(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049520
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】指装着型コントローラー
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0338 20130101AFI20240403BHJP
G06F 3/0354 20130101ALI20240403BHJP
【FI】
G06F3/0338
G06F3/0354 450
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155781
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000231361
【氏名又は名称】NISSHA株式会社
(72)【発明者】
【氏名】渡津 裕次
(72)【発明者】
【氏名】三浦 農
(72)【発明者】
【氏名】土谷 真一
(72)【発明者】
【氏名】繁成 拓渡
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 真憂弥
(72)【発明者】
【氏名】福田 健悟
(72)【発明者】
【氏名】大場 芙美
【テーマコード(参考)】
5B087
【Fターム(参考)】
5B087AA03
5B087AA06
5B087AA09
5B087AB02
5B087BC06
(57)【要約】
【課題】 ユーザーの身体や手の動きの阻害を最小限とし、かつ、多様な操作情報を入力することができる、指装着型コントローラーを提供する。
【解決手段】 本発明の指装着型コントローラー1は、ユーザーの指2に嵌めて外部電子デバイスをコントロールする指装着型コントローラーであって、ユーザーの第1の指21を受け入れるための第1の開口部4aを有している装着部材4と、装着部材4の外側面に少なくとも部分的に配置され、そのアクティブエリア5aにて3軸の力を検出するように構成されたフィルム状の第1のセンサー5と、第1のセンサー5を被覆する保護層6と、装着部材4内に収容され、第1のセンサー5に電気的に接続された制御回路と、7に収容され、制御回路7に電気的に接続されて外部電子デバイスと通信するように構成された無線送受信器8と、装着部材4内に収容され、制御回路7に電力を供給する電池9と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーの指に嵌めて外部電子デバイスをコントロールする指装着型コントローラーであって、
前記ユーザーの第1の指を受け入れるための第1の開口部を有している装着部材と、
前記装着部材の外側面に少なくとも部分的に配置され、そのアクティブエリアにて3軸の力を検出するように構成されたフィルム状の第1のセンサーと、
前記第1のセンサーを被覆する保護層と、
前記装着部材内に収容され、前記第1のセンサーに電気的に接続された制御回路と、
前記装着部材内に収容され、前記制御回路に電気的に接続されて前記外部電子デバイスと通信するように構成された無線送受信器と、
前記装着部材内に収容され、前記制御回路に電力を供給する電池と、
を備える、指装着型コントローラー。
【請求項2】
前記装着部材が、指輪形状である、請求項1記載の指装着型コントローラー。
【請求項3】
前記装着部材が、指サック形状である、請求項1記載の指装着型コントローラー。
【請求項4】
前記第1のセンサーの前記アクティブエリアが、前記ユーザーの第1の指の指先の腹に位置する、請求項3記載の指装着型コントローラー。
【請求項5】
前記第1の指が、前記ユーザーの片手の親指以外の4本の指のうちのいずれか1つであり、
前記第1のセンサーの前記アクティブエリアが、同じ手の前記親指にて触れることができる箇所に位置する、請求項1記載の指装着型コントローラー。
【請求項6】
前記保護層が、前記第1のセンサーの前記アクティブエリア上だけ肉厚となって凸部を形成している、請求項5記載の指装着型コントローラー。
【請求項7】
前記装着部材の外側面に、前記親指以外の4本の指のうちのいずれか1つであって前記第1の指と隣り合う第2の指と対向するように配置され、前記第1の指と前記第2の指との間の押圧又は接触の有無を検出するように構成された第2のセンサーをさらに備え、
前記制御回路が、前記第2のセンサーに電気的に接続され、前記第2のセンサーによって押圧又は接触が無いと検出されたときは、押圧又は接触があると検出されたときに比べて電力消費の少ない状態になるように前記第1のセンサーを制御する、請求項5記載の指装着型コントローラー。
【請求項8】
前記電力消費の少ない状態が、前記第1のセンサーによる検出を行なわない状態である、請求項7記載の指装着型コントローラー。
【請求項9】
前記電力消費の少ない状態が、前記第1のセンサーによる検出間隔を長くした状態である、請求項7記載の指装着型コントローラー。
【請求項10】
前記第1の指が、前記ユーザーの片手の親指以外の4本の指のうちのいずれか1つであり、
前記第1のセンサーの前記アクティブエリアが、同じ手の前記親指にて触れることができる箇所に位置し、
前記装着部材が、同じ手の前記親指及び前記第1の指以外の3本の指のうちのいずれか1つであって前記第1の指と隣り合う第2の指を受け入れるための第2の開口部を有している、請求項2記載の指装着型コントローラー。
【請求項11】
前記第1のセンサーが、さらに接触又は近接の有無を検出するタッチセンサ機能も有する、請求項1記載の指装着型コントローラー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザーの身体や手の動きの阻害を最小限とし、かつ、多様な操作情報を入力することができる、指装着型コントローラーに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ARやVR、MR、SRなど、現実世界の情報にデジタル情報を融合させる画像処理技術の活用が盛んにおこなわれている。それらの技術を総称してxRと呼んでいる。xR技術を活用することで、仮想空間内で実際に手を動かして機械を操作しているような体験ができたり、過去や架空の世界を実際に歩いているかのような体験ができたりする。
例えば、アミューズメント施設で、ゴーグルをつけて乗り物に乗ると、実際には飛んでいないのに空を飛んでいるかのような感覚を味わえるアトラクションがある。他にも、スマートフォンのカメラで風景を撮影すると、現実ではそこに居ないキャラクターが現れたりするゲームなどもある。アミューズメント分野だけにとどまらず、xR技術は工業や教育、医療、小売業など、様々な分野への活用が進んでいる。
【0003】
AR(Augmented Reality:拡張現実)は、現実世界の情報にCGやテキストなどのデジタル情報を重ね合わせる技術である。スマートフォンやタブレット端末などにより撮影された画像に、CGで描かれたキャラクターや建造物を重ね合わせることで、現実にその場にあるかのような体験ができる。
VR(Virtual Reality:仮想現実)は、CGや特殊効果を用いた画像などを使って仮想世界を作り、仮想空間内で現実世界と同じように活動しているような体験ができる。ユーザーはヘッドマウントディスプレイや専用のコントローラーなどを用いて仮想空間内の画像を見たり、操作をおこなったりする。
MR(Mixed Reality:複合現実)は、現実世界の情報にデジタル情報を重ね合わせる点はARと同じだが、仮想空間内に現実の世界のデータを重ねるなど、現実の世界と仮想の世界がより複合的に重なり合わさる。ヘッドマウントディスプレイなどを用いて、同じ仮想空間内で現実世界のように複数の人間で会話や共同作業をおこなったり、現実世界の映像を仮想空間内で鑑賞したりすることができる。
SR(Substitutional Reality:代替現実)は、仮想世界の情報を現実世界の別の情報に置き換えて認識させることで、別の現実世界の情報を今の現実世界の情報として認識させる技術である。例えば、ヘッドマウントディスプレイを使い、過去や別の場所の360°映像を見せることで、現実にその場にいるような体験ができる。
【0004】
xRでは、より没入感を増したり、人の動きをリアルタイムで仮想世界に取り込んだりするためのインターフェースが各種開発されている。インターフェースは主に情報を受け取る側のインターフェースと、現実世界の情報をデジタル情報として入力するインターフェースに分けられる。
【0005】
まず、情報を受け取る側のインターフェースとしては、例えば、ヘッドマウントディスプレイやスマートグラスなどがある。
ヘッドマウントディスプレイは、頭部に装着するディスプレイの総称であり、ゴーグル型やメガネ型など各種の形状がある。ジャイロセンサーや角速度センサーなどにより、装着している人がどちらの方向に顔を向けているか検知し、それに合わせた画像を投影する。これにより、ディスプレイに映し出された仮想空間内で、現実世界と同じように視線を360度動かす体験ができる。ディスプレイ部分は、装着すると全く周囲が見えない非透過のものや、カメラにより外部の画像も確認できるもの、ディスプレイが半透明で外部も同時確認できるものもある。
スマートグラスは、メガネ型のヘッドマウントディスプレイの一種で、カメラと網膜投射型のディスプレイを備えており、通常のメガネのように軽量で小型である。ゴーグル型のヘッドマウントディスプレイとは異なり、周囲の景色が確認できるので、現実世界にデジタル情報を表示するARで主に利用される。例えば、操作手順を装置ごとに表示して、作業者の動きを補助するといったことがおこなわれている。
【0006】
一方、情報を入力するインターフェースとしては、例えば、加速度センサーやジャイロセンサーを搭載したコントローラーや、その他にもモーションセンサー、グローブ型センサー、触覚センサーなどがある。
手術シミュレーターのように複雑な操作を行なうシステムでは、そのシステム専用のコントローラーが必要になる(特許文献1参照)。このようなコントローラーで物体を動かす、ひねる、回転させるといった動作を入力する目的で、XY方向の2次元の動きと、Zやθ方向の動きを検知する加速度センサーやジャイロセンサーが活用されている。
モーションセンサーは、人の体の各部に取り付けたセンサーから、体の動きを検出する(特許文献2参照)。体の動きをより正確にリアルタイムで検出できるので、仮想世界のキャラクターの動きを滑らかにできる。
グローブ型センサーは、人の手にはめて使用するセンサーである。指関節の細かい動きを検知することで、仮想世界内で、実際に手で掴むように物を取ったり離したりすることができるようになる(特許文献3参照)。また、仮想空間上のキーボードを現実世界のように操作するなど、細かい作業が可能になる。
触覚センサーは、接触表面にかかる力や温度などを測れるセンサーである。通常はZ方向の力のみ検知するセンサーが使われることも多いが、3軸(XYZ方向)の力を検出できる3軸力覚センサーもある。3軸方向の力を接触点で測定することで、押す力(圧力)や滑りかけの状態、滑っている状態などを検知することが出来、より人間の触覚に近い挙動を検知する事ができる。例えば、物体の表面に指先を載せて滑らせたときにその指先が物体を摩擦する感覚や、ドライバーでネジを回し入れているときの握力と摩擦力の変化などが挙げられる。また、触覚センサーには薄いシート型のものも有る。このシートセンサーを床に敷き詰めることで、地面を踏みしめている足圧や、足の裏に生じる摩擦力が検知できる。動きだけでなく、力の変化も仮想空間に反映できるので、よりリアルに動作の入力が可能になる(特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2020-515891号公報
【特許文献2】特表2017-511906号公報
【特許文献3】特開平09-054540号公報
【特許文献4】特表2021-511133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、xRでは、一般的にユーザーにヘッドマウントディスプレイを装着させ、目を覆うディスプレイ画面にコンピューターが作り出す映像を表示し、ユーザーにxR体験をさせる。そのとき、ディスプレイ画面に表示される項目選択や文字入力の要求に対してユーザーが情報を入力する必要があるため、手に持つコントローラーが必要である。
ところが、xRでは、ヘッドマウントディスプレイなどのディスプレイ画面に表示される仮想物体やディスプレイを透過して見える現実世界の物体をユーザーが手で操ったり、ユーザーが実際に実空間で身体を動かすことによって仮想空間内を動き回ったりすることがある。例えば、現地の工場にいる機械の組み立て工程の作業者にヘッドマウントディスプレイを装着させ、その作業者が、現実世界の組み立て部品をディスプレイ越しに確認しながら、遠く離れた本社拠点から作業内容についての指示やサポートをディスプレイ画面で受け、手に握った工具で順序よくネジ締めなどの操作をする場合などである。この場合、上記した入力の必要性によりコントローラーを手に握っていると、作業者の身体や手の動きが阻害され、作業に支障をきたすという問題が生ずる。
【0009】
したがって、本発明は、上記の課題を解決し、ユーザーの身体や手の動きの阻害を最小限とし、かつ、多様な操作情報を入力することができる、指装着型コントローラーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
本発明の一見地に係る指装着型コントローラーは、ユーザーの指に嵌めて外部電子デバイスをコントロールするものである。指装着型コントローラーは、装着部材、第1のセンサー、保護層、制御回路、無線送受信器及び電池を備える。装着部材は、ユーザーの第1の指を受け入れるための第1の開口部を有している。第1のセンサーは、装着部材の外側面に少なくとも部分的に配置された、フィルム状のセンサーである。また、第1のセンサーは、そのアクティブエリアにて3軸の力を検出するように構成されている。保護層は、第1のセンサーを被覆している。制御回路は、装着部材内に収容され、第1のセンサーに電気的に接続されている。無線送受信器は、装着部材内に収容され、制御回路に電気的に接続されて外部電子デバイスと通信するように構成されている。電池は、装着部材内に収容され、制御回路に電力を供給している。
このように構成された指装着型コントローラーは、コントローラーを手に握っている必要がないので、操作時にユーザーの身体や手の動きの阻害を最小限することができる。しかも、3軸の力を検出するので、指装着型コントローラーを装着していない指1本で、多様な操作情報を入力することができる。
【0011】
上述の装着部材は、指輪形状や指サック形状とすることができる。
【0012】
装着部材が指サック形状の場合、上述の第1のセンサーのアクティブエリアは、ユーザーの第1の指の指先の腹に位置してもよい。
このように構成された指装着型コントローラー1を装着した指の指先の腹を、机、又は、身体の何処か(例えば太ももやもう指装着型コントローラーを装着していない方の手の甲など)に押し当てることで、入力ができる。
ことができる。
【0013】
また、上述の第1の指が、ユーザーの片手の親指以外の4本の指のうちのいずれか1つであり、上述の第1のセンサーのアクティブエリアが、同じ手の親指にて触れることができる箇所に位置していてもよい。
このように構成された指装着型コントローラーは、片手での操作が容易である。
【0014】
第1のセンサーを親指にて操作する場合、保護層が、第1のセンサーのアクティブエリア上だけ肉厚となって凸部を形成していてもよい。
このように構成された指装着型コントローラーは、ユーザーが目視することなく、親指で触った感触だけで第1のセンサーのアクティブエリアの場所を容易に認識することができる。
【0015】
また、第1のセンサーを親指にて操作する場合、装着部材の外側面に、親指以外の4本の指のうちのいずれか1つであって第1の指と隣り合う第2の指と対向するように配置され、第1の指と第2の指との間の押圧又は接触の有無を検出するように構成された第2のセンサーをさらに備えていてもよい。第2のセンサーにも制御回路が電気的に接続され、第2のセンサーによって押圧又は接触が無いと検出されたときは、押圧又は接触があると検出されたときに比べて電力消費の少ない状態になるように第1のセンサーを制御する。
このように構成された指装着型コントローラーは、第2のセンサーによって押圧又は接触が無いと検出されたときは、押圧又は接触があると検出されたときに比べて電力消費の少ない状態になるように第1のセンサーを制御することができる。ここで、電力消費の少ない状態とは、例えば、第1のセンサーによる検出を行なわない状態や、第1のセンサーによる検出間隔を長くした状態である。
【0016】
また、前述のように装着部材が指輪形状の場合、装着部材が、第2の開口部を有していてもよい。第2の開口部は、同じ手の親指及び第1の指以外の3本の指のうちのいずれか1つであって第1の指と隣り合う第2の指を受け入れるためのものである。
このように構成された指装着型コントローラーは、その感圧面に対して第1の指の周囲方向にせん断力を加えたときに、第2の開口部に差し込まれた第2の指がストッパーの役割を果たし、装着部材が第1の指の周囲を回転することを防止できる。
ことができる。
【0017】
また、第1のセンサーは、アクティブエリアにて少なくとも面内方向に加えられたせん断力及び面の法線方向に加えられた押圧力を検出するだけでなく、さらに接触又は近接の有無を検出するタッチセンサー機能を有していてもよい。
このように構成された指装着型コントローラーは、入力できる操作情報の多様性を拡大することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の指装着型コントローラーによれば、ユーザーの身体や手の動きの阻害を最小限とし、かつ、多様な操作情報を入力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係る指装着型コントローラー(指輪形状)の一構成例とその装着例を示す説明図である。
【
図2】本発明に係る指装着型コントローラー(指輪形状)の一構成例を示す模式断面図である。
【
図3】
図1に示す指装着型コントローラー(指輪形状)の操作例を示す説明図である。
【
図4】本発明に係る指装着型コントローラー(指輪形状)の別の装着例を示す説明図である。
【
図5】本発明に係る指装着型コントローラー(指輪形状)の別の構成例を示す模式断面図である。
【
図6】本発明に係る指装着型コントローラー(指輪形状)の別の構成例を示す模式断面図である。
【
図7】本発明に係る指装着型コントローラー(指サック形状)の一構成例とその操作例を示す説明図である。
【
図8】本発明に係る指装着型コントローラー(指サック形状)の別の構成例とその装着例を示す説明図である。
【
図9】
図8(b)に示す指装着型コントローラー(指サック形状)の操作例を示す説明図である。
【
図10】本発明に係る指装着型コントローラーの操作面に対する前後左右の定義を示す図である。
【
図11】本発明に係る指装着型コントローラーを用いたフリックライク操作によるひらがな入力の一例を説明する図である
【
図12】本発明に係る指装着型コントローラーを用いたフリックライク操作によるひらがな入力の別の例を説明する図である
【
図13】本発明に係る指装着型コントローラーを用いたフリックライク操作によるひらがな入力の別の例を説明する図である
【
図14】タッチセンサー機能を利用した文字入力に関連する操作の一例を説明する図である。
【
図15】本発明に係る指装着型コントローラー(指輪形状)の変形例を示す模式断面図である。
【
図16】本発明に係る指装着型コントローラーを用いたリングメニューによる多階層項目選択の一例を説明する図である。である。
【
図17】タッチセンサー機能を利用した項目選択に関連する操作の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の実施形態では、本発明の指装着型コントローラーを適用した場合について説明する。
本発明の指装着型コントローラーの適用範囲は、「背景技術」の項で説明したxR用途に限定されない。コントローラーを手に持っていると、作業者の身体や手の動きが阻害され、作業に支障をきたすような場面で使用する用途であれば、xR用途以外にも適用することができる。例えば、運転作業中の自動車のオーディオ若しくは電話システムや、他のそのような場面での外部電子デバイスを制御するために、指装着型コントローラーを使用することができる。
また、本明細書で使用される場合、用語「指」は、いずれかの手の親指、人差し指、中指、薬指、及び小指を含むユーザーの任意の指を意味する。好ましくは、本発明の指装着型コントローラーはユーザの利き手に装着される。
【0021】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を、図面に基づき説明する。
1.指装着型コントローラーの構造
図1は、本発明に係る指装着型コントローラー(指輪形状)の一構成例とその装着例を示す説明図である。
図2は、本発明に係る指装着型コントローラー(指輪形状)の一構成例を示す模式断面図である。
第1実施形態の指装着型コントローラー1は、指輪形状をしており、
図1に示すように、ユーザーの指2に嵌めて外部電子デバイスをコントロールするものである。指装着型コントローラー1は、
図2に示すように、装着部材4、第1のセンサー5、保護層6、制御回路7、無線送受信器8及び電池9を備える。
【0022】
(1)装着部材
装着部材4は、ユーザーの第1の指21を受け入れるための第1の開口部4aを有している。第1の指21は、ユーザーの片手の親指以外の4本の指のうちのいずれか1つとすることができるが、
図1及び
図2に示す例では第1の指21は人差し指である。
第1の開口部4aの内周面は、指装着型コントローラー1が使用中に第1の指21から抜け落ちないように、ユーザーの第1の指21に合わせた内径や形状を有するようにするのが好ましい。
また、装着部材4の外側面は、少なくとも第1のセンサー5を配置する箇所に滑らかな平面又は柱面(
図2参照)を有している。
さらに、装着部材4は、
図2に示すように、制御回路7、無線送受信器8及び電池9を内部に収容する空間4cと、当該空間4cに収容された制御回路7から外側面に配置された第1のセンサー5への配線の取り出し口4dを有している。
【0023】
装着部材4の材料としては、例えば、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、AN樹脂などの汎用樹脂を挙げることができる。また、ポリフェニレンオキシド・ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリカーボネート変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、超高分子量ポリエチレン樹脂などの汎用エンジニアリング樹脂やポリスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリイミド樹脂、液晶ポリエステル樹脂、ポリアリル系耐熱樹脂などのスーパーエンジニアリング樹脂を使用することもできる。これらの樹脂を用いた装着部材4は、単一の樹脂成形品からなってもよいし、複数の樹脂層からなる樹脂成形品であってもよい。さらに、これらの樹脂を用いた装着部材4は、複数の樹脂成形品の組み立て品であってもよい。
とくに、第1の開口部4aの内周面となる部分は、ポリエステル系、オレフィン系、ウレタン系、ポリアミド系などの熱可塑性エラストマー樹脂を用いるのが、ユーザーの第1の指21に合わせる変形性に優れているため好ましい。
また、装着部材4の材料として、金属、木材、ガラス、セラミックなどをもいることもできる。さらに、これらと樹脂成形品との複合品又は組み立て品であってもよい。
なお、第1の開口部4aの内周面となる部分が変形性に乏しい材料からなる場合は、第1の開口部4aの内径や形状が異なる2以上の指装着型コントローラー1のラインナップから、ユーザーの第1の指21に合ったものを選ぶことになる。あるいは、第1の開口部4aの内周面となる部分だけを異なる内径や形状のものに交換可能としたり、第1の開口部4aの内周面に隙間調整材を購入後に付加できるようにしたりしてもよい。
【0024】
(2)第1のセンサー
第1のセンサー5は、装着部材4の外側面に少なくとも部分的に配置された、フィルム状の3軸力覚センサーである。
3軸力覚センサーとは、そのアクティブエリア5aにて、指先が押す力(圧力)と滑る力(摩擦力)を同時に検出するものである。摩擦力は方向だけでなく大きさも測定できるので、ボリュームやスピードなどの大きさをインプットすることもできる。ジョイスティック、十字キーやマウスなどの他のユーザーインターフェース(UI)に比べて、ほんのわずかの指の動きで方向と移動量を同時に入力することが可能である。フィルム状の3軸力覚センサーとしては、静電容量式、圧電式やひずみゲージ式などや、その他の公知のものを採用することができる。
また、第1のセンサー5は、フィルム状であるので、
図2に示すような柱面にも実装が可能である。
【0025】
また、本実施形態における第1のセンサー5は、アクティブエリア5aにて3軸の力を検出するだけでなく、さらに接触又は近接の有無を検出するタッチセンサー機能も有している。そのため、入力できる操作情報の多様性がさらに拡大している。ここで、タッチセンサー機能を有する例としては、3軸力覚センサーの外部にタッチセンサー電極を積層付加したもの、3軸力覚センサーの内部にその電極と並列にタッチセンサー電極を付加したもの 3軸力覚センサーの電極の一部をタッチセンサー電極として兼用したものなどが挙げられる。
【0026】
第1のセンサー5のアクティブエリア5aは、正方形、長方形、円形又は楕円形などの任意の形状とすることができる。また、第1のセンサー5のアクティブエリア5aは、その最大幅で15~20mm程度とすることができる。
【0027】
なお、第1のセンサー5のアクティブエリア5aは、指装着型コントローラー1を装着した第1の指21と同じ手の親指22にて触れることができる箇所に位置する。例えば、第1のセンサー5のアクティブエリア5aは、第1の指21の親指22側の横腹、あるいは当該横腹から腹にかけて設けるのが親指22で操作しやすい。
図1に示す例では、第1の指21である人差し指の第1関節と第2関節との間の横腹から腹にかけて設けられている。
【0028】
(3)保護層
第1のセンサー5は、
図2に示すように、保護層6で被覆されている。
保護層6は、力の加えられる第1のセンサー5を保護するものである。保護層6の上面が親指22との接触面、すなわち感圧面になっている。
保護層6の材質としは、ウレタン、シリコーン、エポキシ、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ブタジエンなどで作成されたゴムシートや、フォーム材などが挙げられる。誘電率を上げるために、これらに粉末カーボン等を添加してもよい。保護層6の被覆は、これらゴムシートやフォーム材を貼合することによって行う。、第1のセンサー5を貼合した装着部材4を成形型に設置して液状のゴム材料などを流し込んで成型するインサート成型などによっておこなってもよい。保護層6の厚みは、その最も厚い箇所で5mm以下が好ましい。厚みが5mmを超えると、指装着型コントローラー1が嵩高くなり、それを第1の指21に嵌めた手で他の作業をするのに支障をきたす。また、保護層6の厚みは、その最も薄い箇所で0.5mm以上が好ましい。厚みが0.5mmに満たないと、第1のセンサー5を十分に保護できなくなる。
さらに、保護層7として意匠シートやレザー、ゴム、布などを貼り合わせることで、デザイン性を付与することもできる。
【0029】
なお、本実施形態の保護層6は、
図2に示すように、第1のセンサー5のアクティブエリア5a上だけ肉厚となって凸部6aを形成している。
保護層6が凸部6aを有することによって、ユーザーが指装着型コントローラー1を目視することなく、親指22で触った感触だけで第1のセンサー5のアクティブエリア5aの場所を容易に認識することができる。凸部6aの高さは、0.5mm~2mmで形成するのが好ましい。
【0030】
(4)制御回路
制御回路7は、装着部材4内に収容され、第1のセンサー5に電気的に接続されている。
制御回路7としては、CPUやその他の電子部品により形成されている。制御回路7は、第1のセンサー5のほか指装着型コントローラー1の種々の動作を制御する。
【0031】
(5)無線送受信器
無線送受信器8は、装着部材4内に収容され、制御回路7に電気的に接続されて外部電子デバイス3と通信するように構成されている。
通信する外部電子デバイス3としては、例えば、xRで使用するヘッドマウントディスプレイ(
図3参照)やスマートグラスのほか、スマートテレビ、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、自動車のオーディオシステム、家庭用、仕事用、若しくは環境用自動制御装置、又は任意の他のそのようなデバイス若しくはシステムとすることができるが、これらに限定されない。
無線送受信器8は、WI-FI(登録商標)、BLUETOOTH(登録商標)、NFC、などの無線LANを介して外部電子デバイスと通信する。無線送受信器8は、一方向又は双方向で通信することができる。なお、指装着型コントローラー1は、同時又は個々のいずれかで、複数の外部電子デバイス3を制御することもできる。
【0032】
(6)電池
電池9は、装着部材4内に収容され、制御回路7に電力を供給している。
電池9としては、リチウム電池などの再充電式電池を用いることができる。再充電式電池の場合、ユーザーはUSBを通じて、あるいは指装着型コントローラー1を充電パッドの上に置くだけで、充電することができる。また、電池9として非充電式電池を用い、装着部材4内より取り出し交換するようにしてもよい。
【0033】
2.指装着型コントローラーの操作
図3は、
図1に示す指装着型コントローラー(指輪形状)の操作例を示す説明図である。
指装着型コントローラー1は、
図3に示すように、第1のセンサー5のアクティブエリア5aを親指22で触って操作する。親指22でアクティブエリア5aの接触面をZ軸方向に押す場合には圧力を検出し、親指22をアクティブエリア5aの接触面上でXY方向に滑らせると摩擦力を検出して、外部電子デバイス3をコントロールする。
【0034】
操作の一例について、下記に説明する。
前提として、第1のセンサー5のアクティブエリア5aにおける操作面の前後左右方向(
図10参照)を、外部電子デバイスのGUI(Graphical User Interface)の上下左右方向に対応させると定義する。xR用途の場合、外部電子デバイス3はヘッドマウントディスプレイである。第1のセンサー5に検出される摩擦力から、操作面の前後左右のどの方向に入力したかを検出する。
【0035】
(1)フリックライク操作による文字入力
図11~
図13は、それぞれフリックライク操作によるひらがな入力の一例を示す図である。
図11は“あ”を入力する場合、
図12は“え”を入力する場合、
図13は“!”を入力する場合である。
【0036】
“あ”を入力する場合、まず操作面に親指22が触れたことを第1のセンサー5で検知し、ひらがなや記号の書かれた3×4=12区画321(GUI32)がヘッドマウントディスプレイの画面31に表示される。最初は、画面では中央の“な”を強調表示され、ユーザーに第1のセンサー5の操作面が触れられていることを示す(
図10(a)参照)。ここで、ユーザーは、操作面の前後左右に力を加えることによって、選択区画を変更できる。
図10(b)に示す例では操作面の左前方向に力を加えることで“あ”の区画に変更している。そして“あ”が選択された状態でユーザーが親指22を第1のセンサー5の操作面から離すこと(リフトオフ)で、“あ”が入力される。
【0037】
“え”を入力する場合、“あ”が選択されるまでは、
図10と同様である(
図11(a)及び(b)参照)。そのあと、ユーザーが親指22をリフトオフせずに第1のセンサー5の操作面を押し込むことで、“あ”の区画の色や大きさが変化すると同時に、表示画面の上下左右に新しい区画322が現れる(
図11(c)参照)。ここで、ユーザーが操作面の右方向に力を加えることで、“え”の区画が選択される(
図11(d)参照)。そして、ユーザーがリフトオフすることで、“え”が入力される。
【0038】
“!”を入力する場合、最初の“な”が強調表示されるまでは、
図10と同様である(
図12(a)参照)。そのあと、ユーザーが操作面の右後方向に力を加えることで、“ら”の区画が選択される(
図12(b)参照)。さらに、ユーザーが操作面の後方向に力を加えることで、“!?”の区画が選択される(
図12(c)参照)。そのあと、ユーザーが親指22を第1のセンサー5の操作面を押し込むことで、“!?”の区画の色や大きさが変化すると同時に、表示画面の上左右方向に新しい区画323が現れる(
図12(d)参照)。ここで、ユーザーが操作面の右に力を加えることで、“!”の区画が選択される(
図12(d)参照)。そして、ユーザーがリフトオフすることで、“!”が入力される。
【0039】
このように、スマートフォンで使用されるフリック操作に似たGUIを使用し、ユーザーの第1の指21に装着された指装着型コントローラー1を親指22だけで操作して、素早く文字入力ができる。
【0040】
また、漢字変換、文字の削除、入力モード切替などは、
図14の表のように、タッチセンサー機能を利用したタップ、ダブルタップ、タップ&タッチによって行なうとよい。入力モード切替(仮名入力、英字入力及び数字入力のモード切替)については、タップ&タッチを検出したときに、複数の入力モードが並んだ区画をGUIとして表示させ、入力したいモードを選択する、といった具合で行なう。
なお、フィルム状の3軸力覚センサーを用いた上記の操作例は、従来の手に握るリモコンタイプのコントローラーやパッドなどでも適用することができる。
【0041】
(2)リングメニューによる多階層項目選択
さらに、3軸力覚センサーからなる第1のセンサー5で3軸の力を検出することよって、多階層にも及ぶ、大量の項目を選択することもできる。
図16は、リングメニューによる多階層項目選択の一例を示す図である。
【0042】
まず操作面に親指22が触れたことを第1のセンサー5で検知し、リング状に配置された8区画のGUI33(リングメニュー)がヘッドマウントディスプレイの画面31に現れ、一番上の区画から時計回りに“1”~“8”の選択項目が表示される(
図16(a)参照)。ここで、ユーザーは、操作面の前後左右、右前、左前、右後、左後に力を加えることによって“メニュー”の階層(第1の階層331)の8つの項目から一つを選択できる。
図16(b)に示す例では、操作面の左前方向に力を加えることで“8”の区画を選択している。なお、選択された区画はサイズ及び色を変化し、目立たせられている。
【0043】
そして“メニュー”の階層(第1の階層331)で“8”が選択された状態でユーザーが親指22を第1のセンサー5の操作面を押し込むことで、次の階層に進む(
図16(c)参照)。
図16(c)に示す例では、“8”の階層(第2の階層332)は、項目“8”があった場所を中心に新たにリングメニューが重畳し、その一番上の区画から時計回りに“81”~“88”の選択項目が表示される。ここで、ユーザーは、第1の階層331と同様に、操作面の前後左右、右前、左前、右後、左後に力を加えることによって“8”の階層(第2の階層332)の8つの項目から一つを選択できる。
図10(d)に示す例では、操作面の右前方向に力を加えることで“82”の区画を選択している。
【0044】
さらに“8”の階層(第2の階層332)で“82”が選択された状態でユーザーが親指22を第1のセンサー5の操作面を押し込むことで、次の階層に進む(
図16(e)参照)。
図16(e)に示す例では、“82”の階層(第3の階層333)は、項目“82”があった場所を中心に新たにリングメニューが重畳し、その一番上の区画から時計回りに“821”~“828”の選択項目が表示される。ここで、ユーザーは、第1及び第2の階層331,332と同様に、操作面の前後左右、右前、左前、右後、左後に力を加えることによって“82”の階層(第3の階層333)の8つの項目から一つを選択できる。
図10(f)に示す例では、操作面の前方向に力を加えることで“821”の区画を選択している。
【0045】
この“82”の階層(第3の階層333)が最終階層であり、“821”が選択された状態でユーザーが親指22を第1のセンサー5の操作面を押し込むことで、項目“821”が実行される(
図16(g)参照)。
【0046】
このように、リングメニューを使用し、ユーザーの第1の指21に装着された指装着型コントローラー1を親指22だけで操作して、多階層の項目選択ができる。
【0047】
また、実行の取り消し、入力モード切替などの操作は、
図17の表のように、タッチセンサー機能を利用したタップ、ダブルタップ、タップ&タッチによって行なうとよい。例えば、直前に実行した項目を取り消したいときは、ダブルタップを行なう。また、項目選択中に間違った階層に遷移してしまったときは、リフトオフしてすぐさまタップすることで項目選択終了でき、その後、再スタートする。入力モード切替(リングメニューの表示位置や表示サイズ、その他の設定)については、タップ&タッチを検出したときに、複数の入力モードが並んだ区画をGUIとして表示させ、それを選択する、といった具合で行なう。
なお、フィルム状の3軸力覚センサーを用いた上記の操作例は、従来の手に握るリモコンタイプのコントローラーやパッドなどでも適用することができる。
【0048】
3.変化例
(変化例1)
図1に示す例では指装着型コントローラー1を第1の指21の第1関節と第2関節との間に装着していたが、第1実施形態の指装着型コントローラー1は、任意の指の任意の部分に装着することができる。例えば、
図4に示すように、指装着型コントローラー1を第1の指21の根元に装着してもよい。
【0049】
(変化例2)
また、第1の指21をユーザーの片手の親指以外の4本の指のうちのいずれか1つとすることが操作上好ましいが、親指22に近い人差し指ではなく、中指を第1の指21とした方が指装着型コントローラー1への入力以外のユーザーの作業がしやすくなる場合もある。例えば、パッド上に人差し指で文字の手書きや描画をしながら、同時に中指に嵌めた指装着型コントローラー1で滲み、掠れや色の調整操作をすることなどが挙げられる。
なお、親指を第1の指21とすることも不可能ではない。その場合、同じ手の親指以外の4本の指の1つ以上で第1のセンサー5に触れることになる。
【0050】
(変化例3)
また、第1実施形態における装着部材4は、
図2に示すよう第1の開口部4aの内周面が第1の指21の指回りを完全に覆っていなくてもよい。すなわち、第1の開口部4aの内周面が切れ目4fによって不連続になっていてもよい。例えば、第1の開口部4aの内周を構成する部分が、
図15に示すように、断面C形状となっていてもよい。
このように構成された指装着型コントローラーは、装着部材4を変形可能な材料で構成し、小さめの内径の第1の開口部4aに第1の指21を挿入するようにすれば、第1の指21のサイズに関係なく装着することができる。
【0051】
(変化例4)
また、前述の第1のセンサー5はタッチセンサー機能も有していたが、本実施形態において必ずしも本機能を有している必要はない。要求される操作内容に応じて、タッチセンサー機能を省略することができる。
【0052】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態を、図面に基づき説明する。
図5は、本発明に係る指装着型コントローラー(指輪形状)の別の構成例を示す模式断面図である。
本発明の指装着型コントローラー1は、装着部材4の外側面に、親指22以外の4本の指のうちのいずれか1つであって第1の指21と隣り合う第2の指23と対向するように配置された、第2のセンサー10をさらに備えていてもよい。
第2のセンサー10は、第1の指21と第2の指23との間の押圧又は接触の有無を検出するように構成されたでものである。例えば、電極の静電容量を測定し、その変化より押圧又は接触を検出する静電容量型タッチセンサーが挙げられる。また、押圧又は接触の有無を検出する、その他の公知のものを採用することができる。
図5に示す例では、第1の指21が人差し指、隣り合う第2の指23が中指である。
第2のセンサー10にも制御回路7が電気的に接続され、装着部材4は、空間4cに収容された制御回路7から外側面に配置された第2のセンサー10への配線の取り出し口4eを有している(
図5参照)。
【0053】
このように構成することによって、指装着型コントローラー1は、第2のセンサー10によって押圧又は接触が無いと検出されたときは、押圧又は接触があると検出されたときに比べて電力消費の少ない状態になるように第1のセンサー5を制御することができる。ここで、電力消費の少ない状態とは、例えば、第1のセンサー5による検出を行なわない状態や、第1のセンサー5による検出間隔を長くした状態である。
【0054】
その他の構成については、第1実施形態と同様であるから説明を省略する。
【0055】
[第3実施形態]
以下、本発明の第3実施形態を、図面に基づき説明する。
図6は、本発明に係る指装着型コントローラー(指輪形状)の別の構成例を示す模式断面図である。
第1実施形態では、指輪形状の装着部材4は、第1の開口部4aのみを有していたが、本発明の指装着型コントローラー1はこれに限定されない。例えば、指輪形状の装着部材4は、第1の開口部4aに加えて第2の開口部4bを有していてもよい。第2の開口部4bは、同じ手の親指22及び第1の指21以外の3本の指2のうちのいずれか1つであって第1の指21と隣り合う第2の指23を受け入れるためのものである。
図6に示す例では、第1の指21が人差し指で、第2の指23が中指である。
【0056】
このように構成することによって、指装着型コントローラー1の感圧面に対して第1の指21の周囲方向にせん断力を加えたときに、第2の開口部4bに差し込まれた第2の指23がストッパーの役割を果たし、装着部材4が第1の指21の周囲を回転することを防止できる。入力時に装着部材4が第1の指21の周囲を回転すると、第1のセンサー5のアクティブエリア5aが移動してしまい、入力しにくくなる。
【0057】
その他の構成については、第1実施形態と同様であるから説明を省略する。
【0058】
[第4実施形態]
以下、本発明の第4実施形態を、図面に基づき説明する。
図7は、本発明に係る指装着型コントローラー(指サック形状)の一構成例とその操作例を示す説明図である。
第1実施形態では、指装着型コントローラー1は指輪形状であったが、本発明の指装着型コントローラー1はこれに限定されない。例えば、指装着型コントローラー1は指サック形状であってもよい。指サック形状とは、
図7に示すように、指先から指の根本に向かって指2に被せる袋状のものである。すなわち、指輪形状の指装着型コントローラー1とは、装着部材4の形状が異なる。なお、断面図で見ると第1実施形態の
図2と変わらないが、装着部材4の第1の開口部4aは貫通穴ではない。
【0059】
本実施形態では、装着部材4が指サック形状であるので、指輪形状の場合と比べて第1のセンサー5のアクティブエリア5aの面積を大きく取ることもできる。第1のセンサー5は、第1実施形態で述べたようにほんのわずかの親指22の動きで方向と移動量を同時に入力することが可能なものであるが、それでも指先から指の根本に向かう方向へアクティブエリア5aを拡大できると親指22の操作のバリエーションも増える。
【0060】
本実施形態の装着部材4は、指サック形状であるので、指2の関節を曲げやすいように変形しやすい材料を用いることができる。例えば、ポリエステル系、オレフィン系、ウレタン系、ポリアミド系などの熱可塑性エラストマー樹脂を用いるのが、ユーザーの第1の指21に合わせる変形性に優れているため好ましい。
【0061】
その他の構成については、第1実施形態と同様であるから説明を省略する。
【0062】
[第5実施形態]
以下、本発明の第5実施形態を、図面に基づき説明する。
図8は、本発明に係る指装着型コントローラー(指サック形状)の別の構成例とその装着例を示す説明図である。
図8中、(a)は第1の指が人差し指である例であり、(b)は第1の指が中指である例である。
図9は、
図8(b)に示す指装着型コントローラー(指サック形状)の操作例を示す説明図である。
第4実施形態の指サック形状をした指装着型コントローラー1では、第1のセンサー5のアクティブエリア5aを同じ手の親指22にて触れることができる箇所に位置させていたが、本発明の指装着型コントローラー1はこれに限定されない。例えば、装着部材4が指サック形状である場合、
図8に示すように、第1のセンサー5のアクティブエリア5aを指先の腹に配置してもよい。
【0063】
このように構成することによって、指装着型コントローラー1を装着した指2の腹面を、机、又は、身体の何処か(例えば太ももやもう指装着型コントローラー1を装着していない方の手の甲など)に押し当てることで、入力ができる。
この場合、親指22で第1のセンサー5を操作しないので、同じ手の親指22を含めたいずれの指2も指装着型コントローラー1を装着する第1の指21とすることができる。
図8中、(a)は第1の指21として人差し指を装着部材4の第1の開口部4aに挿入して指装着型コントローラー1を装着した例であり、(b)は第1の指21として中指を装着部材4の第1の開口部4aに挿入して指装着型コントローラー1を装着した例である。また、2本以上の指に装着してもよい。
【0064】
その他の構成については、第1実施形態と同様であるから説明を省略する。
【0065】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0066】
1 指装着型コントローラー
2 指
21 第1の指
21a 腹
22 親指
23 第2の指
3 外部電子デバイス
31 画面
32,33 GUI
321~323 区画
331 第1の階層
332 第2の階層
333 第3の階層
4 装着部材
4a 第1の開口部
4b 第2の開口部
4c 空間
4d,4e 取り出し口
4f 切れ目
5 第1のセンサー
5a アクティブエリア
6 保護層
6a 凸部
7 制御回路
8 無線送受信器
9 電池
10 第2のセンサー