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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049534
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】ドライブユニット及び回転電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 9/19 20060101AFI20240403BHJP
   F16H 57/04 20100101ALI20240403BHJP
【FI】
H02K9/19 A
H02K9/19 Z
F16H57/04 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155810
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】河村 康宏
(72)【発明者】
【氏名】田中 伸吾
【テーマコード(参考)】
3J063
5H609
【Fターム(参考)】
3J063AA21
3J063AA40
3J063AB12
3J063AC01
3J063XH02
3J063XH03
3J063XH13
3J063XH23
3J063XH42
5H609BB01
5H609BB15
5H609BB16
5H609BB19
5H609PP06
5H609PP17
5H609QQ04
5H609QQ13
5H609RR37
5H609RR40
5H609RR50
5H609RR53
(57)【要約】      (修正有)
【課題】冷却構造を簡素化したドライブユニットを提供する。
【解決手段】ドライブユニット10は、回転電機12と変速機14と冷却構造15とを備える。冷却構造15は、回転電機12を冷却する第1冷却通路41と、変速機14を冷却する第2冷却通路42とを有する。第1冷却通路41と第2冷却通路42とが互いに連通し、第1冷却通路41と第2冷却通路42とに共通の冷媒が流れる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転電機ケーシングを有する回転電機と、
変速機ケーシングを有し、前記回転電機に一体化された変速機と、
前記回転電機と前記変速機とを冷却する冷却構造と、
を備えたドライブユニットであって、
前記冷却構造は、前記回転電機を冷却する第1冷却通路と、前記変速機を冷却する第2冷却通路とを有し、
前記第1冷却通路と前記第2冷却通路とが互いに連通し、前記第1冷却通路と前記第2冷却通路とに共通の冷媒が流れる、ドライブユニット。
【請求項2】
請求項1記載のドライブユニットにおいて、
前記第1冷却通路と前記第2冷却通路とが直列に配置されている、ドライブユニット。
【請求項3】
請求項2記載のドライブユニットにおいて、
前記第1冷却通路は、前記第2冷却通路の上流側に配置されている、ドライブユニット。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のドライブユニットにおいて、
前記第2冷却通路は、前記回転電機ケーシングと前記変速機ケーシングとの間に設けられた隙間によって形成されている、ドライブユニット。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか1項に記載のドライブユニットにおいて、
前記第2冷却通路は、前記回転電機の軸線を囲むように前記回転電機の周方向に延在する、ドライブユニット。
【請求項6】
請求項5記載のドライブユニットにおいて、
円弧状に延在する前記第2冷却通路の内側で、前記回転電機と前記変速機との間に配置された環状の内側シール部材と、
前記第2冷却通路の外側で、前記回転電機と前記変速機との間に配置された環状の外側シール部材と、を備える、ドライブユニット。
【請求項7】
請求項6記載のドライブユニットにおいて、
前記変速機ケーシングは、前記第1冷却通路と前記第2冷却通路とを繋ぐ連絡通路を有し、
前記連絡通路の上流端は、前記外側シール部材よりも径方向外側で前記第1冷却通路に繋がり、
前記連絡通路の下流端は、前記内側シール部材と前記外側シール部材との間で前記第2冷却通路に繋がる、ドライブユニット。
【請求項8】
請求項4記載のドライブユニットにおいて、
前記変速機の内部では潤滑油が循環し、
前記変速機は、前記潤滑油を貯留する油溜まり部を有し、
前記第2冷却通路は、前記油溜まり部に沿って形成される、ドライブユニット。
【請求項9】
請求項1~3のいずれか1項に記載のドライブユニットにおいて、
前記第1冷却通路は、前記回転電機の軸線を中心に前記回転電機ケーシングの周壁部内を螺旋状に延在する螺旋通路と、前記螺旋通路を通過した前記冷媒を前記回転電機ケーシングから排出する排出通路とを有し、
前記排出通路は、前記回転電機ケーシングの軸方向の一端部を構成する端壁部を前記軸方向に貫通する、ドライブユニット。
【請求項10】
請求項5記載のドライブユニットにおいて、
前記第2冷却通路は、前記回転電機の前記軸線を囲むよう形成され、
前記変速機ケーシングは、前記第1冷却通路と前記第2冷却通路とを繋ぐ連絡通路と、前記第2冷却通路を通過した前記冷媒を前記変速機ケーシングから排出する出口通路とを有し、
前記第2冷却通路の上流端に前記連絡通路の下流端が接続され、前記第2冷却通路の下流端に前記出口通路の上流端が接続され、
前記連絡通路と前記出口通路とが立体交差する、ドライブユニット。
【請求項11】
円筒状の回転電機ケーシングと、
前記回転電機ケーシングを冷却する冷却構造と、
を備えた回転電機であって、
前記冷却構造の冷却通路は、前記回転電機ケーシングに冷媒を導入する入口通路と、前記入口通路の下流側で前記回転電機の軸線を中心に前記回転電機ケーシングの周壁部内を螺旋状に延在する螺旋通路と、前記螺旋通路を通過した前記冷媒を前記回転電機ケーシングから排出する排出通路とを有し、
前記入口通路は、前記回転電機の軸線が上下方向を向いた使用状態における前記回転電機ケーシングの下部に設けられ、
前記排出通路は、前記使用状態における前記回転電機ケーシングの天井部を前記回転電機の軸方向に貫通する、回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライブユニット及び回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、下記特許文献1には回転電機(電動機)の冷却構造が開示されている。従来、回転電機と変速機とを一体化したドライブユニットも公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-197785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ドライブユニットに冷却構造を設ける場合、回転電機と変速機の両方を冷却できる冷却構造を設けることが好ましい。この場合、構造が複雑にならない冷却構造が求められる。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、回転電機ケーシングを有する回転電機と、変速機ケーシングを有し、前記回転電機に一体化された変速機と、前記回転電機と前記変速機とを冷却する冷却構造と、を備えたドライブユニットであって、前記冷却構造は、前記回転電機を冷却する第1冷却通路と、前記変速機を冷却する第2冷却通路とを有し、前記第1冷却通路と前記第2冷却通路とが互いに連通し、前記第1冷却通路と前記第2冷却通路とに共通の冷媒が流れる、ドライブユニットである。
【0007】
本発明の第2の態様は、円筒状の回転電機ケーシングと、前記回転電機ケーシングを冷却する冷却構造と、を備えた回転電機であって、前記冷却構造の冷却通路は、前記回転電機ケーシングに冷媒を導入する入口通路と、前記入口通路の下流側で前記回転電機の軸線を中心に前記回転電機ケーシングの周壁部内を螺旋状に延在する螺旋通路と、前記螺旋通路を通過した前記冷媒を前記回転電機ケーシングから排出する排出通路とを有し、前記入口通路は、前記回転電機の軸線が上下方向を向いた使用状態における前記回転電機ケーシングの下部に設けられ、前記排出通路は、前記使用状態における前記回転電機ケーシングの天井部を前記回転電機の軸方向に貫通する、回転電機である。
【発明の効果】
【0008】
第1の態様によれば、第1冷却通路と第2冷却通路とが互いに連通しており、第1冷却通路と第2冷却通路とに共通の冷媒が流れるため、ドライブユニットの冷却構造を簡素化することができる。
【0009】
第2の態様によれば、回転電機ケーシングの下部に入口通路が設けられ、回転電機ケーシングの天井部に排出通路が設けられ、排出通路が天井部を回転電機の軸方向に貫通する。このため、回転電機の軸線が上下方向を向いた使用状態の場合に、螺旋通路を有する冷却通路から空気を良好に排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の実施形態に係るドライブユニットの全体概略図である。
図2図2は、ドライブユニットにおける連絡通路の周辺断面図である。
図3図3は、ドライブユニットにおける出口通路の周辺断面図である。
図4図4は、ドライブユニットの冷却構造の流路形状を示す斜視図である。
図5図5は、ドライブユニットを備えたプロペラ装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1に示すドライブユニット10は、回転電機12と、回転電機12に一体化された変速機14と、回転電機12と変速機14とを冷却する冷却構造15とを備える。このドライブユニット10は、回転電機12の回転軸線AX(以下、単に「軸線AX」という)が上下方向を向いた状態で使用される。なお、「上下方向」とは、厳密な鉛直方向だけでなく、鉛直方向に対して若干傾いた方向も含む。ドライブユニット10の用途は特に限定されないが、例えば、垂直離着陸型航空機のプロペラ106を駆動するための動力源として使用され得る(図5参照)。
【0012】
回転電機12は、電動モータである。回転電機12は、回転可能に支持されたシャフト16と、シャフト16に固定されたロータ18と、ロータ18を囲むステータ20と、シャフト16、ロータ18及びステータ20を収容する回転電機ケーシング22とを有する。
【0013】
ロータ18は、回転電機12の軸線AX上に配置されている。詳細は図示しないがロータ18は、例えば積層鋼板からなるロータコアと、ロータコアに固定された磁石とを有する。シャフト16とロータ18とは一体的に回転する。ロータ18は、回転電機ケーシング22の一端部と他端部とにそれぞれ配置された軸受24、26によって、回転可能に支持されている。
【0014】
ステータ20は、中空円筒状に形成されており、回転電機ケーシング22の内周面に固定されている。詳細は図示しないが、ステータ20は、ステータコアと、ステータコアに保持されたコイルとを有する。図示しないバッテリからステータ20に電力が供給され、コイルに電流が流れて磁界が発生することで、ロータ18及びシャフト16が回転駆動される。
【0015】
回転電機ケーシング22は、ステータ20を囲む円筒状の周壁部28と、回転電機ケーシング22の一端部(上端部)を構成する天井部32と、回転電機ケーシング22の他端部(下端部)を構成する底壁部30と、を有する。周壁部28は、外周面に螺旋状の溝34が形成された周壁本体36と、周壁本体36を囲む円筒カバー38とを有する。
【0016】
回転電機12には、冷却構造15の第1冷却通路41が設けられている。第1冷却通路41は、回転電機12を冷却する。第1冷却通路41には冷媒が供給される。冷媒は、例えば液体冷媒である。液体冷媒は、例えば水や不凍液である。
【0017】
第1冷却通路41は、入口通路411と、螺旋通路412と、排出通路413とを有する。入口通路411は、回転電機ケーシング22に冷媒を導入する。入口通路411は、回転電機12の軸線AXが上下方向を向いた使用状態における回転電機ケーシング22の下部に設けられている。本実施形態では、入口通路411は、円筒カバー38の下部に設けられた入口ポート40に形成されている。入口ポート40には、冷媒循環装置46の供給ライン462が接続されている。
【0018】
図4に示すように、螺旋通路412は、入口通路411の下流側で回転電機12の軸線AXを中心に回転電機ケーシング22の周壁部28内を螺旋状に延在する。
【0019】
図1に示すように、本実施形態では、周壁本体36と円筒カバー38との間に螺旋通路412が形成されている。螺旋通路412の下端が、螺旋通路412の上流端である。螺旋通路412の上端が螺旋通路412の下流端である。
【0020】
排出通路413は、螺旋通路412を通過した冷媒を回転電機ケーシング22から排出する。排出通路413は、使用状態における回転電機ケーシング22の一端部を構成する端壁部(天井部32)を回転電機12の軸方向に貫通する。
【0021】
変速機14は、回転電機12の一端部(天井部32)に固定されている。本実施形態では、変速機14は、遊星歯車装置として構成されている。本実施形態では、変速機14は、回転電機12と同軸に配置されている。変速機14は、回転電機12のシャフト16の一端(上端)に固定された太陽歯車141と、太陽歯車141と噛み合う複数の遊星歯車142とを有する。
【0022】
変速機14は、複数の遊星歯車142を支持するキャリア143と、キャリア143に固定された出力軸144と、複数の遊星歯車142と噛み合う内歯車145とをさらに有する。出力軸144がシャフト16と同軸に配置されている。出力軸144に負荷(例えば、図5に示すプロペラ106)が連結される。変速機14は、太陽歯車141、遊星歯車142、キャリア143、出力軸144及び内歯車145を収容する変速機ケーシング50をさらに有する。内歯車145は、変速機ケーシング50の内周面に形成されている。なお、変速機14の構成は、遊星歯車装置に限定されず、他の変速機構でもよい。
【0023】
変速機14の内部では潤滑油が循環する。変速機14は、潤滑油を貯留する油溜まり部52を有する。油溜まり部52は変速機ケーシング50の下部に設けられている。油溜まり部52は、回転電機12の軸線AXを中心とする円環状に形成されている。詳細は図示しないが、変速機ケーシング50の内部には、油溜まり部52から潤滑油を回収し、歯車列(太陽歯車141、遊星歯車142及び内歯車145)の上方から潤滑油を噴射(散布)する潤滑油循環機構が設けられている。油溜まり部52から潤滑油を回収するためのポンプは、例えば、シャフト16の回転に機械的に連動するカム式ポンプであり得る。
【0024】
冷却構造15は、変速機14を冷却する第2冷却通路42をさらに有する。第1冷却通路41と第2冷却通路42とが互いに連通し、第1冷却通路41と第2冷却通路42とに共通の冷媒が流れる。第1冷却通路41と第2冷却通路42とが直列に配置されている。本実施形態では、第1冷却通路41は、第2冷却通路42の上流側に配置されている。具体的に、第2冷却通路42は、回転電機ケーシング22と変速機ケーシング50との間に設けられた隙間によって形成されている。
【0025】
第2冷却通路42は、回転電機12の軸線AXを囲むように形成される。第2冷却通路42は、油溜まり部52に沿って形成される。回転電機ケーシング22の天井部32の上面に、軸線AXを囲む溝54が形成されている。この溝54と、変速機ケーシング50の下面とによって、第2冷却通路42が形成されている。油溜まり部52の底壁521の下面は、変速機ケーシング50の下面の一部である。従って、油溜まり部52の底壁521の下面と、上記の溝54とによって、第2冷却通路42が形成されている。図4に示すように、第2冷却通路42(溝54)は、回転電機12の軸線AXを囲むようにC字状に延在する。なお、第2冷却通路42(溝54)の形状は、油溜まり部52に沿う形状であればC字状(円弧状)に限らない。回転電機12の軸方向から見て、第2冷却通路42(溝54)は、軸線AXを囲む多角形状でもよく、軸線AXを囲むように延びる波形状であってもよい。
【0026】
図1に示すように、ドライブユニット10は、回転電機12と変速機14との間に配置された内側シール部材56と外側シール部材58とをさらに備える。内側シール部材56は、円弧状(C字状)に延在する第2冷却通路42の内側で、回転電機12と変速機14との間に配置されている。外側シール部材58は、第2冷却通路42の外側で、回転電機12と変速機14との間に配置されている。内側シール部材56及び外側シール部材58は、回転電機ケーシング22と変速機ケーシング50との間に挟持されている。内側シール部材56及び外側シール部材58は、軸線AXに対して同心状に配置されている。
【0027】
図2に示すように、変速機ケーシング50は、第1冷却通路41と第2冷却通路42とを繋ぐ連絡通路43を有する。連絡通路43の上流端は、外側シール部材58よりも径方向外側で第1冷却通路41の下流端(排出通路413)に繋がる。連絡通路43の下流端は、内側シール部材56と外側シール部材58との間で第2冷却通路42に繋がる(図4参照)。第2冷却通路42の上流端に連絡通路43の下流端が接続されている。連絡通路43はL字状(頂点が上方を向くV字状)に形成されている。
【0028】
第1冷却通路41の下流端と連絡通路43の上流端とに跨がって、円環状のジョイント部材60が配置されている。ジョイント部材60は、シール部材611を介して回転電機ケーシング22に液密に嵌合するとともに、シール部材612を介して変速機ケーシング50に液密に嵌合している。ジョイント部材60の中空部が第1冷却通路41と連絡通路43とに連通している。
【0029】
図3に示すように、変速機ケーシング50は、第2冷却通路42を通過した冷媒を変速機ケーシング50から排出する出口通路44をさらに有する。第2冷却通路42の下流端に出口通路44の上流端が接続されている。出口通路44は、変速機ケーシング50に設けられた出口ポート64にて開口する。
【0030】
図2図4に示すように、連絡通路43と出口通路44とが立体交差する。具体的には、出口通路44が連絡通路43の上方を横切っている。
【0031】
図1に示すように、出口ポート64には、冷媒循環装置46の回収ライン463が接続されている。冷媒は、回収ライン463を介して、冷媒循環装置46の供給ユニット461に導入される。詳細は図示しないが、供給ユニット461は、例えば、冷媒を冷却する熱交換器と、冷却構造15の第1冷却通路41へと冷媒を送給するポンプとを有する。
【0032】
冷媒循環装置46の供給ユニット461が供給ライン462を介して冷媒を第1冷却通路41に供給する。冷媒は、第1冷却通路41の入口通路411、螺旋通路412及び排出通路413を順次経由して、回転電機ケーシング22から排出される。冷媒が螺旋通路412を流れる過程で、冷媒により回転電機ケーシング22が冷却される。
【0033】
図2に示すように、冷媒は、第1冷却通路41の排出通路413から連絡通路43へと流れ、連絡通路43を介して第2冷却通路42へと流入する。図4に示すように、冷媒は、C字状の第2冷却通路42に沿って流れる。冷媒が第2冷却通路42を流れる過程で、冷媒により変速機ケーシング50が冷却される。図3に示すように、冷媒は、第2冷却通路42から出口通路44を介して変速機ケーシング50の外部へと排出される。図1に示すように、変速機ケーシング50から排出された冷媒は、冷媒循環装置46の回収ライン463を介して供給ユニット461へと戻される。
【0034】
図5に示すように、ドライブユニット10は、プロペラ装置100に適用され得る。なお、ドライブユニット10は、プロペラ装置100に限らず、他の装置の動力源として用いることができる。プロペラ装置100は、ドライブユニット10と、ドライブユニット10を収容する収容部104と、ドライブユニット10の変速機14に連結されたプロペラ106とを備える。
【0035】
プロペラ装置100は、例えば、垂直離着陸型航空機に用いられる。そのため、プロペラ装置100の使用状態で回転電機12の軸線AXが上下方向を向くように、回転電機12が配置される。プロペラ装置100は、使用状態での回転電機12の軸線AXが略水平方向を向くように配置される構成であってもよい。
【0036】
回転電機12のシャフト16の下端には、収容部104内に気流を発生させるファン108が取り付けられており、例えば前記供給ユニット461の熱交換器(不図示)に送風する。プロペラ106は、変速機14の出力軸144に連結されたプロペラシャフト110と、プロペラシャフト110の上端に設けられたハブ112と、ハブ112から径方向外方に突出した複数のブレード114とを有する。なお、本発明はドライブユニット10の変速機14の出力軸144の回転軸線を水平方向に向けるようにすることで、二輪、四輪等の車両や航空機、船舶等にも用いることが可能である。
【0037】
本実施形態は、以下の効果を奏する。
【0038】
ドライブユニット10の冷却構造15は、回転電機12を冷却する第1冷却通路41と、変速機14を冷却する第2冷却通路42とを有する。第1冷却通路41と第2冷却通路42とが互いに連通している。第1冷却通路41と第2冷却通路42とに共通の冷媒が流れるため、ドライブユニット10の冷却構造15を簡素化することができる。
【0039】
第1冷却通路41は、第2冷却通路42の上流側に配置されている。ドライブユニット10では、回転電機12の方が変速機14よりも高温となりやすいため、第1冷却通路41が第2冷却通路42の上流側に配置されていることで、回転電機12を効果的に冷却することができる。
【0040】
第2冷却通路42は、回転電機ケーシング22と変速機ケーシング50との間に設けられた隙間によって形成されているため、第2冷却通路42を簡易な構造で設けることができる。
【0041】
第2冷却通路42は、回転電機12の軸線AXを囲むように回転電機12の周方向に延在するため、変速機14を効率的に冷却することができる。
【0042】
回転電機12と変速機14との間に環状の内側シール部材56と環状の外側シール部材58とが配置されている。内側シール部材56は円弧状に延在する第2冷却通路42の内側に配置され、外側シール部材58は第2冷却通路42の外側に配置されている。このような内側シール部材56と外側シール部材58とを備えるため、第2冷却通路42からの冷媒の漏れを防止するためのシール構造を簡素にすることができる。
【0043】
図2に示すように、変速機ケーシング50は、第1冷却通路41と第2冷却通路42とを繋ぐ連絡通路43を有する。連絡通路43の上流端は、外側シール部材58よりも径方向外側で第1冷却通路41に繋がる。図4に示すように、連絡通路43の下流端は、内側シール部材56と外側シール部材58との間で第2冷却通路42に繋がる。この構成により、複雑なシール構造を採用することなく、連絡通路43を介して第1冷却通路41と第2冷却通路42とを繋げることができる。
【0044】
図1に示すように、変速機14の油溜まり部52に沿って第2冷却通路42が形成されることで潤滑油が冷却されるため、変速機14の内部を循環する潤滑油によって、変速機14の内部全体を効率的に冷却することができる。
【0045】
第1冷却通路41は、回転電機12の軸線AXを中心に回転電機ケーシング22の周壁部28内を螺旋状に延在する螺旋通路412と、螺旋通路412を通過した冷媒を回転電機ケーシング22から排出する排出通路413とを有する。排出通路413は、回転電機ケーシング22の軸方向の一端部を構成する端壁部を軸方向に貫通する。この構成により、排出通路413の長さを短くすることができる。
【0046】
図4に示すように、第2冷却通路42は、回転電機12の軸線AXを囲むようにC字状に延在する。変速機ケーシング50は連絡通路43と出口通路44とを有し、連絡通路43と出口通路44とが立体交差する。この構成により、C字状の第2冷却通路42の通路長を稼ぎ、変速機14に対する冷却性能を高めることができる。
【0047】
図1に示すように、回転電機12では、回転電機ケーシング22の下部に入口通路411が設けられ、回転電機ケーシング22の天井部32に排出通路413が設けられ、排出通路413が天井部32を軸方向に貫通する。この構成により、回転電機12の軸線AXが上下方向を向いた使用状態の場合に、螺旋通路412を有する冷却通路から空気を良好に排出することができる。
【0048】
上記の実施形態をまとめると、以下のようになる。
【0049】
上記の実施形態は、回転電機ケーシング(22)を有する回転電機(12)と、変速機ケーシング(50)を有し、前記回転電機に一体化された変速機(14)と、前記回転電機と前記変速機とを冷却する冷却構造(15)と、を備えたドライブユニット(10)であって、前記冷却構造は、前記回転電機を冷却する第1冷却通路(41)と、前記変速機を冷却する第2冷却通路(42)とを有し、前記第1冷却通路と前記第2冷却通路とが互いに連通し、前記第1冷却通路と前記第2冷却通路とに共通の冷媒が流れる、ドライブユニットを開示する。
【0050】
前記第1冷却通路と前記第2冷却通路とが直列に配置されている。
【0051】
前記第1冷却通路は、前記第2冷却通路の上流側に配置されている。
【0052】
前記第2冷却通路は、前記回転電機ケーシングと前記変速機ケーシングとの間に設けられた隙間によって形成されている。
【0053】
前記第2冷却通路は、前記回転電機の軸線(AX)を囲むように前記回転電機の周方向に延在する。
【0054】
ドライブユニットは、円弧状に延在する前記第2冷却通路の内側で、前記回転電機と前記変速機との間に配置された環状の内側シール部材(56)と、前記第2冷却通路の外側で、前記回転電機と前記変速機との間に配置された環状の外側シール部材(58)と、を備える。
【0055】
前記変速機ケーシングは、前記第1冷却通路と前記第2冷却通路とを繋ぐ連絡通路(43)を有し、前記連絡通路の上流端は、前記外側シール部材よりも径方向外側で前記第1冷却通路に繋がり、前記連絡通路の下流端は、前記内側シール部材と前記外側シール部材との間で前記第2冷却通路に繋がる。
【0056】
前記変速機の内部では潤滑油が循環し、前記変速機は、前記潤滑油を貯留する油溜まり部(52)を有し、前記第2冷却通路は、前記油溜まり部に沿って形成される。
【0057】
前記第1冷却通路は、前記回転電機の軸線を中心に前記回転電機ケーシングの周壁部(28)内を螺旋状に延在する螺旋通路(412)と、前記螺旋通路を通過した前記冷媒を前記回転電機ケーシングから排出する排出通路(413)とを有し、前記排出通路は、前記回転電機ケーシングの軸方向の一端部を構成する端壁部を前記軸方向に貫通する。
【0058】
前記第2冷却通路は、前記回転電機の前記軸線を囲むように形成され、前記変速機ケーシングは、前記第1冷却通路と前記第2冷却通路とを繋ぐ連絡通路(43)と、前記第2冷却通路を通過した前記冷媒を前記変速機ケーシングから排出する出口通路(44)とを有し、前記第2冷却通路の上流端に前記連絡通路の下流端が接続され、前記第2冷却通路の下流端に前記出口通路の上流端が接続され、前記連絡通路と前記出口通路とが立体交差する。
【0059】
また、上記の実施形態は、円筒状の回転電機ケーシング(22)と、前記回転電機ケーシングを冷却する冷却構造(15)と、を備えた回転電機(12)であって、前記冷却構造の冷却通路は、前記回転電機ケーシングに冷媒を導入する入口通路(411)と、前記入口通路の下流側で前記回転電機の軸線(AX)を中心に前記回転電機ケーシングの周壁部(28)内を螺旋状に延在する螺旋通路(412)と、前記螺旋通路を通過した前記冷媒を前記回転電機ケーシングから排出する排出通路(413)とを有し、前記入口通路は、前記回転電機の軸線が上下方向を向いた使用状態における前記回転電機ケーシングの下部に設けられ、前記排出通路は、前記使用状態における前記回転電機ケーシングの天井部(32)を前記回転電機の軸方向に貫通する、回転電機を開示する。
【0060】
なお、本発明は、上述した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0061】
10…ドライブユニット 12…回転電機
14…変速機 15…冷却構造
41…第1冷却通路 42…第2冷却通路
22…回転電機ケーシング 50…変速機ケーシング
図1
図2
図3
図4
図5