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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049555
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】排ガス処理装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/56 20060101AFI20240403BHJP
   B01D 53/82 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
B01D53/56 300
B01D53/82 ZAB
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155846
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100182936
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 直樹
(72)【発明者】
【氏名】村上 陽一郎
(72)【発明者】
【氏名】袋 昭太
(72)【発明者】
【氏名】久保田 洋
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼地 春菜
【テーマコード(参考)】
4D002
【Fターム(参考)】
4D002AA02
4D002AA03
4D002AA04
4D002AA09
4D002AA12
4D002AA19
4D002AA29
4D002AB02
4D002AC04
4D002BA06
4D002CA07
4D002DA22
4D002DA41
4D002GA01
4D002GA03
4D002GB02
4D002GB06
4D002GB20
(57)【要約】
【課題】効率的な排ガス処理を実現できる排ガス処理装置を提供する。
【解決手段】排ガスに含まれる被除去成分を浄化材(12)によって除去する排ガス処理装置(10)であって、浄化材を上方の浄化材供給部(23)から供給して下方の浄化材排出部(26)から排出する反応槽(11)と、反応槽内の下部に設けられ、上縁部から下縁部に向かって先細りし、下縁部が浄化材排出部に接続するテーパー部(30)と、テーパー部の上縁部より下方の反応槽側面に設けられ、反応槽に排ガスを吸入させる排ガス吸入口(40)と、を備え、テーパー部はメッシュ構造(31)を有する。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排ガスに含まれる被除去成分を浄化材によって除去する排ガス処理装置であって、
前記浄化材を上方の浄化材供給部から供給して下方の浄化材排出部から排出する反応槽と、
前記反応槽内の下部に設けられ、上縁部から下縁部に向かって先細りし、前記下縁部が前記浄化材排出部に接続するテーパー部と、
前記テーパー部の前記上縁部より下方の前記反応槽側面に設けられ、前記反応槽に前記排ガスを吸入させる排ガス吸入口と、
を備え、
前記テーパー部はメッシュ構造を有することを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項2】
前記排ガス吸入口は、前記テーパー部の高さの半分より上部側に設けられることを特徴とする請求項1に記載の排ガス処理装置。
【請求項3】
前記排ガス吸入口は、前記テーパー部の高さの半分より下部側に設けられることを特徴とする請求項1に記載の排ガス処理装置。
【請求項4】
前記排ガス吸入口は、前記反応槽を上面から見た際の側面に接する接線に対し、60°以下又は120°以上の接続角度となるように設けられることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の排ガス処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排ガス処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発電装置、廃棄物焼却炉、又は工場などのガス排出設備から排出される排ガスは、各種の有害成分を含んでいる。排ガスに含まれる有害成分の一例として、一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO)、若しくは一酸化二窒素(NO)などの窒素酸化物(NOx)又は、二硫化硫黄(SO)などの硫黄酸化物(SOx)が知られている。このような排ガス中の有害成分は、排ガス処理装置によって除去される。
【0003】
排ガス処理装置は、例えば、排ガスの流路を構成する処理槽の内部に、排ガス中に含まれる被除去成分を除去する性質を持つ浄化材を充填し、浄化材への排ガスの接触によって排ガスを浄化する。浄化材として活性炭などが知られている。
【0004】
また、被除去成分の除去能力が低下した状態の浄化材の排出と、被除去成分の除去能力が高い状態の浄化材の供給とを、装置の運転を停止せずに行うことが可能な連続運転方式の排ガス処理装置が知られている(例えば、特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-136640号公報
【特許文献2】特開2001-137646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
排ガス処理装置で効率的な排ガス処理を行うためには、処理槽内の浄化材に対して排ガスが満遍なく接触する必要がある。例えば、処理槽内に導かれた排ガスが、特定領域の浄化材にだけ集中して接触すると、浄化材と排ガスの反応面積が限られてしまい、被除去成分を効率的に除去できなくなる。
【0007】
また、排ガスが特定領域の浄化材に集中して接触すると、排ガスに含まれる水分が原因で浄化材が固化するおそれが高くなる。特に、連続運転方式の排ガス処理装置において浄化材が固化して装置内部で固着してしまうと、浄化材の流動又は排出が妨げられ、浄化材の供給と排出のサイクルが成立しなくなり、連続運転を継続できないという問題が生じる。
【0008】
特許文献1では、処理槽に対する排ガスの供給形態が具体的に示されておらず、排ガスと浄化材の接触効率や、浄化材の固化を考慮した構成になっていない。
【0009】
特許文献2では、処理槽内部において排ガスが2か所の分散部を通して集約されてから、多段流動床を構成する多段トレイを通るように構成されており、流路が狭くなっている分散部付近にて、排ガス中の水分を原因とする浄化材の固化が発生しやすい。また、分散部付近では、浄化材と排ガスの反応面積が狭くなり、排ガスの効率的な浄化を行いにくい。
【0010】
このように、従来の連続運転式の排ガス処理装置では、浄化材と排ガスの反応面積(接触面積)の制限、又は浄化材の固化によって、連続運転による効率的な排ガス処理が阻害されるおそれがあり、対策が求められていた。
【0011】
本発明は、以上の問題を解決するためになされたものであり、効率的な排ガス処理を実現できる排ガス処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様は、排ガスに含まれる被除去成分を浄化材によって除去する排ガス処理装置であって、前記浄化材を上方の浄化材供給部から供給して下方の浄化材排出部から排出する反応槽と、前記反応槽内の下部に設けられ、上縁部から下縁部に向かって先細りし、前記下縁部が前記浄化材排出部に接続するテーパー部と、前記テーパー部の前記上縁部より下方の前記反応槽側面に設けられ、前記反応槽に前記排ガスを吸入させる排ガス吸入口と、を備え、前記テーパー部はメッシュ構造を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、効率的な排ガス処理を実現できる排ガス処理装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】排ガス処理装置の全体構造を示す図である。
図2】排ガス処理装置の反応槽の内部構造を示す断面図である。
図3】排ガス処理装置の反応槽の内部構造を示す斜視図である。
図4】上方から見た反応槽と排ガス吸入口の位置関係を説明する図である。
図5】反応槽の縦断面図と排ガス吸入口の位置関係を示した図である。
図6】排ガス処理装置による処理の流れを示す図である。
図7】比較例の排ガス吸入口の配置を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
1.排ガス処理装置
以下、本実施形態に係る排ガス処理装置について、添付の図面を参照しながら説明する。図1は、排ガス処理装置の全体構造を示す図である。図1に示す排ガス処理装置10は、発電装置、廃棄物焼却炉、又は工場などのガス排出設備から排出された排ガスを反応槽11に流入させ、反応槽11の内部で排ガスと浄化材12を接触させて、排ガスに含まれる被除去成分を除去し、浄化後の排ガス(清浄ガス)を排出するものである。
【0016】
浄化材12は、被除去成分に対応する適切なものが選択される。一例として、本実施形態の排ガス処理装置10は、排ガスに含まれる窒素酸化物を除去対象としている。浄化材12は、多孔質炭化物を基本骨格とする粒状(ペレット状)であり、鉄(0価の鉄)及び/又は鉄化合物、並びにバインダを含んでいる。多孔質炭化物は多数の細孔を有し、大きな比表面積を有している。鉄は鉄粉として添加されて多孔質炭化物の細孔に担持される。バインダは、浄化材12の製造工程において、多孔質炭化物又は鉄粉を効率良く分散させ、鉄又は鉄化合物を多孔質炭化物と一体化させる目的で用いられる。なお、以下の説明における浄化材12は、個々の粒状を意味する場合と、多数の粒状の集合体を意味する場合とを包括した表現である。
【0017】
排ガス処理装置10の各部は、制御部13(図6)によって制御される。制御部13は、処理部(プロセッサ)と記憶部を有するコンピュータであり、記憶部に記憶されたプログラムを処理部が読み出して実行することによって、排ガス処理装置10の各部を制御する。図示を省略する操作盤から、排ガス処理装置10の運転及び運転停止などの操作指示を制御部13に入力することができる。
【0018】
排ガス処理装置10は、反応槽11まで浄化材12を運搬する手段として、投入ホッパー14とベルトコンベア15を備え、反応槽11から排出した浄化材12を回収する手段として、ベルトコンベア16と回収部17を備えている。
【0019】
反応槽11は、円筒形状の充填部20、上蓋部21、及び下蓋部22を有する。充填部20の上端は上蓋部21で塞がれ、充填部20の下端は下蓋部22で塞がれている。反応槽11は、充填部20と、充填部20の上下方向に連続する上側筒部20aと下側筒部20bを組み合わせて構成されている。
【0020】
図2は、排ガス処理装置10の反応槽11の内部構造を示す断面図である。図3は、排ガス処理装置10の反応槽11の内部構造の一部を示す斜視図である。
【0021】
図2において、反応槽11の上部に、充填部20内へ浄化材12を供給する浄化材供給部23を備える。浄化材供給部23は反応槽11の中心軸から偏心した位置に設けられている。浄化材供給部23は、上蓋部21を貫通する浄化材投入口21a(図2)に接続する管路を有しており、管路の上端に受領部23aを有する。浄化材供給部23の管路の途中には、第1バルブ24と第2バルブ25からなる二重バルブを備えている。
【0022】
反応槽11の下部に、充填部20から浄化材12を排出する浄化材排出部26を備える。浄化材排出部26は反応槽11の中心軸上に位置している。浄化材排出部26は、下蓋部22を貫通する浄化材排出口22a(図2)に接続する管路を有している。浄化材排出部26の管路の途中には、第1バルブ27と第2バルブ28からなる二重バルブを備えている。
【0023】
図1の投入ホッパー14内に貯留された浄化材12は、投入ホッパー14の下端に設けたロータリーバルブ18の動作によって、ベルトコンベア15の下端の入口部15aに送られる。ベルトコンベア15は、横桟付きのベルトを備えており、ベルトの動作によって浄化材12を上端の出口部15bまで搬送する。出口部15bは浄化材供給部23の受領部23aに接続しており、出口部15bに達した浄化材12は受領部23a内に入る。第1バルブ24と第2バルブ25とを同時ではなく別々に開くことによって、第1バルブ24と第2バルブ25との間の空間に充填された浄化材12が下方へ移動して反応槽11内に入る。第1バルブ24と第2バルブ25の開閉を複数回行うことで、一定量の浄化材12を反応槽11へ供給できる。
【0024】
図3に示すように、反応槽11の内部には粒状の浄化材12が高密度に充填され、浄化材12が上方から下方に送られながら排ガスと接触(向流接触)し、排ガスに含まれる被除去成分を浄化材12によって除去する。例えば、粒状の浄化材12の細孔内を排ガスが通り、浄化材12の細孔に担持された鉄と、排ガスに含まれる被除去成分である窒素酸化物とが反応して、窒素酸化物が窒素に還元される。反応槽11内における浄化材12の詳細な動きについては後述する。
【0025】
反応槽11内で排ガスの被除去成分と反応した後の浄化材12は、図1及び図2の下蓋部22の浄化材排出口22aに接続する浄化材排出部26に達する。第1バルブ27と第2バルブ28とを同時ではなく別々に開くことによって、第1バルブ27と第2バルブ28との間の空間に充填された浄化材12が、反応槽11からベルトコンベア16の下端の入口部16aに送られる。第1バルブ27と第2バルブ28の開閉を複数回行うことで、浄化材12を一定量排出できる。ベルトコンベア16は、横桟付きのベルトを備えており、ベルトの動作によって浄化材12を上端の出口部16bまで搬送する。出口部16bは回収部17の上方に接続しており、出口部16bに達した浄化材12は回収部17内に入って回収される。
【0026】
排ガス処理装置10は、反応槽11の浄化材投入口21a側と浄化材排出口22a側とのそれぞれに二重バルブを設けることで、反応槽11の排ガスが反応槽11の外へ漏出することを防ぎながら、浄化材12の連続的な供給及び排出ができる。
【0027】
回収部17に回収された浄化材12は、所定の処理を行った上で、排ガス処理装置10以外の用途に転用しても良い。例えば、後述するように、水処理又は水質改善で利用する吸着材としても転用できる。
【0028】
以上が、排ガス処理装置10における浄化材12の供給と排出の基本的な流れである。続いて、反応槽11の詳細な構造を説明する。
【0029】
図2及び図3に示すように、反応槽11の内部にはテーパー部30が設けられている。テーパー部30は、充填部20における下側筒部20bの内部(つまり、反応槽11内の下部)に位置しており、上縁部が充填部20の内壁(内周面)に接し、下縁部が下蓋部22の浄化材排出口22aを介して浄化材排出部26に接続している。テーパー部30における上縁部と下縁部の間は、浄化材12を通過させずに排ガスのみを通過させるメッシュ構造31として構成されている。
【0030】
テーパー部30は、充填部20の内壁に接する上縁部から浄化材排出部26に接続する下縁部に進むにつれて、内側空間を狭くする(内径を小さくする)テーパー形状である。より詳しくは、テーパー部30は円錐台形状であり、メッシュ構造31は円錐の側面に相当する形状を有している。下側筒部20bの側面とメッシュ構造31とがなす角度は、浄化材12が重力に応じて浄化材排出口22aに集まる角度であれば良い。下側筒部20bの側面とメッシュ構造31とがなす角度は、例えば45°以上60°以下とする。
【0031】
メッシュ構造31は、目の細かい内側メッシュ31aと、目の粗い外側メッシュ31bとからなる二重メッシュ構造である。内側メッシュ31aによって浄化材12の粒状の通過(落下)を防ぎ、外側メッシュ31bによって反応槽11内に充填された浄化材12の荷重を支える。図2ではメッシュ構造31を二重メッシュ構造としているが、浄化材12の通過を防ぎ荷重を支えられるのであれば、メッシュ構造31は一重構造でも良い。なお、図3では、テーパー部30に充填された浄化材12のみを示しているが、テーパー部30よりも上方の上側筒部20aの内部にも、所定の高さまで浄化材12が充填される。
【0032】
また、メッシュ構造31を内側メッシュ31aと外側メッシュ31bからなる二重のメッシュ構造にしたことにより、高密度に充填した浄化材12を確実に支持しながら、浄化材12と排ガスを良好に接触させることができる。この効果は、目が細かくて荷重耐性がある材料のメッシュを用いることができれば、一重構造のメッシュでも得られるものである。
【0033】
上側筒部20aでは、充填部20の内壁に接するように浄化材12を充填することができる。これに対し、下側筒部20bでは、テーパー部30のメッシュ構造31で仕切られた内側空間のみに浄化材12を充填することができ、メッシュ構造31の外側には浄化材12が充填されない(図3参照)。つまり、下側筒部20bの内壁とテーパー部30のメッシュ構造31との間には、浄化材12が充填されない排ガス導入空間20cが形成されている。排ガス導入空間20cは、反応槽11内でテーパー部30を囲む空間である。
【0034】
図2に示すように、テーパー部30の上方の上側筒部20aの内部には、撹拌手段である撹拌翼32が設けられている。撹拌翼32は、上下方向に延びる回転軸32aを中心として回転するリボンミキサーである。回転軸32aは、反応槽11の上部に設けた駆動ユニット33に接続しており、駆動ユニット33が備える動力源によって撹拌翼32が回転駆動される。
【0035】
図2に示すように、反応槽11は、充填部20内の浄化材12の充填高さを測定するレベルセンサ35を備える。レベルセンサ35の測定結果は図6の制御部13に送信される。
【0036】
反応槽11は、図1で示すように下側筒部20bの下部にドレンバルブ36を備えている。ドレンバルブ36は図1の除湿水槽41に接続しており、ドレンバルブ36を開いて、排ガス導入空間20c内に溜まった水分を除湿水槽41に排出することができる。
【0037】
上側筒部20aに設けた観察窓37(図1)と、下側筒部20bに設けた観察窓38(図1)とによって、反応槽11の内部の状態を外部から観察することができる。観察窓37と観察窓38は、透明なガラス又は樹脂などで形成されている。
【0038】
反応槽11の下側筒部20bの側面(円筒の周面)に、排ガス吸入口40が形成されている。排ガス吸入口40は、排ガス導入空間20cに連通している。排ガス吸入口40は、上下方向でテーパー部30の上部側(上側筒部20aと下側筒部20bの境界に近い位置)に配置されている。
【0039】
図4は、上方から見た反応槽11と排ガス吸入口40及び第2導入管45の位置関係を説明する図である。第2導入管45は、排ガス吸入口40に排ガスを導く管路であり、詳細は後述する。排ガス吸入口40は、反応槽11の側面に開口として設けられている。本発明の排ガス処理装置10は、図4(A)のような構成とはしない。つまり、反応槽11の側面に対する接線aに対し、排ガス吸入口40及び第2導入管45が90°をなすように、つまり接線aに対し垂直となる構成とはしない。図4(B)及び図4(C)のように、反応槽11の側面に対する接線aに対し鋭角で接続するとみなせば、排ガス吸入口40及び第2導入管45の接続角度が60°以下となるように設ける。一方で、反応槽11の側面に対する接線aに対し鈍角で接続するとみなせば、排ガス吸入口40及び第2導入管45の接続角度が120°以上となるように設ける。つまり、接線aに対し斜めになるように排ガス吸入口40及び第2導入管45を接続する。
【0040】
接線aは、上方から見た反応槽11の側面が描く円に対する接線であり、また、接線aは、排ガス吸入口40の略中心点を接点とする接線である。略中心点としたのは、排ガス吸入口40の開口が円でない場合もあるからである。
【0041】
この構成によれば、排ガス吸入口40の近傍だけではなく、円錐状のメッシュ構造31に沿う広い範囲で排ガスが浄化材12に接触し、浄化材12と排ガスの反応面積を拡大させることができる。反応面積の拡大によって、排ガス中の被除去成分を効率的に浄化材12と反応させることができる。
【0042】
また、排ガス吸入口40が接線aに対し垂直である図4(A)の構成よりも、接線aに対し接続角度が60°以下(又は120°以上)である図4(B)及び(C)の構成では、排ガスが浄化材12と接触する面積、及び排ガス導入空間20cに滞留する時間を長くすることができ、排ガス処理を効率的に行うことができる。
【0043】
次に、テーパー部30の高さに対する排ガス吸入口40の上下位置について説明する。図5は、反応槽11の縦断面図と排ガス吸入口40の位置関係を示した図である。テーパー部30の高さの半分の位置にb-b線を示す。図5(A)は、テーパー部30の下部側(b-b線より下)に排ガス吸入口40を設けた構成を示している。図5(B)は、テーパー部30の上部側(b-b線より上)に排ガス吸入口40を設けた構成を示している。図5(A)と図5(B)のいずれの構成でも、排ガス導入空間20c内に入った排ガスは、テーパー部30の周りを流れながらメッシュ構造31に達する。
【0044】
排ガス導入空間20cの排ガスの滞留時間を長くするには、図5(B)のようにテーパー部30の上部側に排ガス吸入口40を設けるよりも、図5(A)のようにテーパー部30の下部側に排ガス吸入口40を設けるのが良い。テーパー部30の下部側に排ガス吸入口40を設ける図5(A)の構成は、テーパー部30の上部側に設ける構成よりも、排ガス吸入口40と排ガス出口46との距離が長いため、その分、排ガスが排ガス導入空間20cに長く滞留することができる。
【0045】
排ガス吸入口40をテーパー部30の下部側に設ける図5(A)の構成は、排ガスに水分が含有されていない、又は、浄化材12が水分により固着しない場合においては好ましい。一方で、排ガスが水分を含有しており、その水分により浄化材12が固着するおそれがある場合は、図5(B)のようにテーパー部30の上部側に設けるのが好ましい。
【0046】
テーパー部30の下部側は、反応槽11内に充填された浄化材12の重みによって上から加わる荷重が集中しており、しかもテーパー部30の内径が小さい先細形状である。そのため、水分を含有する排ガスをテーパー部30の下部から流入させると、浄化材12に対して、上方からの荷重が大きく、且つ狭い領域で排ガスが接触し、排ガスの含有水分による浄化材12の固化が発生しやすい状態になる。
【0047】
従って、排ガスに含有される水分によって浄化材12が固着するおそれがある場合は、排ガス吸入口40を図5(B)のようにテーパー部30の上部側に設け、浄化材12の固着を防ぐ。
【0048】
テーパー部30の上部側は、メッシュ構造31が浄化材12を支持する面積が大きく、反応槽11内に充填された浄化材12によって上から加わる重さが分散される。また、テーパー部30の上部側は、浄化材12と排ガスの反応面積が広く、排ガスの含有水分が広い範囲に分散して浄化材12に接触する。従って、テーパー部30の上部側では、排ガスが浄化材12に接触した際に、排ガスの含有水分を原因とした浄化材12の固化が発生しにくいという効果が得られる。そして、テーパー部30の上部側で排ガスに接触及び反応して被除去成分を除去した浄化材12は、固化せずに自重でテーパー部30の下部側へ流動して、スムーズに浄化材排出部26から排出することができる。
【0049】
また、排ガスは、図4(B)及び図4(C)で説明したように排ガス吸入口40を設けることで、テーパー部30の周りを流れるようにして排ガス導入空間20c内での滞空時間を長く確保されてから浄化材12に接触するので、浄化材12への接触前の滞空時間中に排ガス中の残留水分を除去する効果が得られる。反応槽11への流入前に除湿水槽41によって排ガスの水分量を減少させ(詳細は後述する)、さらに反応槽11内で浄化材12に接触するまでの滞空時間を利用して排ガスの水分を除去するので、浄化材12に接触する時点での排ガスに含まれる水分を大幅に低減させて、浄化材12の固化を防ぐ効果を向上させることができる。
【0050】
排ガス導入空間20c内で排ガスから除去された水分は、テーパー部30内の浄化材12に接触せずに排ガス導入空間20cの底部に溜まる。ドレンバルブ36は除湿水槽41に接続しており、排ガス導入空間20c内に溜まった水分がドレンバルブ36を経由して除湿水槽41に排出される。
【0051】
以上より、反応槽11内にテーパー部30を設けるだけではなく、テーパー部30に到達するまでの排ガスの流れをコントロールする排ガス吸入口40の配置も、本実施形態の排ガス処理装置10における重要な要素である。
【0052】
図7は、本実施形態とは異なり、テーパー部30の下端に直接的に接続する位置に排ガス吸入口140を形成し、排ガス導入空間20cを介した排ガスの導入を行わない比較例を示している。テーパー部30の下部側は、反応槽11内に充填された浄化材12の重みによって上から加わる荷重が集中しており、しかもテーパー部30の内径が小さい先細形状である。そのため、排ガス導入空間20cを通さずにテーパー部30の下端から直接的に排ガスを吸入させると、浄化材12に対して、上方からの荷重が大きい領域で局所的に排ガスが接触し、排ガスの含有水分による浄化材12の固化が発生するリスクが高くなる。テーパー部30の下部側で浄化材12が固化すると、固着した浄化材12が浄化材排出部26に至る通路を閉塞して、スムーズな浄化材12の排出が妨げられるおそれがある。
【0053】
この比較例から分かる通り、反応槽11内に吸入した排ガスが、排ガス導入空間20cで広がってから浄化材12に接触する位置、すなわち反応槽11の側面に、排ガス吸入口40を配置することが望ましい。
【0054】
以上に説明したように、排ガス処理装置10では、反応槽11に対して上方から供給されて下方に進む浄化材12と、反応槽11に対して下方から入って上方から出る排ガスとが、向流接触する。そして、単純な向流接触ではなく、反応槽11内で浄化材12を支持するテーパー部30を設けると共に、反応槽11への排ガスの吸入箇所である排ガス吸入口40を、反応槽11の側面の接線に対し60°以下(又は120°以上)の角度で接続するように設定することによって、浄化材12と排ガスの接触効率の向上を図っている。さらには、排ガス吸入口40をテーパー部30の高さ方向に対して下部に位置させることで、排ガスの滞留時間を長くすることができ、浄化材12と排ガスの接触時間を長くすることができる。若しくは、排ガスに含有される水分によって浄化材12が固着するおそれがある場合は、排ガス吸入口40をテーパー部30の高さ方向に対して上部に位置させることで、浄化材12の固化を防止する効果を得ることができる。その結果、排ガス処理装置10は、浄化材12の固着解消などのメンテナンスを行う頻度を少なくして長時間の連続運転を実現でき、排ガス浄化効率を向上させることができる。
【0055】
また、テーパー部30の最下部には、浄化材12の固着により詰まることの予防策として、圧縮空気を間欠的に送り込む構成を設けてもよい。具体的には、図2及び図3に示すように、テーパー部30の最下部にエアーブロー34を接続する。制御部13の制御により、エアーブロー34から浄化材12に対して、間欠的に圧縮空気を送り込む。エアーブロー34は少なくとも1か所設ければ良い。好ましくは、テーパー部30の最下部に複数のエアーブロー34を設けても良い。若しくは、テーパー部30の下方に、固着した浄化材12を砕くハンマリング機構を設けても良い。また、詰まり易いテーパー部30の下部を点検し、時には浄化材12の詰まりを解消するために、下側筒部20bの側面に開閉可能な点検口を設けても良い。
【0056】
図1に示すように、反応槽11の外部には、除湿手段である除湿水槽41が設けられている。ガス排出設備から排出された処理前の排ガスが、押込みブロア42によって吐出されて、第1導入管43を経由して除湿水槽41に入る。除湿水槽41を通ることによって排ガスに含まれる水分量が減少する。除湿水槽41は、内部の液量が一定以上になった場合に外部へ排水するドレンバルブ44を備えている。
【0057】
除湿水槽41を通って水分量が減少した排ガスは、第2導入管45を通って反応槽11に進む。第2導入管45の下流端が排ガス吸入口40に接続しており、第2導入管45を通った排ガスは、排ガス吸入口40から反応槽11の内部に吸入される。
【0058】
反応槽11の上側筒部20aの上端に近い位置に排ガス出口46が形成されている。排ガス出口46は、上側筒部20aの側面(円筒の周面)に形成され、充填部20と連通している。排ガス出口46には、反応槽11の外部へ延びる排出管47が接続している。排出管47に備えた排出ファン48によって、反応槽11内の排ガスを排出管47側に吸引する流れが形成される。
【0059】
排ガス吸入口40の近傍には濃度測定器50が設けられており、排ガス出口46の近傍には濃度測定器51が設けられている。濃度測定器50と濃度測定器51はそれぞれ、排ガスに含まれる被除去成分の濃度を測定するセンサ(濃度計)である。濃度測定器50によって、第2導入管45を通る浄化処理前の排ガス中の被除去成分の濃度を測定する。濃度測定器51によって、排出管47を通る浄化済みの排ガス(清浄ガス)中の被除去成分の濃度を測定する。濃度測定器50と濃度測定器51の測定結果は制御部13に送信される。
【0060】
また、反応槽11を加温又は冷却する機構を設けてもよい。又は、反応槽11内を散水により加湿する機構、又は除湿する機構を設けてもよい。反応槽11内の温度又は湿度を管理することで、被除去成分の除去効率を向上させることができる。
【0061】
図1から図5の構成図に加えて図6のフロー図を参照しながら、排ガス処理装置10による排ガス処理の流れを説明する。以下の説明において、各部の動作を制御する主体について特に言及していない場合は、制御部13の制御に基づいて動作や処理が行われているものとする。
【0062】
制御部13に排ガス処理の実行信号が入力されると、レベルセンサ35によって反応槽11内における浄化材12の充填高さを測定する。所定の充填高さまで達していない場合は、ロータリーバルブ18及びベルトコンベア15を動作させて、投入ホッパー14に貯留した浄化材12を、ベルトコンベア15を経由して浄化材供給部23に送る。制御部13は、第1バルブ24を開かせて、受領部23aに入った浄化材12を下方に送り、続いて第2バルブ25を開かせて、浄化材12を反応槽11の内部へ送る。浄化材12が所定の充填高さまで達したことがレベルセンサ35によって検出されると、制御部13は浄化材12の供給動作を停止する。
【0063】
続いて、制御部13は、押込みブロア42を動作させて、ガス排出設備から排出された処理前の排ガスを、第1導入管43を経由して除湿水槽41に送る。除湿水槽41を通って含有水分量が減少した排ガスは、第2導入管45を通って排ガス吸入口40から反応槽11の内部に入る。除湿水槽41のドレンバルブ44から排出された水分は、回収されて有効活用される。
【0064】
制御部13は、押込みブロア42の動作と共に、排出ファン48を動作させる。排出ファン48の動作によって、反応槽11内の排ガスが排ガス出口46及び排出管47を経由して排出される。従って、反応槽11内では、排ガス吸入口40から吸引されて、排ガス出口46に向けて進む排ガスの流れが形成される。
【0065】
テーパー部30のメッシュ構造31に達した排ガスは、テーパー部30の内部及び上側筒部20aの内部に充填された浄化材12に接触して被除去成分を除去されながら反応槽11内を上昇し、排出ファン48の動作による吸引力によって排ガス出口46から排出管47へ排出される。
【0066】
制御部13は、排ガス処理装置10の運転中に、撹拌翼32を所定の時間間隔(一例として、10分間に1回程度)で間欠的に回転させ、反応槽11内の浄化材12を撹拌する。撹拌翼32による撹拌によって、排ガスに含まれる水分と浄化材12の自重が原因で浄化材12が固化することを防ぎ、浄化材12の粒子同士の空隙が狭くなりすぎないようにすることができる。そのため、浄化材12同士の空隙を、被除去成分を除去することに適した空隙を保つことができる。撹拌翼32を間欠的に低速度で回転させるので、浄化材12の粒状が破壊されることを防止しながら撹拌を行うことができる。撹拌翼32は、広い翼面積で浄化材12に接触し、翼面に接触した浄化材12を上方へせり上げるように撹拌する。浄化材12は自重によって反応槽11内で下方に流動しようとするので、撹拌翼32の広い翼面積で上方へせり上げることで効率的に撹拌することができる。
【0067】
制御部13は、排ガス処理装置10の運転中に、レベルセンサ35を介して浄化材12の充填高さを監視し、浄化材12の充填量を制御する。浄化材供給部23においては、第1バルブ24を開いて受領部23a内の浄化材12を取り込み、第1バルブ24を閉じてから第2バルブ25を開いて浄化材12を反応槽11内に投入する。浄化材排出部26においては、テーパー部30の下端及び浄化材排出口22aに達した浄化材12を第1バルブ27を開いて取り込み、第1バルブ27を閉じてから第2バルブ28を開いて浄化材12をベルトコンベア16に落とす。このように、浄化材供給部23と浄化材排出部26でそれぞれ二重バルブを時間差で作動させて浄化材12の供給と排出を行うことによって、浄化材供給部23及び浄化材排出部26での排ガスの漏出を防ぎ、反応槽11への排ガスの供給を停止させることなく、連続的に排ガス処理装置10を運転させることができる。
【0068】
制御部13は、浄化材供給部23における第1バルブ24と第2バルブ25の間の容積と、浄化材排出部26における第1バルブ27と第2バルブ28の間の容積に関するデータを記憶しており、各容積値と各バルブの動作内容とに基づいて、浄化材供給部23からの浄化材12の供給量と、浄化材排出部26からの浄化材12の排出量とを管理する。
【0069】
浄化材供給部23及び浄化材排出部26を介した浄化材12の供給と排出は、予め設定した所定の時間間隔で定期的に行わせることができる。
【0070】
浄化材12の供給と排出の異なる制御手法として、濃度測定器50や濃度測定器51の測定結果を制御部13が監視して、反応槽11内の浄化材12による浄化能力が低下したと判断される状態になったら、浄化材供給部23及び浄化材排出部26を介した浄化材12の供給と排出を実行しても良い。
【0071】
例えば、濃度測定器51の測定結果に基づき、浄化処理後の排ガス中に含まれる被除去成分の濃度が閾値を超えた場合に、制御部13は、浄化材12の浄化能力が低下したと判断する。
【0072】
あるいは、濃度測定器50が測定する浄化処理前の排ガス中に含まれる被除去成分の濃度と、濃度測定器51が測定する浄化処理後の排ガス中に含まれる被除去成分の濃度との差分が所定値以下になった場合に、制御部13は、浄化材12による浄化能力が低下したと判断する。
【0073】
このように、排ガス中に含まれる被除去成分の濃度の測定結果に基づいて、浄化材12の供給量と供給頻度の調整を行うことによって、最適化された浄化性能を常に維持することができる。
【0074】
また、濃度測定器50と濃度測定器51の測定結果は、反応槽11への排ガスの供給量の制御に用いても良い。制御部13は、浄化材12による浄化能力が低下したと判断される場合に、押込みブロア42と排出ファン48の動作速度を下げて、単位時間あたりの反応槽11への排ガスの供給量を低減させる。これにより、反応槽11内での排ガスと浄化材12の反応時間を長く確保して、排ガス浄化性能を維持することができる。
【0075】
以上に説明した通り、本実施形態の排ガス処理装置10は、反応槽11の内部で浄化材12を支持するテーパー部30の構造と、反応槽11に排ガスを吸入させる排ガス吸入口40の構造との工夫によって、反応槽11内に充填した浄化材12と排ガスの接触効率を向上させ、浄化材12の固化を防いで、排ガスの供給を停止しない長時間の連続運転を可能にしている。
【0076】
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施することができるものである。
【0077】
例えば、上記実施形態ではテーパー部30の形状が円錐台形状であるが、角錐形状(例えば、四角錐の側面)であるテーパー部を適用することも可能である。また、上記実施形態では充填部20が円筒形状であるが、反応槽の外形は角筒形状(例えば、四角筒形状)などであってもよい。反応槽が角筒形状であれば、排ガス吸入口40は、角筒形状の反応槽を上から見た際に、反応槽側面に対して60°以下又は120°以上をなす角度で接続すれば良い。
【0078】
上記実施形態では、被除去成分が窒素酸化物である場合を例示したが、被除去成分はこれに限定されない。例えば、揮発性有機化合物(VOC)、硫黄酸化物、二酸化炭素、塩化水素、水銀、又は臭気などが被除去成分であってもよい。臭気としては、有機臭、腐敗臭、硫化水素、アンモニア、又はメルカプタンがある。また、浄化材の組成は上記実施形態には限定されない。反応槽に充填する浄化材を被除去成分に応じて変更することによって、様々な被除去成分を含む排ガス浄化に対応することが可能である。
【0079】
上記実施形態では、排ガスに含まれる被除去成分の濃度を測定して浄化能力を判断しているが、被除去成分と浄化材が発熱反応する場合に、反応槽内や反応後の排ガスの温度を測定して、温度変化に基づいて、浄化材の供給量や供給タイミングを管理することもできる。
【0080】
本発明の排ガス処理装置を用いて被除去成分が除去された排ガス(清浄ガス)は、例えば、施設園芸又は微細藻類の培養などへ利用することができる。
【0081】
2.炭酸化処理装置としての利用
本実施形態では、排ガス処理装置10を排ガス処理装置に加えて、炭酸化処理装置としても用いる場合について説明する。
【0082】
浄化材12として、バイオ炭由来とする多孔質炭化物、バインダ、及び鉄粉の混合によって調整される混合物を粒状(ペレット状)に成型したものを用いる。排ガスの処理が終了し、回収部17に回収された浄化材12は、河川、湖沼、若しくは海などの水域又は下水における水質改善に、吸着材として再利用される場合がある。具体的には、浄化材12は水中の汚染物質、特にリン酸などのリン含有化合物を効果的に吸着する。
【0083】
しかしながら、バイオ炭由来とする多孔質炭化物は、pHが10~13とアルカリ性が高いため、リン吸着能が低い。従って、炭酸化処理をしてpHを中性側(pH7~9)にする必要がある。ここでの炭酸化処理とは、バイオ炭由来とする浄化材12を二酸化炭素ガスと接触させて反応させることを指す。
【0084】
一方で、排ガスには二酸化炭素を多く含むものもあるため、本排ガス処理装置10を用いて、排ガス処理と共に浄化材12の炭酸化処理をする場合の装置について説明する。
【0085】
バイオマス発電装置などから排出される排ガスは、例えば濃度が約20%程度の二酸化炭素と、濃度が200ppm程度の窒素酸化物と、を含む。このような排ガスを処理する場合は、窒素酸化物の除去と共に、浄化材12の炭酸化処理をすることができる。
【0086】
炭酸化処理の管理の方法として、充填部20内にpH測定器を設置する。浄化材12が炭酸化されると、pHが7~10側にシフトするため、pH測定器の値を制御部13が把握することで、炭酸化処理の管理を行う。
【0087】
炭酸化処理の管理の方法として、排ガス吸入口40と排ガス出口46のそれぞれに二酸化炭素濃度計を設置する。充填部20に充填されている浄化材12が炭酸化された場合の二酸化炭素の減少量を予め計算しておき、それに応じた二酸化炭素濃度の減少が、二酸化炭素濃度計で制御部13が確認することで、炭酸化処理の管理を行う。
【0088】
炭酸化処理の管理の方法として、充填部20又は反応槽11の温度を測る温度計を設置する。浄化材12と二酸化炭素が反応すると炭酸化発熱反応により槽内温度が上昇する。従って、制御部13が温度計を用いて温度を管理することで、炭酸化処理の管理を行う。
【0089】
以上述べた炭酸化処理の管理方法により、制御部13が炭酸化処理の完了を判断した場合であって、且つ、浄化材12の浄化能力が低下したと判断した場合は、反応槽11から浄化材12を排出する。以上の構成により、排ガス処理装置10を用いて排ガス処理と共に、炭酸化処理も行うことができる。
【0090】
また、本実施形態において、装置に充填する材料として、焼却灰、飛灰、又はバイオ炭などの燃焼残渣を用いることもできる。このような材料を粒状(ペレット状)として装置に充填し炭酸化処理することで、燃焼残渣に二酸化炭素を吸収させたものを炭酸固定資源として活用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、排ガスの供給を継続しながら反応槽への浄化材の入れ替えを行う連続運転方式の排ガス処理装置に有用である。
【符号の説明】
【0092】
10 :排ガス処理装置
11 :反応槽
12 :浄化材
13 :制御部
14 :投入ホッパー
15 :ベルトコンベア
16 :ベルトコンベア
17 :回収部
20 :充填部
20a :上側筒部
20b :下側筒部
20c :排ガス導入空間
21 :上蓋部
21a :浄化材投入口
22 :下蓋部
22a :浄化材排出口
23 :浄化材供給部
23a :受領部
24 :第1バルブ
25 :第2バルブ
26 :浄化材排出部
27 :第1バルブ
28 :第2バルブ
30 :テーパー部
31 :メッシュ構造
31a :内側メッシュ
31b :外側メッシュ
32 :撹拌翼(撹拌手段)
33 :駆動ユニット
34 :エアーブロー
35 :レベルセンサ
36 :ドレンバルブ
40 :排ガス吸入口
41 :除湿水槽(除湿手段)
42 :押込みブロア
43 :第1導入管
44 :ドレンバルブ
45 :第2導入管
46 :排ガス出口
47 :排出管
48 :排出ファン
50 :濃度測定器
51 :濃度測定器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7