(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004953
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
B60D 1/02 20060101AFI20240110BHJP
B62D 49/00 20060101ALI20240110BHJP
A01B 59/043 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
B60D1/02 B
B62D49/00 Z
A01B59/043 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022104869
(22)【出願日】2022-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 直樹
【テーマコード(参考)】
2B041
【Fターム(参考)】
2B041AA17
2B041AB05
2B041CA03
2B041CA16
2B041CB01
2B041CB08
(57)【要約】
【課題】作業車両において牽引可能な被牽引体の種類をなるべく多くすることができる技術を提供する。
【解決手段】例示的な作業車両は、車体の後方に配置される被牽引体を牽引可能に設けられる作業車両であって、前記被牽引体に接続されるヒッチ部と、前記車体に取り付けられ、前記ヒッチ部を支持する支持部と、を備える。前記支持部による前記ヒッチ部の支持高さを調節可能とする高さ調節機構が設けられる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の後方に配置される被牽引体を牽引可能に設けられる作業車両であって、
前記被牽引体に接続されるヒッチ部と、
前記車体に取り付けられ、前記ヒッチ部を支持する支持部と、
を備え、
前記支持部による前記ヒッチ部の支持高さを調節可能とする高さ調節機構が設けられる、作業車両。
【請求項2】
前記車体に搭載されるエンジンからの動力を前記車体の外部に伝達可能とするPTO軸を備え、
前記支持部は、前記PTO軸の後端よりも前側で前記ヒッチ部を支持する、請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記車体に搭載される昇降ユニットと、
前記昇降ユニットにより昇降可能に前記車体の後方に配置される作業装置を牽引する牽引負荷を調節するドラフト機構と、
を備え、
前記支持部は、前記ドラフト機構よりも後側で前記ヒッチ部を支持する、請求項1又は2に記載の作業車両。
【請求項4】
前記車体に搭載されるエンジンからの動力を前記車体の外部に伝達可能とするPTO軸と、
前記車体に搭載される昇降ユニットと、
前記昇降ユニットにより昇降可能に前記車体の後方に配置される作業装置を牽引する牽引負荷を調節するドラフト機構と、
を備え、
前記支持部は、
前記PTO軸の後端よりも前側で前記ヒッチ部を支持する第1支持部と、
前記第1支持部よりも上方、且つ、前記ドラフト機構よりも後側で前記ヒッチ部を支持する第2支持部と、
を含む、請求項1に記載の作業車両。
【請求項5】
前記高さ調節機構は、
前記第1支持部による前記ヒッチ部の支持高さを調節可能とする第1高さ調節機構と、
前記第2支持部による前記ヒッチ部の支持高さを調節可能とする第2高さ調節機構と、
のうち少なくとも一方を含む、請求項4に記載の作業車両。
【請求項6】
前記第1支持部と前記第2支持部とは別部材で構成され、
前記第1支持部は、前記車体に固定され、
前記第2支持部は、前記第1支持部に固定される、請求項4又は5に記載の作業車両。
【請求項7】
前記第2支持部は、前記ドラフト機構を構成する部材に固定される、請求項6に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、牽引部材を利用して作業装置を後部に接続可能に設けられる作業車両が知られる(例えば特許文献1参照)。牽引部材の一端側は、作業車両の後部に設けられた牽引ヒッチに接続される。牽引部材の他端側は、作業装置に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、作業車両に牽引される被牽引体には様々な種類がある。また、被牽引体の大きさも様々である。牽引部材が取り付けられる高さ位置は、被牽引体の種類や大きさに応じて変わることがある。牽引部材が取り付けられる高さ位置の違いが原因となって、作業車両が牽引できる被牽引体の種類が少なくなることは好ましくない。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑み、作業車両において牽引可能な被牽引体の種類をなるべく多くすることができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の例示的な作業車両は、車体の後方に配置される被牽引体を牽引可能に設けられる作業車両であって、前記被牽引体に接続されるヒッチ部と、前記車体に取り付けられ、前記ヒッチ部を支持する支持部と、を備える。前記支持部による前記ヒッチ部の支持高さを調節可能とする高さ調節機構が設けられる。
【発明の効果】
【0007】
例示的な本発明によれば、牽引可能な被牽引体の種類をなるべく多くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】作業車両が備えるミッションケース、および、その周辺の概略の構成を示す斜視図
【
図3】第1実施例の牽引部、および、その周辺の概略の構成を示す側面図
【
図4】第1実施例の牽引部の概略の構成を示す斜視図
【
図5】第1実施例の牽引部の概略の構成を示す分解斜視図
【
図6】第2実施例の牽引部、および、その周辺の概略の構成を示す側面図
【
図7】第2実施例の牽引部の概略の構成を示す分解斜視図
【
図8】第3実施例の牽引部、および、その周辺の概略の構成を示す側面図
【
図9】第3実施例の牽引部を構成するヒッチ部と支持部とを分解して示す概略斜視図
【
図10】第3実施例の支持部を構成する第1支持部と第2支持部とを分解して示す概略斜視図
【
図11】
図8とは異なる牽引高さで被牽引体を牽引する場合を例示する図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態に係る作業車両について、図面を参照しながら説明する。
【0010】
なお、本明細書では、方向を以下のように定義する。まず、作業車両が作業時に進行する進行方向を「前」とし、その逆方向を「後」とする。また、作業車両の作業時の進行方向に向かって右側を右とし、左側を左とする。そして、作業車両の前後方向および左右方向に垂直な方向を上下方向とする。このとき、重力方向を下とし、その反対側を上とする。以上の方向は単に説明のために用いられる名称であって、実際の位置関係及び方向を限定する意図はない。
【0011】
<1.作業車両の概要>
図1は、本発明の実施形態に係る作業車両1の概略の構成を示す側面図である。なお、
図1は、作業車両1の左側面を示す。作業車両1は、車体2の後方に配置される被牽引体100(
図3等参照)を牽引可能に設けられる。作業車両1は、被牽引体100を牽引しながら農作業等の作業を可能に設けられる。被牽引体100は、例えば、トレーラや作業機械であってよい。作業機械は、農業機械や建設機械等であってよい。本実施形態では、作業車両1は、農作業用のトラクタである。
【0012】
車体2の前部には、左右一対の前輪3が配置される。車体2の後部には、左右一対の後輪4が配置される。車体2は、前輪3および後輪4によって走行可能である。すなわち、本実施形態の作業車両1は、ホイルトラクタである。ただし、作業車両1は、ホイルトラクタに限らず、クローラを備えるクローラトラクタ等であってもよい。
【0013】
車体2の前部には、ボンネット5に覆われたエンジン6が配置される。エンジン6は、作業車両1の駆動源である。本実施形態では、エンジン6は、ディーゼルエンジンであるが、ガソリンエンジンであってもよい。作業車両1の駆動源は、エンジンに代えて電動モータなどの他の駆動源であってもよい。また、車体2の前部のエンジン6の下方には、左右一対の前輪3を支持する前車軸7を含む前車軸ケース(不図示)が配置される。
【0014】
エンジン6の後方には、クラッチ(不図示)を含むクラッチハウジング8が連結される。クラッチハウジング8の後方には、ミッションケース9が配置される。ミッションケース9の内部には、動力伝達装置(不図示)が配置される。エンジン6の回転動力は、ミッションケース9内の動力伝達装置を介して、前輪3および後輪4のうちの少なくとも一方に伝達される。ミッションケース9の左右の両側面には、左右一対の後輪4を支持する後車軸10を含む後車軸ケース(不図示)が配置される。
【0015】
ミッションケース9の後面には、エンジン6からの動力を車体2の外部に伝達可能とするPTO軸11が設けられる。すなわち、作業車両1は、車体2に搭載されるエンジン6からの動力を車体2の外部に伝達可能とするPTO軸11を備える。詳細には、PTO軸11は、ミッションケース9の後面から後方に向けて突出する。車体2の後方に配置される被牽引体100は、PTO軸11から動力の伝達を受けられる構成であってよい。
【0016】
車体2の、クラッチハウジング8およびミッションケース9の上方には、運転部12が設けられる。運転部12は、運転者(オペレータ)が搭乗する部分である。運転部12は、運転者が座る運転座席13と、運転座席13の前方に配置されるステアリングホイール14とを有する。また、運転部12は、運転座席13の後部にロプス15を有する。ロプス15が設けられることにより、作業車両1の転倒時に運転者を保護することができる。運転部12は、その他、操作レバーやペダル等を有する。
【0017】
本実施形態においては、ミッションケース9の後部の上面には、昇降ユニット16が配置される。すなわち、作業車両1は、車体2に搭載される昇降ユニット16を備える。昇降ユニット16は、車体2の後方に配置される作業装置(不図示)を昇降可能とする。なお、昇降ユニット16によって昇降可能とされる作業装置も、作業車両1に牽引されるために被牽引体と言える。ただし、当該作業装置は、詳細は後述するように、
図3等に示す被牽引体100と牽引の方式が異なる。このために、本明細書では、昇降ユニット16によって昇降可能とされる作業装置については、
図3等に示す被牽引体100と区別するべく、便宜的に、被牽引体ではなく作業装置と表現する。作業装置は、例えば、プラウ、ロータリ耕耘装置、ディスクハロー、カルチベータ、又は、サブソイラ等であってよい。
【0018】
作業装置は、ミッションケース9の後方に設けられる3点リンク機構17を介して連結される。3点リンク機構17は、一対の左右のロワーリンク18とトップリンク19とで構成される。
【0019】
図2は、本発明の実施形態に係る作業車両1が備えるミッションケース9、および、その周辺の概略の構成を示す斜視図である。
図2に示すように、左ロワーリンク18Lは、その前端部をミッションケース9の左側面の後部にロワーリンクピン20を介して回動可能に連結される。右ロワーリンク18Rは、その前端部をミッションケース9の右側面の後部にロワーリンクピン20を介して回動可能に連結される。トップリンク19は、その前端部を昇降ユニット16の後面に設けられるトップリンク取付部21にトップリンクピン(不図示)を介して連結される。なお、トップリンク取付部21は、トップリンク19の取り付け高さ位置を調節可能に設けられる。
【0020】
昇降ユニット16は、当該ユニットを構成するハウジング内に配置される油圧シリンダ(不図示)を有する。
図1および
図2に示すように、昇降ユニット16は、油圧シリンダにより回動可能に設けられる一対の左右のリフトアーム22を有する。一対のリフトアーム22は、左右方向に延びる軸線回りに回動可能である。左リフトアーム22Lは、左側に配置されるリフトロッド23(
図1参照、
図2では省略されている)によって左ロワーリンク18Lに連結される。右リフトアーム22Rは、右側に配置されるリフトロッド23によって右ロワーリンク18Rに連結される。リフトロッド23は、リフトアーム22およびロワーリンク18に対して着脱可能である。
【0021】
なお、作業装置には、左右のロワーリンク18の後端部と連結される連結部、および、トップリンク19の後端部と連結される連結部が含まれる。作業装置は、これらの連結部を利用して3点リンク機構17に連結可能となっている。また、左右のロワーリンク18は、ミッションケース9に対して着脱可能である。また、トップリンク19は、トップリンク取付部21に対して着脱可能である。すなわち、左右のロワーリンク18、および、トップリンク19は、車体2に対して、適宜、取り付けたり、取り外したりすることが可能である。
【0022】
昇降ユニット16の駆動により、左右のリフトアーム22が回動される。左右のリフトアーム22の回動により、3点リンク機構17を介して連結された作業装置の昇降動を行うことができる。作業装置は、任意の高さ位置に支持可能である。
【0023】
本実施形態では、トップリンク取付部21の下方に、トーションバー24が配置される。作業装置の牽引により生じる牽引負荷が、トップリンク19を介してトップリンク取付部21に作用すると、トップリンク取付部21を介してトーションバー24にねじり力が加わる。このねじり力がトーションバー24の復元力よりも大きくなると、トップリンク取付部21が基準位置から揺動変位する。
【0024】
3点リンク機構17と共に用いられる、昇降ユニット16、トップリンク取付部21、および、トーションバー24は、公知のドラフト制御を行うドラフト機構25を構成する。すなわち、作業車両1はドラフト機構25を備える。ドラフト機構25は、昇降ユニット16により昇降可能に車体2の後方に配置される作業装置を牽引する牽引負荷を調節する。詳細には、ドラフト機構25は、作業装置を牽引負荷に応じて昇降し、牽引負荷を一定に調節する。例えば、ドラフト機構25は、ドラフトコントロールレバー(不図示)によって設定された牽引負荷となるように、作業装置を昇降する。ドラフト機構25が設けられることにより、ドラフトコントロールレバーにより設定された所定の牽引負荷で作業装置を牽引して耕耘作業等を行うことができる。
【0025】
図1および
図2に示すように、作業車両1は、以上に説明した作業装置を牽引する3点リンク機構17の他に、3点リンク機構17を利用しない牽引を可能とする牽引部50も備える。以下、この牽引部50について詳細に説明する。
【0026】
<2.牽引部>
[2-1.第1実施例]
図3は、第1実施例の牽引部50A、および、その周辺の概略の構成を示す側面図である。
図3には、車体2の後方に配置される被牽引体100も示されている。なお、
図2に示す牽引部50は、
図3に示す第1実施例の牽引部50Aと同じである。
図3に示すように、牽引部50Aは、ヒッチ部51と支持部52とを備える。すなわち、作業車両1は、ヒッチ部51と支持部52とを備える。
【0027】
ヒッチ部51は、被牽引体100に接続される。詳細には、ヒッチ部51は、牽引部材53を介して被牽引体100に接続される。牽引部材53の前端は、ヒッチ部51に取り付けられる。牽引部材53の後端は、被牽引体100に取り付けられる。
図3に示す例では、被牽引体100は作業機械である。牽引部材53で作業車両1に牽引される被牽引体100は、ドライブシャフト54を介してPTO軸11から動力を伝達され、作業のための動作を行う。前端部をPTO軸11に連結されるドライブシャフト54は、例えば、その後端部が被牽引体100のギヤケース等に動力伝達可能に連結される。
【0028】
なお、被牽引体100は、上述のようにトレーラであってもよい。トレーラのようなPTO軸11からの動力伝達が不要な被牽引体が作業車両1に牽引される場合には、ドライブシャフト54による連結は行われなくてよい。
【0029】
支持部52は、車体2に取り付けられる。詳細には、支持部52は、ミッションケース9に取り付けられる。支持部52は、ヒッチ部51を支持する。すなわち、ヒッチ部51は、支持部52を介して車体2に取り付けられる。本実施例では、支持部52の後端52aは、PTO軸11の後端11aよりも前方に位置する。このような構成では、支持部52により支持されるヒッチ部51をなるべく前方に配置することができる。このために、後車軸10と荷重位置(ヒッチ部51と牽引部材53との連結位置)との距離L(
図3参照)を短くすることができる。この結果、前後の重量のバランス調整のために作業車両1に配置されるウェイトを、少なくできるか、又は、無くすことができる。
【0030】
なお、支持部52は、ドラフト機構25を構成するトップリンク取付部21の後端(ドラフト機構25の後端25a)よりも前方に位置する。
【0031】
図4は、第1実施例の牽引部50Aの概略の構成を示す斜視図である。
図5は、第1実施例の牽引部50Aの概略の構成を示す分解斜視図である。なお、
図5には、ヒッチ部51と支持部52とを連結するための第1連結ピン55(
図4等参照)は省略されている。また、
図5には、ヒッチ部51と牽引部材53とを連結する第2連結ピン56(
図4等参照)は省略されている。
【0032】
ヒッチ部51は、例えば、板金等の金属部材を加工および溶接して構成される単一部材である。なお、ヒッチ部51の形成手法、および、形状は適宜変更されてよい。ヒッチ部51は、複数の部材を螺子等の連結具を用いて連結した構成であってもよい。
図4および
図5に示すように、ヒッチ部51は、上下および左右方向に広がる矩形平板状のヒッチ部ベースプレート511を有する。
【0033】
また、ヒッチ部51は、ヒッチ部ベースプレート511の前面の左右の各端部から前方に延びる平板状の一対のヒッチ部前方縦プレート512L、512Rを有する。一対のヒッチ部前方縦プレート512L、512Rは、左右方向に間隔をあけて配置される。一対のヒッチ部前方縦プレート512L、512Rは同形状である。一対のヒッチ部前方縦プレート512L、512Rは、前後および上下方向に広がる。
【0034】
また、ヒッチ部51は、ヒッチ部ベースプレート511の後面の上下の各端部から後方に延びる平板状の一対のヒッチ部後方横プレート513U、513Lを有する。一対のヒッチ部後方横プレート513U、513Lは、上下方向に間隔をあけて配置される。一対のヒッチ部後方横プレート513U、513Lは、同形状である。一対のヒッチ部後方横プレート513U、513Lは、前後および左右方向に広がる。
【0035】
また、ヒッチ部51は、ヒッチ部ベースプレート511の後方に、一対のヒッチ部後方横プレート513U、513Lの左端同士および右端同士をそれぞれ連結する平板状の一対のヒッチ部補強プレート514L、514Rを有する。一対のヒッチ部補強プレート514L、514Rは、同形状である。一対のヒッチ部補強プレート514L、514Rは、前後および上下方向に広がる。
【0036】
一対のヒッチ部前方縦プレート512L、512Rのそれぞれは、左右方向に貫通する複数のヒッチ部調整孔515を有する。複数のヒッチ部調整孔515は、同じ形状、且つ、同じサイズである。ヒッチ部調整孔515は、左右方向からの平面視において円形状である。一対のヒッチ部前方縦プレート512L、512Rのそれぞれにおいて、複数のヒッチ部調整孔515は、上下方向に等間隔で並び、プレート前方に配置される。左右のヒッチ部前方縦プレート512L、512Rの間で、複数のヒッチ部調整孔515が設けられる前後方向および上下方向の位置は同じである。すなわち、左右のヒッチ部前方縦プレート512L、512Rを左右方向に重ねた場合に、左右の各ヒッチ部調整孔515が左右方向に重なる。
【0037】
一対のヒッチ部後方横プレート513U、513Lのそれぞれは、上下方向に貫通する連結ピン孔516を有する。各ヒッチ部後方横プレート513U、513Lに設けられる連結ピン孔516は、同じ形状、且つ、同じサイズである。連結ピン孔516は、上下方向からの平面視において円形状である。上下のヒッチ部後方横プレート513U、513Lの間で、連結ピン孔516が設けられる前後方向および左右方向の位置は同じである。すなわち、上下のヒッチ部後方横プレート513U、513Lを上下方向に重ねた場合に、上下の連結ピン孔516が上下方向に重なる。詳細には、連結ピン孔516は、ヒッチ部51の左右方向の中央部に設けられる。
【0038】
支持部52は、例えば、板金等の金属部材を加工および溶接して構成される単一部材である。なお、支持部52の形成手法、および、形状は適宜変更されてよい。支持部52は、複数の部材を螺子等の連結具を用いて連結した構成であってもよい。
図4および
図5に示すように、支持部52は、前後および左右方向に広がる矩形平板状の支持部ベースプレート521を有する。支持部52は、支持部ベースプレート521の左右に配置され、上下に延びる平板状の一対の支持部縦プレート522L、522Rを有する。一対の支持部縦プレート522L、522Rは、同形状である。
【0039】
なお、一対の支持部縦プレート522L、522Rの大部分は、支持部ベースプレート521よりも上方に位置する。また、支持部52は、一対の支持部縦プレート522L、522Rの左右方向の内方に平板状の支持部補強プレート523を含むが、当該補強プレート523は有っても無くてもよい。
【0040】
支持部ベースプレート521には、上下方向に貫通し、ボルトBTが通される少なくとも1つのボルト孔BHが設けられる。
【0041】
一対の支持部縦プレート522L、522Rのそれぞれは、左右方向に貫通する複数の支持部調整孔525を有する。複数の支持部調整孔525は、同じ形状、且つ、同じサイズである。支持部調整孔525は、左右方向からの平面視において円形状である。一対の支持部縦プレート522L、522Rのそれぞれにおいて、複数の支持部調整孔525は、上下方向に等間隔で並び、プレート後方に配置される。左右の支持部縦プレート522L、522Rの間で、複数の調整孔525が設けられる前後方向および上下方向の位置は同じである。すなわち、左右の支持部縦プレート522L、522Rを左右方向に重ねた場合に、左右の各支持部調整孔525が左右方向に重なる。
【0042】
また、一対の支持部縦プレート522L、522Rのそれぞれには、前部に、左右方向に貫通し、ボルトBTが通される少なくとも1つのボルト孔BHが設けられる。また、左右の支持部縦プレート522L、522Rのそれぞれには、前端から後方に凹み、ボルトBTが通される少なくとも1つのボルト切欠きBNが設けられる。なお、ボルト孔BHとボルト切欠きBNとの両方が設けられなくてもよく、いずれか一方のみが設けられる構成であってもよい。
【0043】
図3に示すように、支持部52は、ミッションケース9に取り付けられる。詳細には、支持部ベースプレート521が、ミッションケース9の下面に、ボルトBTにより取り付けられる。また、左右の支持部縦プレート522L、522Rが、ミッションケース9の左右の面に、ボルトBTにより取り付けられる。
【0044】
ヒッチ部51は、
図3および
図4に示すように、第1連結ピン55を用いて支持部52に連結される。本実施例では、第1連結ピン55の数は複数(詳細には2つ)である。詳細には、まず、左右両側で、ヒッチ部前方縦プレート512L、512Rに設けられるヒッチ部調整孔515と、支持部縦プレート522L、522Rに設けられる支持部調整孔525とが、左右方向に重ねられる。そして、第1連結ピン55が、左右方向に重ねられた調整孔515、525に挿し込まれる。これにより、ヒッチ部51が支持部52に連結される。なお、第1連結ピン55には、抜け止めが設けられており、調整孔へのピンの差し込みでヒッチ部51と支持部52との固定を行うことができる。ピン部材に代えて、ボルト等の他の固定具で、ヒッチ部51と支持部52との固定が行われてもよい。
【0045】
本実施例では、左右のヒッチ部前方縦プレート512L、512Rのそれぞれに設けられるヒッチ部調整孔515の数と、左右の支持部縦プレート522L、522Rのそれぞれに設けられる支持部調整孔525の数とは、いずれも複数である。このために、それぞれ上下方向に並ぶヒッチ部調整孔515と支持部調整孔525との組み合わせ方の選択により、ヒッチ部51の高さの調節を行うことができる。すなわち、作業車両1には、支持部52によるヒッチ部51の支持高さを調節可能とする高さ調節機構57が設けられる。ヒッチ部51の支持高さを変更できるために、被牽引体100の種類や大きさの相違による牽引高さの違いに対応することができる。
【0046】
本実施例では、
図3に示すように、高さ調節機構57は、PTO軸11の後端よりも前側に位置する。すなわち、支持部52は、PTO軸11の後端よりも前側でヒッチ部51を支持する。これによれば、後車軸10と、被牽引体100を連結した際の荷重位置との距離Lを短くすることができる。このために、前後のバランスを確保するために作業車両1に配置されるウェイトを無くすか、軽くすることができる。なお、本実施例では、支持部52は、ドラフト機構25の後端25aよりも前方でヒッチ部51を支持する。
【0047】
なお、本実施例では、ヒッチ部51の左右それぞれに設けられるヒッチ部調整孔515の数と、支持部52の左右それぞれに設けられる支持部調整孔525の数とをいずれも複数とした。ただし、これは例示である。例えば、ヒッチ部51の左右それぞれに設けられるヒッチ部調整孔515の数と、支持部52の左右それぞれに設けられる支持部調整孔525の数とのうち、いずれか一方を単数としてもよい。この場合でも、ヒッチ部51の高さ調節を行うことができる。すなわち、作業車両1が高さ調節機構を備える構成とすることができる。
【0048】
また、ヒッチ部51の左右それぞれに設けられるヒッチ部調整孔515の数と、支持部52の左右それぞれに設けられる支持部調整孔525の数とをいずれも単数としてもよい。この場合、作業車両1に高さ調節機構が設けられない構成となる。ただし、この場合でも、支持部52は、PTO軸11の後端11aよりも前側でヒッチ部51を支持する構成となるために、後車軸10と荷重位置との距離L(
図3参照)を短くすることができる。この結果、重量が重い被牽引体100にも対応しやすく、牽引可能な被牽引体の種類をなるべく多くすることができる。
【0049】
ヒッチ部51により被牽引体100の牽引を行う場合、連結ピン孔516に第2連結ピン56が入れられる。この際、第2連結ピン56は、上下のヒッチ部後方横プレート513U、513Lの間に前端部が配置される牽引部材53に設けられる貫通孔(不図示)にも通される。これにより、被牽引体100が、牽引部材53を介してヒッチ部51に連結される。なお、本実施例の牽引部50Aは、被牽引体100の牽引をPTO軸11よりも下側で行う構成に好適である。このような構成の被牽引体100には、例えばトレーラ等が含まれてよい。
【0050】
[2-2.第2実施例]
図6は、第2実施例の牽引部50B、および、その周辺の概略の構成を示す側面図である。
図6には、車体2の後方に配置される被牽引体100も示されている。
図6に示すように、牽引部50Bは、ヒッチ部61と支持部62とを備える。本実施例のヒッチ部61と支持部62との機能は、第1実施例のヒッチ部51と支持部52との機能と重複する点を多く有する。重複する内容は、適宜、説明を省略する。
【0051】
ヒッチ部61は、牽引部材63を介して被牽引体100に接続される。
図6に示す例では、被牽引体100は作業機械である。牽引部材63で作業車両1に牽引される被牽引体100は、ドライブシャフト64を介してPTO軸11から動力を伝達され、作業のための動作を行う。なお、本例でも、第1実施例と同様に、作業車両1は、PTO軸11からの動力伝達が不要な被牽引体100を牽引してもよい。
【0052】
支持部62は、ミッションケース9に取り付けられ、ヒッチ部61を支持する。本実施例では、支持部62の後端62aは、PTO軸11の後端11aよりも後方に位置する。また、支持部62の後端62aは、トップリンク取付部21の後端(すなわち、ドラフト機構25の後端25a)よりも後方に設けられる。このような構成では、ドラフト機構25が設けられる高さ位置において、ドラフト機構25との接触を回避して支持部62にヒッチ部61を取り付けることができる。
【0053】
図7は、第2実施例の牽引部50Bの概略の構成を示す分解斜視図である。なお、
図7には、ヒッチ部61と支持部62とを連結するための第1連結ピン65(
図6参照)は省略されている。また、
図7には、ヒッチ部61と牽引部材63とを連結する第2連結ピン66(
図6参照)は省略されている。
【0054】
ヒッチ部61は、例えば、板金等の金属部材を加工および溶接して構成される単一部材である。なお、ヒッチ部61の形成手法、および、形状は適宜変更されてよい。支持部62は、複数の部材を螺子等の連結具を用いて連結した構成であってもよい。
図7に示すように、ヒッチ部61は、上下および左右方向に広がる矩形平板状のヒッチ部ベースプレート611を有する。ヒッチ部ベースプレート611の左右の側面には、左右方向に延びるヒッチ部調整孔612が設けられる。
【0055】
また、ヒッチ部61は、ヒッチ部ベースプレート611の後面の上下の各端部から後方に延びる平板状の一対のヒッチ部後方横プレート613U、613Lを有する。一対のヒッチ部後方横プレート613U、613Lは、上下に間隔をあけて配置される。一対のヒッチ部後方横プレート613U、613Lは、同形状である。一対のヒッチ部後方横プレート613U、613Lは、前後および左右方向に広がる。
【0056】
一対のヒッチ部後方横プレート613U、613Lのそれぞれは、上下方向に貫通する連結ピン孔614を有する。各ヒッチ部後方横プレート613U、613Lに設けられる連結ピン孔614は、同じ形状、且つ、同じサイズである。連結ピン孔614は、上下方向からの平面視において円形状である。上下のヒッチ部後方横プレート613U、613Lの間で、連結ピン孔614が設けられる前後方向および左右方向の位置は同じである。すなわち、上下のヒッチ部後方横プレート613U、613Lを上下方向に重ねた場合に、上下の連結ピン孔614が上下方向に重なる。詳細には、連結ピン孔614は、ヒッチ部61の左右方向の中央部に設けられる。
【0057】
また、ヒッチ部61は、ヒッチ部ベースプレート611の後面側に、一対のヒッチ部後方横プレート613U、613Lの左端同士および右端同士をそれぞれ連結する平板状の一対のヒッチ部補強プレート615L、615Rを有する。一対のヒッチ部補強プレート615L、615Rは、同形状である。一対のヒッチ部補強プレート615L、615Rは、前後および上下方向に広がる。
【0058】
支持部62は、例えば、板金等の金属部材を加工および溶接して構成される単一部材である。なお、支持部62の形成手法、および、形状は適宜変更されてよい。また、支持部62は、複数の部材を螺子等の連結具を用いて連結した構成であってもよい。
【0059】
図7に示すように、支持部62は、前後および左右方向に広がる矩形平板状の支持部下ベースプレート621を有する。また、支持部62は、支持部下ベースプレート621の上方に、前後および左右方向に広がる矩形平板状の支持部上ベースプレート622を有する。
【0060】
また、支持部62は、上下に間隔をあけて並ぶ2つのベースプレート621、622の左右に配置され、上下に延びる板状の一対の支持部縦プレート623L、623Rを有する。一対の支持部縦プレート623L、623Rは、2つのベースプレート621、622を連結する。一対の支持部縦プレート623L、623Rは、同形状である。なお、一対の支持部縦プレート623L、623Rは、支持部下ベースプレート621よりも下方に突出する。また、一対の支持部縦プレート623L、623Rは、支持部上ベースプレート622よりも上方に突出する。
【0061】
また、支持部62は、一対の支持部縦プレート623L、623Rのそれぞれの後端に配置される左右一対の支柱部624L、624Rを有する。左右の支柱部624L、624Rのそれぞれは、上下方向に延びて、左右の支持部縦プレート623L、623Rの下端から上端までの範囲に亘って配置される。一対の支柱部624L、624Rのそれぞれには、左右方向内方の面に、左右方向外方に向かって凹む溝部628が設けられる。左右の支柱部624L、624Rのそれぞれに設けられる溝部628は、支柱部の下端から上端まで延びる。
【0062】
支持部下ベースプレート621には、上下方向に貫通し、ボルトBTが通される少なくとも1つのボルト孔BHが設けられる。また、支持部上ベースプレート622の上面には、左右および上下方向と平行な方向に広がる平板状の支持部固定用プレート626が設けられる。詳細には、支持部固定用プレート626は、左右に間隔をあけて並ぶ2つの部分に分断されている。支持部固定用プレート626の左右に分断された各部の前面には、前方に向かって延びる筒部627が設けられる。左右の一対の筒部627には、ボルトBTが通される。
【0063】
左右の支持部縦プレート623L、623Rのそれぞれには、前部に、左右方向に貫通し、ボルトBTが通される少なくとも1つのボルト孔BHが設けられる。また、左右の支持部縦プレート623L、623Rのそれぞれには、前端から後方に凹み、ボルトBTが通される少なくとも1つのボルト切欠きBNが設けられる。なお、ボルト孔BHとボルト切欠きBNとの両方が設けられなくてもよく、いずれか一方のみが設けられる構成であってもよい。
【0064】
左右の支柱部624L、624Rのそれぞれは、左右方向に貫通する複数の支持部調整孔625を有する。複数の支持部調整孔625は、同じ形状、且つ、同じサイズである。支持部調整孔625は、左右方向からの平面視において円形状である。左右の支柱部624L、624Rのそれぞれにおいて、複数の支持部調整孔625は、上下方向に等間隔で並ぶ。左右の支柱部624L、624Rの間で、複数の調整孔625が設けられる前後方向および上下方向の位置は同じである。なお、支持部調整孔625は、溝部628の底面に設けられる。
【0065】
図6に示すように、支持部62は、ミッションケース9およびドラフト機構25を構成する部材に取り付けられる。詳細には、支持部下ベースプレート621が、ミッションケース9の下面に、ボルトBTにより取り付けられる。また、左右の支持部縦プレート623L、623Rが、ミッションケース9の左右の面に、ボルトBTにより取り付けられる。また、支持部固定用プレート626に設けられる一対の筒部627に通されるボルトBTが、ドラフト機構25を構成する部材であるブラケット26に取り付けられる。なお、当該ブラケット26は、トップリンク取付部21を揺動可能に支持する部材である。
【0066】
ヒッチ部61は、
図6に示すように、第1連結ピン65を用いて支持部62に連結される。詳細には、まず、ヒッチ部ベースプレート611の左右の端部が、左右の支柱部624L、624Rに設けられる溝部628に嵌められる。そして、左右両側で、ヒッチ部ベースプレート611に設けられるヒッチ部調整孔612と、支柱部624L、624Rに設けられる支持部調整孔625とが、左右方向に重ねられる。この状態で、第1連結ピン65が、左右方向に重ねられた調整孔612、625に挿し込まれる。これにより、ヒッチ部61が支持部62に連結される。なお、第1連結ピン65には、抜け止めが設けられており、調整孔へのピンの差し込みでヒッチ部61と支持部62との固定を行うことができる。ピン部材に代えて、ボルト等の他の固定具で、ヒッチ部61と支持部62との固定が行われてもよい。
【0067】
本実施例では、ヒッチ部61の左右に設けられるヒッチ部調整孔612の数は単数である。一方、左右の支柱部624L、624Rのそれぞれに設けられる支持部調整孔625の数は複数である。このために、ヒッチ部調整孔612に組み合わせる支持部調整孔625の選択により、ヒッチ部61の高さの調節を行うことができる。すなわち、作業車両1には、支持部62によるヒッチ部61の支持高さを調節可能とする高さ調節機構67が設けられる。ヒッチ部61の支持高さを変更できるために、被牽引体100の種類や大きさの相違による牽引高さの違いに対応することができる。
【0068】
本実施例では、
図6に示すように、高さ調節機構67は、ドラフト機構25の後端25aよりも後側に位置する。すなわち、支持部62は、ドラフト機構25よりも後側でヒッチ部61を支持する。これによれば、作業車両1の後方上部に設けられるドラフト機構25との接触を避けて、ヒッチ部61を高い位置に配置することができる。すなわち、ヒッチ部61の高さを調節可能な範囲を広くできる。この結果、被牽引体100の種類や大きさの相違による牽引高さの違いに対応し易くすることができる。
【0069】
なお、本実施例では、ヒッチ部61の左右それぞれに設けられるヒッチ部調整孔612の数を単数とし、支持部62の左右それぞれに設けられる支持部調整孔625の数を複数とした。ただし、これは例示である。例えば、ヒッチ部61の左右それぞれに設けられるヒッチ部調整孔612と、支持部62の左右それぞれに設けられる支持部調整孔625との数を、いずれも複数としてもよい。また、ヒッチ部61の左右それぞれに設けられるヒッチ部調整孔612の数を複数とし、支持部62の左右それぞれに設けられる支持部調整孔625の数を単数としてもよい。これらの場合でも、ヒッチ部61の高さ調節を行うことができる。すなわち、作業車両1が高さ調節機構を備える構成とできる。
【0070】
また、ヒッチ部61の左右それぞれに設けられるヒッチ部調整孔612の数と、支持部62の左右それぞれに設けられる支持部調整孔625の数とを、いずれも単数としてもよい。この場合、高さ調節機構が設けられない構成となる。ただし、この場合でも、支持部62は、ドラフト機構25の後端25aよりも後側でヒッチ部61を支持する構成となるために、牽引高さの高い被牽引体100に対応することができる。
【0071】
ヒッチ部61により被牽引体100の牽引を行う場合、連結ピン孔614に第2連結ピン66が入れられる。この際、第2連結ピン66は、上下のヒッチ部後方横プレート613U、613Lの間に前端部が配置される牽引部材63に設けられる貫通孔(不図示)にも通される。これにより、被牽引体100が、牽引部材63を介してヒッチ部51に連結される。なお、本実施例の牽引部50Bは、
図6に示すように、被牽引体100の牽引をPTO軸11よりも上側で行う構成に適用できる。このような構成の被牽引体100には、例えば、スレッシャー等が含まれてよい。
【0072】
[2-3.第3実施例]
図8は、第3実施例の牽引部50C、および、その周辺の概略の構成を示す側面図である。
図8には、車体2の後方に配置される被牽引体100も示されている。
図8に示すように、牽引部50Cは、ヒッチ部71と支持部72とを備える。本実施例のヒッチ部71と支持部72との機能は、第1実施例や第2実施例のヒッチ部51、61と支持部62、72との機能と重複する点を多く有する。重複する内容は、適宜、説明を省略する。
【0073】
ヒッチ部71は、牽引部材73を介して被牽引体100に接続される。
図8に示す例では、被牽引体100は動力伝達不要である。ただし、本実施例でも、被牽引体100は、動力伝達が必要な構成であってよい。この場合には、後述の
図11に示すように、ドライブシャフト74を介してPTO軸11から動力が伝達される構成としてよい。
【0074】
支持部72は、少なくともミッションケース9に取り付けられ、ヒッチ部71を支持する。本実施例では、支持部72は、第1支持部721と、第2支持部722とを含む。第1支持部721と第2支持部722とは、単一部材として構成されてもよい。ただし、本実施例では、第1支持部721と第2支持部722とは別部材として構成される。第2支持部722は、第1支持部721よりも上方に配置される。
【0075】
第1支持部721は、ミッションケース9に取り付けられる。すなわち、第1支持部721は車体2に固定される。第2支持部722は、第1支持部721に固定される。このように構成すると、第2支持部722を必要に応じて配置することができる。すなわち、第2支持部722は、必要がない場合には、取り外すことができる。
【0076】
なお、本実施例では、第2支持部722は、ドラフト機構25を構成する部材に固定される。ドラフト機構25を構成する部材は、例えば、上述した昇降ユニット16のケースに固定されるブラケット26であってよい。このような構成とすると、支持部72の支持剛性を高めることができる。
【0077】
本実施例では、第1支持部721の後端721aは、PTO軸11の後端11aよりも前方に位置する。また、第2支持部722の後端722aは、トップリンク取付部21の後端(すなわち、ドラフト機構25の後端25a)よりも後方に設けられる。
【0078】
図9は、第3実施例の牽引部50Cを構成するヒッチ部71と支持部72とを分解して示す概略斜視図である。なお、
図9には、ヒッチ部71と支持部72とを連結するための第1連結ピン75(
図8参照)は省略されている。また、
図9には、ヒッチ部71と牽引部材73とを連結する第2連結ピン76(
図8参照)は省略されている。また、
図10は、第3実施例の支持部72を構成する第1支持部721と第2支持部722とを分解して示す概略斜視図である。
【0079】
第3実施例のヒッチ部71の構成は、第1実施例のヒッチ部51と同様の構成である。このために、詳細な説明は省略する。ヒッチ部71は、ヒッチ部ベースプレート711と、左右一対のヒッチ部前方縦プレート712L、712Rと、上下一対のヒッチ部後方横プレート713U、713Lと、左右一対のヒッチ部補強プレート714L、714Rとを有する。一対のヒッチ部前方縦プレートのそれぞれは、複数のヒッチ部調整孔715を有する。一対のヒッチ部後方横プレート713U、713Lのそれぞれは、連結ピン孔716を有する。
【0080】
第1支持部721および第2支持部722のそれぞれは、例えば、板金等の金属部材を加工および溶接して構成される。なお、第1支持部721および第2支持部722の形成手法、および、形状は適宜変更されてよい。
【0081】
第1支持部721の構成は、第1実施例の支持部52の構成と概ね同様である。このために、詳細な説明は省略する。第1支持部721は、第1支持部ベースプレート7211と、左右一対の第1支持部縦プレート7212L、7212Rとを有する。第1支持部ベースプレート7211は、ボルト孔BHを有する。一対の第1支持部縦プレート7212L、7212Rのそれぞれは、複数の支持部調整孔725を有する。左右の第1支持部縦プレート7212L、7212Rのそれぞれは、ボルト孔BHとボルト切欠きBNとを有する。左右の第1支持部縦プレート7212L、7212Rのそれぞれに設けられるボルト孔BHには、第2支持部722を連結するためのボルト孔BHが含まれる。この点が第1実施例の支持部52と異なる。第2支持部722との連結用のボルト孔BHは、第1支持部縦プレート7212L、7212Rの、前後方向中央部の上方に設けられる。
【0082】
第2支持部722は、左右および上下方向に広がる矩形平板状の第2支持部ベースプレート7221を有する。第2支持部722は、第2支持部ベースプレート7221の左右に配置され、前後および上下方向に広がる平板状の一対の第2支持部縦プレート7222L、7222Rを有する。一対の第2支持部縦プレート7222L、7222Rは、同形状である。なお、第2支持部722は、平板状の第2支持部補強プレート7223(
図10参照)を含むが、当該補強プレート7223は有っても無くてもよい。
【0083】
第2支持部ベースプレート7221は、その前面の左右に、前方に向かって延びる筒部7224を有する。左右の一対の筒部7224には、上述のブラケット26に取り付けるためのボルトBTが通される。
【0084】
左右の第2支持部縦プレート7222L、7222Rのそれぞれは、左右方向に貫通する複数の支持部調整孔725を有する。複数の支持部調整孔725は、同じ形状、且つ、同じサイズである。なお、第2支持部722に設けられる複数の支持部調整孔725は、第1支持部721に設けられる複数の支持部調整孔725と同じ形状、且つ、同じサイズである。支持部調整孔725は、左右方向からの平面視において円形状である。
【0085】
左右の第2支持部縦プレート7222L、7222Rのそれぞれにおいて、複数の支持部調整孔725は、上下方向に等間隔で並び、プレート後方に配置される。左右の第2支持部縦プレート7222L、7222Rの間で、複数の調整孔725が設けられる前後方向および上下方向の位置は同じである。すなわち、左右の第2支持部縦プレート7222L、7222Rを左右方向に重ねた場合に、左右の各支持部調整孔725が左右方向に重なる。左右の第2支持部縦プレート7222L、7222Rのそれぞれには、前部に、左右方向に貫通し、ボルトBTが通される少なくとも1つのボルト孔BHが設けられる。当該ボルト孔BHは、第1支持部721との連結用に設けられる。
【0086】
図8や
図9に示すように、第1支持部721と第2支持部722とがボルトBTを用いて連結され、第1支持部721と第2支持部722とが一体化された支持部72が得られる。第1支持部ベースプレート7211が、ミッションケース9の下面に、ボルトBTにより取り付けられる。また、左右の第1支持部縦プレート7212L、7212Rが、ミッションケース9の左右の面に、ボルトBTにより取り付けられる。第2支持部722が、筒部7224に通されたボルトBTによりブラケット26に固定される。
【0087】
本実施例のように、支持部72の、底部と、左右の側部と、前部とを車体2を構成する部品に取り付ける構成とする場合、支持部72が単一部材であると、部品製造の精度が高く要求されることになる。この点、本実施例では、支持部72を第1支持部721と第2支持部722とに分けて別々の部材としている。このための、部品製造の精度の要求を下げることができる。すなわち、本実施例の構成によれば、部品管理を容易とすることができる。
【0088】
ヒッチ部71は、
図8に示すように、第1連結ピン75を用いて支持部72に連結される。本実施例では、第1連結ピン75の数は複数(詳細には2つ)である。詳細には、まず、左右両側で、ヒッチ部前方縦プレート712L、712Rに設けられるヒッチ部調整孔715と、第1支持部縦プレート7212L、7212R又は第2支持部縦プレート7222L、7222Rに設けられる支持部調整孔725とが、左右方向に重ねられる。そして、第1連結ピン75が、左右方向に重ねられた調整孔715、725に挿し込まれる。これにより、ヒッチ部71が支持部72に連結される。なお、第1連結ピン75には、抜け止めが設けられており、調整孔へのピンの差し込みで、ヒッチ部71と支持部72との固定を行うことができる。ピン部材に代えて、ボルト等の他の固定具で、ヒッチ部71と支持部72との固定が行われてもよい。
【0089】
本実施例では、左右のそれぞれにおいて、ヒッチ部前方縦プレート712L、712Rに設けられるヒッチ部調整孔715の数と、第1支持部縦プレート7212L、7212Rおよび第2支持部縦プレート7222L、7222Rに設けられる支持部調整孔725の数とが複数である。このために、ヒッチ部調整孔715と支持部調整孔725との組み合わせ方の選択により、ヒッチ部71の高さの調節を行うことができる。すなわち、作業車両1には、支持部72によるヒッチ部71の支持高さを調節可能とする高さ調節機構77が設けられる。ヒッチ部71の支持高さを変更できるために、被牽引体100の種類や大きさの相違による牽引高さの違いに対応することができる。
【0090】
本実施例では、第1支持部縦プレート7212L、7212Rと、第2支持部縦プレート7222L、7222Rとの両方に、支持部調整孔725が複数設けられる。このために、第1支持部721によるヒッチ部71の支持高さを調節可能とする第1高さ調節機構771と、第2支持部722によるヒッチ部71の支持高さを調節可能とする第2高さ調節機構772とが設けられていると言える。
【0091】
なお、高さ調節機構77は、第1高さ調節機構771と第2高さ調節機構772とのうち少なくとも一方を含む構成であってよい。また、第1支持部721と第2支持部722とのそれぞれに高さ調節機構が設けられない構成としてもよい。この場合でも、第1支持部721と第2支持部722とのそれぞれで、ヒッチ部71の連結を行うことができれば、支持部72によるヒッチ部71の支持高さを調節することができる。
【0092】
詳細には、
図8に示すように、第1支持部721に設けられる第1高さ調節機構771は、PTO軸11の後端よりも前側に位置する。すなわち、第1支持部721は、PTO軸11よりも前側でヒッチ部71を支持する。また、第2支持部722に設けられる第2高さ調節機構772は、第1支持部721よりも上方、且つ、ドラフト機構25の後端25aよりも後側に位置する。すなわち、第2支持部722は、第1支持部721よりも上方、且つ、ドラフト機構25よりも後側でヒッチ部71を支持する。
【0093】
このような構成によれば、第1支持部721により、牽引高さ位置の低い被牽引体100を牽引することができる。そして、第2支持部722により、牽引高さ位置の高い被牽引体100を牽引することができる。すなわち、本実施例の構成によれば、ヒッチ部71の高さを高さ調節可能な範囲を広くすることができる。この結果、被牽引体100の種類や大きさの相違による牽引高さの違いに対応し易くすることができる。
【0094】
また、本実施例の構成では、トレーラのような積載物によって重量が重くなり易い被牽引体100に対して、第1支持部721を利用することにより、ヒッチ部71をなるべく前方に配置することができる。この場合、後車軸10と荷重位置との距離L(
図8参照)を短くすることができる。この結果、重量が重くなり易い被牽引体100についても、作業車両1のウェイトを重くする等の余分な対応を行うことなく牽引を行うことができる。
【0095】
図11は、
図8とは異なる牽引高さで被牽引体100を牽引する場合を例示する図である。
図8に示す例では、第1支持部721にヒッチ部71が連結されている。このような形態は、被牽引体100を牽引部材73で牽引する高さ位置がPTO軸11よりも下側となる被牽引体に好適である。
図11に示す例では、第2支持部722にヒッチ部71が連結されている。このような形態は、被牽引体100を牽引部材73で牽引する高さ位置がPTO軸11よりも上側となる被牽引体に好適である。
【0096】
<3.留意事項等>
本明細書中に開示される種々の技術的特徴は、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。また、本明細書中に示される複数の実施形態および変形例は可能な範囲で組み合わせて実施されてよい。
【符号の説明】
【0097】
1・・・作業車両
2・・・車体
11・・・PTO軸
16・・・昇降ユニット
25・・・ドラフト機構
26・・・ブラケット(ドラフト機構を構成する部材)
51、61、71・・・ヒッチ部
52、62、72・・・支持部
57、67、77・・・高さ調節機構
100・・・被牽引体
721・・・第1支持部
721・・・第2支持部
771・・・第1高さ調節機構
772・・・第2高さ調節機構