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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049532
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】ロボット制御システム
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/06 20060101AFI20240403BHJP
【FI】
B25J19/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155808
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005197
【氏名又は名称】株式会社不二越
(74)【代理人】
【識別番号】100176072
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 功
(74)【代理人】
【識別番号】100169225
【弁理士】
【氏名又は名称】山野 明
(72)【発明者】
【氏名】谷坂 テイジ
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS05
3C707AS12
3C707HS27
3C707JS03
3C707JS07
3C707KS16
3C707KS21
3C707KV01
3C707LV02
3C707LW07
(57)【要約】
【課題】複数のロボットを同期させて使用する際、調整に要する時間を短縮し、ロボットの動作速度を落とすことなく動作制御し、容易に取り扱うことができるようにする。
【解決手段】一方のロボット2Aと、他方のロボット2Bと、一方のロボット2Aを動作制御するとともに、一方のロボット2Aの位置を算出し、算出した位置を示す位置情報を送信する一方のロボット制御装置1Aと、一方のロボット制御装置1Aから受信した位置情報に基づき、他方のロボット2Bを、一方のロボット2Aと協調動作するように動作制御する他方のロボット制御装置1Bと、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方のロボットと、
他方のロボットと、
前記一方のロボットを動作制御するとともに、前記一方のロボットの位置を算出し、算出した位置を示す位置情報を送信する一方のロボット制御装置と、
前記一方のロボット制御装置から受信した前記位置情報に基づき、前記他方のロボットを、前記一方のロボットと協調動作するように動作制御する他方のロボット制御装置と、
を備えることを特徴とするロボット制御システム。
【請求項2】
前記一方のロボットは、当該一方のロボットを駆動する一方のアクチュエータの特定状態を検出し、検出した当該特定状態を示す状態情報を前記一方のロボット制御装置に送信する検出器を更に備え、
前記一方のロボット制御装置は、前記検出器から受信した前記状態情報に基づき、前記一方のロボットの位置を算出することを特徴とする請求項1に記載のロボット制御システム。
【請求項3】
前記一方のロボットに、前記一方のアクチュエータ及び前記検出器が複数個存在し、
各前記検出器は、各一方のアクチュエータの各状態をそれぞれ検出し、検出した各状態を示す各状態情報を、それぞれ前記一方のロボット制御装置に送信し、
前記一方のロボット制御装置は、各検出器から受信した各状態情報に基づき、前記位置を算出することを特徴とする請求項2に記載のロボット制御システム。
【請求項4】
前記一方のロボット制御装置は、前記位置情報をIO信号として送信することを特徴とする請求項1又は2に記載のロボット制御システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のロボットの動作制御を行うロボット制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロボットの動作制御に関する様々な発明が提案されている。例えば下記特許文献1には、ロボットの動作制御に用いる座標系を補正するロボット制御システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平04-174005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、複数のロボットの動作を同期させるためには、主に2つの方法がある。第一の方法は、各ロボットに対して、動作を細かく分けてティーチし、インタロックを挟んだり低速で動作させたりする方法である。第二の方法は、複数のロボットを協調制御する方法である。
【0005】
上記第一の方法においては、動作を細かく分けてティーチするため、調整に長い時間を要するうえ、ロボットの動作を遅くしなければならず、タクトタイムと精度の両立が困難であった。
【0006】
また、上記第二の方法においては、協調制御を行う複数のロボットを、1つの制御装置にて動かすため、各ロボットの制御出力用のアンプを1つの制御装置に組み込む必要があり、制御装置が大型化してしまう。このため、制御装置を持ち運ぶ際などに取り扱いが不便であるという問題があった。
【0007】
そこで本発明は、上記問題に鑑み、複数のロボットを同期させて使用する際、調整に要する時間を短縮し、ロボットの動作速度を落とすことなく動作制御することができ、さらに、容易に取り扱うことができるロボット制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のロボット制御システムは、一方のロボットと、他方のロボットと、前記一方のロボットを動作制御するとともに、前記一方のロボットの位置を算出し、算出した位置を示す位置情報を送信する一方のロボット制御装置と、前記一方のロボット制御装置から受信した前記位置情報に基づき、前記他方のロボットを、前記一方のロボットと協調動作するように動作制御する他方のロボット制御装置と、を備える。
【0009】
また、前記一方のロボットは、当該一方のロボットを駆動する一方のアクチュエータの特定状態を検出し、検出した当該特定状態を示す状態情報を前記一方のロボット制御装置に送信する検出器を更に備え、前記一方のロボット制御装置は、前記検出器から受信した前記状態情報に基づき、前記一方のロボットの位置を算出する。
【0010】
また、前記一方のロボットに、前記一方のアクチュエータ及び前記検出器が複数個存在し、各前記検出器は、各一方のアクチュエータの各状態をそれぞれ検出し、検出した各状態を示す各状態情報を、それぞれ前記一方のロボット制御装置に送信し、前記一方のロボット制御装置は、各検出器から受信した各状態情報に基づき、前記位置を算出する。
【0011】
また、前記一方のロボット制御装置は、前記位置情報をIO信号として送信する。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るロボット制御システムによれば、複数のロボットを同期させて使用する際に、調整に要する時間を短縮し、ロボットの動作速度を落とすことなく動作制御することができ、さらに、容易に取り扱うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係るロボット制御システムの構成の一例を概略的に示すブロック図である。
図2図1の一方のロボット制御装置のハードウェア構成の一例を概略的に示すブロック図である。
図3図1のロボット制御装置の機能的構成の一例を一方のロボット、他方のロボットとともに概略的に示すロボット制御システムのブロック図である。
図4図1のロボット制御システムにおける協調制御の流れの一例を説明するフローチャートである。
図5図1のロボット制御システムを用いた動作中の一方のロボット及び他方のロボットの状態を複数示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。なお、説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては極力同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0015】
===実施形態===
以下、実施形態について説明する。
【0016】
《構成》
図1は、本実施形態に係るロボット制御システムの構成の一例を概略的に示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係るロボット制御システム1は、一方のロボット制御装置1A、他方のロボット制御装置1B、一方のロボット2A、及び、他方のロボット2Bを備えて主要部が構成されている。
【0017】
一方のロボット2Aは動作の基準となるロボットであり、他方のロボット2Bは一方のロボット2Aと協調制御されるロボットである。例えば、一方のロボット2Aは加工対象物を把持するロボットであり、他方のロボット2Bは一方のロボット2Aに把持された加工対象物を加工するロボットである。また、一方のロボット2Aは移動対象物を把持するロボットであり、他方のロボット2Bは一方のロボット2Aに把持された移動対象物を受け取り他の箇所に移動せるロボットであってもよい。
【0018】
一方のロボット制御装置1Aは、一方のロボット2Aを動作制御するロボット制御装置である。また、一方のロボット制御装置1Aは、一方のロボット2Aの位置を算出し、算出した当該位置を示す位置情報を、他方のロボット制御装置1Bへ送信する。
【0019】
他方のロボット制御装置1Bは、一方のロボット制御装置1Aから受信した位置情報に基づき、他方のロボット2Bを一方のロボット2Aと協調動作するように動作制御する。
【0020】
図2は、図1の一方のロボット制御装置1Aのハードウェア構成の一例を概略的に示すブロック図である。図2に示すように、一方のロボット制御装置1Aは、記憶装置31、制御装置32、及び、通信装置35を主に備えて主要部が構成されている。
【0021】
記憶装置31は、一方のロボット制御装置1Aの内部に配置されたハードディスク等によって構成される補助記憶装置である。この記憶装置31は、制御装置32における処理の実行に必要な各種プログラム、各種の情報、及び、処理結果の情報を記憶する。
【0022】
制御装置32は、CPU(Central Processing Unit)33、及び、メモリ(主記憶装置)34を主に備えて主要部が構成される。CPU33は、一方のロボット2Aを動作制御したり、一方のロボット制御装置1Aの各種構成を動作制御したりする。メモリ34は、例えば一方のロボット制御装置1Aにおける処理の実行に必要な各種プログラム等を記憶する。
【0023】
また、制御装置32は、CPU33が記憶装置31あるいはメモリ34等に格納された所定のプログラムを実行することにより、各種の機能構成として機能する。この機能構成の詳細については後述する。当該プログラムは、記憶装置31に記憶されてもよく、一方のロボット制御装置1Aの外部の記憶装置等に記憶されてもよい。また、当該プログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供してもよく、インターネット等のネットワーク経由でインストールする形式で提供してもよい。
【0024】
通信装置35は、外部の装置と通信するための通信インターフェース等で構成される。通信装置35は、例えば、一方のロボット制御装置1Aと他方のロボット制御装置1Bとの間、及び、一方のロボット制御装置1Aと後述する一方の検出器16との間で、各種の情報を送受信する。
【0025】
なお、一方のロボット制御装置1Aは、専用又は汎用のコンピュータ等を用いて実現することができる。また、図2は一方のロボット制御装置1Aが有する主要なハードウェア構成の一部を示しているに過ぎず、一方のロボット制御装置1Aは、コンピュータが一般的に備える他の構成を備えることができる。
【0026】
なお、他方のロボット制御装置1Bについては、一方のロボット制御装置1Aと略同様のハードウェア構成であるため、ハードウェア構成についての説明は省略する(ただし、他方のロボット制御装置1Bの通信装置については、上述した通信装置35とは異なり、一方の検出器16との通信は行わず、後述する他方の検出器18との通信を行う)。
【0027】
図3は、図1のロボット制御装置1A,1Bの機能的構成の一例を一方のロボット2A、他方のロボット2Bとともに概略的に示すロボット制御システムのブロック図である。図3に示すように、ロボット制御システム1のうち、一方のロボット制御装置1Aは、機能的構成として、一方の動作制御部11、位置計算部12、及び、送信部13を備えて主要部が構成されている。他方のロボット制御装置1Bは、機能的構成として、受信部14、他方の動作制御部15、及び、目標計算部17を備えて主要部が構成されている。
【0028】
また、一方のロボット2Aには、一方のアクチュエータとしての一方のモータ21が設けられている。他方のロボット2Bには、他方のアクチュエータとしての他方のモータ22が設けられている。これにより、一方のロボット2Aは一方のモータ21によって駆動し、他方のロボット2Bは他方のモータ22によって駆動する。
【0029】
さらに、一方のロボット2Aには一方の検出器16が取り付けられている。例えば、一方の検出器16は、一方のロボット2Aにおいて一方のモータ21と対向する位置に取り付けられ、当該一方のモータ21の特定状態を検出する。一例として、この一方の検出器16はエンコーダであり、ここでの「特定状態」とは、一方のモータ21の回転軸の回転角度等である。
【0030】
また、一方の検出器16は、検出した一方のモータ21の特定状態を示す「状態情報」を、一方のロボット制御装置1Aに送信する。
【0031】
さらに、他方のロボット2Bには他方の検出器18が取り付けられている。例えば、他方の検出器18は、他方のロボット2Bにおいて他方のモータ22と対向する位置に取り付けられ、当該他方のモータ22の特定状態を検出する。一例として、この他方の検出器18はエンコーダであり、ここでの「特定状態」とは、他方のモータ22の回転軸の回転角度等である。
【0032】
また、他方の検出器18は、検出した他方のモータ22の特定状態を示す「状態情報」を、他方のロボット制御装置1Bに送信する。
【0033】
一方の動作制御部11は、一方のモータ21を動作制御するものである。さらに、一方の動作制御部11は、後述する位置計算部12により算出された「位置」を利用して、一方のモータ21に対してPID制御等のフィードバック制御を行う。
【0034】
位置計算部12は、一方の検出器16から受信した状態情報に基づき、一方のロボット2Aの位置を算出する。詳述すると、位置計算部12は、一方の検出器16から受信した状態情報に基づき、三次元座標系上における一方のロボット2Aの位置を算出する。なお、この「位置」については、一方のロボット2Aの、加工対象物との接触部分(例えば把持部分)の中心位置や、把持した際の加工対象物自体の特徴的な箇所としてもよい。また、算出した位置については、一方の動作制御部11及び送信部13へ送られる。
【0035】
送信部13は、位置計算部12により算出された一方のロボット2Aの位置を示す「位置情報」を、後述する受信部14へ送信する。なお、送信部13はIOボードを有しており、この位置情報はIO信号として送信される。IO信号とは、IOボードの各入出力点に繋がれた信号線を介して通信される信号である。
【0036】
受信部14は、送信部13が送信した位置情報を受信する。なお、受信部14はIOボードを有しており、送信部13からIO信号として送信された位置情報を受信することができるようになっている。
【0037】
目標計算部17は、受信部14が受信した位置情報に基づき、他方のロボット2Bの目標位置(以下、「目標」と呼称)を算出する。詳述すると、目標計算部17は、受信部14が受信した位置情報を考慮して、三次元座標系上における他方のロボット2Bの目標を算出する。なお、位置計算部12で用いる三次元座標と目標計算部17で用いる三次元座標系とは、共通の座標系であるものとする。
【0038】
さらに、目標計算部17は、他方の検出器18から受信した状態情報に基づき、他方のロボット2Bの位置を算出する。詳述すると、目標計算部17は、他方の検出器18から受信した状態情報に基づき、三次元座標系上における他方のロボット2Bの位置を算出する。
【0039】
なお、これら他方のロボット2Bの目標及び位置については、他方のロボット2Bの加工対象物との接触部分の中心位置や、加工対象物自体の特徴的な箇所としてもよい。また、算出した目標及び位置は他方の動作制御部15へ送られる。
【0040】
他方の動作制御部15は、目標計算部17が算出した目標及び位置に基づき、一方のロボット2Aと他方のロボット2Bが協調動作するように、他方のロボット2Bを駆動する他方のモータ22に対してフィードバック制御を行う。
【0041】
なお、一方のロボット2Aに、一方のモータ21及び一方の検出器16が複数個設けられるものとしてもよい。その場合、一方の動作制御部11は複数の一方のモータ21をフィードバック制御する。また、各一方の検出器16が、各一方のモータ21の各状態をそれぞれ検出し、検出した各状態を示す各状態情報を、それぞれ一方のロボット制御装置1A(特に位置計算部12)に送信し、一方のロボット制御装置1A(特に位置計算部12)は、各一方の検出器16から受信した各状態情報に基づき、一方のロボット2Aの位置を算出する。
【0042】
また、他方のロボット2Bにおいても、他方のモータ22が複数個設けられるものとしてもよい。その場合、他方の動作制御部15は複数の他方のモータ22を制御する。
【0043】
《処理》
図4は、図1のロボット制御システムにおける協調制御の流れの一例を説明するフローチャートである。なお、以下のステップのうちステップSP1~SP4は一方のロボット制御装置1Aによる処理であり、ステップSP5,SP6は他方のロボット制御装置1Bによる処理である。また、以下のステップは一例であり、その順番及び内容は適宜変更することができる。
【0044】
(ステップSP1)
一方の動作制御部11が、一方のモータ21を制御することで、一方のロボット2Aを駆動する。その後、処理はステップSP2へ移行する。
【0045】
(ステップSP2)
一方の検出器16が、一方のモータ21の特定状態を検出し、検出した特定状態を示す状態情報を位置計算部12へ送信する。その後、処理はステップSP3へ移行する。
【0046】
(ステップSP3)
位置計算部12が、一方の検出器16から受信した状態情報に基づき、一方のロボット2Aの位置を算出する。例えば、位置計算部12は、一方の検出器16から状態情報として一方のモータ21の回転角度を受信した際に、その回転角度と一方のロボット2AのDenavit―Hartenberg(DH)パラメータから、三次元座標系における一方のロボット2Aの先端の位置と方向を算出する。さらに、位置計算部12は、把持部のサイズや形状情報等の把持部情報を記憶装置31から取得し、この把持部のうちの任意の箇所を一方のロボット2Aの位置としてもよい。その後、処理はステップSP4へ移行する。
【0047】
(ステップSP4)
送信部13が、位置計算部12により算出した一方のロボット2Aの位置を示す位置情報を送信する。その後、処理はステップSP5へ移行する。
【0048】
(ステップSP5)
受信部14が、送信部13が送信した位置情報を受信する。その後、処理はステップSP6へ移行する。
【0049】
(ステップSP6)
他方のロボット制御装置1Bが、受信部14が受信した位置情報に基づき、一方のロボット2Aと他方のロボット2Bが協調するように、他方のロボット2Bを駆動する他方のモータ22を動作制御する。例えば、他方のロボット制御装置1Bが、受信部14が受信した位置情報と対比して、協調動作のために他方のロボット2Bが移動すべき位置(目標)を算出し、算出した位置に他方のロボット2Bが移動するように他方のモータ22を動作制御する。
【0050】
《協調動作》
図5は、図1のロボット制御システムを用いた動作中の一方のロボット2A及び他方のロボット2Bの状態を複数示す概略図である。特に、図5Aは、図1中の動作中の一方のロボット2A及び他方のロボット2Bの状態の一例を示す概略図であり、図5Bは、図1中の動作中の一方のロボット2A及び他方のロボット2Bの状態の他の例を示す概略図である。
【0051】
図5Aに示すように、一方のロボット制御装置1Aによって制御された一方のロボット2Aは、初めに加工対象物Wを把持し、他方のロボット制御装置1Bによって制御された他方のロボット2Bは、一方のロボット2Aの動作と協調して、一方のロボット2Aに把持された加工対象物Wに対し加工を開始する。
【0052】
その後、図5Bに示すように、一方のロボット2Aは、例えば、加工対象物Wを回転かつ移動させ、他方のロボット2Bは、例えば、加工対象物Wに対し連続的又は断続的に加工を行う。
【0053】
《作用効果》
上記のように、本実施形態では、一方のロボット2Aに対して一方のロボット制御装置1Aで動作制御を行い、一方のロボット制御装置1Aから他方のロボット制御装置1Bに、一方のロボット2Aの位置情報を送ることにより、他方のロボット制御装置1Bが他方のロボット2Bの協調制御を行うことになる。この結果、複数のロボットを協調制御により同期させて使用する際に、既に説明した従来の第一の方法のように、動作を細かく分けてティーチする必要がない。このため、当該方法に比べて、調整に要する時間を短縮し、ロボットの動作速度を落とすことなく制御することができる。また、既に説明した従来の第二の方法のように、各ロボットの制御出力用のアンプを1つの制御装置(すなわちロボット制御装置1A又はロボット制御装置1B)に組み込むことで当該制御装置を大型化する必要がない。このため、当該方法に比べて、ロボット制御装置1A,1Bを持ち運ぶ際などに容易に取り扱うことができる。
【0054】
また、一方の検出器16を用いてアクチュエータ(モータ21)の状態を検出し、当該状態から一方のロボット2Aの位置を算出するので、例えばカメラを用いて当該位置を把握する場合に比べて、設備費を抑えることができる。
【0055】
さらに、一方のロボット制御装置1Aが、複数の一方のアクチュエータ(本実施形態中では一方のモータ21)の状態情報に基づき一方のロボット2Aの位置を求め、その位置情報を他方のロボット制御装置1Bに送信し、他方のロボット制御装置1Bが協調制御を行うので、複数の一方のアクチュエータの状態情報を、そのまま一方のロボット制御装置1Aから他方のロボット制御装置1Bに送信して、他方のロボット制御装置1Bが協調制御を行う場合に比べて、ロボット制御装置間の通信頻度が抑制される。
【0056】
さらに、IO信号を用いることによりロボット制御装置1A,1B間の通信速度をより向上することができる。
【0057】
===変形例===
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。すなわち、上述した具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。また、上述した実施形態及び後述する変形例が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【0058】
例えば、上述した実施形態では、ロボット制御システム1が、一方のロボット制御装置1A及び一方のロボット2Aと、他方のロボット制御装置1B及び他方のロボット2Bとを、それぞれ一対ずつ備えるものとして説明したが、一方のロボット制御装置1A及び一方のロボット2Aを一対とし、他方のロボット制御装置1B及び他方のロボット2Bを複数対としてもよい。その場合、一方のロボット制御装置1A(特に送信部13)から、複数の他方のロボット制御装置1B(特に受信部14)に対して、位置情報が同時に送信される。
【0059】
また、上述した実施形態では、一方のロボット2Aと他方のロボット2Bが、それぞれ一方のモータ21、他方のモータ22により駆動するものとして説明したが、これを、油圧シリンダ、電磁石を用いたアクチュエータ、あるいは、ピエゾ素子を用いたアクチュエータなど、モータ以外のアクチュエータに置き換えてもよい。ただし、上述の実施形態において説明した、一方の検出器16が検出する「状態」については、用いるアクチュエータの種類に応じて変更する。
【0060】
さらに、上述した実施形態では、一方のモータ21が複数個設けられるものとしてもよい旨を説明したが、その場合についても、これをモータ以外のアクチュエータに置き換えてもよく、あるいは、モータを含む複数種類のアクチュエータを組み合わせて設けるようにしてもよい。なお、これについては他方のモータ22も同様である。
【0061】
また、上述した実施形態では、位置計算部12が、共通する三次元座標系における一方のロボット2Aの位置を算出するものとして説明したが、これを、位置計算部12が、一方のロボット2Aの先端の位置姿勢を基準とするワーク座標系と、基準となる座標系(例えば上述の実施形態中で説明した「共通の座標系」)との関係を求めるものとしてもよい。その場合、この関係を示す情報が送信部13から受信部14へ送信される。さらに、目標計算部17は、ワーク座標系上で記述した目標を有し、この関係に基づき、共通する座標系上での目標を決めるものとしてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1…ロボット制御システム、1A…一方のロボット制御装置、1B…他方のロボット制御装置、2A…一方のロボット、2B…他方のロボット、11…一方の動作制御部、12…位置計算部、13…送信部、16…一方の検出器、21…一方のモータ(一方のアクチュエータ)、22…他方のモータ(他方のアクチュエータ)

図1
図2
図3
図4
図5A
図5B