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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049507
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】送風機および遠心ファン
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/16 20060101AFI20240403BHJP
   F04D 29/056 20060101ALI20240403BHJP
   H02K 7/14 20060101ALI20240403BHJP
   H02K 5/167 20060101ALI20240403BHJP
   H02K 1/18 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
H02K5/16 Z
F04D29/056 B
H02K7/14 A
H02K5/167 A
H02K1/18 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155761
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000228730
【氏名又は名称】ニデックアドバンスドモータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】井内 一博
【テーマコード(参考)】
3H130
5H601
5H605
5H607
【Fターム(参考)】
3H130AA12
3H130AB26
3H130AB42
3H130AC19
3H130AC26
3H130BA41E
3H130BA41G
3H130BA73E
3H130BA73G
3H130DA02Z
3H130DB01X
3H130DB15X
3H130DD03Z
3H130ED01E
5H601AA08
5H601BB12
5H601CC01
5H601CC15
5H601DD02
5H601DD09
5H601DD11
5H601DD47
5H601EE12
5H601EE18
5H601GA02
5H601GA23
5H601GA33
5H601JJ10
5H601KK13
5H601KK14
5H601KK17
5H605BB05
5H605BB14
5H605BB19
5H605CC01
5H605CC03
5H605CC04
5H605CC10
5H605EA06
5H605EA13
5H605EB06
5H605EB17
5H605GG04
5H607AA12
5H607BB01
5H607BB09
5H607BB14
5H607BB17
5H607CC05
5H607FF04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】スリーブのステータ支持面にステータコアおよびスリーブの摩耗紛が付着することを抑制できる送風機および遠心ファンを提供する。
【解決手段】ロータと、ロータケースの径方向内側に位置し、中心軸Jを中心として軸方向に延び、径方向外側に広がるステータ支持面を有する筒状のスリーブ50と、スリーブ50の内側面側に配置され、ロータを回転可能に支持する軸受91と、スリーブ50の内側面側に配置される環状のブッシュ95と、ロータケースの径方向内側に位置し、スリーブ50を径方向外側から囲む環状のステータコア31と、ロータと固定され、中心軸Jを中心に回転するインペラ部と、を備える。スリーブ50は、ステータコア31が固定される固定部52aを有する。ステータコア31の少なくとも一部は、ステータ支持面50aと軸方向に接触する。ブッシュ95は、固定部52aの内側面に圧入されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸を中心とする筒状のロータケースを有し、中心軸を中心に回転するロータと、
前記ロータケースの径方向内側に位置し、前記中心軸を中心として軸方向に延び、径方向外側に広がるステータ支持面を有する筒状のスリーブと、
前記スリーブの内側面側に配置され、前記ロータを回転可能に支持する軸受と、
前記スリーブの内側面側に配置される環状のブッシュと、
前記ロータケースの径方向内側に位置し、前記スリーブを径方向外側から囲む環状のステータコアと、
前記ロータと固定され、前記中心軸を中心に回転するインペラ部と、
を備え、
前記スリーブは、前記ステータコアが固定される固定部を有し、
前記ステータコアの少なくとも一部は、前記ステータ支持面と軸方向に接触し、
前記ブッシュは、前記固定部の内側面に圧入されている、送風機。
【請求項2】
前記軸受は、前記ブッシュよりも軸方向一方側に配置される第1軸受を備え、
前記スリーブは、軸方向において前記ブッシュと前記第1軸受との間に位置する第1溝部を有し、
前記第1溝部は、前記スリーブの内周面および前記スリーブの外周面の少なくとも一方に、周方向一周に亘って設けられる、請求項1に記載の送風機。
【請求項3】
前記軸受は、前記ブッシュよりも軸方向他方側に配置される第2軸受をさらに備え、
前記スリーブは、軸方向において、前記ブッシュと前記第2軸受との間に位置する第2溝部を有し、
前記第2溝部は、前記スリーブの内周面および前記スリーブの外周面の少なくとも一方に、周方向一周に亘って設けられる、請求項2に記載の送風機。
【請求項4】
軸方向において、前記固定部の軸方向一方側の端部と前記第1軸受との間の隙間の寸法は、前記固定部の軸方向他方側の端部と前記第2軸受との間の隙間の寸法よりも小さい、請求項3に記載の送風機。
【請求項5】
前記固定部の軸方向一方側の端部は、前記ステータコアの軸方向一方側の端部よりも軸方向他方側に配置される請求項1に記載の送風機。
【請求項6】
前記スリーブは、前記ステータ支持面よりも軸方向一方側に位置する第1本体部と、前記ステータ支持面よりも軸方向他方側に位置する第2本体部と、を有し、
前記第1本体部は、前記固定部を有し、
前記固定部の外径は、前記第1本体部のうち前記固定部以外の部分の外径よりも大きい、請求項1から5のいずれか一項に記載の送風機。
【請求項7】
前記スリーブは、前記固定部を含む第1部分と、前記第1部分の軸方向一方側に位置し前記第1部分と軸方向に繋がる第2部分と、を有し、
前記第2部分の内径は、前記ブッシュの外径よりも大きい、請求項6に記載の送風機。
【請求項8】
前記スリーブは、前記第1部分の軸方向他方側に位置し前記第1部分と軸方向に繋がる第3部分を有し、
前記第3部分の内径は、前記ブッシュの外径よりも小さい、請求項7に記載の送風機。
【請求項9】
前記ブッシュを構成する材料と前記スリーブを構成する材料とは互いに異なる、請求項1に記載の送風機。
【請求項10】
前記スリーブの線膨張係数は、前記ブッシュの線膨張係数および前記ステータコアの線膨張係数よりも大きい、請求項1に記載の送風機。
【請求項11】
請求項1に記載の送風機と、前記送風機を収容するケースと、を備える遠心ファン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送風機および遠心ファンに関する。
【背景技術】
【0002】
家電機器、OA機器などの冷却および換気を行う送風機では、周方向に配列された複数の羽根を備えるインペラ部と、インペラ部を回転させるモータと、を備える。例えば、特許文献1には、スリーブの外周面に環状のステータコアを固定するモータが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-162288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなモータでは、スリーブの外周面にステータコアを圧入して、スリーブにステータコアを固定する構成を採用できる。この構成では、ステータコアの内部にスリーブを軸方向に挿入する際に、ステータコアとスリーブとの間の摩擦力が大きくなるため、ステータコアおよびスリーブが摩耗し易く、ステータコアおよびスリーブの摩耗紛が発生する虞があった。ステータコアを軸方向に支持するスリーブのステータ支持面にこれらの摩耗紛が付着すると、スリーブに対するステータコアの軸方向の位置を精度良く決めることができない虞があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、スリーブのステータ支持面にステータコアおよびスリーブの摩耗紛が付着することを抑制できる送風機および遠心ファンを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の送風機の一つの態様は、中心軸を中心とする筒状のロータケースを有し、中心軸を中心に回転するロータと、前記ロータケースの径方向内側に位置し、前記中心軸を中心として軸方向に延び、径方向外側に広がるステータ支持面を有する筒状のスリーブと、前記スリーブの内側面側に配置され、前記ロータを回転可能に支持する軸受と、前記スリーブの内側面側に配置される環状のブッシュと、前記ロータケースの径方向内側に位置し、前記スリーブを径方向外側から囲む環状のステータコアと、前記ロータと固定され、前記中心軸を中心に回転するインペラ部と、を備える。前記スリーブは、前記ステータコアが固定される固定部を有する。前記ステータコアの少なくとも一部は、前記ステータ支持面と軸方向に接触する。前記ブッシュは、前記固定部の内側面に圧入されている。
【0007】
本発明の遠心ファンの一つの態様は、上記の送風機と、上記の送風機を収容するケースと、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一つの態様によれば、送風機および遠心ファンにおいて、スリーブが有するステータ支持面にステータコアおよびスリーブの摩耗紛が付着することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1実施形態の遠心ファンを示す斜視図である。
図2図2は、第1実施形態の遠心ファンを示す断面図である。
図3図3は、第1実施形態の遠心ファンの一部を示す断面図である。
図4A図4Aは、第1実施形態のステータ固定工程を示す第1の断面図である。
図4B図4Bは、第1実施形態のステータ固定工程を示す第2の断面図である。
図4C図4Cは、第1実施形態のステータ固定工程を示す第3の断面図である。
図4D図4Dは、第1実施形態のステータ固定工程を示す第4の断面図である。
図5図5は、第2実施形態の遠心ファンの一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る遠心ファンについて説明する。なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせる場合がある。
【0011】
以下の説明において図には、適宜、Z軸を示す。Z軸は、以下に説明する実施形態のロータの中心軸Jが延びる方向を示している。各図に示す中心軸Jは、仮想軸線である。以下の説明では、中心軸Jが延びる方向、つまりZ軸と平行な方向を「軸方向」と呼ぶ。中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼ぶ。中心軸Jを中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。軸方向のうちZ軸の矢印が向く側(+Z側)を「軸方向一方側」または「上側」と呼ぶ。軸方向のうちZ軸の矢印が向く側と逆側(-Z側)を「軸方向他方側」または「下側」と呼ぶ。なお、上側、および下側とは、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
【0012】
周方向は、各図において矢印θで示される。周方向のうち矢印θが向く側(+θ側)を「周方向一方側」と呼ぶ。周方向のうち矢印θが向く側と反対側(-θ側)を「周方向他方側」と呼ぶ。周方向一方側は、軸方向一方側(+Z側)から見て中心軸J回りに反時計回りに進む側である。周方向他方側は、上側から見て中心軸J回りに時計回りに進む側である。
【0013】
<第1実施形態>
図1に示す本実施形態の遠心ファン10は、ケース40と、送風機11と、を備える。本実施形態において、送風機11は、インペラ部60と、モータ部15と、を備える。本実施形態において、遠心ファン10は、インペラ部60が中心軸Jを中心に回転することによって、空気を径方向外側に向けて送り出す送風ファンである。
【0014】
ケース40は、送風機11を内部に収容する。ケース40は、第1ケース部41と、第2ケース部42と、を有する。
【0015】
第1ケース部41は、第1側壁部41aと、天壁部41bと、第1ケース開口部41cと、を有する。図2に示すように、第1ケース部41の内面のうち、インペラ部60よりも径方向外側に位置する部分は、送風路40aの上側の部分を構成する。第1側壁部41aは、軸方向に延びる略円筒状である。第1側壁部41aは、下側に開口する。第1側壁部41aは、インペラ部60の上側の部分を径方向外側から囲む。天壁部41bは、第1側壁部41aの上端部から径方向内側に延びる略円環板状である。天壁部41bの板面は、軸方向を向く。天壁部41bには、吸気口41dが設けられる。吸気口41dは、天壁部41bを軸方向に貫通する孔である。軸方向に見て、吸気口41dは、中心軸Jを中心とする略円形状である。図1に示すように、第1ケース開口部41cは、周方向一方側(+θ側)に開口する。
【0016】
第2ケース部42は、第2側壁部42aと、底壁部42cと、第2ケース開口部42bと、を有する。図2に示すように、第2ケース部42の内面のうち、インペラ部60よりも径方向外側に位置する部分は、送風路40aの下側の部分を構成する。第2側壁部42aは、軸方向に延びる略円筒状である。第2側壁部42aは、上側に開口する。第2側壁部42aは、インペラ部60の下側の部分を径方向外側から囲む。第2側壁部42aは、第1側壁部41aの下端と固定される。底壁部42cは、第2側壁部42aの下端から径方向内側に広がる略円環板状である。底壁部42cには、底壁孔42hが設けられる。底壁孔42hは、底壁部42cを軸方向に貫通する孔である。軸方向に見て、底壁孔42hは、中心軸Jを中心とする略円形状である。図1に示すように、第2ケース開口部42bは、周方向一方側(+θ側)に開口する。軸方向に見て、第2ケース開口部42bは、第1ケース開口部41cと重なる。第1ケース開口部41cと第2ケース開口部42bは、排気口40bを構成する。送風路40aを周方向一方側に向けて流れる空気は、排気口40bを介して、遠心ファン10の外部に流れ出る。
【0017】
図2に示すように、インペラ部60は、カップ部60aと、羽根64と、環状部65と、を有する。カップ部60aは、モータ部15を内部に収容する。カップ部60aは、下側に開口する。カップ部60aは、天板部61と、筒状部62と、接続部63と、を有する。
【0018】
天板部61は、中心軸Jを中心とし、上側に向けて凸となる略半球殻状である。天板部61は、モータ部15の上側に配置される。天板部61は、モータ部15を上側から覆う。天板部61には、天板部61を軸方向に貫通するインペラ貫通孔61bが設けられる。軸方向に見て、インペラ貫通孔61bは、中心軸Jを中心とする略円形状である。筒状部62は、中心軸Jを中心として軸方向に延びる略円筒状である。筒状部62は、下側に開口する。筒状部62は、モータ部15を径方向外側から囲む。筒状部62の上端は、天板部61の径方向外側の端部と繋がる。
【0019】
接続部63は、下側に向かうにしたがって径方向外側に位置する略円筒状である。接続部63の上端は、筒状部62の下端と繋がる。図1に示すように、羽根64は、周方向に沿って間隔をあけて複数設けられる。図2に示すように、各羽根64それぞれの径方向内側の端部のうち下側の端部は、接続部63の径方向外側の端部と繋がる。図示は省略するが、軸方向に見て、各羽根64は、径方向内側から径方向外側に向かうにしたがって、周方向一方側(+θ側)に位置する曲面状である。環状部65は、中心軸Jを中心とする円環状である。環状部65は、複数の羽根64の上端のうち径方向外側の部分と繋がる。
【0020】
モータ部15は、カップ部60aの内部に配置される。モータ部15は、ロータ20と、スリーブ50と、ステータ30と、回路基板70と、軸受91と、ブッシュ95と、板ばね96と、を備える。軸受91は、第1軸受91aと、第2軸受91bと、を備える。
【0021】
ロータ20は、中心軸Jを中心に回転する。ロータ20は、ロータケース21と、磁石22と、シャフト23と、を備える。ロータケース21は、中心軸Jを中心として軸方向に延びる筒状である。ロータケース21は、ケース円筒部21aと、ケース円環部21bと、を有する。
【0022】
ケース円筒部21aは、中心軸Jを中心として軸方向に延びる略円筒状である。ケース円筒部21aは、下側に開口する。ケース円筒部21aは、インペラ部60の筒状部62に固定される。これにより、インペラ部60は、ロータ20に固定される。ケース円筒部21aは、ステータ30およびスリーブ50を径方向外側から囲む。ケース円環部21bは、中心軸Jを中心とする略円環状板である。ケース円環部21bの板面は、軸方向を向く。ケース円環部21bの径方向外側の端部は、ケース円筒部21aの上端と繋がる。磁石22は、ケース円筒部21aの内周面に固定される。磁石22は、周方向に沿って複数の磁極が配置される。
【0023】
シャフト23は、中心軸Jに沿って軸方向に延びる略円柱状である。シャフト23の上側の部分は、インペラ貫通孔61bの内周面に固定される。これにより、インペラ部60は、ロータ20に固定される。シャフト23は、第1軸受91aおよび第2軸受91bによって、中心軸J回りに回転可能に支持される。これにより、ロータ20およびインペラ部60が中心軸Jを中心として回転可能となる。
【0024】
スリーブ50は、ロータケース21の径方向内側に位置する。スリーブ50は、中心軸Jを中心として軸方向に延びる略円筒状である。図3に示すように、スリーブ50は、上側に開口するする第1開口部50cと、下側に開口する第2開口部50dと、を有する。図2に示すように、スリーブ50の下端は、底壁孔42hの内周面に固定される。これにより、スリーブ50は、ケース40に固定される。スリーブ50の内部、すなわち内側面側には、第1軸受91a、第2軸受91b、ブッシュ95、および板ばね96が配置される。スリーブ50の内部には、シャフト23が軸方向に通される。本実施形態において、スリーブ50は、金属製である。本実施形態において、スリーブ50は、黄銅製である。スリーブ50を構成する材料は黄銅に限定されず、白銅等の他の材料であってもよい。本実施形態において、スリーブ50の線膨張係数は、20.5×10-6/℃程度である。
【0025】
図3に示すように、スリーブ50は、第1本体部51と、第2本体部56と、ステータ支持面50aと、を有する。ステータ支持面50は、スリーブ50の外周面に設けられる段差面である。第1本体部51と第2本体部56とは、ステータ支持面50に対してそれぞれ上側または下側に配置されるスリーブ50の円筒状の各部である。
【0026】
第1本体部51は、中心軸Jを中心とする略円筒状である。第1本体部51は、スリーブ50の上端側の部分である。第1本体部51は、ステータ支持面50aよりも上側、すなわち軸方向一方側(+Z側)に位置する。
【0027】
第1本体部51は、第1部分52と、第2部分53と、第3部分54と、第4部分55と、軸受支持面52dと、板ばね支持面54aと、を有する。軸受支持面52d、および板ばね支持面54aは、スリーブ50の内周面に設けられる段差面である。第2部分53、第1部分52、第3部分54、および第4部分55は、第1本体部51の円筒状の各部であって、上側から下側に向かってこの順で並ぶ。
【0028】
第1部分52は、中心軸Jを中心とする略円筒状である。第1部分52の内部には、ブッシュ95が配置される。第1部分52は、上側筒部52bと、固定部52aと、下側筒部52cと、を有する。すなわち、第1本体部51は、固定部52aを有する。上側筒部52b、固定部52a、および下側筒部52cは、第1部分52において互いに外径が異なる各部である。
【0029】
上側筒部52bは、中心軸Jを中心とする略円環状である。上側筒部52bは、第1部分52の上端側の部分である。
【0030】
固定部52aは、中心軸Jを中心とする略円環状である。固定部52aの上端は、上側筒部52bの下端と軸方向に繋がる。固定部52aの外径は、上側筒部52bの外径よりも大きい。固定部52aの内周面には、ブッシュ95が固定されている。軸方向において、固定部52aの上側、すなわち軸方向一方側(+Z側)の端部は、後述するステータコア31の上側の端部よりも、下側、すなわち軸方向他方側(-Z側)に配置される。軸方向において、固定部52aの下側の端部は、ステータコア31の下側の端部よりも、上側に配置される。
【0031】
下側筒部52cは、中心軸Jを中心とする略円環状である。下側筒部52cは、第1部分52の下端側の部分である。下側筒部52cの上端は、固定部52aの下端と軸方向に繋がる。下側筒部52cの外径は、固定部52aの外径よりも小さい。
【0032】
第2部分53は、中心軸Jを中心とする略円筒状である。第2部分53の上端は、第1本体部51の上端およびスリーブ50の上端である。第2部分53は、第1部分52の上側、すなわち軸方向一方側(+Z側)に位置する。第2部分53は、第1部分52と軸方向に繋がる。第2部分53の内周面には、第1軸受91aが固定される。第2部分53の内径は、第1部分52の内径よりも大きい。第2部分53の内径は、ブッシュ95の外径よりも大きい。第2部分53の外径は、固定部52aの外径よりも小さい。本実施形態において、第2部分53の外径の寸法は、上側筒部52bの外径の寸法と同じ寸法である。なお、第2部分53の外径の寸法は、上側筒部52bの外径の寸法と異なる寸法であってもよい。
【0033】
軸受支持面52dは、上側筒部52bの上側を向く面のうち、第2部分53よりも径方向内側の部分である。軸受支持面52dは、スリーブ50の内周面の一部である。軸受支持面52dは、上側筒部52bの内周面の上端と、第2部分53の内周面の下端とを繋ぐ段差面である。軸受支持面52dは、第1軸受91aの下側を向く面の径方向外縁部と軸方向に接触する。軸受支持面52dは、第1軸受91aを軸方向に支持する。
【0034】
第3部分54は、中心軸Jを中心とする略円筒状である。第3部分54は、第1部分52の下側、すなわち軸方向他方側(-Z側)に位置する。第3部分54は、第1部分52と軸方向に繋がる。第3部分54の内径は、第1部分52の内径よりも小さい。第3部分54の内径は、ブッシュ95の外径よりも小さい。第3部分54の外径は、固定部52aの外径よりも小さい。本実施形態において、第3部分54の外径の寸法は、下側筒部52cの外径の寸法と同じ寸法である。なお、第3部分54の外径の寸法は、下側筒部52cの外径の寸法と異なる寸法であってもよい。
【0035】
第4部分55は、中心軸Jを中心とする略円環状である。第4部分55は、第1本体部51の下端側の部分である。第4部分55の下端は、第1本体部51の下端である。第4部分55は、第3部分54の下側に位置する。第4部分55は、第3部分54と軸方向に繋がる。第4部分55の内径は、第3部分54の内径よりも大きい。第4部分55の外径は、固定部52aの外径よりも小さい。本実施形態において、第4部分55の外径の寸法は、第3部分54の外径の寸法と同じ寸法である。上述のように、上側筒部52bの外径、下側筒部52cの外径、第2部分53の外径、第3部分54の外径、および第4部分55の外径は、それぞれ、固定部52aの外径よりも小さい。すなわち、固定部52aの外径は、第1本体部51のうち固定部52a以外の部分の外径よりも大きい。
【0036】
板ばね支持面54aは、第3部分54の下側を向く面のうち、第4部分55よりも径方向内側の部分である。板ばね支持面54aは、スリーブ50の内周面の一部である。板ばね支持面54aは、第3部分54の内周面の下端と、第4部分55の内周面の上端とを繋ぐ段差面である。
【0037】
第2本体部56は、中心軸Jを中心とする略円筒状である。第2本体部56は、スリーブ50の下端側の部分である。第2本体部56は、ステータ支持面50aよりも下側、すなわち軸方向他方側(-Z側)に位置する。第2本体部56の下端は、スリーブ50の下端である。第2本体部56の上端は、第1本体部51の下端、すなわち第4部分55の下端と軸方向に繋がる。第2本体部56の下端は、底壁孔42hの内周面に固定される。本実施形態において、第2本体部56の内径の寸法は、第4部分55の内径の寸法と同じ寸法である。第2本体部56の外径は、第1本体部51の外径よりも大きい。すなわち、第2本体部56の外径は、第4部分55の外径よりも大きい。第2本体部56の内周面には、第2軸受91bが固定される。第2本体部56の内部のうち、第2軸受91bよりも上側の部分には、板ばね96が配置される。
【0038】
ステータ支持面50aは、第2本体部56の上側を向く面のうち、第4部分55よりも径方向外側の部分である。ステータ支持面50aは、径方向に広がる面である。ステータ支持面50aは、スリーブ50の外周面の一部である。ステータ支持面50aは、第4部分55の外周面の下端と、第2本体部56の外周面の上端とを繋ぐ段差面である。
【0039】
図2に示すように、ステータ30は、ロータケース21の径方向内側に配置される。ステータ30は、磁石22と径方向に隙間をあけて対向する。ステータ30は、スリーブ50の径方向外側に配置される。ステータ30は、スリーブ50に固定される。ステータ30は、ステータコア31と、インシュレータ32と、複数のコイル33と、を有する。
【0040】
ステータコア31は、中心軸Jを中心とする環状である。ステータコア31は、ロータケース21の径方向内側に位置する。ステータコア31は、磁石22と径方向に隙間をあけて対向する。ステータコア31は、スリーブ50を径方向外側から囲む。図3に示すように、ステータコア31は、スリーブ50に固定される。より詳細には、ステータコア31の内周面のうち、軸方向の中央側の部分が、固定部52aの外周面に固定される。ステータコア31は、固定部52aに圧入されている。なお、ステータコア31の内周面のうち、固定部52aよりも上側の部分および固定部52aよりも下側の部分は、それぞれ、スリーブ50の外周面と径方向に隙間をあけて対向している。ステータコア31の下側を向く面の径方向内縁部は、ステータ支持面50aと軸方向に接触している。すなわち、ステータコア31の少なくとも一部は、ステータ支持面50aと軸方向に接触している。これにより、スリーブ50に対するステータコア31の位置が決まる。なお、本実施形態において、ステータコア31は、軸方向に積層され互いに固定される複数の電磁鋼板によって構成される。本実施形態において、ステータコア31の線膨張係数は、12.0×10-6/℃程度である。
【0041】
図2に示すように、インシュレータ32は、ステータコア31に装着される。複数のコイル33のそれぞれは、インシュレータ32を介して、ステータコア31に装着される。複数のコイル33のそれぞれは、周方向に沿って互いに間隔をあけて配置される。
【0042】
回路基板70は、複数のコイル33に供給される電流を制御する。回路基板70は、ステータ30の下側に配置される。回路基板70は径方向に広がる板状である。回路基板70の板面は、軸方向を向く。回路基板70は、ケース40の底壁部42cに固定される。回路基板70は、第1貫通孔70aを有する。第1貫通孔70aは、回路基板70を軸方向に貫通する孔である。第1貫通孔70aには、スリーブ50およびシャフト23が軸方向に通される。回路基板70には、回転センサ71が設けられる。
【0043】
回転センサ71は、ロータ20の回転を検出可能なセンサである。本実施形態において回転センサ71は、磁気センサである。回転センサ71は、例えば、ホールICなどのホール素子である。回転センサ71は、回路基板70の上側を向く面に取り付けられる。回転センサ71は、磁石22と軸方向に対向する。回転センサ71は、磁石22の磁界を検出することで、磁石22の回転を検出する。これにより、回転センサ71は、ロータ20の回転を検出する。
【0044】
図3に示すように、ブッシュ95は、中心軸Jを中心とする略円環状である。ブッシュ95は、スリーブ50の内側面側に配置される。上述のように、ブッシュ95は、固定部52aの内周面に固定される。ブッシュ95は、固定部52aの内周面、すなわち内側面に圧入されている。本実施形態によれば、固定部52aの内側面にブッシュ95が圧入されることによって、固定部52aには径方向外側を向く応力が加えられる。この応力によって、固定部52aは径方向外側に変形するため、固定部52aの外径が大きくなる。これにより、固定部52aの外周面からステータコア31の内周面に加えられる径方向外側を向く圧力が増大するため、ステータコア31をスリーブ50に強固に固定できる。したがって、送風機11および遠心ファン10の動作時の振動等によって、スリーブ50に対するステータコア31の位置が変動することを抑制できる。
【0045】
図3に示す、中央面Sは、ブッシュ95の軸方向中央を通る仮想面である。本実施形態において、ブッシュ95は、中央面Sを対称面として、軸方向に対称な形状である。本実施形態において、ブッシュ95は、金属製である。より詳細には、ブッシュ95は、鉄製である。上述のように、本実施形態において、スリーブ50は、黄銅製である。したがって、ブッシュ95を構成する材料と、スリーブ50を構成する材料とは互いに異なる。また、本実施形態において、ブッシュ95の線膨張係数は、11.7×10-6/℃程度である。上述のように、本実施形態において、スリーブ50の線膨張係数は、20.5×10-6/℃程度であり、ステータコア31の線膨張係数は、12.0×10-6/℃程度である。したがって、スリーブ50の線膨張係数は、ブッシュ95の線膨張係数およびステータコア31の線膨張係数よりも大きい。
【0046】
第1軸受91aは、ブッシュ95よりも上側、すなわち軸方向一方側(+Z側)に配置される。上述のように、第1軸受91aは、第2部分53の内周面に固定される。第1軸受91aは、軸受支持面52dと軸方向に接触する。第1軸受91aは、軸受支持面52dによって、軸方向に支持される。第1軸受91aは、シャフト23の上側の部分を中心軸J回りに回転可能に支持する。
【0047】
第2軸受91bは、ブッシュ95よりも下側、すなわち軸方向他方側(-Z側)に配置される。上述のように、第2軸受91bは、第2本体部56の内周面に固定される。軸方向において、固定部52aの上側、すなわち軸方向一方側(+Z側)の端部と第1軸受91aとの間の寸法L1は、固定部52aの下側、すなわち軸方向他方側(-Z側)の端部と第2軸受91bとの間の寸法L2よりも小さい。なお、本実施形態において、寸法L1は、固定部52aの上側の端部と第1軸受91aの下側の端部との間の寸法である。寸法L2は、固定部52aの下側の端部と第2軸受91bの上側の端部との間の寸法である。第2軸受91bは、シャフト23の下側の部分を中心軸J回りに回転可能に支持する。
【0048】
軸方向において、第2軸受91bと板ばね支持面54aとの間には、板ばね96が配置される。板ばね96は、板ばね支持面54aと軸方向に接触する。板ばね96は、板ばね支持面54aによって、軸方向に支持される。板ばね96は、第2軸受91bに予圧を与える。
【0049】
本実施形態において、インペラ部60は、ロータ20およびシャフト23とともに中心軸J回りに周方向一方側(+θ側)に向けて回転する。図1に示すように、インペラ部60が中心軸J回りに周方向一方側に向けて回転すると、吸気口41dを介して、空気が送風機11の内部に取り込まれ、空気は複数の羽根64によって、インペラ部60から径方向外側、かつ、周方向一方側に送り出され、排気口40bを介して、遠心ファン10の外部に送り出される。
【0050】
次に、本実施形態において、スリーブ50にステータ30を固定するステータ固定工程について説明する。ステータ固定工程は、送風機11および遠心ファン10の製造工程の一部である。本実施形態において、ステータ固定工程は、スリーブ50にステータ30を取り付ける第1工程と、スリーブ50にブッシュ95を圧入する第2工程と、スリーブ50に第1軸受91a、第2軸受91bおよび板ばね96を取り付ける第3工程と、を含む。なお、本明細書において「作業者等」とは、各作業を行う作業者および組立装置等を含む。各作業は、作業者のみによって行われてもよいし、組立装置のみによって行われてもよいし、作業者と組立装置とによって行われてもよい。
【0051】
図4Aに示すように、第1工程では、作業者等は、まず、スリーブ50を治具99に取り付け、治具99によってスリーブ50を軸方向に支持する。本実施形態において、治具99は、略円筒状のスリーブ支持部99aを有する。作業者等は、スリーブ50を治具99の上側から下側に向けて移動させ、第2開口部50dを介して、スリーブ支持部99aを第2本体部56の内部に挿入する。スリーブ支持部99aの上側を向く面が板ばね支持面54aに接触すると、治具99によって、スリーブ50は軸方向に支持される。本実施形態によれば、スリーブ50は、第1部分52の下側、すなわち軸方向他方側(-Z側)に位置し第1部分52と軸方向に繋がる第3部分54を有し、第3部分54の内径は、ブッシュ95の外径よりも小さい。よって、板ばね支持面54aの径方向の寸法を大きくできるため、板ばね支持面54aの面積を大きくすることができる。したがって、スリーブ支持部99aの上側を向く面と板ばね支持面54aとが接触する面積を大きくすることができるため、治具99によって、スリーブ50を安定して軸方向に支持できる。
なお、第1工程に先立って、スリーブ50の下端に、第2ケース部42(図2参照)が予め固定されていてもよい。
【0052】
つぎに、作業者等は、予め、ステータコア31にインシュレータ32および複数のコイル33のそれぞれを装着したステータ30を、スリーブ50の上側から下側に向けて移動させる。これにより、図4Bに示すように、ステータコア31の内部にスリーブ50の第1本体部51を軸方向に通すことができる。なお、本実施形態において、ステータコア31の内径の寸法は、固定部52aの外径の寸法とほぼ同じ寸法である。そのため、ステータコア31の内部に第1本体部51を軸方向に通す際において、ステータコア31とスリーブ50との摩擦力を小さくでき、ステータコア31の内部に第1本体部51を容易に通すことができる。なお、ステータコア31の内径は、固定部52aの外径よりも僅かに大きくてもよい。この場合、ステータコア31とスリーブ50との摩擦力をより小さくできる。また、ステータコア31の内径は、固定部52aの外径よりも僅かに小さくてもよい。この場合、ステータコア31は、固定部52aに軽圧入される。
【0053】
作業者等が、ステータ30を下側に移動すると、ステータコア31の下側を向く面の径方向内縁部は、ステータ支持面50aと軸方向に接触する。すなわち、ステータコア31の少なくとも一部は、ステータ支持面50aと軸方向に接触する。これにより、スリーブ50に対するステータコア31の軸方向の位置が決まり、第1工程は終了する。
【0054】
第2工程は、スリーブ50にブッシュ95を圧入する工程である。まず、作業者等は、ブッシュ95をスリーブ50の上側から下側に向けて移動させて、図4Cに示すように、第1開口部50cを介して、スリーブ50の内部にブッシュ95を挿入する。このとき、ブッシュ95は、第1本体部51のうち第1部分52の内側面に圧入されつつ下側に向けて移動する。作業者等が、ブッシュ95を固定部52aの内側面と接触する位置まで移動させると、ブッシュ95は固定部52aの内側面に圧入される。その後、作業者等が、スリーブ50を治具99から取り外すと、第2工程は終了する。本実施形態によれば、スリーブ50は、ステータコア31が固定される固定部52aを有し、ブッシュ95は、固定部52aの内側面に圧入されている。そのため、固定部52aの内側面にブッシュ95が圧入されることによって、固定部52aには径方向外側を向く応力が加えられるため、固定部52aの外周面は径方向外側に広がる。これにより、固定部52aの外径が大きくなるため、固定部52aをステータコア31の内周面に圧入される。したがって、スリーブ50にステータコア31を強固に固定できる。
【0055】
また、本実施形態によれば、上述のように、第1工程において、ステータコア31の内部に第1本体部51を軸方向に通す際のステータコア31とスリーブ50との摩擦力を小さくできる。そのため、ステータコア31を固定部52aに圧入しつつ下側に移動する場合、すなわち、ステータコア31の内部に第1本体部51を軸方向に通す際のステータコア31とスリーブ50との摩擦力が大きい場合と比較して、ステータコア31およびスリーブ50の摩耗紛が発生することを好適に抑制できる。よって、ステータコア31およびスリーブ50の摩耗紛がステータ支持面50aに付着することを好適に抑制できるため、ステータコア31をステータ支持面50aに直接的に接触させ易い。これにより、スリーブ50に対するステータコア31の軸方向の位置を精度よく決めることができる。したがって、ステータコア31の軸方向の中心と磁石22の軸方向の中心とのずれを好適に抑制できるため、送風機11および遠心ファン10の駆動時における振動および騒音を抑制できる。
【0056】
また、本実施形態では、ステータコア31とスリーブ50とを接着剤によって固定する場合と比較して、接着剤がステータ支持面50aに付着することを抑制できる。そのため、ステータコア31をステータ支持面50aに直接的に接触させ易い。したがって、スリーブ50に対するステータコア31の軸方向の位置を精度よく決めることができるため、送風機11および遠心ファン10の駆動時における振動および騒音を抑制できる。
【0057】
また、本実施形態では、上述のように、スリーブ50に対するステータコア31の軸方向の位置を精度よく決めることができるため、軸方向おいて、回路基板70とステータコア31との間の隙間の寸法のばらつきを抑制できる。よって、軸方向において、回路基板70をステータコア31に近づけて配置できる。そのため、回路基板70に設けられる回転センサ71をロータ20の磁石22に近づけて配置できる。したがって、回転センサ71による磁石22の磁界の検出精度を高めることができ、ロータ20の中心軸J回りの回転を安定させることができる。
【0058】
本実施形態によれば、固定部52aの上側、すなわち軸方向一方側(+Z側)の端部は、ステータコア31の上側の端部よりも下側、すなわち軸方向他方側(-Z側)に配置される。よって、固定部52aにブッシュ95が圧入されることによって、固定部52aが径方向に変形しても、ステータコア31の上側の端部が径方向に変形することを抑制できる。これにより、径方向において、ステータコア31の外周面とロータ20の磁石22との間の隙間の寸法のばらつきを抑制できるため、送風機11および遠心ファン10の動作を安定させることができる。また、本実施形態では、図2に示すように、固定部52aの下側の端部は、ステータコア31の下側の端部よりも上側に配置される。したがって、ステータコア31の下側の端部が径方向に変形することを抑制できるため、径方向において、ステータコア31の外周面と磁石22との間の隙間の寸法のばらつきをより好適に抑制できる。そのため、送風機11および遠心ファン10の動作をより好適に安定させることができる。
【0059】
本実施形態によれば、図4Bに示すように、第1本体部51は、固定部52aを有し、固定部52aの外径は、第1本体部51のうち固定部52a以外の部分の外径よりも大きい。よって、第1工程において、ステータコア31の内部に第1本体部51を軸方向に通す際に、ステータコア31の内周面と第1本体部51のうち固定部52a以外の部分との摩擦力を低減できるため、ステータコア31の内部に第1本体部51をより容易に通すことができる。したがって、第1工程の作業の簡易化を図ることができるため、送風機11および遠心ファン10の製造工数が増大することを抑制できる。また、固定部52aの外径は、第1本体部51のうち固定部52a以外の部分の外径よりも大きいため、固定部52aをステータコア31に安定して圧入できる。
【0060】
本実施形態によれば、スリーブ50は、固定部52aを含む第1部分52と、第1部分52の上側、すなわち軸方向一方側(+Z側)に位置し第1部分52と軸方向に繋がる第2部分53と、を有し、第2部分53の内径は、ブッシュ95の外径よりも大きい。よって、第2工程において、スリーブ50の内部にブッシュ95を挿入する際における、ブッシュ95と第2部分53との摩擦力を低減できる。したがって、第2工程の作業の簡易化を図ることができるため、送風機11および遠心ファン10の製造工数が増大することを抑制できる。
【0061】
本実施形態によれば、ブッシュ95を構成する材料とスリーブ50を構成する材料とは互いに異なる。よって、ブッシュ95を構成する材料とスリーブ50を構成する材料とが互いに同じである場合と比較して、ブッシュ95を固定部52aに圧入する際の材料同士の固着を抑制できるため、ブッシュ95およびスリーブ50の摩耗紛の発生を抑制できる。そのため、送風機11および遠心ファン10の動作時等において、該摩耗粉が回路基板70に付着することを抑制でき、送風機11および遠心ファン10の動作の安定化を図ることができる。なお、上述の第2工程において、スリーブ50を治具99から取り外した後に、第2開口部50dを介して該摩耗紛を除去する工程を設けてもよい。これにより、ブッシュ95およびスリーブ50の摩耗紛が回路基板70に付着することをより好適に抑制できる。
【0062】
本実施形態によれば、スリーブ50の線膨張係数は、ブッシュ95の線膨張係数およびステータコア31の線膨張係数よりも大きい。よって、送風機11および遠心ファン10が、低温環境下において使用される場合において、ブッシュ95が熱収縮することを抑制できるため、ブッシュ95の外径が小さくなることを抑制できる。これにより、熱収縮によってスリーブ50の固定部52aの内径および外径が小さくなることを抑制できる。したがって、固定部52aの外周面からステータコア31の内周面に加えられる径方向外側を向く圧力が減少することを抑制できるため、ステータコア31をスリーブ50に強固に固定できる。また、送風機11および遠心ファン10が、高温環境下において使用される場合において、ステータコア31が熱膨張することを抑制できるため、ステータコア31の内径が大きくなることを抑制できる。これにより、熱膨張によって固定部52aの内径および外径が大きくなることを抑制できる。したがって、固定部52aの内周面からブッシュ95の外周面に加わる径方向内側を向く圧力が減少することを抑制できるため、ブッシュ95をスリーブ50に強固に固定できる。
【0063】
本実施形態によれば、軸方向において、固定部52aの上側、すなわち軸方向一方側(+Z側)の端部と第1軸受91aとの間の隙間の寸法L1は、固定部52aの下側、すなわち軸方向他方側(-Z側)の端部と第2軸受91bとの間の隙間の寸法L2よりも小さい。そのため、スリーブ50の第1部分52のうち、固定部52aよりも上側に位置する上側筒部52bの軸方向の寸法を小さくし易いため、第2工程において、ブッシュ95を第1本体部51の内周面に圧入しつつ、ブッシュ95を下側に移動させる距離を短くし易い。したがって、第2工程の作業の簡易化を図り易く、送風機11および遠心ファン10の製造工数が増大することを抑制し易くできる。
【0064】
第3工程は、スリーブ50に、第1軸受91a、第2軸受91bおよび板ばね96を取り付ける工程である。図4Cに示すように、作業者等は、第1軸受91aを、スリーブ50の上側から下側に向けて移動させ、板ばね96および第2軸受91bを、スリーブ50の下側から上側に向けて移動させる。このとき、板ばね96は、第2軸受91bよりも上側に位置する。これらにより、図4Dに示すように、第1軸受91aは、第1開口部50cを介してスリーブ50の内部に挿入され、第1軸受91aの下側を向く面の径方向外縁部が軸受支持面52dと軸方向に接触すると、スリーブ50に対する第1軸受91aの軸方向の位置が決まる。このとき、第1軸受91aは、第2部分53の内周面に固定される。また、板ばね96は、第2開口部50dを介して、スリーブ50の内部に挿入される。その後、第2軸受91bも、第2開口部50dを介して、スリーブ50の内部に挿入される。板ばね96が、板ばね支持面54aおよび第2軸受91bの両方と所定の圧力で接触するまで第2軸受91bを上側に移動させると、スリーブ50に対する第2軸受91bの軸方向の位置が決まるとともに、第2軸受91bには板ばね96から所定の予圧が付与される。このとき、第2軸受91bは、第2本体部56の内周面に固定される。第1軸受91a、第2軸受91bおよび板ばね96がスリーブ50に取り付けられると第3工程は終了し、ステータ固定工程が終了する。
【0065】
本実施形態によれば、スリーブ50は、第1部分52の下側、すなわち軸方向他方側(-Z側)に位置し第1部分52と軸方向に繋がる第3部分54を有し、第3部分54の内径は、ブッシュ95の外径よりも小さい。よって、スリーブ50の内径のばらつきおよびブッシュ95の外径のばらつきによって、スリーブ50に対するブッシュ95の締め代が小さい場合に、スリーブ50に対してブッシュ95が下側に移動しても、第3部分54と、ブッシュ95とが干渉するため、ブッシュ95が第3部分54よりも下側に移動することを抑制できる。したがって、ブッシュ95と第2軸受91bとが接触することを抑制できるため、送風機11および遠心ファン10の動作をより好適に安定させることができる。また、本実施形態では、上述のように、板ばね支持面54aの径方向の寸法を大きくできるため、板ばね支持面54aの面積を大きくすることができる。したがって、板ばね支持面54aによって、板ばね96を軸方向に安定的に支持できるため、第2軸受91bに予圧を安定的に付与できる。
【0066】
<第2実施形態>
図5は、第2実施形態の遠心ファン210の一部を示す断面図である。以下の説明において、上述の第1実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0067】
図5に示すように、本実施形態のスリーブ250は、第1溝部252gと、第2溝部252kと、を有する。より詳細には、第1溝部252gは、第1本体部251の第1部分252の上側の部分である上側筒部252bに設けられ、第2溝部252kは、第1部分252の下側の部分である下側筒部252cに設けられる。本実施形態のスリーブ250のその他の構成は、上述の第1実施形態のスリーブ50の構成と同様の構成である。
【0068】
第1溝部252gは、軸方向において、ブッシュ95と第1軸受91aとの間に位置する。第1溝部252gは、第1内周溝252hと、第1外周溝252iと、を有する。第1内周溝252hは、上側筒部252bの内周面から径方向外側に窪む溝である。第1内周溝252hは、上側筒部252bの内周面に沿って周方向に延びる。第1内周溝252hは、周方向一周に亘って設けられる。第1外周溝252iは、上側筒部252bの外周面から径方向内側に窪む溝である。本実施形態において、第1外周溝252iは、第1内周溝252hの上側に設けられる。第1外周溝252iは、第1内周溝252hの下側に設けられてもよい。第1外周溝252iは、上側筒部252bの外周面に沿って周方向に延びる。第1外周溝252iは、周方向一周に亘って設けられる。すなわち、本実施形態において、第1溝部252gは、スリーブ50の内周面および外周面の両方に周方向一周に亘って設けられる。
【0069】
本実施形態によれば、固定部52aの内周面にブッシュ95が圧入されることによって固定部52aに加えられる応力が上側筒部252bに伝わっても、係る応力を第1内周溝252hの内側面および第1外周溝252iの内側面に集中させることができる。これにより、固定部52aに加えられる応力が、第1溝部252gよりも上側に伝わることを抑制できるため、軸受支持面52dが向く向き、および第2部分53の内周面が向く向きが変動することを抑制できる。そのため、シャフト23に対する第1軸受91aの軸方向および径方向の位置が変動することを抑制できる。したがって、ロータ20およびインペラ部60を中心軸J回りに安定して回転させることができるため、送風機211および遠心ファン210の動作を安定させることができる。
【0070】
第2溝部252kは、軸方向において、ブッシュ95と第2軸受91bとの間に位置する。第2溝部252kは、第2内周溝252mと、第2外周溝252nと、を有する。第2内周溝252mは、下側筒部252cの内周面から径方向外側に窪む溝である。第2内周溝252mは、下側筒部252cの内周面に沿って周方向に延びる。第2内周溝252mは、周方向一周に亘って設けられる。第2外周溝252nは、下側筒部252cの外周面から径方向内側に窪む溝である。本実施形態において、第2外周溝252nは、第2内周溝252mの下側に設けられる。第2外周溝252nは、第2内周溝252mの上側に設けられてもよい。第2外周溝252nは、下側筒部252cの外周面に沿って周方向に延びる。第2外周溝252nは、周方向一周に亘って設けられる。すなわち、本実施形態において、第2溝部252kは、スリーブ50の内周面および外周面の両方に周方向一周に亘って設けられる。
【0071】
本実施形態によれば、固定部52aの内周面にブッシュ95が圧入されることによって固定部52aに加えられる応力が下側筒部252cに伝わっても、係る応力を第2内周溝252mの内側面および第2外周溝252nの内側面に集中させることができる。これにより、固定部52aに加えられる応力が、第2溝部252kよりも下側に伝わることを抑制できるため、第2本体部56の内周面が向く向きが変動することを抑制できる。したがって、シャフト23に対する第2軸受91bの軸方向および径方向の位置が変動することを抑制できるため、ロータ20およびインペラ部60を中心軸J回りにより好適に安定して回転させることができ、送風機211および遠心ファン210の動作をより好適に安定させることができる。
【0072】
なお、本実施形態では、第1溝部252gは、第1内周溝252hおよび第1外周溝252iの2個の溝を有しているが、第1溝部252gは、第1内周溝252hまたは第1外周溝252iのいずれか一方のみを有していてもよい。この場合においても、固定部52aに加えられる応力が、第1溝部252gよりも上側に伝わることを抑制できる。また、本実施形態では、第2溝部252kは、第2内周溝252mおよび第2外周溝252nの2個の溝を有しているが、第2溝部252kは、第2内周溝252mまたは第2外周溝252nのいずれか一方のみを有していてもよい。この場合においても、固定部52aに加えられる応力が、第2溝部252kよりも下側に伝わることを抑制できる。なお、第1溝部252gおよび第2溝部252kは、それぞれ、3個以上の溝を有していてもよい。
【0073】
以上に、本発明の一実施形態を説明したが、実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。例えば、上述した実施形態に示した送風機、および遠心ファンの用途は、特に限定されない。
【0074】
スリーブ50の構成は本実施形態に限定されず、例えば、固定部の外径は、第1本体部のうち固定部以外の部分の外径と同じ外径であってもよい。この場合においても、ステータコアおよびスリーブの摩耗紛が発生することを好適に抑制でき、ステータコアおよびスリーブの摩耗紛がステータ支持面に付着することを好適に抑制できるとともに、ステータコアを固定部に強固に固定できる。また、第1本体部のうち固定部以外の部分の内径は、固定部の内径より大きくてもよい。この場合、ブッシュをスリーブの内部に挿入する際に、ブッシュとスリーブとを圧入する軸方向の距離を短くできるため、第2工程の作業の簡易化を図ることができる。
また、第3部分の内径の寸法は、第1本体部の内径の寸法と同じ寸法であってもよいし、第1本体部の内径の寸法より大きくてもよい。
【0075】
なお、本技術は以下のような構成をとることが可能である。
(1) 中心軸を中心とする筒状のロータケースを有し、中心軸を中心に回転するロータと、前記ロータケースの径方向内側に位置し、前記中心軸を中心として軸方向に延び、径方向外側に広がるステータ支持面を有する筒状のスリーブと、前記スリーブの内側面側に配置され、前記ロータを回転可能に支持する軸受と、前記スリーブの内側面側に配置される環状のブッシュと、前記ロータケースの径方向内側に位置し、前記スリーブを径方向外側から囲む環状のステータコアと、前記ロータと固定され、前記中心軸を中心に回転するインペラ部と、を備え、前記スリーブは、前記ステータコアが固定される固定部を有し、前記ステータコアの少なくとも一部は、前記ステータ支持面と軸方向に接触し、前記ブッシュは、前記固定部の内側面に圧入されている、送風機。
(2) 前記軸受は、前記ブッシュよりも軸方向一方側に配置される第1軸受を備え、前記スリーブは、軸方向において前記ブッシュと前記第1軸受との間に位置する第1溝部を有し、前記第1溝部は、前記スリーブの内周面および前記スリーブの外周面の少なくとも一方に、周方向一周に亘って設けられる、(1)に記載の送風機。
(3) 前記軸受は、前記ブッシュよりも軸方向他方側に配置される第2軸受をさらに備え、前記スリーブは、軸方向において、前記ブッシュと前記第2軸受との間に位置する第2溝部を有し、前記第2溝部は、前記スリーブの内周面および前記スリーブの外周面の少なくとも一方に、周方向一周に亘って設けられる、(2)に記載の送風機。
(4) 軸方向において、前記固定部の軸方向一方側の端部と前記第1軸受との間の隙間の寸法は、前記固定部の軸方向他方側の端部と前記第2軸受との間の隙間の寸法よりも小さい、(3)に記載の送風機。
(5) 前記固定部の軸方向一方側の端部は、前記ステータコアの軸方向一方側の端部よりも軸方向他方側に配置される(1)から(4)のいずれか一項に記載の送風機。
(6) 前記スリーブは、前記ステータ支持面よりも軸方向一方側に位置する第1本体部と、前記ステータ支持面よりも軸方向他方側に位置する第2本体部と、を有し、前記第1本体部は、前記固定部を有し、前記固定部の外径は、前記第1本体部のうち前記固定部以外の部分の外径よりも大きい、(1)から(5)のいずれか一項に記載の送風機。
(7) 前記スリーブは、前記固定部を含む第1部分と、前記第1部分の軸方向一方側に位置し前記第1部分と軸方向に繋がる第2部分と、を有し、前記第2部分の内径は、前記ブッシュの外径よりも大きい、(1)から(6)のいずれか一項に記載の送風機。
(8) 前記スリーブは、前記第1部分の軸方向他方側に位置し前記第1部分と軸方向に繋がる第3部分を有し、前記第3部分の内径は、前記ブッシュの外径よりも小さい、(7)に記載の送風機。
(9) 前記ブッシュを構成する材料と前記スリーブを構成する材料とは互いに異なる、(1)から(8)のいずれか一項に記載の送風機。
(10) 前記スリーブの線膨張係数は、前記ブッシュの線膨張係数および前記ステータコアの線膨張係数よりも大きい、(1)から(9)のいずれか一項に記載の送風機。
(11) (1)から(10)のいずれか一項に記載の送風機と、前記送風機を収容するケースと、を備える遠心ファン。
【符号の説明】
【0076】
10,210…遠心ファン、11,211…送風機、20…ロータ、21…ロータケース、31…ステータコア、40…ケース、50,250…スリーブ、50a…ステータ支持面、51,251…第1本体部、52,252…第1部分、52a…固定部、53…第2部分、54…第3部分、56…第2本体部、60…インペラ部、91…軸受、91a…第1軸受、91b…第2軸受、95…ブッシュ、252g…第1溝部、252k…第2溝部、J…中心軸
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5