(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049541
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】防振構造
(51)【国際特許分類】
F16F 15/08 20060101AFI20240403BHJP
F16M 7/00 20060101ALI20240403BHJP
F16F 15/04 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
F16F15/08 L
F16M7/00 G
F16F15/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155824
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000227386
【氏名又は名称】日東工器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100175983
【弁理士】
【氏名又は名称】海老 裕介
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正裕
【テーマコード(参考)】
3J048
【Fターム(参考)】
3J048AA01
3J048AD16
3J048BA03
3J048BC04
3J048DA01
3J048EA08
3J048EA13
(57)【要約】
【課題】弾性防振部材が外れてしまうのをより確実に防止するようにした防振構造を提供する。
【解決手段】防振構造10は、ポンプ1に対して固定された取付構造部12と、取付構造部12に取り付けられた弾性防振部材14と、取付構造部12に固定されて弾性防振部材14を保持する上部固定部材18とを備える。上部固定部材18は、取付構造部12の板状取付部22に対して厚さ方向で相互に反対側に位置する第1及び第2本体部18a、18b、それらを繋ぐ連接部18c、及び第1本体部18aから延びる係止突部18dを有する。上部固定部材18は、係止突部18dが取付構造部12の係止面24に係合することにより取付構造部12に固定される。上部固定部材18は、弾性防振部材14に側面26の側で係合して弾性防振部材14を板状取付部22に保持する。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動を伴う装置のための防振構造であって、
前記装置に対して固定された、板状取付部及び前記板状取付部に対向した係止面を有する取付構造部であって、前記板状取付部は、前記板状取付部の厚さ方向に貫通し且つ前記板状取付部の側面にまで前記板状取付部の長さ方向に延びる挿入孔を有する、取付構造部と、
取付溝が形成されて幅狭とされた幅狭部を有し、前記幅狭部が前記挿入孔に前記長さ方向で挿入されて前記取付溝内に前記板状取付部の一部が位置するようにして前記板状取付部に取り付けられた弾性防振部材と、
前記取付構造部に固定されて前記弾性防振部材を前記板状取付部に保持する固定部材であって、前記板状取付部に対して前記厚さ方向で相互に反対側に位置するようにされた第1及び第2本体部、前記第1本体部の一端と前記第2本体部の一端とを繋ぐ連接部、及び前記第1本体部から前記板状取付部の反対側に突出する係止突部を有し、前記係止突部が前記係止面に係合することにより前記取付構造部に固定されて、前記弾性防振部材に少なくとも前記側面の側で係合することにより前記弾性防振部材を前記板状取付部に保持するようにされた、固定部材と、
を備える、防振構造。
【請求項2】
前記固定部材は、前記取付構造部に取付けられていない状態において前記第1本体部と前記第2本体部との間の間隔が前記板状取付部の厚さよりも小さくされ、前記第1本体部と前記第2本体部との間に前記板状取付部が挿入されるにしたがって前記第1本体部の他端と前記第2本体部の他端とが相互に離れていくように変形するようにされた、請求項1に記載の防振構造。
【請求項3】
前記係止突部が、前記第1本体部の前記他端に設けられている、請求項2に記載の防振構造。
【請求項4】
前記固定部材が、1つの板状部材を折り曲げて形成された板金部材である、請求項3に記載の防振構造。
【請求項5】
前記第1及び前記第2本体部が前記弾性防振部材の前記幅狭部を受け入れる受入孔を有し、前記第1及び第2本体部の一部が前記取付溝内に位置するようにされ、前記第1本体部と前記第2本体部とのうちの少なくとも一方が前記弾性防振部材に係合することにより前記弾性防振部材を前記板状取付部に保持するようにされた、請求項1に記載の防振構造。
【請求項6】
前記固定部材が、前記側面の側から前記板状取付部に取り付けられるようにされた、請求項1に記載の防振構造。
【請求項7】
前記取付構造部を複数備え、各取付構造部に前記弾性防振部材及び前記固定部材がそれぞれ取り付けられ、
各弾性防振部材が一端から他端にまで延びる柱状の部材であり、前記幅狭部が前記弾性防振部材の前記一端の側に設けられ、各弾性防振部材が前記他端の側に連結取付溝が形成された連結幅狭部をさらに有しており、
複数の前記弾性防振部材を前記連結幅狭部において相互に連結する連結部材と、前記連結部材に固定されて各弾性防振部材を連結部材に保持する複数の連結固定部材と、をさらに備える、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の防振構造。
【請求項8】
前記連結部材が複数の連結板状取付部を有し、各連結板状取付部が、前記連結板状取付部の厚さ方向に貫通し且つ前記連結板状取付部の幅方向に前記連結板状取付部の第1側面にまで延びる連結挿入孔を有し、
各連結固定部材が、前記連結板状取付部に対して前記厚さ方向で相互に反対側に位置するようにされた第1及び第2連結本体部、前記第1連結本体部の一端と前記第2連結本体部の一端とを繋ぐ連接部、及び前記第1連結本体部の他端から前記第2連結本体部の側に突出した連結係止突部を有し、前記第1側面の側から前記連結板状取付部に取り付けられて前記連結係止突部が前記連結板状取付部の前記第1側面の反対側の第2側面に係合することにより前記連結板状取付部から外れるのが防止され、前記弾性防振部材に少なくとも前記第1側面の側から係合することにより前記弾性防振部材を前記連結板状取付部に保持するようにされた、請求項7に記載の防振構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動を伴う装置のための防振構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ポンプやコンプレッサ等の駆動時に振動を伴う装置を設置したり、その装置に別の装置や機器を取り付けたりする際に、設置場所や他の装置等に伝わる振動を低減するために防振構造が利用される。防振構造として種々の方式のものがあるが、特に安価に構成できることからゴム等の弾性部材を利用した構造を採用することがある。例えば特許文献1には、ダイアフラム式のポンプをゴムなどの弾性体からなる4つの弾性防振部材(脚)を介してブラケットに固定し、このブラケットを所望の位置に取り付けるようにした構造が開示されている。この弾性防振部材は、ポンプのハウジングに設けられた板状の取付部に形成された挿入孔内に弾性防振部材の幅狭部を挿入することにより取り付けられている。また弾性防振部材は、ブラケットにも同様に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような防振構造を備えたポンプは防振構造を下にして設置することが想定されているが、例えば防振構造を横にした状態で使用するとゴム製の弾性防振部材に横方向の力が作用して取付部から抜けてしまう可能性がある。又はポンプに外部から大きな力が加わるなどした場合にも弾性防振部材に横方向の力が作用して取付部から抜けてしまう可能性がある。そのため、弾性防振部材が取付部から抜けてしまうことをより確実に防止するために、弾性防振部材を取付部に接着材などで固定することが行なわれている。しかしながら、接着材による固定は、接着材の乾燥までに時間を要するため組み立て完了までの時間が長くなってしまう。また、接着材がはみ出すと見た目が悪くなることもある。
【0005】
そこで本発明は、接着材を使用することなく弾性防振部材が外れてしまうのをより確実に防止するようにした防振構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち本発明は、
振動を伴う装置のための防振構造であって、
前記装置に対して固定された、板状取付部及び前記板状取付部に対向した係止面を有する取付構造部であって、前記板状取付部は、前記板状取付部の厚さ方向に貫通し且つ前記板状取付部の側面にまで前記板状取付部の長さ方向に延びる挿入孔を有する、取付構造部と、
取付溝が形成されて幅狭とされた幅狭部を有し、前記幅狭部が前記挿入孔に前記長さ方向で挿入されて前記取付溝内に前記板状取付部の一部が位置するようにして前記板状取付部に取り付けられた弾性防振部材と、
前記取付構造部に固定されて前記弾性防振部材を前記板状取付部に保持する固定部材であって、前記板状取付部に対して前記厚さ方向で相互に反対側に位置するようにされた第1及び第2本体部、前記第1本体部の一端と前記第2本体部の一端とを繋ぐ連接部、及び前記第1本体部から前記板状取付部の反対側に突出する係止突部を有し、前記係止突部が前記係止面に係合することにより前記取付構造部に固定されて、前記弾性防振部材に少なくとも前記側面の側で係合することにより前記弾性防振部材を前記板状取付部に保持するようにされた、固定部材と、
を備える、防振構造を提供する。
【0007】
当該防振構造においては、固定部材を利用することにより弾性防振部材を取付構造部に保持することができる。よって、従来のように接着材を使用することなく、弾性防振部材が取付構造部から外れることをより確実に防止することが可能となる。
【0008】
また、前記固定部材は、前記取付構造部に取付けられていない状態において前記第1本体部と前記第2本体部との間の間隔が前記板状取付部の厚さよりも小さくされ、前記第1本体部と前記第2本体部との間に前記板状取付部が挿入されるにしたがって前記第1本体部の他端と前記第2本体部の他端とが相互に離れていくように変形するようにすることができる。
【0009】
さらには、前記係止突部が、前記第1本体部の前記他端に設けられているようにすることができる。
【0010】
このような構成により、固定部材を取付構造部に取り付けたときに、係止突部がより強く係止面に係合するようにすることができ、これにより固定部材をより強固に取付構造部に固定することが可能となる。
【0011】
また、前記固定部材が、1つの板状部材を折り曲げて形成された板金部材であるようにすることができる。
【0012】
さらには、前記第1及び前記第2本体部が前記弾性防振部材の前記幅狭部を受け入れる受入孔を有し、前記第1及び第2本体部の一部が前記取付溝内に位置するようにされ、前記第1本体部と前記第2本体部とのうちの少なくとも一方が前記弾性防振部材に係合することにより前記弾性防振部材を前記板状取付部に保持するようにすることができる。
【0013】
このような構成により、弾性防振部材をより確実に保持することが可能となる。
【0014】
また、
前記取付構造部を複数備え、各取付構造部に前記弾性防振部材及び前記固定部材がそれぞれ取り付けられ、
各弾性防振部材が一端から他端にまで延びる柱状の部材であり、前記幅狭部が前記弾性防振部材の前記一端の側に設けられ、各弾性防振部材が前記他端の側に連結取付溝が形成された連結幅狭部をさらに有しており、
複数の前記弾性防振部材を前記連結幅狭部において相互に連結する連結部材と、前記連結部材に固定されて各弾性防振部材を連結部材に保持する複数の連結固定部材と、をさらに備えるようにすることができる。
【0015】
この場合には、
前記連結部材が複数の連結板状取付部を有し、各連結板状取付部が、前記連結板状取付部の厚さ方向に貫通し且つ前記連結板状取付部の幅方向に前記連結板状取付部の第1側面にまで延びる連結挿入孔を有し、
各連結固定部材が、前記連結板状取付部に対して前記厚さ方向で相互に反対側に位置するようにされた第1及び第2連結本体部、前記第1連結本体部の一端と前記第2連結本体部の一端とを繋ぐ連接部、及び前記第1連結本体部の他端から前記第2連結本体部の側に突出した連結係止突部を有し、前記第1側面の側から前記連結板状取付部に取り付けられて前記連結係止突部が前記連結板状取付部の前記第1側面の反対側の第2側面に係合することにより前記連結板状取付部から外れるのが防止されて、前記弾性防振部材に少なくとも前記第1側面の側から係合することにより前記弾性防振部材を前記連結板状取付部に保持するようにすることができる。
【0016】
以下、本発明に係る防振構造の実施形態を添付図面に基づき説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係る防振構造を備えるポンプ装置の側面図である。
【
図3】
図2のポンプ装置の、弾性防振部材と連結部材を取り外した状態の底面図である。
【
図5】弾性防振部材を板状取付部に保持するための上部固定部材の側面図である。
【
図7】弾性防振部材を連結部材に保持するための下部固定部材の側面図である。
【
図10】弾性防振部材に上部固定部材及び下部固定部材を取付けた状態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一実施形態に係る防振構造10は、
図1及び
図2に示すように、ポンプ1のハウジング2に設けられた取付構造部12と、取付構造部12に取り付けられた4つの弾性防振部材14と、2つの弾性防振部材14をその下端で連結する2つの連結部材16とを備える。各弾性防振部材14は、上部固定部材(固定部材)18によって取付構造部12に保持され、下部固定部材(連結固定部材)20によって連結部材16に保持されるようになっている。連結部材16を所定の設置場所に取り付けることにより、ポンプ1は当該防振構造10を介して設置され、当該防振構造10はポンプ1の振動を吸収するようになる。
【0019】
取付構造部12は、ポンプ1のハウジング2と一体に設けられている。取付構造部12は、
図1で見て横方向に延びる板状取付部22と、板状取付部22の上側で板状取付部22に対向した係止面24とを有する。
図3に示すように、取付構造部12は4つ設けられている。
図3で見て左側にある取付構造部12-1の板状取付部22-1は、その厚さ方向(
図3の奥行き方向)に貫通し、且つその側面26-1にまで長さ方向(図での上下方向)に延びる挿入孔28-1を有する。
図3で見て右側にある取付構造部12-2の板状取付部22-2は、その厚さ方向(
図3の奥行き方向)に貫通し、且つその側面26-2にまで長さ方向(図での左右方向)に延びる挿入孔28-2を有する。各挿入孔28は、板状取付部22の略中心位置にある円弧状部分30と、円弧状部分30から側面26にまで延びるやや幅狭となった通路部分32とからなる。
【0020】
弾性防振部材14は、
図4に示すように、全体として円柱状に形成されている。弾性防振部材14は、その上端(一端)に環状の上部取付溝(取付溝)34が形成されて幅狭とされた上部幅狭部(幅狭部)36を有し、その下端(他端)に環状の下部取付溝(連結取付溝)38が形成されて幅狭とされた下部幅狭部(連結幅狭部)40を有する。また、弾性防振部材14は、その上下方向中心位置にくびれ部42を有する。
【0021】
上部固定部材18は、
図5及び
図6に示すように、1つの板状部材を折り曲げて形成した板金部材である。上部固定部材18は、距離D1だけ離れて相互に対向するように延びる第1及び第2本体部18a、18bと、第1本体部18aの一端と第2本体部18bの一端とを繋ぐ連接部18cと、第1本体部18aの他端18eから第2本体部18bの反対側に突出するように延びる係止突部18dとを有する。第1本体部18a及び第2本体部18bには、受入孔44が形成されている。この受入孔44は、弾性防振部材14の上部幅狭部36を受け入れる大きさとなっている。
【0022】
下部固定部材20は、
図7及び
図8に示すように、1つの板状部材を曲げて形成した板金部材である。下部固定部材20は、距離D2だけ離れて相互に対向するように延びる第1及び第2本体部(連結本体部)20a、20bと、第1本体部20aの一端と第2本体部20bの一端とを繋ぐ連接部20cと、第1本体部20aから第2本体部20bの側に延びる係止突部(連結係止突部)20dとを有する。第1本体部20a及び第2本体部20bには、受入孔46が形成されている。この受入孔46は、弾性防振部材14の下部幅狭部40を受け入れる大きさとなっている。
【0023】
連結部材16は、
図9に示すように、全体として略均一の厚さを有する細長い板状の部材である。連結部材16は、その厚さ方向で貫通し且つ幅方向(
図9で見て上下方向)に第1側面48にまで延びる連結挿入孔50を2つ有し、連結挿入孔50が形成された部分に連結板状取付部52が形成されている。連結挿入孔50は、円弧状部分54と、円弧状部分54から第1側面48にまで延びるやや幅狭となった通路部分56とからなり、上述の板状取付部22に形成されている挿入孔28と同じ形状となっている。なお、当該実施形態では、連結部材16は全体が略均一の部材となっているが、連結板状取付部52となる部分以外が、連結板状取付部52よりも厚いか又は薄い形状としてもよい。
【0024】
弾性防振部材14の取り付けは次のようにして行なわれる。まず、
図10に示すように、上部固定部材18を、その受入孔44に弾性防振部材14の上部幅狭部36が受け入れられるようにして、弾性防振部材14に取り付ける。同様に、下部固定部材20を、その受入孔46に弾性防振部材14の下部幅狭部40が受け入れられるようにして、弾性防振部材14に取り付ける。上部固定部材18の第1本体部18a及び第2本体部18bはその一部が上部取付溝34内に位置しており、第1本体部18aは上部取付溝34の上側の面34aに係合し、第2本体部18bは上部取付溝34の下側の面34bに係合している。同様に、下部固定部材20の第1本体部20a及び第2本体部20bはその一部が下部取付溝38内に位置しており、第1本体部20aは下部取付溝38の上側の面38aに係合し、第2本体部20bは下部取付溝38の下側の面38bに係合している。
【0025】
次に、弾性防振部材14の上部幅狭部36が板状取付部22の挿入孔28に挿入され、且つ上部固定部材18の第1本体部18aと第2本体部18bとの間に板状取付部22が挿入されるようにして、弾性防振部材14と上部固定部材18とを取付構造部12に取り付ける。さらに、弾性防振部材14の下部幅狭部40が連結部材16の連結挿入孔50に挿入され、且つ下部固定部材20の第1本体部20aと第2本体部20bとの間に連結部材16が挿入されるようにして、弾性防振部材14と下部固定部材20とに連結部材16を取り付ける。
図11の取付状態において、上部固定部材18の第1本体部18aと第2本体部18bは、板状取付部22に対してその厚さ方向で相互に反対側に位置するようになる。ここで、上部固定部材18は、取付構造部12に取り付けられていない状態において、第1本体部18aと第2本体部18bとの間の間隔D1は、板状取付部22の厚さT1よりも小さくなっている。よって、第1本体部18aと第2本体部18bとの間に板状取付部22が挿入されるにしたがって、第1本体部18aと第2本体部18bは相互に離れる方向への力を受け、第1本体部18aの他端18eと第2本体部18bの他端18fが相互に離れていくように変形していく。これにより、第1本体部18aの他端18eから上方に延びる係止突部18dは、係止面24に対して次第に強く押し当てられるようになる。当該実施形態においては、係止突部18dは連接部18cの側にやや斜めに曲げられた状態となる。上部固定部材18は金属で形成され、係止面24は樹脂で形成されているため、係止面24に強く押し付けられた上部固定部材18の係止突部18dは係止面24にやや食い込んだ状態となる。係止突部18dがこのようにして係止面24に係合することにより、上部固定部材18は取付構造部12に対して固定される。上部固定部材18は、弾性防振部材14に対して第1本体部18a及び第2本体部18bが板状取付部22の側面26の側で係合することにより、弾性防振部材14を板状取付部22に保持する。またこの取付状態において、下部固定部材20の第1本体部20aと第2本体部20bは、連結部材16に対してその厚さ方向で相互に反対側に位置するようになる。ここで、下部固定部材20の第1本体部20aと第2本体部20bとの間の間隔D2は、連結部材16の厚さT2と略同じか又は僅かに大きくなっている。図示の取付状態において、係止突部20dは連結部材16の第2側面58に対向した位置となる。下部固定部材20は、係止突部20dが第2側面58に係合することにより、連結部材16から外れるのが防止されるようになっている。また下部固定部材20は、弾性防振部材14に対して第1本体部20a及び第2本体部20bが第1側面48の側から係合することにより、弾性防振部材14を連結挿入孔50の通路部分56の側に向かって変位しないようにようにして連結部材16に保持する。
【0026】
当該防振構造10においては、上部固定部材18を利用することにより、接着材を使用することなく、弾性防振部材14を取付構造部12に保持して板状取付部22から外れないようにすることが可能となる。また、上部固定部材18を弾性防振部材14に取り付けた状態で弾性防振部材14とともに取付構造部12に押し込むだけで取り付けが完了するため、組み立て作業が煩雑にならない。同様に、下部固定部材20を利用することにより、接着材を使用することなく、弾性防振部材14を連結部材16に強固に固定することも可能となる。また、下部固定部材20を弾性防振部材14に取り付けた状態で連結部材16を下部固定部材20に押し込むだけで取り付けが完了するため、組み立て作業が煩雑にならない。
【0027】
以上に本発明の実施形態について説明をしたが、本発明はこれら実施形態に限定されるものではない。例えば、取付構造部はポンプ等の装置に一体に形成されている必要はなく、それら装置に後から取り付けられるようにしたものとしてもよい。上部固定部材及び下部固定部材は、金属板金部材ではなく、樹脂成型品とするなど、他の方法で製作したものとしてもよい。また、下部固定部材及び連結部材は必ずしも必要ではなく、各弾性防振部材がそれぞれ独立した状態でポンプを支持するようにしてもよい。また、上記実施形態の防振構造は、振動を伴うポンプを設置部に対して支持するためのものとして構成されているが、例えば振動を伴う装置の上に別の装置や機器を支持するためのものとして構成することもできる。取付構造部や弾性防振部材の数はその用途に合わせて任意に変更可能である。また、本発明に係る防振構造を利用することができる装置はポンプに限られず、コンプレッサや発電機、又はドリルのような機械装置など、種々の振動を伴う装置に対して利用することができる。
【符号の説明】
【0028】
1 ポンプ
2 ハウジング
10 防振構造
12(12-1、12-2) 取付構造部
14 弾性防振部材
16 連結部材
18 上部固定部材(固定部材)
18a 第1本体部
18b 第2本体部
18c 連接部
18d 係止突部
18e 他端
18f 他端
20 下部固定部材(連結固定部材)
20a 第1本体部
20b 第2本体部
20c 連接部
20d 係止突部(連結係止突部)
22(22-1、22-2) 板状取付部
24 係止面
26(26-1、26-2) 側面
28(28-1、28-2) 挿入孔
30 円弧状部分
32 通路部分
34 上部取付溝(取付溝)
34a 上側の面
34b 下側の面
36 上部幅狭部(幅狭部)
38 下部取付溝(連結取付溝)
38a 上側の面
38b 下側の面
40 下部幅狭部(連結幅狭部)
42 くびれ部
44 受入孔
46 受入孔
48 第1側面
50 連結挿入孔
52 連結板状取付部
54 円弧状部分
56 通路部分
58 第2側面
D1、D2 間隔
T1、T2 厚さ