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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049461
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】圧着はがきの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B42D 15/02 20060101AFI20240403BHJP
【FI】
B42D15/02 501B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155694
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 尚久
(72)【発明者】
【氏名】浜田 尊之
【テーマコード(参考)】
2C005
【Fターム(参考)】
2C005WA03
(57)【要約】
【課題】圧着はがきを構成する4つの紙片が第1の方向に連接した単片シートが第1の方向に直交する第2の方向に連接した連接シートを、マージナル孔を用いずに第2の方向に搬送しながら生産性を向上させて圧着はがきを製造する。
【解決手段】圧着はがきを構成する4つの紙片が第1の方向に連接した単片シートが第1の方向に直交する第2の方向に連接した連続ロール帳票51を、制御器62にて制御されるテンションで引っ張り、マージナル孔を用いずに搬送しながら圧着はがきを製造する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の紙片、第2の紙片及び第3の紙片がこの順で重ね合わされて互いに剥離可能に接着されるとともに、前記第2の紙片が第4の紙片と折り部を介して連接した圧着はがきの製造方法であって、
前記第1の紙片と前記第2の紙片とが第1の余剰部を介して第1の方向に連接し、前記第2の紙片と前記第4の紙片とが前記折り部を介して前記第1の方向に連接し、前記第3の紙片と前記第4の紙片とが第2の余剰部を介して前記第1の方向に連接した単片シートが、前記第1の方向に直交する第2の方向に複数連接してなる連接シートを前記第2の方向に繰り出す第1の工程と、
前記第1の工程によって繰り出された前記連接シートの一方の面のうち前記第2の紙片となる領域に擬似接着剤を塗工する第2の工程と、
前記第1の工程によって繰り出された前記連接シートの他方の面のうち、前記第1の紙片となる領域と前記第2の紙片となる領域と前記第3の紙片となる領域とのそれぞれに擬似接着剤を塗工する第3の工程と、
前記第2の工程及び前記第3の工程の後、前記第3の紙片と前記第4の紙片とを、前記連接シートの前記一方の面が内側となって互いに対向するように折り畳む第4の工程と、
前記第2の工程及び前記第3の工程の後、前記第1の紙片と前記第2の紙片とを、前記連接シートの前記他方の面が内側となって互いに対向するように折り畳む第5の工程と、
前記第4の工程及び前記第5の工程の後、前記第2の紙片と前記第4の紙片とを、前記第2の紙片と前記第4の紙片との間に前記第3の紙片が挟み込まれるようにして折り畳む第6の工程と、
前記第6の工程の後、前記第1及び第2の余剰部を切り落とす第7の工程と、
前記第7の工程の後、前記第1及び第2の余剰部が切り落とされた前記連接シートを前記第1及び第2の余剰部が切り落とされた前記単片シートに断裁する第8の工程と、
前記第8の工程の後、前記第1及び第2の余剰部が切り落とされた前記単片シートを表裏から加圧して、前記第1の紙片と前記第2の紙片、前記第2の紙片と前記第3の紙片とをそれぞれ前記擬似接着剤によって剥離可能に接着する第9の工程と、を有し、
前記第1の工程から前記第8の工程は、制御手段にて制御されるテンションで前記連接シートが前記第2の方向に引っ張られて搬送されながら実施される、圧着はがきの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の圧着はがきの製造方法において、
前記連接シートに表示されたタイミングマークを読み取る第10の工程を有し、
前記制御手段は、前記第10の工程にてタイミングマークが読み取られたタイミングに基づいて前記テンションを制御する、圧着はがきの製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の圧着はがきの製造方法において、
前記第3の工程の後、前記連接シートの前記他方の面にて前記第3の紙片の前記第4の紙片との連接辺とは反対側の端辺に沿って強接着剤を塗工する第11の工程と、
前記第3の工程の後、前記連接シートの前記他方の面にて前記第2の紙片の前記第4の紙片との連接辺に沿って強接着剤を塗工する第12の工程とを有し、
前記第1の紙片と前記第2の紙片、前記第2の紙片と前記第3の紙片とは、前記擬似接着剤及び前記強接着剤によって接着される、圧着はがきの製造方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の圧着はがきの製造方法において、
前記第3の紙片は、前記第1の方向の幅が、前記第2の紙片及び前記第4の紙片よりも狭い、圧着はがきの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧着はがきの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、往信用はがきと返信用はがきとが連接してなる往復はがきは、結婚式の二次会等のイベントへの招待状や、商品やサービスの注文書等、多くの用途に利用されている。このような往復はがきにおいては、往信用はがきの表面に送付先の住所や氏名等の宛先情報が記載され、その裏面に、送付元から送付先に伝達する情報が記載される。また、返信用はがきの表面に送付元の住所や氏名等の宛先情報が記載され、その裏面には、送付先から送付元に伝達する情報を記入するための領域が設けられている。これにより、往復はがきの送付元と送付先との間で情報を伝達することができる。
【0003】
ところが、このような往復はがきにおいては、送付元から送付先へ往信用はがきの裏面を用いてしか情報を伝達することができないため、伝達可能な情報量が限られてしまう。
【0004】
ところで、近年、情報伝達媒体の1つであるはがきとして、伝達する情報の量を増やしたり、情報を隠蔽して送付したりするために、2つの紙片を剥離可能に接着した圧着はがきが利用されている。圧着はがきは、折り畳み可能に連接したはがきサイズの2つの紙片の少なくとも一方の面に、接着後の剥離が可能となる擬似接着剤を塗工しておき、擬似接着剤が塗工された面が内側となるように折り畳んで加圧することで、1枚のはがきの形態として送付することができる。
【0005】
また、往信用はがきを多層構造とし、それにより、郵便はがきの規格寸法にて多くの情報を伝達することができる往復はがきが考えられている。このような往復はがきの製造方法として、4つの紙片が横方向に連接された単位シートが縦方向に連接された長尺シートを用いて往復はがきを製造する技術が、例えば、特許文献1,2に開示されている。
【0006】
特許文献1,2に開示された技術においては、長尺シートの短尺方向における外側の領域と、4つの紙片のいくつかの紙片間の領域のそれぞれに、マージナル孔を有するマージナル部分が設けられている。そして、マージナル孔にピントラクタのピンを嵌合させることで長尺シートを搬送しながら、長尺シートに擬似接着フィルムを積層したり長尺シートを折り畳んだりし、最終的に単位シートに断裁することで往復はがきを製造することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第5304535号公報
【特許文献2】特許第5360717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、特許文献1,2に開示された技術においては、長尺シートにマージナル孔を設け、このマージナル孔にピントラクタのピンを嵌合させることで長尺シートを搬送している。そのため、搬送速度を速くした場合、ピントラクタのピンがマージナル孔から外れてしまい、いわゆるジャムが発生してしまう虞がある。そのため、搬送速度を一定以上速くすることができず、生産性を向上させることが困難であるという問題点がある。
【0009】
また、マージナル孔が設けられるマージナル部分が別途必要となるため、その分の紙の使用量が増えてしまうという問題点がある。特に、マージナル孔は、ピントラクタのピンが嵌合可能な程度の径を有する必要があるため、マージナル部分の幅を狭くすることは困難である。また、マージナル部分にマージナル孔を形成した際に発生した、いわゆるピンカスが製品や製造工程に混入してしまう虞がある。
【0010】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、圧着はがきを構成する4つの紙片が第1の方向に連接した単片シートが第1の方向に直交する第2の方向に連接した連接シートを、マージナル孔を用いずに第2の方向に搬送しながら生産性を向上させて圧着はがきを製造することができる、圧着はがきの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明は、
第1の紙片、第2の紙片及び第3の紙片がこの順で重ね合わされて互いに剥離可能に接着されるとともに、前記第2の紙片が第4の紙片と折り部を介して連接した圧着はがきの製造方法であって、
前記第1の紙片と前記第2の紙片とが第1の余剰部を介して第1の方向に連接し、前記第2の紙片と前記第4の紙片とが前記折り部を介して前記第1の方向に連接し、前記第3の紙片と前記第4の紙片とが第2の余剰部を介して前記第1の方向に連接した単片シートが、前記第1の方向に直交する第2の方向に複数連接してなる連接シートを前記第2の方向に繰り出す第1の工程と、
前記第1の工程によって繰り出された前記連接シートの一方の面のうち前記第2の紙片となる領域に擬似接着剤を塗工する第2の工程と、
前記第1の工程によって繰り出された前記連接シートの他方の面のうち、前記第1の紙片となる領域と前記第2の紙片となる領域と前記第3の紙片となる領域とのそれぞれに擬似接着剤を塗工する第3の工程と、
前記第2の工程及び前記第3の工程の後、前記第3の紙片と前記第4の紙片とを、前記連接シートの前記一方の面が内側となって互いに対向するように折り畳む第4の工程と、
前記第2の工程及び前記第3の工程の後、前記第1の紙片と前記第2の紙片とを、前記連接シートの前記他方の面が内側となって互いに対向するように折り畳む第5の工程と、
前記第4の工程及び前記第5の工程の後、前記第2の紙片と前記第4の紙片とを、前記第2の紙片と前記第4の紙片との間に前記第3の紙片が挟み込まれるようにして折り畳む第6の工程と、
前記第6の工程の後、前記第1及び第2の余剰部を切り落とす第7の工程と、
前記第7の工程の後、前記第1及び第2の余剰部が切り落とされた前記連接シートを前記第1及び第2の余剰部が切り落とされた前記単片シートに断裁する第8の工程と、
前記第8の工程の後、前記第1及び第2の余剰部が切り落とされた前記単片シートを表裏から加圧して、前記第1の紙片と前記第2の紙片、前記第2の紙片と前記第3の紙片とをそれぞれ前記擬似接着剤によって剥離可能に接着する第9の工程と、を有し、
前記第1の工程から前記第8の工程は、制御手段にて制御されるテンションで前記連接シートが前記第2の方向に引っ張られて搬送されながら実施される、圧着はがきの製造方法である。
【0012】
上記のように構成された本発明においては、第1の紙片、第2の紙片及び第3の紙片がこの順で重ね合わされて互いに剥離可能に接着されるとともに、第2の紙片が第4の紙片と折り部を介して連接した圧着はがきを製造する場合に、第1の紙片と第2の紙片とが第1の余剰部を介して第1の方向に連接し、第2の紙片と第4の紙片とが折り部を介して第1の方向に連接し、第3の紙片と第4の紙片とが第2の余剰部を介して第1の方向に連接した単片シートが第1の方向に直交する第2の方向に複数連接してなる連接シートを、制御手段にて制御されるテンションで繰り出して第2の方向に引っ張って搬送しながら、紙片どうしを剥離可能に接着するための擬似接着剤を塗工し、紙片を折り畳み、第1及び第2の余剰部を切り落し、単片シートに断裁し、圧着はがきを製造していく。
【0013】
このように、圧着はがきを構成する4つの紙片が第1の方向に連接した単片シートが第2の方向に連接した連接シートを、制御手段にて制御されるテンションで引っ張り、マージナル孔を用いずに搬送しながら圧着はがきを製造することで、圧着はがきを製造するための連接シートの搬送速度を速くすることができ、生産性が向上する。また、マージナル孔を用いないことで、マージナル孔が設けられるマージナル部分が不要となり、その分の紙の使用量が増えてしまうことがなく、さらに、マージナル孔を形成する際に発生する、いわゆるピンカスが製品や製造工程に混入してしまうことがない。
【0014】
また、連接シートに表示されたタイミングマークを読み取る第10の工程を有し、制御手段が、第10の工程にてタイミングマークが読み取られたタイミングに基づいてテンションを制御すれば、連接シートに既にされた印刷や加工に対して連接シートの搬送方向にて加工位置が決められている加工について、その加工の位置がずれてしまうことが回避される。
【0015】
また、擬似接着剤を塗工した後、連接シートの他方の面にて第3の紙片の第4の紙片との連接辺とは反対側の端辺に沿って強接着剤を塗工する第11の工程と、擬似接着剤を塗工した後、連接シートの他方の面にて第2の紙片の第4の紙片との連接辺に沿って強接着剤を塗工する第12の工程とを有し、第1の紙片と第2の紙片、第2の紙片と第3の紙片とが、擬似接着剤及び強接着剤によって接着される構成とすれば、製造された圧着はがきにおいて、擬似接着剤によって剥離可能に接着された紙片どうしを剥離した際に強接着剤が塗工された領域を支点としてブック状に見開くことができる。
【0016】
また、第3の紙片の第1の方向の幅が、第2の紙片及び第4の紙片よりも狭ければ、第3の紙片と第4の紙片とが、連接シートの一方の面が内側となって互いに対向するように折り畳まれ、第1の紙片と第2の紙片とが、連接シートの他方の面が内側となって互いに対向するように折り畳まれた後に、第2の紙片と第4の紙片とを、第2の紙片と第4の紙片との間に第3の紙片が挟み込まれるようにして折り畳む際に、第1の紙片と第2の紙片との間の折り位置と第3の紙片と第4の紙片との間の折り位置とを合わせることができずに折り位置がずれてしまうことが回避される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、4つの紙片からなる圧着はがきを製造する場合に、4つの紙片が第1の方向に連接した単片シートが第1の方向に直交する第2の方向に連接した連接シートを、制御手段にて制御されるテンションで第2の方向に引っ張って搬送しながら圧着はがきを製造することにより、4つの紙片からなる圧着はがきを、マージナル孔を用いずに生産性を向上させて製造することができる。
【0018】
また、連接シートに表示されたタイミングマークを読み取る第10の工程を有し、制御手段が、第10の工程にてタイミングマークが読み取られたタイミングに基づいてテンションを制御するものにおいては、連接シートに既にされた印刷や加工に対して連接シートの搬送方向にて加工位置が決められている加工について、その加工の位置がずれてしまうことを回避できる。
【0019】
また、擬似接着剤を塗工した後、連接シートの他方の面にて第3の紙片の第4の紙片との連接辺とは反対側の端辺に沿って強接着剤を塗工する第11の工程と、擬似接着剤を塗工した後、連接シートの他方の面にて第2の紙片の第4の紙片との連接辺に沿って強接着剤を塗工する第12の工程とを有し、第1の紙片と第2の紙片、第2の紙片と第3の紙片とが、擬似接着剤及び強接着剤によって接着されるものにおいては、製造された圧着はがきにおいて、擬似接着剤によって剥離可能に接着された紙片どうしを剥離した際に強接着剤が塗工された領域を支点としてブック状に見開くことができる。
【0020】
また、第3の紙片の第1の方向の幅が、第2の紙片及び第4の紙片よりも狭いものにおいては、第3の紙片と第4の紙片とが、連接シートの一方の面が内側となって互いに対向するように折り畳まれ、第1の紙片と第2の紙片とが、連接シートの他方の面が内側となって互いに対向するように折り畳まれた後に、第2の紙片と第4の紙片とを、第2の紙片と第4の紙片との間に第3の紙片が挟み込まれるようにして折り畳む際に、第1の紙片と第2の紙片との間の折り位置と第3の紙片と第4の紙片との間の折り位置とを合わせることができずに折り位置がずれてしまうことを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の圧着はがきの製造方法によって製造される圧着はがきの一例を示す図であり、(a)は正面図、(b)は(a)に示したA-A断面図、(c)は見開いた図である。
図2図1に示した往復はがきを製造するための往復はがき用シートの構成例を示す図であり、(a)は一方の面を示す図、(b)は(a)に示したA-A断面図、(c)は他方の面を示す図である。
図3図2に示した往復はがき用シートにおける、往信用紙片,中間紙片及び返信用紙片の連接方向の幅を説明するための図である。
図4図1に示した往復はがきを製造するための連接シートの構成例を示す図である。
図5図1に示した往復はがきを製造するための製造装置の構成例を示す図である。
図6図1に示した往復はがきを図5に示した製造装置を用いて製造する場合の製造方法を説明するための図である。
図7図1に示した往復はがきを図5に示した製造装置を用いて製造する場合の製造方法を説明するための図である。
図8図1に示した往復はがきを図5に示した製造装置を用いて製造する場合の製造方法を説明するための図である。
図9図1に示した往復はがきの使用方法を説明するための図である。
図10】本発明の圧着はがきの製造方法によって製造される圧着はがきの他の例を示す図であり、(a)は正面図、(b)は(a)に示したA-A断面図、(c)は見開いた図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0023】
〈圧着はがきの構成〉
まず、本発明の圧着はがきの製造方法によって製造される圧着はがきの構成について説明する。
【0024】
図1は、本発明の圧着はがきの製造方法によって製造される圧着はがきの一例を示す図であり、(a)は正面図、(b)は(a)に示したA-A断面図、(c)は見開いた図である。
【0025】
本例は図1に示すように、往信用紙片11と、中間紙片12,14と、返信用紙片13とを有する往復はがき1aである。往信用紙片11と、中間紙片12,14と、返信用紙片13とは、この順で重ね合わされている。
【0026】
往信用紙片11は、本願発明にて第1の紙片となるものである。中間紙片12は、本願発明にて第2の紙片となるものである。中間紙片14は、本願発明にて第3の紙片となるものである。返信用紙片13は、本願発明にて第4の紙片となるものである。
【0027】
往信用紙片11と中間紙片12とは、重ね合わされた状態で擬似接着層21によって剥離可能に接着されている。ただし、往信用紙片11と中間紙片12とは、一辺に沿う領域のみ、強接着部31によって剥離困難に接着されている。なお、剥離困難とは、往信用紙片11と中間紙片12とを人間の手によって剥離した場合に、往信用紙片11や中間紙片12自体が裂かれたり厚み方向に分割されたりする程度に強く接着されていることである。
【0028】
往信用紙片11には、強接着部31に対して強接着部31が沿う辺とは反対側に強接着部31に沿ってミシン目11aが形成されている。また、往信用紙片11には、強接着部31が沿う辺とは反対側の辺の角部にコーナーカット11bが形成されているとともに、その辺に沿って、中間紙片12に表示された「郵便往復はがき」からなる文字情報12aを表出させるための孔11cが形成されている。
【0029】
中間紙片12と中間紙片14とは、重ね合わされた状態で擬似接着層22,24によって剥離可能に接着されている。ただし、中間紙片12と中間紙片14とは、強接着部31と重なる領域のみ、強接着部32によって剥離困難に接着されている。
【0030】
中間紙片14と返信用紙片13とは、重ね合わされているものの互いに接着されていない。返信用紙片13は、強接着部31,32の近傍の辺にて中間紙片12と連接している。
【0031】
上記のように構成された往復はがき1aにおいては、図1(c)に示すように、往信用紙片11と中間紙片12とを互いに剥離して強接着部31を支点として見開くことができ、中間紙片12と中間紙片14とを互いに剥離して強接着部32を支点として見開くことができ、中間紙片14と返信用紙片13とを中間紙片14の中間紙片12との連接辺を支点として見開くことができる。
【0032】
〈往復はがき用シートの構成〉
次に、図1に示した往復はがき1aを製造するための往復はがき用シートの構成について説明する。
【0033】
図2は、図1に示した往復はがき1aを製造するための往復はがき用シートの構成例を示す図であり、(a)は一方の面を示す図、(b)は(a)に示したA-A断面図、(c)は他方の面を示す図である。
【0034】
図1に示した往復はがき1aを製造するための往復はがき用シートとしては、図2に示すように、紙からなるベースシート10を基体とし、往信用紙片11と中間紙片12と返信用紙片13と中間紙片14とが、この順で第1の方向となる図中B方向に連接した往復はがき用シート1が考えられる。
【0035】
往信用紙片11は、図中B方向にて対向する2つの辺のうちの一方の辺にて第1の余剰部17を介して中間紙片12と図中B方向に連接している。往信用紙片11は、図中B方向にて対向する2つの辺のうちの他方の辺に管理用紙片15が図中B方向に連接している。往信用紙片11には、管理用紙片15が連接する辺に沿ってミシン目11aが形成されている。また、往信用紙片11には、余剰部17が連接する辺の角部にコーナーカット11bが形成されているとともに、その辺に沿って孔11cが形成されている。
【0036】
余剰部17には、往復はがき用シート1を図2(a)に示す一方の面から見た方向において山折りに折り畳むための折り部17aが設けられている。
【0037】
管理用紙片15には、一方の面にタイミングマーク15aが印刷によって表示されている。なお、管理用紙片15に、往復はがき1aを製造するための管理番号を表示してもよい。
【0038】
中間紙片12は、図中B方向にて対向する2つの辺のうちの余剰部17との連接辺とは反対側の辺に返信用紙片13が連接している。中間紙片12には、図2(c)に示す他方の面のうち、往信用紙片11と中間紙片12とが折り部17aを介して折り畳まれた場合に往信用紙片11の孔11cに対向する領域に、「郵便往復はがき」からなる文字情報12aが印刷によって表示されている。
【0039】
返信用紙片13は、図中B方向にて対向する2つの辺のうちの中間紙片12との連接辺とは反対側の辺にて第2の余剰部18を介して中間紙片14と図中B方向に連接している。
【0040】
中間紙片12と返信用紙片13との境界部分には、中間紙片12と返信用紙片13とを切り離すための切り取り線19が表示されている。
【0041】
余剰部18には、往復はがき用シート1を図2(a)に示す一方の面から見た方向において谷折りに折り畳むための折り部18aが設けられている。
【0042】
中間紙片14は、図中B方向にて対向する2つの辺のうちの余剰部18との連接辺とは反対側の辺に管理用紙片16が連接している。中間紙片14には、管理用紙片16が連接する辺に沿ってミシン目14aが形成されている。また、中間紙片14には、余剰部18が連接する辺の角部にコーナーカット14bが形成されている。
【0043】
管理用紙片16には、一方の面にタイミングマーク16aが印刷によって表示されている。なお、管理用紙片16に、往復はがき1aを製造するための管理番号を表示してもよい。
【0044】
このようにして、管理用紙片15と往信用紙片11と余剰部17と中間紙片12と返信用紙片13と余剰部18と中間紙片14と管理用紙片16とが、この順で図中B方向に連接した往復はがき用シート1においては、ベースシート10の一方の面のうち中間紙片12となる領域に擬似接着剤が塗工されることで擬似接着層22が積層されている。また、往復はがき用シート1のベースシート10の他方の面においては、往信用紙片11と余剰部17と中間紙片12となる領域に亘って擬似接着剤が塗工されることで擬似接着層21が積層されるとともに、中間紙片14となる領域と管理用紙片16の一部の領域に亘って擬似接着剤が塗工されることで擬似接着層24が積層されている。さらに、往復はがき用シート1の擬似接着層21,24が積層された面においては、中間紙片12の返信用紙片13との連接辺に沿う領域に強接着剤がライン状に塗工されることで強接着部31が積層されているとともに、中間紙片14の管理用紙片16との連接辺に沿う領域に強接着剤がライン状に塗工されることで強接着部32が積層されている。そして、上述した構成を有する往復はがき用シート1において、擬似接着層21,22,24及び強接着部31,32が積層されていない状態が、本発明における単片シートとなる。なお、強接着部31,32が上述したように、往信用紙片11と中間紙片12、または中間紙片12と中間紙片14とを剥離困難に接着するものであることから、強接着部31,32を積層するために塗工される強接着剤としては、接着後の剥離を困難とするものが用いられる。
【0045】
ここで、図2に示した往復はがき用シート1における、往信用紙片11,中間紙片12,14及び返信用紙片13の連接方向の幅について説明する。
【0046】
図3は、図2に示した往復はがき用シート1における、往信用紙片11,中間紙片12,14及び返信用紙片13の連接方向の幅を説明するための図である。
【0047】
図3に示すように、図2に示した往復はがき用シート1においては、往信用紙片11,中間紙片12、返信用紙片13及び中間紙片14の連接方向の幅をそれぞれ、W1,W2,W3,W4とした場合、往信用紙片11,中間紙片12及び返信用紙片13の連接方向の幅W1,W2,W3は互いに等しいものの、中間紙片14の連接方向の幅W4だけは、往信用紙片11,中間紙片12及び返信用紙片13の連接方向の幅W1,W2,W3よりも狭いものとなっている。
【0048】
〈連接シートの構成〉
次に、図1に示した往復はがき1aを製造するための連接シートの構成について説明する。
【0049】
図4は、図1に示した往復はがき1aを製造するための連接シートの構成例を示す図である。
【0050】
図1に示した往復はがき1aを製造するための連接シートとしては、図4に示すように、図2に示した往復はがき用シート1を構成する単片シートが、往信用紙片11と中間紙片12と返信用紙片13と中間紙片14とが連接する図2中B方向に直交する第2の方向となる図中C方向に複数連接した連続ロール帳票51が考えられる。
【0051】
連続ロール帳票51は、図2に示した往復はがき用シート1が、擬似接着層21,22,24及び強接着部31,32が積層されていない状態で単片シートとして図中C方向に複数連接し、往復はがき用シート1が連接した図中C方向にロール状に巻き取られている。そして、ロール状から繰り出され、図中C方向に引っ張られて搬送されながら、擬似接着剤及び強接着剤が塗工されることで、図2に示した往復はがき用シート1となり、その後、折り畳まれ、単片状に断裁されることになる。その詳細は後述する。
【0052】
〈往復はがきの製造装置〉
次に、図1に示した往復はがき1aを製造するための製造装置の構成について説明する。
【0053】
図5は、図1に示した往復はがき1aを製造するための製造装置の構成例を示す図である。
【0054】
図1に示した往復はがき1aを製造するための製造装置としては、例えば、図5に示すように、糊収容部41a,41bと、アニロックスローラ42a,42bと、糊転写ローラ43a,43bと、乾燥機44a,44bと、S字ローラ52,53と、スリッター49a,49bと、折り器45a~45cと、糊塗工部46a,46bと、カッター47と、圧着ローラ48と、リーダー61と、制御器62とを有し、このうち制御器62以外が、ロール状から繰り出された連続ロール帳票51の搬送経路上に設けられた構成が考えられる。
【0055】
糊収容部41a,41bは、ベースシート10上に擬似接着層21,22,24を積層するために塗工する擬似接着剤が収容されている。
【0056】
アニロックスローラ42a,42b及び糊転写ローラ43a,43bはそれぞれ、糊収容部41a,41bに収容された擬似接着剤を、ロール状から繰り出された連続ロール帳票51のベースシート10に転写することで塗工する。具体的には、アニロックスローラ42aは、糊収容部41aに収容された擬似接着剤を回転しながらその表面に付着させ、糊転写ローラ43aに接しながら回転することで、付着した擬似接着剤を糊転写ローラ43aに転写する。糊転写ローラ43aは、ロール状から繰り出された連続ロール帳票51のうち中間紙片12となる領域の搬送経路に対向する位置に配置されており、アニロックスローラ42aに接しながら回転することで、アニロックスローラ42aの表面に付着した擬似接着剤をその表面に付着させ、連続ロール帳票51の搬送経路を介して対向する圧胴との間にてロール状から繰り出された連続ロール帳票51を挟み込んだ状態でベースシート10の一方の面のうち中間紙片12となる領域に接しながら回転することで、アニロックスローラ42aから転写した擬似接着剤を連続ロール帳票51のベースシート10の一方の面のうち中間紙片12となる領域に塗工する。また、アニロックスローラ42bは、糊収容部41bに収容された擬似接着剤を回転しながらその表面に付着させ、糊転写ローラ43bに接しながら回転することで、付着した擬似接着剤を糊転写ローラ43bに転写する。糊転写ローラ43bは、ロール状から繰り出された連続ロール帳票51のうち、往信用紙片11、中間紙片12及び余剰部17となる領域と中間紙片14となる領域との搬送経路に対向する位置に配置されており、アニロックスローラ42bに接しながら回転することで、アニロックスローラ42bの表面に付着した擬似接着剤をその表面に付着させ、連続ロール帳票51の搬送経路を介して対向する圧胴との間にてロール状から繰り出された連続ロール帳票51を挟み込んだ状態でベースシート10の他方の面のうち、往信用紙片11、中間紙片12及び余剰部17となる領域と中間紙片14となる領域とに接しながら回転することで、アニロックスローラ42aから転写した擬似接着剤を連続ロール帳票51のベースシート10の他方の面のうち、往信用紙片11、中間紙片12及び余剰部17となる領域と中間紙片14となる領域とにそれぞれ塗工する。
【0057】
乾燥機44aは、糊収容部41a及びアニロックスローラ42aよりも連続ロール帳票51の搬送方向下流側に設けられ、ロール状から繰り出された連続ロール帳票51のベースシート10に糊転写ローラ43aによって塗工された擬似接着剤を乾燥させる。
【0058】
乾燥機44bは、糊収容部41b及びアニロックスローラ42bよりも連続ロール帳票51の搬送方向下流側に設けられ、ロール状から繰り出された連続ロール帳票51のベースシート10に糊転写ローラ43bによって塗工された擬似接着剤を乾燥させる。
【0059】
S字ローラ52は、連続ロール帳票51の搬送方向に並び、往復はがき用シート1の図2中B方向の幅とほぼ同一の幅を有する2つのローラから構成され、アニロックスローラ42a,42b、糊転写ローラ43a,43b及び乾燥機44a,44bよりも連続ロール帳票51の搬送方向下流側に設けられている。S字ローラ52を構成する2つのローラはそれぞれ、連続ロール帳票51の搬送経路を介して対向するローラとの間に連続ロール帳票51を表裏から挟み込みながら搬送する。その際、S字ローラ52は、連続ロール帳票51の搬送方向上流側のローラが連続ロール帳票51の一方の面に接しながら連続ロール帳票51を搬送し、連続ロール帳票51の搬送方向下流側のローラが連続ロール帳票51の他方の面に接しながら連続ロール帳票51をS字状に搬送する。
【0060】
スリッター49aは、S字ローラ52よりも連続ロール帳票51の搬送方向下流側に設けられている。スリッター49aは、ロール状から繰り出された連続ロール帳票51の往信用紙片11と管理用紙片15との境界部分と中間紙片14と管理用紙片16との境界部分とをそれぞれ断裁することで管理用紙片15,16を切り落とす。
【0061】
折り器45aは、スリッター49aよりも連続ロール帳票51の搬送方向下流側に設けられている。折り器45aは、ロール状から繰り出された連続ロール帳票51の返信用紙片13と中間紙片14とを、中間紙片14の擬似接着層24が積層された面が外側となってこれらが互いに対向するように余剰部18の折り部18aを介して折り畳む。
【0062】
糊塗工部46aは、折り器45aよりも連続ロール帳票51の搬送方向下流側に設けられている。糊塗工部46aは、折り器45aにて折り畳まれた連続ロール帳票51のうち中間紙片12の擬似接着層21が積層された面の返信用紙片13との連接辺に沿う領域の搬送経路に対向する位置に配置されており、中間紙片12の擬似接着層21が積層された面の返信用紙片13との連接辺に沿う領域に連接辺に沿ってライン状に強接着剤を塗工する。
【0063】
折り器45bは、糊塗工部46aよりも連続ロール帳票51の搬送方向下流側に設けられている。折り器45bは、糊塗工部46aにて強接着剤が塗工されて中間紙片12に強接着部31が積層された連続ロール帳票51の往信用紙片11と中間紙片12とを、擬似接着層21が積層された面が内側となってこれらが互いに対向するように余剰部17の折り部17aを介して折り畳む。
【0064】
糊塗工部46bは、折り器45bよりも連続ロール帳票51の搬送方向下流側に設けられている。糊塗工部46bは、折り器45bにて折り畳まれた連続ロール帳票51のうち中間紙片14の擬似接着層24が積層された面の余剰部18を介した返信用紙片13との連接辺とは反対側の辺に沿う領域の搬送経路に対向する位置に配置されており、中間紙片14の擬似接着層24が積層された面の余剰部18を介した返信用紙片13との連接辺とは反対側の辺に沿う領域にその辺に沿ってライン状に強接着剤を塗工する。
【0065】
折り器45cは、糊塗工部46bよりも連続ロール帳票51の搬送方向下流側に設けられている。折り器45cは、糊塗工部46bにて強接着剤が塗工されて中間紙片14に強接着部32が積層された連続ロール帳票51の中間紙片12と返信用紙片13とを、中間紙片12と返信用紙片13との間に中間紙片14が挟み込まれるようにして切り取り線19を介して折り畳む。
【0066】
スリッター49bは、折り器45cよりも連続ロール帳票51の搬送方向下流側に設けられている。スリッター49bは、折り器45a~45cにて折り畳まれた連続ロール帳票51の往信用紙片11及び中間紙片12と余剰部17との境界部分と、返信用紙片13及び中間紙片14と余剰部18との境界部分とをそれぞれ断裁することで余剰部17,18を切り落とす。
【0067】
S字ローラ53は、連続ロール帳票51の搬送経路を介して配置され、往信用紙片11、返信用紙片13及び中間紙片12のそれぞれの図2中B方向の幅とほぼ同一の幅を有する2つのローラから構成され、スリッター49bよりも連続ロール帳票51の搬送方向下流側に設けられている。S字ローラ53を構成する2つのローラはそれぞれ、連続ロール帳票51の搬送経路を介して対向するローラとの間に連続ロール帳票51を表裏から挟み込むことで、折り器45a~45cにて折り畳まれてスリッター49bにて余剰部17,18が切り落とされた連続ロール帳票51を所定のテンションで引っ張ってS字状に搬送する。
【0068】
カッター47は、例えば、連続ロール帳票51の搬送経路を介して対向する一対のローラから構成されており、一方のローラの表面から、図2に示した往復はがき用シート1の図2中B方向に直交する方向の長さのピッチで切断刃が表出したロータリーカッターである。カッター47は、S字ローラ53よりも連続ロール帳票51の搬送方向下流側に設けられている。カッター47は、折り器45a~45cにて折り畳まれてスリッター49bにて余剰部17,18が切り落とされた連続ロール帳票51を単片状の往復はがき1aに断裁する。この際、折り器45a~45cにて折り畳まれてスリッター49bにて余剰部17,18が切り落とされた連続ロール帳票51が、カッター47を構成する一対のローラに挟み込まれて一対のローラが回転することで搬送されながら単片状の往復はがき1aに断裁されるので、折り器45a~45cにて折り畳まれてスリッター49bにて余剰部17,18が切り落とされた連続ロール帳票51は、S字ローラ53による引っ張りテンションがかかった状態で単片状の往復はがき1aに断裁されることになる。
【0069】
圧着ローラ48は、連続ロール帳票51の搬送経路を介して対向する一対のローラから構成され、カッター47よりも連続ロール帳票51の搬送方向下流側に設けられている。圧着ローラ48は、カッター47にて連続ロール帳票51が単片状に断裁されてなる往復はがき1aを一対のローラで表裏から一定の圧力で挟み込むことで加圧し、それにより、往信用紙片11と中間紙片12とを擬似接着層21によって剥離可能に接着するとともに、中間紙片12と中間紙片14とを擬似接着層22,24によって剥離可能に接着する。
【0070】
リーダー61は、連続ロール帳票51の搬送経路にてS字ローラ52とスリッター49aとの間に配置され、ロール状から繰り出された連続ロール帳票51に表示されたタイミングマーク15a,16aを読み取る。なお、リーダー61は、連続ロール帳票51の搬送経路上にて連続ロール帳票51に一定のテンションがかかっているS字ローラ52とS字ローラ53との間に配置されていればよい。
【0071】
制御器62は、本願発明にて制御手段となるものである。制御器62は、リーダー61にて連続ロール帳票51に表示されたタイミングマーク15a,16aが読み取られたタイミングに基づいて、連続ロール帳票51の搬送量となる実際の移動距離と、S字ローラ52,53等の製造装置が有する搬送ローラの回転に基づく移動距離(位相)とが一致するように、製造装置に配置されたS字ローラ52,53等の搬送ローラの回転速度を制御することで、S字ローラ52,53にて連続ロール帳票51を引っ張るテンションを制御する。例えば、連続ロール帳票51に表示されたタイミングマーク15a,16aが読み取られたタイミングにてパルス信号を発生させ、そのパルス信号と、製造装置が有するS字ローラ52,53等の搬送ローラのエンコーダーのパルス信号とを同期するように制御する。このようにパルス信号同士を同期させることで、製造装置の搬送ローラの回転に基づく連続ロール帳票51の搬送と、連続ロール帳票51の実際の搬送とを合わせる。
【0072】
〈往復はがきの製造方法〉
次に、図1に示した往復はがき1aを図5に示した製造装置を用いて製造する場合の製造方法について説明する。
【0073】
図6図8は、図1に示した往復はがき1aを図5に示した製造装置を用いて製造する場合の製造方法を説明するための図であり、図6は、往復はがき用シート1の断面図、図7及び図8は、往復はがき用シート1の外観斜視図である。
【0074】
図1に示した往復はがき1aを図5に示した製造装置を用いて製造する場合はまず、ロール状となった連続ロール帳票51が、図2に示した往復はがき用シート1が連接する方向に繰り出され、糊転写ローラ43aによって、連続ロール帳票51のベースシート10の一方の面のうち中間紙片12となる領域に擬似接着剤が塗工される。擬似接着剤は糊収容部41aに収容されており、糊収容部41aに収容された擬似接着剤がアニロックスローラ42aを介して糊転写ローラ43aに転写され、糊転写ローラ43aに転写された擬似接着剤がベースシート10に転写、塗工されることになる。
【0075】
そして、乾燥機44aにおける乾燥処理によって、ベースシート10の一方の面に塗工された擬似接着剤が乾燥させられる。
【0076】
また、ロール状から繰り出された連続ロール帳票51は、糊転写ローラ43bによって、連続ロール帳票51のベースシート10の他方の面のうち、往信用紙片11、中間紙片12及び余剰部17となる領域と中間紙片14となる領域とにそれぞれ擬似接着剤が塗工される。その際、往信用紙片11に管理用紙片15が連接していることで、往信用紙片11の余剰部17との連接辺とは反対側の端辺まで擬似接着剤を塗工しやすくなる。また同様に、中間紙片14に管理用紙片16が連接していることで、中間紙片14の余剰部18との連接辺とは反対側の端辺まで擬似接着剤を塗工しやすくなる。なお、管理用紙片16の中間紙片14との連接辺に沿う領域においても擬似接着剤が塗工されるが、管理用紙片16の中間紙片14との連接辺に沿う領域には擬似接着剤が塗工されない構成としてもよい。擬似接着剤は糊収容部41bに収容されており、糊収容部41bに収容された擬似接着剤がアニロックスローラ42bを介して糊転写ローラ43bに転写され、糊転写ローラ43bに転写された擬似接着剤がベースシート10に転写、塗工されることになる。
【0077】
そして、乾燥機44bにおける乾燥処理によって、ベースシート10の他方の面に塗工された擬似接着剤が乾燥させられる。
【0078】
これにより、図6(a)に示すように、ベースシート10の一方の面のうち中間紙片12となる領域に擬似接着層22が積層されるとともに、ベースシート10の他方の面において、往信用紙片11と余剰部17と中間紙片12となる領域に亘って擬似接着層21が積層されるとともに、中間紙片14となる領域と管理用紙片16の一部の領域に亘って擬似接着層24が積層される。
【0079】
ベースシート10に擬似接着層21,22,24が積層された連続ロール帳票51は、S字ローラ52によって引っ張られながら搬送されていくが、制御器62によってS字ローラ52の回転速度が制御されている。これにより、ロール状から繰り出された連続ロール帳票51がS字ローラ52までの間にて所定のテンションで引っ張られながらたるむことなく搬送されていく。連続ロール帳票51には、糊転写ローラ43a,43bによって擬似接着剤が塗工されている。しかしながら、連続ロール帳票51に塗工された擬似接着剤は乾燥機44a,44bの乾燥処理によって乾燥しているため、連続ロール帳票51がS字ローラ52によって搬送される際にS字ローラ52にくっついたり、S字ローラ52の搬送面が擬似接着剤によってべたついたりすることがない。
【0080】
連続ロール帳票51がS字ローラ52によって搬送された後、管理用紙片15,16に表示されたタイミングマーク15a,16aがリーダー61にて読み取られる。なお、タイミングマークは、図2に示したように管理用紙片15,16の一方の面に表示されていてもよいし、両面に表示されていてもよい。タイミングマークが管理用紙片15,16の両面に表示されている場合は、連続ロール帳票51の搬送経路を介して対向するようにリーダー61を2つ設けてもよい。また、図2に示したように管理用紙片15,16の一方の面にタイミングマーク15a,16aを表示することで、連続ロール帳票51の表裏を識別することもできる。
【0081】
管理用紙片15,16に表示されたタイミングマーク15a,16aがリーダー61にて読み取られると、制御器62において、S字ローラ52,53の回転速度がそれぞれ制御される。例えば、S字ローラ52,53等の製造装置が有する搬送ローラの回転速度に基づいて算出された搬送ローラの移動距離(位相)と、連続ロール帳票51が実際に搬送された移動距離とを比較し、タイミングマーク15a,16aがリーダー61にて読み取られたタイミングでこれらにずれが生じていた場合に、S字ローラ52,53の回転速度が制御される。それにより、ロール状となった連続ロール帳票51のその後の実際の移動距離と、S字ローラ52,53等の移動距離(位相)とが一致するようにタイミングマーク15a,16aがリーダー61にて読み取られたタイミングに基づいて制御される。
【0082】
例えば、制御器62においては、ロール状となった連続ロール帳票51とS字ローラ52との間、及びS字ローラ52とS字ローラ53との間にてそれぞれ連続ロール帳票51がたるみなく搬送されている状態において、その後の連続ロール帳票51の実際の移動距離となるロール状からの繰り出し量(搬送距離)と、製造装置が有する搬送ローラとなるS字ローラ52,53等の移動距離(位相)とが同一になるように制御される。これにより、ロール状となった連続ロール帳票51とS字ローラ52との間、及びS字ローラ52とS字ローラ53との間においては、連続ロール帳票51がたるむことなく搬送されていくことになる。
【0083】
S字ローラ52にて搬送され、リーダー61にてタイミングマーク15a,16aが読み取られた連続ロール帳票51は、往信用紙片11と管理用紙片15との境界部分と中間紙片14と管理用紙片16との境界部分とがそれぞれスリッター49aによって断裁されることで、図7(a)に示すように管理用紙片15,16が切り落とされる。
【0084】
次に、図6(b)及び図7(b)に示すように、折り器45aにおいて、スリッター49aによって管理用紙片15,16が切り落とされた連続ロール帳票51の返信用紙片13と中間紙片14とが、中間紙片14の擬似接着層24が積層された面が外側となってこれらが互いに対向するように余剰部18の折り部18aを介して折り畳まれる。
【0085】
次に、図6(c)及び図7(c)に示すように、糊塗工部46aにおいて、中間紙片12の擬似接着層21が積層された面の返信用紙片13との連接辺に沿う領域に連接辺に沿ってライン状に強接着剤31aが塗工され、強接着部31が積層される。
【0086】
そして、図6(d)及び図7(c)に示すように、折り器45bにおいて、糊塗工部46aにて強接着剤31aが塗工されることで中間紙片12に強接着部31が積層された連続ロール帳票51の往信用紙片11と中間紙片12とが、擬似接着層21が積層された面が内側となってこれらが互いに対向するように余剰部17の折り部17aを介して折り畳まれる。これにより、往信用紙片11と中間紙片12とが、余剰部17との連接辺とは反対側の辺に沿う領域どうしにおいて強接着部31によって剥離困難に接着されることになる。
【0087】
次に、図6(e)及び図8(a)に示すように、糊塗工部46bにおいて、中間紙片14の擬似接着層24が積層された面の余剰部18を介した返信用紙片13との連接辺とは反対側の辺に沿う領域にその辺に沿ってライン状に強接着剤32aが塗工され、強接着部32が積層される。
【0088】
そして、図6(f)及び図8(a),(b)に示すように、折り器45cにおいて、糊塗工部46bにて強接着剤32aが塗工されることで中間紙片14に強接着部32が積層された連続ロール帳票51の中間紙片12と返信用紙片13とが、中間紙片12と返信用紙片13との間に中間紙片14が挟み込まれるようにして切り取り線19を折り部として折り畳まれる。これにより、中間紙片12と中間紙片14とが、中間紙片12の返信用紙片13との連接辺に沿う領域と中間紙片14の余剰部18を介した返信用紙片13との連接辺とは反対側の辺に沿う領域どうしにおいて、強接着部32によって剥離困難に接着されることになる。その際、上述したように、往信用紙片11,中間紙片12及び返信用紙片13の連接方向における中間紙片14の幅が、中間紙片12及び返信用紙片13の幅よりも狭いものとなっているため、中間紙片14の返信用紙片13との連接辺とは反対側の辺が、中間紙片12と返信用紙片13との折り部分にぶつかって、往信用紙片11と中間紙片12との間の折り部17aによる折り位置と、返信用紙片13と中間紙片14との間の折り部18aによる折り位置とを合わせることができずに折り位置がずれてしまうことを回避できる。
【0089】
次に、図6(g)及び図8(c)に示すように、スリッター49bによって、折り器45a~45cにて折り畳まれた連続ロール帳票51の往信用紙片11及び中間紙片12と余剰部17との境界部分と、返信用紙片13及び中間紙片14と余剰部18との境界部分とがそれぞれ断裁されることで余剰部17,18が切り落とされる。
【0090】
折り器45a~45cにて折り畳まれ、スリッター49bによって余剰部17,18が切り落とされた連続ロール帳票51は、S字ローラ53によって引っ張られながら搬送されていくが、上述したように、制御器62によってS字ローラ52,53の回転速度が制御されていることで、連続ロール帳票51がS字ローラ52からS字ローラ53までの間にて所定のテンションで引っ張られながらたるむことなく搬送されていく。
【0091】
次に、カッター47によって、折り器45a~45cにて折り畳まれてスリッター49bにて余剰部17,18が切り落とされた連続ロール帳票51が単片状の往復はがき1aに断裁される。ここで、上述したように、折り器45a~45cにて折り畳まれてスリッター49bにて余剰部17,18が切り落とされた連続ロール帳票51が、カッター47を構成する一対のローラに挟み込まれて一対のローラが回転することで搬送されながら単片状の往復はがき1aに断裁されるので、折り器45a~45cにて折り畳まれてスリッター49bにて余剰部17,18が切り落とされた連続ロール帳票51は、S字ローラ53による引っ張りテンションがかかった状態で単片状の往復はがき1aに断裁されることになる。
【0092】
その後、カッター47にて連続ロール帳票51が単片状に断裁された往復はがき用シート1が表裏から一定の圧力で圧着ローラ48に挟み込まれて加圧され、それにより、往信用紙片11と中間紙片12とが擬似接着層21によって剥離可能に接着されるとともに、中間紙片12と中間紙片14とが擬似接着層22,24によって剥離可能に接着され、さらに、往信用紙片11と中間紙片12とが一辺に沿う領域にて強接着部31によって剥離困難に接着されるとともに、中間紙片12と中間紙片14とが、強接着部31に重なる領域にて強接着部32によって剥離困難に接着された、図1に示した往復はがき1aが完成する。
【0093】
上述したように、往信用紙片11と中間紙片12,14と返信用紙片13とを有する往復はがき1aが、これらが第1の方向に連接してなる往復はがき用シート1が第1の方向に直交する第2の方向に複数連接してなる連続ロール帳票51が搬送されながら、擬似接着剤が塗工され、折り畳まれ、断裁されて製造されることになるが、連続ロール帳票51に表示されたタイミングマークが読み取られ、タイミングマークが読み取られたタイミングに基づいて制御器62にて制御されるテンションで連続ロール帳票51がロール状から繰り出されて引っ張られながら搬送されるので、往復はがき1aを製造するための連続ロール帳票51の搬送速度を速くすることができ、生産性が向上する。また、マージナル孔を用いないことで、マージナル孔が設けられるマージナル部分が不要となり、その分の紙の使用量が増えてしまうことがなく、さらに、マージナル孔を形成する際に発生する、いわゆるピンカスが製品や製造工程に混入してしまうことがない。
【0094】
なお、本形態においては、孔11c、ミシン目11a,14a及びコーナーカット11b,14bは、ロール状となった連続ロール帳票51において既に形成されており、また、往信用紙片11に表示される宛先情報や、返信用紙片13に表示される返信先情報、さらには、管理用紙片15,16に表示されるタイミングマーク等の情報は、既にベースシート10の所定の領域に印刷されているが、これらの加工や印刷は、連続ロール帳票51がロール状から繰り出された後に行われてもよい。その場合、タイミングマークだけ予め印刷されていれば、制御器62によって、連続ロール帳票51が引っ張られながら搬送されるテンションが制御されることで、所定の位置に印刷や加工を行うことができる。
【0095】
また、本形態においては、S字ローラ52が、連続ロール帳票51の搬送方向において乾燥機44bとスリッター49aとの間に配置され、S字ローラ53が、連続ロール帳票51の搬送方向においてスリッター49bとカッター47との間に設けられ、連続ロール帳票51が引っ張られるテンションが制御されているが、連続ロール帳票51を制御器62にて制御されるテンションで搬送するためのローラは、少なくとも、連続ロール帳票51を単片状の往復はがき1aに断裁するカッター47の直前に配置することが好ましく、さらには、連続ロール帳票51が折り器45a~45cにて蛇行しながら搬送されることから、折り器45aの直前にも配置されることが好ましい。
【0096】
〈往復はがきの使用方法〉
次に、図1に示した往復はがき1aの使用方法について説明する。
【0097】
図9は、図1に示した往復はがき1aの使用方法を説明するための図である。
【0098】
図1に示した往復はがき1aは、往信用紙片11の中間紙片12との接着面とは反対側の面に表示された宛先情報に従って送付先に送付される。その際、中間紙片12に表示された「郵便往復はがき」からなる文字情報12aが、往信用紙片11に形成された孔11cから表出している。
【0099】
往復はがき1aが宛先情報に従って送付先に送付されると、まず、図9(a)に示すように、往信用紙片11が中間紙片12から剥離される。往信用紙片11は、中間紙片12と強接着部31以外の領域にて擬似接着層21によって剥離可能に接着されており、往信用紙片11には、強接着部31が沿う辺とは反対側の辺の角部にコーナーカット11bが形成されているため、コーナーカット11bを摘み代として往信用紙片11を中間紙片12から剥離していくことができる。
【0100】
コーナーカット11bを摘み代として往信用紙片11が中間紙片12から剥離されていくと、往信用紙片11と中間紙片12とが、コーナーカット11bを有する辺とは反対側の辺に沿う強接着部31にて互いに剥離困難に接着されているため、図9(b)に示すように、往信用紙片11が中間紙片12から完全に剥離されず、往信用紙片11と中間紙片12とが、強接着部31を支点として見開かれる。その際、往信用紙片11には、強接着部31に沿ってミシン目11aが形成されているため、ミシン目11aを折り部として用いて往信用紙片11を折り畳むことができる。
【0101】
なお、本形態においては、往信用紙片11と中間紙片12とが、コーナーカット11bを有する辺とは反対側の辺に沿う強接着部31にて互いに剥離困難に接着されていることで、互いに完全に剥離されずに強接着部31を支点として見開かれるが、強接着部31を有さない構成とし、往信用紙片11と中間紙片12とが互いに完全に剥離されるようにしてもよい。そのような構成においては、ミシン目11aをあえて設ける必要はない。
【0102】
次に、図9(c)に示すように、返信用紙片13と中間紙片14とが見開かれ、中間紙片14が中間紙片12から剥離される。返信用紙片13と中間紙片14とは互いに接着されていないため見開くことができる。さらに、中間紙片14は、中間紙片12と強接着部32以外の領域にて擬似接着層22,24によって剥離可能に接着されており、中間紙片14には、強接着部32が沿う辺とは反対側の辺の角部にコーナーカット14bが形成されているため、コーナーカット14bを摘み代として中間紙片14を中間紙片12から剥離していくことができる。
【0103】
コーナーカット14bを摘み代として中間紙片14が中間紙片12から剥離されていくと、中間紙片14と中間紙片12とが、コーナーカット14bを有する辺とは反対側の辺に沿う強接着部32にて互いに剥離困難に接着されているため、図9(d)に示すように、中間紙片14が中間紙片12から完全に剥離されず、中間紙片14と中間紙片12とが、強接着部32を支点として見開かれる。その際、中間紙片14には、強接着部32に沿ってミシン目14aが形成されているため、ミシン目14aを折り部として用いて中間紙片14を折り畳むことができる。
【0104】
なお、本形態においては、中間紙片12と中間紙片14とが、コーナーカット14bを有する辺とは反対側の辺に沿う強接着部32にて互いに剥離困難に接着されていることで、互いに完全に剥離されずに強接着部32を支点として見開かれるが、強接着部32を有さない構成とし、中間紙片12と中間紙片14とが互いに完全に剥離されるようにしてもよい。そのような構成においては、ミシン目14aをあえて設ける必要はない。
【0105】
このようにして往信用紙片11と中間紙片12とが剥離されるとともに、中間紙片14と中間紙片12とが剥離された往復はがき1aは、図9(e)に示すように、強接着部31,32を支点としてブック状に見開くことができる。
【0106】
その後、図9(f)に示すように、中間紙片12と返信用紙片13との境界部分に表示された切り取り線19に従って返信用紙片13が中間紙片12から切り離され、返信用紙片13に表示された返信先情報に従って返信先に送付されていく。その際、上述したように、往信用紙片11,中間紙片12及び返信用紙片13の連接方向における中間紙片14の幅が中間紙片12の幅よりも狭いものとなっているため、切り取り線19が中間紙片14に重なっておらず、返信用紙片13を切り取り線19に従って中間紙片12から切り離す際に中間紙片14が邪魔になってしまうことがない。
【0107】
ここで、現在の郵便法における重量制限では、返信部及び往信部のそれぞれの重量が2g以上6g以下と規定されている。本形態の往復はがき1aは、互いに同一形状の往信用紙片11、中間紙片12及び返信用紙片13と、その幅がこれらよりも狭い中間紙片14とから構成されている。そのため、重量の合計を制御しやすくなる。
【0108】
なお、本形態においては、中間紙片12に表示された「郵便往復はがき」からなる文字情報12aを表出させるための孔11cが往信用紙片11に形成されているが、往信用紙片11に孔11cを形成せず、往信用紙片11と中間紙片12とを重ね合わせた後に、往信用紙片11の文字情報12aに対向する領域を除去する構成とすることも考えられる。
【0109】
図10は、本発明の圧着はがきの製造方法によって製造される圧着はがきの他の例を示す図であり、(a)は正面図、(b)は(a)に示したA-A断面図、(c)は見開いた図である。
【0110】
本例は図10に示すように、図1に示したものに対して、往信用紙片111の形状が異なる往復はがき101aである。図10に示すように、本例においては、往信用紙片111の短手方向の幅が、中間紙片12,14及び返信用紙片13よりも狭くなっており、それにより、中間紙片12に表示された文字情報12aが表出している。
【0111】
このような構成の往復はがき101aを図5に示した製造装置にて製造する場合、例えば、図1に示したものと同様に往信用紙片111の短手方向の幅を中間紙片12,14及び返信用紙片13と同一としておくとともに、連続ロール帳票51の搬送方向にてスリッター49bの下流側に、往信用紙片111のみにスリットを形成するスリッターを設け、このスリッターによって往信用紙片111の文字情報12aに対向する領域の内側に沿ってスリットを形成し、その後、往信用紙片111の文字情報12aに対向する領域を除去することが考えられる。その場合、単片状となった往復はがき1aが圧着ローラ48によってその後表裏から加圧される際、往信用紙片111が除去された領域だけ、圧着ローラ48による加圧圧力が加わりにくくなる虞がある。そのため、そのような構成においては、往復はがき用シート1の搬送方向にて圧着ローラ48よりも下流側に、往信用紙片111が除去された領域を表裏から挟み込んで加圧する圧着ローラを設けることが好ましい。
【0112】
また、本形態においては、往復はがき1aを製造するための往復はがき用シート1に管理用紙片15,16が設けられ、この管理用紙片15,16にタイミングマーク15a,16aが表示されているが、タイミングマークは、往信用紙片11や返信用紙片13または中間紙片12,14に表示されていてもよい。ただ、管理用紙片15,16を設け、管理用紙片15,16にタイミングマークを表示していれば、往復はがき1aの製造工程において管理用紙片15,16を上述したように切り落とすことで、情報伝達に不必要な情報が往復はがき1aに表示されることがなくなる。また、タイミングマークとして、コーナーカット11b,14bや孔11c等、連続ロール帳票51の搬送方向の位置を特定可能なものを利用することも考えられる。
【0113】
また、本形態においては、連続ロール帳票51に表示されたタイミングマーク15a,16aがリーダー61にて読み取られ、制御器62において、タイミングマーク15a,16aがリーダー61にて読み取られたタイミングに基づいて、S字ローラ52,53のそれぞれにて連続ロール帳票51を引っ張るテンションが制御されている。そのため、このテンション制御を、カッター47にて連続ロール帳票51を単片状に断裁する位置を特定するためや、連続ロール帳票51の特定箇所に情報を印刷するためにも利用することができる。なお、カッター47にて連続ロール帳票51を単片状に断裁する位置を特定するためにタイミングマークの読み取りを有するテンション制御を利用しない場合は、連続ロール帳票51のロール状からの繰り出し量を認識し、認識した繰り出し量に基づいてカッター47にて連続ロール帳票51を単片状に断裁することが考えられる。また、カッター47が、ローラの表面から、図2に示した往復はがき用シート1の図2中B方向に直交する方向の長さのピッチで切断刃が表出したロータリーカッターであれば、カッター47を構成するローラの回転をS字ローラ52,53の回転と同期させ、さらに、連続ロール帳票51のロール状からの繰り出し速度がカッター47を構成するローラにおける連続ロール帳票51の搬送速度と同一となるように、連続ロール帳票51をロール状から繰り出すローラの回転と、カッター47を構成するローラの回転とを制御し、カッター47にて連続ロール帳票51を単片状に断裁することが考えられる。
【符号の説明】
【0114】
1 往復はがき用シート
1a,101a 往復はがき
10 ベースシート
11,111 往信用紙片
11a,14a ミシン目
11b,14b コーナーカット
11c 孔
12,14 中間紙片
12a 文字情報
13 返信用紙片
15,16 管理用紙片
15a,16a タイミングマーク
17,18 余剰部
17a,18a 折り部
19 切り取り線
21,22,24 擬似接着層
31,32 強接着部
31a,32a 強接着剤
41a,41b 糊収容部
42a,42b アニロックスローラ
43a,43b 糊転写ローラ
44a,44b 乾燥機
45a~45c 折り器
46a,46b 糊塗工部
47 カッター
48 圧着ローラ
49a,49b スリッター
51 連続ロール帳票
52,53 S字ローラ
61 リーダー
62 制御器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10