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  • 特開-リードフレーム及び半導体装置 図1
  • 特開-リードフレーム及び半導体装置 図2A
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  • 特開-リードフレーム及び半導体装置 図2C
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049504
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】リードフレーム及び半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H10N 52/80 20230101AFI20240403BHJP
   G01R 33/02 20060101ALI20240403BHJP
   H01L 23/50 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
H10N52/80
G01R33/02 U
H01L23/50 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155758
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】715010864
【氏名又は名称】エイブリック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】加藤 貴博
(72)【発明者】
【氏名】先▲崎▼ 涼太
(72)【発明者】
【氏名】田口 康祐
【テーマコード(参考)】
2G017
5F067
5F092
【Fターム(参考)】
2G017AA01
2G017AB08
2G017AC06
2G017AD53
5F067BE02
5F067BE06
5F067DC17
5F092AB01
5F092AC02
5F092AD06
(57)【要約】
【課題】半導体チップに形成されている磁気検出素子の感度を低下させることなく、半導体チップをリードフレームに安定して固着することができる半導体装置の提供。
【解決手段】半導体装置10は、ホール素子110aが形成されている半導体チップ110と、半導体チップ110の両端部が導電性接着剤120によりそれぞれ固着されている複数のタブ101と、を有し、平面視した際に、半導体チップ110のホール素子110aが複数のタブ101から離間して配置されており、複数のタブ101は、半導体チップ110の下から露出し得る位置まで連通する溝101aがそれぞれ形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気検出素子が形成されている半導体チップと、
前記半導体チップの両端部が導電性接着剤によりそれぞれ固着されている複数のタブと、を有し、
平面視した際に、前記半導体チップの前記磁気検出素子が前記複数のタブから離間して配置されており、
前記複数のタブは、前記半導体チップの下から露出し得る位置まで連通する溝がそれぞれ形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記溝は、前記半導体チップの両端部の辺よりも長い請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
1つの前記タブにおいて複数の前記溝が形成されている請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記タブが銀メッキされている請求項1から3のいずれかに記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リードフレーム及び半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂封止型の半導体装置の製造工程で「後工程」と称される製造プロセスでは、まずダイパッド及びリードが形成されているリードフレームを用いることが多い。
【0003】
具体的な製造プロセスとしては、ダイパッドの上面に半導体チップを固定し、その半導体チップとリードとをボンディングワイヤで電気的に接続する。次に、リードフレームを2つの金型で挟持し、金型の内部に樹脂を注入して固化させて封止した後、個片にすることで複数の半導体装置が製造される。
【0004】
このような製造プロセスは、磁気検出素子が形成されている半導体チップにも用いられている。
しかしながら、磁気検出素子が形成されている半導体チップを平板状のダイパッドに搭載すると、被検出磁界の変化に応じた渦電流がダイパッドに生じるため、被検出磁界とは逆方向の磁界が発生してしまう。すると、被検出磁界が変化した場合には測定誤差を発生させてしまうときがある。
【0005】
このため、渦電流を低減する目的で様々なリードフレームの構造が提案されている。
たとえば、リードフレームの外周に沿って生じる大きな渦電流の流れを分断するために、スロットが形成されている構造のリードフレームが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2013-513104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の一つの側面では、半導体チップに形成されている磁気検出素子の感度を低下させることなく、半導体チップをリードフレームに安定して固着することができる半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態における半導体装置は、
磁気検出素子が形成されている半導体チップと、
前記半導体チップの両端部が導電性接着剤によりそれぞれ固着されている複数のタブと、を有し、
平面視した際に、前記半導体チップの前記磁気検出素子が前記複数のタブから離間して配置されており、
前記複数のタブは、前記半導体チップの下から露出し得る位置まで連通する溝がそれぞれ形成されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一つの側面によれば、半導体チップに形成されている磁気検出素子の感度を低下させることなく、半導体チップをリードフレームに安定して固着することができる半導体装置を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1の実施形態において、半導体チップを導電性接着剤でリードフレームのタブに固着した状態を示す概略上面図である。
図2A図2Aは、第1の実施形態における半導体装置の製造方法での一状態を示す説明図である。
図2B図2Bは、第1の実施形態における半導体装置の製造方法での一状態を示す説明図である。
図2C図2Cは、第1の実施形態における半導体装置の製造方法での一状態を示す説明図である。
図3図3は、図2Cに示したIII-III線の概略断面図である。
図4図4は、第1の実施形態における半導体装置の概略側面図である。
図5図5は、第2の実施形態におけるタブの溝の形状を示す概略上面図である。
図6図6は、第3の実施形態におけるタブの溝の形状を示す概略上面図である。
図7図7は、第4の実施形態におけるタブの溝の形状を示す概略上面図である。
図8図8は、第5の実施形態におけるタブの溝の形状を示す概略上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態における半導体装置は、以下の知見に基づくものである。
【0012】
特許文献1に記載されているようなスロットが形成されているリードフレームでは、半導体チップをリードフレームに導電性接着剤で固着すると、リードフレームからはみ出た導電性接着剤が半導体チップの裏面を伝ってスロットを跨いでしまう可能性がある。すると、リードフレームにスロットを形成したにもかかわらず、導電性接着剤により渦電流の導通経路を形成してしまう場合がある。また、導電性接着剤がリードフレームからはみ出さないように導電性接着剤の量を少なくすると半導体チップの固着強度が弱くなるため、ワイヤボンディングの際の熱圧着が安定せず、信頼性を低下させてしまう場合がある。
【0013】
そこで、本発明の一実施形態の半導体装置では、磁気検出素子が形成されている半導体チップと、半導体チップの両端部が導電性接着剤によりそれぞれ固着されている複数のタブと、を有する。つまり、複数のタブは、平板状のダイパッドのように半導体チップ底面全域を支持するのではなく、半導体チップの両端部のみを支持するようにし、離間して配置されている。
これにより、半導体装置に外部から被測定磁界が印加された際に複数のタブに生じる渦電流の経路を短くすることができ、渦電流による磁界(被測定磁界の印加方向とは逆方向)を低減して磁気検出素子の感度を低下させないようにすることができる。
【0014】
また、この半導体装置は、平面視した際に、半導体チップの磁気検出素子が複数のタブから離間して配置されている。
これにより、複数のタブに生じる渦電流による磁界の影響を磁気検出素子が受けにくくなり、複数のタブに鉄、ニッケルなどの強磁性体が含まれていても、被測定磁界が遮蔽されることないため、磁気検出素子の感度を低下させないようにすることができる。
【0015】
さらに、この半導体装置の複数のタブには、半導体チップの下から露出し得る位置まで連通する溝がそれぞれ形成されている。つまり、タブの表面に形成されている溝は、導電性接着剤が塗布されていないとしたときに、半導体チップの下から露出する位置までつながっている。
これにより、溝が形成されているタブに導電性接着剤がそれぞれ塗布され、その上に半導体チップが載置されると、導電性接着剤は、毛細管現象などにより溝に沿って流れ、半導体チップから露出している溝のほうに誘導される。このため、タブ上の半導体チップの裏面に導電性接着剤が効率的に広がることから、安定した固着強度を得ることができる。さらに、導電性接着剤の塗布量が多い場合であっても、タブからはみ出した導電性接着剤が半導体チップの裏面を伝って複数のタブを電気的に短絡して渦電流の導通経路を形成することや製造設備を汚すことがないようにすることができる。
【0016】
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための一形態について詳細に説明する。
なお、図面においては、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
また、図面に示すX軸、Y軸及びZ軸は互いに直交するものとする。X軸方向を「幅方向」、Y軸方向を「奥行き方向」、Z軸方向を「高さ方向」又は「厚さ方向」と称する場合がある。各膜の+Z方向側の面を「表面」又は「上面」、-Z方向側の面を「裏面」又は「下面」と称する場合がある。
さらに、図面は模式的なものであり、幅、奥行き及び厚さの比率などは示したとおりではない。複数の膜若しくは層、又はこれらを構造的に組み合わせて得られる半導体素子の数量、位置、形状、構造、大きさなどは、以下に示す実施形態に限定されず、本発明を実施する上で好ましい数量、位置、形状、構造、大きさなどにすることができる。
【0017】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態において、半導体チップを導電性接着剤でリードフレームのタブに固着した状態を示す概略上面図である。
図1に示すように、製造過程の状態であるが、半導体装置10は、リードフレーム100と、磁気検出素子としてのホール素子110aが形成されている半導体チップ110と、リードフレーム100に半導体チップ110を固着する導電性接着剤120とを有する。
【0018】
リードフレーム100は、銅合金で形成されており、半導体装置10の土台になる。このリードフレーム100は、複数のタブ101及び複数のリード102がタイバー103と直接連結しており、これらが一体となっている。また、リードフレーム100には、2つのタブ101及び8つのリード102の組合せが複数形成されており、図1では1つの半導体装置を形成する1つの組合せを示している。
【0019】
2つのタブ101は、対向して形成されており、その間には所定間隔の間隙が存在する。2つのタブ101には、この間隙を架橋するように半導体チップ110が固着される。半導体チップ110の中央近傍に形成されているホール素子110aは、2つのタブ101の間隙に位置する。
2つのタブ101の間隔は、半導体チップ110の固着面積を確保し十分な固着強度を得られる間隔としている。
【0020】
2つのタブ101の表面には、Y軸方向に延伸する溝101aがエッチングにより形成されている。これらの溝101aは、2つのタブ101に半導体チップ110を載置させた際に半導体チップ110の下に位置するとともに、半導体チップ110から露出し得る寸法、大きさ及び間隔で形成されている。
なお、上記の実施態様では、溝の形成方法をエッチングとしたが、これに限ることなく、例えば、プレス加工により形成してもよい。
【0021】
溝101aの形状は、リードフレーム100を平面視した際に、矩形状に形成されている。溝101aのY軸方向の寸法は、半導体チップ110の両端部のY軸方向の寸法よりも長くして、半導体チップ110が載置されたときに半導体チップ110から露出するようにする。また、溝101aのY軸方向の寸法は、導電性接着剤120が半導体チップ110の下から誘導されてもタブ101からはみ出しにくくするために、タブ101のY軸方向の寸法よりも小さくしている。
【0022】
溝101aの断面形状は、凹状に形成されている。また、溝101aの深さは、導電性接着剤120の塗布量が多い場合であっても、導電性接着剤120がタブ101からはみ出さないようにすることができる深さが好ましい。
【0023】
溝101aの表面は、銅合金の酸化面や粗化面のままでもよく、銀メッキされていてもよい。溝101aが銀メッキされていると、導電性接着剤120が流れやすくなって毛細管現象が効果的に働き、溝101aに沿って半導体チップ110から露出しているほうに誘導しやすくなる。また、溝101aが反射して画像認識がしやすくなるため、導電性接着剤120の塗布位置や半導体チップ110の搭載位置の精度が向上して、導電性接着剤120がはみ出しにくくなる。さらに、銀が含まれる導電性接着剤120を塗布すると、同じ銀で導通するため電気的接合が良好になる。
【0024】
半導体チップ110は、平面視すると表面の中央近傍にホール素子110aが形成されている。ホール素子110aは、Z軸方向に感度軸を有する。この半導体チップ110は、ホール素子110aが検出した磁気の大きさに応じた電気信号を出力する機能を有する。
なお、半導体チップ110は、磁気検出素子が形成されていればよく、ほかの機能を有していてもよい。
また、磁気検出素子は、ホール素子に限らず、半導体磁気抵抗素子、異方性磁気抵抗素子、巨大磁気抵抗素子、トンネル磁気抵抗素子等の磁気抵抗素子などにしてもよい。
【0025】
導電性接着剤120は、主に熱硬化性のエポキシ系樹脂にフレーク状の銀を含有する接着剤である。
なお、導電性接着剤120の材料、組成比、粘度及び塗布量は、必要に応じて適宜選択することができる。
【0026】
次に、第1の実施形態における半導体装置の製造方法について、図2A図2C図3及び図4を参照しながら説明する。
ここでは、第1の実施形態における半導体装置の製造方法について説明するが、第2実施形態~第5実施形態における半導体装置においても同様の製造方法を採用することできる。
【0027】
図2A図2Cは、第1の実施形態における半導体装置の製造方法での一状態を示す説明図である。なお、図2Cでは、導電性接着剤120の形状を示すため、半導体チップ110を透過させている。
【0028】
半導体装置の製造方法としては、それぞれ溝101aが形成されている2つのタブ101に対し(図2A参照)、溝101aにかかるように導電性接着剤120をそれぞれ塗布し(図2B参照)、その上から半導体チップ110を載置して固着させる(図2C参照)。図2Cに示すように、半導体チップ110が載置された際に、導電性接着剤120は、Y軸方向に延伸する溝101aに沿って流れるためX軸方向には流れにくくなり、タブ101からはみ出にくい。
【0029】
図3は、図2Cに示したIII-III線の概略断面図である。
図3に示すように、半導体チップ110は、2つのタブ101の溝101aの上にそれぞれ重なるように載置される。溝101aの断面は、凹状に形成されている。
なお、溝の断面形状は、凹状に限ることなく、例えば、U字状、V字状などとしてもよい。
【0030】
次に、半導体チップ110の上面に形成されている複数の電極パッドと複数のリードとをボンディングワイヤ130で電気的に接続した後、リードフレームを2つの金型で挟持し、金型の内部に封止樹脂140を注入して固化させて封止する。これを個片にすることで、図4に示すような半導体装置10が製造される。リード102の一部は、封止樹脂140から露出させ、図1で示したタイバー103から切り離して変形させることでアウターリードとして機能させる。
【0031】
ボンディングワイヤ130は、半導体チップ110の上面に設けられているボンディングパッドと、リード102とを電気的に接続する。
ボンディングワイヤ130の材質としては、特に制限することなく適宜選択することができ、例えば、Au、Cu、Al、Ag、又はこれらの合金などが挙げられる。
【0032】
封止樹脂140は、リードフレーム100の一部、半導体チップ110、導電性接着剤120及びボンディングワイヤ130を保護するとともに、半導体装置10の外形を形成する。
封止樹脂140としては、特に制限することなく適宜選択することができ、例えば、熱硬化性のエポキシ系樹脂などが挙げられる。
【0033】
このように、第1の実施態様における半導体装置10は、ホール素子110aが形成されている半導体チップ110と、半導体チップ110の両端部が導電性接着剤120によりそれぞれ固着されている2つのタブ101と、を有する。この半導体装置10は、平面視した際に、半導体チップ110のホール素子110aが2つのタブ101から離間して配置されている。
これにより、半導体装置10に外部から被測定磁界が印加された際に2つのタブ101に生じる渦電流の経路を短くすることができ、渦電流による磁界を低減してホール素子110aの感度を低下させないようにすることができる。
【0034】
また、この半導体装置10は、平面視した際に、半導体チップ110のホール素子110aが2つのタブ101から離間して配置されている。
これにより、2つのタブ101に生じる渦電流による磁界の影響をホール素子110aが受けにくくなる。また、2つのタブ101に鉄、ニッケルなどの強磁性体が含まれていても、被測定磁界が遮蔽されることないため、ホール素子110aの感度を低下させないようにすることができる。
【0035】
さらに、2つのタブ101には、半導体チップ110の下から露出し得る位置まで連通する溝101aがそれぞれ形成されている。
これにより、溝101aが形成されている2つのタブ101に導電性接着剤120がそれぞれ塗布され、その上に半導体チップ110が載置されると、導電性接着剤120は、毛細管現象などにより溝101aに沿って流れ、半導体チップ110から露出している溝101aのほうに誘導される。このため、タブ101上の半導体チップ110の裏面に導電性接着剤120が効率的に広がることから、安定した固着強度を得ることができる。
【0036】
以上のように、半導体装置10は、半導体チップ110に形成されているホール素子110aの感度を低下させることなく、半導体チップ110をリードフレーム100に安定して固着することができる。
【0037】
(第2の実施形態)
図5は、第2の実施形態におけるタブの溝の形状を示す概略上面図である。
第1の実施形態では溝101aの形状をY軸方向に延伸させ、半導体チップ110を載置させた際に半導体チップ110から露出させたが、第2の実施形態では溝105aの形状をX軸方向に太くして半導体チップ110から露出させた。
これにより、導電性接着剤が高粘度であり塗布量が多くなりやすい場合であっても、溝105aは溝101aよりも容量を大きく確保できるため、第1の実施形態よりも導電性接着剤がタブからはみ出しにくくすることができる。
【0038】
(第3の実施形態)
図6は、第3の実施形態におけるタブの溝の形状を示す概略上面図である。
第2の実施形態では溝105aの形状をX軸方向に太くして、半導体チップ110を載置させた際に半導体チップ110から露出させたが、第3の実施形態では溝106aの形状をX軸方向にもY軸方向にも太く延伸させて半導体チップ110から露出させた。
これにより、溝106aは溝105aよりも容量を大きく確保できるため、第2の実施形態よりも導電性接着剤がタブからはみ出しにくくすることができる。
【0039】
(第4の実施形態)
図7は、第4の実施形態におけるタブの溝の形状を示す概略上面図である。
第1の実施形態では1つのタブ101に対し溝101aが1つ形成されていたが、第4の実施形態では1つのタブ107に対し溝107aがX軸方向に離間して2つ形成されている。
これにより、導電性接着剤が2つの溝107aの間に塗布されると、導電性接着剤がタブ107のX軸方向からはみ出しにくくすることができる。
【0040】
(第5の実施形態)
図8は、第5の実施形態におけるタブの溝の形状を示す概略上面図である。
図8に示すように、第5の実施形態では、第4の実施形態のタブ107に対し溝107aを含めて銀メッキMを行い、タブ108を形成した。
これにより、導電性接着剤が流れやすくなって毛細管現象が効果的に働き、溝107aに沿って半導体チップ110から露出しているほうに誘導しやすくなる。また、銀メッキMが反射して画像認識がしやすくなるため、導電性接着剤の塗布位置や半導体チップ110の搭載位置の精度が向上して、導電性接着剤がはみ出しにくくなる。さらに、銀が含まれる導電性接着剤を塗布すると、同じ銀で導通するため電気的接合が良好になる。
【0041】
以上説明したように、本発明の一実施形態における半導体装置は、磁気検出素子が形成されている半導体チップと、半導体チップの両端部が導電性接着剤によりそれぞれ固着されている複数のタブと、を有する。この半導体装置は、平面視した際に、半導体チップの磁気検出素子が複数のタブから離間して配置されており、複数のタブは、半導体チップの下から露出し得る位置まで連通する溝がそれぞれ形成されている。
これにより、半導体チップに形成されている磁気検出素子の感度を低下させることなく、半導体チップをリードフレームに安定して固着することができる。
【0042】
なお、上記の各実施態様では、2つのタブの形状が対称性を有する構造としたが、これに限ることなく、非対称の構造としてもよい。2つのタブに形成されている溝についても対称性を有する構造としたが、これに限ることなく、非対称の構造としてもよい。
また、上記の各実施態様では、溝のY軸方向の寸法がタブのY軸方向の寸法よりも短くしたが、これに限ることなく、溝のY軸方向の寸法がタブのY軸方向の寸法と同じでもよい。
【符号の説明】
【0043】
10 半導体装置
100 リードフレーム
101、105~108 タブ
101a、105a~108a 溝
102 リード
103 タイバー
110 半導体チップ
110a ホール素子(磁気検出素子)
120 導電性接着剤
130 ボンディングワイヤ
140 封止樹脂
M 銀メッキ
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7
図8