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特開2024-49491遠心分離機及びこの遠心分離機を用いた固形分の洗浄方法
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  • 特開-遠心分離機及びこの遠心分離機を用いた固形分の洗浄方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049491
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】遠心分離機及びこの遠心分離機を用いた固形分の洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   B04B 15/12 20060101AFI20240403BHJP
   B04B 1/02 20060101ALI20240403BHJP
   B04B 11/04 20060101ALI20240403BHJP
   B04B 11/08 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
B04B15/12
B04B1/02
B04B11/04
B04B11/08
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155735
(22)【出願日】2022-09-29
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年3月15日に販売
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年3月15日に販売
(71)【出願人】
【識別番号】390031598
【氏名又は名称】タナベウィルテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141586
【弁理士】
【氏名又は名称】沖中 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100102211
【弁理士】
【氏名又は名称】森 治
(72)【発明者】
【氏名】藤原 由紘
(72)【発明者】
【氏名】古田 拓也
【テーマコード(参考)】
4D057
【Fターム(参考)】
4D057AB01
4D057AC01
4D057AC05
4D057AD01
4D057AE02
4D057AF01
4D057BA36
4D057BC05
4D057BC14
4D057BC15
(57)【要約】
【課題】微細粒子からなる固形分に含まれる不純物を洗浄液を用いて洗浄することを可能にした遠心分離機を提供すること。
【解決手段】上面に開口部を有する有底で無孔のバスケット2と、バスケット2を回転駆動する回転駆動装置3と、バスケット2内に原液Rを供給する給液装置4と、原液Rから分離した液分Lを排出するスキミング装置5と、原液Rから分離されてバスケット2の周面にケーキとして付着した固形分Sを掻き落とす掻取装置6と、バスケット2内に洗浄液Wを供給する洗浄液供給装置7と、掻取装置6により掻き落とした固形分Sと洗浄液供給装置7から供給された洗浄液Wを撹拌する撹拌装置8とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に開口部を有する有底で無孔のバスケットと、バスケットを回転駆動する回転駆動装置と、バスケット内に原液を供給する給液装置と、原液から分離した液分を排出するスキミング装置と、原液から分離されてバスケット周面にケーキとして付着した固形分を掻き落とす掻取装置とを備えた遠心沈降式の遠心分離機であって、前記バスケット内に洗浄液を供給する洗浄液供給装置と、前記掻取装置により掻き落とした固形分と洗浄液供給装置から供給された洗浄液を撹拌する撹拌装置とを備えるようにしたことを特徴とする遠心分離機。
【請求項2】
前記撹拌装置が、バスケット内の中心側上方の待機位置と、外周側下方の撹拌位置とに選択的に位置させる移動機構を備えるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の遠心分離機。
【請求項3】
請求項1又は2記載の遠心分離機を用い、以下の(1)~(6)の工程を備えることを特徴とする遠心分離機を用いた固形分の洗浄方法。
(1)給液装置によりバスケット内に原液を供給する工程。
(2)回転駆動装置によりバスケットを回転駆動することにより、原液を液分と固形分とに分離する工程。
(3)スキミング装置により原液から分離した液分をバスケット内から排出する工程。
(4)掻取装置により原液から分離されてバスケット周面にケーキとして付着した固形分を掻き落とす工程。
(5)洗浄液供給装置によりバスケット内に洗浄液を供給する工程。
(6)撹拌装置により掻き落とした固形分と洗浄液を撹拌することで、固形分に含まれる不純物を洗浄液を用いて洗浄する工程。
【請求項4】
前記(1)~(6)の工程に、さらに、以下の(7)の工程を備えることを特徴とする請求項3に記載の遠心分離機を用いた固形分の洗浄方法。
(7)スキミング装置により固形分と洗浄液の混合液をバスケット内から排出する工程。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転しているバスケット内に原液を供給して、バスケットの回転により生じる遠心力で原液を液分と固形分(ケーキ)とに分離する遠心分離機及びこの遠心分離機を用いた固形分の洗浄方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、種々の原液を液分と固形分とに分離する目的で遠心分離機が用いられている。
遠心分離機は、少なくとも軸線方向の一端側に開口部を有するバスケットと、該バスケットを回転駆動する回転駆動装置と、バスケットの開口部を通して該バスケット内に原液を供給する給液装置とを備えていて、バスケット内に供給された原液をバスケットの回転により生じる遠心力を利用して液分と固形分とに分離するようにしている。
【0003】
そして、遠心分離機には、周壁部に透過孔を有するバスケットを用いて、液分をバスケットの周壁部の内周に配置したフィルタと周壁部の透過孔とを通して排出するようにした遠心濾過式の遠心分離機(例えば、特許文献1参照。)と、周壁部に透過孔を有しないバスケットを用いて、原液から分離した液分をスキミング装置によって排出するようにした遠心沈降式の遠心分離機(例えば、特許文献2参照。)とが知られている。
【0004】
ところで、原液を液分と固形分とに分離した後、さらに、固形分に含まれる不純物を洗浄液を用いて洗浄するニーズがある。
遠心濾過式の遠心分離機においては、原液を液分と固形分とに分離した後、バスケットを回転しながら固形分に洗浄液をかけて洗浄するようにすることで、このニーズに応えることができるが、例えば、原液に含まれる固形分が微細粒子の場合には、捕捉できずにフィルタを透過したり、フィルタを閉塞させたりすることから、遠心濾過式の遠心分離機を用いることができないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-34756号公報
【特許文献2】特開2003-93811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような実情に鑑みてなしたもので、微細粒子からなる固形分に含まれる不純物を洗浄液を用いて洗浄することを可能にした遠心分離機及びこの遠心分離機を用いた固形分の洗浄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の遠心分離機は、上面に開口部を有する有底で無孔のバスケットと、バスケットを回転駆動する回転駆動装置と、バスケット内に原液を供給する給液装置と、原液から分離した液分を排出するスキミング装置と、原液から分離されてバスケット周面にケーキとして付着した固形分を掻き落とす掻取装置とを備えた遠心沈降式の遠心分離機であって、前記バスケット内に洗浄液を供給する洗浄液供給装置と、前記掻取装置により掻き落とした固形分と洗浄液供給装置から供給された洗浄液を撹拌する撹拌装置とを備えるようにしたことを特徴とする。
【0008】
この場合において、前記撹拌装置が、バスケット内の中心側上方の待機位置と、外周側
下方の撹拌位置とに選択的に位置させる移動機構を備えるようにすることができる。
【0009】
また、同じ目的を達成するため、本発明の遠心分離機を用いた固形分の洗浄方法は、上記の遠心分離機を用い、以下の(1)~(7)の工程を備えることを特徴とする。
(1)給液装置によりバスケット内に原液を供給する工程。
(2)回転駆動装置によりバスケットを回転駆動することにより、原液を液分と固形分とに分離する工程。
(3)スキミング装置により原液から分離した液分をバスケット内から排出する工程。
(4)掻取装置により原液から分離されてバスケット周面にケーキとして付着した固形分を掻き落とす工程。
(5)洗浄液供給装置によりバスケット内に洗浄液を供給する工程。
(6)撹拌装置により掻き落とした固形分と洗浄液を撹拌することで、固形分に含まれる不純物を洗浄液を用いて洗浄する工程。
(7)スキミング装置により固形分と洗浄液の混合液をバスケット内から排出する工程。
【発明の効果】
【0010】
本発明の遠心分離機及びこの遠心分離機を用いた固形分の洗浄方法によれば、微細粒子からなる固形分に含まれる不純物を洗浄液を用いて洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の遠心分離機の一実施例を示す平面図である。
図2】同遠心分離機の正面断面図である。
図3】同遠心分離機の給液装置及び洗浄液供給装置を示し、(a)は平面図、(b)は正面断面図である。
図4】同遠心分離機のスキミング装置を示し、(a)は平面図、(b)は正面断面図である。
図5】同遠心分離機の掻取装置を示し、(a)は平面図、(b)は正面断面図である。
図6】同遠心分離機の撹拌装置を示し、(a)は平面図、(b)は正面断面図である。
図7】本発明の遠心分離機を用いた固形分の洗浄方法の一実施例を示す工程説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の遠心分離機及びこの遠心分離機を用いた固形分の洗浄方法の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0013】
図1図6に、本発明の遠心分離機の一実施例を示す。
この遠心分離機は、遠心沈降式の遠心分離機に係り、本体1内に回転自在に配設した、上面に開口部を有する有底で無孔のバスケット2と、バスケット2を回転駆動する回転駆動装置3と、バスケット2内に原液Rを供給する給液装置4と、原液Rから分離した液分Lを排出するスキミング装置5と、原液Rから分離されてバスケット2の周面にケーキとして付着した固形分Sを掻き落とす掻取装置6と、バスケット2内に洗浄液Wを供給する洗浄液供給装置7と、掻取装置6により掻き落とした固形分Sと洗浄液供給装置7から供給された洗浄液Wを撹拌する撹拌装置8とを備えるようにしている。
【0014】
この場合において、バスケット2は、回転駆動装置3により回転駆動するようにするが、回転速度を変更可能に、少なくとも、高速回転と低速回転とができるようにする。
【0015】
バスケット2内に原液Rを供給する給液装置4と洗浄液Wを供給する洗浄液供給装置7
は、図3に示すように、本体1に形成した給液パイプ11、12を介して、バスケット2内に原液Rや洗浄液Wを供給するようにする。
この場合、給液パイプ11、12の一方又は両方から、原液Rや洗浄液Wを供給するようにしたり、給液パイプ11、12の一方から原液Rを、他方から洗浄液Wを供給するようにしたりすることができる。
【0016】
スキミング装置5は、図4に示すように、給液装置4によりバスケット2内に原液Rを供給し、回転駆動装置3によりバスケット2を回転駆動することにより、原液Rを液分Lと固形分Sとに分離した状態で、原液Rから分離した液分Lをバスケット2内から吸引、排出するものである。
スキミング装置5は、スキミング装置5のノズル部51を、バスケット2内の中心側上方の待機位置と、外周側(下方)の吸引位置とに選択的に位置させる移動機構52を備えるようにしている。
【0017】
掻取装置6は、図5に示すように、原液Rから分離した液分Lをバスケット2内から吸引、排出した後、原液Rから分離されてバスケット2の周面にケーキとして付着した固形分Sを掻き落とすものである。
掻取装置6は、掻取装置6の掻取刃61を、バスケット2内の中心側上方の待機位置と、外周側の掻取位置とに選択的に位置させる移動機構62を備えるようにしている。
【0018】
撹拌装置8は、図6に示すように、掻取装置6により掻き落とした固形分Sと洗浄液供給装置7から供給された洗浄液Wを撹拌することで、固形分Sに含まれる不純物を洗浄液Wを用いて洗浄するものである。
撹拌装置8は、撹拌装置8の撹拌羽根81を、バスケット2内の中心側上方の待機位置と、外周側下方の撹拌位置とに選択的に位置させる移動機構82を備えるようにしている。
【0019】
次に、上記の遠心分離機を用いた固形分の洗浄方法について説明する。
この遠心分離機を用いた固形分の洗浄方法は、図7に示すように、以下の(1)~(7)の工程を備える。
(1)給液装置4によりバスケット2内に原液Rを供給する工程。
(2)回転駆動装置3によりバスケット2を回転駆動することにより、原液Rを液分Lと固形分Sとに分離する工程。
(3)スキミング装置5により原液Rから分離した液分Lをバスケット2内から排出する工程。この場合、スキミング装置5のノズル部51の位置は、バスケット2内の外周側の任意の位置(本実施例においては、下方位置。)に位置させることができる。
(4)掻取装置6により原液Rから分離されてバスケット2の周面にケーキとして付着した固形分Sを掻き落とす工程。
(5)洗浄液供給装置7によりバスケット2内に洗浄液Wを供給する工程。
(6)撹拌装置8により掻き落とした固形分Sと洗浄液Wを撹拌することで、固形分Sに含まれる不純物を洗浄液Wを用いて洗浄する工程。
(7)スキミング装置5により固形分Sと洗浄液Wの混合液Mをバスケット2内から排出する工程。
【0020】
この場合において、上記(1)~(7)の工程における回転駆動装置3によるバスケット2の回転速度は、表1に示すとおりとする。
【0021】
【表1】
【0022】
ここで、固形分Sの洗浄は、1回に限らず、複数回繰り返して行うことができる。
具体的には、(6)の洗浄工程の後、再度(2)~(6)の工程を繰り返して実施することができる。
【0023】
また、本実施例においては、上記(1)~(7)の工程を実施することにより、微細粒子からなる固形分に含まれる不純物を洗浄液を用いて洗浄する給液から排出までの作業を、人手を介することなく全自動で行うことができるようにしているが、バスケット2内から排出された固形分Sと洗浄液Wの混合液Mは、必要に応じて、沈降分離や他の遠心沈降式の遠心分離機、例えば、上面に開口部を有する無底で無孔のバスケットを備えた遠心沈降式の遠心分離機を用いて、固形分Sと洗浄液Wとに分離することができる。
【0024】
なお、上記(1)~(7)の工程のうち、(7)の工程を省略し、撹拌装置8により掻き落とした固形分Sと洗浄液Wを撹拌することで、固形分Sに含まれる不純物を洗浄液Wを用いて洗浄した後、上記(2)~(4)の工程を実施し、掻取装置6により掻き落とした固形分Sをバスケット2内から取り出すようにすることもできる。
【0025】
この遠心分離機及びこの遠心分離機を用いた固形分の洗浄方法によれば、微細粒子からなる固形分、例えば、磁性体に含まれる不純物を洗浄液を用いて洗浄することができる。
【0026】
以上、本発明の遠心分離機及びこの遠心分離機を用いた固形分の洗浄方法について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明の遠心分離機及びこの遠心分離機を用いた固形分の洗浄方法は、微細粒子からなる固形分の洗浄の用途に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0028】
1 本体
11 給液パイプ
12 給液パイプ
2 バスケット
3 回転駆動装置
4 給液装置
5 スキミング装置
6 掻取装置
7 洗浄液供給装置
8 撹拌装置
R 原液
L 液分
S 固形分
W 洗浄液
M 混合液
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7