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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049539
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】情報提供装置
(51)【国際特許分類】
   G01W 1/06 20060101AFI20240403BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20240403BHJP
   G01W 1/02 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
G01W1/06
G08G1/00 A
G01W1/02 A
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155820
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154380
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100081972
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 豊
(72)【発明者】
【氏名】杉本 佳昭
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB05
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181CC27
5H181EE12
5H181FF04
5H181FF05
5H181FF10
(57)【要約】
【課題】簡易な構成で精度よく天候の情報を提供する。
【解決手段】情報提供装置10は、走行中の車両の位置情報と、車両の外部環境を測定する外界認識センサにより出力された、測定エラーの発生を示す測定エラー情報とを含む走行情報と、道路地図を含む地図情報を取得する情報取得部111と、情報取得部111により取得された走行情報と地図情報とに基づき、道路地図の所定領域内で降雪が発生したか否かを判定する判定部112と、判定部112の判定結果を道路地図に対応付けた情報を出力する出力部113と、を備える。判定部112は、地図情報と走行情報とに基づき車両が所定領域内を走行しているとき測定エラーが発生したと認識すると、所定領域内において降雪が発生したと判定する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行中の車両の位置情報と、前記車両の外部環境を測定する車載センサにより出力された、測定エラーの発生を示す測定エラー情報とを含む走行情報を取得する走行情報取得部と、
道路地図を含む地図情報を取得する地図情報取得部と、
前記走行情報取得部により取得された前記走行情報と、前記地図情報取得部により取得された前記地図情報とに基づき、前記道路地図の所定領域内で降雪が発生したか否かを判定する判定部と、
前記判定部の判定結果を前記道路地図に対応付けた情報を出力する出力部と、を備え、
前記判定部は、前記地図情報と前記走行情報とに基づき前記車両が前記所定領域内を走行しているとき前記測定エラーが発生したと認識すると、前記所定領域内において降雪が発生したと判定することを特徴とする情報提供装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報提供装置において、
前記走行情報はさらに、前記車両のワイパの作動状態を示す作動情報を含み、
前記判定部は、前記地図情報と前記走行情報とに基づき、前記所定領域を走行中の前記車両の前記ワイパが作動中であることを条件に、前記所定領域内で降雪が発生したか否かの判定を行うことを特徴とする情報提供装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の情報提供装置において、
前記測定エラー情報の信頼度を算出する算出部をさらに備え、
前記走行情報はさらに、前記車両の走行速度を示す速度情報を含み、
前記算出部は、前記速度情報により示される前記走行速度が低いほど前記信頼度を高く算出し、
前記判定部は、前記信頼度が所定程度以上であるとき、降雪が発生したと判定することを特徴とする情報提供装置。
【請求項4】
請求項3に記載の情報提供装置において、
前記算出部は、前記速度情報に基づき検出される前記車両の停車状態が所定時間以上継続して検出されたとき、前記停車状態の継続時間が長いほど前記信頼度を低く算出することを特徴とする情報提供装置。
【請求項5】
請求項1または2に記載の情報提供装置において、
外気温又は予測された外気温を示す外気温情報を取得する外気温取得部を備え、
前記判定部は、前記外気温情報により示される前記所定領域内の温度が降雪の可能性を示す温度以下であることを条件に、前記走行情報と前記地図情報とに基づき前記所定領域内で降雪が発生したか否かの判定を行うことを特徴とする情報提供装置。
【請求項6】
請求項1または2に記載の情報提供装置において、
前記車載センサには、前記車両と前方車両および後方車両の少なくとも一方との車間距離を検知する車間距離認識センサが含まれ、
前記測定エラー情報には、前記車間距離認識センサによる車間距離の測定エラーの発生を示す情報が含まれることを特徴とする情報提供装置。
【請求項7】
請求項1または2に記載の情報提供装置において、
前記車載センサには、前記車両が走行中の道路の区画線を検知する区画線認識センサが含まれ、
前記測定エラー情報には、前記区画線認識センサによる区画線の測定エラーの発生を示す情報が含まれることを特徴とする情報提供装置。
【請求項8】
請求項2に記載の情報提供装置において、
前記判定部は、前記地図情報と前記走行情報とに基づき、前記車両が前記所定領域内を走行しているとき、かつ、前記ワイパが停止しているときに前記測定エラーが発生したと認識すると、前記車両が走行中の道路に積雪が残っていると判定することを特徴とする情報提供装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路の天候の情報を提供する情報提供装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置として、従来、自車両に搭載したミリ波レーダにより検出された計測点の中から停止物体の条件を満たす計測点を抽出し、抽出された計測点の数に基づき自車両周辺の天候を判定するようにした装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-164492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ミリ波レーダ等のセンサにより検出される計測点の数は膨大である。したがって、特許文献1記載の装置のようにミリ波レーダの計測点の情報を用いて天候を判定するようにしたのでは、装置の処理負荷を増大させるおそれがある。また、計測点の情報を蓄積するための記憶領域が必要となり装置の規模を増大させるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様である情報提供装置は、走行中の車両の位置情報と、車両の外部環境を測定する車載センサにより出力された、測定エラーの発生を示す測定エラー情報とを含む走行情報を取得する走行情報取得部と、道路地図を含む地図情報を取得する地図情報取得部と、走行情報取得部により取得された走行情報と、地図情報取得部により取得された地図情報とに基づき、道路地図の所定領域内で降雪が発生したか否かを判定する判定部と、判定部の判定結果を道路地図に対応付けた情報を出力する出力部と、を備える。判定部は、地図情報と走行情報とに基づき車両が所定領域内を走行しているとき測定エラーが発生したと認識すると、所定領域内において降雪が発生したと判定する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、簡易な構成で精度よく天候の情報を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態に係る情報提供装置を備える情報提供システムの構成の一例を示す図。
図2】車載装置の要部構成を示すブロック図。
図3】本発明の実施形態に係る情報提供装置の要部構成を示すブロック図。
図4】測定エラーの集計結果を示す図。
図5】天候情報の表示例を示す図。
図6A図3の演算部で実行される処理の一例を示すフローチャート。
図6B図3の演算部で実行される処理の他の例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図1図6Bを参照して本発明の実施形態について説明する。本発明の実施形態に係る情報提供装置は、車両が走行したまたは走行中の道路の天候の情報、特に、降雪の発生の有無を提供するための装置である。図1は、本実施形態に係る情報提供装置を備える情報提供システムの構成の一例を示す図である。図1に示すように、情報提供システム1は、情報提供装置10と、車載装置30とを備える。情報提供装置10はサーバ装置として構成される。車載装置30は、通信網2を介して情報提供装置10と通信可能に構成される。
【0009】
通信網2には、インターネット網や携帯電話網等に代表される公衆無線通信網だけでなく、所定の管理地域ごとに設けられた閉鎖的な通信網、例えば無線LAN、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等も含まれる。
【0010】
車載装置30は、車両20に搭載される。車両20には、複数の車両20-1,20-2,・・・,20-nが含まれる。なお、車両20は、手動運転車両であってもよいし、自動運転車両であってもよい。また、車両20には、車種やグレードが異なる車両が含まれてもよい。
【0011】
図2は、本実施形態に係る車載装置30の要部構成を示すブロック図である。車載装置30は、電子制御ユニット(ECU)31と、外界認識センサ32と、測位センサ33と、車速センサ34と、温度センサ35と、ワイパスイッチ36と、TCU(Telematic Control Unit)37とを備える。
【0012】
外界認識センサ32は、CCDやCMOS等の撮像素子を有して車両20の周辺(前方、後方および側方)を撮像するカメラ(不図示)、車両20から周辺の障害物までの距離を測定するライダ(不図示)、および、車両20の周辺の他車両や障害物等を検出するレーダ(不図示)を有する。外界認識センサ32は、カメラ、ライダおよびレーダのいずれかを用いてまたはそれらを組み合わせて、区画線認識センサ32aおよび車間距離認識センサ32bとして機能する。区画線認識センサ32aは、カメラの撮像画像に基づき、車両20が走行する車線を規定する区画線を認識する。車間距離認識センサ32bは、カメラの撮像画像とライダの検出値とに基づいて、車両20の前方車両との車間距離を認識する。なお、カメラとレーダとが車両20の後部にも設置されている場合には、車間距離認識センサ32bは、車両20の後方車両との車間距離を認識してもよい。外界認識センサ32は、区画線および車間距離以外の外界を認識するセンサを含んでいてもよい。
【0013】
測位ユニット(GNSSユニット)33は、例えばGPSセンサであって、GPS衛星から送信された測位信号を受信し、車両20の絶対位置(緯度、経度など)を検出する。なお、測位センサ33には、GPSセンサだけでなく準天頂軌道衛星をはじめとしたGNSS衛星と言われる各国の衛星から送信される電波を利用して測位するセンサも含まれる。車速センサ34は、車両20の走行速度を検出する。ワイパスイッチ36は、車両20のフロントガラスおよびリアガラスに設置された不図示のワイパ(窓ふき器)の作動状態を切り換えるためのスイッチである。ワイパスイッチ36がオン(ON)状態であるときワイパが作動し、オフ(OFF)状態であるときとワイパが停止する。
【0014】
図2に示すように、ECU31は、CPU等の演算部310と、ROM、RAM等の記憶部320と、I/Oインターフェース等の図示しないその他の周辺回路とを有するコンピュータを含んで構成される。演算部310は、予め記憶部320に記憶されたプログラムを実行することで、センサ値取得部311、センサエラー検出部312、ワイパ作動状態取得部313、および、通信制御部314として機能する。
【0015】
センサ値取得部311は、各センサ32~35から、各センサ32~35により検出された情報(値)を取得する。詳細には、センサ値取得部311は、区画線認識センサ32aにより検出された区画線の位置および形状、車間距離認識センサ32bにより検出された車間距離と、測位センサ33により検出された車両20の絶対位置と、車速センサ34により検出された走行速度と、温度センサ35により検出された車外の温度(外気温)とを所定周期で取得する。
【0016】
センサエラー検出部312は、外界認識センサ32から出力される信号に基づき、外界認識センサ32の認識エラー(測定エラー)を検出する。降雪により車両20の前方の視界が悪化すると、カメラの撮像画像に基づく区画線の位置や形状を精度よく測定できない場合がある。この場合、区画線認識センサ32aは、区画線の測定不可を示すエラー信号を出力する。同様に、降雪時には、ライダの誤動作(距離の誤検出など)により、車間距離認識センサ32bは、車両20の周辺の他車両との距離を精度よく測定できない場合がある。この場合、車間距離認識センサ32bは、車間距離の測定不可を示すエラー信号を出力する。センサエラー検出部312は、区画線認識センサ32aおよび車間距離認識センサ32bから出力される上記エラー信号を受信すると、測定エラーを検出する。
【0017】
ワイパ作動状態取得部313は、ワイパスイッチ36のON/OFF状態に基づき、ワイパの作動状態を検出する。
【0018】
通信制御部314は、センサエラー検出部312により測定エラーが検出されると、検出された測定エラーの情報(以下、測定エラー情報と呼ぶ。)を含む走行情報を、TCU37を介して情報提供装置10に送信する。走行情報には、測定エラー情報の他に、測定エラーが検出された日時を示す検出日時情報や、測定エラーの検出時にセンサ値取得部311により取得された測位センサ33のセンサ値(車両20の絶対位置)を示す検出位置情報が含まれる。また、走行情報には、ワイパ作動状態取得部313により取得された、測定エラーの検出時のワイパ作動状態を示すワイパ作動情報が含まれる。なお、走行情報には、車両20を識別可能な車両ID(車両識別情報)が含まれていてもよい。
【0019】
図3は、本実施形態に係る情報提供装置10の要部構成を示すブロック図である。情報提供装置10は、CPU等の演算部11と、ROM、RAM等の記憶部12と、I/Oインターフェース等の図示しないその他の周辺回路とを有するコンピュータを含んで構成される。記憶部12は、道路の地図(以下、道路地図と呼ぶ。)を含む地図情報や演算部11により処理される各種情報を記憶する。
【0020】
演算部11は、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することで、情報取得部111、判定部112、出力部113、および通信制御部114として機能する。
【0021】
情報取得部111は、走行情報を取得する。より詳しくは、情報取得部111は、通信制御部114を介して、道路を走行中の複数の車両20(20-1,20-2,・・・,20-n)それぞれの車載装置30から走行情報を受信する。なお、情報取得部111は、走行情報に車両IDが含まれるとき、車両IDに基づき走行情報の送信元の車両20を特定可能である。情報取得部111は、複数の車両20(車載装置30)から受信した走行情報を記憶部12に記憶する。情報取得部111は、通信制御部114により降雪情報の出力指示が受信されると、記憶部12から、検出日時情報により示される測定エラーの検出日時が現在時点より指定時間以内である走行情報を読み出す。降雪情報については後述する。降雪情報の出力指示は、道路管理会社等の端末から送信される。指定時間は、ユーザにより設定可能であり、降雪情報の出力指示に指定時間を示す情報が含まれるものとする。
【0022】
また、情報取得部111は、記憶部12から地図情報を読み出し、地図情報に含まれる道路地図を取得する。より詳細には、情報取得部111は、通信制御部114により降雪情報の出力指示が受信されると、指定領域を含む道路地図を記憶部12から読み出す。指定領域は、ユーザにより設定可能であり、降雪情報の出力指示に指定領域を示す情報が含まれるものとする。なお、指定領域は複数設定可能であってもよい。例えば、後述する図5においてA市とB市とC市とD市とが指定領域として設定されてもよい。
【0023】
ここで、外界認識センサ32の測定エラーと降雪との相関について説明する。図4は、測定エラーの集計結果、詳細には、ある年のX月にA市内の道路を走行した複数の車両20から取得された、測定エラー情報の集計結果を示す図である。図4の表には、日付ごとに、情報提供装置10が車両20(20-1,20-2,・・・,20-n)から受信した走行情報(測定エラー情報)の個数(合計)が1時間ごとに記録されている。図4の表では、測定エラー情報の合計が最大値(MAX値)に近い時間帯ほど濃い網掛けで表示されている。最大値(MAX値)は、X月における1時間単位の集計結果の中で最も大きい値である。図4には、夜から雪が降り始めた1日と、降雪が発生しなかった10~11日と、明け方から雪が降り始めてその雪が翌朝まで降り続いた17~18日と、午前中から雪が降り始めてその雪が翌日の夕方まで続いた26~27日の集計結果が図示されている。なお、図および説明の簡略化のため、図4では、上記以外の日付の集計結果の図示を省略している。
【0024】
図4において、夜から雪が降り始めた1日の集計結果を参照すると、夜の時間帯(21~23時)の測定エラー情報の受信数が多いことが分かる。降雪が発生しなかった10,11日の集計結果を参照すると、両日ともに一日を通して測定エラー情報の受信数が少ないまたはゼロであることが分かる。降雪が長時間続いた17,18日および26,27日の集計結果を参照すると、雪が降っていた時間帯の測定エラー情報の受信数が多いことが分かる。上述したように降雪時には外界認識センサ32において測定エラーが発生しやすくなるので、図4に示すように、測定エラー情報の受信数に、降雪との相関が現れる。したがって、外界認識センサ32の測定エラーの発生に基づき、降雪の発生の有無を予測することができる。
【0025】
そこで、判定部112は、車両20が道路地図上の所定領域(上記指定領域)内を走行中に外界認識センサ32で測定エラーが発生したと認識すると、所定領域内で降雪が発生したと判定する。このとき、判定部112は、情報取得部111により取得された道路地図と走行情報とに基づき、走行情報に含まれる検出位置情報により示される車両20の絶対位置が道路地図上の所定領域に含まれか否かを判定する。そして、判定部112は、検出位置情報により示される車両20の絶対位置が所定領域に含まれるとき、車両20が所定領域内を走行中に外界認識センサ32で測定エラーが発生したと認識する。
【0026】
なお、車両20のワイパが停止中であるときには、車両20の走行位置における降雪の可能性が低いものと想定される。そこで、判定部112は、外界認識センサ32の測定エラーに加えて所定領域を走行中の車両20のワイパの作動状態に基づいて、所定領域内で降雪が発生したか否かを判定してもよい。より詳細には、判定部112は、所定領域内を走行中の車両20のワイパが作動中であることを条件に、所定領域内で降雪が発生したか否かの判定を行ってもよい。この場合、判定部112は、情報取得部111により走行情報が取得されると、走行情報に含まれるワイパ作動情報を参照して、車両20のワイパの作動状態を認識する。そして、車両20のワイパが作動中であるとき、判定部112は、走行情報に含まれる測定エラー情報と検出位置情報とに基づいて、所定領域内で降雪が発生したか否かの判定を実行する。
【0027】
出力部113は、出力指示が通信制御部114により受信されると、判定部112の判定結果を情報取得部111により取得された道路地図に対応付けた降雪情報を生成して、生成した降雪情報を出力する。
【0028】
通信制御部114は、不図示の通信部を制御して、外部の装置等とデータの送受信を行う。具体的には、通信制御部114は、通信網2に接続された各種サーバから、地図情報などを定期的に、あるいは任意のタイミングで取得する。通信制御部114は、各種サーバから取得した情報を記憶部12に記憶する。また、通信制御部114は、通信網2を介して、車両20の車載装置30とデータ(走行情報など)の送受信を行う。さらに、通信制御部114は、道路管理会社等のユーザの端末(以下、ユーザ端末と呼ぶ。)と、データの送受信を行う。より詳細には、通信制御部114は、通信網2を介して、ユーザ端末から送信される降雪情報の出力指示を受信する。出力指示に応じて出力部113により降雪情報が出力されると、通信制御部114は、降雪情報を、通信網2を介して出力指示の送信元のユーザ端末に送信する。降雪情報がディスプレイ等の表示装置に表示可能な情報であるとき、ユーザは、ユーザ端末を操作して、ユーザ端末が有するまたはユーザ端末に接続されたディスプレイに降雪情報を表示させることで、所定領域における降雪の有無を確認することができる。
【0029】
図5は、出力部113により出力される天候情報(降雪情報)の表示例を示す図である。図5の例では、判定部112によりA市で降雪が発生したと判定されたときの降雪情報の例が示されている。図5には、判定部112により降雪が発生したと判定されたA市を含む地域の道路地図が表示されていて、A市に対応する領域が強調表示(図5の例では網掛け表示)されている。これにより、ユーザは、所定領域(図5の例ではA市)で降雪が発生していることを認識できる。
【0030】
図6Aおよび図6Bは、予め定められたプログラムに従い情報提供装置10の演算部11(CPU)で実行される処理の一例を示すフローチャートである。図6Aおよび図6Bのフローチャートに示す処理は、情報提供装置10が起動している間、所定周期で繰り返される。
【0031】
図6Aには、走行情報の受信処理のフローチャートが示されている。まず、ステップS11で、車両20の車載装置30から走行情報を受信したか否かを判定する。ステップS11で否定されると、処理を終了する。ステップS11で肯定されると、ステップS12で、ステップS11で受信した走行情報を記憶部12に記憶する。
【0032】
図6Bには、降雪情報の出力処理を示すフローチャートが示されている。まず、ステップS21で、降雪情報の出力指示を入力(受信)したか否かを判定する。ステップS21で否定されると、処理を終了する。ステップS21で肯定されると、ステップS22で、記憶部12から地図情報を読み出して、地図情報から道路地図を取得する。このとき、ステップS21で受信された出力指示により指定された領域(指定領域)を含む道路地図が取得される。ステップS23で、記憶部12から車両20の走行情報を取得する。このとき、検出日時情報により示される測定エラーの検出日時が現在時点より指定時間以内である走行情報が取得される。ステップS24で、ステップS22で取得された道路地図と、ステップS23で取得された走行情報に含まれる測定エラー情報と検出位置情報とに基づいて、所定領域で降雪が発生したか否かを判定する。ステップS25で、ステップS24の判定結果を含む降雪情報を生成し、生成した降雪情報を出力する。降雪情報は、通信網2を介して、降雪情報の出力指示の送信元のユーザ端末や、予め定められた出力先の端末に出力される。
【0033】
本発明の実施形態によれば以下のような作用効果を奏することができる。
(1)情報提供装置10は、走行中の車両20の位置情報と、車両20の外部環境を測定する外界認識センサ32により出力された、測定エラーの発生を示す測定エラー情報とを含む走行情報と、道路地図を含む地図情報とを取得する情報取得部111と、情報取得部111により取得された走行情報と地図情報とに基づき、道路地図の所定領域内で降雪が発生したか否かを判定する判定部112と、判定部112の判定結果を道路地図に対応付けた情報を出力する出力部113と、を備える。判定部112は、地図情報と走行情報とに基づき車両20が所定領域内を走行しているときに測定エラーが発生したと認識すると、所定領域内において降雪が発生したと判定する。これにより、簡易な構成で精度よく降雪の情報をユーザに提供できる。また、このようして提供された降雪の情報に基づき、ユーザは、迂回をしたり、降雪に備えた事前準備(スタッドレスダイヤの装着)をしたりすることができ、交通の安全性を向上できる。
【0034】
(2)走行情報はさらに、車両20のワイパの作動状態を示す作動情報を含む。判定部112は、地図情報と走行情報とに基づき、所定領域を走行中の車両20のワイパが作動中であることを条件に、所定領域において降雪が発生したか否かの判定を行う。これにより、降雪の発生の有無の判定精度を向上できる。
【0035】
(3)外界認識センサ32には、車両20と車両20の前方車両および後方車両の少なくとも一方との車間距離を検知する車間距離認識センサ32bが含まれる。測定エラー情報には、車間距離認識センサ32bによる車間距離の測定エラーの発生を示す情報が含まれる。これにより、ADAS(Advanced Driver-Assistance Systems)機能を備える車両や自動運転機能を備える車両に標準装備された車間距離認識センサを利用して降雪の発生の有無を判定することができる。その結果、装置の構成をより簡易化できる。
【0036】
(4)外界認識センサ32には、車両20が走行中の道路の区画線を検知する区画線認識センサ32aが含まれる。測定エラー情報には、区画線認識センサ32aによる区画線の測定エラーの発生を示す情報が含まれる。これにより、ADAS機能を備える車両や自動運転機能を備える車両に標準装備された区画線認識センサを利用して降雪の発生の有無を判定することができる。その結果、装置の構成をより簡易化できる。
【0037】
上記実施形態は種々の形態に変形することができる。以下、変形例について説明する。上記実施形態では、判定部112が、地図情報と走行情報とに基づき車両20が所定領域内を走行しているときに車載センサとしての外界認識センサ32の測定エラーが発生したと認識すると、所定領域内において降雪が発生したと判定するようにした。しかしながら、車両20の走行速度が高くなると、外界認識センサ32の認識精度が低下する可能性がある。そこで、判定部112は算出部として、車両20の走行速度に基づき測定エラー情報の信頼度を算出してもよい。そして、判定部は、算出した信頼度が所定程度以上であるとき、降雪が発生したと判定してもよい。この場合、車載装置30の通信制御部314は、センサ値取得部311により取得された車速センサ34のセンサ値(速度情報)を、情報提供装置10に送信する走行情報に含ませる。算出部は、走行情報に含まれる速度情報により示される車両20の走行速度が低いほど信頼度を高く算出する。これにより、降雪の発生の有無の判定精度をさらに向上できる。
【0038】
なお、降雪時に車両20を停車させると、フロントガラスやリアガラスに雪が付着したり雪が積もったりする可能性がある。また、停車時間が長くなればなるほどその可能性が高くなる。そこで、算出部は、走行情報(速度情報)に基づき車両20の停車状態を検出し、停車状態が所定時間以上継続して検出されたとき、その継続時間が長いほど信頼度を低く算出してもよい。なお、算出部は、走行情報(速度情報)により示される車両20の走行速度がゼロであるとき、車両20が停車状態であると判断する。これにより、車両20が停車しているときにも降雪の発生の有無を精度よく判定できる。なお、算出部は、速度情報以外の情報に基づき車両20の停車状態を判断してもよい。
【0039】
また、図4の集計結果に示されるように、測定エラー情報の受信回数が多いほど、すなわち、より多くの車両20で外界認識センサ32の測定エラーが発生したとき、それらの車両20が走行している領域において降雪が発生した可能性が高いと想定される。そこで、算出部は、車両20が所定領域内を走行中に外界認識センサ32で発生した測定エラーの回数(情報提供装置10が各車両20から受信した測定エラー情報の個数)が多いほど信頼度を高く算出してもよい。
【0040】
また、外界認識センサ32の測定エラーは降雪以外の要因、例えば降雨によって発生する場合がある。そこで、判定部は、所定領域の天候が降雪の可能性が低い天候であるとき、より詳細には、所定領域の外気温が降雪の可能性を示す温度(例えば摂氏4度)以下であることを条件に、所定領域において降雪が発生したか否かの判定を行うようにしてもよい。この場合、車載装置30の通信制御部314は、センサ値取得部311により取得された温度センサ35のセンサ値(外気温情報)を、情報提供装置10に送信する走行情報に含ませる。情報取得部111は、車両20(車載装置30)から送信された外気温情報を含む走行情報を受信する。すなわち、情報取得部111は、外気温取得部としても機能する。判定部は、情報取得部111により取得された地図情報と走行情報(外気温情報と検出位置情報)とに基づき、所定領域の外気温が降雪の可能性を示す温度以下であることを条件に、その走行情報に含まれる測定エラー情報に基づき所定領域において降雪が発生したか否かの判定を行う。この場合、判定部は、情報取得部111により走行情報が取得されると、走行情報に含まれる外気温情報を参照して、車両20の外気温を認識する。そして、車両20の外気温が降雪の可能性を示す温度以下であるとき、判定部は、走行情報に含まれる測定エラー情報と検出位置情報とに基づいて、所定領域内で降雪が発生したか否かを判定する。なお、外気温取得部は、通信制御部314を介して、天気予報データ等を提供(配信)する外部のサーバ装置から、所定領域の現在の外気温の予測値を外気温情報として取得してもよい。
【0041】
また、上記実施形態では、判定部112が、地図情報と走行情報とに基づき、所定領域を走行中の車両20のワイパが作動中であることを条件に、所定領域内で降雪が発生したか否かの判定を行うようにした。しかしながら、降雪が発生していない場合でも区画線を覆うように路面に雪が積もっているときには、外界認識センサ32(区画線認識センサ32a)は、区画線の測定不可を示すエラー信号を出力する可能性がある。したがって、判定部は、地図情報と走行情報とに基づき、車両20が所定領域内を走行しているとき、かつ、車両20のワイパが停止しているとき(降雪の可能性が低いとき)に測定エラーが発生したと認識した場合、車両20が走行中の道路に積雪が残っていると判定してもよい。この場合、出力部は、判定部112による積雪の有無の判定結果を降雪情報に含ませてもよい。また、出力部は、図5の天候情報において、判定部により積雪が発生したと判定された領域が、降雪が発生したと判定された領域と異なる表示態様(例えば網点表示)で強調表示されるように、天候情報を生成してもよい。これにより、降雪の情報だけでなく積雪の情報もユーザに提供できる。
【0042】
また、上記実施形態では、走行情報取得部としての情報取得部111が、通信制御部114により降雪情報の出力指示が受信されると、記憶部12から、検出日時情報により示される測定エラーの検出日時が現在時点より指定時間以内である走行情報を読み出すようにした。しかしながら、情報取得部は、検出日時情報により示される測定エラーの検出日時が過去の第1時点と該第1時点より過去の第2時点との間に含まれる走行情報を読み出すようにしてもよい。この場合、第1時点と第2時点とがユーザにより設定可能であってもよい。すなわち、出力指示に第1時点と第2時点とを示す情報が降雪情報の出力指示に含まれていてもよい。このような構成によれば、ユーザは、過去の指定日時(例えば、1年前の同じ日)における降雪の発生の有無を確認することができる。
【0043】
さらに、上記実施形態では、出力部113が、降雪情報をユーザ端末に出力するようにしたが、出力部は、情報提供装置10がディスプレイ等の出力装置を備えるとき、該出力装置に降雪情報を出力してもよい。また、上記実施形態では、出力部113が、判定部112の判定結果を、地図情報取得部としての情報取得部111により取得された道路地図に対応付けた情報(図5)を降雪情報として生成するようにした。しかしながら、ユーザが所定領域における降雪の発生の有無を判断可能であれば、降雪情報は、図5の態様と異なる態様で生成されてもよい。
【0044】
以上の説明はあくまで一例であり、本発明の特徴を損なわない限り、上述した実施形態および変形例により本発明が限定されるものではない。上記実施形態と変形例の一つまたは複数を任意に組み合わせることも可能であり、変形例同士を組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0045】
10 情報提供装置、20,20-1~20-n 車両、30 車載装置、11 演算部、111 情報取得部、112 判定部、113 出力部、114 通信制御部、12 記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B