(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049526
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】出庫システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/083 20230101AFI20240403BHJP
G06Q 10/08 20240101ALI20240403BHJP
【FI】
G06Q10/08 300
G06Q50/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155796
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】508069202
【氏名又は名称】株式会社フレームワークス
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】田坂 晃一
(72)【発明者】
【氏名】青木 潤
(72)【発明者】
【氏名】徳山 尚昭
(72)【発明者】
【氏名】秋葉 淳一
(72)【発明者】
【氏名】高椋 大寛
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA16
5L049AA16
5L049CC51
(57)【要約】
【課題】車両の動きを効率化することが可能な出庫システムを提供する。
【解決手段】倉庫内の荷物Nの搬送作業を出庫指示に応じて行う機器Kを制御する倉庫制御システム12と、倉庫に設けられる入場ゲートへのトラックTの到着状況を管理するバース管理システム13と、トラックTの動態に関する動態情報を管理する動態管理システム15と、倉庫制御システム12、バース管理システム13及び動態管理システム15を互いに連携させ、荷物Nの出庫を管理する共通システム16と、を具備し、共通システム16は、荷物Nの出荷情報Sを取得すると共に、当該出庫予定に関する情報、動態情報及び到着状況に基づいて出庫指示を作成し、倉庫制御システム12は、共通システム16により作成された出庫指示を機器Kに出力する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
倉庫内の荷物の搬送作業を出庫指示に応じて行う機器を制御する倉庫制御システムと、
前記倉庫に設けられる入場ゲートへの車両の到着状況を管理する入場管理システムと、
前記車両の動態に関する動態情報を管理する動態管理システムと、
前記倉庫制御システム、前記入場管理システム及び前記動態管理システムを互いに連携させ、前記荷物の出庫を管理する連携システムと、
を具備し、
前記連携システムは、
前記荷物の出庫予定に関する情報を取得すると共に、当該出庫予定に関する情報、前記動態情報及び前記到着状況に基づいて前記出庫指示を作成し、
前記倉庫制御システムは、
前記連携システムにより作成された前記出庫指示を前記機器に出力する、
出庫システム。
【請求項2】
前記出庫予定に関する情報は、
予め設定される期間あたりに前記倉庫から出庫される荷物の量を含み、
前記連携システムは、
前記荷物の量に基づいて、前記倉庫制御システムから前記出庫指示を出力する計画である出庫計画を作成する、
請求項1に記載の出庫システム。
【請求項3】
前記出庫予定に関する情報は、
配送の期限を含み、
前記連携システムは、
前記荷物の出庫の実績を取得すると共に、前記配送の期限、前記出庫の実績及び前記動態情報に基づいて、前記荷物の出庫に関する優先度を設定し、当該優先度に基づいて前記荷物が出庫されるように前記出庫計画を作成する、
請求項2に記載の出庫システム。
【請求項4】
前記機器は、
前記倉庫に複数設置され、
前記連携システムは、
前記機器の処理能力に基づいて、複数の前記機器の中から前記出庫計画において前記搬送作業を行う機器を設定する、
請求項2又は請求項3に記載の出庫システム。
【請求項5】
前記機器は、
前記搬送作業に含まれ、パレット上に前記荷物を積載する作業を行う第1機器を含み、
前記出庫指示は、
前記第1機器による作業を開始する第1開始指示を含み、
前記出庫計画は、
前記第1開始指示を出力する時刻を含む、
請求項4に記載の出庫システム。
【請求項6】
前記機器は、
前記搬送作業に含まれ、前記倉庫に設けられるバースに前記荷物を集める作業を行う第2機器を含み、
前記出庫指示は、
前記第2機器による作業を開始する第2開始指示を含み、
前記出庫計画は、
前記第2開始指示を出力する時刻を含み、
前記連携システムは、
前記到着状況に基づいて取得された前記車両が前記入場ゲートに到着した時刻を、前記第2開始指示を出力する時刻とする、
請求項5に記載の出庫システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、倉庫から荷物を出庫するための出庫システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、倉庫から荷物を出庫するための出庫システムの技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1に記載の自動倉庫は、クレーン、搬送台車、出庫コンベア及び自動倉庫制御装置を具備する。クレーンは、棚に保管される荷物をパレット上に積載する。搬送台車は、荷物が積載されたパレットを棚から出庫コンベアまで搬送する。出庫コンベアは、パレットをトラックバースまで搬送する。クレーン、搬送台車及び出庫コンベアは、自動倉庫制御装置によって制御される。当該制御によって、棚からトラックバースまで荷物が自動的に搬送される。その後、荷物はトラックバースでトラックに積み込まれて出庫される。
【0004】
特許文献1のような倉庫において、例えば予定よりも早くトラックが倉庫に到着した場合、クレーン等の作業が間に合わず、トラックが待機する場合がある。その結果、特許文献1のような倉庫では、トラックが効率的に動けない可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、車両の動きを効率化することが可能な出庫システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、倉庫内の荷物の搬送作業を出庫指示に応じて行う機器を制御する倉庫制御システムと、前記倉庫に設けられる入場ゲートへの車両の到着状況を管理する入場管理システムと、前記車両の動態に関する動態情報を管理する動態管理システムと、前記倉庫制御システム、前記入場管理システム及び前記動態管理システムを互いに連携させ、前記荷物の出庫を管理する連携システムと、を具備し、前記連携システムは、前記荷物の出庫予定に関する情報を取得すると共に、当該出庫予定に関する情報、前記動態情報及び前記到着状況に基づいて前記出庫指示を作成し、前記倉庫制御システムは、前記連携システムにより作成された前記出庫指示を前記機器に出力するものである。
【0009】
請求項2においては、前記出庫予定に関する情報は、予め設定される期間あたりに前記倉庫から出庫される荷物の量を含み、前記連携システムは、前記荷物の量に基づいて、前記倉庫制御システムから前記出庫指示を出力する計画である出庫計画を作成するものである。
【0010】
請求項3においては、前記出庫予定に関する情報は、配送の期限を含み、前記連携システムは、前記荷物の出庫の実績を取得すると共に、前記配送の期限、前記出庫の実績及び前記動態情報に基づいて、前記荷物の出庫に関する優先度を設定し、当該優先度に基づいて前記荷物が出庫されるように前記出庫計画を作成するものである。
【0011】
請求項4においては、前記機器は、前記倉庫に複数設置され、前記連携システムは、前記機器の処理能力に基づいて、複数の前記機器の中から前記出庫計画において前記搬送作業を行う機器を設定するものである。
【0012】
請求項5においては、前記機器は、前記搬送作業に含まれ、パレット上に前記荷物を積載する作業を行う第1機器を含み、前記出庫指示は、前記第1機器による作業を開始する第1開始指示を含み、前記出庫計画は、前記第1開始指示を出力する時刻を含むものである。
【0013】
請求項6においては、前記機器は、前記搬送作業に含まれ、前記倉庫に設けられるバースに前記荷物を集める作業を行う第2機器を含み、前記出庫指示は、前記第2機器による作業を開始する第2開始指示を含み、前記出庫計画は、前記第2開始指示を出力する時刻を含み、前記連携システムは、前記到着状況に基づいて取得された前記車両が前記入場ゲートに到着した時刻を、前記第2開始指示を出力する時刻とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0015】
請求項1においては、車両の到着状況等に基づいた出庫指示により、例えば、車両が予定よりも早く到着した場合に速やかに機器の動作を開始させ、車両の待ち時間を低減できる。これによって、車両の動きを効率化できる。
【0016】
請求項2においては、予め設定される期間あたりに出庫される荷物の量に基づいて、機器を制御して搬送作業を行うことができる。
【0017】
請求項3においては、優先度に基づいて、機器を制御して搬送作業を行うことができる。
【0018】
請求項4においては、機器の処理能力に基づいて、機器を制御して搬送作業を行うことができる。
【0019】
請求項5においては、倉庫内の荷物の搬送作業のうち、パレット上に荷物を積載する作業を自動的に行うことができる。
【0020】
請求項6においては、倉庫内の荷物の搬送作業のうち、バースに荷物を集める作業を自動的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】発荷主の倉庫から着荷主の倉庫までの荷物の流れを示す説明図。
【
図9】実績に応じて変更された実行制御DBを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下では、本発明の一実施形態に係る出庫システム10について説明する。
【0023】
出庫システム10は、荷物Nの出庫に関する処理を行うためのものである。なお本実施形態では、倉庫にある荷物を「荷物N」と称する。以下ではまず
図1及び
図2を参照し、荷物Nを出庫する作業の流れの一例について説明する。
【0024】
荷物Nを出庫する場合、荷物Nの受け手である着荷主、荷物Nを配送する運送業者、及び荷物Nの出し手である発荷主によって、それぞれの作業の計画が作成される。具体的には、着荷主は、車両に積まれた荷物Nを入庫する作業の予定(
図2の荷卸計画Y1)を作成する。運送業者は、荷卸計画Y1に間に合うように、発荷主の倉庫から着荷主の倉庫に荷物Nを配送する時間の予定(
図2の運行計画Y2)を作成する。発荷主は、運行計画Y2に間に合うように、荷物Nを出庫する作業の予定(
図2の積込計画Y3)を作成する。
【0025】
図2は、荷卸計画Y1、運行計画Y2及び積込計画Y3の一例を示すものである。荷卸計画Y1では、荷物Nを入庫する作業が「工程」の欄に段階的に示される。また荷卸計画Y1では、作業を行う予定の曜日が「曜日」の欄に示される。また荷卸計画Y1では、作業の開始の予定日時及び終了の予定日時が「開始」及び「終了」の欄に示される。
【0026】
運行計画Y2では、発荷主の倉庫に車両が到着する予定の日時、及び発荷主の倉庫から車両が退場する予定の日時が、「発地入退場」の「開始」及び「終了」の欄に示される。また運行計画Y2では、着荷主の倉庫に車両が到着する予定の日時、及び着荷主の倉庫から車両が退場する予定の日時が、「着地入退場」の「開始」及び「終了」の欄に示される。また運行計画Y2では、入場や退場予定の曜日が「曜日」の欄に示される。
【0027】
積込計画Y3は、荷物Nを出庫する作業が「工程」の欄に示される点を除いて、荷卸計画Y1と同様である。
【0028】
上記荷卸計画Y1、運行計画Y2及び積込計画Y3は、荷物Nの数量が確定する前に、概算の数量により作成される。また荷卸計画Y1等は、例えば着荷主の倉庫の担当者等により、手作業で作成される。なお本実施形態では荷物Nの数量は、荷物Nの個数を示すものとするが、これに限定されるものではない。荷物Nの数量は、荷物Nの容積の総合計や重量の総合計等を示すものでもよい。
【0029】
荷卸計画Y1等の作成後に荷物Nの数量が確定すると、着荷主から発荷主に対して、荷物Nの発注が行われる。本実施形態では発注により、確定した荷物Nの数量が発荷主に通知される。なお本実施形態では荷物Nの数量が確定しても、発荷主や着荷主は荷卸計画Y1等を変更しないものとする。荷物Nが発注されると、荷卸計画Y1等にしたがって作業できるように、荷物Nを配送する車両の手配や当該車両が利用するバースBの予約が行われる。バースBは、車両に荷物Nを積み込むための場所である。バースBは、倉庫に複数設けられ、トラックTが入場可能に構成される。なお、本実施形態では荷物Nを搬送する車両としてトラックTが手配されるものとするが、荷物Nを搬送する車両はトラックTに限定されるものではない。
【0030】
トラックTの手配等が行われ、予定された作業日時になると、発荷主の倉庫で荷物Nを出庫する作業が行われる。具体的には、荷物Nが発荷主の倉庫の棚から取り出され、手配されたトラックTがバースBに案内されると、当該トラックTに棚から取り出された荷物Nが積み込まれる。以下では荷物Nが棚から取り出されてトラックTに積み込まれるまでの一連の作業を「出庫の作業」と称する。
【0031】
図1に示すように、出庫の作業は、パレタイズ、荷揃作業及び積み込み作業の順に行われる。パレタイズ等は、
図2に示す積込計画Y3をベースに作成された実行制御DB25(
図7参照)にしたがって行われる。なお、実行制御DB25の作成については後述する。以下、パレタイズ等の作業内容について説明する。
【0032】
パレタイズは、倉庫に保管される荷物NをパレットP上に積載する作業である。パレットPは、荷物Nを載せるための略板状の部材である。パレットPは、自動運転フォークリフトK3で搬送可能に構成される。パレタイズは、パレタイザーK1によって行われる。
【0033】
パレタイザーK1は、例えば多軸ロボット及び把持機構を具備する。把持機構は、荷物Nを把持可能に構成される。把持機構は、多軸ロボットのアームの先端等に取り付けられる。パレタイザーK1は、前記アームの動作及び把持機構の動作により、棚の荷物Nを持ち上げてパレットPに積載できる。倉庫には、処理能力が異なる複数種類のパレタイザーK1が設けられる。なお、本実施形態の処理能力は、単位時間あたりに作業(パレタイズ)可能な荷物Nの数量で示される。
【0034】
荷揃作業は、パレットPに積載された荷物Nを、当該パレットPごとバースBに集める作業である。荷揃作業は、コンベアK2によって行われる。コンベアK2は、倉庫の棚からバースBに亘るように設けられる。
【0035】
積み込み作業は、バースBに案内された運送業者のトラックTに荷物Nを積み込む作業である。トラックTは、倉庫に到着すると入場ゲートを通ってバースBに案内される。積み込み作業では、当該トラックTの荷台に、自動運転フォークリフトK3により荷物Nが積み込まれる。自動運転フォークリフトK3は、コンピュータで制御されることによって、パレットPをフォークで持ち上げて、当該パレットPをトラックTの荷台に自動的に積み込み可能に構成される。自動運転フォークリフトK3は、倉庫に複数設けられる。自動運転フォークリフトK3による積み込み作業が終了すると、トラックTは、倉庫の退場ゲートを通って倉庫外へと移動し、着荷主の倉庫に向けて移動する。こうして発荷主の倉庫から荷物Nが出庫される。
【0036】
本実施形態では、パレタイザーK1、コンベアK2及び自動運転フォークリフトK3によって、出庫の作業(パレタイズ、荷揃作業及び積み込み作業)が全て自動化されている。以下では、出庫の作業を行うパレタイザーK1等を総称して「機器K」と称する。なお、トラックTが着荷主の倉庫に到着すると、上述した出庫の作業と反対の手順で作業(荷卸、搬送及びデパレタイズ)が行われる。こうして荷物Nが着荷主の倉庫に入庫される。
【0037】
なお、上述した出庫の作業は一例であり、倉庫の運用等に応じて適宜変更可能である。また出庫の作業を行う機器Kも一例であり、適宜変更可能である。
【0038】
ここで、交通状況等により予定よりも早くトラックTが発荷主の倉庫に到着する場合がある。本実施形態の出庫システム10では、トラックTが予定よりも早く到着した場合に速やかに機器Kを動作させることによって、トラックTの待機時間が短くなるようにしている。以下、出庫システム10の構成について説明する。
図3に示すように、出庫システム10は、倉庫管理システム11、倉庫制御システム12、バース管理システム13、輸配送管理システム14、動態管理システム15及び共通システム16を具備する。
【0039】
倉庫管理システム11、倉庫制御システム12、バース管理システム13、輸配送管理システム14、動態管理システム15及び共通システム16は、概ね同一のハードウェア構成を有する。例えば倉庫管理システム11等は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置及びメモリ等の記憶装置を具備するサーバに構築され、他のシステムと情報をやり取りできるように構成される。以下では、主に倉庫管理システム11等のソフトウェア構成について説明する。
【0040】
倉庫管理システム11は、倉庫内の荷物Nに関する情報等を管理するためのものである。倉庫管理システム11は、例えば倉庫で保管される荷物Nの数量や荷物Nを保管する棚の情報(保管先)等を記憶する。また倉庫管理システム11は、出庫予定に関する情報を記憶する。
図4に示す出荷情報Sはその一例を示すものである。出荷情報Sには、荷物Nの数量が確定し、着荷主から発荷主に対して行われた発注の内容(出庫の依頼内容)を把握可能な情報が記憶される。出荷情報Sには、例えば、「着荷主名」、「配送期限」、「荷物名」及び「数量」が記憶される。
【0041】
「着荷主名」は、複数の着荷主の中から1つの着荷主を特定するための情報である。荷物Nの配送先は、「着荷主名」から把握できる。「配送期限」は、着荷主に荷物Nを配送する期限を示すものである。「配送期限」は、例えば着荷主によって適宜のタイミングで設定される。例えば「配送期限」は、
図2に示す計画(荷卸計画Y1等)の作成前や、荷物Nの数量確定時に決定される。「荷物名」は、荷物Nを一意に特定するための情報である。「数量」は、出庫される予定の荷物Nの数量(本実施形態では個数)である。
図2に示す荷卸計画Y1等の作成後に確定した荷物Nの数量は、「数量」から把握できる。
【0042】
図3に示す倉庫制御システム12は、倉庫に設置される機器Kを制御するためのものである。倉庫制御システム12は、例えば、
図1に示すパレタイザーK1、コンベアK2及び自動運転フォークリフトK3に信号を出力することによって、パレタイザーK1等を動作できるように構成される。また倉庫制御システム12は、機器Kによる作業の実績を管理できるように構成される。例えば倉庫制御システム12は、作業の対象となった荷物Nの数量や作業にかかった時間等を把握できるように、荷物Nの数量や機器Kの動作の開始日時や終了日時等を記憶する。
【0043】
図3に示すバース管理システム13は、倉庫のバースBに関する情報を管理するためのものである。バース管理システム13は、バースBの予約状況の確認や予約の受付を行えるように構成される。運送業者の関係者(例えばトラックTの運転者)等がバース管理システム13を使用してバースBを予約することによって、どのバースBで荷物Nの積み下ろしが行われるのかが決定される。
【0044】
本実施形態では、バース管理システム13は、倉庫の入場ゲート及び退場ゲートと通信可能に構成される。入場ゲート及び退場ゲートにトラックTが到着すると、当該トラックTの情報及び到着した日時がバース管理システム13に出力される。また入場ゲート及び退場ゲートからトラックTが退出すると、当該トラックTの情報及び退出した日時がバース管理システム13に出力される。バース管理システム13は、これらトラックTの情報等を記憶することによって、入場ゲートへのトラックTの到着状況及び退場ゲートからの退出状況を管理する。
【0045】
輸配送管理システム14は、荷物Nの輸配送に関する情報を管理するためのものである。輸配送管理システム14は、荷物Nを配送するトラックTの手配や、手配したトラックTの変更を行えるように構成される。
【0046】
動態管理システム15は、トラックTの動態に関する情報(動態情報)を管理するためのものである。動態情報は、トラックTの動きを把握可能な情報である。動態管理システム15は、例えばトラックTの現在位置やトラックTの走行履歴等を記憶することによって、動態情報を管理する。動態管理システム15は、所定の時間間隔ごと(例えば数秒ごと)にトラックTに搭載されるGPS機器等と通信することによって、トラックTの現在位置を取得する。動態管理システム15は、取得した現在位置の情報を蓄積することによって、走行履歴を作成できる。
【0047】
共通システム16は、倉庫管理システム11、倉庫制御システム12、バース管理システム13、輸配送管理システム14及び動態管理システム15で管理される情報を共有するためのものである。共通システム16には、倉庫管理システム11、倉庫制御システム12、バース管理システム13、輸配送管理システム14及び動態管理システム15で管理される情報が出力される。
【0048】
例えば共通システム16には、倉庫管理システム11、倉庫制御システム12及びバース管理システム13から、出庫予定の荷物Nに関する出荷情報Sや機器Kによる作業の実績やバースBの予約状況等が出力される。また共通システム16には、輸配送管理システム14及び動態管理システム15から、荷物Nを配送予定の(手配された)トラックTの情報や当該トラックTの動態情報等が出力される。こうして共通システム16に情報が集約されることにより、荷物NがどのトラックTに積み込まれ、いつ着荷主の倉庫に配送されるかを容易に把握できる。
【0049】
また共通システム16には、倉庫管理システム11等とは異なるシステム17からも、荷物Nの出庫や配送等に関する情報が出力される。例えば、配送時にトラックTが走行する道路の交通情報等が出力される。また共通システム16には、
図2に示す荷卸計画Y1、運行計画Y2及び積込計画Y3も出力される。
【0050】
倉庫管理システム11等は、共通システム16を介して互いに必要な情報をやり取り(情報を連携)できる。また本実施形態の共通システム16は、倉庫管理システム11、倉庫制御システム12、バース管理システム13、輸配送管理システム14及び動態管理システム15で情報を連携させることによって、荷物Nの出庫を管理できる。なお、共通システム16で出庫を管理する処理については後述する。
【0051】
また共通システム16は、倉庫制御システム12を介して機器Kを制御可能に構成される。共通システム16は、例えば倉庫制御システム12に機器Kの動作を開始させる信号や、機器Kの動作を終了させる信号を出力する。倉庫制御システム12は、共通システム16からの信号を機器Kに出力する。これによって共通システム16は、倉庫制御システム12を介して機器Kを制御できる。なお以下においては、機器Kを制御するための信号を「出庫指示」と称する。
【0052】
上述の如く構成される共通システム16は、倉庫管理システム11等で共有される情報を記憶するDB群20(例えば、DBMSによって管理される複数のテーブル)を有する。共通システム16は、DB群20を更新可能に構成される。
図5に示すように、DB群20は、例えば、トラック動態DB21、入場ゲート動態DB22、配送先別出荷実績DB23、出荷優先度計画DB24及び実行制御DB25を含む。
【0053】
トラック動態DB21は、トラックTの動態情報を記憶するためのものである。共通システム16は、動態管理システム15からの動態情報に基づいてトラック動態DB21をリアルタイムに更新する。トラック動態DB21には、例えば、トラックTを識別するための車番号(ナンバープレートの番号等)、及びトラックTの現在位置(例えば緯度や経度)等が記憶される。
【0054】
入場ゲート動態DB22は、発荷主の倉庫の入場ゲートにトラックTが到着したことをリアルタイムに把握するためのものである。入場ゲート動態DB22には、少なくとも入場ゲートにトラックTが到着した日時及び車番号等が記憶される。入場ゲートにトラックTが到着すると、共通システム16には、入場ゲートからの情報がバース管理システム13を介してリアルタイムに出力される。共通システム16は、当該情報に基づいて入場ゲート動態DB22をリアルタイムに更新する。これによって、入場ゲート動態DB22の情報から、発荷主の倉庫の入場ゲートにトラックTが到着したことをリアルタイムに把握できる。
【0055】
配送先別出荷実績DB23は、輸配送の実績に関する情報を配送先(着荷主)ごとに記憶するためのものである。共通システム16は、荷物Nの配送が完了した後で配送先別出荷実績DB23を更新する。
図6に示すように、配送先別出荷実績DB23には、例えば、「着荷主名」、「荷物名」、「数量」、「車両名」、「発地入退場」の日時及び「着地入退場」の日時が記憶される。
【0056】
「着荷主名」、「荷物名」及び「数量」は、倉庫管理システム11からの出荷情報S(
図4参照)に基づいて登録される。「車両名」は、荷物Nの配送を行った車両(トラックT)を特定する情報である。「車両名」は、バース管理システム13や輸配送管理システム14からの情報に基づいて登録される。「発地入退場」の日時は、発荷主の倉庫の入場ゲートにトラックTが到着した日時(
図6に示す「開始」)、及び発荷主の倉庫の退場ゲートからトラックTが退出した日時(
図6に示す「終了」)である。「着地入退場」の日時は、着荷主の倉庫の入場ゲートにトラックTが到着した日時、及び着荷主の倉庫の退場ゲートからトラックTが退出した日時である。「発地入退場」及び「着地入退場」は、バース管理システム13からの情報に基づいて登録される。
【0057】
図5に示す出荷優先度計画DB24は、荷物Nの出庫に関する優先度を記憶するためのものである。優先度は、出庫の作業を行う予定の日時やトラックTの倉庫への入退場の予定日時を、当初の予定(
図2の積込計画Y3等)から早める必要性の度合いを示すものである。出荷優先度計画DB24には、例えば、
図2に示す「工程」(作業の名称等)及び優先度が記憶される。本実施形態の出荷優先度計画DB24では、優先度が高い「工程」ほど、予定を早めるのが望ましいことが示される。出荷優先度計画DB24は、後述する
図8の処理で共通システム16によって作成される。
【0058】
図5及び
図7に示す実行制御DB25は、倉庫の作業や配送の予定に関する情報を記憶するためのものである。実行制御DB25は、
図2に示す荷卸計画Y1、運行計画Y2及び積込計画Y3をベースに作成される。なお、実行制御DB25を作成する手順については後述する。
【0059】
共通システム16は、
図7に示す実行制御DB25に基づいて倉庫制御システム12から機器Kに出庫指示を出力させる。例えば共通システム16は、現在の日時が実行制御DB25に記憶される「パレタイズ」の「開始」の日時になると、倉庫制御システム12を介してパレタイザーK1に出庫指示を出力し、パレタイズを開始させる。共通システム16は、トラックTの動態や入場ゲートへの到着状況に応じて実行制御DB25の作業予定を適宜変更できる。この予定変更によって、発荷主の倉庫に予定よりも早くトラックTが到着したとしても、当該トラックTの待機時間を短くできる。
【0060】
以下では
図4から
図8を参照し、共通システム16で荷物Nを出庫する処理について説明する。
【0061】
図8のフローチャートは、荷物Nを出庫する処理の一例を示すものである。以下では
図8に示す処理を「出庫処理」と称する。出庫処理は、共通システム16によって実行される。共通システム16は、出庫される荷物Nの数量の確定後に
図8に示す出庫処理を実行する。
【0062】
本実施形態の共通システム16は、配送先に応じて適宜のタイミングで
図8の出庫処理を実行する。例えば共通システム16は、
図4に示す『着荷主a』の倉庫に荷物Nを出庫するために、週に1回、
図8の出庫処理を実行する。なお、
図8の出庫処理を実行するタイミングは本実施形態に限定されるものではなく、荷物Nの数量等に応じて適宜変更可能である。
【0063】
共通システム16は、
図8に示す出庫処理を開始すると、ステップS10に移行する。ステップS10において、共通システム16は、出荷優先度計画DB24を作成する。上述の如く、荷卸計画Y1等は荷物Nの数量確定前に作成される。したがって、確定した荷物Nの数量と確定前の数量との差が大きければ、予定通りに作業を進行できないおそれがある。また高速道路の状況等によっても、予定通りに作業を進行できないおそれがある。そこで共通システム16は、出荷優先度計画DB24を作成することで、予定通りに進行できないおそれがある作業を抽出する。また共通システム16は、後述するステップS20の処理で、抽出した作業について予定の変更を行う。以下、ステップS10の一例を説明する。
【0064】
ステップS10において、まず共通システム16は、
図2に示す荷卸計画Y1、運行計画Y2及び積込計画Y3を取得する。また共通システム16は、出荷情報S、トラック動態DB21及び配送先別出荷実績DB23に記憶される情報を取得する。この際共通システム16は、今回手配されたトラックTの動態情報をトラック動態DB21から取得する。また共通システム16は、出荷情報Sと関連性が高い出荷の実績を、
図6に示す配送先別出荷実績DB23から取得する。例えば、共通システム16は、同じ着荷主に同じ荷物Nを配送した実績等を取得する。なお共通システム16は、同じ着荷主に同じ荷物Nを配送した実績が複数ある場合、これら複数の実績の中から今回出庫する荷物Nと「数量」が近い1つの実績を配送先別出荷実績DB23から取得してもよい。
【0065】
ステップS10において共通システム16は、取得した荷卸計画Y1や出荷情報S等に基づいて出荷優先度計画DB24を作成する。例えば、共通システム16は、荷卸計画Y1作成時の荷物Nの数量に対して確定した数量(出荷情報Sの「数量」)の差が大きい場合、出庫の作業等の時間を早められるように、
図2の「パレタイズ」等に対して高い優先度を設定する。この際共通システム16は、想定される予定の遅延度合いに応じて、優先度の大きさを決定する。例えば、共通システム16は、1時間程度の遅延が想定される場合、30分程度の遅延が想定される場合よりも優先度を高くする。これによって後述するステップS20の処理において、作業の遅延度合いに応じて作業を開始する日時を早めることが可能となる。
【0066】
また共通システム16は、運行計画Y2(数量確定前の計画)と出荷の実績とを突き合わせ、運行計画Y2では配送の時間が十分ではないと考えられる場合、予定よりも早く発荷主の倉庫からトラックTが退場できるように、
図2の「発地入退場」に対して高い優先度を設定する。これによって後述するステップS20の処理において、「発地入退場」の「開始」及び「終了」の日時を早めることが可能となる。
【0067】
またステップS10において共通システム16は、例えば高速道路の状況から、着荷主の倉庫への移動中に渋滞に巻き込まれることが想定される場合、予定よりも早く発荷主の倉庫からトラックTが退場できるように、
図2の「発地入退場」に対して高い優先度を設定する。また例えば共通システム16は、作業当日のトラックTの位置や高速道路の状況等から、運行計画Y2よりも遅く発荷主の倉庫にトラックTが到着することが想定される場合、作業の都合等で発荷主の倉庫に向けてトラックTが出発する時間を早められなければ、
図2の「発地入退場」に対して低い優先度を設定する。これによって後述するステップS20の処理において、「発地入退場」の「開始」及び「終了」の日時を遅くすることが可能となる。また、この「発地入退場」の日時に合わせて荷卸作業等を行うように積込計画Y3を変更すれば、トラックTの到着に合わせてタイミングよく出庫の作業を開始できる。
【0068】
なお上述した優先度の設定方法は一例であり、任意に変更可能である。例えば共通システム16は、機器Kの作業の実績を倉庫制御システム12から取得し、当該作業の実績と積込計画Y3における作業の計画とを突き合わせ、積込計画Y3では作業の時間が十分ではないと考えられる場合、予定よりも早く作業を開始するように、「パレタイズ」や「荷揃」に対して高い優先度を設定してよい。これによって共通システム16は、作業の実績を考慮して、適切な予定を立てられる。
図8に示すように、共通システム16は出荷優先度計画DB24を作成すると、ステップS20の処理へ移行する。
【0069】
図8に示すように、ステップS20において共通システム16は、実行制御DB25を作成する。この際共通システム16は、ステップS10で取得した荷卸計画Y1、運行計画Y2及び積込計画Y3を、ステップS10で設定した優先度に基づいて補正する。こうして補正された計画が、実行制御DB25となる。以下、補正内容の一例を説明する。
【0070】
ステップS20において共通システム16は、優先度が高い「工程」について、例えばバースBの予約状況や機器Kの作業の予定等に基づいて予定を変更可能であるか否かを判断する。共通システム16は、予定を変更可能であればその範囲内において、優先度が高い「工程」の「開始」及び「終了」の日時を、予定(
図2)よりも早い日時に変更する。この際共通システム16は、優先度が高い作業ほど時間が早まる(変更前後の時間差が大きくなる)ように、時間を変更する。
【0071】
またステップS20において共通システム16は、優先度が低い「工程」について、予定を変更可能な範囲内において、予定(
図2)よりも遅い日時に変更する。この際共通システム16は、優先度が低い作業ほど時間が後ろにずれる(変更前後の時間差が大きくなる)ように、時間を変更する。また共通システム16は、「配送期限」に間に合うように時間を変更する。なお、
図7に太枠で示す部分は、ステップS20において予定が変更された「工程」を示している。
【0072】
こうしてステップS10・S20において複数のシステムで管理される情報(倉庫管理システム11の出荷情報S、倉庫制御システム12の出庫の実績及び動態管理システム15の動態情報)を連携させることにより、荷物Nの「数量」や「配送期限」やトラックTの動態情報等を考慮して適切な出庫の予定を立てられる。これにより、配送の遅延が発生するのを抑制できると共に、トラックTの待ち時間を低減できる。
図8に示すように、共通システム16は、ステップS20の処理が終了すると、ステップS30の処理へ移行する。
【0073】
ステップS30において共通システム16は、ステップS20で作成した実行制御DB25にマテハンリソースを割り付ける。具体的には共通システム16は、ステップS20で作成した実行制御DB25の各作業(
図7の「発荷主」の横の「工程」)を、出庫の作業を行う複数の機器K(マテリアルハンドリング(マテハン))のうち、どの機器Kが実行するのかを決定する。
【0074】
例えば共通システム16は、ステップS30において、荷物Nの数量や機器Kの処理能力(単位時間あたりに作業を完了可能な荷物Nの数量)に基づいて、作業を行う機器Kを決定してよい。当該処理能力に基づいて機器Kを決定する場合、共通システム16は、複数の機器Kの中で、
図7の実行制御DB25の「開始」の日時に作業を開始してから「終了」の日時までに作業を終了できる機器Kを、複数の機器Kの処理能力に基づいて抽出する。そして共通システム16は、抽出した機器Kが作業を実行するように、実行制御DB25の各作業(「工程」)に機器Kを割り当てる。
【0075】
なおステップS30において共通システム16は、
図7の「終了」の日時までに作業を完了できる機器Kが複数ある場合、複数の機器Kの中から、処理能力にあった1つの機器Kを割り当ててよい。また共通システム16は、1つの機器Kでは
図7の「終了」の日時までに1つの作業を終了できない場合、当該1つの作業に対して複数の機器Kを割り当ててよい。また共通システム16は、「終了」の日時までに1つの作業を終了できない場合、バースBの予約状況等に影響のない範囲で「開始」及び「終了」の日時を変更してもよい。
図8に示すように、共通システム16は、ステップS30の処理が終了すると、ステップS40の処理へ移行する。
【0076】
ステップS40において共通システム16は、現在の日時が
図7に示す実行制御DB25の「パレタイズ」の「開始」の日時になると、倉庫制御システム12を介してパレタイザーK1に出庫指示(動作開始の信号)を出力する。これによってパレタイザーK1が動作して、荷物Nは棚からパレットPに積載される。
図8に示すように、共通システム16は、ステップS40の処理が終了すると、ステップS50の処理へ移行する。
【0077】
ステップS50において共通システム16は、倉庫制御システム12を介してコンベアK2に出庫指示を出力する。これによってパレットPに積載された荷物NがバースBに集められる。ステップS50において出庫指示が出力されるタイミングは、
図7に示す実行制御DB25の「荷揃」の「開始」の日時、及び、トラックTが発荷主の倉庫(入場ゲート)に到着する時間等に基づいて決定される。以下、具体的に説明する。
【0078】
ステップS50において共通システム16は、バース管理システム13からの情報に基づいてリアルタイムに更新される入場ゲート動態DB22の情報により、トラックTが倉庫に到着したか否かを判断する。共通システム16は、仮にトラックTが倉庫に到着するまでに、現在の日時が
図7の「荷揃」の「開始」の日時になると、トラックTの現在位置から、トラックTが倉庫に予定通りに到着するか否かを予測する。
【0079】
ステップS50においてトラックTが倉庫に予定通りに到着すると予測される場合、共通システム16は、現在の日時が
図7の「荷揃」の「開始」の日時になると、倉庫制御システム12を介して機器Kに出庫指示を出力する。これによってトラックTが倉庫に到着する前に、バースBに荷物Nを集める作業が開始される。一方、予定よりも遅くトラックTが到着すると予測される場合、共通システム16は、バースBを利用する時間が他のトラックTと重複せず、かつ、機器Kの作業の時間が別の作業と重複しない範囲で「荷揃」の「開始」の日時を遅くする。これによって共通システム16は、トラックTの到着の遅延に合わせて動的に荷揃の作業予定を変更できる。
【0080】
ステップS50において、
図7の「荷揃」の「開始」の日時よりも前にトラックTが倉庫に到着すると、共通システム16は、バースBが利用可能、かつ、機器Kが作業可能あれば、トラックTの到着時に出庫指示を出力する。一方共通システム16は、バースBが利用不能又は機器Kが作業不能である場合、当該バースBが利用可能、かつ、機器Kが作業可能となったタイミングで出庫指示を出力する。共通システム16は、こうして倉庫制御システム12とバース管理システム13とを連携させ、
図7の「荷揃」の「開始」の日時よりも前に、バースBに荷物Nを集める作業を開始させる。これにより、トラックTが予定よりも早く到着した場合に、予定(
図7の「荷揃」の「開始」の日時)よりも早く荷物NをバースBに集められるため、トラックTの待ち時間を低減できる。共通システム16は、ステップS50の処理が終了すると、
図8に示す出庫処理を終了する。
【0081】
以下では、
図8の出庫処理の具体例を説明する。なお以下では、
図2に示す運行計画Y2及び積込計画Y3が補正され、
図7に示す実行制御DB25が作成される場合を例に挙げ、本具体例を説明する。なお
図7に示す太枠で囲まれた部分は、
図8の出庫処理によって予定が変更された部分を示している。
【0082】
図8の出庫処理を実行すると、共通システム16は、優先度を設定して、荷卸計画Y1等を補正する(ステップS10・S20)。本具体例では、発荷主の倉庫から着荷主の倉庫へ荷物Nを搬送する際にトラックTが渋滞に巻き込まれることが想定されたため、共通システム16は、「発地入退場」を
図2の運行計画Y2よりも1時間早めるように、運行計画Y2を補正する。また共通システム16は、補正された運行計画Y2にしたがってトラックTに荷物Nを積み込めるように、積込計画Y3も補正する。本具体例では共通システム16は、「パレタイズ」、「荷揃」及び「積込」の「開始」及び「終了」の日時を
図2の積込計画Y3よりも1時間早めるように、積込計画Y3を補正する。こうして
図7の実行制御DB25が作成される。
【0083】
共通システム16は、実行制御DB25を作成すると、当該実行制御DB25に記憶される作業の予定に対して機器Kを割り当てる(ステップS30)。その後共通システム16は、実行制御DB25にしたがって荷物Nを出庫するように、機器Kを制御する(ステップS40・S50)。より詳細には共通システム16は、現在の日時が『12/10 4:00』になるとパレタイザーK1の動作を開始させる(ステップS40)。
【0084】
また共通システム16は、予定通りにトラックTが入場ゲートに到着する場合、『12/10 5:15』に荷物NをバースBに集める(ステップS50)。一方共通システムは、『12/10 5:15』よりも前にトラックTが入場ゲートに到着し、バースBが利用可能、かつ、機器Kが作業可能であれば、トラックTの到着時に荷物NをバースBに集める。
【0085】
ここで、共通システム16は、『12/10 5:15』よりも前にトラックTが入場ゲートに到着した場合、荷物Nの配送期限(『12/10 22:00』)に間に合うのであれば、発注された荷物Nの一部のみをトラックTに積み込み、残りを別のトラックTに積み込むように、作業の予定を変更してもよい。
【0086】
図4を例に挙げると、荷物名が『A』の荷物Nの一部(700個)を予定前に到着したトラックTに積み込み、荷物名が『A』の荷物Nの残り(300個)を、別のトラックTに積み込んでよい。これによって、トラックTが早く到着した場合にバースBに集める荷物Nの数量を減らせるため、トラックTの待ち時間を効果的に低減できる。
【0087】
上述の如く、本具体例では発荷主の倉庫から着荷主の倉庫へ荷物Nを搬送する際に、トラックTが渋滞に巻き込まれることを想定し、運行計画Y2が補正された。この渋滞が想定よりも軽微であった場合、共通システム16は、
図9に示すように運行計画Y2をさらに補正する。例えば、『12/10 15:30』に着荷主の倉庫に到着予定のところを30分早める。また共通システム16は、バースBが利用可能、かつ、入庫の作業を行う機器が作業可能であれば、「荷卸」の日時も30分早める。これによって荷物Nを入庫する作業の予定を、トラックTの動態情報に応じて動的に変更できる。
【0088】
以上の如く、本実施形態に係る出庫システム10は、倉庫内の荷物Nの搬送作業(出庫の作業)を出庫指示に応じて行う機器Kを制御する倉庫制御システム12と、前記倉庫に設けられる入場ゲートへのトラックT(車両)の到着状況を管理するバース管理システム13(入場管理システム)と、前記トラックTの動態に関する動態情報を管理する動態管理システム15と、前記倉庫制御システム12、前記バース管理システム13及び前記動態管理システム15を互いに連携させ、前記荷物Nの出庫を管理する共通システム16(連携システム)と、を具備し、前記共通システム16は、前記荷物Nの出荷情報S(出庫予定に関する情報)を取得すると共に、当該出荷情報S、前記動態情報(トラック動態DB21の情報)及び前記到着状況(入場ゲート動態DB22の情報)に基づいて前記出庫指示を作成し、前記倉庫制御システム12は、前記共通システム16により作成された前記出庫指示を前記機器Kに出力するものである。
【0089】
このように構成することにより、倉庫制御システム12、バース管理システム13及び動態管理システム15を連携させ、荷物Nを自動的に出庫できる。また共通システム16は、トラックTの到着状況等に基づいた出庫指示により、例えば、トラックTが予定よりも早く到着した場合に速やかに機器Kの動作を開始させ、トラックTの待ち時間を低減できる。これによって、トラックTの動きを効率化できる。
【0090】
また、前記出荷情報Sは、予め設定される期間あたりに前記倉庫から出庫される荷物Nの量(数量)を含み、前記共通システム16は、前記荷物Nの量に基づいて、前記倉庫制御システム12から前記出庫指示を出力する計画である実行制御DB25(出庫計画)を作成するものである。本実施形態ではステップS20において、確定した荷物Nの数量と確定前の数量との差に基づいて積込計画Y3を補正することによって、荷物Nの量に基づいて実行制御DB25を作成している。
【0091】
このように構成することにより、予め設定される期間あたりに出庫される荷物Nの量に基づいて、機器Kを制御して荷物Nを出庫できる。
【0092】
また、前記出荷情報Sは、配送の期限(
図4に示す「配送期限」)を含み、前記共通システム16は、前記荷物Nの出庫の実績(
図6に示す配送先別出荷実績DB23の情報)を取得すると共に、前記配送の期限、前記出庫の実績及び前記動態情報に基づいて、前記荷物Nの出庫に関する優先度を設定し、当該優先度に基づいて前記荷物Nが出庫されるように前記実行制御DB25を作成するものである(ステップS10・S20)。
【0093】
このように構成することにより、優先度に基づいて、機器Kを制御して荷物Nを出庫できる。これによって、例えば高速道路の状況に応じて配送の遅延が想定される場合に、出庫のタイミングを早めることができる。
【0094】
また、前記機器Kは、前記倉庫に複数設置され、前記共通システム16は、前記機器Kの処理能力に基づいて、複数の前記機器Kの中から前記実行制御DB25において前記搬送作業(出庫の作業)を行う機器Kを設定するものである(ステップS30)。
【0095】
このように構成することにより、機器Kの処理能力に基づいて、機器Kを制御して荷物Nを出庫できる。これによって、例えば、荷物Nの量にあった機器Kを用いて作業を行える。
【0096】
また、前記機器Kは、前記搬送作業(出庫の作業)に含まれ、パレットP上に前記荷物Nを積載する作業を行うパレタイザーK1(第1機器)を含み、前記出庫指示は、前記パレタイザーK1による作業を開始する第1開始指示を含み、前記実行制御DB25は、前記第1開始指示を出力する時刻(
図7に示す「パレタイズ」の「開始」の日時)を含むものである。
【0097】
このように構成することにより、パレットP上に荷物Nを積載する作業を自動的に行うことができる。
【0098】
また、前記機器Kは、前記搬送作業に含まれ、前記倉庫に設けられるバースBに前記荷物Nを集める作業を行うコンベアK2(第2機器)を含み、前記出庫指示は、前記コンベアK2による作業を開始する第2開始指示を含み、前記実行制御DB25は、前記第2開始指示を出力する時刻(
図7に示す「荷揃」の「開始」の日時)を含み、前記共通システム16は、前記到着状況に基づいて取得された前記トラックTが前記入場ゲートに到着した時刻を、前記第2開始指示を出力する時刻とするものである(ステップS50)。
【0099】
このように構成することにより、バースBに荷物Nを集める作業を自動的に行うことができる。また例えば、トラックTが予定よりも早く入場ゲートに到着したとしても、バースBに荷物Nを速やかに集められるため、トラックTの待ち時間を低減できる。
【0100】
なお、本実施形態に係るバース管理システム13は、本発明に係る入場管理システムの実施の一形態である。
また、本実施形態に係る共通システム16は、本発明に係る連携システムの実施の一形態である。
また、本実施形態に係るパレタイザーK1は、本発明に係る第1機器の実施の一形態である。
また、本実施形態に係るコンベアK2は、本発明に係る第2機器の実施の一形態である。
【0101】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0102】
例えば、本実施形態では、荷物Nの数量が確定しても発荷主や着荷主は荷卸計画Y1等を変更しないものとしたが、これに限定されるものではなく、荷物Nの数量が確定すると発荷主や着荷主が荷卸計画Y1等を変更してよい。また共通システム16は、こうして変更された荷卸計画Y1等を
図8の出庫処理で補正してよい。
【0103】
ここで、
図8の出庫処理で補正される計画(荷卸計画Y1等)は、荷物Nを出庫する曜日や配送先に応じて複数作成される。本実施形態では、
図8の出庫処理において、これら複数の計画のうち、ある1つの配送先のある曜日の計画(1つの計画)の時間を補正するものとしたが、出庫処理の内容はこれに限定されない。例えば、共通システム16は、
図8の出庫処理において、曜日等が異なる複数の計画で出庫される荷物N(例えば出庫する曜日が近い荷物N)を共通のトラックTにまとめて積み込むように、作業の計画を変更してもよい。
【0104】
また、本実施形態では、
図8に示す出庫処理のステップS30において、機器Kの処理能力に基づいて作業の割り当てが行われるものとしたが、機器Kを割り当てる際に用いられる情報は、特に限定されない。例えば、ステップS30において共通システム16は、作業に要する消費電力に基づいて、作業の割り当てを行ってよい。これによって荷物Nを出庫する際の消費電力を低減し、省エネ化を図ることができる。
【0105】
また本実施形態では、ステップS50においてトラックTの入場ゲートへの到着時にバースBに荷物Nを集めるものとしたが、それよりも早くバースBに荷物Nを集めることも可能である。ステップS50では、例えば、入場ゲートを中心とした一定の範囲(例えば半径500mの範囲)内にトラックTが入った場合に、バースBに荷物Nを集め始めてよい。また上記範囲は、荷物Nの数量等に応じて動的に変更してよい。これによって、トラックTのバースBへの入場にあわせてタイミングよく荷物Nを集められるため、バースBに荷物Nが留まることなく(シームレスに)、出庫の作業を行える。
【0106】
またDB群20は、共通システム16で管理されるものとしたが、DB群20を管理するシステムは共通システム16に限定されるものではなく、他のシステムであってよい。
【0107】
また本実施形態では、倉庫管理システム11、倉庫制御システム12、バース管理システム13、輸配送管理システム14、動態管理システム15及び共通システム16が荷物Nの出庫やバースBの予約等に関する処理をそれぞれ行うものとしたが、出庫等の処理とそれを行うシステムとの関係は特に限定されない。例えば、倉庫管理システム11がバースBの予約状況を管理してもよい。このように、1つのシステムが、本実施形態の複数のシステム(倉庫管理システム11等)の役割を担うものでもよい。
【符号の説明】
【0108】
10 出庫システム
12 倉庫制御システム
13 バース管理システム
15 動態管理システム
16 共通システム
K 機器
S 出荷情報
T トラック