1または監視システムAが、人物の顔情報を取得する顔情報取得部を備えていても良い。この場合、顔情報は本発明に係る「生体情報」に相当すると共に、顔情報取得部は本発明に係る「生体情報取得部」に相当する。顔情報取得部は、エリアBに入る人物の顔情報、及び、エリアBに存在する人物の顔情報のうち、何れか一方のみを取得するように構成されていても良いし、両方を取得するように構成されていても良い。即ち、顔情報取得部は、エリアBに入る人物の顔情報、及び、エリアBに存在する人物の顔情報のうち、少なくとも何れか一方を取得する。顔情報取得部は、例えば、撮像部3により取得された撮像画像に基づいて、エリアBに存在する人物の顔情報を取得しても良い。また、判定部44は、顔情報取得部により取得された顔情報に基づいて、所定属性人物EがエリアBに存在するか否かを判定するように構成されていても良い。
【0136】
(8)撮像部3は設けられていなくても良い。この場合、状態検知部41は、例えば、音検知装置5から受け取った音を示す情報のみに基づいて、被監視者Dの状態を検知しても良い。
【0137】
(9)特定物検出部43は設けられていなくても良い。この場合、判定部44は、例えば、入室検知装置6及び退室検知装置7により取得された生体情報のみに基づいて、所定属性人物EがエリアBに存在するか否かを判定しても良い。
【0138】
(10)入室検知装置6及び退室検知装置7は設けられていなくても良い。この場合、判定部44は、例えば、特定物検出部43による検出結果のみに基づいて、所定属性人物EがエリアBに存在するか否かを判定しても良い。
【0139】
(11)発報装置2が作動した際に、実際には発報が不要な状況であったか否かを示す情報をユーザーが入力可能な入力部が設けられていても良い。さらに、実際には発報が不要な状況であったことを示す情報が当該入力部に入力された場合、発報装置2が作動した際の各種情報(例えば、被監視者Dの体位や位置を示す情報、あるいは、時刻等)を記憶する情報記憶部が設けられていても良い。さらに、信号送信部45が、当該情報記憶部に記憶された情報に基づいて、現在の状況が当時(実際には発報が不要な状況であるにもかかわらず発報装置2が作動したとき)の状況と類似しているか否かを判定すると共に、類似していると判定された場合には上述の発報信号を発報装置2に送信しないように構成されていても良い。
【0140】
この構成であれば、実際には発報が不要な状況であるにもかかわらず発報装置2が作動した場合において、同様の状況となる度に発報が行われてしまう事態を回避しやすい。
【0141】
尚、上述の実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能である。また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0142】
本発明は、老人福祉施設だけではなく、医療施設や公共施設等の種々の施設に利用可能であり、また、屋外であっても利用可能である。
【符号の説明】
【0143】
1 :監視装置
2 :発報装置
6 :入室検知装置(生体情報取得部)
41 :状態検知部
42 :人物状態検知部
43 :特定物検出部(検出部)
44 :判定部
45 :信号送信部(発報制御部、送信部)
A :監視システム
B :エリア
D :被監視者
E :所定属性人物
S11 :状態検知ステップ
S12 :判定ステップ
S13 :発報ステップ
図1
図2
図3
図4
図5