(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049485
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】スマートセンサ化グリッパ
(51)【国際特許分類】
B25J 15/08 20060101AFI20240403BHJP
【FI】
B25J15/08 Z
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155726
(22)【出願日】2022-09-29
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】513079236
【氏名又は名称】ナショナル チェン クン ユニバーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】藍 兆杰
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707DS01
3C707ES03
3C707ET03
3C707ET05
3C707EU01
3C707EU07
3C707EU13
3C707EV02
3C707EV13
3C707HS27
3C707KS30
3C707KS34
3C707KV01
3C707KX07
3C707LV10
(57)【要約】
【課題】検知精度が高く、構造設計や回路配線の簡単化及び生産コストの低減化を図る、スマートセンサ化グリッパを提供することを目的としている。
【解決手段】制御装置に電気接続され且つ制御されるスマートセンサ化グリッパであって、ベース、駆動アセンブリ、二つの把持アセンブリ、二つの可動アセンブリ、二つの角度センサ、変位センサを含み、駆動アセンブリは、制御装置の制御の下、可動アセンブリを駆動して両把持アセンブリを接近動作または離間動作させて物品の挟持及び開放を行い、また、角度センサが検出する把持アセンブリのクランク部材の回動角度と、変位センサが検出する移動部材の変位量を基づいて、把持アセンブリが受ける垂直方向の軸力及び水平方向の挟持力をそれぞれ検知し、フィートバック制御を行うことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御装置に電気接続され且つ制御される、スマートセンサ化グリッパであって、ベースと、駆動アセンブリと、二つの把持アセンブリと、二つの可動アセンブリと、二つの角度センサと、変位センサとを含むと共に、予め定義されるZ方向を有し、
前記駆動アセンブリは、前記ベース上に設置されると共に、駆動部材及び移動部材を備え、該駆動部材は、前記制御装置に電気接続されると共に、該制御装置の制御により該移動部材を駆動して前記Z方向に沿って直線移動させることができ、
前記二つの把持アセンブリは、前記ベース上に相対的に設置され、各把持アセンブリは、二つのクランク部材とグリッパ部材とを備え、該二つのクランク部材が互いに平行するように該ベース上にそれぞれ枢設され、該グリッパ部材は、該二つのクランク部材に連結されると共に、互いに接続される緩衝部と挟持部を備え、該挟持部が該グリッパ部材における該クランク部材から離れる一端に配置され、
前記二つの可動アセンブリは、前記二つの把持アセンブリとそれぞれ対応するように前記ベース上に相対的に設置されると共に、連結ロッド及び弾性部材を備え、該連結ロッドは、該ベース上に直線移動可能に取り付けられる移動端を有し、該連結ロッドの他端は、対応する前記把持アセンブリの二つのクランク部材のうちの一つに枢接され、該弾性部材の両端はそれぞれ、前記Z方向に沿って前記移動部材及び該連結ロッドの移動端に連結され、
前記二つの角度センサは、前記制御装置に電気接続されると共に前記ベース上に設置され、前記二つの把持アセンブリの二つのクランク部材のうちの一つの回動角度をそれぞれ検出し、
前記変位センサは、前記制御装置に電気接続されると共に前記ベース上に設置され、前記移動部材の変位量を検出することを特徴とするスマートセンサ化グリッパ。
【請求項2】
前記スマートセンサ化グリッパは、前記Z方向と直交するX方向を有し、前記各把持アセンブリのグリッパ部材の緩衝部が、該X方向に沿って該挟持部に接続されることを特徴とする請求項1に記載のスマートセンサ化グリッパ。
【請求項3】
前記スマートセンサ化グリッパは、前記Z方向と直交するX方向を有し、前記各把持アセンブリのグリッパ部材の緩衝部が、該X方向と平行でない方向に沿って該挟持部に接続され、当該方向と該X方向との間の角度は、0度~90度の間であって、エンドポイント値を含まないことを特徴とする請求項1に記載のスマートセンサ化グリッパ。
【請求項4】
前記二つの可動アセンブリ及び該各可動アセンブリと対応する前記把持アセンブリはそれぞれ、前記駆動アセンブリの両側に配置されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のスマートセンサ化グリッパ。
【請求項5】
前記駆動アセンブリは、前記ベース上に設置されて前記駆動部材に連結される駆動用ねじ軸を含み、該ベース上に二つの軸方向ガイドレールが設けられ、前記移動部材は、該二つの軸方向ガイドレール上を移動可能に設置されると共に該駆動用ねじ軸に螺合され、該駆動部材は、該駆動用ねじ軸を回転駆動することにより、該移動部材を該駆動用ねじ軸及び該二つの軸方向ガイドレール上で前記Z方向に沿って移動させることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のスマートセンサ化グリッパ。
【請求項6】
前記駆動アセンブリは、前記ベース上に設置されて前記駆動部材に連結される駆動用ねじ軸を含み、該ベース上に、該駆動用ねじ軸の両側に配置される二つの軸方向ガイドレールが設けられ、前記移動部材は、該二つの軸方向ガイドレール上を移動可能に設置されると共に該駆動用ねじ軸に螺合され、該駆動部材は、該駆動用ねじ軸を回転駆動することにより、該移動部材を該駆動用ねじ軸及び該二つの軸方向ガイドレール上で前記Z方向に沿って移動させることを特徴とする請求項4に記載のスマートセンサ化グリッパ。
【請求項7】
前記各可動アセンブリの連結ロッドの移動端がそれぞれ、対応する前記各軸方向ガイドレールに連結され、また、該連結ロッドの移動端と前記駆動用ねじ軸との間の距離は、当該連結ロッドの他端と該駆動用ねじ軸との間の距離よりも大きいことを特徴とする請求項6に記載のスマートセンサ化グリッパ。
【請求項8】
前記各把持アセンブリのグリッパ部材は連結基部を含み、該連結基部は、前記二つのクランク部材と連結されると共に、グリッパ案内レールを含み、前記緩衝部の一端が該連結基部に連結され、他端が該グリッパ案内レール上に移動可能に設置されると共に前記挟持部と連結されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のスマートセンサ化グリッパ。
【請求項9】
前記各把持アセンブリのグリッパ部材は連結基部を含み、該連結基部は、前記二つのクランク部材と連結されると共に、グリッパ案内レールを含み、前記緩衝部の一端が該連結基部に連結され、他端が該グリッパ案内レール上に移動可能に設置されると共に前記挟持部と連結されることを特徴とする請求項6に記載のスマートセンサ化グリッパ。
【請求項10】
前記各把持アセンブリのグリッパ部材は連結基部を含み、該連結基部は、前記二つのクランク部材と連結されると共に、グリッパ案内レールを含み、前記緩衝部の一端が該連結基部に連結され、他端が該グリッパ案内レール上に移動可能に設置されると共に前記挟持部と連結されることを特徴とする請求項7に記載のスマートセンサ化グリッパ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリッパーに関し、特に、Z方向に沿った軸力及びX方向に沿った挟持力を検出できる、スマートセンサ化グリッパに関するものである。
【背景技術】
【0002】
グリッパーは、通常、ロボットアームや他の駆動装置と組み合わせて自動化作業に使用することが多い。既存のグリッパはいろんな作業要件に応じて、剛性グリッパ、ソフトグリッパ、センサ化グリッパなどの異なる種類を有する。
【0003】
しかしながら、既存の剛性グリッパは、挟持力を検知する機能を有しないため、作用力フィードバック機能を備えておらず、干渉物と衝突したり、または挟持力が大きすぎてグリッパや挟持対象物が損傷した場合に、適時に察知することが困難であるので、精密作業への適用には不向きである。ソフトグリッパは、可撓性を有するが、感知機能を依然として有しないため、干渉物と衝突する時または挟持時にグリッパや挟持対象物が損傷してしまうことを多少抑えているが、ソフトグリッパの可撓性により、挟持力の力加減や挟持位置のコントロールが困難になったり、また、非挟持方向に沿った剛性が弱かったりといった欠点がある。
【0004】
そのため、現在の自動化精密作業では、センサ化グリッパを利用することが徐々に主流となっている。既存のセンサ化グリッパは、クランプ部の挟持対象物への挟持力を検出可能であり、その検出方法は通常、電流式、電気容量式及び電気抵抗式に分けられる。そのうち、電流式の検出方法は非線形であるため、ノイズが多く、挟持力の検出精度が低い。一方、電気容量式及び電気抵抗式の検出方法では、挟持時の挟持対象物への挟持力を検出するために、クランプ部に静電容量式圧力センサまたは抵抗式圧力センサを設置する必要があり、圧力センサをクランプ部に装着するためには、クランプ部の構造設計や回路配線の煩雑化や生産コストの増大を招いてしまうので、既存のセンサ化グリッパは全体的に改善する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-178639号公報
【特許文献2】特開2022-76175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記従来技術の欠点に鑑みてなされたものであり、検知精度が高く、構造設計や回路配線の簡単化及び生産コストの低減化を図る、スマートセンサ化グリッパを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、スマートセンサ化グリッパを提案し、本発明に係るスマートセンサ化グリッパは、制御装置に電気接続され且つ制御されると共に、ベースと、駆動アセンブリと、二つの把持アセンブリと、二つの可動アセンブリと、二つの角度センサと、変位センサとを含むと共に、予め定義されるZ方向を有し、前記駆動アセンブリは、前記ベース上に設置されると共に、駆動部材及び移動部材を備え、該駆動部材は、前記制御装置に電気接続されると共に、該制御装置の制御により該移動部材を駆動して前記Z方向に沿って直線移動させることができ、前記二つの把持アセンブリは、前記ベース上に相対的に設置され、各把持アセンブリは、二つのクランク部材とグリッパ部材とを備え、該二つのクランク部材が互いに平行するように該ベース上にそれぞれ枢設され、該グリッパ部材は、該二つのクランク部材に連結されると共に、互いに接続される緩衝部と挟持部を備え、該挟持部が該グリッパ部材における該クランク部材から離れる一端に配置され、前記二つの可動アセンブリは、前記二つの把持アセンブリとそれぞれ対応するように前記ベース上に相対的に設置されると共に、連結ロッド及び弾性部材を備え、該連結ロッドは、該ベース上に直線移動可能に取り付けられる移動端を有し、該連結ロッドの他端は、対応する前記把持アセンブリの二つのクランク部材のうちの一つに枢接され、該弾性部材の両端はそれぞれ、前記Z方向に沿って前記移動部材及び該連結ロッドの移動端に連結され、前記二つの角度センサは、前記制御装置に電気接続されると共に前記ベース上に設置され、前記二つの把持アセンブリの二つのクランク部材のうちの一つの回動角度をそれぞれ検出し、前記変位センサは、前記制御装置に電気接続されると共に前記ベース上に設置され、前記移動部材の変位量を検出することを特徴とする。
【0008】
前記技術特徴によれば、本発明に係るスマートセンサ化グリッパは、ロボットアームや他の駆動装置と組み合わせて自動化作業に使用可能なものであり、外部の制御装置を介して、駆動アセンブリの駆動部材を駆動して両可動アセンブリを作動させることにより、両把持アセンブリのグリッパ部材の挟持部に掴み動作または離し動作させて、物品の挟持及び開放を行うことができる。よって、本考案に係るスマートセンサ化グリッパは、以下に示すような利点と効果を有する。
1、両方向の作用力の検出:把持アセンブリのグリッパ部材を駆動して作動させると、角度センサによって把持アセンブリのクランク部材の回動角度、変位センサによって移動部材のZ方向上の変位量を検出し、そして、制御装置は、グリッパ部材のZ方向上の軸力及びZ方向と直交するX方向上の挟持力の大きさを算出し、その後、駆動部材を制御して挟持対象物の物品に加えるZ方向及びX方向の作用力の力加減を細かく調整することが可能となり、このように、衝突検知したり、物品に対する挟持位置の精度を高めることができるので、スマートセンサ化グリッパの機能性を向上させることができる。
2、感知精度の向上:上述したように、本発明のスマートセンサ化グリッパは、角度センサを介してクランク部材の回動角度を検出することができ、変位センサを介して移動部材の変位量を検出することができる。つまり、機械的な動作を検知することによって挟持力及び軸力を測定しているので、検出の精度及び信頼性を高めることができる。
3、コストの低減:両角度センサ及び変位センサはいずれもベースに直接に取り付けられることで、把持アセンブリのグリッパ部材に別途回路を設置する必要がないので、配線構造の簡素化ならびに生産コストの低減化を図ることができる。また、制御装置は、両角度センサ及び変位センサの検知信号を受信した後、一つの駆動部材の移動制御をするだけで、本発明のスマートセンサ化グリッパが挟持対象物の物品に加える軸力及び挟持力、及び両把持アセンブリの作動を制御することができるので、生産コスト及び全体の重量を軽減することができる。
4、損傷の回避:把持アセンブリのグリッパ部材は、その挟持部が弾性変形可能な緩衝部に接続されていることで、その構成構造の剛性を維持しながらソフトグリッパのような柔軟なグリップ感を提供することができ、これにより、グリッパ部材の挟持部が挟持対象物と接触したり、干渉物と衝突したりする際に緩衝効果を提供することができると共に、スマートセンサ化グリッパや挟持対象物の損傷を回避することもでき、また、緩衝部の弾性変形により、ある程度の位置決め誤差を吸収することも可能となる。
【0009】
さらに、本発明の各把持アセンブリのグリッパ部材の緩衝部は、X方向に沿って挟持部に接続され、又はX方向と平行でない方向に沿って挟持部に接続されることを特徴とし、いずれの場合においても、軸力及び挟持力の検出に影響を与えることなく、従って、本発明のスマートセンサ化グリッパにおける構造設計の自由度が大きく、適用可能な応用範囲は広い。
【0010】
さらに、両可動アセンブリ及び各可動アセンブリと対応する把持アセンブリはそれぞれ、駆動アセンブリの両側に配置されることを特徴とし、これにより、本発明に係るスマートセンサ化グリッパはZ方向に左右対称に構成される。また、駆動アセンブリは駆動部材に連結され、ベース上に回動可能に設置される駆動用ねじ軸を含み、ベース上には二つの軸方向ガイドレールが設けられ、移動部材は、二つの軸方向ガイドレール上を移動可能に設置されると共に該駆動用ねじ軸に螺合され、駆動部材は、駆動用ねじ軸を回転駆動することにより、移動部材を駆動用ねじ軸及び二つの軸方向ガイドレール上でZ方向に沿って移動させることができるを特徴とし、これにより、本発明のスマートセンサ化グリッパの作動安定性及び感知精度を向上させることができる。
【0011】
さらに、各把持アセンブリのグリッパ部材は二つのクランク部材に連結されている連結基部を含み、本発明の好適な実施例において、各把持アセンブリのグリッパ部材の緩衝部が連結基部と挟持部とに直に接続されることを特徴とし、また、他の好適な実施例においては、連結基部上にグリッパ案内レールが設置され、そして、緩衝部の一端が連結基部に連結され、他端がグリッパ案内レール上に移動可能に設置されかつ挟持部に連結されることを特徴とし、さらに、グリッパ案内レールはX方向に角度を持つように設置されることが可能であり、このように、緩衝部がX方向に角度を持つように挟持部に連結されるように構成され、これにより、挟持部の作動形態を変更することが可能となるので、本発明のスマートセンサ化グリッパの適用可能な応用範囲が広がり、また、グリッパ部材の移動距離も大きくなるので、業者は作業要件に応じてより多くの構造設計の自由度を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明のスマートセンサ化グリッパの第1好適な実施例を示す斜視図である。
【
図2】本発明のスマートセンサ化グリッパの第1好適な実施例を示す正面図である。
【
図3】本発明のスマートセンサ化グリッパの第1好適な実施例を示す背面図である。
【
図4】本発明のスマートセンサ化グリッパの第1好適な実施例を示す側面図である。
【
図5】本発明のスマートセンサ化グリッパの第2好適な実施例を示す斜視図である。
【
図6】本発明のスマートセンサ化グリッパの第2好適な実施例を示す正面図である。
【
図7】本発明のスマートセンサ化グリッパの第3好適な実施例を示す斜視図である。
【
図8】本発明のスマートセンサ化グリッパの第3好適な実施例を示す正面図である。
【
図9】本発明のスマートセンサ化グリッパの第1好適な実施例において、両グリッパ部材の挟持部が互いに離れる状態を示す模式図である。
【
図10】本発明のスマートセンサ化グリッパの第1好適な実施例において、両グリッパ部材の挟持部が接近している状態を示す模式図である。
【
図11】本発明のスマートセンサ化グリッパの第1及び第2好適な実施例における駆動アセンブリ、把持アセンブリ及び可動アセンブリを簡略化した模式図である。
【
図12】本発明のスマートセンサ化グリッパの第3好適な実施例における駆動アセンブリ、把持アセンブリ及び可動アセンブリを簡略化した模式図である。
【
図13】本発明のスマートセンサ化グリッパが物品を挟持する使用状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1~
図4は、本発明のスマートセンサ化グリッパの第1好適な実施例を示すものであり、係るスマートセンサ化グリッパは、制御装置に電気的に接続、制御されると共に、ベース10、駆動アセンブリ20、二つの把持アセンブリ30、二つの可動アセンブリ40、二つの角度センサ50及び変位センサ60とを含み、さらに、予め定義されたZ方向を有する。
【0014】
図1~
図4に示すように、前記駆動アセンブリ20は、前記ベース10上に設置されると共に、駆動部材21及び移動部材22を備え、該駆動部材21は、前記制御装置に電気接続されると共に、該制御装置の制御により該移動部材22を駆動して前記Z方向に沿って直線移動させることができる。尚、ここでの駆動部材21はモーターであることが好ましい。
【0015】
図1~
図3に示すように、前記二つの把持アセンブリ30は、前記ベース10上に相対的に設置されると共に、各把持アセンブリ30は、二つのクランク部材31とグリッパ部材32を備え、該二つのクランク部材31が互いに平行するように該ベース10にそれぞれ枢設されており、該グリッパ部材32は、該二つのクランク部材31に連結されると共に、緩衝部321と、該緩衝部321に接続される挟持部322を備え、該挟持部322が該グリッパ部材32における該クランク部材31から離れる一端に配置される。尚、ここでの緩衝部321が圧縮バネであることが好ましい。
【0016】
図1及び
図2に示すように、前記二つの可動アセンブリ40は、前記二つの把持アセンブリ30とそれぞれ対応するように前記ベース10上に相対的に設置されると共に、連結ロッド41と弾性部材42を備え、該連結ロッド41は、該ベース10上に直線移動可能に連結される移動端411を有し、これに対して、該連結ロッド41の他端が、対応している把持アセンブリ30の両クランク部材31のうちの一つに枢接されており、該弾性部材42の両端はそれぞれ、Z方向に沿って前記移動部材22及び連結ロッド41の移動端411に連結される。尚、前記弾性部材42が圧縮バネであることが好ましく、板バネであることがより好ましく、通常のコイルバネに比べて、板バネは、その両端が固定しやすく、寸法が小さいという利点があるので、本発明のスマートセンサ化グリッパに適用すると、構造安定性を高め、体積を減少させることができる。
【0017】
また、前記駆動アセンブリ20は駆動用ねじ軸23を備え、前記ベース10は、二つの軸方向ガイドレール11を備え、該駆動用ねじ軸23は、該ベース10上に設置されると共に前記駆動部材21に連結されており、前記移動部材22は、該駆動用ねじ軸23に螺合され、かつ該二つの軸方向ガイドレール11上を移動可能に接続される。このような構成で、前記駆動部材21により前記駆動用ねじ軸23を回転駆動すると、前記移動部材22を該駆動用ねじ軸23及び該二つの軸方向ガイドレール11上をZ方向に直線移動させることができる。また、前記各可動アセンブリ40の連結ロッド41の移動端411はそれぞれ、対応している外各軸方向ガイドレール11に連結される。
【0018】
さらに、前記各軸方向ガイドレール11上にはそれぞれ、軸方向スライダ12が設けられ、前記各可動アセンブリ40の連結ロッド41の移動端411がそれぞれ、対応している軸方向スライダ12に枢接され、このように、該連結ロッド41の移動端411が前記ベース10上に直線移動可能となり、一方、該各可動アセンブリ40の弾性部材42の両端はそれぞれ、前記駆動アセンブリ20の移動部材22と、対応している連結ロッド41の移動端411に連結される軸方向スライダ12とZ方向に沿って接続される。
【0019】
尚、前記二つの可動アセンブリ40及び該各可動アセンブリ40が対応する把持アセンブリ30がそれぞれ、前記駆動アセンブリ20の両側に配置され、前記ベース10の両軸方向ガイドレール11がそれぞれ、前記駆動用ねじ軸23の両側に配置され、前記連結ロッド41の移動端411と該駆動用ねじ軸23との間の距離は、当該連結ロッド41の他端と該駆動用ねじ軸23との間の距離よりも大きいことが好ましい。このような構成により、本発明のスマートセンサ化グリッパは、Z方向に左右対称に構成されると共に、前記移動部材22が、左右対称の前記両軸方向ガイドレール11に連結されることで、作動安定性及び感知精度を向上させることができる。
【0020】
図3及び
図4に示すように、前記二つの角度センサ50は、前記制御装置に電気接続されると共に前記ベース10上に設置され、該各角度センサ50はそれぞれ、前記各把持アセンブリ30と対応するように設置されると共に、当該把持アセンブリ30の二つのクランク部材31のうちの一つの回動角度を検出する。尚、前記把持アセンブリ30の両クランク部材31は、並行して配置されているので、回動駆動されると、該両クランク部材31の回動角度が等しくなる。
【0021】
図3及び
図4に示すように、前記変位センサ60は、前記制御装置に電気接続されると共に前記ベース10上に設置され、前記移動部材22の変位量を検出する。尚、本発明に係る前記角度センサ50及び変位センサ60が光学式エンコーダーであることが好ましい。また、前記二つの把持アセンブリ30及び二つの可動アセンブリ40が、前記ベース10の正面に取り付けられ、前記二つの角度センサ50、変位センサ60及び駆動部材21が該ベース10背面に取り付けられることが好ましい。
【0022】
図2に示すように、本発明のスマートセンサ化グリッパは、Z方向と直交するX方向を有しており、前記各把持アセンブリ30のグリッパ部材32は、前記二つのクランク部材31と連結される連結基部323を含む。本発明の第1の好適な実施例では、前記各把持アセンブリ30のグリッパ部材32は一体成形されたものであって、その緩衝部321が、前記連結基部323及び挟持部322に直接に接続されるように構成されることにより、構造の簡素化、生産コストの低減化を図ることができる。一方、
図5~
図8に示した本発明の第2、第3の好適な実施例では、前記連結基部323上にグリッパ案内レール324が設けられ、前記緩衝部321の一端が該連結基部323に接続される一方、他端が前記挟持部322に連結されると共に該グリッパ案内レール324上を移動可能に接続される。尚、該グリッパ案内レール324が、X方向に沿って設置されてもよく、X方向に角度を持つように設置されてもよく、該グリッパ案内レール324がX方向に角度θ
bを持つように設置された場合、前記グリッパ部材32の緩衝部321もX方向に角度θ
bを持つように前記挟持部322に接続され、これにより、該挟持部322の作動形態を変えることが可能となり、本発明のスマートセンサ化グリッパの適用可能な応用範囲が広がり、また、該グリッパ部材32が外力を受けた時の移動距離も大きくなるので、業者はより大きな構造設計上の自由度を得ることができる。
【0023】
図9及び
図10に示すように、本発明のスマートセンサ化グリッパは、前記制御装置により、前記駆動アセンブリ20の駆動部材21の作動を制御し、該駆動部材21は、伝動ベルト211及びベルトプーリ212を介して前記駆動用ねじ軸23を回転駆動して前記移動部材22をZ方向に沿って移動させる。前記可動アセンブリ40の弾性部材42は、該移動部材22の移動に伴ってZ方向に沿って移動して、対応する連結ロッド41を牽引して移動させる。このような構成により、該二つの可動アセンブリ40の連結ロッド41がそれぞれ、対応する前記二つの把持アセンブリ30のクランク部材31を回動させてグリッパ部材32を移動させると、該二つの把持アセンブリ30のグリッパ部材32の挟持部322に互いに接近または離間させ、このように、本発明のスマートセンサ化グリッパは、物品を挟持または開放することを行う。本発明のスマートセンサ化グリッパは、一つの駆動部材21を介して二つの把持アセンブリ30を駆動するような構成により、構造の簡素化、生産コストの低減、及び全体重量を軽量化を図ることができる。
【0024】
本発明のスマートセンサ化グリッパは、前記制御装置が、前記二つの角度センサ50及び変位センサ60を介して前記二つの把持アセンブリ30のグリッパ部材32の挟持部322が受けているZ方向に沿った軸力Fz及びX方向に沿った挟持力Fxを検出することによりコントロールされたり、該グリッパ部材32が衝突しているか否かを判断したりする。以下、本発明のスマートセンサ化グリッパが軸力Fz及び挟持力Fxをどのように検出するかを概略図で説明する。尚、本発明のスマートセンサ化グリッパが、前記両グリッパ部材32の間に挟持されている物品70に加える力は、図示されたX方向に沿った挟持力Fxの方向と、Z方向に沿った軸力Fzの方向とは逆方向である。
【0025】
図2及び
図6に示すように、本発明の第1及び第2の好適な実施例では、前記各把持アセンブリ30のグリッパ部材32の緩衝部321は、X方向に沿って前記連結基部323に連結されている。また、
図11に示すように、前記グリッパ部材32の挟持部322上には、力点Gが定義されている。前記両把持アセンブリ30のグリッパ部材32の挟持部322が物品70を挟持または接触する時、各把持アセンブリ30のグリッパ部材32の挟持部322が反力を受けており、これを概略図に示された力点Gに作用する挟持力Fx及び軸力Fzで説明する。尚、該両把持アセンブリ30は対称に設置されていることで、該両把持アセンブリ30が受ける軸力Fz及び挟持力Fxの大きさは等しく、ただ受けている挟持力Fxの方向のみが逆である点が異なるので、ここでは、片方の把持アセンブリ30のみを例に挙げて説明する。さらに、説明の便宜上、前記把持アセンブリ30の二つのクランク部材31は、第1クランク部材31a及び第2クランク部材31bに分かれ、該第1クランク部材31aが、対応している前記可動アセンブリ40の連結ロッド41に枢接される。
【0026】
図11に示すように、前記グリッパ部材32の挟持部322が反力を受けると、当該グリッパ部材32の緩衝部321が圧縮されて圧縮変形量X
6が発生し、一方で、前記クランク部材31及び連結ロッド41が回動することで、前記連結ロッド41の移動端411が変位して、前記弾性部材42が圧縮される。
【0027】
ここで、前記挟持力Fxは、以下の計算式により算出することができる。
【数1】
上記計算式において、Fxは挟持力であり、K
2は前記グリッパ部材32の緩衝部321の弾性係数である。
つまり、前記挟持力Fxは、前記グリッパ部材32の緩衝部321の弾性係数K
2に前記緩衝部の圧縮変形量X
6を乗算したものである。尚、前記緩衝部の圧縮変形量X
6は以下の計算式により算出することができる。
【数2】
上記計算式において、X
6は緩衝部の圧縮変形量であり、前記第2クランク部材31bの両端がそれぞれ、前記ベース10に連結される枢支点Eと、前記グリッパ部材32の連結基部323に連結される枢支点Fであり、r
7は該第2クランク部材31bの枢支点Eから枢支点Fまでの長さであり、θ
3iは該二つのクランク部材31の初期角度であり、この初期角度θ
3iは、製造業者の設計要件に応じて任意に設定することが可能であり、θ
3は、該クランク部材31が回動した後の角度であって、対応する前記角度センサ50によって測定可能である。
すなわち、前記角度センサ50が前記クランク部材31の回動角度を検出することにより、前記緩衝部の圧縮変形量X
6及び挟持力Fxを算出することができ、このように、前記制御装置は、該角度センサ50を介して該クランク部材31の回動角度を制御し、本発明のスマートセンサ化グリッパの挟持力Fxを制御することができる。
【0028】
一方、前記軸力Fzは、以下の計算式により算出することができる。
【数3】
上記計算式において、Fr
2は前記連結ロッド41が受ける力であり、θ
2は、前記連結ロッド41が回動した後の角度であり、r
3は前記第1クランク部材31a上の枢支点Bから枢支点Cまでの長さであり、ここでの枢支点Bが該第1クランク部材31aと連結ロッド41との連結箇所、枢支点Cが該第1クランク部材31aと前記ベース10との連結箇所であり、r
5は該第1クランク部材31a上の該枢支点Bから枢支点Dまでの長さであり、ここでの枢支点Dは該第1クランク部材31aと前記グリッパ部材32の連結基部323との連結箇所である。尚、該連結ロッド41が受ける力Fr
2は、以下の計算式により算出することができる。
【数4】
上記計算式において、K
1は、前記連結ロッド41と対応する弾性部材42の弾性係数であり、該連結ロッド41と弾性部材42とは枢支点Aにて連結されており、Z
mは前記移動部材22が前記Z方向に沿って移動する変位量であって、前記変位センサ60により検出可能であり、Z
4は、該連結ロッド41の移動端411が該Z方向に沿って移動する変位量であり、すなわち該枢支点Aが該Z方向に沿って移動する変位量である。尚、該連結ロッド41の移動端411の変位量Z
4は以下の計算式により算出することができる。
【数5】
上記計算式において、r
4iは前記枢支点Aから枢支点CまでのZ方向に沿った初期長さであって、すなわち基点Oから前記枢支点Cまでの初期長さであり、ここでの基点Oは、ベクトルループ法(vector loop method)によるリンク解析を容易にするために定義された仮想基準点であり、基点Oの位置は、前記X方向に沿って前記枢支点Aと平行であり、かつ前記Z方向に沿って前記枢支点Cと平行である。r
2は前記連結ロッド41上に枢支点Aから枢支点Bまでの長さである。尚、前記枢支点Aから枢支点CまでのZ方向に沿った初期長さr
4iは、以下の計算式により算出することができる。
【数6】
上記計算式のθ
2iは、前記連結ロッド41の初期角度であって、この初期角度θ
2iは製造業者の設計要件に応じて任意に設定することが可能である。また、該連結ロッド41が回動した後の角度θ
2は、以下の計算式により算出することができる。
【数7】
上記計算式において、r
1は、前記枢支点Aと基点Oとの間の距離であり、すなわち、該枢支点Aと枢支点Cとの間のX方向に沿った距離である。従って、上記計算式により、前記制御装置は、前記角度センサ50を介して前記クランク部材31の回動後の角度を制御することができると共に、前記変位センサ60及び前記駆動部材21を介して前記移動部材22のZ方向への変位量を制御することができることが分かった。つまり、前記制御装置は、本発明のスマートセンサ化グリッパの軸力Fzを制御することができる。
【0029】
上述したように、前記制御装置は、前記角度センサ50の検知に基づいて前記駆動部材21を作動させることにより、前記クランク部材31の回動角度を制御して、X方向に沿った挟持力Fxを軸力Fzからの影響を受けることなく制御することができる。それに加え、該角度センサ50の検知に基づいて挟持力Fxの力の大きさを算出した後、該変位センサ60を介して、該駆動部材21の駆動により移動された移動部材22のZ方向に沿った変位量Zmを検出することにより、Z方向に沿った軸力Fzを挟持力Fxからの影響を受けることなく制御することができる。しかも、軸力Fzを制御しながら挟持力Fxの変化も検知できるので、制御装置は挟持力Fx及び軸向力Fzを同時に検知及び制御することが可能となり、これにより、本発明のスマートセンサ化グリッパの機能性を向上させることができる。
【0030】
さらに、
図7及び
図8は、本発明の第3の好適な実施例を示したものであり、これらの図面によると、各前記把持アセンブリ30のグリッパ部材32の緩衝部321は、前記X方向との間に角度θ
bをなすように前記挟持部322に接続される。尚、該角度θ
bは、0度~90度の間であって、エンドポイント値を含まないことが好ましい。
図12に示すように、當前記グリッパ部材32の緩衝部321の両端はそれぞれ、X方向に対して角度θ
bを有するように前記挟持部322及び連結基部323に接続される場合、前記挟持力Fxは、以下の計算式により算出することができる。
【数8】
上記計算式において、Fxは挟持力であり、θ
bは、前記グリッパ部材32の緩衝部321の両端とX方向との間の角度である。残りの符号は前述の段落で説明されているので、ここではその説明を省略する。さらに、本実施例での軸力Fzは、以下の計算式により算出することができる。
【数9】
上記計算式において、Fzは軸力であり、残りの符号は上記段落で説明されたものであり、また、計算式も同様であるので、ここではその説明を省略する。
上記計算式により、本発明のスマートセンサ化グリッパにおいて、前記グリッパ部材32の緩衝部321が、前記挟持部322及び連結基部323に、X方向に対して角度θ
bをなすように接続されていても、角度を有せずに接続されていても、軸力Fz及び挟持力Fxの検出に影響がないことが分かった。従って、本発明のスマートセンサ化グリッパにおける構造設計の自由度が大きく、適用可能な応用範囲は広い。
【0031】
本發明のスマートセンサ化グリッパは、軸力Fz及び挟持力Fxを検出して衝突検知を行い、具体的に述べると、制御装置の制御によりスマートセンサ化グリッパが移動する際に、移動経路や周囲の環境において異常があって、前記グリッパ部材32に衝突が発生すると、前記グリッパ部材32が反力を受け、この時、制御装置は、軸力Fz及び挟持力Fxの変化の感知して、衝突がZ方向からか又はZ方向からかを判断し、スマートセンサ化グリッパを駆動して衝突を回避する。
【0032】
図13に示すように、前記把持アセンブリ30のグリッパ部材32が物品70が下方の載置台80に接触すると、制御装置は本発明のスマートセンサ化グリッパをZ方向に沿って上方に移動させることが可能であり、このような設計により、物品70を正確に挟持することができ、挟持精度の向上を図る。前記グリッパ部材32の連結基部323又は緩衝部321に衝突が発生した場合において、前記クランク部材31がその衝突によって回動するので、前記角度センサ50が当該クランク部材31の角度の変化を検出し、すると、制御装置は、本発明のスマートセンサ化グリッパが受けた衝突の方向を判別し、衝突回避を行う。
【0033】
本発明のスマートセンサ化グリッパは、物品70を挟持して載置台80から持ち上げると、軸力Fzの検出により物品70の重量を計測することが可能となり、また、挟持力Fxの検出により物品70のX方向上の幅寸法を算出することが可能となる。また、本発明のスマートセンサ化グリッパは、挟持されている物品70を目的地の載置台80上に下ろす時に、物品70がZ方向に沿って載置台80に接触する際の軸力Fzの変化を検出することにより、物品70の下ろし状態を正確に把握することができるので、物品70を空中から放して落下することを回避することができ、また、目的地の載置台80に高低差ができても、物品70を安定して放置することができるので、環境適応性に優れる。
【0034】
さらに、本発明のスマートセンサ化グリッパは、その両把持アセンブリ30にそれぞれ、角度センサ50が設けられていることで、該両把持アセンブリ30のグリッパ部材32が受ける挟持力Fxをそれぞれ検知することができるので、挟持されている物品70のX方向上のいずれか一方の側が干渉物に接触しても、物品70の接触側と同じ側の把持アセンブリ30のグリッパ部材32が受ける挟持力Fxが変化し、これにより、制御装置は物品70が衝突していることを検知することができる。従って、穴のような周囲に壁面を有する載置先に物品70を載置しようとする場合、物品70の位置ずれや傾きを修正することが可能となる。あるいは、物品70の載置先に位置決め構造が設けられる場合、物品70が位置決め構造に当たって、挟持力Fxが変化することにより、物品70が載置先に正確に載置されているかどうかを確認することができる。
【0035】
本発明の両角度センサ50及び変位センサ60はいずれも前記ベース10上に直接に取り付けられていることで、前記把持アセンブリ30上に別途回路を設ける必要がなく、配線構造の簡素化及び生産コストの低減化を図ることができる。また、物品70を挟持する時、前記ベース10に取り付けられた角度センサ50及び変位センサ60が物品70に接触しないので、挟持力Fxによる影響を受けない。さらに、前記両角度センサ50及び変位センサ60は、機械的な動作を検知しており、すなわち、前記クランク部材31の回動角度及び前記移動部材22の変位量を検知するので、検知の精度及び信頼性は高く、光学式エンコーダーの角度センサ50及び変位センサ60を利用すると、検知の精度及び信頼性を更に高めることができる。
【0036】
また、本発明の把持アセンブリ30のグリッパ部材32の挟持部322が弾性変形可能な緩衝部321を介して前記連結基部323と接続されることで、その構成構造の剛性を維持しながらソフトグリッパのような柔軟なグリップ感を与え、これにより、該グリッパ部材32の挟持部322が物品70に接触する時や干渉物に衝突する時に緩衝効果を提供し、本発明のスマートセンサ化グリッパあるいは物品70が損傷することを回避することができる。また、物品70を挟持する時、スマートセンサ化グリッパが制御装置の制御によって移動した位置と、挟持対象物の物品70の位置との間にずれが生じた場合には、前記グリッパ部材32の緩衝部321の弾性変形により、ある程度の位置決め誤差を吸収することが可能であるので、本発明のスマートセンサ化グリッパが物品70をスムーズに挟持することができる。
【0037】
最後に、本発明のスマートセンサ化グリッパを示した好適な実施例では、一対の把持アセンブリ30により構成された二本のグリッパ挟持構造であるものを披露したが、これに限定されるものではなく、本発明が開示した軸力Fz及び挟持力Fxの解析方法及び計算式、又はリンク機構の概略図は、複数の把持アセンブリ30により構成されるマルチグリッパ挟持構造にも適用可能である。
【0038】
要するに、本發明のスマートセンサ化グリッパは、二つの角度センサ50及び変位センサ60を介して、両把持アセンブリ30のグリッパ部材32が受ける軸力Fz及び挟持力Fzをそれぞれ検知することができ、これにより、制御装置は、駆動部材21を介して軸力Fz及び挟持力Fxをそれぞれ操ることが可能となるので、機能性を向上させると共に精密な動作制御を実現する。また、両角度センサ50及び変位センサ60がベース10上に装着されている構造により、把持アセンブリ30のグリッパ部材32に余分な電気配線を別途設置する必要がないので、配線構造の簡素化及び生産コストの低減化を図ることができる。
【符号の説明】
【0039】
10 ベース
11 軸方向ガイドレール
12 軸方向スライダ
20 駆動アセンブリ
21 駆動部材
211 伝動ベルト
212 ベルトプーリ
22 移動部材
23 駆動用ねじ軸
30 把持アセンブリ
31 クランク部材
31a 第一クランク部材
31b 第二クランク部材
32 グリッパ部材
321 緩衝部
322 挟持部
323 連結基部
324 グリッパ案内レール
40 可動アセンブリ
41 連結ロッド
411 移動端
42 弾性部材
50 角度センサ
60 変位センサ
70 物品
80 載置台
Fz 軸力
Fx 挟持力
A、B、C、D、E、F 枢支点
G 力点
O 基点
r1 距離
r2、r3、r5、r7 長さ
Z4、Zm 変位量
θ2、θ3、θb 角度
【手続補正書】
【提出日】2023-08-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御装置に電気接続され且つ制御される、スマートセンサ化グリッパであって、ベースと、駆動アセンブリと、二つの把持アセンブリと、二つの可動アセンブリと、二つの角度センサと、変位センサとを含むと共に、予め定義されるZ方向を有し、
前記駆動アセンブリは、前記ベース上に設置されると共に、駆動部材及び移動部材を備え、該駆動部材は、前記制御装置に電気接続されると共に、該制御装置の制御により該移動部材を駆動して前記Z方向に沿って直線移動させることができ、
前記二つの把持アセンブリは、前記ベース上に相対して設置され、各把持アセンブリは、二つのクランク部材とグリッパ部材とを備え、該二つのクランク部材が互いに平行するように該ベース上にそれぞれ枢設され、該グリッパ部材は、該二つのクランク部材に連結されると共に、互いに接続される緩衝部と挟持部を備え、該挟持部が該グリッパ部材における該クランク部材から離れる一端に配置され、
前記二つの可動アセンブリは、前記二つの把持アセンブリとそれぞれ対応するように前記ベース上に相対して設置されると共に、連結ロッド及び弾性部材を備え、該連結ロッドは、該ベース上に直線移動可能に取り付けられる移動端を有し、該連結ロッドの他端は、対応する前記把持アセンブリの二つのクランク部材のうちの一つに枢接され、該弾性部材の両端はそれぞれ、前記Z方向に沿って前記移動部材及び該連結ロッドの移動端に連結され、
前記二つの角度センサは、前記制御装置に電気接続されると共に前記ベース上に設置され、前記二つの把持アセンブリの二つのクランク部材のうちの一つの回動角度をそれぞれ検出し、
前記変位センサは、前記制御装置に電気接続されると共に前記ベース上に設置され、前記移動部材の変位量を検出することを特徴とするスマートセンサ化グリッパ。
【請求項2】
前記スマートセンサ化グリッパは、前記Z方向と直交するX方向を有し、前記各把持アセンブリのグリッパ部材の緩衝部が、該X方向に沿って該挟持部に接続されることを特徴とする請求項1に記載のスマートセンサ化グリッパ。
【請求項3】
前記スマートセンサ化グリッパは、前記Z方向と直交するX方向を有し、前記各把持アセンブリのグリッパ部材の緩衝部が、該X方向と平行でない方向に沿って該挟持部に接続され、当該方向と該X方向との間の角度は、0度~90度の間であって、エンドポイント値を含まないことを特徴とする請求項1に記載のスマートセンサ化グリッパ。
【請求項4】
前記二つの可動アセンブリ及び該各可動アセンブリと対応する前記把持アセンブリはそれぞれ、前記駆動アセンブリの両側に配置されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のスマートセンサ化グリッパ。
【請求項5】
前記駆動アセンブリは、前記ベース上に設置されて前記駆動部材に連結される駆動用ねじ軸を含み、該ベース上に二つの軸方向ガイドレールが設けられ、前記移動部材は、該二つの軸方向ガイドレール上を移動可能に設置されると共に該駆動用ねじ軸に螺合され、該駆動部材は、該駆動用ねじ軸を回転駆動することにより、該移動部材を該駆動用ねじ軸及び該二つの軸方向ガイドレール上で前記Z方向に沿って移動させることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のスマートセンサ化グリッパ。
【請求項6】
前記駆動アセンブリは、前記ベース上に設置されて前記駆動部材に連結される駆動用ねじ軸を含み、該ベース上に、該駆動用ねじ軸の両側に配置される二つの軸方向ガイドレールが設けられ、前記移動部材は、該二つの軸方向ガイドレール上を移動可能に設置されると共に該駆動用ねじ軸に螺合され、該駆動部材は、該駆動用ねじ軸を回転駆動することにより、該移動部材を該駆動用ねじ軸及び該二つの軸方向ガイドレール上で前記Z方向に沿って移動させることを特徴とする請求項4に記載のスマートセンサ化グリッパ。
【請求項7】
前記各可動アセンブリの連結ロッドの移動端がそれぞれ、対応する前記各軸方向ガイドレールに連結され、また、該連結ロッドの移動端と前記駆動用ねじ軸との間の距離は、当該連結ロッドの他端と該駆動用ねじ軸との間の距離よりも大きいことを特徴とする請求項6に記載のスマートセンサ化グリッパ。
【請求項8】
前記各把持アセンブリのグリッパ部材は連結基部を含み、該連結基部は、前記二つのクランク部材と連結されると共に、グリッパ案内レールを含み、前記緩衝部の一端が該連結基部に連結され、他端が該グリッパ案内レール上に移動可能に設置されると共に前記挟持部と連結されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のスマートセンサ化グリッパ。
【請求項9】
前記各把持アセンブリのグリッパ部材は連結基部を含み、該連結基部は、前記二つのクランク部材と連結されると共に、グリッパ案内レールを含み、前記緩衝部の一端が該連結基部に連結され、他端が該グリッパ案内レール上に移動可能に設置されると共に前記挟持部と連結されることを特徴とする請求項6に記載のスマートセンサ化グリッパ。
【請求項10】
前記各把持アセンブリのグリッパ部材は連結基部を含み、該連結基部は、前記二つのクランク部材と連結されると共に、グリッパ案内レールを含み、前記緩衝部の一端が該連結基部に連結され、他端が該グリッパ案内レール上に移動可能に設置されると共に前記挟持部と連結されることを特徴とする請求項7に記載のスマートセンサ化グリッパ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、スマートセンサ化グリッパを提案し、本発明に係るスマートセンサ化グリッパは、制御装置に電気接続され且つ制御されると共に、ベースと、駆動アセンブリと、二つの把持アセンブリと、二つの可動アセンブリと、二つの角度センサと、変位センサとを含むと共に、予め定義されるZ方向を有し、前記駆動アセンブリは、前記ベース上に設置されると共に、駆動部材及び移動部材を備え、該駆動部材は、前記制御装置に電気接続されると共に、該制御装置の制御により該移動部材を駆動して前記Z方向に沿って直線移動させることができ、前記二つの把持アセンブリは、前記ベース上に相対して設置され、各把持アセンブリは、二つのクランク部材とグリッパ部材とを備え、該二つのクランク部材が互いに平行するように該ベース上にそれぞれ枢設され、該グリッパ部材は、該二つのクランク部材に連結されると共に、互いに接続される緩衝部と挟持部を備え、該挟持部が該グリッパ部材における該クランク部材から離れる一端に配置され、前記二つの可動アセンブリは、前記二つの把持アセンブリとそれぞれ対応するように前記ベース上に相対して設置されると共に、連結ロッド及び弾性部材を備え、該連結ロッドは、該ベース上に直線移動可能に取り付けられる移動端を有し、該連結ロッドの他端は、対応する前記把持アセンブリの二つのクランク部材のうちの一つに枢接され、該弾性部材の両端はそれぞれ、前記Z方向に沿って前記移動部材及び該連結ロッドの移動端に連結され、前記二つの角度センサは、前記制御装置に電気接続されると共に前記ベース上に設置され、前記二つの把持アセンブリの二つのクランク部材のうちの一つの回動角度をそれぞれ検出し、前記変位センサは、前記制御装置に電気接続されると共に前記ベース上に設置され、前記移動部材の変位量を検出することを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
図1~
図3に示すように、前記二つの把持アセンブリ30は、前記ベース10上に相対
して設置されると共に、各把持アセンブリ30は、二つのクランク部材31とグリッパ部材32を備え、該二つのクランク部材31が互いに平行するように該ベース10にそれぞれ枢設されており、該グリッパ部材32は、該二つのクランク部材31に連結されると共に、緩衝部321と、該緩衝部321に接続される挟持部322を備え、該挟持部322が該グリッパ部材32における該クランク部材31から離れる一端に配置される。尚、ここでの緩衝部321が圧縮バネであることが好ましい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
図1及び
図2に示すように、前記二つの可動アセンブリ40は、前記二つの把持アセンブリ30とそれぞれ対応するように前記ベース10上に相対
して設置されると共に、連結ロッド41と弾性部材42を備え、該連結ロッド41は、該ベース10上に直線移動可能に連結される移動端411を有し、これに対して、該連結ロッド41の他端が、対応している把持アセンブリ30の両クランク部材31のうちの一つに枢接されており、該弾性部材42の両端はそれぞれ、Z方向に沿って前記移動部材22及び連結ロッド41の移動端411に連結される。尚、前記弾性部材42が圧縮バネであることが好ましく、板バネであることがより好ましく、通常のコイルバネに比べて、板バネは、その両端が固定しやすく、寸法が小さいという利点があるので、本発明のスマートセンサ化グリッパに適用すると、構造安定性を高め、体積を減少させることができる。