IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社トライフの特許一覧

特開2024-49496積層体及び当該積層体からなる容器又は包装体
<>
  • 特開-積層体及び当該積層体からなる容器又は包装体 図1
  • 特開-積層体及び当該積層体からなる容器又は包装体 図2
  • 特開-積層体及び当該積層体からなる容器又は包装体 図3
  • 特開-積層体及び当該積層体からなる容器又は包装体 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049496
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】積層体及び当該積層体からなる容器又は包装体
(51)【国際特許分類】
   B32B 7/02 20190101AFI20240403BHJP
   B32B 15/085 20060101ALI20240403BHJP
   B32B 29/00 20060101ALI20240403BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
B32B7/02
B32B15/085
B32B29/00
B65D65/40 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155747
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000219680
【氏名又は名称】株式会社トライフ
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】大塚 友紀
(72)【発明者】
【氏名】紅林 実里
【テーマコード(参考)】
3E086
4F100
【Fターム(参考)】
3E086AA23
3E086AB01
3E086AD01
3E086AD02
3E086AD05
3E086BA13
3E086BA14
3E086BA15
3E086BA24
3E086BA25
3E086BB66
3E086CA01
3E086CA27
3E086CA28
3E086CA35
3E086DA08
4F100AB01
4F100AB01C
4F100AB01E
4F100AB10
4F100AB10C
4F100AB21
4F100AB21C
4F100AK03
4F100AK03B
4F100AK03D
4F100AK04
4F100AK04B
4F100AK06
4F100AK06B
4F100AL01
4F100AL01B
4F100BA03
4F100BA05
4F100BA06
4F100BA07
4F100DG10
4F100DG10A
4F100EH17
4F100EH46
4F100EJ86
4F100GB16
4F100HB31
4F100JA13
4F100JA13B
4F100JA13D
4F100JB16
4F100JB16B
4F100JK12
4F100JK17
4F100JL11
4F100JL11B
4F100YY00A
4F100YY00B
4F100YY00C
(57)【要約】
【課題】人手で容易に変形可能であり、大量生産が可能で、且つ、軽量である、容器、包装等の用途に好適な積層体を提供すること。
【解決手段】50g/m~550g/mの坪量を有する紙層、ポリオレフィンを含む熱可塑性樹脂層、及び、7.5μm~50μmの厚みを有する金属層を備える積層体であって、前記金属層が外部から視認可能であり、前記紙層及び前記金属層の間に前記熱可塑性樹脂層が存在し、前記紙層及び前記金属層が前記熱可塑性樹脂層によって接合されている、積層体。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
50g/m~550g/mの坪量を有する紙層、
ポリオレフィンを含む熱可塑性樹脂層、及び、
7.5μm~50μmの厚みを有する金属層
を備える積層体であって、
前記金属層が外部から視認可能であり、
前記紙層及び前記金属層の間に前記熱可塑性樹脂層が存在し、
前記紙層及び前記金属層が前記熱可塑性樹脂層によって接合されている、積層体。
【請求項2】
前記紙層が積層体の50質量%以上を占める、請求項1記載の積層体。
【請求項3】
前記紙層の厚みが80μm~600μmである、請求項1記載の積層体。
【請求項4】
前記熱可塑性樹脂層が押出層である、請求項1記載の積層体。
【請求項5】
前記ポリオレフィンがエチレンのホモポリマー又はコポリマーである、請求項1記載の積層体。
【請求項6】
前記ポリオレフィンが低密度ポリエチレンである、請求項1記載の積層体。
【請求項7】
前記ポリオレフィンのJIS K7215によるデュロメータD硬さが60未満である、請求項1記載の積層体。
【請求項8】
前記熱可塑性樹脂層の厚みが10μm~60μmである、請求項1記載の積層体。
【請求項9】
前記金属層がスズ又はアルミニウムを含む、請求項1記載の積層体。
【請求項10】
前記金属層の厚みが8.0μm~30μmである、請求項1記載の積層体。
【請求項11】
前記紙層の両面に前記熱可塑性樹脂層及び前記金属層が存在する、請求項1記載の積層体。
【請求項12】
前記金属層が最外層である、請求項1記載の積層体。
【請求項13】
表面に追加層が存在する、請求項1記載の積層体。
【請求項14】
表面に凹凸が存在する、請求項1記載の積層体。
【請求項15】
容器用材料又は包装用材料である、請求項1乃至14のいずれかに記載の積層体。
【請求項16】
請求項1記載の積層体からなる容器又は包装体。
【請求項17】
50g/m~550g/mの坪量を有する紙層、
ポリオレフィンを含む熱可塑性樹脂層、及び、
5.5μm~50μmの厚みを有する金属層
を備える積層体であって、
前記紙層の両面に前記熱可塑性樹脂層及び前記金属層がそれぞれ存在しており、
前記金属層が外部から視認可能であり、
前記紙層及び前記金属層の間に前記熱可塑性樹脂層が存在し、
前記紙層及び前記金属層が前記熱可塑性樹脂層によって接合されている、積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は積層体に関するものであり、特に、金属の外観を備え、人手により容易に変形可能である積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、金属皿等の金属製品は、当該製品の製造者が決定した形状にて提供され、使用される。金属は、一般に、硬く、靱性が高いので、使用者が金属製品の形状を変更しようとする場合、特殊な道具乃至機械を使用する必要があり、形状の変更が困難である。
【0003】
そこで、比較的柔軟なスズを主成分とし、指で自在に変形可能な金属薄板製品が提案されており(特許文献1)、実際に、「すずがみ」(登録商標)の名称で提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-174003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、指で自在に変形可能な程度の高度な変形性をスズ等の金属からなる薄板製品に付与するためには、何度も圧延を繰り返し、熟練した職人が長年の経験に基づいて、金槌で叩いて金属加工を行う必要があり、大量生産が困難である。
【0006】
また、金属は重いため、金属薄板製品を容器、包装等の用途に使用する場合に、容器内容物乃至被包装物を含めた容器乃至包装体の全体の重量が大きくなり、運搬が困難となる場合がある。
【0007】
本発明は、金属の外観を備え、人手で容易に変形可能であり、大量生産が可能で、且つ、軽量である、容器、包装等の用途に好適な積層体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
鋭意検討の結果、本発明者らは、比較的坪量が大きい紙層の表面に所定の熱可塑性樹脂層を介して外部から視認可能な所定の金属層を設けることで上記の目的が達成可能であることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
本発明は、
50g/m~550g/mの坪量を有する紙層、
ポリオレフィンを含む熱可塑性樹脂層、及び、
7.5μm~50μmの厚みを有する金属層
を備える積層体であって、
前記金属層が外部から視認可能であり、
前記紙層及び前記金属層の間に前記熱可塑性樹脂層が存在し、
前記紙層及び前記金属層が前記熱可塑性樹脂層によって接合されている、積層体である。
【0010】
前記紙層が積層体の50質量%以上を占めることが好ましい。
【0011】
前記紙層の厚みが80μm~600μmであることが好ましい。
【0012】
前記熱可塑性樹脂層が押出層であることが好ましい。
【0013】
前記ポリオレフィンがエチレンのホモポリマー又はコポリマーであることが好ましい。
【0014】
前記ポリオレフィンが低密度ポリエチレンであることが好ましい。
【0015】
前記ポリオレフィンのJIS K7215によるデュロメータD硬さが60未満であることが好ましい。
【0016】
前記熱可塑性樹脂層の厚みが10μm~60μmであることが好ましい。
【0017】
前記金属層がスズ又はアルミニウムを含むことが好ましい。
【0018】
前記金属層の厚みが8.0μm~30μmであることが好ましい。
【0019】
前記紙層の両面に前記熱可塑性樹脂層及び前記金属層が存在することが好ましい。
【0020】
前記金属層が最外層であることが好ましい。
【0021】
本発明の積層体の表面に追加層が存在してもよい。
【0022】
本発明の積層体の表面に凹凸が存在してもよい。
【0023】
本発明の積層体は容器用材料又は包装用材料であることが好ましい。
【0024】
本発明は上記積層体からなる容器又は包装体にも関する。
【0025】
本発明は、更に、
50g/m~550g/mの坪量を有する紙層、
ポリオレフィンを含む熱可塑性樹脂層、及び、
5.5μm~50μmの厚みを有する金属層
を備える積層体であって、
前記紙層の両面に前記熱可塑性樹脂層及び前記金属層がそれぞれ存在しており、
前記金属層が外部から視認可能であり、
前記紙層及び前記金属層の間に前記熱可塑性樹脂層が存在し、
前記紙層及び前記金属層が前記熱可塑性樹脂層によって接合されている、積層体にも関する。
【発明の効果】
【0026】
本発明の積層体は、金属の外観を呈するものの、紙層による高度な変形性を備えており、人手で容易に変形可能である。特に、本発明の積層体は、当該積層体に含まれる紙層の坪量が比較的大きく、そのために、指等で様々な形状に変形させた後に、当該変形を維持することができる。すなわち、本発明の積層体は塑性加工が可能である。
【0027】
また、本発明の積層体は、ポリオレフィンを含む熱可塑性樹脂層によって紙層及び金属層を接合することで製造可能であり、その製造工程には職人による金属加工が不要である。したがって、本発明の積層体は大量生産が可能である。
【0028】
そして、本発明の積層体は、金属層が薄く、且つ、紙層を備えるために、軽量であって、運搬等が容易であり、使用性に優れている。
【0029】
本発明の積層体において紙層が積層体の50質量%以上を占める場合は、資源の有効な利用の促進に関する法律(資源有効利用促進法)により、本発明の積層体に所謂「紙マーク」を付与することが可能であり、廃棄時には金属層を分別する必要はなく、そのまま焼却廃棄することができる。
【0030】
本発明の積層体中の熱可塑性樹脂層が押出層である場合は、熱可塑性樹脂層の形成に揮発性有機溶媒又は水を使用しないので、本発明の積層体の製造プロセスを簡素化可能である。
【0031】
本発明で使用される熱可塑性樹脂はポリオレフィンを含むので押出成形による均一な厚みの層形成が容易であり、また、紙層及び金属層との接合性にも優れている。前記ポリオレフィンが低密度ポリエチレンである場合は、熱可塑性樹脂層の柔軟性が高まり、本発明の積層体の変形性が向上する。前記ポリオレフィンのJIS K7215によるデュロメータD硬さが60未満の場合は、熱可塑性樹脂層の柔軟性がより高まり、本発明の積層体の変形性が更に向上する。
【0032】
本発明の積層体中の金属層がスズ又はアルミニウムを含む場合は、金属層を比較的柔軟とすることができ、本発明の積層体の変形性が向上する。
【0033】
本発明の積層体は、容器用材料又は包装用材料として好適であり、容器又は包装体の形成に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の積層体の一実施態様の概略断面図。
図2】本発明の積層体の他の一実施態様の概略断面図。
図3】本発明の積層体の他の一実施態様の概略断面図。
図4】本発明の積層体の他の一実施態様の概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
[積層体]
本発明は
50g/m~550g/mの坪量を有する紙層、
ポリオレフィンを含む熱可塑性樹脂層、及び、
50μm以下の厚みを有する金属層
を備える積層体であって、
前記金属層が外部から視認可能であり、
前記紙層及び前記金属層の間に前記熱可塑性樹脂層が存在し、
前記紙層及び前記金属層が前記熱可塑性樹脂層によって接合されている、積層体である。
【0036】
本発明の積層体において、紙層の少なくとも一方の表面に熱可塑性樹脂層及び金属層が存在する場合は、金属層の厚みは7.5μm~50μmであるが、紙層の両方の表面に熱可塑性樹脂層及び金属層がそれぞれ存在する場合は、金属層の厚みは5.5μm~50μmである。なお、紙層の両方の表面に熱可塑性樹脂層及び金属層が存在する場合でも、金属層の厚みを7.5μm~50μmとしてもよい。
【0037】
(紙層)
本発明の積層体は紙層を備える。紙層は紙材料からなり、同一又は異なる紙材料から構成可能である。
【0038】
紙材料を構成する繊維材料としては、木材パルプが好ましく、バージン木材パルプ若しくは古紙パルプ又はこれらの混合物を使用することができる。木材パルプとしては、例えば、NBKP(針葉樹晒クラフトパルプ)、NUKP(針葉樹未晒しパルプ)等の針葉樹パルプ、LBKP(広葉樹晒クラフトパルプ)、LUKP(広葉樹未晒しパルプ)等の広葉樹パルプ、並びに、針葉樹パルプ及び広葉樹パルプの混合物を使用することができる。
【0039】
紙層は、単一層から構成されてもよく、また、複数層から構成されてもよい。
【0040】
紙層として、板紙を使用することができる。
【0041】
紙層の坪量(測定方法:JIS P 8124 [2011])は50g/m~550g/mであり、190g/m~450g/mが好ましく、260g/m~400g/mがより好ましく、310g/m~400g/mが更により好ましい。
【0042】
紙層の厚み(測定方法:JIS P 8118 [2014])は特に限定されるものではないが、80μm~600μmが好ましく、230μm~560μmがより好ましく、310μm~500μmが更により好ましく、380μm~500μmが更により好ましい。
【0043】
紙層は、本発明の積層体の基材であり、紙材料に由来する高い変形性を有する。したがって、紙層を備える本発明の積層体は高度な変形性を備えている。
【0044】
また、本発明における紙層は比較的大きい坪量を備えており、そのために、比較的厚いものである。そのような紙層は、指等で様々な形状に変形させた後に、当該変形を維持することができる。そのために、そのような紙層を備える本発明の積層体も様々な形状に変形させた後に、当該変形を維持することができる。
【0045】
更に、紙は金属よりも軽いので、同一厚みの紙は同一厚みの金属よりも軽い。したがって、紙層を備える本発明の積層体は「すずがみ」(登録商標)のような総金属製のシートよりも軽量であり、運搬等が容易である。
【0046】
紙層は、紙材料以外の成分を含んでもよいが、製造の容易性、並びに、本発明の積層体の軽量化の点で、金属繊維、金属網等の金属要素を含まない方が好ましい。
【0047】
本発明の積層体の紙層は段ボールのライナーではないことが好ましい。したがって、本発明の積層体は段ボールではないことが好ましい。
【0048】
紙層が本発明の積層体の全質量を基準として50質量%以上を占めることが好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上が更により好ましい。本発明の積層体の質量の過半数を紙層が占めることにより、本発明の積層体の更なる軽量化を図ることができる。また、本発明の積層体において紙層が積層体の質量の50質量%以上を占める場合は、資源の有効な利用の促進に関する法律(資源有効利用促進法)により、本発明の積層体には所謂「紙マーク」を付与することが可能であり、廃棄時には金属層を分別する必要はなく、そのまま焼却廃棄することができる。
【0049】
(熱可塑性樹脂層)
本発明の積層体は熱可塑性樹脂層を備える。熱可塑性樹脂層は紙層と後述する金属層の間に存在しており、紙層及び金属層が熱可塑性樹脂層によって接合される。すなわち、熱可塑性樹脂層は接合層として機能することができる。
【0050】
熱可塑性樹脂層の数は特には限定されるものではなく、熱可塑性樹脂層は複数存在してもよいが、熱可塑性樹脂層の数は1つ又は2つであることが好ましい。熱可塑性樹脂層の数を1つ又は2つに限定することにより、積層体の厚みを抑制することができる。
【0051】
なお、熱可塑性樹脂層が複数存在する場合は、複数の熱可塑性樹脂層は紙層の両表面上に存在することが好ましい。すなわち、紙層の両面(表面及び裏面)に熱可塑性樹脂層が存在することが好ましい。
【0052】
熱可塑性樹脂層は紙層又は金属層の全面に対応して存在する必要はなく、紙層又は金属層の少なくとも一部(例えば端部)に存在すればよいが、全面に存在することが好ましい。
【0053】
熱可塑性樹脂層の厚みは、特には限定されるものではないが、10μm以上が好ましく、15μm以上がより好ましく、20μm以上が更により好ましい。一方、熱可塑性樹脂層の厚みは60μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましく、30μm以下が更により好ましい。すなわち、熱可塑性樹脂層の厚みは10μm~60μmが好ましく、15μm~40μmがより好ましく、20μm~30μmが更により好ましい。
【0054】
本発明の積層体における熱可塑性樹脂層は少なくともポリオレフィンを含む。
【0055】
ポリオレフィンは、炭素数2~10のオレフィンの少なくとも1種からなる。2種以上のオレフィンを併用してもよい。オレフィンの具体例としては、エチレン、プロピレン、αオレフィン等が挙げられる。
【0056】
ポリオレフィンとしては、例えば、エチレンのホモポリマー又はコポリマー、プロピレンのホモポリマー又はコポリマー、ブテンのホモポリマー又はコポリマー等が挙げられる。エチレン及びプロピレンのランダム共重合体又はブロック共重合体であってもよい。
【0057】
ポリオレフィンはエチレンのホモポリマー又はコポリマーであることが好ましい。
【0058】
前記エチレンのホモポリマーとしては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンが挙げられる。低密度ポリエチレンの密度は、910kg/m~930kg/m未満であることが好ましく、中密度ポリエチレンの密度は930kg/m~942kg/m未満であることが好ましく、高密度ポリエチレンの密度は942kg/m以上であることが好ましい。
【0059】
前記エチレンのコポリマーとしてはエチレンとプロピレン及び/又はαオレフィンとのコポリマーが好ましく、エチレンとαオレフィンとのコポリマーがより好ましい。αオレフィンとしては炭素数3~20、好ましくは3~8のものが包含され、具体的には、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、ビニルシクロヘキサン等が例示されるが、1-ヘキセンが好ましい。ポリオレフィンとしてはエチレンと1-ヘキセンの共重合体又はエチレンとプロピレンと1-ヘキセンの共重合体が特に好ましい。
【0060】
ポリオレフィンとしては、柔軟性の点で、低密度ポリエチレンが好ましく、高圧重合法を用いて合成された低密度ポリエチレンがより好ましい。高圧重合法を用いて合成された低密度ポリエチレンは短分岐鎖だけでなく長分岐鎖をも有するので、柔軟性だけでなく、加工性にも優れている。高圧重合法を用いて合成された低密度ポリエチレンとしては、例えば、東ソー株式会社社製のペトロセン(登録商標)205、225、217-1、204、203、213、222、212及びDLZ19A等が挙げられる。
【0061】
ポリオレフィンはJIS K7215によるデュロメータD硬さが60未満のものが好ましく、55未満のものがより好ましい。そのようなポリオレフィンを使用することにより、熱可塑性樹脂層の柔軟性がより高まり、本発明の積層体の変形性が更に向上する。ポリオレフィンのJIS K7215によるデュロメータD硬さの下限は特には限定されないが、40以上が好ましく、45以上がより好ましく、50以上が更に好ましい。
【0062】
ポリオレフィンのJIS K6922-1によるメルトマスフローレートが5g/10min以上であることが好ましく、6g/10min以上がより好ましく、7g/10min以上が更により好ましい。ポリオレフィンのJIS K6922-1によるメルトマスフローレートの上限は特には限定されないが、20g/10min以下が好ましく、15g/10min以下がより好ましく、10g/min以下が更に好ましい。
【0063】
ポリオレフィンのJIS K6922-2による溶融温度(DSC)が120℃以下であることが好ましく、115℃以下がより好ましく、110℃以下が更により好ましい。ポリオレフィンのJIS K6922-2による溶融温度(DSC)の下限は特には限定されないが、90℃以上が好ましく、95℃以上がより好ましく、100℃以上が更に好ましい。
【0064】
ポリオレフィンのJIS K7206によるビカット軟化温度が115℃以下であることが好ましく、110℃以下がより好ましく、95℃以下が更により好ましい。ポリオレフィンのJIS K7206によるビカット軟化温度の下限は特には限定されないが、75℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましく、85℃以上が更に好ましい。
【0065】
熱可塑性樹脂層はポリオレフィン以外の他の熱可塑性樹脂を含んでもよい。単一種類の他の熱可塑性樹脂を使用してもよく、複数種類の他の熱可塑性樹脂を併用してもよい。
【0066】
他の熱可塑性樹脂の種類は特には限定されるものではなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン等のポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ(メタ)アクリレート等を使用することができる。
【0067】
但し、熱可塑性樹脂層に含まれる熱可塑性樹脂はポリオレフィンのみが好ましく、低密度ポリオレフィンのみがより好ましく、高圧重合法を用いて合成された低密度ポリエチレンのみであることが更により好ましい。なお、直鎖状低密度ポリエチレンを含まない方が好ましい場合がある。
【0068】
熱可塑性樹脂層は、任意の添加剤を含むことができる。添加剤としては、例えば、各種の有機フィラー又は無機フィラー、粘着付与剤、酸化防止剤、各種の有機顔料又は無機顔料、難燃剤等を挙げることができる。
【0069】
本発明で使用される熱可塑性樹脂は、ポリオレフィンを含むので、押出成形による均一な厚みの層形成が容易であり、また、紙層及び金属層との接合性にも優れている。
【0070】
よって、熱可塑性樹脂層は押出機によって形成される押出層であることが好ましい。すなわち、熱可塑性樹脂層は押出ラミネート層であることが好ましい。
【0071】
熱可塑性樹脂層が押出層である場合は、熱可塑性樹脂を揮発性有機溶媒又は水に溶解乃至分散させた組成物を紙層に塗布・乾燥して熱可塑性樹脂層を形成する必要がなく、熱可塑性樹脂層の形成に揮発性有機溶媒又は水を使用しないので、本発明の積層体の製造において、揮発性有機溶媒又は水の乾燥工程が不要であり、また、揮発性有機溶媒が揮発して周囲を汚染することがない。
【0072】
(金属層)
本発明の積層体は外部から視認可能な金属層を備える。すなわち、本発明の積層体における金属層は目視でその存在を確認可能である。したがって、本発明の積層体は金属の外観を有することができる。金属層は熱可塑性樹脂層によって紙層と接合される。
【0073】
金属層の数は特には限定されるものではなく、金属層は複数存在してもよいが、金属層の数は1つ又は2つであることが好ましい。金属層の数を1つ又は2つに限定することにより、積層体の厚みを抑制することができる。
【0074】
なお、金属層が複数存在する場合は、熱可塑性樹脂層も複数存在し、複数の金属層は複数の熱可塑性樹脂層のそれぞれの表面上に存在することが好ましい。すなわち、紙層の両面に熱可塑性樹脂層及び金属層が存在することが好ましい。
【0075】
金属層は本発明の積層体の最外層であることが好ましい。すなわち、本発明の積層体の表面に金属層が存在していることが好ましい。この場合、本発明の積層体は金属の外観を良好に発揮することができ、「すずがみ」(登録商標)の代替品として好適に使用することができる。
【0076】
金属層に含まれる金属の種類は特には限定されず、様々な種類のものを使用することができる。金属としては、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル、スズ、亜鉛、鉛、鉄、銀、金等が挙げられる。加工性等の点でアルミニウム、スズが好ましい。すなわち、金属層はスズ又はアルミニウムを含むことが好ましい。金属層がスズ又はアルミニウムを含む場合は、金属層を比較的柔軟とすることができ、本発明の積層体の変形性が向上する。
【0077】
金属層の厚みは50μm以下であり、30μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましい。
【0078】
本発明の積層体において、紙層の少なくとも一方の表面上に金属層が存在する場合は、金属層の厚みは7.5μm以上であり、8.0μm以上が好ましく、8.5μm以上がより好ましい。すなわち、この場合、金属層の厚みは7.5μm~50μmであり、8.0μm~30μmが好ましく、8.5μm~20μmがより好ましい。なお、本発明の積層体の変形後の形状維持の点では、金属層の厚みはより厚い方が好ましく、具体的には、10.0μm以上が好ましく、11.0μm以上がより好ましく、12.0μm以上が更により好ましい。したがって、例えば、金属層の厚みは、10.0μm~50μmが好ましく、11.0μm~30μmがより好ましく、12.0μm~20μmが更により好ましい。
【0079】
本発明の積層体において、紙層の両方の表面上に金属層がそれぞれ存在する場合は、各金属層の厚みは5.5μm以上であり、6.0μm以上が好ましく、6.5μm以上がより好ましい。すなわち、この場合、各金属層の厚みは5.5μm~50μmであり、6.0μm~30μmが好ましく、6.5μm~20μmがより好ましい。なお、本発明の積層体の変形後の形状維持の点では、各金属層の厚みはより厚い方が好ましく、具体的には、8.0μm以上が好ましく、9.0μm以上がより好ましく、10.0μm以上が更により好ましい。したがって、例えば、各金属層の厚みは、8.0μm~50μmが好ましく、9.0μm~30μmがより好ましく、10.0μm~20μmが更により好ましい。
【0080】
(追加層)
本発明の積層体の表面には追加層が存在してもよい。好適には、追加層は金属層の表面上に存在することができる。追加層により、金属層を保護したり、本発明の積層体の外観を調整したりすることができる。
【0081】
追加層の数は特には限定されるものではなく、追加層は複数存在してもよいが、追加層の数は1つ又は2つであることが好ましい。追加層の数を1つ又は2つに限定することにより、積層体の厚みを抑制することができる。
【0082】
なお、追加層が複数存在する場合は、金属層も複数存在し、複数の追加層は複数の金属層のそれぞれの表面上に存在することが好ましい。すなわち、紙層の両面に熱可塑性樹脂層、金属層及び追加層がこの順で存在することが好ましい。
【0083】
一方、熱可塑性樹脂層及び金属層が1つずつしか存在しない場合は、追加層は、紙層及び金属層のいずれか1つ又は両方の表面上に存在することができる。
【0084】
また、熱可塑性樹脂層が複数存在するが、金属層が1つしか存在しない場合は、追加層は、熱可塑性樹脂層及び金属層のいずれか1つ又は両方の表面上に存在することができる。
【0085】
追加層は積層体の全表面に存在する必要はなく、積層体の表面の少なくとも一部に存在すればよい。積層体の表面の一部に存在する場合は金属層を外部から視認することができる。追加層が積層体の全表面に存在する場合は、金属層を視認可能とするために、追加層は光透過性であり、透明であることが好ましい。なお、追加層が積層体の表面の一部に存在する場合は、金属層が視認可能である限り、追加層は光透過性である必要はないが、光透過性であることが好ましく、透明であることがより好ましい。
【0086】
追加層としては、例えば、塗膜が挙げられる。また、塗膜としては、例えば、ワニス硬化層が挙げられる。ワニスの種類は特には限定されるものではなく、単一種類のワニスを使用してもよく、複数種類のワニスを併用してもよい。ワニスとしては、例えば、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂の有機溶剤溶液を使用することができる。金属層等の外表面にワニスを部分的に塗布して乾燥硬化させることにより、ワニス硬化層を形成することができる。
【0087】
追加層は紙でないことが好ましく、板紙でないことがより好ましい。
【0088】
追加層の厚みは、特には限定されるものではないが、1μm以上が好ましく、2μm以上がより好ましく、3μm以上が更により好ましい。一方、追加層の厚みは7μm以下が好ましく、6μm以下がより好ましく、5μm以下が更により好ましい。すなわち、追加層の厚みは1μm~7μmが好ましく、2μm~6μmがより好ましく、3μm~5μmが更により好ましい。
【0089】
(表面形状)
本発明の積層体の表面の形状は特には限定されない。本発明の積層体の表面は平滑でもよく、平滑でなくともよい。したがって、金属層が本発明の積層体の表面を構成する場合は、金属層の表面が平滑でもよく、平滑でなくともよい。
【0090】
本発明の積層体の表面には凹凸が形成されてもよい。例えば、金属層及び/又は追加層の表面に凹凸を形成することができる。凹凸は連続していてもよく、不連続でもよい。
【0091】
凹凸はエンボス加工により付与されることが好ましい。凹凸の高さ(凹部の最底面から凸部の頂点のレベルまでの垂直高さ)は特には限定されるものではないが、例えば、0.1mm~5mmでもよく、0.5mm~1mmでもよい。
【0092】
表面に凹凸を形成することにより、本発明の積層体の外観を調整したり、滑り止めの効果を発揮させたりすることができる。
【0093】
(層構造例)
以下、本発明の積層体の例を、図面を参照しつつ説明する。
【0094】
図1は本発明の積層体の一実施態様の概略断面図である。図1に示す例では、紙層1、単一の熱可塑性樹脂層2、及び、単一の金属層3により3層構造の積層体が構成されている。
【0095】
図1に示す態様では、紙層1及び金属層3の間に熱可塑性樹脂層2が存在しており、紙層1及び金属層3が熱可塑性樹脂層2によって接合されている。
【0096】
図1に示す態様の積層体は、紙層1による紙としての外観と、金属層3による金属としての外観の両方を備えている。したがって、例えば、図1に示す態様の積層体を包装材として使用する際には、紙層1又は金属層3のいずれかを外表面として適宜選択して使用することができ、それにより、包装体の外観を適宜選定することができる。
【0097】
図2図1に示す本発明の積層体の金属層3の表面に更に追加層4を形成した態様の概略断面図である。図2に示す例では、紙層1、単一の熱可塑性樹脂層2、単一の金属層3及び単一の追加層4により4層構造の積層体が構成されている。
【0098】
図2に示す態様では、金属層3の表面上に追加層4が直接接触して存在しており、追加層4は接着層を使用することなく、金属層3の表面上に接合されている。なお、追加層4の種類によっては、接着層を介して、金属層3の表面に追加層4が形成されてもよい。
【0099】
図2に示す態様では、紙層1の開放表面(熱可塑性樹脂層2が存在しない方の表面)には追加層が形成されていないが、必要に応じて、紙層1の開放表面上に追加層が形成されてもよい。なお、追加層4の種類によっては、接着層を介して、紙層1の表面上に追加層が形成されてもよい。
【0100】
図3は本発明の積層体の一実施態様の概略断面図である。図3に示す例では、紙層1、2つの熱可塑性樹脂層2a、2b、及び、2つの金属層3a、3bにより5層構造の積層体が構成されている。
【0101】
図3に示す態様では、紙層1及び金属層3aの間に熱可塑性樹脂層2aが存在しており、紙層1及び金属層3aが熱可塑性樹脂層2aによって接合されている。また、紙層1及び金属層3bの間に熱可塑性樹脂層2bが存在しており、紙層1及び金属層3bが熱可塑性樹脂層2bによって接合されている。すなわち、紙層1の両表面に熱可塑性樹脂層2a及び金属層3a並びに熱可塑性樹脂層2b及び金属層3bが存在する。
【0102】
図3に示す態様の積層体は、金属層3a、3bによる金属としての外観を両面に備えている。したがって、「すずがみ」(登録商標)の代替品として好適に使用することができる。
【0103】
図4図3に示す本発明の積層体の金属層3a、3bの表面に、それぞれ、更に、追加層4a、4bを形成した態様の概略断面図である。図4に示す例では、紙層1、2つの熱可塑性樹脂層2a、2b、2つの金属層3a、3b、及び、2つの追加層4a、4bにより7層構造の積層体が構成されている。
【0104】
図4に示す態様では、金属層3a、3bの表面上にそれぞれ追加層4a、4bが直接接触して存在しており、追加層4a、4bは接着層を使用することなく、金属層3a、3bの表面上に接合されている。なお、追加層4a、4bの種類によっては、接着層を介して、金属層3a、3bの表面に追加層4a、4bが形成されてもよい。
【0105】
[積層体の製造方法]
本発明の積層体の製造方法は特には限定されるものではなく、例えば、下記の工程を備える方法により製造することができる。
【0106】
(紙層/熱可塑性樹脂層/金属層の層構造を有する積層体の場合)
(1)押出機から熱可塑性樹脂を押し出して押出層とし、当該押出層(熱可塑性樹脂層)を紙層の一方の表面にラミネートして、熱可塑性樹脂層と紙層とを一体化する。
(2)次に、熱可塑性樹脂層に金属層を貼り合わせて、熱可塑性樹脂層と金属層とを一体化する。
【0107】
上記(1)及び(2)の工程により、例えば、図1に示す層構造を備える積層体を製造することができる。
【0108】
更に、必要に応じて金属層の表面上に追加層を形成してもよい。追加層の形成方法は特には限定されるものではなく、例えば、追加層を構成する成分を含む流動性組成物の金属層表面への塗布・乾燥により形成することができる。これにより、例えば、図2に示す層構造を備える積層体を製造することができる。
【0109】
なお、紙層の開放表面(熱可塑性樹脂層が存在しない方の表面)に追加層を形成してもよい。
【0110】
(金属層/熱可塑性樹脂層/紙層/熱可塑性樹脂層/金属層の層構造を有する積層体の場合)
(1)第1の押出機から熱可塑性樹脂を押し出して第1の押出層とし、当該第1の押出層(第1の熱可塑性樹脂層)を紙層の一方の表面にラミネートして、第1の熱可塑性樹脂層と紙層とを一体化する。
(2)次に、第1の熱可塑性樹脂層に第1の金属層を貼り合わせて、第1の熱可塑性樹脂層と第1の金属層とを一体化して、紙層/第1の熱可塑性樹脂層/第1の金属層の層構造を有する積層体とする。
(3)次に、第2の押出機から熱可塑性樹脂を押し出して第2の押出層とし、当該第2の押出層(第2の熱可塑性樹脂層)を紙層の他方の表面にラミネートして、第2の熱可塑性樹脂層と紙層とを一体化する。
(4)次に、第2の熱可塑性樹脂層に第2の金属層を貼り合わせて、第2の熱可塑性樹脂層と第2の金属層とを一体化して、第2の金属層/第2の熱可塑性樹脂層/紙層/第1の熱可塑性樹脂層/第1の金属層の層構造を有する積層体とする。
【0111】
上記(1)~(4)の工程により、例えば、図3に示す層構造を備える積層体を製造することができる。
【0112】
更に、必要に応じて第1の金属層及び第2の金属層の表面上に追加層を形成してもよい。追加層の形成方法は特には限定されるものではなく、例えば、追加層を構成する成分を含む流動性組成物の第1の金属層及び第2の金属層表面への塗布・乾燥により形成することができる。これにより、例えば、図4に示す層構造を備える積層体を製造することができる。
【0113】
なお、第1の金属層及び第2の金属層の一方の表面のみに追加層を形成してもよい。
【0114】
本発明の積層体の製造方法では、例えば、紙層と熱可塑性樹脂層とをと一体化する前に、紙層にアンカーコート剤を予め塗布してもよい。アンカーコート剤としては、イソシアネート化合物、ポリエチレンイミン、変性ポリブタジエン、有機チタネート系化合物等が挙げられる。これらの物質はメタノール、酢酸エチル等の有機溶剤で希釈されて使用される。しかし、有機溶剤の使用により、火災、中毒等のリスクがあり、周囲環境の汚染の可能性があり、また、有機溶剤の乾燥工程が必要になる等の不都合があるので、アンカーコート剤は使用しない方が好ましい。
【0115】
本発明の積層体の製造方法では、予め準備・製造された独立した金属層が熱可塑性樹脂層を介して紙層と一体化されることが好ましい。一方、製造工程が複雑化するので、紙層と一体化された熱可塑性樹脂層の表面に、蒸着、メッキ、印刷等により金属層を形成することは好ましくない。
【0116】
なお、本発明の積層体は、金属層の表面に予め熱可塑性樹脂層を形成しておき、熱可塑性樹脂層を紙層に向けた状態で、金属層を紙層に熱プレスする方法でも一応製造可能であるが、比較的薄い金属層の表面にポリオレフィンを含む熱可塑性樹脂層を形成することは困難であるので、当該方法は好ましくない。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明の積層体は、人手で容易に変形可能であり、大量生産が可能で、且つ、軽量である。
【0118】
本発明の積層体は、例えば、「すずがみ」(登録商標)の代替品として使用することができる。
【0119】
本発明の積層体は、様々な用途に使用することができ、例えば、容器用材料又は包装用材料として好適に使用することができる。
【0120】
すなわち、本発明の積層体は、容器の形成、又は、包装材として包装体の形成に好適に使用することができる。容器としては、例えば、皿、トレイ等が挙げられる。包装体としては、例えば、箱、袋等が挙げられる。したがって、本発明は上記積層体からなる容器又は包装体にも関する。
【0121】
本発明の積層体からなる容器は人手で容易に変形可能であり、特殊な道具乃至機械を使用することなく、使用者の所望の形状とすることができる。
【0122】
本発明の積層体は変形性が高いので、様々な物品の形状に合わせて包装することが可能である。また、本発明の積層体からなる包装体は、比較的厚い紙層を含むので、外力に対する抵抗性に優れており、衝撃等の外力から被包装物を良好に保護することができる。
【0123】
本発明の積層体からなる容器に収容される物品、並びに、本発明の積層体からなる包装材によって包装される物品には特に限定はなく、例えば、食品、医薬品等の各種物品とすることができる。前記物品としては室温(25℃)で固体の固形物(非液体)が好ましい。
【0124】
更に、本発明の積層体は、各種の金属製品の代替として使用することができる。例えば、本発明の積層体は、自動車、船舶、鉄道車両、航空機等の各種輸送機関の内装品又は外装品、エレベータ等の各種輸送機器の内装品又は外装品、住宅の外装品又は内装品、建材、楽器、電化製品、照明機器、携帯電話等の通信機器、服飾品、時計、筆記具、事務用品、スポーツ用品、医療器具、工具、農具、食器、園芸具、雑貨、小物等に使用することができる。
【0125】
また、本発明の積層体は、金属層の金属外観を外部から視認可能であるために、各種の装飾品にも使用することができる。
【符号の説明】
【0126】
1 紙層
2 熱可塑性樹脂層
3 金属層
4 追加層
図1
図2
図3
図4