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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049473
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】除塵装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/52 20180101AFI20240403BHJP
   F24F 7/06 20060101ALI20240403BHJP
   F24F 11/74 20180101ALI20240403BHJP
   F24F 110/64 20180101ALN20240403BHJP
【FI】
F24F11/52
F24F7/06 C
F24F11/74
F24F110:64
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155713
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】小林 雅之
(72)【発明者】
【氏名】原田 真宏
(72)【発明者】
【氏名】村上 伸太郎
(72)【発明者】
【氏名】藤本 卓也
(72)【発明者】
【氏名】久保田 謙三
(72)【発明者】
【氏名】森 豊
【テーマコード(参考)】
3L058
3L260
【Fターム(参考)】
3L058BF03
3L058BF04
3L058BG04
3L260AA06
3L260BA73
3L260CA17
3L260FA07
3L260GA24
3L260HA01
(57)【要約】
【課題】除塵の成果を容易に確認することができる除塵装置を提供する。
【解決手段】空気を送り出す送風機20と、前記送風機からの空気を対象者に対して吹出す吹出口11aと、空気中の粉塵の量を検出する粉塵センサ30と、前記粉塵センサ30の検出結果を取得可能な制御部60と、を具備した。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を送り出す送風機と、
前記送風機からの空気を対象者に対して吹出す吹出口と、
空気中の粉塵の量を検出する検出部と、
前記検出部の検出結果を取得可能な制御部と、
を具備する除塵装置。
【請求項2】
空気中の粉塵の量を表示可能な表示部をさらに具備し、
前記制御部は、
前記検出部により検出された粉塵の量を前記表示部に表示させる、
請求項1に記載の除塵装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記送風機を作動させて前記検出部の検出結果を取得する判定制御と、
前記判定制御の結果に基づいて前記送風機を作動させて前記対象者の除塵を行う除塵制御と、
を行う、
請求項1に記載の除塵装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記判定制御において、間欠的に前記送風機を作動させて前記検出部の検出結果を取得する、
請求項3に記載の除塵装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記除塵制御において、前記判定制御において検出された空気中の粉塵の量の増減に基づいて、前記送風機の動作態様を決定する、
請求項3に記載の除塵装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記判定制御において検出された空気中の粉塵の量が所定の閾値未満である場合、前記除塵制御を行わない、
請求項3に記載の除塵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除塵装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、対象者に付着した粉塵を除去することが可能な除塵装置の技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1には、エアシャワー室内の空気を吸引ファンにより吸引し、浄化された空気をエアシャワー室内に噴射することで除塵を行う除塵装置(エアシャワー装置)が開示されている。
【0004】
特許文献1に記載された技術では、対象者に付着した粉塵の量や、除塵された粉塵の量を確認できない。このため、利用者が除塵装置による除塵の成果を確認し難い点で改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-147810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、除塵の成果を容易に確認することができる除塵装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、空気を送り出す送風機と、前記送風機からの空気を対象者に対して吹出す吹出口と、空気中の粉塵の量を検出する検出部と、前記検出部の検出結果を取得可能な制御部と、を具備するものである。
【0009】
請求項2においては、空気中の粉塵の量を表示可能な表示部をさらに具備し、前記制御部は、前記検出部により検出された粉塵の量を前記表示部に表示させるものである。
【0010】
請求項3においては、前記制御部は、前記送風機を作動させて前記検出部の検出結果を取得する判定制御と、前記判定制御の結果に基づいて前記送風機を作動させて前記対象者の除塵を行う除塵制御と、を行うものである。
【0011】
請求項4においては、前記制御部は、前記判定制御において、間欠的に前記送風機を作動させて前記検出部の検出結果を取得するものである。
【0012】
請求項5においては、前記制御部は、前記除塵制御において、前記判定制御において検出された空気中の粉塵の量の増減に基づいて、前記送風機の動作態様を決定するものである。
【0013】
請求項6においては、前記制御部は、前記判定制御において検出された空気中の粉塵の量が所定の閾値未満である場合、前記除塵制御を行わないものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、除塵の成果を容易に確認することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】(a)本発明の一実施形態に係る除塵装置の構成を示した模式図。(b)除塵装置の制御に関する構成を示したブロック図。
図2】(a)表示部を示した図。(b)粉塵の量が少量の場合の表示部を示した図。(c)粉塵の量が多量の場合の表示部を示した図。
図3】除塵装置の制御態様を示したフローチャート。
図4】間欠運転後に計測された粉塵の量の一例を示した図。
図5】制御運転における時間と風速の制御パターンを示した図。
図6】間欠運転のみで除塵を行う場合に計測された粉塵の量の一例を示した図。
図7】(a)空気を上方に向かって吐出する場合の粉塵センサの設置位置の例を示した図。(b)天井部に吹出口を設けた場合の粉塵センサの設置位置の例を示した図。
図8】(a)吸気口を設けず、空気を下方に向かって吐出する場合の粉塵センサの設置位置の例を示した図。(b)吸気口を設けず、空気を上方に向かって吐出する場合の粉塵センサの設置位置の例を示した図。(c)吸気口を設けず、天井部に吹出口を設けた場合の粉塵センサの設置位置の例を示した図。
図9】(a)空気を下方に向かって吐出する場合のレーザセンサの設置位置の例を示した図。(b)空気を上方に向かって吐出する場合のレーザセンサの設置位置の例を示した図。(c)天井部に吹出口を設けた場合のレーザセンサの設置位置の例を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、図中の矢印に基づいて、前後方向、左右方向及び上下方向を定義して説明を行う。まず、本発明の一実施形態に係る除塵装置1について説明する。
【0017】
本実施形態に係る除塵装置1は、一例として、ホテルなどの宿泊施設やショッピングモールなどの商業施設のエントランスやエレベーターホール等に配置することを想定している。除塵装置1は、当該除塵装置1を通過するホテル等の利用客に対して空気を吹き付けることで、当該利用客に付着した粉塵を除去することができる。これによって、ホテル等の建物内に粉塵が侵入するのを防止することができる。
【0018】
図1に示す除塵装置1は、対象となる人や物(便宜上、以下では「対象者」と称する)に付着した粉塵を除去するものである。ここで、粉塵とは、花粉等の空気中に浮遊する粒子を指す。粉塵には、花粉の他に砂塵や微小なホコリ、ハウスダスト、PM2.5(粒径2.5μm以下の粒子状物質)等の粒子が含まれる。除塵装置1は、主として本体10、送風機20、粉塵センサ30、人感センサ40、表示部50及び制御部60を具備する。
【0019】
図1(a)に示す本体10は、除塵装置1の外郭を成す部材である。本体10は、主として一対の側面部11及び天井部12を具備する。
【0020】
側面部11は、本体10の側面を形成する部分である。側面部11は、中空の直方体状に形成される。側面部11は、互いに対向するように、左右一対設けられる。側面部11は、吹出口11a及び吸気口11bを具備する。
【0021】
吹出口11aは、対象者に対して吹き付ける空気を吹き出すための開口部である。吹出口11aは、一対の側面部11の対向面にそれぞれ形成される。吹出口11aは、互いに適宜の間隔を空けて複数形成される。本実施形態では、吹出口11aは、1つの側面部11に対して、上下に3列、前後に2列並ぶように、計6つ形成された例を示している。吹出口11aは、斜め下方に向かって空気を吐出するように配置されている。なお、吹出口11aの空気の吐出方向は、任意に調整できるように構成することも可能である。
【0022】
吸気口11bは、空気を吸引(吸気)すると共に、当該空気に含まれる粉塵を集める(集塵)ための開口部である。吸気口11bは、一対の側面部11の対向面における下部(吹出口11aよりも下方)に形成される。吸気口11bには、吸気した空気を浄化する浄化装置が設けられる。上記浄化装置としては、例えば空気中の粉塵を除去することが可能な粉塵フィルタ、空気中の臭いを除去することが可能な脱臭フィルタ、放電空間内を流通する空気中の粉塵を除去することが可能な放電除去装置等を用いることが可能である。
【0023】
天井部12は、本体10の天井を形成する部分である。天井部12は、一対の側面部11の上端を接続するように設けられる。天井部12で一対の側面部11を接続することによって、除塵装置1の耐震性を向上させることができる。
【0024】
このように本体10は、対象者が内側(一対の側面部11の左右内側、かつ、天井部12の下方)を通過可能な門型に形成されている。なお、以下では対象者が通過可能な本体10の内側を通過部Tと称する場合がある。
【0025】
送風機20は、空気にエネルギーを与えて気流を発生させる装置である。送風機20としては、各種の方式(遠心送風機、軸流送風機等)の装置を用いることができる。送風機20は、例えば本体10の内部や外部など、任意の場所に設けることができる。送風機20は、吸気口11bを介して空気を吸引して、吹出口11aへと圧送することができる。送風機20は、風量を調節することができる。送風機20の風量を調節することで、吹出口11aから吐出される空気の風速を任意に調節することができる。
【0026】
なお、吹出口11aや吸気口11bに蓋部材等を設けてそれぞれ開閉可能に構成することで、吹出口11aからの空気の吐出と、吸気口11bからの空気の吸気を、独立して実行することも可能である。また、吸気口11bから空気を吸引するための送風機(吸引機)と、吹出口11aから空気を吐出するための送風機を、それぞれ個別に設けることも可能である。
【0027】
粉塵センサ30は、空気中の粉塵の量(特に、本体10の内側(通過部T)における粉塵の量)を検出するものである。粉塵センサ30は、当該粉塵センサ30の筐体内を通過する空気に含まれる粉塵の量を検出することができる。粉塵センサ30の方式としては、例えば空気中の粉塵に照射した光の反射光を検出する光学式や、電極に接触する粉塵の電荷の移動を検出する摩擦静電方式等、任意の方式を用いることができる。
【0028】
粉塵センサ30は、一対の側面部11の対向面における下部(吸気口11bの上方)に設けられる。粉塵センサ30は、一対の側面部11のうち一方(図例では、左側の側面部11)に設けられる。本実施形態では吹出口11aから下方に向けて空気が吐出されるため、粉塵センサ30を下部に設けることで、対象者から除去された粉塵を含んだ空気の動線に粉塵センサ30を設置することができる。
【0029】
なお、粉塵センサ30は複数設けることも可能である。例えば、一対の側面部11のそれぞれに粉塵センサ30を設けてもよい。このように複数の粉塵センサ30を設ける場合、それぞれの粉塵センサ30で検出された粉塵の量のうち、最大値や、平均値を後述する制御(図3参照)で用いることが可能である。
【0030】
図1(b)に示す人感センサ40は、除塵装置1を通過する対象者を検知可能なセンサである。人感センサ40としては、例えば赤外線センサ、超音波センサ等を用いることができる。人感センサ40は、対象者を検出することができるものであれば、その検出方式は限定するものではない。人感センサ40は、例えば本体10の内側の適宜の位置に設けられ、本体10の通過部Tに進入してきた対象者を検出することができる。
【0031】
図1(b)及び図2(a)に示す表示部50は、粉塵センサ30で検出された粉塵の量を表示するものである。表示部50は、例えば液晶モニター、複数のLEDランプ等により構成することができる。表示部50は、対象者や除塵装置1の管理者(除塵装置1が設置された施設の管理者)等が視認可能な位置に設けられる。例えば、表示部50は、一対の側面部11の対向面や、施設の管理室等に設けることができる。図2(a)に示すように、表示部50は、目盛部51及び発光部52を具備する。
【0032】
目盛部51は、粉塵の量の多少を示すための基準となる印である。目盛部51は左右に延びる直線状に形成される。目盛部51は、右へ向かうほど粉塵の量が多いことを示すように、適宜の色分けや文字表示がなされている。
【0033】
発光部52は、目盛部51を用いて粉塵の量の多少を示すためのものである。発光部52は、目盛部51の下方において、左右に複数(本実施形態では、16個)並ぶように形成される。発光部52は、左から粉塵の量に応じた数だけ所定の色に発光(着色)する。発光した発光部52に対応する目盛部51の位置を参照することで、粉塵の量を確認することができる。
【0034】
図2(b)及び図2(c)には、発光部52が発光した例を示している。図2(b)に示した例では発光部52が3つだけ発光しているため、粉塵の量が比較的少ないことを示している。図2(c)に示した例では発光部52が12個発光しているため、粉塵の量が比較的多いことを示している。
【0035】
図1(b)に示す制御部60は、除塵装置1に関する制御を行うものである。制御部60は、CPU等の演算処理装置、RAMやROM、HDD等の記憶装置等により構成される。制御部60は、本体10の内部や外部など、任意の場所に配置することができる。
【0036】
制御部60は、粉塵センサ30及び人感センサ40に接続され、各センサの検出結果を取得することができる。また、制御部60は、送風機20に接続され、送風機20の動作を制御することができる。また、制御部60は、表示部50に接続され、表示部50の表示内容(発光部52の発光)を制御することができる。
【0037】
以下では、制御部60による除塵装置1の制御態様について説明する。
【0038】
本実施形態に係る除塵装置1は、対象者に付着した粉塵の量に応じて送風機20の動作を制御することができる。具体的には、除塵装置1は、まず最初に対象者に対して間欠的に空気を吹き付け、対象者から除去された粉塵の量を検出する。この粉塵の量に基づいて、その後対象者に吹き付ける空気(風)の風速や時間を決定し、決定された風速等で除塵を行う。これによって、対象者に付着した粉塵の量に応じて送風機20を動作させることができ、効率的な除塵を行うことができる。以下、具体的な制御内容について説明する。
【0039】
制御部60は、人感センサ40で除塵装置1を通過しようとする対象者を検知した場合、図3に示すフローチャートに基づく制御を開始する。
【0040】
まず制御部60は、粉塵センサ30を用いて粉塵の量を計測(検出)し、その結果を取得する(ステップS101)。以下、ステップS101の処理を行う時間をT0とする。
【0041】
この際制御部60は、粉塵の量を測定した結果、予め定められた値(固定値)を上回っている場合、送風機20を作動させて粉塵の量が当該固定値以下になるまで空気中の粉塵を吸引してもよい。このような動作によって、対象者が除塵装置1に進入するたびに環境(空気中の粉塵の量)をリセットすることができる。
【0042】
次に制御部60は、送風機20を間欠運転させる(ステップS102)。具体的には、制御部60は送風機20を短時間(例えば、数秒程度)だけ所定の風量で作動させ、吹出口11aから空気を吐出する。これによって対象者には短時間だけ風が吹き付けられる。
【0043】
制御部60は、1回目の間欠運転(ステップS102)の後、送風機20が停止した状態で、粉塵センサ30を用いて粉塵の量を計測する(ステップS103)。以下、ステップS103の処理を行う時間をT1とする。このように送風機20の間欠運転(ステップS102)後に粉塵の量を計測することで、当該間欠運転で対象者から除去された粉塵の量を計測することができる。
【0044】
次に制御部60は、ステップS103で計測された粉塵の量が閾値X(個)未満か否かを判定する(ステップS104)。粉塵の量が閾値X(個)未満である場合、対象者には粉塵がほとんど付着していないと判断することができるため、制御部60はこれ以降送風機20を運転させることなく(ステップS113)、図3に示す制御を終了する。
【0045】
一方制御部60は、ステップS104において粉塵の量が閾値X(個)以上であった場合、送風機20の2回目の間欠運転を所定の風量で行う(ステップS105)。その後制御部60は、送風機20が停止した状態で、粉塵センサ30を用いて粉塵の量を計測する(ステップS106)。以下、ステップS106の処理を行う時間をT2とする。
【0046】
次に制御部60は、ステップS106で計測された粉塵の量が閾値X(個)未満か否かを判定する(ステップS107)。粉塵の量が閾値X(個)未満である場合、対象者には粉塵がほとんど付着していないと判断することができるため、制御部60はこれ以降送風機20を運転させることなく(ステップS113)、図3に示す制御を終了する。
【0047】
一方制御部60は、ステップS107において粉塵の量が閾値X(個)以上であった場合、送風機20の3回目の間欠運転を所定の風量で行う(ステップS108)。その後制御部60は、送風機20が停止した状態で、粉塵センサ30を用いて粉塵の量を計測する(ステップS109)。以下、ステップS109の処理を行う時間をT3とする。
【0048】
次に制御部60は、ステップS109で計測された粉塵の量が閾値X(個)未満か否かを判定する(ステップS110)。粉塵の量が閾値X(個)未満である場合、対象者には粉塵がほとんど付着していないと判断することができるため、制御部60はこれ以降送風機20を運転させることなく(ステップS113)、図3に示す制御を終了する。
【0049】
一方制御部60は、ステップS110において粉塵の量が閾値X(個)以上であった場合、送風機20の「制御運転」を開始する。ここで送風機20の「制御運転」とは、ステップS103、ステップS106及びステップS109で計測された粉塵の量に基づいて決定された時間と風速で、吹出口11aから空気を吐出して、対象者の除塵を行うものである。
【0050】
例えば、図4には、3回の間欠運転後にそれぞれ計測された粉塵の量の一例を示している。図4に示すような3回の間欠運転後に計測された粉塵の量から、対象者に付着した粉塵の量や、対象者の服装(服の生地等)に基づく粉塵の除去し易さを推定することができる。そこで本実施形態では、この3回の間欠運転後の粉塵の量に基づいて、その後に除塵を行う際の時間と風速を決定している。なお、図4には、3回の粉塵の量の計測に基づく近似式を二点鎖線で示している。
【0051】
図5には、「制御運転」の時間と風速の制御パターンの一例を示している。図5に示すように、時間T1に対する時間T2の粉塵の量の増減、及び、時間T2に対する時間T3の粉塵の量の増減に基づいて、時間と風速が設定されている。図5において「増加小」とは、前の時間に対して粉塵の量が少量増加したことを意味する。また「増加大」とは、前の時間に対して粉塵の量が多量増加したことを意味する。また「減少小」とは、前の時間に対して粉塵の量が少量減少したことを意味する。また「減少大」とは、前の時間に対して粉塵の量が多量減少したことを意味する。なお、増加量及び減少量の大小の基準は任意に設定することができる。
【0052】
例えばパターン2に示すように、時間T1に比べて時間T2の粉塵の量が少量増加し、時間T2に比べて時間T3の粉塵の量が少量増加した場合には、吹出口11aから吐出される風速が9m/s、連続運転時間が4秒となるように、送風機20が「制御運転」される。すなわちこの場合、風速9m/sの空気が4秒間連続して吹出口11aから吐出される。
【0053】
図5に示すように、時間T1から時間T3までの粉塵の量の増減によって、対象者に付着した粉塵の量が多いことや、対象者から粉塵が除去し難いことが推認される場合には、送風機20の運転時間や風速が比較的長く(大きく)設定される。一方、対象者に付着した粉塵の量が少ないことや、対象者から粉塵が除去し易いことが推認される場合には、送風機20の運転時間や風速が比較的短く(小さく)設定される。これによって、無駄のない効率的な除塵を行うことができる。
【0054】
なお、図5には、「制御運転」を行わないパターンとして、時間T1、時間T2又は時間T3のいずれかで、粉塵の量が閾値X未満となった場合(ステップS104、S107、S110参照)、その後の対象者の除塵を行わないパターン1も示している。「制御運転」を行わないため、図5におけるパターン1では、時間及び風速は空欄となっている。
【0055】
なお、図5に示すパターンは一例であり、具体的な内容は任意に変更することが可能である。例えば、粉塵の量の増減の組み合わせや、時間や風速の具体的な数値は任意に変更することができる。
【0056】
図3に示すように、制御部60は、図5に基づいて設定された運転時間及び風速によって「制御運転」を行った後(ステップS111)、送風機20が停止した状態で、粉塵センサ30を用いて粉塵の量を計測する(ステップS112)。これによって、「制御運転」によって対象者から除去された粉塵の量を計測することができる。
【0057】
その後制御部60は、送風機20の動作を停止させ(ステップS113)、図3に示す制御を終了する。
【0058】
なお、制御部60は、図3の制御の実行中、計測された粉塵の量を常時表示部50に表示させる(図2参照)。これによって対象者に付着していた(対象者から除去された)粉塵の量をリアルタイムに可視化することができ、対象者や管理者に、対象者に付着していた粉塵の量や、除塵装置1による除塵作用を実感させることができる。
【0059】
以上の如く、本実施形態に係る除塵装置1は、
空気を送り出す送風機20と、
前記送風機からの空気を対象者に対して吹出す吹出口11aと、
空気中の粉塵の量を検出する粉塵センサ30(検出部)と、
前記粉塵センサ30の検出結果を取得可能な制御部60と、
を具備するものである。
【0060】
このように構成することにより、除塵の成果を容易に確認することができる。すなわち、粉塵センサ30から取得した検出結果を、適宜の方法(例えば、表示部50による表示)によって対象者や管理者等に報知することで、対象者に対して空気を吹出した結果、どの程度除塵されたか、また、対象者にどの程度の粉塵が付着していたか等を確認することができる。
【0061】
また、除塵装置1は、
空気中の粉塵の量を表示可能な表示部50をさらに具備し、
前記制御部60は、
前記粉塵センサ30により検出された粉塵の量を前記表示部50に表示させるものである。
【0062】
このように構成することにより、表示部50によって検出された粉塵の量を可視化することができ、除塵の成果を容易に確認することができる。
【0063】
また、前記制御部60は、
前記送風機20を作動させて前記粉塵センサ30の検出結果を取得する判定制御(ステップS102からステップS110まで)と、
前記判定制御の結果に基づいて前記送風機20を作動させて前記対象者の除塵を行う除塵制御(ステップS111)と、
を行うものである。
【0064】
このように構成することにより、判定制御によって対象者に付着した粉塵の量等を推定し、それに応じて送風機20を作動させることができるため、対象者の除塵を効率的に行うことができる。
【0065】
また、前記制御部60は、
前記判定制御において、間欠的に前記送風機20を作動させて前記粉塵センサ30の検出結果を取得するものである。
【0066】
このように構成することにより、判定制御を行う際に連続的に対象者に空気を吹き付けることがないため、対象者の不快感を低減させることができる。また、間欠的に送風機20を作動させて、送風機20が停止した状態で粉塵の量を計測することで、計測の際に風によって粉塵が舞い上がるのを抑制し、粉塵の量を精度よく計測することができる。
【0067】
また、前記制御部60は、
前記除塵制御において、前記判定制御において検出された空気中の粉塵の量の増減に基づいて、前記送風機20の動作態様を決定するものである。
【0068】
このように構成することにより、計測された粉塵の量の増減から、対象者に付着した粉塵の量や、粉塵の除去し易さ等を推定することができ、効率的な除塵を行うことができる。
【0069】
また、前記制御部60は、
前記判定制御において検出された空気中の粉塵の量が所定の閾値X未満である場合、前記除塵制御を行わないものである。
【0070】
このように構成することにより、除塵が不要な場合(対象者に付着した粉塵の量が少ない場合)には除塵制御を行わず、省エネを図ることができる。
【0071】
なお、本実施形態に係る粉塵センサ30は、本発明に係る検出部の実施の一例である。
また、本実施形態に係るステップS102からステップS110までの処理は、本発明に係る判定制御の実施の一形態である。
また、本実施形態に係るステップS111の処理は、本発明に係る除塵制御の実施の一形態である。
【0072】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0073】
例えば、本実施形態では、制御運転(図3のステップS111)の前に、3回の間欠運転を行ってそれぞれ粉塵の量を計測する例を示したが(ステップS102からステップS110まで)、間欠運転や粉塵の量の計測回数はこれに限るものではなく、任意に変更することが可能である。
【0074】
また、間欠運転後の粉塵の量の計測のタイミング(図3のステップS103、ステップS106及びステップS109)は特に限定するものではない。例えば等時間間隔(一定時間ごと)に計測してもよいし、不等時間間隔に設定してもよい。
【0075】
また、各間欠運転(図3のステップS102、ステップS105及びステップS108)における送風機20の風量(風速)や作動時間は、任意に設定することが可能である。また、間欠運転における送風機20の風量や作動時間を、直前の間欠運転時に計測された粉塵の量に応じて決定することも可能である。
【0076】
また、本実施形態では、ステップS102からステップS110までの処理において送風機20を間欠運転させて粉塵の量を計測し、その計測結果に基づいて、ステップS111(制御運転)において送風機20を連続運転させて除塵を行う例を示したが、本発明はこれに限るものではない。
【0077】
例えば図6に示すように、間欠運転のみで、粉塵の量が閾値X以下となるまで対象者の除塵を行うことも可能である。この場合、直前の間欠運転時に計測された粉塵の量に基づいて、次の間欠運転における空気の吹出し時間、風量、間欠運転同士の時間間隔等を決定することも可能である。この場合、直前の間欠運転及び粉塵の量の計測が本発明に係る「判定制御」に相当し、次の間欠運転が本発明に係る「除塵制御」に相当する。
【0078】
また、本実施形態で例示した表示部50(図2参照)は一例であり、目盛部51や発光部52の色、形状等を任意に変更することが可能である。また表示部50には、粉塵の量だけでなく、その他種々の情報を表示することも可能である。例えば、除塵装置1の現在の状態の表示(例えば、間欠運転中、粉塵の量の計測中、制御運転中などの表示)や、対象者への指示(例えば、立ち位置や待機時間などの指示)、制御運転が完了するまでの時間等を表示することも可能である。
【0079】
また、本実施形態では、粉塵センサ30は粉塵の量として、粉塵の個数を検出するものとしたが、本発明はこれに限るものではなく、例えば所定体積あたりの粉塵の個数(粉塵の濃度)を検出するものでもよい。
【0080】
また、本実施形態で説明した除塵装置1の構成は一例であり、各部の形状、個数等は任意に変更することが可能である。例えば、吹出口11aの配置や個数、本体10の形状等は任意に変更することが可能である。
【0081】
また、粉塵センサ30の設置位置は、本実施形態で例示した位置(図1(a)参照)に限らず、任意に変更することが可能である。以下では、粉塵センサ30の設置位置のパターンについて説明する。
【0082】
図7には、吹出口11aからの空気の吐出方向、及び、吸気口11bの位置に応じた粉塵センサ30の設置位置の例を示している。図7(a)に示すように、吸気口11bが天井部12に形成され、吹出口11aから斜め上方に向かって空気が吐出される場合、粉塵センサ30は天井部12の吸気口11bの近傍に設置されることが望ましい。図例では、天井部12に左右一対の吸気口11bが形成され、その間(天井部12の中央)に粉塵センサ30が設置された例を示している。なお、粉塵センサ30は、天井部12の中央以外の部分、例えば、左部及び右部のそれぞれに設置することも可能である。
【0083】
また図7(b)に示すように、天井部12に形成された吹出口11aから下方に向かって空気が吐出され、側面部11の下部に形成された吸気口11bから空気が吸引される場合、粉塵センサ30は側面部11の下部(吸気口11bの上側)に設置されることが望ましい。
【0084】
図8には、本体10に吸気口11bを設けない場合の粉塵センサ30の設置位置の例を示している。図8(a)に示すように、吹出口11aから斜め下方に向かって空気が吐出される場合、粉塵センサ30は側面部11の下部に設置されることが望ましい。また図8(b)に示すように、吹出口11aから斜め上方に向かって空気が吐出される場合、粉塵センサ30は天井部12に設置されることが望ましい。また図8(c)に示すように、吹出口11aが天井部12に形成される場合、粉塵センサ30は側面部11の下部に設置されることが望ましい。
【0085】
図9には、粉塵センサ30に代えて、レーザを略水平に照射することで粉塵の量を検出可能なレーザセンサ30Aを用いる場合の、当該レーザセンサ30Aの設置位置のパターンを示している。図9(a)に示すように、吹出口11aから斜め下方に向かって空気が吐出される場合、レーザセンサ30Aは側面部11の上下中央部付近(好ましくは、やや下寄り)に設置されることが望ましい。また図9(b)に示すように、吹出口11aから斜め上方に向かって空気が吐出される場合、レーザセンサ30Aは側面部11の上下中央部付近(好ましくは、やや上寄り)に設置されることが望ましい。また図9(c)に示すように、吹出口11aが天井部12に形成される場合、レーザセンサ30Aは側面部11の上下中央部付近に設置されることが望ましい。
【0086】
またレーザセンサ30Aは、高さ方向に複数設置することも可能である。このように複数のレーザセンサ30Aを設ける場合、それぞれのレーザセンサ30Aで検出された粉塵の量のうち、最大値や、平均値を上述の制御(図3参照)で用いることが可能である。
【符号の説明】
【0087】
1 除塵装置
10 本体
11 側面部
11a 吹出口
20 送風機
30 粉塵センサ
50 表示部
60 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9