IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ カシオ計算機株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-切断装置及び切断制御方法 図1
  • 特開-切断装置及び切断制御方法 図2
  • 特開-切断装置及び切断制御方法 図3
  • 特開-切断装置及び切断制御方法 図4
  • 特開-切断装置及び切断制御方法 図5
  • 特開-切断装置及び切断制御方法 図6
  • 特開-切断装置及び切断制御方法 図7
  • 特開-切断装置及び切断制御方法 図8
  • 特開-切断装置及び切断制御方法 図9
  • 特開-切断装置及び切断制御方法 図10
  • 特開-切断装置及び切断制御方法 図11
  • 特開-切断装置及び切断制御方法 図12
  • 特開-切断装置及び切断制御方法 図13
  • 特開-切断装置及び切断制御方法 図14
  • 特開-切断装置及び切断制御方法 図15
  • 特開-切断装置及び切断制御方法 図16
  • 特開-切断装置及び切断制御方法 図17
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049445
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】切断装置及び切断制御方法
(51)【国際特許分類】
   B26D 3/08 20060101AFI20240403BHJP
   B41J 11/70 20060101ALI20240403BHJP
   B26D 1/30 20060101ALI20240403BHJP
   B26D 11/00 20060101ALI20240403BHJP
   B26D 1/20 20060101ALI20240403BHJP
   B26F 1/18 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
B26D3/08 Z
B41J11/70
B26D1/30 501F
B26D11/00
B26D1/20 A
B26F1/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155674
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】千葉 聖也
【テーマコード(参考)】
2C058
3C027
3C060
【Fターム(参考)】
2C058AC06
2C058AD06
2C058AE04
2C058AF06
2C058AF31
2C058AF51
2C058LA24
2C058LA26
2C058LB06
2C058LB09
2C058LB17
2C058LC24
3C027SS02
3C027SS06
3C060AA01
3C060AA04
3C060AB01
3C060BA08
3C060BB19
3C060BD01
3C060BD04
3C060BE08
3C060BF09
(57)【要約】
【課題】所望の位置に貼付し易いラベルを生成する。
【解決手段】印刷装置10は、粘着面を有する印刷層(基材)23と、粘着面を覆う剥離可能な剥離紙層21と、を有する被印刷媒体のうち印刷層のみもしくは剥離紙層のみをカット可能なハーフカッター35と、制御部と、を備え、制御部は、ハーフカッターに印刷層と剥離紙層とで異なる形状によるカットを施させる、ことを特徴とする。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着面を有する基材と、前記粘着面を覆う剥離可能な剥離紙と、を有する被印刷媒体のうち前記基材のみもしくは前記剥離紙のみをカット可能なハーフカッターと、
制御部と、を備え、
前記制御部は、前記ハーフカッターに前記基材と前記剥離紙とで異なる形状によるカットを施させる、
ことを特徴とする切断装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記基材あるいは前記剥離紙の一方に対して非直線状のカットを前記ハーフカッターに行わせ、他方に対して直線状のカットを前記ハーフカッターに行わせる、
ことを特徴とする請求項1に記載の切断装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記基材あるいは前記剥離紙の一方に対して点線状のカットを前記ハーフカッターに行わせる、
ことを特徴とする請求項2に記載の切断装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記基材あるいは前記剥離紙の一方に対して鉤状のカットを前記ハーフカッターに行わせる、
ことを特徴とする請求項2に記載の切断装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記基材あるいは前記剥離紙の一方に対して折れ線状のカットを前記ハーフカッターに行わせる、
ことを特徴とする請求項2に記載の切断装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記基材あるいは前記剥離紙の一方に対して円形状のカットを前記ハーフカッターに行わせる、
ことを特徴とする請求項2に記載の切断装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記基材に対するカット部分と、前記剥離紙に対するカット部分とが被印刷媒体の厚み方向において少なくとも一部が重なるように前記ハーフカッターにカットを行わせる、
ことを特徴とする請求項2から6のいずれか一項に記載の切断装置。
【請求項8】
前記ハーフカッターは、前記基材あるいは前記剥離紙の一方に対してカットを行う第1のハーフカッターと、他方に対してカットを行う第2のハーフカッターとを有し、
前記第1のハーフカッターと前記第2のハーフカッターは異なる形状の切断刃を有することを特徴とする請求項1に記載の切断装置。
【請求項9】
前記第1のハーフカッターと前記第2のハーフカッターとは互いに対向した位置に配置されていることを特徴とする請求項8に記載の切断装置。
【請求項10】
粘着面を有する基材と、前記粘着面を覆う剥離可能な剥離紙と、を有する被印刷媒体のうち前記基材のみをカットする工程と、
前記剥離紙のみをカットする工程と、
を含むことを特徴とする切断制御方法であり、
前記基材と前記剥離紙とで異なる形状によるカットを行うことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切断装置及び切断制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のラベルの境界に設けられ、ラベルの配列方向に直交する方向のうち一方向に沿って切れやすいミシン目を備えることにより、1枚のラベル、及び2枚以上のラベルを作業性よく剥離できる連続ラベルが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-179192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示されている連続ラベルでは、ミシン目のカットを行うことしか出来ず、ラベルの印刷層と剥離紙層とで異なる形状のカットを行うことができないという問題がある。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、印刷層と剥離紙とで異なる形状のカットを行ったラベルを生成することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る切断装置は、
粘着面を有する基材と、前記粘着面を覆う剥離可能な剥離紙と、を有する被印刷媒体のうち前記基材のみもしくは前記剥離紙のみをカット可能なハーフカッターと、
制御部と、を備え、
前記制御部は、前記ハーフカッターに前記基材と前記剥離紙とで異なる形状によるカットを施させる、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、印刷層と剥離紙とで異なる形状のカットを行ったラベルを生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】印刷装置の内部構造を示す正面図である。
図2】印刷装置の内部構造を示す側面図である。
図3】印刷装置の内部構造を示す側面図である。
図4】印刷装置の内部構造を示す斜視図である。
図5】印刷装置の切断機構付近を拡大した正面図である。
図6】第1のハーフカッターの動作を説明する図である。
図7】印刷装置の機能構成を示すブロック図である。
図8】印刷制御処理を示すフローチャートである。
図9】印刷装置によって印刷を行う場合の処理手順を模式的に示す説明図である。
図10】ラベルの貼り付け手順を示す説明図である。
図11】(A)は、図10の1段目に示すラベルを示す側面図であり、同図(B)は、図10の2段目に示すラベルを示す側面図である。
図12】第1のハーフカッターによるハーフカットの位置と、第2のハーフカッターによるハーフカットの位置と、が互いに対向する位置であっても、テープの厚み全体が切断されないハーフカットの入れ方の例を示す説明図である。
図13図12のハーフカットの入れ方の他の例を示す説明図である。
図14図12のハーフカットの入れ方の他の例を示す説明図である。
図15図12のハーフカットの入れ方の他の例を示す説明図である。
図16図12のハーフカットの入れ方の他の例を示す説明図である。
図17】切断刃の他の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る印刷装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
[内部構造]
まず、印刷装置10の内部構造について説明する。図1図4は、印刷装置10の内部構造を示している。図1図4に示す内部構造の外側に外装部品が取り付けられて印刷装置10が完成する。印刷装置10は、帯状の被印刷媒体であるテープ20に印刷を行ってラベルを作成するラベルプリンタである。
【0011】
なお、図1では、印刷装置10を構成する第2のハーフカッター38(後述)及び当該第2のハーフカッター38を駆動する駆動系等の図示を省略し、当該第2のハーフカッター38等が配設されている領域のみをハッチング枠で示している(図5も同様)。図2及び図4では、第2のハーフカッター38及び上記の駆動系等の図示を省略した状態の内部構造を示している。一方、図3では、第2のハーフカッター38及び上記の駆動系の一部(可動部材40等)が配設された状態の内部構造を示している。
【0012】
テープ20は、テープカートリッジ25に収容されている。印刷装置10内のカートリッジ装着部11にテープカートリッジ25を装着し、テープカートリッジ25から引き出されたテープ20に対して印刷を行う。
【0013】
印刷装置10での印刷は、加熱によってインクリボン(図示略)のインクをテープ20に付着させる熱転写式で行われる。カートリッジ装着部11には、印刷の際にインクリボ ンを加熱する印刷ヘッドであるサーマルヘッド12が設けられている。
【0014】
サーマルヘッド12には、サーミスタ117(図7参照)が埋め込まれている。サーミスタ117は、サーマルヘッド12(発熱素子12a)の温度を測定して制御部110に出力する。
【0015】
図6に示すように、テープ20は、剥離紙層21と糊層22と印刷層23とを積層した 構成である。テープカートリッジ25内に収容されたインクリボンが印刷層23側に重ねられた状態で搬送され、印刷の際には、インクリボンに含まれるインクがサーマルヘッド12の加熱によって溶融して印刷層23に付着する。
【0016】
なお、印刷装置10における印刷方式は、熱転写式には限定されない。例えば、サーマルヘッド12の加熱によって、印刷層23に含まれる発色剤を顕色化させる感熱式の印刷を行うものであってもよい。
【0017】
印刷装置10内には、サーマルヘッド12に対向する位置にプラテンローラ13が設け られている。プラテンローラ13は、サーマルヘッド12から離間する位置と、サーマルヘッド12に接触する位置とに移動可能である。
【0018】
テープカートリッジ25から引き出されたテープ20及びインクリボンは、サーマルヘッド12とプラテンローラ13の間を通される。プラテンローラ13をサーマルヘッド1 2への接触位置に移動させることにより、サーマルヘッド12とプラテンローラ13の間 にテープ20及びインクリボンが挟持される。印刷の際には、この挟持状態でサーマルヘッド12を加熱する。また、この挟持状態でプラテンローラ13を回転させると、テープ20が長手方向に搬送される。印刷後のテープ20は、プラテンローラ13の回転によって搬送されて、印刷装置10の外部に排出される。
【0019】
印刷装置10は、ベースシャーシ14を備えている。ベースシャーシ14は、印刷装置10の本体を構成しており、金属などの強度に優れる材質で形成されている。印刷装置10を構成する各部品が直接的に又は間接的にベースシャーシ14に対して取り付けられる。ベースシャーシ14は、底板14aと、底板14aから突出する複数の側壁とを備えている。底板14aは、概ね矩形状であり、底板14aの4辺のうち一対の辺を結ぶ方向をX軸方向とし、底板14aの別の一対の辺を結ぶ方向をY軸方向とする。X軸方向とY軸方向は互いに垂直な関係にある。また、X軸方向及びY軸方向に対して垂直な方向をZ軸方向とする。
【0020】
底板14aの4つの辺のうち、Y軸方向に延びる一辺に沿って、支持壁15(支持部材)が設けられている。支持壁15は、底板14aからZ軸方向に突出する壁部であり、X軸方向に所定の厚みを有している。なお、支持壁15は、途中に凹凸や段差を有していて完全に平坦な形状ではないが、概ねY軸方向とZ軸方向に向けて延びる平板状の部位となっており、X軸方向に向く一対の側面を有している。
【0021】
プラテンローラ13の回転によって、テープ20は、概ねX軸方向に搬送される。つまり、X軸方向がテープ20の搬送方向である。また、Y軸方向がテープ20の厚み方向であり、Z軸方向がテープ20の幅方向である。支持壁15は、テープ20の搬送方向と交差する(搬送方向と略垂直な)向きに設けられた立壁である。支持壁15を境界として、印刷装置10の内部側(図1の左側)を搬送方向の内側とし、印刷装置10の外部側(図1の右側)を搬送方向の外側とする。印刷後のテープ20は、支持壁15が設けられている位置を横切って印刷装置10の外部へ排出される。支持壁15は、テープ20の搬送経路を遮らない形状に設定されており、支持壁15のY軸方向を向く端部には、テープ20の搬送経路に面して位置する縁部15aが形成されている(図5参照)。
【0022】
縁部15aは、支持壁15におけるZ軸方向の両端付近に一対設けられている(図2及び図4参照)。一対の縁部15aの間隔は、印刷装置10での使用が想定される最大幅のテープ20よりも広く、Z軸方向でテープ20の通過領域を跨いだ2箇所に縁部15aが配置されている。
【0023】
支持壁15の近傍には、テープ20を案内して搬送経路を定めるテープガイド17が設 けられている。テープガイド17は、支持壁15に対して搬送方向の内側に配置されている。図5に示すように、テープガイド17は、Y軸方向でテープ20の搬送経路の両側に分けて配置されるガイド部17aと支持部17bとを有している。
【0024】
ガイド部17aは、支持壁15の縁部15aに対してY軸方向へ所定の間隔を空けて設置されており、支持壁15よりも僅かに搬送方向の内側に位置している。支持部17bは、支持壁15に対して搬送方向の内側に並んで位置している。支持部17bと支持壁15 の間には、後述する第1のハーフカッター35の刃受け部材36の厚み分の間隔が存在する。
【0025】
印刷後のテープ20は、ガイド部17aと支持部17bの間を通過して搬送方向の外側 へ進む。ガイド部17aの先端には、搬送方向の内側から外側へ進むにつれてY軸方向で 支持壁15との間隔を小さくする傾斜部17cが設けられている。傾斜部17cによって 、テープ20が適正な方向に進行するように案内される。
【0026】
印刷装置10は、テープ20の搬送経路の途中に切断機構30を備えており、当該テープ20が切断機構30によって切断されてラベルが完成する。切断機構30によるテープ20の切断は、フルカッター31によるフルカットと、第1のハーフカッター35によるハーフカットと、第2のハーフカッター38によるハーフカットと、を選択可能である。
【0027】
ここで、第1のハーフカッター35によるハーフカットとは、テープ20の糊層22及び印刷層23を切断し、剥離紙層21が途中まで切り込まれた状態にすることをいう。第2のハーフカッター38によるハーフカットとは、剥離紙層21を切断し、糊層22又は印刷層23が途中まで切り込まれた状態にすることをいう。以下、切断機構30について説明する。
【0028】
切断機構30では、フルカッター31と、第1のハーフカッター35と、第2のハーフカッター38と、が搬送方向に位置を異ならせて配置されている。具体的には、搬送方向の上流側(サーマルヘッド12及びプラテンローラ13に近い側)から下流側(サーマルヘッド12及びプラテンローラ13から遠い側)に、フルカッター31、第1のハーフカッター35、第2のハーフカッター38の順に並べられて当該フルカッター31、第1のハーフカッター35、及び第2のハーフカッター38が配置されている。
【0029】
第2のハーフカッター38は、図2及び図3に示すように、第1のハーフカッター35を、テープ20の搬送方向(X軸方向;図1参照)に沿った回転軸を中心に180度回転させたものであり、支持部材(図示省略)によって支持されている。第1のハーフカッター35と第2のハーフカッター38とは、概ね同一の構成となっている。このため、以下では、第1のハーフカッター35について詳細を説明し、第2のハーフカッター38については、共通の符号を付して説明を省略する。
【0030】
なお、第2のハーフカッター38の切断刃37(後述)は、第2のハーフカッター38用の可動部材40(後述)に取り付けられている。この可動部材40は、第2のハーフカッター38用として設けられた駆動ユニット(図示省略)に接続されている。この駆動ユニットは、第2のハーフカッター38用に設けられた第2駆動モータ48のほか、後述する減速ギヤ列44、カム部材45等により構成されている。
【0031】
切断機構30のうちフルカッター31及び第1のハーフカッター35を対象とした各部品は、支持壁15によって支持されている。印刷装置10では、搬送方向に並ぶフルカッター31と第1のハーフカッター35のうち、第1のハーフカッター35を支持壁15に隣接する位置に設け、フルカッター31を第1のハーフカッター35よりも搬送方向の内側(支持壁15から遠い位置)に設けている。
【0032】
図5に示すように、フルカッター31は、テープガイド17に対して搬送方向の内側に 配されている。フルカッター31は、固定刃32と可動刃33を有し、固定刃32がX軸方向で支持部17bに隣接して位置し、可動刃33がX軸方向でガイド部17aに隣接して位置している。固定刃32は、支持部17bに固定されている。可動刃33は、支持壁15に対して、X軸方向に向く軸(図示略)を中心として回動可能に支持されている。可動刃33は、図示を省略するバネによって、固定刃32から離間する方向に付勢されている。この離間状態がフルカッター31の基本状態であり、テープ20をフルカットする際に、バネの付勢力に抗して可動刃33を動作させる。
【0033】
フルカッター31は、鋏構造でテープ20の厚み全体(剥離紙層21から印刷層23ま での全体)を切断するものである。固定刃32に対して可動刃33が接近し、固定刃32の刃先と可動刃33の刃先がY軸方向で交差することによって、互いの刃先間でテープ2 0を切断する。
【0034】
図5に示すように、第1のハーフカッター35は、テープガイド17に対して搬送方向の外側に配されている。第1のハーフカッター35は、刃受け部材36と切断刃37を有している。
【0035】
刃受け部材36は、X軸方向でテープガイド17の支持部17bと支持壁15との間に配された板状の部品であり、支持壁15の内側の面に対して刃受け部材36の側面が密着する状態で固定されている。換言すれば、刃受け部材36は、テープ20の搬送方向で支持壁15に隣接して固定されている。
【0036】
刃受け部材36のうち搬送方向の内側の側面(支持壁15に固定される側とは反対側の 側面)に対して、テープガイド17の支持部17bが接して固定される。また、支持部17bのうち搬送方向の内側の側面(刃受け部材36に固定される側とは反対側の側面)に 対して、フルカッター31の固定刃32が接して固定される。つまり、搬送方向の内側から外側に向けて、フルカッター31の固定刃32、テープガイド17の支持部17b、第1のハーフカッター35の刃受け部材36、支持壁15の順に並んで配置され、これらの各部材が互いに固定された関係にある。
【0037】
これらの部材の固定方法は限定されないが、一例として、支持壁15に対する刃受け部 材36の固定は、ネジ留め、接着、溶接など、任意の方法で行うことができる。また、支持壁15に対して、刃受け部材36に加えて、テープガイド17の支持部17bやフルカッター31の固定刃32をまとめてネジ留めする共締め構造を採用してもよい。
【0038】
刃受け部材36は、支持壁15の側面に沿う被支持部36aを有し、被支持部36aが 支持壁15に対して固定されている。被支持部36aのY軸方向の先端には、被支持部3 6aに対して搬送方向の外側へ向けて屈曲した屈曲形状の受け部36bが設けられている 。受け部36bは、Y軸方向で支持壁15の縁部15aに接しており、Z軸方向へ長く延びている(図2参照)。支持壁15のうちZ軸方向の両端付近に設けた一対の縁部15aによって受け部36bを支持する構造であるため、受け部36bの位置を高精度に定めることができる。
【0039】
例えば、本実施形態のような一対の縁部15aではなく、支持壁15のうちZ軸方向に 延びる長い端面全体で受け部36bを支持する構造では、支持壁15の端面の一部に形状 不良(凹凸など)があった場合に、受け部36bが傾いてしまうおそれがあるため、支持壁15の端面全体の精度を管理する必要がある。これに対して、本実施形態の構成では、 高度な精度管理を要するのが一対の縁部15aだけで済み、一対の縁部15aの間の領域は受け部36bに接しない逃げ形状(凹形状)になっているので、支持壁15の精度管理を容易にしつつ、受け部36bを高精度に支持させることができる。
【0040】
図5及び図6に示すように、切断刃37は、刃部37aとストッパ37bによって構成されている。刃部37aとストッパ37bは、X軸方向に重ねられて結合している。刃部37aは、切断用の鋭利な刃先形状を有しており、ストッパ37bは、刃部37aのような鋭利な刃先形状を有さない。図6に示すように、ストッパ37bは、Z軸方向の両端付近で刃部37aよりもY軸方向への突出量を大きくしており、刃部37aの刃先からストッパ37bの先端までの間に突出量の差S1がある。差S1は、テープ20における剥離紙層21の厚みT1よりも小さい値(S1<T1)に設定されている。
【0041】
図5に示すように、切断刃37は、Y軸方向で支持壁15の延長上に位置しており、切断刃37の先端がY軸方向で刃受け部材36の受け部36bに対向している。後述する駆動構造によって、切断刃37が受け部36bとの距離を変化させる。図6(A)は、切断刃37が受け部36bから離間した状態であり、図6(B)は、切断刃37を受け部36bに最も接近させたハーフカット状態である。
【0042】
ハーフカット状態では、ストッパ37bの先端が、受け部36bに対して支持壁15の 縁部15aとは反対側から当接して、それ以上の接近が制限される。刃部37aは、テープ20に対して途中まで切り込まれるが、ストッパ37bの突出量との差S1の分だけ受け部36bから離間した状態で止まる。切断刃37側の差S1と剥離紙層21の厚みT1は 、剥離紙層21の途中まで刃部37aを食い込ませる値に設定されている。従って、ハーフカット状態では、刃部37aが糊層22及び印刷層23を切断し、刃部37aが剥離紙層21の途中まで切り込まれた状態になる。刃部37aが切り込まれていない部分では、剥離紙層21が切断されずにX軸方向に連続している。なお、第2のハーフカッター38については、ストッパ37bの突出量が、剥離紙層21を切断し、糊層22又は印刷層23の途中まで刃部37aを食い込ませる値に設定されている。
【0043】
以上のように、第1のハーフカッター35は、ストッパ37b付きの切断刃37を刃受け部材36に当て付けて、切断刃37からの力を刃受け部材36で受けながら、テープ20の厚みの一部分(糊層22及び印刷層23)を切断する押し切り構造である。
【0044】
切断刃37は、可動部材40に取り付けられている。図2及び図4に示すように、可動部材40は、X軸方向に向く回転軸40aを中心として回動可能な板状の部品であり、回転軸40aは、支持壁15に接続して支持されている。可動部材40における回転軸40a付近の領域は、支持壁15のうち搬送方向の外側の側面に沿う位置に配されている。前述したように、支持壁15のうち搬送方向の内側の側面には第1のハーフカッター35の刃受け部材36が支持されているので、支持壁15の一方の側面に刃受け部材36が支持され、支持壁15の他方の側面(支持壁15を挟んで刃受け部材36とは反対側)に可動部材40が支持された構成となる。
【0045】
このように、第1のハーフカッター35における固定部である刃受け部材36と、第1のハーフカッター35における可動部である切断刃37が取り付けられる可動部材40とを、支持壁15の両側に振り分けて配置することで、支持壁15に近い領域に第1のハーフカッター35の構成要素をスペース効率良く収めることができる。
【0046】
図2に示すように、可動部材40は、X軸方向に沿う側面視で略L字状であり、L字の屈曲部付近が回転軸40aによって軸支されている。L字状の可動部材40の第1腕部40bに切断刃37が取り付けられている。切断刃37は、固定ネジ42によって第1腕部40bに固定されている。図5に示すように、第1腕部40bのうち搬送方向の内側を向く面に対して切断刃37が取り付けられている。従って、支持壁15よりも搬送方向の外側に第1腕部40bが位置するのに対して、切断刃37はX軸方向で支持壁15と同じ位置(Y軸方向に並ぶ関係)に配置され、可動部材40の回動(揺動)によって切断刃37の先端と刃受け部材36の受け部36bとの距離を変化させることができる。
【0047】
なお、切断刃37の移動は、回転軸40aを中心とする可動部材40の揺動によって行 われるが、切断刃37が受け部36bに当接する状態では、切断刃37の先端が概ね受け 部36bと平行になる(Z軸方向に延びる向きになる)。従って、ハーフカット時に切断刃37から刃受け部材36に対して加わる押し切り力は、Y軸方向への成分が主となる。
【0048】
可動部材40の第1腕部40bとベースシャーシ14のバネ掛け部14bとの間を、引 張バネ41が接続している。引張バネ41は、刃受け部材36から切断刃37を離間させる方向の付勢力を可動部材40に与える。図2及び図4は、引張バネ41の付勢力によって切断刃37が刃受け部材36から離間した状態を示している。この離間状態が第1のハーフカッター35の基本状態であり、テープ20をハーフカットする際に、引張バネ41の付勢力に抗して可動部材40を動作させる。
【0049】
L字状の可動部材40の第2腕部40cは、途中でX軸方向に屈曲するクランク形状を 有している。そして、第2腕部40cの先端付近は、支持壁15に対して搬送方向の内側に位置しており、第2腕部40cから突出するカムフォロア40dを有している(図1及び図2参照)。
【0050】
図2及び図4に示すように、支持壁15の外側に第1駆動モータ43が取り付けられ、モータ43の出力軸の回転が減速ギヤ列44によって減速されながら伝達される。減速ギヤ列44の最終ギヤと一体に回転するカム部材45を有し、カム部材45にカッター制御カム45aが形成されている。第1駆動モータ43の出力軸はY軸方向に延びている。減速ギヤ列44を構成する各ギヤとカム部材45のそれぞれの回転軸の軸線は、Z軸方向に延びている。第1駆動モータ43の出力軸の外面に設けた傘歯車を介して回転伝達の方向を変更して、第1駆動モータ43から減速ギヤ列44に駆動力を伝達する。
【0051】
図2に示すように、フルカッター31の可動刃33は、カッター制御カム45aの近傍 に位置するカムフォロア33aを有している。可動部材40のカムフォロア40dもカッター制御カム45aの近傍に位置している。カムフォロア33aとカムフォロア40dは 、カム部材45の回転方向においてカッター制御カム45aの両側に振り分けて配置され ている。
【0052】
第1駆動モータ43は、DCモータであり、第1駆動モータ43の出力軸の回転方向の切り替えにより、カム部材45の回転方向が変更される。カム部材45を第1の方向(図2の反時計方向)に回転させる第1駆動モータ43の駆動方向を正転、カム部材45を第2の方向(図2の時計方向)に回転させる第1駆動モータ43の駆動方向を逆転とする。
【0053】
第1駆動モータ43の正転によりカム部材45を第1の方向に回転させると、カッター制御カム45aがカムフォロア33aを押圧する。すると、可動刃33を付勢するバネの力に抗して可動刃33が固定刃32への接近方向(図2の時計方向)に動作して、テープ20に対するフルカットが行われる。
【0054】
第1駆動モータ43の逆転によりカム部材45を第2の方向に回転させると、カッター制御カム45aがカムフォロア40dを押圧する。すると、可動部材40を付勢する引張バネ41の力に抗して切断刃37が刃受け部材36への接近方向(図2の時計方向)に動作して、テープ20に対するハーフカット(糊層22及び印刷層23のみを切断)が行われる。
【0055】
カム部材45の周囲には、カム部材45の回転位置を検知する一対のカム位置検知スイッチ46が設けられている。一対のカム位置検知スイッチ46はそれぞれ、カム部材45 の周面カム45bに接触する突出部を有しており、カム部材45の回転による周面カム4 5bの形状変化に応じて突出部が突出状態と押し込み状態に変化する。
【0056】
一対のカム位置検知スイッチ46の突出部の位置関係によって、フルカッター31と第1のハーフカッター35のいずれのカッターも動作していない初期状態、フルカッター31に切断動作を行わせたフルカット状態、第1のハーフカッター35に切断動作を行わせたハーフカット状態、を検知することができる。図2は 初期状態を示しており、一方のカム位置検知スイッチ46で突出部が突出し、他方のカム位置検知スイッチ46で突出部が押し込まれている。フルカット状態では、一対のカム位置検知スイッチ46の両方で突出部が突出した状態になる。ハーフカット状態では、一対のカム位置検知スイッチ46の両方で突出部が押し込まれた状態になる。
【0057】
フルカット時には、印刷装置10の制御部110は、前述のフルカット状態が検知されるまで 第1駆動モータ43を正転させ、フルカット状態が検知されると第1駆動モータ43を停止させ、続いて、第1駆動モータ43を逆転させて初期状態まで戻す。ハーフカット時には、印刷装置10の制御部110は、前述のハーフカット状態が検知されるまで第1駆動モータ43を逆転させ、ハーフカット状態が検知されると第1駆動モータ43を停止させ、続いて、第1駆動モータ43を正転させて初期状態まで戻す。 ハーフカット状態が検知されて第1駆動モータ43を停止した時点で発生するトルクが、減速ギヤ列44、カム部材45、可動部材40を経て切断刃37に伝わり、ストッパ37bから刃受け部材36へ荷重が加わる。
【0058】
以上のように、動作する切断機構30のうち、フルカッター31については、固定刃32と可動刃33の互いの刃先が交差する鋏構造でテープ20を切断(フルカット)するので 、切断時に可動刃33から固定刃32に対してY軸方向への強い力が加わらない。これに対し、第1のハーフカッター35については、刃受け部材36の受け部36bに対してストッパ37b付きの切断刃37を当てつける押し切り構造でテープ20を切断(ハーフカット)するので、切断時に切断刃37から刃受け部材36にY軸方向への力が入力される。ハーフカット時に刃受け部材36に加わる力は、印刷装置10の機種などによっても異なるが 、一例として40kg程度の荷重が加わる。
【0059】
[機能構成]
次に、印刷装置10の機能構成について説明する。図7は、印刷装置10の機能構成を示すブロック図である。
【0060】
印刷装置10は、上述のようにサーマルヘッド12、サーミスタ117、プラテンローラ13、切断機構30(フルカッター31、第1のハーフカッター35、第2のハーフカッター38)に加えて、制御部110、記憶部111、電源回路112、入力部113、表示部駆動回路114、表示部115、ヘッド駆動回路116、搬送用モータ駆動回路118、カッターモータ駆動回路120等を備える。
【0061】
制御部110は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを含む制御手段である。
【0062】
記憶部111は、図示しないROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)や、ROM、RAMとして機能する不揮発性の半導体メモリであるFLASH(登録商標)メモリ(Flash memory)等を含む。
【0063】
制御部110及び記憶部111は、コンピュータを構成し、ROM等に格納された各種プログラムを、制御部110がRAMの作業領域に展開して実行することによって、印刷装置10の各部の動作を統合的に制御する。
【0064】
記憶部111には、テープ20に印刷を行うプログラム(プログラムのソースコード等)、プログラムの実行に必要な各種データ(例えば、数種類のフォントで構成される文字データ(漢字、カタカナ、ひらがな、アルファベット等)、記号や図形等のデータ、図形・文字間の間隔、所定幅の余白等、印刷動作に必要な各種データ)が記憶されている。また、ユーザが作成したデータがある場合には、ユーザ作成データも記憶部111に保存される。
【0065】
電源回路112は、電源からの電圧から出力電圧を生成し、印刷装置10の各部に電力を供給する電源供給部である。なお、電源は、内部のバッテリ等であってもよいし、ケーブル等を介して接続される外部電源であってもよい。
【0066】
入力部113は、上述した印刷装置10の外装部品上に設けられ、例えば、文字入力キー、十字キー、変換キー、決定キー等の種々のキーを備えている。なお、表示部115の表面にタッチパネルが一体的に設けられている場合には、タッチパネルが入力部113として機能し、ユーザはタッチパネルへのタッチ操作によっても各種の入力・設定等の操作を行うことができる。
【0067】
表示部駆動回路114は、表示部115の動作を制御するコントローラであり、制御部110の制御のもと、表示部115のドライバを制御して表示データに基づく表示を行わせる。すなわち、表示部駆動回路114は、制御部110から出力された表示データを受け取り、この表示データに基づいて各種の表示画面を表示部115に表示させる。
【0068】
表示部115は、上述した印刷装置10の外装部品上に設けられ、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイその他のフラットディスプレイ等で構成されている。
【0069】
ヘッド駆動回路116は、制御部110から供給された制御信号と印刷データに基づいて、サーマルヘッド12(発熱素子12a)を駆動させるヘッド駆動部である。
入力部113等からユーザがラベルの作成のために選択したり入力した文字や記号、図形等を指定するデータは、ユーザの印刷指示があると、制御部110を通じてヘッド駆動回路116に印刷データとして送られる。ヘッド駆動回路116は、当該印刷データに基づいて、複数の発熱素子12aに対する電圧の通電又は非通電を制御する。
ヘッド駆動回路116が印刷データに応じて発熱素子12aへ電流を選択的に流すことで、発熱素子12aが発熱してインクリボンを加熱する。これにより、サーマルヘッド12は、熱転写によりテープ20に対し印刷を行う。
【0070】
搬送用モータ駆動回路118は、搬送用モータ119を駆動させ、プラテンローラ13を回転させる。搬送用モータ119は、例えば、ステッピングモータであり、搬送用モータ駆動回路118より投入されたパルス信号に応じたステップ数ずつ駆動し、正確な搬送を可能とする。
【0071】
印刷動作時において、搬送用モータ駆動回路118は、プラテンローラ13の回転動作(すなわち、テープ20の搬送動作)が、サーマルヘッド12による印刷の進行速度と同期するように搬送用モータ119の駆動を制御する。
なお、印刷動作時において、インクリボンを巻き取る巻き取り軸を回転させる図示しない駆動モータもプラテンローラ13の回転動作と同期して動作するようになっており、テープ20の搬送、サーマルヘッド12による印刷、印刷済みのインクリボンの巻き取りがタイミングを合わせて高精度に行われる。
【0072】
カッターモータ駆動回路120は、切断機構30のうちのフルカッター31又は第1のハーフカッター35を動作させる第1駆動モータ43、及び、第2のハーフカッター38を動作させる第2駆動モータ48の動作を制御する。これにより、適切な位置でテープ20のフルカット又はハーフカットが行われる。
【0073】
[印刷装置の動作]
次に、印刷装置10の動作について、図8及び図9を参照して説明する。
図8は、本実施形態における印刷制御処理を示すフローチャートであり、図9は、本実施形態に係る印刷装置10によって印刷を行う場合の処理手順を模式的に示す説明図である。なお、図9では、テープ20は、糊層22を省略して示している。
【0074】
ここで、印刷装置10の制御部110は、印刷制御処理を開始するにあたり、生成するラベルの印刷長や余白の長さ等のデータ(印刷内容データ)を取得しているものとする。また、印刷制御処理は、テープ20の先端がフルカッター31に対応する位置にある状態から開始されるものとする。
【0075】
印刷制御処理が開始されると、制御部110は、事前に取得された印刷内容データに基づいて、テープ20を所定の長さ分だけ搬送させ、第1のハーフカッター35を動作させて、テープ20の印刷層23のハーフカットを行う(ステップS1;図9の1段目で示す状態)。これにより、生成するラベルの印刷層23の下流側(図9において右側)にハーフカット部Hcが形成される。
【0076】
次いで、制御部110は、テープ20を所定の長さ分だけ搬送させ、第2のハーフカッター38を動作させて、テープ20の剥離紙層21のハーフカットを行う(ステップS2;図9の2段目で示す状態)。これにより、生成するラベルの剥離紙層21の下流側(図9において右側)にハーフカット部Hcが形成される。
【0077】
次いで、制御部110は、事前に取得された印刷内容データに基づいて、文字等の印刷内容Pをテープ20に印字する(ステップS3;図9の3段目で示す状態)。印字中は、サーマルヘッド12による印刷動作と同期してプラテンローラ13が回転し、随時テープ20が搬送されるようになっている。
【0078】
次いで、制御部110は、印刷内容データに基づいて、テープ20を所定の長さ分だけ搬送させ、第2のハーフカッター38を動作させて、テープ20の剥離紙層21のハーフカットを行う(ステップS4;図9の4段目で示す状態)。これにより、生成するラベルの剥離紙層21の上流側(図9において左側)にハーフカット部Hcが形成される。
【0079】
次いで、制御部110は、テープ20を所定の長さ分だけ搬送させ、第1のハーフカッター35を動作させて、テープ20の印刷層23のハーフカットを行う(ステップS5;図9の5段目で示す状態)。これにより、生成するラベルの印刷層23の上流側(図9において左側)にハーフカット部Hcが形成される。
【0080】
次いで、制御部110は、テープ20を所定の長さ分だけ搬送させ、フルカッター31を動作させて、テープ20のフルカットを行い(ステップS6;図9の6段目で示す状態)、印刷制御処理を終了する。フルカットを行うことにより、テープ20が厚み方向に完全に切断されたフルカット部Fcが形成され、テープ20から切り離されたラベルは排出口から排出される。
【0081】
[ラベルの貼り付け方法]
次に、上記の印刷制御処理を行うことにより生成されたラベルLの貼り付け方法について、図10及び図11を参照して説明する。
図10は、ラベルLの貼り付け手順を示す説明図である。図11(A)は、図10の1段目に示すラベルLを示す側面図であり、同図(B)は、図10の2段目に示すラベルLを示す側面図である。なお、図11では、ラベルLは、糊層22を省略して示している。
【0082】
まず、図10の1段目及び図11(A)に示すように、ラベルLの両端に形成された剥離紙層21側のハーフカット部Hcよりも内側の剥離紙層21を剥がす。
【0083】
上記の剥離紙層21が剥がされると、図10の2段目及び図11(B)に示すように、当該剥離紙層21が剥がされた領域(図10の2段目の右下がり斜線が施された領域)において粘着面(粘着層22)が剥き出しになる。このとき、ラベルLの両端の離紙層21は剥がされずに残ったままとなっており、当該両端を持ち手とすることができる。
【0084】
次いで、図10の3段目に示すように、上記の持ち手部分を持った状態でラベルLの粘着面(粘着層22)が剥き出しとなった部分を所望の位置に貼り付ける。図中の網目の領域は、ラベルLの貼り付けが完了した領域を示している。続けて、上記の持ち手部分を、ラベルLの長手方向において当該ラベルLの貼り付けが完了した部分から離間するように引っ張る。
【0085】
次いで、図10の4段目に示すように、上記の持ち手部分が切り離されたことにより粘着面(粘着層22)が剥き出しとなったラベルLの両端を貼り付け、当該ラベルLの貼り付け作業を終了する。
【0086】
[その他]
上述したように、第1のハーフカッター35によるハーフカットでは、テープ20の糊層22及び印刷層23が切断され、第2のハーフカッター38によるハーフカットでは、剥離紙層21が切断される。このため、第1のハーフカッター35によるハーフカットの位置と、第2のハーフカッター38によるハーフカットの位置と、が互いに対向する位置である場合、フルカッター31によるフルカットと同じようにテープ20の厚み全体が切断されることとなる。以下では、第1のハーフカッター35によるハーフカットの位置と、第2のハーフカッター38によるハーフカットの位置と、が互いに対向する位置であっても、テープ20の厚み全体が切断されないハーフカットの入れ方について、図12図15を参照して説明する。
【0087】
図12図15は、第1のハーフカッター35によるハーフカットの位置と、第2のハーフカッター38によるハーフカットの位置と、が互いに対向する位置であっても、テープ20の厚み全体が切断されないハーフカットの入れ方の例を示す説明図である。図12図15は、印刷層23に施されるハーフカット部Hcが非直線状であることを示しているが、これに限られず、剥離紙層21に施されるハーフカット部Hcが非直線状であってもよい。
【0088】
図12に示すように、第1のハーフカッター35によるハーフカットの入れ方を、テープ20の幅方向に点線状の切り込みとすることによって、印刷層23には点線状のハートカット部Hcが形成される。これにより、印刷層23に形成されたハートカット部Hcでは印刷層23が切断されないため、テープ20の厚み全体が切断されないようになる。なお、第1のハーフカッター35によるハーフカットの入れ方は、テープ20の幅方向に点線状の切り込みとする場合に限られず、例えば、テープ20の幅方向に連続した鉤状の切り込み(図13参照)や、折れ線状の切り込み(図14参照)、点線により形成される円形状の切り込み(図15参照)等であってもよい。第1のハーフカッター35によるハーフカットの入れ方を、点線状の切り込みとする場合、図17(A)に示すように、切断刃37をミシン目加工が施されたものとしてもよいし、同図(B)に示すように、円周上にミシン目加工が施された車輪型の刃を用いてもよい。また、第1のハーフカッター35によるハーフカットの入れ方を、鉤状の切り込みや、折れ線状の切り込み、点線により形成される円形状の切り込みとする場合は、例えば、それぞれの切り込みに対応する抜き型を用いる。
【0089】
なお、第1のハーフカッター35による点線状の切り込み(ハーフカット)が入れられるケースは、第1のハーフカッター35によるハーフカットの位置と、第2のハーフカッター38によるハーフカットの位置と、が互いに対向する位置である場合に限られない。例えば、図16に示すように、第1のハーフカッター35によるハーフカットの位置が、第2のハーフカッター38によるハーフカットの位置よりも上流側の位置と下流側の位置とのそれぞれである場合でもよい。
【0090】
以上のように、本実施形態の印刷装置10は、粘着面を有する印刷層(基材)23と、粘着面を覆う剥離可能な剥離紙層21と、を有するテープ(被印刷媒体)20のうち印刷層23のみを切断する第1のハーフカッター35と、剥離紙層21のみを切断する第2のハーフカッター38と、を備える。
印刷装置10によれば、第1のハーフカッター35によって、印刷層23に対してハーフカットを自在に行うことができるとともに、第2のハーフカッター38によって、剥離紙層21に対してハーフカットを自在に行うことができるので、所望の位置に貼付し易いラベルを生成することができる。
【0091】
また、第1のハーフカッター35は、テープ20の搬送経路を挟んだ一方の側に設けられる切断刃(第1の切断刃)37と、他方の側に設けられる刃受け部材(第1の刃受け部材)36と、を有し、第2のハーフカッター38は、テープ20の搬送経路を挟んだ上記他方の側に設けられる切断刃(第2の切断刃)37と、上記一方の側に設けられる刃受け部材(第2の刃受け部材)36と、を有する。
印刷装置10によれば、第1のハーフカッター35によるハーフカットと第2のハーフカッター38によるハーフカットとのそれぞれを、テープ20の搬送途中で一度に済ませることができるので、当該ハーフカットを効率良く行うことができる。
【0092】
また、第1のハーフカッター35の切断刃37は、当該切断刃37からの力が刃受け部材36で受けられた際に、剥離紙層21の切断を規制するストッパ37bを備え、第2のハーフカッター38の切断刃37は、当該切断刃37からの力が刃受け部材36で受けられた際に、印刷層23の切断を規制するストッパ37bを備えているので、第1のハーフカッター35によるハーフカットと第2のハーフカッター38によるハーフカットとのそれぞれを円滑に行うことができる。
【0093】
また、印刷装置10は、印刷層23を、テープ20の搬送方向の前後2箇所の位置で、幅方向に沿って切断するように第1のハーフカッター35の動作を制御するとともに、剥離紙層21を、テープ20の搬送方向の前後2箇所の位置で、且つ、印刷層23が切断される上記の前後2箇所の内側の位置で、幅方向に沿って切断するように第2のハーフカッター38の動作を制御する制御部(制御手段)110を備える。
これにより、図10で示したラベルの貼り付け手順に従って貼り付けを行うことができるラベルを生成することができる。この結果、所望の領域の中央に精度良く貼り付けることを可能にしたラベルを提供することができる。
【0094】
また、印刷装置10は、テープ20の厚み全体を切断するフルカッター31を備え、フルカッター31、第1のハーフカッター35、及び第2のハーフカッター38は、テープ20の搬送方向の手前側(上流側)からフルカッター31、第1のハーフカッター35、第2のハーフカッター38の順に並んで配置されているので、図10で示したラベルの貼り付け手順に従って貼り付けを行うことができるラベルを効率良く生成することができる。
【0095】
なお、以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。
【0096】
例えば、図8の印刷制御処理によりラベルLを生成する際に、当該ラベルLの印刷長に応じて、持ち手部分(図10参照)の幅(テープ20の搬送方向の長さ)を変更できるようにしてもよい。例えば、ラベルLの印刷長が長くなるに従って、上記の持ち手部分の幅を拡げるようにする。
【0097】
また、上記実施形態では、図12図15を参照して、第1のハーフカッター35によるハーフカットの位置と、第2のハーフカッター38によるハーフカットの位置と、が互いに対向する位置であっても、テープ20の厚み全体が切断されないハーフカットの入れ方の例を示す説明したが、第1のハーフカッター35の方ではなく第2のハーフカッター38によるハーフカットの入れ方を、テープ20の幅方向に点線状の切り込みや、テープ20の幅方向に連続した鉤状の切り込み、折れ線状の切り込み、点線により形成される円形状の切り込み等にしてもよい。
【符号の説明】
【0098】
10 印刷装置
11 カートリッジ装着部
12 サーマルヘッド
12a 発熱素子
13 プラテンローラ
14 ベースシャーシ
15 支持壁
15a 縁部
17 テープガイド
17a ガイド部
17b 支持部
17c 傾斜部
20 テープ(被印刷媒体)
21 剥離紙層
22 糊層
23 印刷層
25 テープカートリッジ
30 切断機構
31 フルカッター
32 固定刃
33 可動刃
35 第1のハーフカッター
36 刃受け部材
36a 被支持部
36b 受け部
37 切断刃
37a 刃部
37b ストッパ
38 第2のハーフカッター
40 可動部材
41 引張バネ
43 第1駆動モータ
44 減速ギヤ列
45 カム部材
46 カム位置検知スイッチ
48 第2駆動モータ
110 制御部
111 記憶部
112 電源回路
113 入力部
114 表示部駆動回路
115 表示部
116 ヘッド駆動回路
117 サーミスタ
118 搬送用モータ駆動回路
119 搬送用モータ
120 カッターモータ駆動回路
L ラベル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17