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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049501
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】燃料タンク
(51)【国際特許分類】
   B62J 35/00 20060101AFI20240403BHJP
【FI】
B62J35/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155754
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】倉田 幸
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 崇
(57)【要約】      (修正有)
【課題】燃料の液面の揺動を抑える燃料タンクを提供する。
【解決手段】燃料タンク40は、回転成形によって成形されたボディ64と、ボディ64の内面に固定された板状部66とを備える。板状部66は、後方に延びている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鞍乗型車両(10)に設置された燃料タンク(40)であって、
回転成形によって成形されたボディ(64)と、
前記ボディ(64)の内面に固定された板状部(66)と、
を備え、
前記板状部(66)は、後方に延びている、燃料タンク(40)。
【請求項2】
請求項1記載の燃料タンク(40)において、
前記板状部(66)は、前記ボディ(64)の底部から上方に延び、さらに、前記後方に延びている、燃料タンク(40)。
【請求項3】
請求項1又は2記載の燃料タンク(40)において、
前記板状部(66)には、切欠(114)又は開口(130)が形成されている、燃料タンク(40)。
【請求項4】
請求項1又は2記載の燃料タンク(40)において、
前記板状部(66)は、前後方向に交差する方向に突出する突出部(120)を有する、燃料タンク(40)。
【請求項5】
請求項1又は2記載の燃料タンク(40)において、
前記板状部(66)は、板状の芯材(90)と、前記芯材(90)を覆う被覆部(92)とを有し、
前記被覆部(92)は、前記ボディ(64)と一体に成形されている、燃料タンク(40)。
【請求項6】
請求項5記載の燃料タンク(40)において、
前記芯材(90)の材料は、金属である、燃料タンク(40)。
【請求項7】
請求項1又は2記載の燃料タンク(40)において、
前記ボディ(64)は、前記鞍乗型車両(10)の車幅方向に延びる基部(70)と、前記基部(70)の両端から前記後方にそれぞれ延びる2つの延在部(72)とを含むU字状に形成されており、
2つの前記延在部(72)の各々には、前記板状部(66)が少なくとも1つずつ設けられている、燃料タンク(40)。
【請求項8】
請求項7記載の燃料タンク(40)において、
2つの前記延在部(72)のうちの第1延在部(74)に設けられた前記板状部(66)である第1板状部(94)と、2つの前記延在部(72)のうちの第2延在部(82)に設けられた前記板状部(66)である第2板状部(96)とは、側面視において、少なくとも一部が互いに重なり合っている、燃料タンク(40)。
【請求項9】
請求項7記載の燃料タンク(40)において、
前記板状部(66)の一部は、前記基部(70)内に位置している、燃料タンク(40)。
【請求項10】
請求項7記載の燃料タンク(40)において、
2つの前記延在部(72)は、平面視において、前記鞍乗型車両(10)の車輪(28)又はメインフレーム(16)を挟むように配されている、燃料タンク(40)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料タンクに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自動二輪車用の燃料タンクが開示されている。燃料タンクは、樹脂製の燃料タンクである。燃料タンクは、射出成形(インジェクション成形)又はブロー成形によって成形される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-68832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
燃料タンクには、燃料ポンプが取り付けられている。燃料タンクの内部には、燃料が充填されている。燃料ポンプは、燃料タンクから燃料を汲み出し、汲み出した燃料を内燃機関に供給する。鞍乗型車両の走行に伴い、燃料タンク内の燃料が前後に移動することで、燃料の液面が揺動する可能性があるため、より揺動を抑えることが求められている。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様は、鞍乗型車両に設置された燃料タンクであって、前記燃料タンクは、回転成形によって成形されたボディと、前記ボディの内面に固定された板状部と、を備え、前記板状部は、後方に延びている。
【発明の効果】
【0007】
本発明では、板状部によって、燃料の液面の揺動を低減することができる。これにより、鞍乗型車両の走行状態、又は、燃料タンク内の燃料の残容量に依らず、内燃機関に燃料を安定に供給することが可能となる。また、回転成形によってボディが成形されるので、ブロー成形と比較して、ボディの内部に、複雑な形状の板状部を設けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、自動二輪車の左側面図である。
図2図2は、燃料タンクの斜視図である。
図3図3は、燃料タンクの平面図である。
図4図4は、図5のIV-IV線に沿った断面図である。
図5図5は、図3のV-V線に沿った断面図である。
図6図6は、図3のVI-VI線に沿った断面図である。
図7図7は、図3のVII-VII線に沿った断面図である。
図8図8は、図3のVIII-VIII線に沿った断面図である。
図9図9は、図3のIX-IX線に沿った断面図である。
図10図10は、図3のX-X線に沿った燃料タンクの変形例を示す断面図である。
図11図11は、図3のXI-XI線に沿った燃料タンクの変形例を示す断面図である。
図12図12は、図3のXII-XII線に沿った燃料タンクの変形例を示す断面図である。
図13図13は、図3のXIII-XIII線に沿った燃料タンクの変形例を示す断面図である。
図14図14は、燃料タンクの他の変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、自動二輪車10の左側面図である。自動二輪車10は、ラリー用の鞍乗型車両である。以下の説明では、自動二輪車10が前進する方向を前方として、前後、左右及び上下の方向を説明する。
【0010】
自動二輪車10は、車体フレーム12を備える。車体フレーム12は、ヘッドパイプ14と、左右一対のメインフレーム16と、左右一対のセンターフレーム18と、ダウンフレーム20と、リアフレーム22とを備える。
【0011】
ヘッドパイプ14は、車体フレーム12の前端部の一部である。左右のメインフレーム16の各々は、ヘッドパイプ14から後方且つ斜め下方に延びている。左右のセンターフレーム18の各々は、メインフレーム16の後端部から下方に延びている。左右のセンターフレーム18の下部には、ピボット軸部24が支持されている。ダウンフレーム20は、左右のメインフレーム16の下方において、ヘッドパイプ14から後方且つ斜め下方に延びている。リアフレーム22は、左右のメインフレーム16の後部、及び、左右のセンターフレーム18から後方に延びている。
【0012】
自動二輪車10は、前輪26と、後輪28と、フロントフェンダ30と、リアフェンダ32と、内燃機関であるエンジン34と、シート36と、左右一対の燃料タンク38と、燃料タンク40とをさらに備える。
【0013】
ヘッドパイプ14には、フロントフォーク42が揺動可能に支持されている。フロントフォーク42の上端部には、バーハンドル44が支持されている。フロントフォーク42の下端部には、前輪26が回転可能に支持されている。フロントフェンダ30は、フロントフォーク42に取り付けられている。フロントフェンダ30は、前輪26を上方から覆う。
【0014】
ピボット軸部24には、スイングアーム46の前端部が支持されている。スイングアーム46の前端部は、ピボット軸部24に揺動可能に支持されている。スイングアーム46は、ピボット軸部24から後方に延びている。スイングアーム46は、後輪28と隣接するように延びている。スイングアーム46の後端部は、後輪28を回転可能に支持する。リアフェンダ32は、後輪28を上方から覆う。
【0015】
エンジン34は、左右のメインフレーム16の下方において、左右のセンターフレーム18とダウンフレーム20との間に配置されている。エンジン34は、左右のメインフレーム16と、左右のセンターフレーム18と、ダウンフレーム20とに支持されている。エンジン34は、クランクケース48と、シリンダ部50とを有する。クランクケース48は、左右方向(車幅方向)に延びるクランク軸(不図示)を支持する。クランクケース48の後部には、変速機52が付設されている。
【0016】
シリンダ部50は、クランクケース48の前部から、前方且つ斜め上方に延びている。シリンダ部50には、吸気装置(不図示)と、排気装置54とが接続されている。吸気装置は、シリンダ部50の後部に接続されている。排気装置54は、シリンダ部50の前部に接続されている。排気装置54は、排気管56と、マフラー58とを有する。排気管56は、シリンダ部50の前面から下方に延び、クランクケース48の下方で屈曲して後方に延びている。マフラー58は、排気管56の後端に接続され、後方に延びている。マフラー58は、後輪28と隣接するように延びている。
【0017】
シート36は、リアフレーム22に支持されている。シート36には、運転者が着座する。センターフレーム18の下部には、左右一対のステップ60と、サイドスタンド62とが支持されている。シート36に着座した運転者は、左右の足を各ステップ60に掛ける。
【0018】
左右の燃料タンク38は、シート36の前方で、左右のメインフレーム16に支持されている。左右の燃料タンク38は、メインフレーム16、ダウンフレーム20、エンジン34の側部を覆うように、メインフレーム16に支持されている。燃料タンク40は、シート36の下方、且つ、スイングアーム46の上方において、リアフレーム22に支持されている。リアフレーム22は、燃料タンク40を覆うように、燃料タンク40を支持する。燃料タンク40の詳細な構成は、後述する。
【0019】
なお、ラリー競技において、自動二輪車10は、長距離を走行する。そのため、自動二輪車10は、大量の燃料を必要とする。従って、自動二輪車10は、2つの燃料タンク38と、燃料タンク40とによって大容量のタンク容量を確保している。左右の燃料タンク38は、大容量の燃料タンクである。
【0020】
次に、燃料タンク40について、図2図9を参照しながら説明する。
【0021】
図2に示すように、燃料タンク40は、ボディ64と、ボディ64の内面に固定された板状部66(図4参照)とを備える。
【0022】
図4に示すように、ボディ64は、樹脂製の部材である。具体的には、ボディ64の材料は、ポリアミド、又は、ポリエチレンである。ボディ64は、回転成形によって成形される。ボディ64には、割り面が形成されていない。ボディ64は、中空の部材である。ボディ64の内部には、燃料を収納するための内部空間68が形成されている。
【0023】
図3に示すように、ボディ64は、U字状に形成されている。具体的には、ボディ64は、基部70と2つの延在部72とを含む。基部70は、左右方向に延びている。2つの延在部72は、基部70の両端から後方にそれぞれ延びている。
【0024】
2つの延在部72のうちの第1延在部74は、基部70の左端から後方に延びている。第1延在部74は、基部70の左端から左後方に湾曲しつつ、後方に延びている。図4に示すように、第1延在部74の側壁部76には、複数の雌ネジ部78が埋め込まれている。複数の雌ネジ部78は、側壁部76において、一定の間隔を隔てて配されている。雌ネジ部78の被挿入端は、外部に露出している(図2参照)。雌ネジ部78の被挿入端には、外部に連通するネジ穴80が形成されている。
【0025】
図3に示すように、2つの延在部72のうちの第2延在部82は、基部70の右端から後方に延びている。第2延在部82は、基部70の右端から右後方に湾曲しつつ、後方に延びている。図4に示すように、第2延在部82の側壁部84には、複数の雌ネジ部86が埋め込まれている。複数の雌ネジ部86は、側壁部84において、一定の間隔を隔てて配されている。雌ネジ部86の被挿入端は、外部に露出している(図5参照)。雌ネジ部86の被挿入端には、外部に連通するネジ穴88が形成されている。
【0026】
図4に示すように、ボディ64の底部には、3つの雌ネジ部87が埋め込まれている。雌ネジ部87の被挿入端は、外部に露出している(図8参照)。雌ネジ部87の被挿入端には、外部に連通するネジ穴89が形成されている。
【0027】
図3に示すように、第1延在部74と第2延在部82とは、平面視において、後輪28を挟むように配されている。
【0028】
図5図6及び図8に示すように、板状部66は、板状の芯材90と、芯材90を覆う被覆部92とを有する。
【0029】
芯材90の材料は、金属である。芯材90の材料は、熱伝導性及び加工性の観点から、アルミニウムであることが望ましい。但し、芯材90の材料は、金属であればよいので、例えば、芯材90の材料が真鍮又は鉄等である場合でも、形状の変更等を行うことは可能である。
【0030】
図6及び図8に示すように、被覆部92は、ボディ64と一体に成形されている。これにより、ボディ64及び被覆部92が成形しやすくなり、燃料タンク40の生産性を向上させることができる。なお、被覆部92の材料は、樹脂である。被覆部92の材料とボディ64の材料とは、同じ樹脂である。
【0031】
図4に示すように、2つの延在部72の各々には、板状部66が少なくとも1つずつ設けられている。板状部66の一部は、基部70内に位置している。図6及び図8に示すように、板状部66は、ボディ64の内部において、ボディ64の底部から上方に延び、さらに、後方に延びている。板状部66は、芯材90がボディ64の内面に接触しないように、ボディ64の内部空間68に延びている。
【0032】
具体的には、図4に示すように、第1延在部74には、板状部66である第1板状部94が設けられている。第2延在部82には、板状部66である第2板状部96が設けられている。図7及び図9に示すように、第1板状部94と第2板状部96とは、側面視において、少なくとも一部が互いに重なり合っている。また、第1板状部94と第2板状部96とは、互いに異なる形状である。なお、第1板状部94と第2板状部96とは、互いに同じ形状でもよい。
【0033】
図5及び図6に示すように、第1板状部94は、板状の芯材90である第1芯材98と、被覆部92である第1被覆部100と、2つの第1固定部102とを有する。
【0034】
図2に示すように、2つの第1固定部102は、円柱状の部材である。第1固定部102の材料は、金属である。図6に示すように、第1固定部102は、ボディ64の前端に埋め込まれている。2つの第1固定部102は、上下方向に間隔を隔てて、基部70の前部に固定されている。
【0035】
図2に示すように、第1固定部102の被挿入端は、外部に露出している。第1固定部102には、ネジ穴104が形成されている。ネジ穴104は、外部に連通している。第1固定部102は、雌ネジである。
【0036】
図6に示すように、2つの第1固定部102は、第1芯材98に連結されている。第1芯材98は、2つの第1固定部102に連結された基部を有する。第1芯材98の基部は、上下方向に延びている。第1芯材98の基部には、複数の延伸部が連結されている。複数の延伸部は、上下方向に間隔を隔てて、第1芯材98の基部に連結されている。複数の延伸部は、後方に延びている。すなわち、第1芯材98の形状は、櫛歯状である。複数の延伸部は、上方に行くほど、後方に延びている。
【0037】
図5及び図6に示すように、第1被覆部100は、第1芯材98と2つの第1固定部102とを被覆している。従って、第1板状部94は、櫛歯状に形成されている。
【0038】
図5及び図8に示すように、第2板状部96は、板状の芯材90である第2芯材106と、被覆部92である第2被覆部108と、2つの第2固定部110とを有する。
【0039】
図2に示すように、2つの第2固定部110は、円柱状の部材である。第2固定部110の材料は、金属である。図8に示すように、第2固定部110は、ボディ64の底部に埋め込まれている。2つの第2固定部110は、前後方向に間隔を隔てて、第2延在部82の底部に固定されている。
【0040】
第2固定部110の被挿入端は、外部に露出している。第2固定部110には、ネジ穴112が形成されている。ネジ穴112は、外部に連通している。第2固定部110は、雌ネジである。
【0041】
図8に示すように、2つの第2固定部110は、第2芯材106に連結されている。第2芯材106は、上下方向に延びている。第2芯材106の前部は、前方に延びている。第2芯材106の前部は、前方に行くにつれて、左方に湾曲している(図4及び図5参照)。また、第2芯材106には、後方に延びる複数の延伸部が設けられている。後方に延びる複数の延伸部は、上下方向に間隔を隔てて、第2芯材106に設けられている。すなわち、第2芯材106の形状は、櫛歯状である。
【0042】
図5及び図8に示すように、第2被覆部108は、第2芯材106と2つの第2固定部110とを被覆している。従って、第2板状部96は、櫛歯状に形成されている。
【0043】
図6及び図8に示すように、板状部66には、切欠114が形成されている。
【0044】
具体的には、図6に示すように、第1板状部94は、複数の延伸部によって、櫛歯状に形成されている。そのため、第1板状部94には、切欠114である複数の第1切欠116が形成されている。第1板状部94には、3つの第1切欠116が形成されている。
【0045】
図8に示すように、第2板状部96は、複数の延伸部によって、櫛歯状に形成されている。そのため、第2板状部96には、切欠114である複数の第2切欠118が形成されている。第2板状部96には、3つの第2切欠118が形成されている。
【0046】
図4に示すように、板状部66は、前後方向に交差する方向に突出する突出部120を有する。
【0047】
具体的には、図2及び図5に示すように、第2板状部96には、左方向に突出する複数の突出部120が設けられている。第2板状部96には、板状の3つの突出部120が左方向に延びている。3つの突出部120は、複数の延伸部の間で、第2板状部96の一部を左方向に折り曲げることで形成される(図4及び図8参照)。すなわち、複数の突出部120は、前後方向に交差する方向に折り曲げられた折曲部である。
【0048】
なお、第2板状部96は、複数の突出部120を右方向に突出させてもよい。また、第1板状部94には、右方向又は左方向に突出する突出部が設けられてもよい。
【0049】
図2に示すように、燃料タンク40において、基部70の上面は、燃料ポンプ(不図示)を取り付けるためのポンプ取付面である。ポンプ取付面には、開口122が形成されている。燃料ポンプの先端部は、開口122を介して、内部空間68(図5参照)に挿入される。燃料ポンプは、ボルト等の取付部材(不図示)によって、ポンプ取付面に取り付けられる。
【0050】
図2に示すように、第2延在部82の後部の上面には、給油口124が形成されている。給油口124は、燃料キャップ126で塞がれている(図1参照)。
【0051】
燃料タンク40は、下記のようにして製造される。ここでは、一例として、樹脂材料の溶融による溶融法を用いた回転成形によって燃料タンク40を製造する場合について説明する。
【0052】
先ず、燃料タンク40を成形するための金型(不図示)を用意する。
【0053】
次に、第1芯材98(図5及び図6参照)、複数の第1固定部102、第2芯材106(図5及び図8参照)、複数の第2固定部110、及び、複数の雌ネジ部78、86、87(図4及び図5参照)を金型の内部に複数個設置する。この場合、複数の第1固定部102のネジ穴104の各々にボルト(不図示)を螺合させることにより、第1芯材98及び複数の第1固定部102を金型の内部に固定する。また、複数の第2固定部110のネジ穴112の各々にボルト(不図示)を螺合させることにより、第2芯材106及び複数の第2固定部110を金型の内部に固定する。さらに、複数の雌ネジ部78、86、87の各々にボルト(不図示)を螺合させることにより、複数の雌ネジ部78、86、87を金型の内部に固定する。
【0054】
次に、ボルト、クランプ等の固定部(不図示)によって、金型を型締めする。金型を型締めした後、金型の内部に粉末の樹脂材料を投入する。投入される樹脂材料は、熱可塑性の樹脂材料である。
【0055】
次に、金型を加熱しながら金型を回転させる。これにより、樹脂材料が溶融し、溶融した樹脂材料は、金型の内壁に付着する。
【0056】
樹脂材料が金型の内壁に付着した後、金型の回転を継続しつつ、金型の加熱を停止する。これにより、樹脂材料が冷却して固化する。樹脂材料が固化することで、複数の第1固定部102、複数の第2固定部110、及び、複数の雌ネジ部78、86、87がボディ64に固定される。また、第1芯材98が第1被覆部100に覆われ、且つ、複数の第1固定部102がボディ64及び第1被覆部100に覆われる。これにより、ボディ64の内部空間68に第1板状部94が設置される。さらに、第2芯材106が第2被覆部108に覆われ、且つ、複数の第2固定部110がボディ64及び第2被覆部108に覆われる。これにより、ボディ64の内部空間68に第2板状部96が設置される。樹脂材料が固化した後に、金型の回転を停止する。
【0057】
次に、金型を型開きし、成形品を金型から取り出す。このとき、複数の第1固定部102の各々のネジ穴104からボルトを取り外す。また、複数の第2固定部110の各々のネジ穴112からボルトを取り外す。さらに、複数の雌ネジ部78、86、87の各々からボルトを取り外す。これにより、成形品である燃料タンク40(図2参照)が完成する。
【0058】
なお、本実施形態では、溶融法以外の方法を用いた回転成形によって燃料タンク40を製造することも可能である。具体的には、金型の内部で、液体の樹脂材料の混合(二液混合)による重合反応法を用いて、回転成形により、燃料タンク40を製造することも可能である。従って、燃料タンク40は、種々の製造法を用いて、回転成形により製造することが可能である。
【0059】
このように製造された燃料タンク40は、リアフレーム22(図1参照)によって覆われた状態で、自動二輪車10に設置される。この場合、複数の雌ネジ部78、86、87(図4及び図5参照)と、リアフレーム22に形成された複数のネジ孔(不図示)とを複数のボルトを用いて共締めすることにより、燃料タンク40がリアフレーム22に固定される。また、ポンプ取付面には、燃料ポンプが取り付けられる。燃料タンク40の内部空間68には、給油口124(図2及び図3参照)を介して、燃料が充填される。自動二輪車10の動作中、燃料ポンプは、燃料タンク40から燃料を汲み出し、汲み出した燃料をエンジン34に供給する。
【0060】
自動二輪車10の走行中、燃料タンク40内の燃料は、前後に移動する。燃料タンク40には、第1板状部94と第2板状部96とが設けられている。第1板状部94及び第2板状部96によって、燃料タンク40の内部空間68における燃料の液面の波打ちを抑制することができる。この結果、自動二輪車10の走行状態、又は、燃料タンク40内の燃料の残容量に依らず、燃料ポンプからエンジン34に燃料を安定に供給することが可能となる。
【0061】
図10図13は、燃料タンク40の変形例を示す。この変形例において、板状部66には、切欠114に代えて、開口130が形成されている。
【0062】
具体的には、図10に示すように、第1板状部94において、第1芯材98は、2つの第1固定部102から後方に延びている。第1芯材98の形状は、台形状である。第1芯材98は、上方に行くほど、後方に延びている。第1芯材98には、複数の孔が形成されている。複数の孔は、上下方向に間隔を隔てて、第1芯材98に形成されている。複数の孔は、前後方向に形成される細孔である。複数の孔は、上方に行くほど、前後方向に延びている。
【0063】
第1芯材98は、第1被覆部100で覆われている。これにより、第1板状部94において、複数の孔の内側には、開口130である複数の第1開口132が形成される。そのため、複数の第1開口132は、上下方向に間隔を隔てて、第1板状部94に形成される。複数の第1開口132は、前後方向に形成される細孔である。複数の第1開口132は、上方に行くほど、前後方向に延びている。第1板状部94には、3つの第1開口132が形成されている(図10及び図11参照)。
【0064】
図12に示すように、第2板状部96において、第2芯材106は、2つの第2固定部110から上方に延びている。第2芯材106には、複数の孔が形成されている。複数の孔は、上下方向に間隔を隔てて、第2芯材106に形成されている。複数の孔は、前後方向に形成される細孔である。
【0065】
第2芯材106は、第2被覆部108で覆われている。これにより、第2板状部96において、複数の孔の内側には、開口130である複数の第2開口134が形成される。そのため、複数の第2開口134は、上下方向に間隔を隔てて、第2板状部96に形成される。複数の第2開口134は、前後方向に形成される細孔である。第2板状部96には、3つの第2開口134が形成されている(図12及び図13参照)。
【0066】
この変形例においても、第2板状部96には、左方向に突出する複数の突出部120が設けられている。具体的には、第2板状部96には、板状の3つの突出部120が左方向に延びている。3つの突出部120は、3つの第2開口134の前縁で第2板状部96の一部を左方向に折り曲げることで形成される(図3図12及び図13参照)。この場合も、複数の突出部120は、前後方向に交差する方向に折り曲げられた折曲部である。
【0067】
なお、図11及び図13に示すように、この変形例でも、第1板状部94と第2板状部96とは、側面視において、少なくとも一部が互いに重なり合っている。なお、この変形例においても、第1板状部94と第2板状部96とが互いに同じ形状であってもよい。
【0068】
図14は、燃料タンク40の他の変形例を示す平面図である。1つのメインフレーム16を有する自動二輪車10(図1参照)では、燃料タンク40が1つのメインフレーム16に支持される場合がある。この場合、第1延在部74と第2延在部82とは、平面視において、メインフレーム16を挟むように配されている。
【0069】
上記の実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0070】
(付記1)
鞍乗型車両(10)に設置された燃料タンク(40)であって、前記燃料タンク(40)は、回転成形によって成形されたボディ(64)と、前記ボディ(64)の内面に固定された板状部(66)と、を備え、前記板状部(66)は、後方に延びている。
【0071】
本発明では、板状部によって、燃料の液面の揺動を低減することができる。これにより、鞍乗型車両の走行状態、又は、燃料タンク内の燃料の残容量に依らず、内燃機関に燃料を安定に供給することが可能となる。また、回転成形によってボディが成形されるので、ブロー成形と比較して、ボディの内部に、複雑な形状の板状部を設けることが可能となる。
【0072】
(付記2)
付記1に記載の燃料タンク(40)において、前記板状部(66)は、前記ボディ(64)の底部から上方に延び、さらに、前記後方に延びてもよい。
【0073】
これにより、燃料の液面の揺動を一層低減することができるので、内燃機関に燃料を安定に供給することができる。
【0074】
(付記3)
付記1又は2に記載の燃料タンク(40)において、前記板状部(66)には、切欠(114)又は開口(130)が形成されてもよい。
【0075】
これにより、回転成形のときに、板状部によって樹脂材料の流れが阻害されることを回避することができる。燃料を堰き止めることなく、燃料の液面の波打ちを効率よく抑制することができる。
【0076】
(付記4)
付記1~3のいずれかに記載の燃料タンク(40)において、前記板状部(66)は、前後方向に交差する方向に突出する突出部(120)を有してもよい。
【0077】
これにより、別部材を設けることなく、前後方向に交差する方向に発生する燃料の液面の波打ちを効率よく抑制することができる。
【0078】
(付記5)
付記1~4のいずれかに記載の燃料タンク(40)において、前記板状部(66)は、板状の芯材(90)と、前記芯材(90)を覆う被覆部(92)とを有し、前記被覆部(92)は、前記ボディ(64)と一体に成形されてもよい。
【0079】
芯材を用いることで、回転成形によって、ボディの内部に板状部を容易に配置することができる。また、ボディと被覆部とを一体に成形するため、芯材をボディに締結するための締結部が不要となると共に、燃料漏れの発生を防止することができる。さらに、ボディが芯材を有することで、燃料タンクの剛性を向上させることも可能となる。
【0080】
(付記6)
付記5に記載の燃料タンク(40)において、前記芯材(90)の材料は、金属であればよい。
【0081】
これにより、燃料タンクの剛性を一層向上させることができる。
【0082】
(付記7)
付記1~6のいずれかに記載の燃料タンク(40)において、前記ボディ(64)は、前記鞍乗型車両(10)の車幅方向に延びる基部(70)と、前記基部(70)の両端から前記後方にそれぞれ延びる2つの延在部(72)とを含むU字状に形成されており、2つの前記延在部(72)の各々には、前記板状部(66)が少なくとも1つずつ設けられてもよい。
【0083】
これにより、燃料の液面の波打ちを効率よく抑制することができる。この結果、鞍乗型車両の走行状態、又は、燃料タンク内の燃料の残容量に依らず、内燃機関に燃料を一層安定に供給することができる。
【0084】
(付記8)
付記7に記載の燃料タンク(40)において、2つの前記延在部(72)のうちの第1延在部(74)に設けられた前記板状部(66)である第1板状部(94)と、2つの前記延在部(72)のうちの第2延在部(82)に設けられた前記板状部(66)である第2板状部(96)とは、側面視において、少なくとも一部が互いに重なり合ってもよい。
【0085】
これにより、燃料の液面の波打ちを効率よく抑制することができる。
【0086】
(付記9)
付記7又は8に記載の燃料タンク(40)において、前記板状部(66)の一部は、前記基部(70)内に位置してもよい。
【0087】
これにより、燃料の液面の波打ちを一層効率よく抑制することができる。
【0088】
(付記10)
付記7~9のいずれかに記載の燃料タンク(40)において、2つの前記延在部(72)は、平面視において、前記鞍乗型車両(10)の車輪(28)又はメインフレーム(16)を挟むように配されてもよい。
【0089】
これにより、鞍乗型車両のデッドスペースを活用して、燃料タンクを配置することが可能となる。
【0090】
なお、本発明は、上述した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0091】
10…自動二輪車(鞍乗型車両) 40…燃料タンク
64…ボディ 66…板状部
70…基部 72…延在部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14