(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049533
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】火災警報器
(51)【国際特許分類】
G08B 17/10 20060101AFI20240403BHJP
G08B 17/00 20060101ALI20240403BHJP
G08B 17/107 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
G08B17/10 H
G08B17/00 G
G08B17/107 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155809
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】弁理士法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 達彦
(72)【発明者】
【氏名】董 宥辰
【テーマコード(参考)】
5C085
5G405
【Fターム(参考)】
5C085AA01
5C085AA03
5C085AA06
5C085AB01
5C085AC18
5C085BA33
5C085CA30
5C085FA11
5C085FA17
5G405AA01
5G405AB01
5G405AB02
5G405AB03
5G405AD06
5G405CA60
5G405FA06
5G405FA12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】径を小さくすることができ、火災を検知してスピーカーが鳴動した時に線状導体が振動して想定外の音が発生することや、スピーカーの鳴動によって線状導体が外れたりずれたりしてしまうことを抑制し、製造する際の組み立て性を向上させる火災警報器を提供する。
【解決手段】火災警報器である煙感知器1は、周囲に周囲壁115及びフランジ部114を有する本体ベース11と、周囲壁115に沿ってフランジ部114に設置される線状導体142と、を備える。本体ベース11は、周囲壁115から突出する部品収容壁113を有する。内側にスピーカー13を収容する部品収容壁113は、フランジ部114の側に凹部113bを有し、線状導体142の一部が、凹部113bに収容される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲に周囲壁とフランジ部を有した本体ベースと、
前記周囲壁に沿って前記フランジ部に設置される線状導体と、を備え、
前記本体ベースは、前記周囲壁から突出する部品収容壁を有し、
内側にスピーカーを収容する前記部品収容壁は、前記フランジ部の側に凹部を有し、
前記線状導体は一部が前記凹部に収容されることを特徴とする火災警報器。
【請求項2】
前記フランジ部は、前記凹部の両側に突起を有し、前記突起と前記凹部の間に前記線状導体を挟持することを特徴とする請求項1に記載された火災警報器。
【請求項3】
前記凹部の中心は、前記線状導体による円弧部分の中央から、前記中央から先端の側へ向けて1/4の位置までの範囲に位置することを特徴とする請求項1に記載された火災警報器。
【請求項4】
前記周囲壁からは、テーパー面を有した複数の係止片が外方へ突出し、
前記係止片により煙取入れカバーを係止することを特徴とする請求項1に記載された火災警報器。
【請求項5】
火災感知器の機能を備えていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載された火災警報器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災警報器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、アンテナを備えた無線式の火災感知器が記載されている。特許文献1では、アンテナを、本体カバーの内側に沿って配置している。アンテナは線状導体である。また、特許文献2にも無線式の火災感知器が記載されている。特許文献2では、アンテナと、導体を本体カバーの内側に沿って配置している。アンテナと導体は線状導体である。特許文献2の火災感知器は、スピーカーを備えており、火災の際に警報音を鳴動させるものであって、一種の火災警報器である。
【0003】
図1に、特許文献2に記載されているような従来例の煙感知器の内部を示す。
図1は、火災警報器である煙感知器9が天井に設置されている状態で、煙感知器9の一番下にある本体カバーと、その内側にある煙取入れカバーを外して下から見た図である。下から見て、本体ベース91には、回路基板92と円形のスピーカー93が取り付けられている。また、本体ベース91には、台形状の煙を感知する検煙部911、図面から見て本体ベース91の裏側に電池を収容する長方形の電池収容部912、スピーカー93を収容する円周状の部品収容壁913が設けられている。回路基板92は、本体ベース91の検煙部911、電池収容部912、部品収容壁913等を避けて配置される。また、回路基板92には、線状導体941と線状導体942が接続されている。線状導体942は、回路基板92に近い面で本体ベース91のフランジ部914の外周に沿って配置され、フランジ部914から突出した複数のワイヤー載置突起915に載置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-248546号公報
【特許文献2】特開2021-5844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
線状導体を従来例のように回路基板に近い位置に配置する場合、回路基板に接続したスピーカーの外側に線状導体を配置することになる。そのため、火災警報器の径が大きくなってしまう。また、スピーカーが鳴動した時に線状導体が振動して想定外の音を発生してしまう可能性や、スピーカーが鳴動した際の振動により、線状導体が、ずれたり外れたりしてしまう虞がある。本発明は上記の課題を解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態における火災警報器は、周囲に周囲壁とフランジ部を有した本体ベースと、前記周囲壁に沿って前記フランジ部に設置される線状導体と、を備え、前記本体ベースは、前記周囲壁から突出する部品収容壁を有し、内側にスピーカーを収容する前記部品収容壁は、前記フランジ部の側に凹部を有し、前記線状導体は一部が前記凹部に収容されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明では、本体ベースの周囲壁から突出した部品収容壁に凹部を有し、線状導体が凹部に収容されることにより、火災警報器の径を小さくすることができる。また、線状導体を凹部に収容したことにより、火災を検知してスピーカーが鳴動した時に線状導体が振動して想定外の音が発生することや、スピーカーの鳴動によって線状導体が外れたりずれたりしてしまうことを抑制する。さらに、線状導体を凹部に収容したことにより、線状導体の位置が決まりやすくなり、火災警報器を製造する際の組み立て性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】従来の煙感知器の本体カバーと、その内側にある煙取入れカバーを外した図。
【
図3】実施形態における煙感知器の本体ベースを斜め下方から見た図。
【
図4】実施形態における煙感知器の本体ベースを斜め上方から見た図。
【
図5】実施形態における煙感知器の線状導体を取り付けた本体ベースの上面図。
【
図6】実施形態における煙感知器の回路基板等を取り付けた本体ベースの上面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
煙感知器等は、天井に取り付ける際の下方を上方にして組み立てることが多い。本実施形態では、火災警報器の一例である警報音発生機能を有した煙感知器を、組み立ての際の上下方向で説明する。実施形態の煙感知器1は無線連動装置を有し、他の煙感知器と連動する。火災発生時等に煙感知器1が煙を感知した際には、煙感知器1はスピーカーを鳴動させると共に、無線送信により他の煙感知器に煙感知信号を送信して、他の煙感知器のスピーカーを鳴動させる。また、煙感知器1は、他の煙感知器からの煙感知信号を受信して、スピーカーを鳴動させる。
【0010】
図2は、実施形態の煙感知器1を組み立ての際の斜め上方からみた分解斜視図である。天井に取り付けた際に一番下の位置となる本体カバー19を一番上に記載している。
図2には、下から順に本体ベース11、線状導体141、142が接続した回路基板12、スピーカー13、煙取入れカバー15、本体カバー19が記載されている。
図2において、線状導体141は回路基板12の上側に位置し、線状導体142は回路基板12の下側に位置する。
【0011】
図2の一番下に示す本体ベース11には、検煙部111、電池収容部112、部品収容壁113が設けられている。検煙部111は、外部からの煙を取り入れて光を照射する場所であり、ここでの散乱光を検出して煙を感知する。散乱光を検出するための送光素子と受光素子は、検煙部111の壁に設けた開口に面して、回路基板12の下方に取り付けられている。また、電池収容部112は、
図2における本体ベース11の裏側に電池(図示せず)を収容する。さらに、本体ベース11からは、スイッチ台116が上方に突出している。検煙部111の近傍には、雌ネジ筒117が設けられている。
【0012】
本体ベース11の周囲には略円筒状に周囲壁115が設けられ、周囲壁115の外側に側方へ向けてフランジ部114が延在している。フランジ部114では、周囲壁115から隙間をあけて、複数の柱状の突起114aが上方へ向けて突出している。また、周囲壁115からは、テーパー面を上に向けた複数の係止片115aが外方へ突出している。周囲壁115は、円筒が部分的に切れた形状をしている。そして、電池収容部112の近くで、周囲壁115が切れて壁切欠き部115bが形成されている。フランジ部114も、全周にわたって設けられてはおらず、周囲壁115の外側で係止片115aが外方へ突出している場所の近傍で、環状の板が部分的に切れた形状となっている。
【0013】
壁切欠き部115b以外でも、部品収容壁113の部分では、周囲壁115は形成されていない。部品収容壁113は、略円筒状に形成され、その一部が近傍の周囲壁115から外方へ突出し、突出部113aを形成している。また、突出部113aの下側には線状導体142を収容する凹部113bが設けられている。フランジ部114も、部品収容壁113が突出した突出部113aの外側では切れており、突出部113aの外側には形成されていない。
【0014】
図2の下から2番目に示す回路基板12は、本体ベース11の上に載置される。載置された状態では、回路基板12の下側に位置する線状導体142が、電池収容部112の短手方向の側面を通ってから壁切欠き部115bを通り、電池収容部112の反対側に折れ曲がった後に周囲壁115の外縁に沿って円弧状に延在する。そして、周囲壁115から外方へ突出する部品収容壁113の突出部113aの下側に位置する凹部113bを通って、再び周囲壁115の外縁に沿って検煙部111の外側近傍まで達する。線状導体142の円弧状の部分は、フランジ部114の上に載置され、周囲壁115の外側、突起114aの内側、凹部113bの中を通過する。
【0015】
実施形態の煙感知器1では、回路基板12にCOセンサー122とスイッチ123が取り付けられている。また、回路基板12には、煙取入れカバー15を本体ベース11にネジ止めする際に雄ネジが通る、ネジ通過孔124が設けられている。
【0016】
線状導体141はアンテナとして機能する。また、線状導体142は、回路基板12のアースに電気的に接続されている。煙感知器1が無線通信による送受信を行う際には、アンテナである線状導体141の、アースに対する高周波電位変動が用いられる。そして、線状導体142がアースに接続されていることによりアースの領域が広くなり、送信の電波が十分に生成されるとともに、受信の感度が高くなっている。また、煙感知器1を天井等に取り付けた際には、線状導体141が天井等から離れた位置となるため、この点でも送信の電波が十分に生成されるとともに、受信の感度が高くなっている。さらに、線状導体141は、煙感知器1の円周においてスピーカー13と反対の側方位置に配置されているため、スピーカー13の鳴動が伝わりにくく、振動が生じにくい。また、線状導体142が凹部113bに収容されて振動が抑えられているため、線状導体141は、線状導体142に共振する振動が生じにくい。なお、線状導体142はアースに接続されているが、無線通信の送受信に寄与するものであって、一種のアンテナと言うことができる。
【0017】
火災を検知した際に鳴動するスピーカー13は、本体ベース11の部品収容壁113の内側に、鳴動方向を上にして収容される。スピーカー13は2本の接続線131を有する。そして、本体ベース11に回路基板12を配置した後に、スピーカー13を部品収容壁113に設置し、スピーカー13の接続線131を回路基板12の接続端子121にハンダで接続して取り付けられる。
【0018】
図2の上から2番目に記載した煙取入れカバー15には、防虫網17が光学台カバー18により覆われて取り付けられている。そして、複数の突条151が防虫網17に向けて配置され、防虫網17を介して検煙部111に外気を導入する。また、煙取入れカバー15の上部には透光スイッチカバー16が配置される。透光スイッチカバー16は、本体ベース11のスイッチ台116に軸支され、回路基板12に設けたスイッチ123に接するように設置される。透光スイッチカバー16は、押されることによりスイッチ台116を支点として回転し、スイッチ123が押される。
図2では、突条151に一部が隠れているが、防虫網17の近傍にネジ通過孔153が設けられている。また、煙取入れカバー15の周囲には複数の係止バネ152が設けられている。係止バネ152は本体ベース11の係止片115aに係合して、煙取入れカバー15を本体ベース11に固定する。さらに、ネジ通過孔153から回路基板12のネジ通過孔124を通して、本体ベース11の雌ネジ筒117にねじ込まれる雄ネジ(図示せず)により、煙取入れカバー15は本体ベース11に固定される。
【0019】
煙感知器1を天井に設置した際に最下部となる本体カバー19は、本体ベース11、回路基板12、煙取入れカバー15等を覆う。本体カバー19は、
図2において本体ベース11の下側から差し込まれた雄ネジ(図示せず)により固定される。本体カバー19には、周囲に通気口191が設けられ、通気口191から煙取入れカバー15にある複数の突条151の間に外気を取入れる。
【0020】
図3に、煙感知器1の本体ベース11の部品収容壁113における突出部113aの近傍を斜め下方から見た拡大図を示す。また、
図4に、突出部113aの近傍を更に拡大した、本体ベース11の斜め上からの拡大図を示す。周囲壁115の下方からは周囲方向に向けて、フランジ部114が突出している。また、周囲壁115からは周囲方向に向けて、部品収容壁113が突出して突出部113aとなっている。突出部113aの下方は凹部113bとなっている。そして、突起114aと凹部113bの間に線状導体142を挟持する。部品収容壁113の突出部113aの下面である収容壁下面113cと、フランジ部114の上面であるフランジ上面114bとの間に挟まれて、線状導体142が収容される。線状導体142は、内側を周囲壁115の外側面により、外側を突起114aの内側により、上側を収容壁下面113cにより、下側をフランジ上面114bにより、阻まれて位置決めされる。
【0021】
そのため、収容壁下面113cとフランジ上面114bとの間の幅である
図3、4に示す収容幅dは、線状導体142の直径φ以上である。しかしながら、収容幅dが大きすぎると、線状導体142が凹部113bで安定しない。
図3、4に示す収容幅dと、線状導体142の直径φとの関係は、
φ≦d≦1.5φ
であることが、好ましい。
実施形態では、線状導体142の断面は円形であるが、線状導体142の断面が長方形や楕円形等、円形以外の形状である場合には、収容幅dと線状導体142の上下方向の高さLhとの関係は、
Lh≦d≦1.5Lh
であることが好ましい。
【0022】
フランジ部114の上面には、複数の突起114aが設けられている。
図3、4に示すように、フランジ部114は、周囲に沿って凹部113bの両側に突起114aを有し、突起114aと凹部113bにより線状導体142を略固定する。凹部113bの両側において、突起114aの周囲壁115の側の面と、フランジ上面114bと、周囲壁115の外側面に挟まれ、凹部113bでは、収容壁下面113cに上方を押さえられて、線状導体142は略固定される。
【0023】
図3、4に示す突起114aは、周囲壁115の外面との間に距離wを有する。距離wも、線状導体142の直径φ以上である必要があるが、大きすぎると線状導体142が安定しない。
距離wと、線状導体142の直径φとの関係は、
φ≦w≦1.5φ
であることが、好ましい。
なお、線状導体142の断面が長方形や楕円形等、円形以外の形状である場合には、距離wと線状導体142の側方の幅Lwとの関係は、
Lw≦w≦1.5Lw
であることが好ましい。
【0024】
また、
図3、4に示す突起114aは、フランジ上面114bからの高さhを有する。高さhは、直径φの半分以上であれば、円形断面の線状導体142がフランジ上面114bの上に載置されたときに外れにくい。また、高さhが大きすぎると、組み立ての際に線状導体142を凹部113bに収容しにくい。
高さhと、線状導体142の直径φとの関係は、
0.5φ≦h≦φ
であることが好ましい。
なお、線状導体142の断面が長方形や楕円形等、円形以外の形状である場合には、高さhと線状導体142の上下方向の高さLhとの関係は、
0.5Lh≦h≦Lh
であることが好ましい。
【0025】
図2~4に示すように、本体ベース11における周囲壁115の上部の外側には、上方にテーパー面を有した係止片115aが設けられている。係止片115aは周囲壁115の外方に突出して複数設けられており、煙取入れカバー15の係止バネ152を係止して、煙取入れカバー15を本体ベース11に係止する。係止バネ152は枠状に形成され、枠の中に係止片115aが入って係止片115aの下面が枠に掛かって係止される。係止片115aがテーパー面を有していることから、煙感知器1を組み立てる際に線状導体142を上から被せてフランジ上面114bまで移動させる時、係止片115aが線状導体142を一時的に外方へ押すため、組み立ての障害にならない。線状導体141と共に、線状導体142はある程度の弾性を有した金属線で形成されている。
【0026】
凹部113bに線状導体142を収容した状態の上面図を
図5に示す。
図5は、本体ベース11に、線状導体142を接続した回路基板12を設置した状況における、部品収容壁113近傍の拡大図である。線状導体142は、周囲壁115の外側面とフランジ部114に設けられた突起114aに挟まれている。また、フランジ上面114bに載置された線状導体142は、一部が部品収容壁113における突出部113aの下方に位置しており、上方からみた
図5では、下方に位置している部分が隠れて示されている。また、係止片115aの下に線状導体142が位置するが、組み立ての際にはテーパー面を有する係止片115aが線状導体142を一時的に外方へ押すため、障害にならない。
【0027】
さらに、
図3に示すように、係止片115aの下面は収容壁下面113cよりも高い位置となっている。そのため、線状導体142を凹部113bから取り外す際には、線状導体142を拡げて、凹部113bから係止片115aの下面と収容壁下面113cまで、一時的に移動させることができる。そして、線状導体142をさらに拡げて係止片115aを乗り越えさせれば、線状導体142が取り外される。取り外しの際に、凹部113bと係止片115aを一度に乗り越えさせなくてもよいため、容易に取り外しを行うことができる。
【0028】
図5に示すように、部品収容壁113の突出部113aの内側には、上方に向けて段部113dが突出して設けられている。部品収容壁113の内側に段部113dがあることにより、外側の凹部113bによる窪みがあるにもかかわらず、突出部113aの下方は薄肉にならない。そして、段部113dにより部品収容壁113を強固な構造としているため、スピーカー13が大音量で鳴動しても、部品収容壁113に振動が発生しにくくなっている。スピーカー13は下方が窄まった構造であるため、段部113dがあっても、スピーカー13を部品収容壁113の中に収容して設置する際に障害とならない。
【0029】
次に、煙感知器1を組み立てる工程を説明する。
図2に示すように、回路基板12には線状導体141、142を接続しておく。そして、回路基板12を本体ベース11に嵌め込む。この時、線状導体142は、回路基板12の接点を基端として電池収容部112の短手方向の側面に沿って外方へ向かい、壁切欠き部115bを通って周囲壁115の外側で電池収容部112の反対側へ曲がる。そして、線状導体142は、周囲壁115の外側に沿って円弧状に延在する。線状導体142を本体ベース11に取り付ける際に、線状導体142を本体ベース11側に押し下げると、線状導体142の円弧状部分が拡がって周囲壁115の係止片115aを乗り越える。そして、弾性によりもとの形状に戻った円弧状部分は、突起114aの内側で周囲壁115の外側面に接する。さらに、部品収容壁113の外側で作業者が指で線状導体142を押し下げることにより、線状導体142は部品収容壁113の下側の凹部113bに収容され、フランジ上面114bに接する。線状導体142はある程度の弾性を有しているため、凹部113bに収容されると、線状導体142および回路基板12は半固定状態となる。
【0030】
次に、スピーカー13を部品収容壁113の内側へ載置し、接続線131を
図5に示す回路基板12の接続端子121にハンダで接合する。この時、部品収容壁113の凹部113bにより線状導体142が半固定状態となっている。そのため、線状導体142が接続した回路基板12は、ねじ止めしていなくてもあまり動くことがなく、効率的に接合作業を行うことができる。このように、凹部113bがあることにより、組立性を向上することが可能になる。
【0031】
図6に、スピーカー13のハンダづけが終了した状態の上面図を示す。線状導体142は、回路基板12の接続点125を基端とする。そして、電池収容部112の側面で直線的に外方へ向かい、壁切欠き部115bを通って周囲壁115の外側で電池収容部112の反対側へ曲がる。そして周囲壁115の外側面に沿って円弧状に延在する。
図6において、円弧端142aから先端142tまでが円弧となり円弧部分を形成している。そして、突出部113aおよび凹部113bの中心mは、円弧部分の中央からやや先端142t側に位置している。突出部113aおよび凹部113bの中心mは、線状導体142による円弧部分において、円弧端142aから先端142tの側へ向けて1/2の位置である中央から、中央から先端142tの側へ向けて1/4の位置までの範囲に位置することが好ましい。このような位置とすることにより、線状導体142が移動しにくいように効率的に固定することができる。また、スピーカー13が鳴動したときに、線状導体142の先端142t側の振動も効率的に抑制される。
【0032】
組み立ての際には、
図6の状態の上に、
図2に示した煙取入れカバー15を被せる。このとき、線状導体141は、
図2に示した煙取入れカバー15の切欠き154から煙取入れカバー15の上側に導出され、配置される。そして、煙取入れカバー15のネジ通過孔153に雄ネジを差し入れ、回路基板12のネジ通過孔124を通して本体ベース11の雌ネジ筒117にネジ止めする。これにより、煙取入れカバー15は回路基板12を挟んで本体ベース11に固定される。また、煙取入れカバー15の上にまで突出したスイッチ台116とスイッチ123に透光スイッチカバー16が載置される。そして、本体カバー19を被せて固定し、煙感知器1が組み立てられる。
【0033】
本実施形態の煙感知器1は、煙感知センサーだけでなく、COセンサー122も有している。そのため、搭載する回路が増えて回路基板12の面積が大きくなる。また、多機能化により電池の容量を大きくする必要もあるため、電池収容部112も大きい。このような火災警報器である煙感知器1においても、径が大きくなることを抑えることができる。
【0034】
実施形態では、
図2~4に示すように、突出部113aの下方にフランジ部114が設けられていないが、突出部の下方に凹部となる隙間を介してフランジ部を設けてもよい。しかし、フランジ部があると、組立ての際に線状導体を押し込む作業者の指がフランジ部にかかり、線状導体を凹部に押し込みにくい。突出部の下方にフランジ部がない方が、線状導体を凹部に押し込み易い。実施形態では、係止片115aの下面は収容壁下面113cよりも高い位置となっている。しかし同じ高さとしてもよい。
【0035】
また、実施形態では、凹部113bは周囲壁115の外側面よりもへこんでおり、周囲壁115よりも外側面の半径が小さい下部の下部周囲壁118と連なる同じ外側面となっている。これにより、下部周囲壁118と線状導体142の間に隙間が生じ、線状導体142を取り外す際に指等で拡げやすい。しかし、凹部113bは、周囲壁115から連なる同じ外側面となっていてもよい。また、周囲壁115の外側面と下部周囲壁118の外側面が、同じ半径の連なった円筒外側面となっていてもよい。
【0036】
部品収容壁はスピーカー以外の部品を収容するものであってもよい。しかし、スピーカーを収容したものでは、スピーカーの鳴動により線状導体が振動して想定外の音を発生することや、スピーカーの鳴動により線状導体が外れたりずれたりしてしまうことを抑制することができる。また、スピーカーの後部が窄まった形状から、部品収容壁の中の端に段部を設けてもスピーカーに当接しない。そして、段部により凹部の壁が薄くならないようにすることができる。
【0037】
実施形態では、火災警報器として煙感知器を例にとって説明したが、本発明は、火災感知機能がない無線式の火災警報器においても用いることができる。このような火災警報器においても、電池収容部と発音装置の部品収容壁を並べて配置する際に、凹部に線状導体を収容する。また、火災感知器の機能を有した火災警報器としては、熱感知器等の他の火災感知器においても用いることができる。また、実施形態の火災感知器では、COセンサーと煙感知センサーと言うように複数の機能を有している。しかし、複数の機能を有していない火災感知器に火災警報器の機能を持たせる場合においても、今回の実施形態を用いて径を小さくすることによって小型化することができる。
【0038】
その他、具体的な構成は実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。また、上述の各実施の形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 煙感知器、11 本体ベース、111 検煙部、112 電池収容部、113 部品収容壁、113a 突出部、113b 凹部、113c 収容壁下面、113d 段部、114 フランジ部、114a 突起、114b フランジ上面、115 周囲壁、115a 係止片、115b 壁切欠き部、116 スイッチ台、117 雌ネジ筒、118 下部周囲壁
12 回路基板、121 接続端子、122 COセンサー、123 スイッチ、124 ネジ通過孔、125 接続点、
13 スピーカー、131 接続線、
141 線状導体、142 線状導体、142a 円弧端、142t 先端、
15 煙取入れカバー、151 突条、152 係止バネ、153 ネジ通過孔、154 切欠き
16 透光スイッチカバー、17 防虫網、18 光学台カバー、
19 本体カバー、191 通気口、
d 収容幅、w 距離、h 高さ、φ 直径、m 中心、
9 煙感知器、91 本体ベース、911 検煙部、912 電池収容部、913 部品収容壁、914 フランジ部、915 ワイヤー載置突起、
92 回路基板、93 スピーカー、
941 線状導体、942 線状導体