(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049540
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】投入順序決定装置および投入順序決定方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/04 20120101AFI20240403BHJP
G05B 19/418 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
G06Q50/04
G05B19/418 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155823
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100133916
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 興
(72)【発明者】
【氏名】後藤 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 優志
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 倫太郎
(72)【発明者】
【氏名】本多 文博
【テーマコード(参考)】
3C100
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
3C100AA01
3C100AA18
3C100BB03
3C100BB05
3C100BB13
3C100BB14
3C100BB19
5L049CC03
5L050CC03
(57)【要約】
【課題】作業者にかかる手間および熟練の作業者に対する依存度を低く抑えつつ適切な投入順序を決定する。
【解決手段】投入順序決定装置は、単一混流生産ラインにおける製品の投入順序を決定するであって、作業者が設定する複数の投入ルールの入力を受け付ける入力部と、前記入力部に入力された複数の前記投入ルールに基づいて投入順序を決定する演算部と、前記演算部により決定された投入順序を作業者に提示する出力部とを備える。前記演算部は、投入順序の候補である仮投入順序を生成するとともに、当該複数の仮投入順序のうち前記投入ルールからの逸脱度合いが最も小さいものを、作業者に提示する前記投入順序として決定する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の製品が生産される単一混流生産ラインにおける製品の投入順序を決定する投入順序決定装置であって、
作業者が設定する複数の投入ルールの入力を受け付ける入力部と、
前記入力部に入力された複数の前記投入ルールに基づいて投入順序を決定する演算部と、
前記演算部により決定された投入順序を作業者に提示する出力部とを備え、
前記演算部は、投入順序の候補である仮投入順序を生成するとともに、当該仮投入順序のうち前記投入ルールからの逸脱度合いが最も小さいものを、作業者に提示する前記投入順序として決定する、投入順序決定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の投入順序決定装置において、
前記入力部は、複数の前記投入ルールについてそれぞれの重要度を設定する操作を受け付ける機能を有し、
前記演算部は、前記仮投入順序に対して、前記投入ルールに違反している数を前記重要度で加重して、得られた値を違反点として算出し、当該違反点が最も小さい仮投入順序を前記投入順序として決定する、投入順序決定装置。
【請求項3】
請求項1に記載の投入順序決定装置において、
複数の前記投入ルールは、予め設定された各製品の属性について優先順位を定める第1投入ルールと、製品どうしの投入間隔を定める第2投入ルールと、所定の製品の投入タイミングを定める第3投入ルールとを含む、投入順序決定装置。
【請求項4】
請求項3に記載の投入順序決定装置において、
前記入力部に前記第1投入ルールを入力する操作は、各製品の出荷日、納品日あるいは号機を前記属性として指定する操作と、当該指定した属性を昇順または降順のいずれで並べるかを指定する操作とを含む、投入順序決定装置。
【請求項5】
請求項3に記載の投入順序決定装置において、
前記入力部に前記第2投入ルールを入力する操作は、2つの製品の種類を指定する操作と、指定された当該2つの種類の製品の投入間隔を指定する操作とを含む、投入順序決定装置。
【請求項6】
請求項3に記載の投入順序決定装置において、
前記入力部に前記第3投入ルールを入力する操作は、製品の種類を指定する操作と、指定した当該種類の製品の投入タイミングを指定する操作とを含む、投入順序決定装置。
【請求項7】
請求項1に記載の投入順序決定装置において、
前記演算部は、前記投入ルールからの逸脱度合いが小さい投入順序を探索するように構築されたアルゴリズムを用いて前記仮投入順序を生成する、投入順序決定装置。
【請求項8】
請求項7に記載の投入順序決定装置において、
前記演算部は、遺伝的アルゴリズムを用いて前記仮投入順序を生成する、投入順序決定装置。
【請求項9】
入力部と演算部と出力部とを備える投入順序決定装置を用いて、複数種類の製品が生産される単一混流生産ラインにおける製品の投入順序を決定する投入順序決定方法であって、
作業者が設定する複数の投入ルールの入力を前記入力部が受け付け、
前記入力部に入力された複数の前記投入ルールに基づいて前記演算部が投入順序を決定し、
前記演算部により決定された投入順序を前記出力部が作業者に提示し、
前記演算部は、投入順序の候補である仮投入順序を複数生成するとともに、当該仮投入順序のうち前記投入ルールからの逸脱度合いが最も小さいものを、作業者に提示する前記投入順序として決定する、投入順序決定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、投入順序決定装置および投入順序決定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製品の組立や加工が行われる生産ラインでは、共通のラインで複数種類の製品が生産される場合がある。このような複数種類の製品が共通して生産される単一混流生産ラインでは、投入順序つまり製品の生産開始順序に応じて作業効率や生産完了日時が変化する。そのため、この投入順序の決定が重要になる。
【0003】
ここで、熟練の作業者であれば投入順序を適切に設定することは可能である。しかしながら、熟練者であっても製品の種類が多い場合等には適切な順序を設定するまでに多くの時間と手間を必要とする。また、通常の作業者では投入順序を適切に設定できないおそれがある。
【0004】
これに対して、例えば、特許文献1には、投入順序の設定を補助する装置として、作業者が入力した生産回数等に基づいて投入順序を算出し、算出結果を作業者に提示するともに当該算出結果に対する作業者による修正を受け付けて、投入順序を再算出するように構成された装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の装置では、適切な投入順序を得るために作業者による修正作業が必要になる。従って、作業者の手間が十分に低減されないともに、熟練の作業者に対する依存度が十分に低減されない。
【0007】
本開示は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、作業者にかかる手間および熟練の作業者に対する依存度を低く抑えつつ適切な投入順序を決定できるシステムおよび方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためのものとして、本開示の一局面に係る投入順序決定装置は、複数種類の製品が生産される単一混流生産ラインにおける製品の投入順序を決定する投入順序決定装置であって、作業者が設定する複数の投入ルールの入力を受け付ける入力部と、前記入力部に入力された複数の前記投入ルールに基づいて投入順序を決定する演算部と、前記演算部により決定された投入順序を作業者に提示する出力部とを備え、前記演算部は、投入順序の候補である仮投入順序を複数生成するとともに、当該仮投入順序のうち前記投入ルールからの逸脱度合いが最も小さいものを、作業者に提示する前記投入順序として決定するものである。
【0009】
本開示の他の局面に係る投入順序決定方法は、入力部と演算部と出力部とを備える投入順序決定装置を用いて、複数種類の製品が生産される単一混流生産ラインにおける製品の投入順序を決定する投入順序決定方法であって、作業者が設定する複数の投入ルールの入力を前記入力部が受け付け、前記入力部に入力された複数の前記投入ルールに基づいて前記演算部が投入順序を決定し、前記演算部により決定された投入順序を前記出力部が作業者に提示し、前記演算部は、投入順序の候補である仮投入順序を複数生成するとともに、当該仮投入順序のうち前記投入ルールからの逸脱度合いが最も小さいものを、作業者に提示する前記投入順序として決定する方法である。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように、本開示の投入順序決定装置および投入順序決定方法によれば、作業者にかかる手間および熟練の作業者に対する依存度を低く抑えつつ適切な投入順序を決定できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態に係る投入順序決定装置の構成を示す模式図である。
【
図2】
図2は、本開示の一実施形態に係る投入順序決定装置が適用される単一混流生産ラインの一例を示す模式図である。
【
図3】
図3は、対象データの一例を示す模式図である。
【
図4】
図4は、本開示の一実施形態に係る投入順序決定装置により実施される投入順序決定プログラムの内容を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、
図4に示す第1投入ルール規定プログラムの内容を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、
図4に示す第2投入ルール規定プログラムの内容を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、
図4に示す第3投入ルール規定プログラムの内容を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、
図4に示す投入順序決定プログラムの内容を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、投入ルール選択のためにモニターに表示される画像を示した図である。
【
図10】
図10は、
図4に示す第1投入ルール規定プログラム実行時にモニターに表示される画像を示した図である。
【
図11】
図11は、
図4に示す第2投入ルール規定プログラム実行時にモニターに表示される画像を示した図である。
【
図12】
図12は、
図4に示す第3投入ルール規定プログラム実行時にモニターに表示される画像を示した図である。
【
図14】
図14は、投入順序の他の候補の一例を示す図である。
【
図15】
図15は、投入順序の他の候補の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示に係る投入順序決定装置および投入順序決定方法の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0013】
(投入順序決定装置の全体構成)
図1は、本開示の一実施形態に係る投入順序決定装置1の構成を示す模式図である。投入順序決定装置1は、複数種類の製品が生産される単一混流生産ラインにおける製品の投入順序つまり製品の生産開始順序を決定するための装置である。具体的に、投入順序決定装置1は、複数の工程を経て製品を生産する
図2に示すような生産ライン200に適用され得る。生産ライン200は、複数種類の製品の生産に対応しており、異なる種類の製品に対して各工程が上流側から順に施される単一混流生産ラインである。なお、投入順序決定装置1が適用される生産ライン200は、最初に実施されるP1工程が共通であればよく、途中で2以上に分岐するラインであってもよい。例えば、
図2の実線に示すようにP1~Px工程の後Q1~Qy工程が実施されるラインと、
図2の破線に示すようにP1~Px工程の後R1~Rz工程が実施されるラインとを含む生産ラインにも、投入順序決定装置1は適用され得る。以下では、適宜、投入順序決定装置1によって投入順序が決定される単一混流生産ラインを対象ラインという。なお、対象ラインで生産される製品としてはロボット等が挙げられる。
【0014】
図1に示すように、投入順序決定装置1は、入力部10と、演算部20と、出力モニター30とを備える。入力部10は、投入順序決定装置1を利用する作業者による入力を受け付ける。演算部20は、各種情報の記憶およびこれらの情報等を用いた各種の演算を行う。演算部20は、機能的に、入力部10に入力された情報を含む各種情報を記憶する記憶部21と、投入順序を決定する投入順序決定部22とを有する。出力モニター30は、演算部20から出力される情報を作業者に提示する。提示される情報には、投入順序決定部22が決定した投入順序の情報が含まれる。出力モニター30は、本開示における「出力部」に相当する。
【0015】
入力部10は、例えばキーボードおよびマウスを含む装置とすることができる。演算部20は、例えば、演算を行うプロセッサ(CPU)と、ROMおよびRAM等のメモリーと、入力部10および出力モニター30が接続される入出力バスと、を含むマイクロコンピュータを要部とする装置とすることができる。出力モニター30は、例えば液晶ディスプレイ等の表示装置とすることができる。
【0016】
入力部10には、投入順序を決定するための各種データが作業者により入力される。具体的に、入力部10には、投入順序を決定するためのデータとして、基本データD1と、対象データD2と、投入ルールデータD3とが入力される。演算部20の記憶部21は、これらデータD1~D3を記憶する。
【0017】
基本データD1は、各製品の基本的なデータである。例えば、基本データD1は、対象ラインで生産される可能性のある製品の種類、各製品の生産時に使用される治具、各製品の生産によって対象ラインにかかる負荷および各工程での作業時間等を含む。
【0018】
対象データD2は、投入順序決定の対象となる製品であって所定の期間中に対象ラインに投入される予定の製品の属性を含むデータである。
図3は、対象データD2の一例を示した図である。
図3に示すように、対象データD2は、各製品の属性として、投入予定の製品の種類と、各製品の号機と、各製品の出荷日および納入日とを含む。なお、号機は、同一種類の複数の製品をそれぞれ個別に識別するために各製品にそれぞれ割り当てられる番号である。少なくとも同じ種類の製品どうしでは、異なる号機が割り当てられる。例えば、号機は、受注した順に増加する数とされる。
【0019】
投入ルールデータD3は、投入順序に対して満たすことが望まれる複数の投入ルールを規定するデータである。
【0020】
具体的に、投入順序を決定する際には、作業者の人数、設備の稼働可能時間、および、出荷日等を考慮する必要がある。また、単一混流生産ラインでは、製品の種類に応じて作業負荷および作業時間が異なるとともに、製品の種類に応じて必要な治具の数が異なる。これより、単一混流生産ラインにおいて投入順序を決定する際には多岐にわたる制約を考慮する必要がある。そのため、従来では、熟練の作業者でなければ、上記の各制約を考慮した上で最適な投入順序を決定することが難しかった。これに対して、本願発明者らは、熟練の作業者の投入順序決定時の思考について鋭意研究した結果、熟練者の思考をいくつかのルールとしてまとめることができることを見出した。さらに、特に重要な投入ルールが以下の3つの投入ルール(第1投入ルール、第2投入ルールおよび第3投入ルール)であるとの知見を得た。つまり、以下の3つの投入ルールに基づいて投入順序を決定すれば、熟練者が決定する投入順序つまり適切な投入順序を導くことが可能であるとの知見を得た。本開示の投入順序決定装置1では、入力部10は、投入ルールデータD3として、下記の第1投入ルール、第2投入ルールおよび第3投入ルールを規定するデータの入力を受け付ける。投入ルールデータD3の詳細については後述する。
・第1投入ルール:予め設定された各製品の属性について優先順位を定める。
・第2投入ルール:製品どうしの投入間隔を定める。
・第3投入ルール:所定の製品の投入タイミングを定める。
【0021】
対象データD2および投入ルールデータD3は、投入順序決定の対象となる製品が変わる毎に、作業者により入力部10に入力される。一方、基本データD1は、新たな種類の製品が対象ラインで生産されることが決まったときにのみ更新されて、当該製品の種類とその作業時間が入力部10に追加入力される。
【0022】
(投入順序決定プログラム)
投入順序決定装置1の演算部20によって実行される投入順序決定プログラムの内容について説明する。この投入順序決定プログラムは、単一混流生産ラインにおける製品の投入順序を決定するための投入順序決定方法に対応している。
図4は、投入順序決定プログラムの全体の流れを示すフローチャートである。この
図4に示される処理は、基本データD1と対象データD2が記憶部21に記憶されている状態で入力部10に対して所定の入力が行われると開始する。つまり、作業者は、投入順序決定プログラムを実行する前に、予め、入力部10に対して基本データD1と対象データD2を入力する操作を行っておく。
【0023】
投入順序決定プログラムが開始すると、ステップS1において、演算部20は、第1投入ルールの入力要求があるか否かを判定する。演算部20は、入力部10に対する操作に基づいてこの判定を行う。演算部20は、第1投入ルールの入力要求がないと判定すると(ステップS1の判定がNO)、ステップS3に進む。一方、演算部20は、第1投入ルールの入力要求があると判定すると(ステップS1の判定がYES)、ステップS2において第1投入ルール規定プログラムを実行する。後述するように、第1投入ルール規定プログラムが実行されると、作業者による入力部10に対する第1投入ルールの入力操作が可能になる。また、作業者の入力操作に伴って入力部10が受け付けた第1投入ルールは、投入ルールデータD3の一部を構成するデータとして演算部20に入力される。演算部20は、ステップS2の実施後は、ステップS3に進む。
【0024】
ステップS3において、演算部20は、第2投入ルールの入力要求があるか否かを判定する。演算部20は、入力部10に対する操作に基づいてこの判定を行う。演算部20は、第2投入ルールの入力要求がないと判定すると(ステップS3の判定がNO)、ステップS5に進む。一方、演算部20は、第2投入ルールの入力要求があると判定すると(ステップS3の判定がYES)、ステップS4において第2投入ルール規定プログラムを実行する。後述するように、第2投入ルール規定プログラムが実行されると、作業者による入力部10に対する第2投入ルールの入力操作が可能になる。また、作業者の入力操作に伴って入力部10が受け付けた第2投入ルールは、投入ルールデータD3の一部を構成するデータとして演算部20に入力される。演算部20は、ステップS4の実施後は、ステップS5に進む。
【0025】
ステップS5において、演算部20は、第3投入ルールの入力要求があるか否かを判定する。演算部20は、入力部10に対する操作に基づいてこの判定を行う。演算部20は、第3投入ルールの入力要求がないと判定すると(ステップS5の判定がNO)、ステップS7に進む。一方、演算部20は、第3投入ルールの入力要求があると判定すると(ステップS5の判定がYES)、ステップS6において第2投入ルール規定プログラムを実行する。後述するように、第2投入ルール規定プログラムが実行されると、作業者による入力部10に対する第3投入ルールの入力操作が可能になる。また、作業者の入力操作に伴って入力部10が受け付けた第3投入ルールは、投入ルールデータD3の一部を構成するデータとして演算部20に入力される。演算部20は、ステップS6の実施後は、ステップS7に進む。
【0026】
ステップS2、ステップS4およびステップS6の判定に用いられる入力部10に対する操作について、
図9を用いて説明する。演算部20は、投入順序決定プログラムが実行されると、
図9に示す投入ルール選択画像110を出力モニター30に表示する。投入ルール選択画像110は、第1投入ルールに対応する第1選択表示111と、第2投入ルールに対応する第2選択表示112と、第3投入ルールに対応する第3選択表示113とを含む。第1選択表示111は、「投入の優先順位」という文字に隣接して配置された第1ラジオボタン111Aを含む。第2選択表示112は、「投入の間隔」という文字に隣接して配置された第2ラジオボタン112Aを含む。第3選択表示113は、「投入のタイミング」という文字に隣接して配置された第3ラジオボタン113Aを含む。
【0027】
マウス等の操作により作業者によっていずれかのラジオボタンが選択されると、演算部20は、選択されたラジオボタンに対応する投入ルールの入力要求があると判定する。具体的に、第1ラジオボタン111Aが選択されると、演算部20は、第1投入ルールの入力要求があると判定する。また、第2ラジオボタン112Aが選択されると、演算部20は、第2投入ルールの入力要求があると判定する。また、第3ラジオボタン113Aが選択されると、演算部20は、第3投入ルールの入力要求があると判定する。
【0028】
図4のフローチャートのステップS7に戻る。ステップS7において、演算部20は、全ての投入ルールの入力が終了したか否かを判定する。すなわち、演算部20は、ステップS2、S4、S6による3つのルール規定プログラムがいずれも完了すると、全ての投入ルールの入力が終了したと判定する。演算部20は、上記入力が終了していないと判定した場合(ステップS7の判定がNO)、ステップS1に戻って以降の処理を繰り返す。一方、演算部20は、上記入力が終了したと判定すると(ステップS7の判定がYES)、ステップS8に進む。ステップS8において、演算部20は、投入順序決定プログラムを実行する。後述するように、この投入順序決定プログラムの実行によって製品の投入順序が決定される。
【0029】
ステップS8による投入順序決定プログラムが終了すると、演算部20は、続くステップS9において、投入順序決定プログラムにより決定した投入順序を出力モニター30に出力して作業者に提示する。例えば、出力モニター30には、後述する
図15のように、投入順序と、投入順序に従って並べられた製品の種類と、各製品の属性(号機、出荷日、納入日)とを含む表が、表示される。
【0030】
次に、第1投入ルール規定プログラムの詳細について説明する。
図5は、第1投入ルール規定プログラムの内容を示すフローチャートである。
図5に示す第1投入ルール規定プログラムがスタートすると、演算部20は、ステップS11において、
図10に示すように、第1投入ルールを規定するための第1入力画像120を出力モニター30に表示させる。
図10の例では、演算部20は、投入ルール選択画像110と併せて第1入力画像120を出力モニター30に表示させる。なお、第1入力画像120が出力モニター30に表示されている状態では、第1ラジオボタン111Aの内側に、選択されたことを示す黒い丸印が表示される。
【0031】
第1入力画像120は、基準表示121と、順序選択表示122と、重要度表示126と、設定終了ボタン191とを含む。
【0032】
基準表示121は、「優先順位の基準」という文字に隣接して配置されたプルダウンメニュー121Aを含む。演算部20は、プルダウンメニュー121Aに、選択肢として製品の属性を表示する。具体的に、プルダウンメニュー121Aには、製品の属性として、出荷日、作業時間、納入日が表示される。順序選択表示122は、昇順を選択するための昇順ラジオボタン122Aと、降順を選択するための降順ラジオボタン12Bとを含む。重要度表示126は、互いに異なる数字を表す複数の数字ボタン126Aを含む。具体的に、重要度表示126は、1~5の整数がそれぞれ表示された5つの数字ボタン126Aを含む。設定終了ボタン191は、設定終了という文字を含むボタンからなる。
【0033】
図5に戻り、ステップS11の後の処理について説明する。当該ステップS11に続くステップS12において、演算部20は、入力された優先順位の基準の指示を受け付けて記憶する。すなわち、演算部20は、作業者が入力部10を介して行ったプルダウンメニュー121Aに対する入力操作に基づいて、優先順位の基準の指示を受け付ける。例えば、作業者は、マウス等の操作によって、プルダウンメニュー121Aに表示された、出荷日、号機、納入日から1つを選択する。演算部20は、出荷日、号機、納入日のうちの選択された1つの属性を優先順位の基準として受け付けて記憶する。なお、プルダウンメニュー121Aにおいて、選択された属性の表示領域の色は、他の属性の領域の色と異なる色とされる。
【0034】
次いで、演算部20は、ステップS13において、入力された昇順あるいは降順の指示を受け付けて記憶する。すなわち、演算部20は、作業者が入力部10を介して行ったラジオボタン122A、122Bに対する入力操作に基づいて、昇順あるいは降順の指示を受け付ける。例えば、作業者は、マウス等の操作によって、上記2つのラジオボタン122A、122Bの一方を選択する。演算部20は、昇順ラジオボタン122Aが選択されると昇順の指示を受け付けて記憶し、降順ラジオボタン122Bが選択されると降順の指示を受け付けて記憶する。なお、選択されたラジオボタンには、その内側に選択されたことを示す黒い丸印が表示される。
【0035】
次いで、演算部20は、ステップS14において、入力された重要度を受け付けて記憶する。すなわち、演算部20は、作業者が入力部10を介して行った重要度表示126に対する入力操作に基づいて、重要度の点数を受け付ける。例えば、作業者は、マウス等の操作によって、5つの数字ボタン126Aから1つのボタンを選択する。演算部20は、選択された数字ボタン126Aに表示されている整数を重要度の点数として受け付けて記憶する。なお、選択された数字ボタンは、他の数字ボタンと異なる色とされる。
【0036】
上記ステップS12およびステップS13の処理により、第1投入ルールが規定される。すなわち、第1投入ルールは、ステップS12で入力された基準(属性)が、ステップS13で入力された順序(昇順または降順)となるように、投入順序を決定する、というルールである。なお、上記基準が出荷日または納品日である場合、昇順とは日にちの早い順であり、降順とは日にちの遅い順である。また、上記基準が号機である場合は、第1投入ルールは、同じ種類の製品内で、号機が昇順または降順となるように投入順序を決定するというルールになる。
【0037】
また、上記ステップS14の処理により、第1投入ルールの重要度が決定される。具体的には、ステップS14で入力された整数が第1投入ルールの重要度として決定される。
【0038】
ここで、上記ステップS12において作業者がプルダウンメニュー121Aから出荷日、号機、納入日のいずれかを選択する操作は、本開示における「各製品の出荷日、納品日あるいは作業時間を前記属性として指定する操作」に相当する。また、上記ステップS13において作業者が上記2つのラジオボタン122A、122Bの一方を選択する操作は、本開示における「指定した属性を昇順または降順のいずれで並べるかを指定する操作」に相当する。さらに、上記ステップS14において作業者が複数の数字ボタン126Aの1つを選択する操作は、本開示における第1投入ルールの「重要度を設定する操作」に相当する。
【0039】
上記ステップS14が終了すると、演算部20は、続くステップS15において、第1投入ルールの規定が完了したか否かを判定する。具体的に、演算部20は、作業者によって設定終了ボタン191がオン操作された場合に、第1投入ルールの規定が完了したと判定する。
【0040】
第1投入ルールの規定が完了したと判定すると(ステップS15の判定がYES)、演算部20は、第1投入ルール規定プログラムを終了する。一方、第1投入ルールの規定が完了していないと判定すると(ステップS15の判定がNO)、演算部20は、ステップS12に戻り、それ以降の処理を繰り返す。
【0041】
次に、第2投入ルール規定プログラムの詳細について説明する。
図6は、第2投入ルール規定プログラムの内容を示すフローチャートである。
図6に示す第2投入ルール規定プログラムがスタートすると、演算部20は、ステップS21において、
図11に示すように、第2投入ルールを規定するための第2入力画像130を出力モニター30に表示させる。
図11の例では、演算部20は、投入ルール選択画像110と併せて第2入力画像130を出力モニター30に表示させる。なお、第2入力画像130が出力モニター30に表示されている状態では、第2ラジオボタン112Aの内側に、選択されたことを示す黒い丸印が表示される。
【0042】
第2入力画像130は、製品表示131と、間隔表示132と、重要度表示126と、設定終了ボタン192とを含む。
【0043】
製品表示131は、「製品1」という文字に隣接して配置された第1プルダウンメニュー131Aと、「製品2」という文字に隣接して配置された第2プルダウンメニュー131Bとを含む。演算部20は、これらプルダウンメニュー131A、131Bに、選択肢として製品の種類を表示する。このとき、演算部20は、製品の種類として対象データD2(
図3)に含まれる種類のすべてを表示する。なお、
図11では、これらプルダウンメニュー131A、131Bの一部の表示を省略している。
【0044】
間隔表示132は、「台」という文字に隣接して配置された間隔入力フォーム132Aと、これの横に配置された第3プルダウンメニュー132Bとを含む。演算部20は、第3プルダウンメニュー132Bに、「以上」、「以下」、「固定」という3つの選択肢を表示する。
【0045】
第2入力画像130の重要度表示136は、第1入力画像120の重要度表示126と同様に構成されている。つまり、第2入力画像130の重要度表示136は、1~5の整数を表す5つの数字ボタン136Aを含む。第2入力画像130の設定終了ボタン192は、第1入力画像120の設定終了ボタン191と同様の構成を有し、設定終了という文字を含むボタンで構成されている。
【0046】
図6に戻り、ステップS21の後の処理について説明する。当該ステップS21に続くステップS22において、演算部20は、設定対象の2つの製品種類、つまり、投入間隔を設定する2つの品種の指示を受け付けて記憶する。以下、適宜、設定対象の2つの製品の種類を、対象2品種という。すなわち、演算部20は、作業者が入力部10を介して行った第1プルダウンメニュー131Aおよび第2プルダウンメニュー131Bに対する入力操作に基づいて、対象2品種の指示を受け付ける。例えば、作業者は、マウス等の操作によって、第1プルダウンメニュー121Aに表示された製品の種類から1つの種類を選択するとともに、第2プルダウンメニュー121Bに表示された製品の種類から1つの種類を選択する。演算部20は、選択された2つの種類を対象2品種として受け付けて記憶する。なお、各プルダウンメニュー131A、131Bにおいて、選択された種類の表示領域の色は、他の領域の色と異なる色とされる。
【0047】
次いで、演算部20は、ステップS23において、対象2品種に対する投入間隔の指示を受け付けて記憶する。すなわち、演算部20は、作業者が入力部10を介して行った間隔入力フォーム132Aおよび第3プルダウンメニュー132Bに対する入力操作に基づいて、投入間隔の指示を受け付ける。例えば、作業者は、キーボード等の操作によって、間隔入力フォーム132Aに数値を入力する。また、作業者は、マウス等の操作によって、第3プルダウンメニュー132Bに表示された「以上」、「以下」および「固定」の3つの選択肢から1つを選択する。これにより、演算部20に対して対象2品種の投入間隔が指示される。
【0048】
例えば、対象2品種の投入間隔をN台以上にしたい場合(Nは任意の自然数)、作業者は、間隔入力フォーム132Aに「N」を入力し、かつ第3プルダウンメニュー132Bにおいて「以上」を選択する。これにより、対象2品種の一方を投入してから他方を投入するまでの間に他の種類の製品がN台以上投入されることになる。
【0049】
同様に、対象2品種の投入間隔をN台以下にしたい場合、作業者は、間隔入力フォーム132Aに「N」を入力し、かつ第3プルダウンメニュー132Bにおいて「以下」を選択する。また、対象2品種の投入間隔をN台ちょうどにしたい場合、作業者は、間隔入力フォーム132Aに「N」を入力し、かつ第3プルダウンメニュー132Bにおいて「固定」を選択する。
【0050】
次いで、演算部20は、ステップS24において、入力された重要度を受け付けて記憶する。上記のステップS14と同様に、演算部20は、作業者によって選択された数字ボタン136Aに表示されている整数を重要度の点数として受け付けて記憶する。
【0051】
上記のステップS22およびステップS23の処理により、第2投入ルールが規定される。すなわち、第2投入ルールは、ステップS22で入力された対象2品種の投入間隔が、ステップS23で入力された数値(台数)になるように、投入順序を決定する、というルールである。
【0052】
また、上記ステップS24の処理により、第2投入ルールの重要度が決定される。具体的には、ステップS24で入力された整数が第2投入ルールの重要度として決定される。
【0053】
ここで、上記ステップS22において作業者が第1プルダウンメニュー121Aおよび第2プルダウンメニュー121Bからそれぞれ製品の種類を選択する操作は、本開示における「2つの製品の種類を指定する操作」に相当する。また、上記ステップS23において作業者が間隔入力フォーム132Aに数値を入力しかつ第3プルダウンメニュー132Bから「以上」「以下」「固定」のいずれかを選択する操作は、本開示における「指定された当該2種類の製品の投入間隔を指定する操作」に相当する。さらに、上記ステップS24において作業者が数字ボタン226Aの1つを選択する操作は、本開示における第2投入ルールの「重要度を設定する操作」に相当する。
【0054】
上記ステップS24が終了すると、演算部20は、続くステップS25において、第2投入ルールの規定が完了したか否かを判定する。具体的に、演算部20は、作業者によって設定終了ボタン192がオン操作された場合に、第2投入ルールの規定が完了したと判定する。
【0055】
第2投入ルールの規定が完了したと判定すると(ステップS25の判定がYES)、演算部20は、第2投入ルール規定プログラムを終了する。一方、第2投入ルールの規定が完了していないと判定すると(ステップS25の判定がNO)、演算部20は、ステップS22に戻り、それ以降の処理を繰り返す。
【0056】
次に、第3投入ルール規定プログラムの詳細について説明する。
図7は、第3投入ルール規定プログラムの内容を示すフローチャートである。
図7に示す第3投入ルール規定プログラムがスタートすると、演算部20は、ステップS31において、
図12に示すように、第3投入ルールを規定するための第3入力画像140を出力モニター30に表示させる。
図12の例では、演算部20は、投入ルール選択画像110と併せて第3入力画像140を出力モニター30に表示させる。なお、第3入力画像140が出力モニター30に表示されている状態では、第3ラジオボタン113Aの内側に、選択されたことを示す黒い丸印が表示される。
【0057】
第3入力画像140は、製品表示141と、タイミング表示142と、重要度表示146と、設定終了ボタン193とを含む。
【0058】
製品表示141は、「タイミングを指定する製品」という文字に隣接して配置された第1プルダウンメニュー141Aを含む。演算部20は、第1プルダウンメニュー141Aに、選択肢として製品の種類を表示する。このとき、演算部20は、製品の種類として対象データD2(
図3)に含まれる種類のすべてを表示する。なお、
図12では、第1プルダウンメニュー141Aの一部の表示を省略している。
【0059】
タイミング表示142は、「1日の」という文字に隣接して配置された第2プルダウンメニュー142Aと、「番目」という文字に隣接して配置された順番入力フォーム142Bとを含む。演算部20は、第2プルダウンメニュー142Aに、「最初」、「最後」という2つの選択肢を表示する。
【0060】
第3入力画像140の重要度表示146は、第1入力画像120の重要度表示126と同様に構成されている。つまり、第3入力画像140の重要度表示146は、1~5の整数を表す5つの数字ボタン146Aを含む。第3入力画像140の設定終了ボタン193は、第1入力画像120の設定終了ボタン191と同様の構成を有し、設定終了という文字を含むボタンで構成されている。
【0061】
図7に戻り、ステップS31の後の処理について説明する。当該ステップS31に続くステップS32において、演算部20は、設定対象の製品の種類、つまり、投入タイミングを設定する製品の種類の指示を受け付けて記憶する。以下、適宜、投入タイミングを設定する製品の種類を、タイミング指定品種という。すなわち、演算部20は、作業者が入力部10を介して行った第1プルダウンメニュー141Aに対する入力操作に基づいて、タイミング指定品種の指示を受け付ける。例えば、作業者は、マウス等の操作によって、第1プルダウンメニュー141Aに表示された製品の種類から1つの種類を選択する。演算部20は、選択された種類をタイミング指定品種として受け付けて記憶する。なお、第1プルダウンメニュー141Aにおいて、選択された種類の表示領域の色は、他の領域の色と異なる色とされる。
【0062】
次いで、演算部20は、ステップS33において、タイミング指定品種に対する投入タイミングの指示を受け付けて記憶する。すなわち、演算部20は、作業者が入力部10を介して行った第2プルダウンメニュー142Aおよび順番入力フォーム142Bに対する入力操作に基づいて、投入タイミングの指示を受け付ける。例えば、作業者は、マウス等の操作によって、第2プルダウンメニュー142Aに表示された「最初」「最後」の2つの選択肢から1つを選択する。また、作業者は、キーボード等の操作によって、順番入力フォーム142Bに数値を入力する。これにより、演算部20に対してタイミング指定品種の投入タイミングが指示される。
【0063】
例えば、タイミング指定品種を投入順の最初から数えてM番目に投入したい場合(Mは任意の自然数)、作業者は、順番入力フォーム142Bに「M」を入力し、かつ第2プルダウンメニュー142Aにおいて「最初」を選択する。また、タイミング指定品種を投入順の最後から数えてM番目に投入したい場合、作業者は、順番入力フォーム142Bに「M」を入力し、かつ第2プルダウンメニュー142Aにおいて「最後」を選択する。
【0064】
次いで、演算部20は、ステップS34において、入力された重要度を受け付けて記憶する。上記のステップS14と同様に、演算部20は、作業者によって選択された数字ボタン146Aに表示されている整数を重要度の点数として受け付けて記憶する。
【0065】
上記のステップS32およびステップS33の処理により、第3投入ルールが規定される。すなわち、第3投入ルールは、ステップS32で入力されたタイミング指定品種の投入タイミングが、ステップS33で入力されたタイミング(順番)になるように、投入順序を決定する、というルールである。
【0066】
また、上記ステップS34の処理により、第3投入ルールの重要度が決定される。具体的には、ステップS34で入力された整数が第3投入ルールの重要度として決定される。
【0067】
ここで、上記ステップS32において作業者が第1プルダウンメニュー141Aから製品の種類を選択する操作は、本開示における「製品の種類を指定する操作」に相当する。また、上記ステップS33において作業者が第2プルダウンメニュー142Aから「最初」「最後」のいずれかを選択しかつ順番入力フォーム142Bに数値を入力する操作は、本開示における「指定した当該種類の製品の投入タイミングを指定する操作」に相当する。さらに、上記ステップS34において作業者が数字ボタン326Aの1つを選択する操作は、本開示における第3投入ルールの「重要度を設定する操作」に相当する。
【0068】
上記ステップS34が終了すると、演算部20は、続くステップS35において、第3投入ルールの規定が完了したか否かを判定する。具体的に、演算部20は、作業者によって設定終了ボタン193がオン操作された場合に、第3投入ルールの規定が完了したと判定する。
【0069】
第3投入ルールの規定が完了したと判定すると(ステップS35の判定がYES)、演算部20は、第3投入ルール規定プログラムを終了する。一方、第3投入ルールの規定が完了していないと判定すると(ステップS35の判定がNO)、演算部20は、ステップS32に戻り、それ以降の処理を繰り返す。
【0070】
上記のとおり、
図5~
図7の各フローチャートの処理を経ることで、第1投入ルール、第2投入ルールおよび第3投入ルールが規定される。すなわち、第1~第3投入ルールを規定する投入ルールデータD3が演算部20にて生成、記憶される。言い換えると、投入ルールデータD3は、製品の属性および順序(昇順または降順)の指示を含む第1投入ルールの規定データと、対象2品種およびその投入間隔の指示を含む第2投入ルールの規定データと、タイミング指定品種およびその投入タイミングの指示を含む第3投入ルールの規定データとを含む。
【0071】
次に、ステップS8にて実施される投入順序決定プログラムの詳細について説明する。
図8は、投入順序決定プログラムの内容を示すフローチャートである。
図8に示す投入順序決定プログラムがスタートすると、演算部20は、ステップS41において、対象データD2を並び替えて投入順序の候補である仮投入順序を生成する。演算部20は、最初に実施するステップS41では、例えば、対象データD2をランダムに並び変えて仮投入順序を生成する。 続くステップS42において、演算部20は、上記ステップS41で生成した仮投入順序が違反している投入ルールである違反ルールを抽出する。具体的に、演算部20は、第1投入ルール、第2投入ルールおよび第3投入ルールについてそれぞれ、ステップS41で生成した仮投入順序がこれら投入ルールに違反しているか否かを判定する。そして、演算部20は、仮投入順序が違反している投入ルールがあると、その投入ルールを違反ルールとして抽出する。
【0072】
続くステップS43において、演算部20は、上記ステップS42で抽出した違反ルールに基づいて違反点を算出する。違反点は、仮投入順序が投入ルールに違反している数を重要度で加重した値である。すなわち、演算部20は、上記ステップS41で生成した仮投入順序が投入ルールに違反している数である違反数を、第1~第3投入ルールのそれぞれについて特定する。そして、特定した当該違反数に、違反した投入ルールの重要度を乗じた値を、違反点として算出する。言い換えると、演算部20は、第1~第3投入ルールのそれぞれについて、「(違反数)×(重要度)」を算出し、算出した当該値の合計を違反点として算出する。
【0073】
例えば、仮投入順序が第1投入ルールに違反している違反数をn1、仮投入順序が第2投入ルールに違反している違反数をn2、仮投入順序が第3投入ルールに違反している違反数をn3とする。また、第1投入ルールの重要度をd1、第2投入ルールの重要度をd2、第3投入ルールの重要度をd3とする。この場合、演算部20は、下式(1)によって違反点を算出する。
【0074】
[数1]
違反点=(n1×d1)+(n2×d2)+(n3×d3) ‥‥(1)
上記式(1)から理解されるように、違反点は、仮投入順序の各投入ルールに対する違反数が多いほど大きくなり、かつ違反している投入ルールの重要度が高いほど大きくなる。なお、ステップS42において違反ルールが抽出されなかった場合、つまり第1~第3投入ルールが全て守られている場合は、違反点は0(ゼロ)となる。
【0075】
仮投入順序の具体例を挙げつつ違反点についてより具体的に説明する。ここでは、
図3に示した対象データD2から、
図13に示す第1仮投入順序と、
図14に示す第2仮投入順序と、
図15に示す第3仮投入順序とが生成されたものとする。
【0076】
また、第1~第3投入ルールは以下のように規定されているものとする。
・第1投入ルール:投入順序を、各製品の「出荷日」の「昇順」にする。
・第2投入ルール:製品Aどうしは「5」台以上の間隔をあける。
・第3投入ルール:製品Bの投入タイミングを「最初」から「1」番目にする。
【0077】
さらに、第1投入ルールの重要度が5、第2投入ルールの重要度が2、第3投入ルールの重要度が3に設定されているものとする。
【0078】
この場合、第1仮投入順序(
図13)は、第1投入ルールおよび第3投入ルールに違反している。また、第1仮投入順序の両投入ルールに対する違反数はいずれも1である。したがって、演算部20は、第1仮投入順序の違反点を8と算出する。
【0079】
第2仮投入順序(
図14)は、第2投入ルールのみに違反しており、かつその違反数は1である。したがって、演算部20は、第2仮投入順序の違反点を2と算出する。
【0080】
第3仮投入順序(
図15)は、第1~第3投入ルールの全てのルールを守っている。したがって、演算部20は、第3仮投入順序の違反点を0と算出する。
【0081】
図8に戻り、ステップS43の後の処理について説明する。当該ステップS43に続くステップS44において、演算部20は、ステップS43での違反点の算出回数が予め定められた規定回数以上になったか否かを判定する。ここで、違反点は、仮投入順序が生成される毎に算出されており、ステップS44の判定は、生成した仮投入順序の総数が規定回数以上になったか否かの判定と同じである。規定回数は2以上の値に予め設定されて記憶部21に記憶されている。
【0082】
違反点の算出回数が規定回数未満の場合(ステップS44の判定がNO)、演算部20は、ステップS41に戻り、新たな仮投入順序を生成する。2回目以降のステップS41では、演算部20は、例えば、遺伝的アルゴリズムを用いて、先に生成した仮投入順序を用いる等して、より違反点が小さくなるように仮投入順序を生成する。ステップS41の実施後は、演算部20は、上記の通りステップS42以降のステップを実施する。一方、違反点の算出回数が規定回数に到達した場合(ステップS44の判定がYES)、演算部20は、ステップS45において投入順序を決定する。このとき、演算部20は、ステップS43で算出した違反点が最も小さい仮投入順序を投入順序として決定する。例えば、
図13~
図15に示した第1~第3仮投入順序の中からは、違反点が最も小さい第3仮投入順序が投入順序として決定される。違反点が最も小さいということは、投入ルールからの逸脱度合いが小さいということである。
【0083】
上記のように、上記のステップS2、S4およびS6では、作業者が設定する複数の投入ルールの入力を入力部10が受け付ける。また、上記のステップS8では、入力部10に入力された複数の投入ルールに基づいて演算部20が投入順序を決定する。また、ステップS9では、演算部20により決定された投入順序を出力モニター30が作業者に提示する。そして、上記のステップS8では、つまり、投入順序決定プログラムでは、演算部20は、投入順序の候補である仮投入順序を複数生成するとともに、当該複数の仮投入順序のうち投入ルールからの逸脱度合い(違反点)が最も小さいものを、作業者に提示する前記投入順序として決定する。
【0084】
ここで、上記のように、投入順序決定プログラムは、違反点がゼロになる仮投入順序が見つかるまで演算を繰り返すものではなく、違反点の算出回数が規定回数に到達すると演算が停止されるように構成されている。つまり、投入順序決定プログラムは、厳密に最適な解を求める厳密解法ではなく、ある程度最適値に近い値をもつ実行可能解をなるべく早く求めるいわゆる近似解法により投入順序を決定するものである。これより、ステップS41にて仮投入順序を生成する具体的な手順は、限定されるものではないが、メタヒューリスティックや乱択アルゴリズム等の近似解法を用いることができる。
【0085】
また、ステップS41において、違反点がより小さくなるように仮投入順序が生成されれば、違反点が十分に小さい投入順序が得られる可能性が高くなる。これに対して、演算部20は、ステップS41にて、違反点がより小さくなる仮投入順序を探索するように構成されたアルゴリズムを用いる。
【0086】
例えば、上記のように、演算部20は、ステップS41にて、メタヒューリスティックの一つである遺伝的アルゴリズムを用いて仮投入順序を生成する。なお、遺伝的アルゴリズムとは、交叉や突然変異などの操作を繰り返しながら適応度の高い解を探索するアルゴリズムのことである。ここでは、演算部20は、上記の
図5~
図7の処理により規定された投入ルールからの逸脱度合い(違反点)が小さい仮投入順序ほど、適応度が高いものとして扱う。まず、演算部20は、上記のように、少なくとも最初の仮投入順序を生成する際に、投入ルールとは無関係に対象データD2をランダムに並び変えて仮投入順序を生成する。次に、生成された仮投入順序から、交叉や突然変異などの操作によって次世代の仮投入順序を生成する。具体的に、次世代の仮投入順序を交叉(組み換え)によって生成する場合には、既に生成された仮投入順序のうち適応度が高いものを2つ以上抽出し、抽出した仮投入順序の間で一部データの入れ替え処理を行う。このような処理により、適応度が高い(違反点が小さい)仮投入順序が生成される可能性は高くなる。
【0087】
(作用等)
以上のように、上記実施形態に係る投入順序決定装置1および投入順序決定方法では、作業者は、第1投入ルール、第2投入ルールおよび第3投入ルールを入力部10に入力するだけで、各投入ルールに則した適切な投入順序を得ることができる。従って、適切な投入順序を決定するために必要な作業者の手間を低減できる。また、作業者は、入力する投入ルールのみを把握していればよいので、適切な投入順序を決定する上での熟練の作業者への依存度を低減できる。特に、投入ルールが3つに絞られていることで、作業者の手間および熟練の作業者への依存度を小さくできる。
【0088】
また、上記のように、第1~第3投入ルールは、単一混流生産ラインにおける製品の投入順序を決定する際に熟練者が主として考慮するルールである。そのため、熟練者ではない作業者であっても、熟練者が作成する投入順序と同程度に適切な投入順序を得ることができる。
【0089】
また、違反点の算出回数が予め定められた規定回数に到達すると(ステップS44の判定がYES)、仮投入順序の生成が停止されて、生成した仮投入順序のうち違反点が最も小さい仮投入順序が投入順序として決定される。そのため、投入ルールがすべて満たされて違反点が0となる投入順序が作成されるまで仮投入順序の生成を繰り返す場合に比べて、投入順序が決定されるまでにかかる時間が短くなり、適切な投入順序を比較的短時間で得ることが可能になる。さらに、違反点が0となる投入順序が存在しない場合であっても、投入ルールからの逸脱度合いができるだけ小さい適切な投入順序を得ることができる。
【0090】
また、上記実施形態では、複数の投入ルールについてそれぞれの重要度を設定する操作を受け付ける機能が入力部10に付与されている。そのため、作業者が重要と考える投入ルールであるほど、それが守られる可能性が高くなる。
【0091】
(変形例)
上記実施形態では、第1投入ルール、第2投入ルールおよび第3投入ルールからなる3つの投入ルールを設定する場合を説明したが、投入ルールは2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。
【0092】
上記実施形態では、第1投入ルールにおいて規定される製品の属性が、製品の出荷日、号機および納入日である場合を説明したが、製品の属性は、これらのいずれか一つあるいは二つであってもよい。また、他の属性が用いられてもよい。
【0093】
上記実施形態では、第1投入ルールとして、1つの属性の優先順位が設定される場合を説明したが、複数の属性の優先順位が設定されてもよい。また、第2投入ルールにおいて、投入間隔が設定される2つの製品の組み合わせを複数にしてもよい。つまり、複数の製品セット(2つの種類の製品)についてそれぞれ投入間隔を定めるようにしてもよい。また、第3投入ルールにおいて、複数の種類の製品について、それぞれ投入タイミングを定めるようにしてもよい。
【0094】
投入ルールを入力するための具体的な手順は上記に限られない。つまり、各投入ルールを入力するための画像は
図9~
図12に示した画像に限られない。また、画像入力以外の方法で投入ルールを入力することも可能である。
【0095】
また、複数の仮投入順序を生成するための具体的な演算手法は、上記の遺伝的アルゴリズムに限られない。例えば、貪欲法を用いて仮投入順序を生成してもよい。また、動的計画法等を利用して仮投入順序を生成してもよい。
【0096】
(まとめ)
上記実施形態およびその変形例には、以下の開示が含まれる。
【0097】
本開示の一局面に係る投入順序決定装置は、複数種類の製品が生産される単一混流生産ラインにおける製品の投入順序を決定する投入順序決定装置であって、作業者が設定する複数の投入ルールの入力を受け付ける入力部と、前記入力部に入力された複数の前記投入ルールに基づいて投入順序を決定する演算部と、前記演算部により決定された投入順序を作業者に提示する出力部とを備える。前記演算部は、投入順序の候補である仮投入順序を複数生成するとともに、当該仮投入順序のうち前記投入ルールからの逸脱度合いが最も小さいものを、作業者に提示する前記投入順序として決定する。
【0098】
本開示によれば、作業者は、好ましい投入ルールを入力部に入力するだけで投入ルールに則した適切な投入順序を得ることができる。従って、適切な投入順序を決定するために必要な作業者の手間を低減できる。また、作業者は投入ルールのみを把握していればよいので、適切な投入順序を決定する上での熟練の作業者への依存度を低減できる。また、投入ルールがすべて満たされる順序に限らず、複数の仮投入順序のうち投入ルールからの逸脱度合いが最も小さいものが投入順序として決定される。そのため、演算部において投入順序が決定されるまでにかかる演算時間を短くすることができ、適切な投入順序を比較的短時間で得ることができる。
【0099】
好ましくは、前記入力部は、複数の前記投入ルールについてそれぞれの重要度を設定する操作を受け付ける機能を有し、前記演算部は、前記仮投入順序に対して、前記投入ルールに違反している数を前記重要度で加重して、得られた値を違反点として算出し、当該違反点が最も小さい仮投入順序を前記投入順序として決定する。
【0100】
この態様によれば、作業者が考える各投入ルールの重要度合いを考慮した適切な投入順序を決定することができる。
【0101】
好ましくは、複数の前記投入ルールは、予め設定された各製品の属性について優先順位を定める第1投入ルールと、製品どうしの投入間隔を定める第2投入ルールと、所定の製品の投入タイミングを定める第3投入ルールとを含む。
【0102】
この様態によれば、作業者は、3つの投入ルールを入力するだけでよいので、作業時間を短くできる。
【0103】
また、上記のように、上記3つの投入ルールは、単一混流生産ラインにおける製品の投入順序を決定する際に熟練者が主として考慮するルールである。そのため、熟練者ではない作業者であっても、熟練者が作成する投入順序と同程度に適切な投入順序を得ることができる。
【0104】
好ましくは、前記入力部に前記第1投入ルールを入力する操作は、各製品の出荷日、納品日あるいは号機を前記属性として指定する操作と、当該指定した属性を昇順または降順のいずれで並べるかを指定する操作とを含む。
【0105】
この様態によれば、各製品の出荷日、納品日あるいは号機が昇順または降順に並ぶように投入順序を決定することができる。
【0106】
好ましくは、前記入力部に前記第2投入ルールを入力する操作は、2つの製品の種類を指定する操作と、指定された当該2つの種類の製品の投入間隔を指定する操作とを含む。
【0107】
この様態によれば、2つの種類の製品の投入間隔が所定の間隔となるように投入順序を決定することができる。
【0108】
好ましくは、前記入力部に前記第3投入ルールを入力する操作は、製品の種類を指定する操作と、指定した当該種類の製品の投入タイミングを指定する操作とを含む。
【0109】
この様態によれば、所定の種類の製品の投入タイミングが所定のタイミングとなるように投入順序を決定することができる。
【0110】
好ましくは、前記演算部は、前記投入ルールからの逸脱度合いが小さい投入順序を探索するように構築されたアルゴリズムを用いて前記仮投入順序を生成する。
【0111】
この様態によれば、投入ルールからの逸脱度合いが可及的に小さい投入順序を決定することができる。
【0112】
具体的な前記アルゴリズムとしては、遺伝的アルゴリズムが挙げられる。
【0113】
また、本開示の他の局面に係る投入順序決定方法は、入力部と演算部と出力部とを備える投入順序決定装置を用いて、複数種類の製品が生産される単一混流生産ラインにおける製品の投入順序を決定する投入順序決定方法であって、作業者が設定する複数の投入ルールの入力を前記入力部が受け付け、前記入力部に入力された複数の前記投入ルールに基づいて前記演算部が投入順序を決定し、前記演算部により決定された投入順序を前記出力部が作業者に提示する。前記演算部は、投入順序の候補である仮投入順序を複数生成するとともに、当該仮投入順序のうち前記投入ルールからの逸脱度合いが最も小さいものを、作業者に提示する前記投入順序として決定する。
【0114】
本開示によれば、上記の装置と同様に、適切な投入順序を決定するために必要な作業者の手間を低減できるとともに、適切な投入順序を決定する上での熟練の作業者への依存度を低減できる。また、適切な投入順序を比較的短時間で得ることができる。
【符号の説明】
【0115】
1 投入順序決定装置
10 入力部
20 演算部
30 出力モニター(出力部)