(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049547
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
H05K 7/20 20060101AFI20240403BHJP
H01L 23/467 20060101ALI20240403BHJP
G06F 1/20 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
H05K7/20 H
H05K7/20 G
H01L23/46 C
G06F1/20 B
G06F1/20 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155832
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】稲吉 健
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322AA03
5E322BA01
5E322BA03
5E322BA04
5E322BB03
5E322FA04
5F136AA10
5F136BA03
5F136BC07
5F136CA06
5F136DA41
5F136FA02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】信頼性の高い冷却構造を実現する。
【解決手段】電子機器1において、筐体60は、第2方向D2一方側の端部に排気口60aが設けられ、第2方向他方側の端部に吸気口60bが設けられ、第1方向D1に並ぶ複数の発熱部10、30と、第1方向に並び複数の発熱部に対し第2方向一方側に配置され、第2方向一方側の気流を生じさせる複数のファン40と、複数の発熱部と複数のファンとの間に位置する気流制限部50と、を備える。気流制限部は、第1方向に第1の隙間を介し並んで配置される一対の誘導部51、52を有する。一対の誘導部は、第2方向他方側を向き第1の隙間側に傾斜する気流誘導面51a、52aを夫々有する。筐体の内側面は、第1方向において互いに対向する一対の第1内側面と、第3方向D3に互いに対向する一対の第2内側面と、を含む。一対の第1内側面及び一対の第2内側面のうち何れか一つと気流制限部との間には、隙間を設ける。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交する第1方向、第2方向および第3方向をそれぞれの面方向とする箱状であり、前記第2方向一方側の端部に排気口が設けられ、前記第2方向他方側の端部に吸気口が設けられる筐体と、
前記筐体内で前記第1方向に並ぶ複数の発熱部と、
前記筐体内で前記第1方向に並び、前記複数の発熱部に対し前記第2方向一方側に配置され前記筐体内に前記第2方向一方側の気流を生じさせる複数のファンと、
前記筐体内で前記複数の発熱部と前記複数のファンとの間に位置する気流制限部と、を備え、
前記気流制限部は、前記第1方向において第1の隙間を介し並んで配置される一対の誘導部を有し、
前記一対の誘導部は、前記第2方向他方側を向き前記第1の隙間側に傾斜する気流誘導面をそれぞれ有し、
前記筐体の内側面は、
前記第1方向において互いに対向する一対の第1内側面と、
前記第3方向において互いに対向する一対の第2内側面と、を含み、
前記一対の第1内側面、および前記一対の第2内側面のうち何れか一つと前記気流制限部との間には、隙間が設けられる、
電子機器。
【請求項2】
前記誘導部は、前記第3方向に延びる三角柱形状である、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記誘導部は、前記気流誘導面を板面方向とする板状である、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記一対の第1内側面同士の距離に対する、前記一対の誘導部の前記第1方向の寸法の総和の比率が、50%以上である、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記ファンと前記発熱部との前記第2方向の距離に対する、前記誘導部の前記第2方向の寸法の比率が、50%以下である、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項6】
前記第1内側面と前記気流制限部との間の隙間を第2の隙間とし、
前記第1の隙間の前記第1方向の寸法は、前記第2の隙間の前記第1方向の寸法より大きい、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項7】
前記第2内側面と前記気流制限部との間の隙間を第3の隙間とし、
前記第1の隙間の前記第1方向の寸法は、前記第3の隙間の前記第3方向の寸法より大きい、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項8】
前記一対の第2内側面同士の距離に対する、前記誘導部の前記第3方向の寸法の比率が、50%以上である、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項9】
3個以上の前記ファンを備える、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項10】
互いに隣り合う前記発熱部同士の間には、シール部材が配置される、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項11】
前記シール部材は、熱伝導シートである、
請求項10に記載の電子機器。
【請求項12】
前記シール部材は、吸音材である、
請求項10に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の発熱部品を有する電子機器では、複数のファンによって筐体内に空気の流れを生じさせて発熱部品を冷却する。このような電子機器において、一部のファンの送風量が低下した場合、筐体内には、局所的に空気の流速が低下する領域が生じ、これにより一部の発熱部品の冷却が不十分になる虞がある。特許文献1には、ファンと発熱部品との間に気流を集約する絞り部を有する仕切り板を設置することで、一部のファンが故障しても各発熱部品を均等に冷却する構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術の仕切り板では気流を十分に均一化することができず、発熱部品の場所によって風量にムラが生じてしまい、冷却構造の信頼性を十分に高めることができなかった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、信頼性の高い冷却構造を実現できる電子機器を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの態様によれば、互いに直交する第1方向、第2方向および第3方向をそれぞれの面方向とする箱状であり、前記第2方向一方側の端部に排気口が設けられ、前記第2方向他方側の端部に吸気口が設けられる筐体と、前記筐体内で前記第1方向に並ぶ複数の発熱部と、前記筐体内で前記第1方向に並び、前記複数の発熱部に対し前記第2方向一方側に配置され前記筐体内に前記第2方向一方側の気流を生じさせる複数のファンと、前記筐体内で前記複数の発熱部と前記複数のファンとの間に位置する気流制限部と、を備える。前記気流制限部は、前記第1方向において第1の隙間を介し並んで配置される一対の誘導部を有する。前記一対の誘導部は、前記第2方向他方側を向き前記第1の隙間側に傾斜する気流誘導面をそれぞれ有する。前記筐体の内側面は、前記第1方向において互いに対向する一対の第1内側面と、前記第3方向において互いに対向する一対の第2内側面と、を含む。前記一対の第1内側面、および前記一対の第2内側面のうち何れか一つと前記気流制限部との間には、隙間が設けられる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の1つの態様によれば、信頼性の高い冷却構造を実現できる電子機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態の電子機器の斜視図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態の第1発熱部の分解図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態の電子機器の一部を示す平面図である。
【
図4】
図4は、
図3のIV-IV線に沿う第1実施形態の電子機器の断面図である。
【
図5】
図5は、第2実施形態の電子機器の一部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。
各図には、第1方向D1、第2方向D2、および第3方向D3を図示する。第1方向D1、第2方向D2、および第3方向D3は、互いに直交する方向である。以下、第1方向D1、第2方向D2、および第3方向を基に、電子機器1の各部を説明する。また、以下の説明において、第3方向一方側(+D3側)を上側として、電子機器1の各部の方向を説明する場合がある。しかしながら、電子機器1の使用時の姿勢は一例であり、以下の実施形態に限定されない。
【0010】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の電子機器1の斜視図である。本実施形態の電子機器1は、計算サーバーである。しかしながら、電子機器1の用途は本実施形態に限定されない。
【0011】
電子機器1は、複数の第1発熱部(発熱部)30と、複数の第2発熱部10と、冷却装置4と、気流制限部50と、これらを収容する筐体60と、を有する。なお、
図1において筐体60は、上蓋部分が除去された状態で図示されている。
【0012】
筐体60は、第1方向D1、第2方向D2および第3方向D3をそれぞれの面方向とする箱状である。筐体60は、例えば金属材料から構成される。
【0013】
筐体60には、排気口60aおよび吸気口60bが設けられる。排気口60aは、筐体60の第2方向一方側(+D2側)の端部に設けられる。吸気口60bは、筐体60の第2方向他方側(-D2側)の端部に設けられる。排気口60a、および吸気口60bは、それぞれ筐体60の第2方向両側の側壁を開放することで設けられる。空気は、吸気口60bから筐体60内に取り込まれ、排気口60aにおいて筐体60の外部に排出される。空気は、筐体60内において、第2方向他方側(-D2側)から第2方向一方側(+D2側)に向かって流れる。
【0014】
複数の第1発熱部30は、筐体60内で第1方向D1に並ぶ。本実施形態の電子機器1には、10個の第1発熱部30が設けられる。第1発熱部30は、略直方体形状である。第1方向D1に並ぶ第1発熱部30同士の間には、若干の隙間が設けられている。互いに隣り合う第1発熱部30同士の間には、シール部材39が配置される。シール部材39は、第1発熱部30同士の間の隙間を塞ぐ。
【0015】
図2は、第1発熱部30の分解図である。
第1発熱部30は、基板部31と、発熱体32と、ヒートシンク33と、を有する。
【0016】
基板部31は、リジット基板であり、表面および内部に回路が設けられている。基板部31は、第1方向D1と直交する方向に沿って延びる実装面31aを有する。実装面31aは、第1方向一方側(+D1側)を向く。実装面31aには、発熱体32が実装される。また、基板部31には、他の素子が実装されていてもよい。
【0017】
基板部31は、他の第1発熱部30の基板部31と互いに接続されていてもよい。この場合、基板部31同士は、図示略のメイン基板などを介して互いに接続される。メイン基板は、基板部31に対し第3方向他方側(-D3側)に位置し、第3方向D3と直交する平面に沿って延びる。
【0018】
発熱体32は、例えばGPU(Graphics Processing Unit)などの画像処理用素子である。しかしながら、発熱体32は、駆動に応じて発熱する素子であればその種類は限定されない。基板部31には、上述の発熱体32の他に他の発熱体が実装されていてもよい。
【0019】
ヒートシンク33は、アルミニウム合金などの伝熱性の高い金属材料から構成される。ヒートシンク33は、それぞれの発熱体32に少なくとも1個取り付けられる。ヒートシンク33は、ベースプレート33eと複数のフィン33fとを有する。
【0020】
ベースプレート33eは、基板部31の実装面31aに沿って延びる。すなわち、ベースプレート33eは、第1方向D1と直交する方向に沿って延びる。ベースプレート33eは、の第1方向他方側(-D2側)を向く吸熱面33gを有する。吸熱面33gは、発熱体32と対向する。吸熱面33gは、発熱体32と直接的に接触していても、放熱グリスなどの流動性の伝熱材を介して接触していても良い。何れの場合においても、発熱体32の熱は、ヒートシンク33の吸熱面33gに伝わる。
【0021】
複数のフィン33fは、ベースプレート33eの第1方向一方側(+D1側)の面に設けられる。それぞれのフィン33fは、矩形状である。それぞれのフィン33fは、第3方向D3と直交する平面に沿って延びる。複数のフィン33fは、第3方向D3に沿って隙間を介して並ぶ。すなわち、ヒートシンク33は、一方向(本実施形態では第3方向D3)に並ぶ複数のフィン33fを有する。後述する冷却装置4の生ずる風は、フィン33f同士の間を通過する。これにより、発熱体32からヒートシンク33に伝わる熱が、空気に移動する。すなわち、ヒートシンク33は、発熱体32の熱を放熱する。
【0022】
図1に示すように第2発熱部10は、第1発熱部30に対し第2方向他方側(-D2側)に配置される。複数の第2発熱部10は、筐体60内で第1方向D1に並ぶ。本実施形態の電子機器1には、10個の第2発熱部10が設けられる。第2発熱部10は、第1発熱部30と同様に発熱体(図示略)を有する。第2発熱部10の発熱体の発熱量は、第1発熱部30の発熱体32の発熱量と比較して小さい。
【0023】
冷却装置4は、筐体60内であって第2方向一方側(+D2)側の端部に配置される。したがって、冷却装置4は、第1発熱部30に対し第2方向一方側(+D2側)に位置する。冷却装置4は、排気口60aを覆う。
【0024】
冷却装置4は、複数のファン40を有する。すなわち、電子機器1は、複数のファン40を備える。本実施形態において、冷却装置4には、5個のファン40が設けられる。複数のファン40は、第1方向D1に並ぶ。すなわち、電子機器1は、3個以上のファン40を備える。
【0025】
複数のファン40は、それぞれ、第2方向他方側(-D2側)から吸気し、第2方向一方側(+D2側)に空気を送る軸流ファンである。これにより、冷却装置4は、筐体60内に、第2方向一方側(+D2側)の気流を生じさせる。複数のファン40は、複数の第1発熱部30、および複数の第2発熱部10に対し第2方向一方側(+D2側)に配置される。このため、第1発熱部30および第2発熱部10の周囲には、ファン40によって生じた気流が流れる。なお、ファン40は、筐体60内に第2方向D2の気流を生じさせるものであれば軸流ファンに限定されず、遠心ファンなどの他種のファンであっても良い。
【0026】
冷却装置4の作用で生じた気流によって空気は、筐体60の外部から吸気口60bを通って筐体60内に侵入する。さらに、この空気は、第2発熱部10、第1発熱部30の順で、筐体60の内部を通り、冷却装置4、および排気口60aを介して筐体60の外部に吹き出される。この空気は、第2発熱部10周囲を通過する過程で第2発熱部10を冷却し、第1発熱部30の周囲を通過する過程で第1発熱部30を冷却する。
【0027】
本実施形態によれば、第1発熱部30および第2発熱部10のうち発熱量が比較的大きい第1発熱部30は、発熱量が比較的小さい第2発熱部10よりも下流側に配置される。すなわち、複数の発熱部10、30は、筐体60内の気流の方向に沿って発熱量が大きくなる順に並べて配置される。これにより、発熱量が大きい第1発熱部30によって温められた空気が第2発熱部10を温めてしまうことがなく、各発熱部10、30を確実に冷却できる。なお、ここでは、図示を省略するが、第2方向において、第1発熱部30と第2発熱部10との間には、別の発熱部が配置されていてもよい。この場合、この発熱部の発熱量は、第2発熱部10の発熱量よりも大きく、第1発熱部30の発熱量よりも小さいことが好ましい。
【0028】
気流制限部50は、筐体60内で、複数の第1発熱部30と複数のファン40との間に位置する。すなわち、筐体60内には、第2方向一方側(+D2側)に向かって、第2発熱部10、第1発熱部30、気流制限部50、ファン40がこの順に並ぶ。気流制限部50は、複数の第1発熱部30と複数のファン40との間を流れる空気の流れを制限する。
【0029】
気流制限部50は、一対の誘導部51、52を有する。本実施形態の誘導部51、52は、第3方向D3に延びる三角柱形状である。一対の誘導部51、52は、第1方向D1に並ぶ。
【0030】
図3は、電子機器1の第2方向一方側(+D2側)の一部を示す平面図である。
図3に示すように、筐体60の内側面は、第1方向D1において互いに対向する一対の第1内側面61を含む。また、
図3に示すように、電子機器1を第3方向D3から見て、第1方向D1の中央に配置され第2方向D2に延びる中心線CLを想定する。一対の誘導部51、52は、中心線CLに対して鏡対称に配置される。
【0031】
以下の説明において、一対の誘導部51、52を互いに区別して説明する場合、第1方向他方側(-D1側)に位置する一方を第1誘導部51とし、第1方向一方側(+D1側)に位置する他方を第2誘導部52とする。
【0032】
第1誘導部51は、気流誘導面51aと背面51bと側面51cと上面51dと下面51eとを有する。気流誘導面51aは、第1方向一方側(+D1側)に向かうにしたがい、第2方向一方側(+D2側)に傾斜する。背面51bは、第2方向D2に直交し、第2方向他方側(-D2側)を向く面である。側面51cは、第1方向D1に直交し、第1方向他方側(-D1側を向く面である。上面51d、および下面51eは、第3方向一方側、および他方側を向く面である。気流誘導面51a、背面51b、および側面51cは、矩形状の平坦面である。上面51d、および下面51eは、三角形状の平坦面である。
【0033】
同様に、第2誘導部52は、気流誘導面52aと背面52bと側面52cと上面52dと下面52eとを有する。気流誘導面52aは、第1方向他方側(-D1側)に向かうにしたがい、第2方向一方側(+D2側)に傾斜する。背面52bは、第2方向D2に直交し、第2方向他方側(-D2側)を向く面である。側面52cは、第1方向D1に直交し、第1方向一方側(+D1)側を向く面である。上面52d、および下面52eは、第3方向一方側、および他方側を向く面である。気流誘導面52a、背面52b、および側面52cは、矩形状の平坦面である。上面52d、および下面52eは、三角形状の平坦面である。
【0034】
第1誘導部51と第2誘導部52との間には、第1の隙間G1が設けられる。すなわち、一対の誘導部51、52は、第1方向D1において第1の隙間G1を介し並んで配置される。第1の隙間G1は、第3方向から見て、中心線CL上に位置する。第1の隙間G1は、第1誘導部51の気流誘導面51aと背面51bとの角部と、第2誘導部52の気流誘導面52aと背面52bとの角部との間に位置する。
【0035】
第1誘導部51、および第2誘導部52は、それぞれ筐体60の第1内側面61と隙間G2を空けて対向する。本明細書において、第1内側面61と気流制限部50との間の隙間を第2の隙間G2とする。一対の第2の隙間G2は、気流制限部50に対し第1方向D1両側に位置する。一方の第2の隙間G2は、第1誘導部51の側面51cと、第1方向他方側(-D1側)に位置する第1内側面61との間に設けられる。また、他方の第2の隙間G2は、第2誘導部52の側面52cと、第1方向一方側(+D1側)に位置する第1内側面61との間に設けられる。本実施形態において、一対の第2の隙間G2の寸法d2、d3は、互いに等しい。
【0036】
図4は、
図3のIV-IV線に沿う電子機器1の断面図である。
図4に示すように、筐体60の内側面は、第3方向D3において互いに対向する一対の第2内側面62a、62bを含む。ここでは、一対の第2第2内側面62a、62bを互いに区別する場合、上側に位置する一方を天面62aと呼び、下側に位置する他方を底面62bと呼ぶ。底面62bは、第1発熱部30が搭載されるメイン基板の上面である。
【0037】
第1誘導部51の下面51eは、筐体60の底面62bに固定される。一方で、第1誘導部51の上面51dは、筐体60の天面62aと隙間G3を空けて対向する。本実施形態において、天面62aと気流制限部50との間の隙間を第3の隙間G3とする。また、図示を省略するが、第2誘導部52についても、第1誘導部51と同様に下面52eにおいて底面62bに固定され、上面52dにおいて天面62aと第3の隙間G3を空けて対向する。第3の隙間G3の第3方向D3の寸法h1は、全体に亘って一様である。すなわち、本実施形態の気流制限部50と天円62aとの間には、一様な高さ寸法h1の第3の隙間G3が設けられる。
【0038】
図3に示すように、本実施形態の一対の誘導部51、52の気流誘導面51a、52aは、第2方向他方側(-D2側)を向き第1の隙間G1側に傾斜する。このため、複数のファン40によって筐体60内に生じる気流制限部50は、気流誘導面51a、52aに当たり第1の隙間G1側に誘導される。さらに、この気流は、第1の隙間G1を通過した後に第1方向D1に並ぶ複数のファン40に吸い込まれる。すなわち、本実施形態によれば、複数のファン40によって生じる気流が、気流制限部50によって集約される。このため、複数のファン40のうちの1つの送風量が極端に低下する場合であっても、当該ファン40に対向する領域で風量が局所的に低下することを抑制できる。これにより、これにより、特定の第1発熱部30において発熱体32の冷却が不十分になることを抑制することができる。
【0039】
本実施形態の気流誘導面51a、52aは、それぞれ平坦面である。しかしながら、気流誘導面51a、52aは、湾曲面であってもよい。この場合、気流誘導面51a、52aは、それぞれ第3方向に沿って一様な断面で形状であることが好ましい。また、気流誘導面51a、52aは、凸状の湾曲面であることが好ましい。
【0040】
上述したように、筐体60内の気流は、気流制限部50の一対の気流誘導面51a、52aによって、大部分が第1の隙間G1に集約される。しかしながら、この場合に気流は、第1の隙間G1から離れた領域で流れ難くなり、第1の隙間G1から離れた第1発熱部30の放熱量が低下する虞がある。本実施形態によれば、気流制限部50と筐体60の内側面との間には、隙間G2、G3が設けられる。このため、気流の一部が、隙間G2、G3を通り、気流制限部50から離れた領域に配置される第1発熱部30にも気流が流れ、第1の隙間G1から離れた第1発熱部30において発熱体32の冷却が不十分になることを抑制することができる。
【0041】
なお、本実施形態では、筐体60内には、第2の隙間G2と第3の隙間G3との両方が設けられるが、何れか一方であってもこの効果を得ることができる。すなわち、一対の第1内側面61、および一対の第2内側面62a、62bのうち何れか一つと気流制限部50との間に隙間が設けられていればよい。なお、本実施形態に示すように、第2の隙間G2、および第3の隙間G3の両方が設けられる場合には、これらの効果をより顕著に得ることができる。
【0042】
本実施形態によれば、誘導部51、52は、それぞれ第3方向に延びる三角形状である。本実施形態によれば、板状の誘導部などと比較して剛性を高めることができる。これにより、ファン40の出力を大きくして、筐体60内を流れる気流の風量を高める場合などにおいても、気流の影響で誘導部51、52が振動し騒音の原因となることを抑制できる。
【0043】
本実施形態において、誘導部51、52の背面51b、52bは、第2方向D2に対し直交する方向に延びる。すなわち、誘導部51、52の背面51b、52bは、ファン40側に向かって突出ることがない。このため、誘導部51、52とファン40との間には、十分に広い隙間が確保される。誘導部51、52とファン40との間に隙間を確保することで、複数のファン40の吸い込み量をそれぞれ安定させることができる。結果的に、筐体60内を流れる気流の風量を高め易くなり、複数の発熱部10、30を効率的に冷却できる。
【0044】
図3に示すように、第1誘導部51の第1方向D1の寸法e1、および第2誘導部52の第1方向D1の寸法e2を規定する。本実施形態において、これらの寸法e1、e2は、それぞれ誘導部51、52の背面51bの第1方向D1の長さである。当然の事ながら、第1方向D1における、一対の誘導部51、52の寸法e1、e2、第1の隙間G1の寸法d1、並びに一対の第2の隙間G2の寸法d2、d3の総和(e1+e2+d1+d2+d3)は、筐体60の一対の第1内側面61同士の距離d4と等しい。
【0045】
本実施形態において、一対の第1内側面61同士の距離d4に対する、一対の誘導部51、52の第1方向D1の寸法e1、e2の総和(e1+e2)の比率((e1+e2)/d4)が、50%以上、80%以下であることが好ましい。気流制限部50が、第1方向D1において筐体60内の幅寸法の半分以上(すなわち50%以上)を覆うことで隙間G1、G2に気流を集約し、一部のファン40の送風量の低下の影響を小さくできる。一方で、気流制限部50を第1方向D1に大きくし過ぎると、気流制限部50を通過する際の風路抵抗が極端に高まり、筐体60内に十分な風量の空気が流れ難くなる。そこで、上述の比率((e1+e2)/d4)を80%以下とすることが好ましい。
【0046】
本実施形態において、本実施形態において、ファン40と第1発熱部30との第2方向D2の距離k2に対する、誘導部51、52の第2方向D2の寸法k1の比率(k1/k2)が、10%以上、50%以下であることが好ましい。k1/k2の比率を10%以上とすることで、誘導部51、52の気流誘導面51a、52aを第2方向に沿って十分に長く配置することができ、気流を第1の隙間G1に誘導し易くなる。また、k1/k2の比率を50%以下とすることで、誘導部51、52がファン40の吸込を阻害することを抑制できる。
【0047】
本実施形態において、第1の隙間G1の第1方向D1の寸法d1は、第2の隙間G2の第1方向D1の寸法d2、d3より大きいことが好ましい(d1>d2、d1>d3)。第1の隙間G1と第2の隙間G2との寸法をこのような関係とすることで、第1の隙間G1による気流の集約化の効果を得つつ、第2の隙間G2に一部の気流を生じさせることができる。
【0048】
第1の隙間G1の第1方向D1の寸法d1は、
図3に示す第3の隙間G3の第3方向D3の寸法h1より大きいこと好ましい。第1の隙間G1と第3の隙間G3との寸法をこのような関係とすることで、第1の隙間G1による気流の集約化の効果を得つつ、第3の隙間G3に一部の気流を生じさせることができる。
【0049】
本実施形態において、一対の第2内側面62a、62b同士の距離h2に対する、誘導部51、52の第3方向D3の寸法h3の比率(h3/h2)が、50%以上、90%以下であることが好ましい。気流制限部50が、第3方向D3において筐体60内の幅寸法の半分以上(すなわち50%以上)を覆うことで隙間G3に気流を集約し、一部のファン40の送風量の低下の影響を小さくできる。一方で、気流制限部50を第3方向D3に大きくし過ぎると、気流制限部50を通過する際の風路抵抗が極端に高まり、筐体60内に十分な風量の空気が流れ難くなる。そこで、上述の比率(h3/h2)を90%以下とすることが好ましい。
【0050】
図3に示すように、本実施形態において、互いに隣り合う第1発熱部30同士の間には、シール部材39が配置される。本実施形態によれば、第1発熱部30同士の間の隙間がシール部材39によって塞がれる。これにより、筐体60を流れる風が、隙間を流れることなく第1発熱部30のフィン33f同士の間を流れ、第1発熱部30の冷却が促進される。
【0051】
シール部材39は、熱伝導シートであることが好ましい。シール部材39は、第1方向D1に並ぶ第1発熱部30同士の間に挟み込まれて、これらの第1発熱部30と接触する。シール部材39が熱伝導シートである場合に、互いに隣り合う第1発熱部30同士の間で、シール部材39を介して熱の移動をさせることができ、特定の第1発熱部30の温度が高まった場合に他の第1発熱部30に熱を移動させることができる。
【0052】
また、シール部材39は、吸音材であってもよい。この場合、シール部材39は、電子機器1の駆動に伴う騒音を低減することができる。吸音材としては、例えば、ポーラス構造を有する多孔質材料が例示される。
【0053】
<第2実施形態>
図5は、第2実施形態の電子機器101の第2方向一方側(+D2側)の一部を示す平面図である。お、以下の各実施形態の説明において、既に説明した実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0054】
本実施形態の電子機器101は、上述の実施形態と同様に、筐体60内で、複数の第1発熱部30と複数のファン40との間に位置する気流制限部150を有する。気流制限部150は、一対の誘導部151、152を有する。一対の誘導部151、152は、第3方向から見て、鏡対称に配置される。また、一対の誘導部151、152は、それぞれ気流誘導面151a、152aを有する。誘導部151と筐体60の内側面との間に設けられる隙間G1、G2、G3についても、上述の実施形態と同様である。
【0055】
本実施形態において、誘導部151、152は、気流誘導面151a、152aを板面方向とする板状である。誘導部151、152を板状とすることで、誘導部151、152の背面151b、152bが、隙間G1から第1方向に離れるに従いファン40から離間する。このため、誘導部151、152とファン40との間に十分に広い隙間を確保することができ、複数のファン40の吸い込み量をそれぞれ安定させることができる。結果的に、筐体60内を流れる気流の風量を高め易くなり、複数の発熱部10、30を効率的に冷却できる。
【0056】
以上に、本発明の様々な実施形態を説明したが、各実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
【0057】
なお、本技術は以下のような構成をとることが可能である。
(1) 互いに直交する第1方向、第2方向および第3方向をそれぞれの面方向とする箱状であり、前記第2方向一方側の端部に排気口が設けられ、前記第2方向他方側の端部に吸気口が設けられる筐体と、前記筐体内で前記第1方向に並ぶ複数の発熱部と、前記筐体内で前記第1方向に並び、前記複数の発熱部に対し前記第2方向一方側に配置され前記筐体内に前記第2方向一方側の気流を生じさせる複数のファンと、前記筐体内で前記複数の発熱部と前記複数のファンとの間に位置する気流制限部と、を備え、前記気流制限部は、前記第1方向において第1の隙間を介し並んで配置される一対の誘導部を有し、前記一対の誘導部は、前記第2方向他方側を向き前記第1の隙間側に傾斜する気流誘導面をそれぞれ有し、前記筐体の内側面は、前記第1方向において互いに対向する一対の第1内側面と、前記第3方向において互いに対向する一対の第2内側面と、を含み、前記一対の第1内側面、および前記一対の第2内側面のうち何れか一つと前記気流制限部との間には、隙間が設けられる、電子機器。
(2) 前記誘導部は、前記第3方向に延びる三角柱形状である、(1)に記載の電子機器。
(3) 前記誘導部は、前記気流誘導面を板面方向とする板状である、(1)に記載の電子機器。
(4) 前記一対の第1内側面同士の距離に対する、前記一対の誘導部の前記第1方向の寸法の総和の比率が、50%以上である、(1)~(3)の何れか一項に記載の電子機器。
(5) 前記ファンと前記発熱部との前記第2方向の距離に対する、前記誘導部の前記第2方向の寸法の比率が、50%以下である、(1)~(4)の何れか一項に記載の電子機器。
(6) 前記第1内側面と前記気流制限部との間の隙間を第2の隙間とし、前記第1の隙間の前記第1方向の寸法は、前記第2の隙間の前記第1方向の寸法より大きい、(1)~(5)の何れか一項に記載の電子機器。
(7) 前記第2内側面と前記気流制限部との間の隙間を第3の隙間とし、前記第1の隙間の前記第1方向の寸法は、前記第3の隙間の前記第3方向の寸法より大きい、(1)~(6)の何れか一項に記載の電子機器。
(8) 前記一対の第2内側面同士の距離に対する、前記誘導部の前記第3方向の寸法の比率が、50%以上である、(1)~(7)の何れか一項に記載の電子機器。
(9) 3個以上の前記ファンを備える、(1)~(8)の何れか一項に記載の電子機器。
(10) 互いに隣り合う前記発熱部同士の間には、シール部材が配置される、(1)~(9)の何れか一項に記載の電子機器。
(11) 前記シール部材は、熱伝導シートである、(10)に記載の電子機器。
(12) 前記シール部材は、吸音材である、(10)に記載の電子機器。
【符号の説明】
【0058】
1,101…電子機器、30…第1発熱部(発熱部)、39…シール部材、40…ファン、50,150…気流制限部、51,151…誘導部、51a,52a,151a,152a…気流誘導面、60…筐体、60a…排気口、60b…吸気口、61…第1内側面、62a、62b…第2内側面、d1,d2,e1,e2,h1,h3,k1…寸法、D1…第1方向、D2…第2方向、D3…第3方向、d4,h2,k2…距離、G1…第1の隙間、G2…第2の隙間、G3…第3の隙間