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特開2024-49495クッション体およびクッション体の硬さ調整方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049495
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】クッション体およびクッション体の硬さ調整方法
(51)【国際特許分類】
   A47C 27/14 20060101AFI20240403BHJP
【FI】
A47C27/14 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155742
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】503285852
【氏名又は名称】やまと産業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】522384385
【氏名又は名称】義平 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100111811
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】義平 稔
(72)【発明者】
【氏名】塩谷 浩司
(72)【発明者】
【氏名】本間 雅明
(72)【発明者】
【氏名】坂本 浩
【テーマコード(参考)】
3B096
【Fターム(参考)】
3B096AA01
3B096AB02
3B096AB04
3B096AB07
3B096AD07
(57)【要約】
【課題】使用者の好みなどに対応して所望部分の硬さの調整可能で、しかも従来よりも製造工程における産業廃棄物の削減も図れるクッション体を提供する。
【解決手段】クッション体は、弾性を有する本体部材1と、本体部材1と同じ材料からなる第1調整部材2と第2調整部材3とを備え、本体部材1は、表面に線状の第1凹溝11と第2凹溝12とを有し、第1調整部材2と第2調整部材3とは棒状であって、第1調整部材2と第2調整部材3の長手方向に垂直な断面形状が、第1凹溝11と第2凹溝12の延在方向に垂直な断面形状と同一であり、本体部材1の基準態様では、第1凹溝11と第2凹溝12に第1調整部材2と第2調整部材3とが嵌合して第1凹溝11と第2凹溝12は顕在化せず、第1調整部材2と第2調整部材3とが第1凹溝11と第2凹溝12から取り外されることで第1凹溝11と第2凹溝12が顕在化し本体部材1の硬さが部分的に調整される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性を有する本体部材と、複数の硬さ調整部材とを備えた板状のクッション体であって、
前記本体部材は、表面および裏面の少なくとも一方に複数の線状の凹溝を有し、
前記硬さ調整部材は棒状であって、前記硬さ調整部材の長手方向に垂直な断面形状が、前記凹溝の延在方向に垂直な断面形状と同一であり、
前記本体部材の基準態様では、前記凹溝に前記硬さ調整部材が嵌合して前記凹溝は顕在化せず、
前記硬さ調整部材が前記凹溝から取り外されることで前記凹溝が顕在化し本体部材の硬さが部分的に調整される
ことを特徴とするクッション体。
【請求項2】
前記硬さ調整部材の前記凹溝からの取り外し方向が前記本体部材の厚み方向で、
前記凹溝の延在方向に垂直な断面形状および前記硬さ調整部材の長手方向に垂直な断面形状が、前記硬さ調整部材の取り外し方向先端部の幅よりも大きい幅の拡幅部を有する請求項1記載のクッション体。
【請求項3】
前記拡幅部の形状が、前記硬さ調整部材の取り外し方向の後端側の幅が最も小さく、取り外し方向先端側に向かって連続的に大きくなる形状である請求項2記載のクッション体。
【請求項4】
前記凹溝が、深さの異なる2種類以上の凹溝を有し、
前記硬さ調整部材が、深さの異なる前記2種類以上の凹溝に対応する2種類以上の硬さ調整部材を有する請求項1又は2記載のクッション体。
【請求項5】
前記凹溝が、第1凹溝と、前記第1凹溝よりも深い第2凹溝とを有し、
前記硬さ調整部材が、前記第1凹溝に対応する第1調整部材と、前記第2凹溝に対応する第2調整部材とを有する請求項4記載のクッション体。
【請求項6】
前記拡幅部が、前記硬さ調整部材の取り外し方向に複数設けられている請求項2または3記載のクッション体。
【請求項7】
前記第1凹溝および第1調整部材は前記拡幅部を1つ有し、第2凹溝および第2調整部材は前記第2調整部材の取り外し方向に前記拡幅部を2つ有する請求項5記載のクッション体。
【請求項8】
前記第2調整部材の前記2つの拡幅部の間に、前記硬さ調整部材の取り外し方向先端部の幅以下の、前記第2調整部材の延在方向に切断可能な接続部が設けられている請求項7記載のクッション体。
【請求項9】
平面視において、前記凹溝が直線状で、前記本体部材の周端から対向する周端まで連続して形成されている請求項1または2記載のクッション体。
【請求項10】
前記本体部材が、前記凹溝が形成された表面および/または裏面に、前記凹溝と交差する方向に複数の線状溝をさらに有する請求項1または2記載のクッション体。
【請求項11】
前記線状溝の深さが、前記凹溝の深さよりも浅い請求項10記載のクッション体。
【請求項12】
請求項1または2記載のクッション体において、
前記基準態様から前記硬さ調整部材を前記凹溝から取り外すことで前記凹溝を顕在化させてクッション体の硬さを部分的に調整することを特徴とするクッション体の硬さ調整方法。
【請求項13】
請求項11に記載のクッション体において、
前記線状溝によって設けられた前記硬さ調整部材の切欠き部分で前記硬さ調整部材を切断して、前記硬さ調整部材の一部分を前記凹溝から取り外しクッション体の硬さを部分的に調整することを特徴とするクッション体の硬さ調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マットレスなどに用いることができるクッション体およびクッション体の硬さ調整方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
マットレスや座布団などのクッション体に求められる一般的機能としてはクッション性や保温性、清潔性などがあるがこれらのクッション体に求められる機能は使用者の状況や好みによって様々である。
【0003】
そこで、身体の部位に対応してマットレスを複数のゾーンに区分けし、各々のゾーンの硬さを変化させて使用者の身体各部の体圧を適切に分散させる技術がこれまでから種々提案されている。
【0004】
本出願人の一人も、積層構造を有する複数個のブロック体を長手方向及び/又は短手方向に並べることによって形作られるマットレスであって、所望の層を交換することによってブロック体の硬さを調整可能としたマットレス(特許文献1)や、マットレスの基部の表面に設けられた凸部に、貫通孔を係合させることで硬度調整材2を取付けることで基部の所望部分の硬さを調整可能としたマットレス(特許文献2)を提案した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3221097号
【特許文献2】特開2021-115208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)の社会全体としての取り組みが進んでいる。SDGsの一項目である「つくる責任」として産業廃棄物の削減についても社会的要請が高まっている。
そこで本発明の目的は、使用者の好みなどに対応して所望部分の硬さが調整可能で、しかも従来よりも製造工程における産業廃棄物の削減が図れるクッション体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成する本発明の一態様に係るクッション体は、弾性を有する本体部材と、複数の硬さ調整部材とを備えた板状のクッション体であって、前記本体部材は、表面および裏面の少なくとも一方に複数の線状の凹溝を有し、前記硬さ調整部材は棒状であって、前記硬さ調整部材の長手方向に垂直な断面形状が、前記凹溝の延在方向に垂直な断面形状と同一であり、前記本体部材の基準態様では、前記凹溝に前記硬さ調整部材が嵌合して前記凹溝は顕在化せず、前記硬さ調整部材が前記凹溝から取り外されることで前記凹溝が顕在化し本体部材の硬さが部分的に調整されることを特徴とする。
【0008】
前記構成のクッション体において、前記硬さ調整部材の前記凹溝からの取り外し方向が前記本体部材の厚み方向で、前記凹溝の延在方向に垂直な断面形状および前記硬さ調整部材の長手方向に垂直な断面形状が、前記硬さ調整部材の取り外し方向先端部の幅よりも大きい幅の拡幅部を有するのが好ましい。
ここで、前記拡幅部の形状は、前記硬さ調整部材の取り外し方向の後端側の幅が最も小さく、取り外し方向先端側に向かって連続的に大きくなる形状であるのが好ましい。
【0009】
前記構成のクッション体において、前記凹溝が、深さの異なる2種類以上の凹溝を有し、前記硬さ調整部材が、深さの異なる前記2種類以上の凹溝に対応する2種類以上の硬さ調整部材を有するのが好ましい。
【0010】
前記構成のクッション体において、前記凹溝が、第1凹溝と、前記第1凹溝よりも深い第2凹溝とを有し、前記硬さ調整部材が、前記第1凹溝に対応する第1調整部材と、前記第2凹溝に対応する第2調整部材とを有するのが好ましい。
【0011】
前記構成のクッション体において、前記拡幅部は、前記硬さ調整部材の取り外し方向に複数設けられているのが好ましい。
【0012】
前記構成のクッション体において、前記第1凹溝および第1調整部材は前記拡幅部を1つ有し、第2凹溝および第2調整部材は前記第2調整部材の取り外し方向に前記拡幅部を2つ有しているようにしてもよい。
【0013】
前記構成のクッション体において、前記第2調整部材の前記2つの拡幅部の間に、前記硬さ調整部材の取り外し方向先端部の幅以下の、前記第2調整部材の延在方向に切断可能な接続部が設けられているのが好ましい。
【0014】
前記構成のクッション体において、平面視において、前記凹溝が直線状で、前記本体部材の周端から対向する周端まで連続して形成されているのが好ましい。
【0015】
前記構成のクッション体において、前記本体部材が、前記凹溝が形成された表面および/または裏面に、前記凹溝と交差する方向に複数の線状溝をさらに有していてもよい。ここで、前記線状溝の深さは前記凹溝の深さよりも浅いのが好ましい。
【0016】
また本発明によれば、前記記載のクッション体において、前記基準態様から前記硬さ調整部材を前記凹溝から取り外すことで前記凹溝を顕在化させてクッション体の硬さを部分的に調整することを特徴とするクッション体の硬さ調整方法が提供される。
【0017】
前記構成のクッション体において、前記線状溝によって設けられた前記硬さ調整部材の切欠き部分で前記硬さ調整部材を切断して、前記硬さ調整部材の一部分を前記凹溝から取り外しクッション体の硬さを部分的に調整するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るクッション体によれば、使用者の好みなどに対応して所望部分の硬さの調整可能で、しかも従来よりも製造工程における産業廃棄物の削減も図れる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一態様に係るクッション体の斜視図である。
図2図1のクッション体の部分拡大斜視図である。
図3図1のクッション体における第1調整部材の斜視図である。
図4図1のクッション体における第2調整部材の斜視図である。
図5】第2調整部材の一部分が切り取られた一例を示す斜視図である。
図6】第2調整部材の一部分が切り取られた他の例を示す斜視図である。
図7】一部分が切り取られた第2調整部材が取り付けられた本体部材の断面図である。
図8】第1実施形態のクッション体をX方向に3つ接続したマットレスの平面図である。
図9図1のクッション体を3つ接続したマットレスの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係るクッション体について図に基づいて詳述するが、本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではない。
なお、本明細書におけるX方向、Y方向、厚み方向は、各図におけるX方向、Y方向、厚み方向を指すものとする。また本明細書において「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
【0021】
図1および図2に示す本発明の一態様に係るクッション体Cは、平面視長方形の板状の弾性を有する本体部材1と、本体部材1の上面に設けられたX方向に延在する線状の第1凹溝11と第2凹溝12に嵌合した第1調整部材2および第2調整部材3とを備える。第1調整部材2および第2調整部材3は、いずれも本発明における硬さ調整部材を構成する。なお、図2では、第1凹溝11と第2凹溝12および第1調整部材2と第2調整部材3を区別するために第1調整部材2と第2調整部材3は灰色に着色されている。図7においても同様の理由から第2調整部材3が灰色に着色されている。
【0022】
(本体部材)
本体部材1は弾性を有する材質からなる。例えばウレタンフォームやラテックス、ポリエチレンなどが好適である。これらの中でも、体圧分散性や加工性などの観点からウレタンフォームが好適である。ウレタンフォームとしてはセル膜を有しない三次元網目構造のものが通気性や透水性の機能を有することから推奨される。本体部材1の厚みT(図1に図示)に特に限定はないが、通常、20mm以上300mm以下の範囲が好ましい。
【0023】
図1に示すように、平面視長方形の本体部材1の厚み方向上面には、Y方向に直線状に延在する第1線状溝13がX方向に所定間隔で設けられている。また、X方向に直線状に延在する第2線状溝14がY方向に所定間隔で設けられている。第1線状溝13と第2線状溝14とによって本体部材1の上面は格子状に区分けされている。第1線状溝13および第2線状溝14は本体部材1の硬さ調整および通気性などの役割を果たす。本体部材1の硬さ調整に関していえば、第1線状溝13および第2線状溝14の形成間隔が短くそして深くなるほど本体部材1の硬さは柔らかくなる挙動を示す。
【0024】
第1線状溝13および第2線状溝14の形成間隔および深さに特に限定はなく、後述するクッション体Cの基準態様において所望の硬さとなるよう適宜決定すればよい。本実施形態では、第1線状溝13の深さd1は、後述する第1凹溝11の深さD1よりも浅く設定されている。その理由については後述する。なお、第1線状溝13および第2線状溝14のいずれか一方又は両方が本体部材1に形成されていなくてもよいが、クッション体Cが通気性を備える観点からは、第1線状溝13および第2線状溝14の少なくとも一方が本体部材1に形成されているのがよい。
【0025】
また図1および図2に示すように、本体部材1の上面には、さらに、X方向に延在する複数の線状の第1凹溝11と第2凹溝12とがY方向に所定間隔L1で設けられている。そして、第1凹溝11および第2凹溝12のすべてには、第1凹溝11と第2凹溝12のX方向に垂直な断面と同一の断面の第1調整部材2および第2調整部材3(いずれも硬さ調整部材)が嵌合している。
【0026】
本明細書において、このように第1凹溝11および第2凹溝12のすべてに第1調整部材2および第2調整部材3が嵌合している態様を「基準態様」というものとする。第1調整部材2および第2調整部材3は本体部材1と同じ材料からなり、基準態様では、第1凹溝11および第2凹溝12のすべてに第1調整部材2および第2調整部材3が嵌合している。したがって基準態様では第1凹溝11および第2凹溝12は顕在化していない。
【0027】
第1凹溝11および第2凹溝12は、本体部材1の前駆体である厚みTを有する板状体が2次元カットされることで形成される。2次元カットによって第1凹溝11および第2凹溝12が形成されると、第1凹溝11および第2凹溝12の内部にカット端材としての第1調整部材2および第2調整部材3が残る。つまり、第1凹溝11と第1調整部材2および第2凹溝12と第2調整部材3は2次元カットによって同時に形成される。本体部材1の基準態様は、本体部材1を2次元カットした後の状態である。本体部材1の前駆体である板状体の2次元カットには、例えば、コンターカッターが好適に用いられる。なお、第1線状溝13および第2線状溝14も本体部材1の2次元カットによって好適に形成される。また、第1調整部材2および第2調整部材3は、第1凹溝11および第2凹溝12の形成とは別に作製されたものであっても構わない。この場合、第1調整部材2および第2調整部材3は、本体部材1とは異なる材料にすることも可能となる。
【0028】
(第1凹溝11,第1調整部材2)
前述の本体部材1の作製方法に起因して、第1凹溝11の延在方向(X方向)に垂直な断面形状と第1調整部材2の長手方向(X方向)に垂直な断面形状は同一となる。なお、厳密にはカッター刃の厚み(1mm未満)だけ第1調整部材2の外形は第1凹溝11の内形よりも小さくなるが、外形と内形との差はわずかであるので本明細書では同一視するものとする。以下、代表して第1調整部材2の断面形状について説明する。
【0029】
図2および図3に示すように、第1調整部材2は、本体部材1からの取り外し方向(厚み方向上方向)先端側から順に幅W1の狭幅部21と、最大幅W2が幅W1よりも広い拡幅部22とを有する。第1調整部材2が拡幅部22を有することで、第1調整部材2は本体部材1から取り外し可能でありながら、望まぬところで本体部材1から外れることが抑制される。
【0030】
幅狭部は幅W1で厚み方向に所望長さを有する。狭幅部21の幅W1に特に限定はないが、通常、1mm~10mmの範囲が好ましい。狭幅部21の厚み方向長さについても特に限定はないが、通常、5mm~10mmの範囲が好ましい。
【0031】
拡幅部22の断面形状は逆三角形状であって、厚み方向下側の幅が最も小さく、厚み方向上側に向かって連続的に大きくなり、最大幅W2となった所でY方向両端から中心方向に向かってY方向に平行に縮幅して狭幅部21の厚み方向下端に接続する。拡幅部22の最大幅W2は、狭幅部21の幅W1よりも大きい範囲において特に限定はないが、第1調整部材2が本体部材1から容易に取り外し可能でありながら、望まぬところで外れないものとする観点からは、狭幅部21の幅W1よりも4mm~20mm大きく設定するのが好ましい。拡幅部22の厚み方向長さについても特に限定はないが、通常、10mm~20mmの範囲が好ましい。
【0032】
第1調整部材2はX方向に延在し、長さL2の間隔で複数の切欠き部24が形成されている。切欠き部24はX方向幅L3で深さd1である。切欠き部24の深さd1は第1調整部材2(第1凹溝11)の深さD1よりも浅い。切欠き部24によって、第1調整部材2は、長さL2の複数個の第1ブロック体B1が第1接続部23でX方向に繋がったものとなっている。第1調整部材2の深さD1と切欠き部24の深さd1との差、すなわち第1接続部23の厚み方向の長さは、第1ブロック体B1間が人の手によって切断できる範囲において特に限定はなく、通常、2mm~5mmの範囲が好ましい。また第1接続部23のX方向の長さL3についても、第1ブロック体B1が人の手によって切断できる範囲において特に限定はなく、通常、2mm~10mmの範囲が好ましい。なお、第1調整部材2の切欠き部24は、クッション体Cの製造にいて本体部材1に第1線状溝13が形成されることによって形成される。
【0033】
このような構造の第1調整部材2は、所望位置の第1接続部23で容易に切断することができ、第1調整部材2は複数個の第1ブロック体B1に分割できる。本体部材1の硬さを調整する場合に、第1調整部材2のX方向の一部分だけを本体部材1から取り外すときには、まず、第1調整部材2の全体を本体部材1の第1凹溝11から一端取り外す。そして、第1調整部材2の所望部分を第1接続部23を利用して切り取る。その後、切り取られた部分以外の第1調整部材2を本体部材1の第1凹溝11に戻す。これにより、第1調整部材2のX方向における所望部分だけを本体部材1から取り外すことができ、当該部分の硬さ調整ができる。
【0034】
(第2凹溝12,第2調整部材3)
第2凹溝12および第2調整部材3も、第1凹溝11および第1調整部材2と同様に、前述の本体部材1の作製方法に起因して、第2凹溝12の延在方向(X方向)に垂直な断面形状と第2調整部材3の長手方向(X方向)に垂直な断面形状は同一となる。なお、厳密にはカッター刃の厚み(1mm未満)だけ第2調整部材3の外形は第2凹溝12の内形よりも小さくなることは前述のとおりである。以下、代表して第2調整部材3の断面形状について説明する。
【0035】
図2および図4に示すように、第2調整部材3は、厚み方向上側から順に幅W1の第1狭幅部31と、幅W2の第1拡幅部32と、幅W3の第2接続部33と、幅W2の第2各幅部35とを有する。つまり、第2調整部材3は、第1調整部材2の厚み方向下側に、第2接続部33を介してもう一つの拡幅部35を有する形状である。第2調整部材3の第1狭幅部31は第1調整部材2の狭幅部21と同じ形状であり、第2調整部材3の第1拡幅部32および第2拡幅部35は第1調整部材2の拡幅部22と同じ形状であるので、ここでは説明を略し、第1調整部材2と異なる構成について以下説明する。
【0036】
第2調整部材3の第2接続部33は、後述するように、第1拡幅部32と第2拡幅部35との間を人の手によって切断可能に接続する。第2接続部33の幅W3に特に限定はないが、通常、1mm~10mmの範囲が好ましい。第2接続部33の厚み方向長さについても特に限定はないが、通常、5mm~10mmの範囲が好ましい。
【0037】
第2調整部材3は、第1調整部材2と同様に、X方向に延在し、長さL2の間隔で複数の切欠き部34が形成されている。切欠き部34は、X方向の幅がL3で深さがd1である。切欠き部34の深さd1は、第1狭幅部31と第1拡幅部32とを合わせた深さよりも浅い。第2調整部材3の切欠き部34は、第1調整部材2の切欠き部24と同様に、本体部材1の製造にいて本体部材1に第1線状溝13が形成されることによって形成される。
【0038】
このような構造の第2調整部材3は、所望位置の切欠き34を利用して厚み方向に切断することができ、第2調整部材3は複数個の第2ブロック体B2に分割できる(図5を参照)。
【0039】
また、第2調整部材3は第2接続部33を利用してX方向に切断することもできる(図6を参照)。すなわち、第2調整部材3は第2接続部33の所で上下に切り離すこともできる。第2調整部材3の上下に切り離された上側部分は、第1調整部材2と略同一の形状を有し、第1ブロック体B1ごとに分割可能である。
【0040】
本体部材1の硬さを調整する場合、第2調整部材3のX方向の一部分だけを本体部材1から取り外すときには、第1調整部材2の場合と同様に、第2調整部材3の全体を本体部材1の第2凹溝12から一端取り外す。そして、第2調整部材3の所望部分を切り取る。その後、切り取られた部分以外の第2調整部材3を本体部材1の第2凹溝12に戻す。
【0041】
(本体部材1の硬さ調整方法)
本体部材1の硬さ調整は例えば次のようにして行われる。本体部材1の第1凹溝11および第2凹溝12に第1調整部材2および第2調整部材3が嵌合した基準態様から、本体部材1の硬さを柔らかくしたい領域の第1調整部材2および/または第2調整部材3を本体部材1から取り外す。第1調整部材2および/または第2調整部材3の本体部材1から取り外しは、X方向の全体であってもよいし一部分であってもよい。第1調整部材2および/または第2調整部材3が取り外された本体部材1の領域の硬さは他の領域よりも柔らかくなる。第1調整部材2および/または第2調整部材3の取り外しに際しては、第1凹溝11および第2凹溝12の表面開口が拡がるように本体部材1の上面を凸状に曲げることが推奨される。これにより第1調整部材2および/または第2調整部材3の本体部材1から取り外しが容易となる。
【0042】
第1調整部材2および/または第2調整部材3の本体部材1からの取り外しは、前述のように、第1調整部材2および/または第2調整部材3の延在方向(X方向)の一部分を本体部材1から取り外す場合であっても、一旦、第1調整部材2および/または第2調整部材3のX方向に延在する全体を本体部材1から取り外すのが作業効率性などの観点から望ましい。
【0043】
第1調整部材2のX方向の一部分を本体部材1から取り外すときは、第1調整部材2のX方向の全体を本体部材1から取り外した後、第1調整部材2の所望の一部分を第1接続部23を利用して切り取る。切り取りは、切欠き24間の第1ブロック体B1を一つの単位とするのが好ましい。その後、切り取られた部分以外の第1調整部材2を、取り外すときと逆の手順で本体部材1の第1凹溝11に取り付ける。
【0044】
第2調整部材3のX方向の一部分を本体部材1から取り外すときも、第2調整部材3のX方向の全体を本体部材1から取り外した後、第2調整部材3の所望の一部分を切り取る。第2調整部材3の部分的な切り取りには以下の2つ型がある。
【0045】
1つ目の型は、図5に示すように、切欠き34を厚み方向下方に切り裂いて第2調整部材3の一部分を分断して切り取る。このような切り取りは、切欠き34間の第2ブロック体B2を一つの単位とするのが好ましい。その後、切り取られた部分以外の第2調整部材3を、取り外すときと逆の手順で本体部材1の第2凹溝12に戻す。
【0046】
2つ目の型は、図6に示すように、第2接続部33をX方向に切り裂いて第1狭幅部21と第1拡幅部22の一部分を第2調整部材3から切り取る。このような切り取りでは、切欠き34間の第1ブロック体B1を一つの単位とするのが好ましい。その後、切り取られた部分以外の第2調整部材3を取り外すときと逆の手順で本体部材1の第2凹溝12に戻す。
【0047】
図7に、第1ブロック体B1および第2ブロック体の一部分が取り外された第2調整部材3が第2凹溝12に取り付けられた状態の断面図を示す。なお、図7では、理解しやすいように第2調整部材3は灰色に着色している。図7の第2調整部材3では、右から2つめの第2ブロック体が切り取られ、左から2つめの第1ブロック体B1が切り取られている。
【0048】
本体部材1の硬さ調整手順として、前述の手順の外、例えば、第2調整部材3の第1狭幅部21および第1拡幅部22のX方向全体を本体部材1から取り外し、第2調整部材3の第2拡幅部35のX方向全体は第2凹溝12に残す場合、第2調整部材3のX方向の全体を本体部材1から取り外した後、他の領域で取り外された第1調整部材2を第2凹溝12の第2拡幅部35に取り付けるようにしてもよい。このような方法によれば、第2調整部材3を第2接続部33の所で上下に分断する作業が不要となり作業効率が上がる。
【0049】
(使用例)
図8に、第1実施形態のクッション体Cを用いたマットレスMの一例を示す。図8のマットレスMでは、3つのクッション体C1,C2,C3(以下、「クッション体C」と総称することがある。)がX方向に接続されている。各クッション体Cにおける、使用者が寝返りなどで動く領域では、第1調整部材2および/または第2調整部材3が本体部材1から取り外されて、第1凹溝11及び/または第2凹溝12が顕在化して他の部分よりも本体部材1の硬さが低くされている。第2凹部が顕在化した部分は第1凹溝11が顕在化した部分よりも柔らかくなる。図8に示すマットレスMでは、第1凹溝11または第2凹溝12が顕在化している部分は黒太線で表されている。
【0050】
具体的には、マットレスM上に仰臥した人の肩部および踵部が位置する領域は、第2調整部材3を本体部材1から取り外して第2凹溝12を顕在化させ最も柔らかくしている。胴部および大腿部が位置する領域は、第1調整部材2を本体部材1から取り外して第1凹溝11を顕在化させ2番目に柔らかくしている。一方、頭部および腰部が位置する領域は、第1調整部材2および第2調整部材3は本体部材1から取り外さず最も硬くしている。
【0051】
図9に示すように、実際の使用に当たっては、各クッション体Cは、クッション体Cよりも僅かに大きい容積を有する布帛などからなるカバー4に収納される。カバー4のY方向一方の側面の途中部からY方向他方の側面の途中部まで、カバーのX方向の一方の側面全体をY方向に縦断してファスナー41が設けられている。ファスナー41が開状態とされることでカバー4の開口部が開き、クッション体Cがカバー4内に収納される。また、クッション体Cが本体部材1と他の板状部材との積層体である場合、本体部材1と板状部材とをカバーC内に収納すれば足り、本体部材1と板状部材とを接続固定する必要はない。
【0052】
カバー4に収納されたクッション体C間の接続は、例えば、カバー4の上面および下面に設けられた、Y方向に所定距離隔てて設けられた面ファスナーなどでよい一対の接続部材42a,42bによって行われる。図9に示すマットレスMではX方向に3つのクッション体Cが接続されているが、クッション体Cの接続個数に限定はない。また、Y方向にクッション体Cを接続してもよいし、X方向およびY方向の2方向にクッション体Cを接続してもよい。
【0053】
なお、本発明に係るクッション体Cは、マットレスMとして用いることができる外、座布団などとしても用いることができる。
【0054】
(その他)
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、上記実施形態における各構成およびそれらの組合せ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0055】
例えば、上記実施形態では、第1凹溝11および第2凹溝12はY方向に所定間隔でX方向に延在していたが、X方向に所定間隔でY方向に延在する形態であっても構わない。また、第1凹溝11および第2凹溝12はX方向およびY方向の2方向に延在する形態であっても構わない。第1凹溝11および第2凹溝は直線状の外、曲線状であっても構わない。そしてまた、本体部材に形成する凹溝は1種類であってもよいし、3種類以上であっても構わない。
【0056】
また上記実施形態では平面視における本体部材1の形状は長方形状であったが、本体部材1の平面視形状に特に限定はなく、多角形や円形などであっても構わない。上記実施形態では、第1線状溝13および第2線状溝14は本体部材1の上面にのみ設けていたが、上面および下面の両面に設けてもよいし、下面にのみ設けてもよい。また、第1線状溝13および第2線状溝14はいずれか一方のみを設けてもよいし、いずれも設けなくてもよい。第1線状溝13および第2線状溝14を設けるかどうかは、基準態様における本体部材1の硬さをどのようにするかなどに基づいて適宜決定すればよい。
【0057】
本発明に係るクッション体Cは、本体部材1の厚さ方向に、板状の他の部材を積層した構造であってもよい。積層する部材としては、クッション体と硬さの異なる弾性部材や網目状の樹脂構造体などが挙げられる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明に係るクッション体によれば、使用者の好みなどに対応して所望部分の硬さの調整可能で、しかも従来よりも製造工程における産業廃棄物の削減も図れる。
【符号の説明】
【0059】
1 本体部材
2 第1調整部材(硬さ調整部材)
3 第2調整部材(硬さ調整部材)
4 カバー
C,C1,C2,C3 クッション体
M マットレス
11 第1凹溝
12 第2凹溝
13 第1線状溝
14 第2線状溝
21 狭幅部
22 拡幅部
23 第1接続部
24 切欠き
31 狭幅部
32 第1拡幅部
33 第2接続部
34 切欠き
35 第2拡幅部
B1 第1ブロック体
B2 第2ブロック体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9