(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049572
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】インバータ
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20240403BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155866
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】300052246
【氏名又は名称】ニデックエレシス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】長内 俊二郎
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770AA04
5H770AA21
5H770BA02
5H770DA03
5H770PA12
5H770PA22
5H770PA41
5H770PA42
5H770QA01
5H770QA02
5H770QA08
5H770QA22
5H770QA28
(57)【要約】 (修正有)
【課題】配線パターンを通過する信号等に電気ノイズが重畳することを抑制することで動作の安定化を図るインバータを提供する。
【解決手段】インバータは、演算装置を有する制御基板と、複数の電子素子60b及びコネクタ端子60cを有する駆動基板60と、制御基板と駆動基板との間に配置されるヒートシンクと、制御基板と駆動基板のとを接続するコネクタと、を備える。ヒートシンクは、貫通孔を有する。コネクタは、貫通孔を通され、かつ、コネクタ端子と接続する。複数の電子素子は、複数の駆動素子70eと複数のコンデンサ80eと、を含む。駆動基板は、複数の駆動素子を有する駆動素子部70と、複数のコンデンサを有するコンデンサ部80と、を有する。コネクタ端子は、駆動素子部及びコンデンサ部の少なくともいずれか一方に配置される。駆動基板の板厚方向Zと直交する第1方向D1において、コネクタ端子の両側に電子素子が配置される。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
演算装置を有する制御基板と、
複数の電子素子およびコネクタ端子を有する駆動基板と、
前記制御基板と前記駆動基板との間に配置されるヒートシンクと、
前記制御基板と前記駆動基板とを接続するコネクタと、
を備え、
前記ヒートシンクは、前記ヒートシンクを貫通する貫通孔を有し、
前記コネクタは、前記コネクタ端子と接続され、
前記コネクタまたは前記コネクタ端子の少なくとも一方は、前記貫通孔を通され、
複数の前記電子素子は、複数の駆動素子と複数のコンデンサとを含み、
前記駆動基板は、複数の前記駆動素子を有する駆動素子部と、複数の前記コンデンサを有するコンデンサ部と、を有し、
前記コネクタ端子は、前記駆動素子部および前記コンデンサ部の少なくともいずれか一方に配置され、
前記駆動基板の板厚方向と直交する第1方向において、前記コネクタ端子の両側に前記電子素子が配置されるインバータ。
【請求項2】
前記駆動基板は、被駆動体と電気的に接続される出力端子を有し、
前記板厚方向および前記第1方向の直交する第2方向において、前記コンデンサ部、前記駆動素子部、および前記出力端子は、前記第2方向の一方側から、前記コンデンサ部、前記駆動素子部、前記出力端子の順に配置される、請求項1に記載のインバータ。
【請求項3】
前記駆動素子部には、前記駆動素子部および前記コンデンサ部それぞれの動作を制御する駆動制御部が配置され、
前記駆動制御部は、前記コネクタ端子と前記第2方向に並んで配置される、請求項2に記載のインバータ。
【請求項4】
前記駆動素子部は、第1駆動素子部と、第2駆動素子部と、を有し、
前記第1駆動素子部および前記第2駆動素子部の一方は、前記駆動制御部の前記第1方向の一方側に配置され、前記第1駆動素子部および前記第2駆動素子部の他方は、前記駆動制御部の前記第1方向の他方側に配置される、請求項3に記載のインバータ。
【請求項5】
前記コネクタ端子は、前記コンデンサ部に配置され、
前記コンデンサ部は、第1コンデンサ部と、第2コンデンサ部と、を有し、
前記第1コンデンサ部および前記第2コンデンサ部の一方は、前記コネクタ端子の前記第1方向の一方側に配置され、前記第1コンデンサ部および前記第2コンデンサ部の他方は、前記コネクタ端子の前記第1方向の他方側に配置される、請求項4に記載のインバータ。
【請求項6】
前記駆動素子部は、3相の交流電流を生成し、
前記第1駆動素子部は、前記3相の交流電流うち2相の交流電流を生成し、前記第2駆動素子部は、前記3相の交流電流のうち1相の交流電流を生成する、請求項4または5に記載のインバータ。
【請求項7】
前記駆動基板の面積は、前記制御基板の面積よりも大きい、請求項1に記載のインバータ。
【請求項8】
前記制御基板、前記駆動基板、前記ヒートシンク、および前記コネクタを内部に収容するケースを備え、
前記ケースには、前記駆動基板および前記ヒートシンクが固定され、
前記ケースは、冷却媒体が流れる冷媒流路を有する、請求項1に記載のインバータ。
【請求項9】
前記駆動基板と前記ヒートシンクとの間には、複数の前記電子素子および前記ヒートシンクの両方と接触する伝熱媒体が配置される、請求項1に記載のインバータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インバータに関する。
【背景技術】
【0002】
モータに電流を供給するインバータとして、例えば、特許文献1に記載のように、ヒートシンクに貫通孔を設け、貫通孔を通されるコネクタによって、制御基板と駆動基板とを接続するインバータが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、電気自動車等車両を駆動するモータに電流を供給するインバータでは、モータに供給する電流が大きくなるため、該電流を生成する駆動基板が大型化し易い。そのため、駆動基板が有するコネクタ端子と複数の電子素子とを接続する配線パターンが長くなり易い。これにより、配線パターンを通過する信号等に電気ノイズが重畳し易くなるため、インバータの動作が不安定になる虞があった。
【0005】
本発明の一つの態様は、配線パターンを通過する信号等に電気ノイズが重畳することを抑制することによって、動作の安定化を図ることができるインバータを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のインバータの一つの態様は、演算装置を有する制御基板と、複数の電子素子およびコネクタ端子を有する駆動基板と、前記制御基板と前記駆動基板との間に配置されるヒートシンクと、前記制御基板と前記駆動基板とを接続するコネクタと、を備える。前記ヒートシンクは、前記ヒートシンクを貫通する貫通孔を有する。前記コネクタは、前記貫通孔を通され、かつ、前記コネクタ端子と接続される。複数の前記電子素子は、複数の駆動素子と複数のコンデンサとを含む。前記駆動基板は、複数の前記駆動素子を有する駆動素子部と、複数の前記コンデンサを有するコンデンサ部と、を有する。前記コネクタ端子は、前記駆動素子部および前記コンデンサ部の少なくともいずれか一方に配置される。前記駆動基板の板厚方向と直交する第1方向において、前記コネクタ端子の両側に前記電子素子が配置される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、配線パターンを通過する信号等に電気ノイズが重畳することを抑制することによって、動作の安定化を図ることができるインバータを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態のインバータを示す斜視図である。
【
図2】
図2は、一実施形態のインバータを示す分解斜視図である。
【
図3】
図3は、一実施形態のケース本体を示す上面図である。
【
図4】
図4は、一実施形態のヒートシンクを示す斜視図である。
【
図5】
図5は、一実施形態のインバータの一部を示す断面図である。
【
図6】
図6は、一実施形態の駆動基板を示す上面図である。
【
図7】
図7は、一実施形態のインバータの他の一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るインバータについて説明する。なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面では、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と縮尺や数等を異ならせる場合がある。
【0010】
以下の説明において、各図には適宜、Z軸を示す。Z軸は、以下に説明する実施形態の駆動基板および制御基板の板厚方向である。以下の説明では、板厚方向のうちZ軸の矢印が向く側(+Z側)を「上側」と呼ぶ。板厚方向のうちZ軸の矢印が向く側と逆側(-Z側)を「下側」と呼ぶ。
以下の説明において、各図には適宜、第1方向D1を示す。本実施形態において、第1方向D1は、板厚方向(Z軸方向)と直交する方向のうち、駆動基板の長手方向と平行な方向である。以下の説明では、第1方向D1の矢印が向く側(+D1側)を「第1方向D1の一方側」と呼ぶ。第1方向D1の矢印が向く側と反対側(-D1側)を「第1方向D1の他方側」と呼ぶ。
以下の説明において、各図には適宜、第2方向D2を示す。本実施形態において、第2方向D2は、板厚方向(Z軸方向)および第1方向D1の両方と直交する方向であり、駆動基板の短手方向と平行な方向である。以下の説明では、第2方向D2の矢印が向く側(+D2側)を「第2方向D2の一方側」と呼ぶ。第2方向D2の矢印が向く側と反対側(-D2側)を「第2方向D2の他方側」と呼ぶ。
【0011】
図1は、本実施形態のインバータ10を示す斜視図である。インバータ10は、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、電気自動車(EV)などの車両に搭載され、被駆動体D(
図6参照)を駆動する交流電流を生成するとともに、被駆動体Dに交流電流を供給する。インバータ10は、車両の制御を行う図示しない車体制御ユニット、および図示しない外部電源のそれぞれと接続される。インバータ10は、車体制御ユニットから被駆動体Dの動作に関する指令内容を含む制御信号を受信し、制御信号に基づいて外部電源から供給される直流電流を利用して交流電流を生成するとともに、被駆動体Dに交流電流を供給する。本実施形態において、被駆動体Dは、車両を駆動する三相同期ブラシレスモータである。図示は省略するが、被駆動体Dは、U相、V相、およびW相のコイルで構成されるコイル群を有する。インバータ10は、被駆動体DのU相、V相、およびW相のコイルそれぞれに供給する交流電流を個別に生成する。
【0012】
インバータ10は、略直方体状である。
図2に示すように、インバータ10は、ケース20と、ヒートシンク40と、制御基板50と、駆動基板60と、コネクタ90と、を備える。
【0013】
ケース20は、ヒートシンク40、制御基板50、駆動基板60、およびコネクタ90を内部に収容する。
図1に示すように、ケース20は、略直方体の箱状である。本実施形態において、ケース20は金属製である。ケース20は、ケース本体21と、カバー30と、を有する。
【0014】
図2に示すように、ケース本体21は、収容部21aと、出力端子収容部25と、を有する。収容部21aは、上側に開口する略直方体状の箱状である。収容部21aの内部には、ヒートシンク40、制御基板50、駆動基板60、およびコネクタ90が収容される。収容部21aは、側壁部22と、底壁部23と、を有する。
【0015】
側壁部22は、板厚方向(Z軸方向)に延びる略四角筒状である。側壁部22は、上側に開口する開口部22aを有する。
図3に示すように、板厚方向に見て、側壁部22は、略長方形状である。側壁部22の2つの長辺は、第1方向D1に延びる。側壁部22の2つの短辺は、第2方向D2に延びる。側壁部22は、第1壁部22cを有する。
【0016】
第1壁部22cは、第1方向D1に延びる板状である。第1壁部22cの板面は、第2方向D2を向く。第1壁部22cは、側壁部22のうち第2方向D2の他方側(-D2側)に配置される部分である。第1壁部22cには、側壁孔部22iが設けられる。側壁孔部22iは、第1壁部22cを第2方向D2に貫通する孔である。
【0017】
底壁部23は、板厚方向(Z軸方向)と直交する方向に広がる板状である。板厚方向に見て、底壁部23は略長方形状である。底壁部23の外縁は、側壁部22の下端と繋がる。底壁部23には、第1接続部23mと、第2接続部23nと、冷媒流路23aと、駆動基板固定部23fと、ヒートシンク固定部23hが設けられる。
【0018】
第1接続部23mおよび第2接続部23nのそれぞれは、底壁部23の外側面のうち第1方向D1の他方側(-D1側)を向く面から第1方向D1の他方側に突出する略円筒状である。第1接続部23mおよび第2接続部23nのそれぞれは、第1方向D1の両側に開口する。
図1に示すように、第1接続部23mには、流入パイプ92aが接続され、第2接続部23nには、流出パイプ92bが接続される。
【0019】
図3に示すように、冷媒流路23aは、底壁部23の内部に設けられる。冷媒流路23aは、インバータ10を冷却する冷却媒体Rが流れる流路である。すなわち、ケース20は、冷却媒体Rが流れる冷媒流路23aを有する。冷却媒体Rは、例えば、水である。冷媒流路23aは、第1流路23bと、第2流路23cと、第3流路23dと、を有する。第1流路23bは、第1方向D1に延びる。第1流路23bの一端は、第1接続部23mの内部と繋がり、第1流路23bの他端は、第2流路23cの一端と繋がる。第2流路23cは、第2方向D2に延びる。第2流路23cの他端は、第3流路23dの一端と繋がる。第2流路23cは、底壁部23の第1方向D1の一方側(+D1側)の部分に設けられる。第3流路23dは、第1方向D1に延びる。第3流路23dの他端は、第2接続部23nの内部と繋がる。
図2に示すように、車両から供給される冷却媒体Rは、流入パイプ92a、第1接続部23m、冷媒流路23a、第2接続部23n、および流出パイプ92bの順に流れ、ケース20の熱を吸熱することによって、インバータ10を冷却する。
【0020】
駆動基板固定部23fは、底壁部23から上側に突出する円柱状である。
図3に示すように、本実施形態において、駆動基板固定部23fは7個設けられる。各駆動基板固定部23fの上側を向く面には、下側に窪む雌ねじ穴が設けられる。
図2に示すように、ヒートシンク固定部23hは、底壁部23から上側に突出する円柱状である。ヒートシンク固定部23hの上端は、駆動基板固定部23fの上端よりも上側に位置する。
図3に示すように、本実施形態において、ヒートシンク固定部23hは7個設けられる。各ヒートシンク固定部23hの上側を向く面には、下側に窪む雌ねじ穴が設けられる。
【0021】
図1に示すように、出力端子収容部25は、側壁部22の第1壁部22cから第2方向D2の他方側(-D2側)に突出する箱状である。
図3に示すように、出力端子収容部25は、第1開口25aと、第2開口25bと、を有する。第1開口25aは、上側に開口する。第2開口25bは、第2方向D2の一方側(+D2側)に開口する。第2開口25bは、側壁孔部22iと第2方向D2に繋がる。第2開口25bおよび側壁孔部22iを介して、出力端子収容部25の内部と収容部21aの内部とが繋がる。
【0022】
図1に示すように、カバー30は、板厚方向(Z軸方向)と直交する方向に広がる板状である。カバー30は、ケース本体21の上端に固定される。カバー30は、開口部22a(
図3参照)を上側から塞ぐ。カバー30には、カバー30を板厚方向に貫通するカバー孔部30aが設けられる。
【0023】
カバー30には、バスバーホルダ31が固定される。バスバーホルダ31は、カバー孔部30aを上側から塞ぐ。バスバーホルダ31は、バスバー32を保持する。バスバー32は、板厚方向(Z軸方向)に延びる略円柱状である。バスバー32は、カバー孔部30aを板厚方向に通される。バスバー32は、図示しない外部電源および駆動基板60と電気的に接続される。これにより、バスバー32を介して、外部電源から駆動基板60に直流電流が供給される。
【0024】
ヒートシンク40は、制御基板50および駆動基板60のそれぞれにおいて発生する熱を吸熱するとともに、ケース20に伝熱する。
図2に示すように、ヒートシンク40は、板厚方向(Z軸方向)と直交する方向に広がる板状である。板厚方向に見て、ヒートシンク40は、略長方形状である。ヒートシンク40の長辺は、第1方向D1に延びる。ヒートシンク40の短辺は、第2方向D2に延びる。板厚方向において、ヒートシンク40は、制御基板50と駆動基板60との間に配置される。ヒートシンク40は、貫通孔40aと、挿通孔40bと、第2取付孔部40dと、を有する。ヒートシンク40には、制御基板固定部40eが設けられる。
図4に示すように、ヒートシンク40は、凹部41を有する。
【0025】
貫通孔40aは、ヒートシンク40を板厚方向(Z軸方向)に貫通する孔である。貫通孔40aは、ヒートシンク40の第1方向D1の略中央、且つ、第2方向D2の一方側(+D2)の部分に設けられる。
【0026】
挿通孔40bは、ヒートシンク40を板厚方向に貫通する孔である。挿通孔40bは、ヒートシンク40の第1方向D1の他方側(-D1側)、且つ、第2方向D2の他方側(-D2側)の部分に設けられる。図示は省略するが、挿通孔40bには、バスバー32が板厚方向に通される。
【0027】
第2取付孔部40dは、ヒートシンク40を板厚方向に貫通する孔である。本実施形態において、第2取付孔部40dは7個設けられる。
図2に示すように、板厚方向に見て、各第2取付孔部40dは、ケース20のヒートシンク固定部23hと重なる。図示しないねじが、各第2取付孔部40dを板厚方向に通され各ヒートシンク固定部23hの雌ねじ穴に締め込まれると、ヒートシンク40は、ケース20に固定される。また、ヒートシンク40の下側を向く面のうち各第2取付孔部40dの周縁の部分は、ヒートシンク固定部23hと接触する。これにより、制御基板50および駆動基板60からヒートシンク40に伝わった熱は、ケース20に伝熱する。
【0028】
制御基板固定部40eは、上側に突出する略円柱状である。本実施形態において、制御基板固定部40eは8個設けられる。各制御基板固定部40eの上側を向く面には、下側に窪む雌ねじ穴が設けられる。
【0029】
図4に示すように、凹部41は、ヒートシンク40の下側を向く面から上側に窪む。凹部41は、第1凹部41aと、第2凹部41bと、第3凹部41cと、第4凹部41dと、第5凹部41eと、を含む。
【0030】
第1凹部41aは、貫通孔40aの第1方向D1の一方側(+D1側)に設けられる。第1凹部41aは、第1方向D1に延びる穴である。第2凹部41bは、貫通孔40aの第1方向D1の他方側(-D1側)に設けられる。
【0031】
第3凹部41cは、貫通孔40aの第1方向D1の一方側(+D1側)、且つ、第1凹部41aの第2方向D2の他方側(-D2側)に設けられる。第3凹部41cは、第1方向D1に延びる穴である。第3凹部41cは、ヒートシンク40の第2方向D2の中心よりも、第2方向D2の一方側(+D2側)に設けられる。
【0032】
第4凹部41dは、貫通孔40aの第1方向D1の他方側(-D1側)、且つ、第2凹部41bの第2方向D2の他方側(-D2側)に設けられる。第4凹部41dは、ヒートシンク40の第2方向D2の中心よりも、第2方向D2の一方側(+D2側)に設けられる。
【0033】
第5凹部41eは、挿通孔40bの第1方向D1の一方側(+D1側)に設けられる。第5凹部41eは、第1方向D1に延びる穴である。第5凹部41eは、ヒートシンク40の第2方向D2の中心よりも、第2方向D2の他方側(-D2側)に設けられる。
【0034】
図2に示すように、板厚方向(Z軸方向)において、制御基板50は、カバー30とヒートシンク40との間に配置される。制御基板50は、制御基板本体部50aと、演算装置50eと、を有する。
図5に示すように、制御基板50は、第2コネクタ端子50fを有する。
【0035】
図2に示すように、制御基板本体部50aは、略四角形状のプリント実装基板である。制御基板本体部50aの板面は、板厚方向(Z軸方向)を向く。制御基板50には、第3取付孔部50bが設けられる。第3取付孔部50bは、制御基板50を板厚方向に貫通する孔である。本実施形態において、第3取付孔部50bは8個設けられる。板厚方向に見て、各第3取付孔部50bは、ヒートシンク40の制御基板固定部40eと重なる。図示しないねじが、各第3取付孔部50bを板厚方向に通され、各制御基板固定部40eの雌ねじ穴に締め込まれると、制御基板50は、ヒートシンク40に固定される。また、制御基板50の下側を向く面のうち各第3取付孔部50bの周縁の部分は、各制御基板固定部40eと接触する。これにより、制御基板50の演算装置50e等において発生した熱は、ヒートシンク40に伝熱される。
【0036】
演算装置50eは、例えばMCU(Micro Control Unit)等の1チップのコンピュータである。演算装置50eは、図示しない車体制御ユニットと電気的に接続され、車体制御ユニットから被駆動体Dの動作に関する指令内容を含む制御信号を受信し、被駆動体Dに供給する交流電流に関する指令信号を駆動基板60の後述する駆動制御部70fに送信する。
【0037】
図5に示すように、第2コネクタ端子50fは、制御基板本体部50aの下側を向く面に実装される。板厚方向(Z軸方向)に見て、第2コネクタ端子50fは、ヒートシンク40の貫通孔40aと重なる。
【0038】
コネクタ90は、板厚方向(Z軸方向)に延びる複数の導体ピン(図示略)と、複数の導体ピンを保持する絶縁性の保持部と、を有するソリッドのコネクタである。コネクタ90は、各導体ピンが第1コネクタ端子60cの導体部および第2コネクタ端子50fの導体部と接続されることで信号の伝送が可能となる。板厚方向において、コネクタ90は、制御基板50と駆動基板60との間に配置される。コネクタ90は、ヒートシンク40の貫通孔40aを板厚方向に通される。コネクタ90の一端は制御基板50が有する第2コネクタ端子50fと接続され、コネクタ90の他端は駆動基板60が有する後述する第1コネクタ端子(コネクタ端子)60cと接続される。コネクタ90は、制御基板50と駆動基板60とを接続する。なお、本実施形態では、コネクタ90と第2コネクタ端子50fとが別体であるが、これらは単一の部材であってもよい。すなわち、コネクタ90は制御基板本体部50aの下側を向く面に直接的に実装されていてもよい。
【0039】
駆動基板60は、外部電源から供給される直流電流を利用して、被駆動体Dを動作させるための3相交流電流を生成するとともに、被駆動体Dのコイルに交流電流を供給する。
図2に示すように、板厚方向(Z軸方向)において、駆動基板60は、ケース本体21の底壁部23とヒートシンク40との間に配置される。駆動基板60の面積は、制御基板50の面積よりも大きい。図示は省略するが、駆動基板60は、バスバー32(
図1参照)と接続される。これにより、バスバー32を介して、外部電源から駆動基板60に直流電流が供給される。駆動基板60は、駆動基板本体部60aと、交流電流を生成する複数の電子素子60bと、第1コネクタ端子(コネクタ端子)60cと、駆動制御部70fと、出力端子60eと、を有する。
【0040】
駆動基板本体部60aは、略四角形状のプリント実装基板である。駆動基板本体部60aの板面は、板厚方向(Z軸方向)を向く。板厚方向に見て、駆動基板本体部60aは、略長方形状である。駆動基板本体部60aの長手方向は、第1方向D1と平行な方向である。駆動基板本体部60aの短手方向は、第2方向D2と平行な方向である。駆動基板本体部60aの面積は、制御基板本体部50aの面積よりも大きい。
図6に示すように、駆動基板本体部60aには、第1取付孔部60hおよび図示しない配線パターンが設けられる。駆動基板本体部60aには、複数の電子素子60b、第1コネクタ端子60c、および駆動制御部70fが実装される。駆動基板本体部60aには、出力端子60eが取り付けられる。
【0041】
第1取付孔部60hは、駆動基板本体部60aを板厚方向(Z軸方向)に貫通する孔である。本実施形態において、第1取付孔部60hは7個設けられる。
図2に示すように、板厚方向に見て、各第1取付孔部60hは、ケース20の駆動基板固定部23fと重なる。図示しないねじが、各第1取付孔部60hを板厚方向に通され、各駆動基板固定部23fの雌ねじ穴に締め込まれると、駆動基板本体部60aは、ケース20に固定される。これにより、駆動基板60は、ケース20に固定される。駆動基板本体部60aの下側を向く面のうち各第1取付孔部60hの周縁の部分は、各駆動基板固定部23fと接触する。これにより、駆動基板60の複数の電子素子60bおよび駆動制御部70f等において発生した熱の一部は、直接的にケース20に伝熱する。
【0042】
図6に示すように、第1コネクタ端子(コネクタ端子)60cは、駆動基板本体部60aの上側を向く面に実装される。コネクタ90は、駆動基板本体部60aの第1方向D1の中央寄り、且つ、第2方向D2の一方側(+D2側)の部分に実装される。
図5に示すように、第1コネクタ端子60cは、コネクタ90と接続される。これにより、駆動基板60は、制御基板50と電気的に接続される。
【0043】
図6示す駆動制御部70fは、制御基板50から送信される被駆動体Dに供給する電流に関する指令信号に基づいて、複数の電子素子60bの動作を制御する。駆動制御部70fは、後述する駆動素子部70および後述するコンデンサ部80それぞれの動作を制御する。本実施形態において、駆動制御部70fは、集積回路(IC:Integrated circuit)である。駆動制御部70fは、駆動基板60の図示しない複数の配線パターンによって第1コネクタ端子60cと接続される。また、駆動制御部70fは、駆動基板60の図示しない複数の配線パターンによって複数の電子素子60bのそれぞれと接続され、駆動制御部70fは、複数の配線パターンを介して、各電子素子60bに制御信号を伝送する。駆動制御部70fは、駆動基板本体部60aの第1方向D1の中央寄り、かつ、第2方向D2の中央寄りの部分に実装される。駆動制御部70fは、第1コネクタ端子60cの第2方向D2の他方側(-D2側)に配置される。駆動制御部70fは、コネクタ端子60cと第2方向D2に並んで配置される。
【0044】
本実施形態において、複数の電子素子60bは、複数の駆動素子70eと複数のコンデンサ80eとを含む。駆動基板60は、複数のコンデンサ80eと、これら複数のコンデンサ80eが実装される駆動基板本体部60aの実装領域と、を有するコンデンサ部80を有する。駆動基板60は、複数の駆動素子70eと、これら複数の駆動素子70eが実装される駆動基板本体部60aの実装領域と、を有する駆動素子部70を有する。本実施形態では、駆動基板60を板厚方向(Z軸方向)に見て、全てのコンデンサ80eを囲む領域内をコンデンサ部80と呼ぶ。同様に、駆動基板60を板厚方向に見て、全ての駆動素子70eを囲む領域内を駆動素子部70と呼ぶ。
【0045】
コンデンサ部80は、駆動素子部70に供給される直流電流を平滑化する。コンデンサ部80は、駆動基板60のうち、第2方向D2の一方側(+D2側)部分である。コンデンサ部80の第2方向D2の他方側(-D2側)の端部は、駆動基板60の第2方向D2の中央よりも、第2方向D2の一方側に位置する。本実施形態において、第1コネクタ端子(コネクタ端子)60cは、コンデンサ部80に配置される。
【0046】
本実施形態において、複数のコンデンサ80eは、駆動基板本体部60aの上側を向く面に実装される。複数のコンデンサ80eは、駆動基板本体部60aの下側を向く面に実装されてもよいし、複数のコンデンサ80eのうち一部のコンデンサ80eが駆動基板本体部60aの上側を向く面に実装され、他のコンデンサ80eが駆動基板本体部60aの下側を向く面に実装されてもよい。本実施形態において、複数のコンデンサ80eは、それぞれ、セラミックコンデンサである。複数のコンデンサ80eは、例えば、フィルムコンデンサであってもよい。本実施形態において、コンデンサ部80は16個のコンデンサ80eを有する。
【0047】
コンデンサ部80は、第1コンデンサ部80aと、第2コンデンサ部80bと、を有する。第1コンデンサ部80aは、コンデンサ部80のうち、第1方向D1の一方側(+D1側)において、複数のコンデンサ80eが集中して配置される部分である。第1コンデンサ部80aは10個のコンデンサ80eを有する。本実施形態において、第1コンデンサ部80aは、コネクタ端子60cの第1方向D1の一方側に配置される。第2コンデンサ部80bは、コンデンサ部80のうち、第1方向D1の他方側(-D1側)において、複数のコンデンサ80eが集中して配置される部分である。第2コンデンサ部80bは6個のコンデンサ80eを有する。本実施形態において、第2コンデンサ部80bは、コネクタ端子60cの第1方向D1の他方側に配置される。したがって、第1方向D1において、コネクタ端子60cの両側にはコンデンサ80eが配置される。すなわち、第1方向D1において、コネクタ端子60cの両側には電子素子60bが配置される。なお、第1コンデンサ部80aおよび第2コンデンサ部80bが配置される位置は本実施形態に限定されず、第1コンデンサ部80aがコネクタ端子60cの第1方向D1の他方側に配置され、第2コンデンサ部80bがコネクタ端子60cの第1方向D1の一方側に配置されてもよい。
【0048】
駆動素子部70は、コンデンサ部80において平滑化された直流電流から3相の交流電流を生成する。駆動素子部70は、コンデンサ部80の第2方向D2の他方側(-D2側)、且つ、出力端子60eの第2方向D2の一方側(+D2側)に配置される。駆動素子部70は、第1コネクタ端子60cよりも、第2方向D2の他方側に配置される。本実施形態において、駆動素子部70には、駆動制御部70fが配置される。
【0049】
本実施形態において、複数の駆動素子70eは、駆動基板本体部60aの上側を向く面に実装される。複数の駆動素子70eは、駆動基板本体部60aの下側を向く面に実装されてもよいし、複数の駆動素子70eのうち一部の駆動素子70eが駆動基板本体部60aの上側を向く面に実装され、他の駆動素子70eが駆動基板本体部60aの下側を向く面に実装されてもよい。本実施形態において、複数の駆動素子70eは、それぞれ、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)である。複数の駆動素子70eは、例えば、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor)等のパワー半導体素子であってもよい。本実施形態において、駆動素子部70は18個の駆動素子70eを有する。
【0050】
駆動素子部70は、第1駆動素子部70aと、第2駆動素子部70bと、を有する。第1駆動素子部70aは、3相の交流電流のうち、2相の交流電流を生成する。本実施形態において、第1駆動素子部70aは、U相およびV相の交流電流を生成する。第1駆動素子部70aは、駆動素子部70のうち、第1方向D1の一方側(+D1側)の部分である。第1駆動素子部70aは、駆動制御部70fの第1方向D1の一方側に配置される。第1駆動素子部70aは12個の駆動素子70eを有する。第1駆動素子部70aは、U相駆動素子部70uと、V相駆動素子部70vと、を有する。
【0051】
U相駆動素子部70uは、U相の交流電流を生成する。U相駆動素子部70uは、第1駆動素子部70aのうち、第1方向D1の一方側(+D1側)の部分である。U相駆動素子部70uは6個の駆動素子70eを有する。V相駆動素子部70vは、V相の交流電流を生成する。V相駆動素子部70vは、第1駆動素子部70aのうち、第1方向D1の他方側(-D1側)の部分である。第1方向D1において、V相駆動素子部70vは、U相駆動素子部70uと駆動制御部70fとの間に配置される。V相駆動素子部70vは6個の駆動素子70eを有する。
【0052】
第2駆動素子部70bは、3相の交流電流のうち、1相の交流電流を生成する。本実施形態において、第2駆動素子部70bは、W相の交流電流を生成する。第2駆動素子部70bは、駆動素子部70のうち、第1方向D1の他方側(-D1側)の部分である。第2駆動素子部70bは6個の駆動素子70eを有する。本実施形態において、第2駆動素子部70bは、駆動制御部70fの第1方向D1の他方側に配置される。上述のように、第1駆動素子部70aは、駆動制御部70fの第1方向D1の一方側(+D1側)に配置される。したがって、第1方向D1において、駆動制御部70fの両側には駆動素子70eが配置される。すなわち、第1方向D1において、駆動制御部70fの両側には電子素子60bが配置される。なお、第1駆動素子部70aおよび第2駆動素子部70bが配置される位置は本実施形態に限定されず、第1駆動素子部70aが駆動制御部70fの第1方向D1の他方側に配置され、第2駆動素子部70bが駆動制御部70fの第1方向D1の一方側に配置されてもよい。
【0053】
出力端子60eは、駆動素子部70および被駆動体Dと電気的に接続される。駆動素子部70において生成される3相の交流電流のそれぞれは、出力端子60eを介して、被駆動体Dに供給される。本実施形態において、出力端子60eは3個設けられる。各出力端子60eの一方端は、駆動基板本体部60aの第2方向D2の他方側(-D2側)の縁部に取り付けられる。各出力端子60eは、第1方向D1に並んで配置される。各出力端子60eのそれぞれは、駆動基板本体部60aから第2方向D2の他方側に延びる。図示は省略するが、各出力端子60eそれぞれの他端は、
図3に示す側壁孔部22iおよび第2開口25bを介して出力端子収容部25の内部に収容される。図示は省略するが、各出力端子60eそれぞれの他端は、被駆動体Dの各コイルと電気的に接続される。これにより、駆動基板60と被駆動体DのU相、V相、およびW相のコイルとが電気的に接続され、駆動基板60において生成される3相の交流電流のそれぞれが、被駆動体DのU相、V相、およびW相のコイルそれぞれに供給される。
【0054】
本実施形態によれば、
図6に示すように、第2方向D2において、コンデンサ部80、駆動素子部70、および出力端子60eは、第2方向D2の一方側(+D2側)から、コンデンサ部80、駆動素子部70、出力端子60eの順に配置される。よって、第2方向D2において、コンデンサ部80と駆動素子部70との間の距離を短くし易いため、コンデンサ部80と駆動素子部70とを繋ぐ配線パターンを短くし易い。そのため、各コンデンサ80eにおいて平滑化した直流電流に電気ノイズが重畳することを抑制し易い。また、第2方向D2において、駆動素子部70と各出力端子60eとの間の距離を短くし易いため、駆動素子部70と各出力端子60eとを繋ぐ配線パターンを短くし易い。そのため、各駆動素子70eで生成した交流電流に電気ノイズが重畳することを抑制し易い。これらにより、第2方向D2において、駆動基板60およびインバータ10の小型化を図ることができるとともに、出力端子60eから出力される交流電流の波形を安定させることができる。
【0055】
本実施形態によれば、コネクタ90は、貫通孔40aを通され、かつ、第1コネクタ端子(コネクタ端子)60cと接続され、複数の電子素子60bは、複数の駆動素子70eと複数のコンデンサ80eとを含み、駆動基板60は、複数の駆動素子70eを有する駆動素子部70と、複数のコンデンサ80eを有するコンデンサ部80と、を有する。第1コネクタ端子60cは、コンデンサ部80に配置され、第1方向D1において、コネクタ端子60cの両側に電子素子60bが配置される。よって、コネクタ端子60cと各電子素子60bとの間の距離を短くし易いため、コネクタ端子60cと各電子素子60bとを繋ぐ配線パターンを短くし易い。したがって、該配線パターンを通過する制御信号等に電気ノイズが重畳することを抑制し易いため、インバータ10の動作の安定化を図ることができる。また、駆動基板60およびインバータ10の小型化を図ることができる。
【0056】
本実施形態によれば、駆動素子部70には、駆動素子部70およびコンデンサ部80それぞれの動作を制御する駆動制御部70fが配置される。よって、駆動制御部70fと各駆動素子70eとの間の距離を短くし易いため、駆動制御部70fと各駆動素子70eとを繋ぐ配線パターンを短くし易い。したがって、該配線パターンを通過する制御信号等に電気ノイズが重畳することを抑制できるため、インバータ10の動作の安定化を図ることができる。
【0057】
本実施形態によれば、駆動制御部70fは、コネクタ端子60cと第2方向D2に並んで配置される。よって、駆動制御部70fとコネクタ端子60cとを直線上に配置できるため、コネクタ端子60cと駆動制御部70fとを繋ぐ配線パターンを直線状にでき、配線パターンの簡素化を図ることができる。また、コネクタ端子60cと駆動制御部70fとを繋ぐ配線パターンを短くし易いため、該配線パターンを通過する制御信号等に電気ノイズが重畳することを抑制できるため、インバータ10の動作の安定化を図ることができる。
【0058】
本実施形態によれば、駆動素子部70は、第1駆動素子部70aと、第2駆動素子部70bとを有し、第1駆動素子部70aは、駆動制御部70fの第1方向D1の一方側(+D1側)に配置され、第2駆動素子部70bは、駆動制御部70fの第1方向D1の他方側(-D1側)に配置される。よって、駆動制御部70fを、複数の駆動素子70e同士の間に配置できるため、駆動制御部70fと各駆動素子70eとを繋ぐ配線パターンをより好適に短くできる。したがって、該配線パターンを通過する制御信号等に電気ノイズが重畳することをより好適に抑制できるため、インバータ10の動作をより好適に安定させることができる。
【0059】
コネクタ端子60cは、コンデンサ部80に配置され、コンデンサ部80は、第1コンデンサ部80aと、第2コンデンサ部80bとを有し、第1コンデンサ部80aは、コネクタ端子60cの第1方向D1の一方側(+D1側)に配置され、第2コンデンサ部80bは、コネクタ端子60cの第1方向D1の他方側(-D1側)に配置される。よって、コネクタ端子60cを、複数のコンデンサ80e同士の間に配置できるため、コネクタ端子60cと各コンデンサ80eとを繋ぐ配線パターンをより好適に短くできる。これにより、該配線パターンを通過する制御信号等に電気ノイズが重畳することをより好適に抑制できるため、インバータ10の動作をより好適に安定させることができる。
【0060】
本実施形態によれば、駆動素子部70は、3相の交流電流を生成し、第1駆動素子部70aは3相の交流電流うち2相の交流電流を生成し、第2駆動素子部70bは3相の交流電流のうち1相の交流電流を生成する。よって、各相それぞれの交流電流を生成する駆動素子70e同士を近づけて配置できる。より詳細には、U相の交流電流を生成する6個の駆動素子70eをU相駆動素子部70uにまとめて配置でき、V相の交流電流を生成する6個の駆動素子70eをV相駆動素子部70vにまとめて配置でき、W相の流電流を生成する6個の駆動素子70eを第2駆動素子部70bにまとめて配置できる。したがって、各駆動素子70eを繋ぐ配線パターンを短くできるとともに配線パターンの簡素化を図ることができる。
【0061】
図7に示すように、本実施形態において、第1コンデンサ部80aに配置される複数のコンデンサ80eは、ヒートシンク40の第1凹部41aの内部に配置される。また、第1駆動素子部70aに配置される複数の駆動素子70eのうち、第2方向D2の一方側(+D2側)に配置される駆動素子70eは、第3凹部41cの内部に配置され、第2方向D2の他方側(-D2側)に配置される駆動素子70eは、第5凹部41eの内部に配置される。図示は省略するが、
図6に示す第2コンデンサ部80bに配置される複数のコンデンサ80eは、
図4に示す第2凹部41bの内部に配置される。図示は省略するが、
図6に示す第2駆動素子部70bに配置される複数の駆動素子70eのうち、第2方向D2の一方側に配置される駆動素子70eは、
図4に示す第4凹部41dの内部に配置される。
図6に示す第2駆動素子部70bに配置される複数の駆動素子70eのうち、第2方向D2の他方側に配置される駆動素子70eは、
図4に示す第5凹部41eの内部に配置される。
【0062】
図7に示すように、第1凹部41a、第3凹部41c、および第5凹部41eの内部には伝熱媒体Tが配置される。また、図示は省略するが、第2凹部41bおよび第4凹部41dの内部にも伝熱媒体Tが配置される。すなわち、伝熱媒体Tは、駆動基板60とヒートシンク40との間に配置される。伝熱媒体Tは、複数の駆動素子70eおよび複数のコンデンサ80eと、ヒートシンク40と接触する。つまり、伝熱媒体Tは、複数の電子素子60bおよびヒートシンク40の両方と接触する。本実施形態において、伝熱媒体Tは、例えば、金属酸化物等の粒子を含有する変性シリコーン等の熱伝導グリスである。本実施形態によれば、伝熱媒体Tを介して、複数の電子素子60bで発生する熱をヒートシンク40に好適に伝熱できる。したがって、各電子素子60bそれぞれの温度が高くなりすぎることを抑制でき、各電子素子60bのそれぞれの性能が低下することを抑制できるため、駆動基板60およびインバータ10をより好適に安定して動作させることができる。
【0063】
本実施形態によれば、駆動基板60の面積は、制御基板50の面積よりも大きい。よって、駆動基板60が有する複数の電子素子60b同士の間の間隔を大きくし易いため、複数の電子素子60bにおいて発生する熱によって、駆動基板60の一部の温度が局所的に高くなることを抑制し易い。したがって、複数の電子素子60bのそれぞれの性能が低下することをより好適に抑制できるため、駆動基板60およびインバータ10をより好適に安定して動作させることができる。
【0064】
本実施形態によれば、ケース20には、駆動基板60およびヒートシンク40が固定される。よって、上述のように、駆動基板60において発生した熱の一部を、駆動基板固定部23fを介して、ケース20に直接的に伝熱させることができる。また、駆動基板60において発生した熱の他の一部を、伝熱媒体Tおよびヒートシンク40を介して、ケース20に伝熱させることができる。ケース20に伝熱された熱は、ケース20周りの空気に放熱される。これらにより、駆動基板60の温度が高くなりすぎることを抑制できるため、駆動基板60およびインバータ10を安定して動作させることができる。
【0065】
また、本実施形態によれば、ケース20は、冷却媒体Rが流れる冷媒流路23aを有する。よって、ケース20に伝熱された熱を、冷媒流路23aを流れる冷却媒体Rを介して、インバータ10の外部に放熱できる。したがって、駆動基板60の温度が高くなりすぎることをより好適に抑制できるため、駆動基板60およびインバータ10をより好適に安定して動作させることができる。
【0066】
本発明は上述の実施形態に限られず、本発明の技術的思想の範囲内において、他の構成および他の方法を採用することもできる。例えば、駆動基板において、コネクタ端子は、駆動素子部に配置されていてもよいし、コンデンサ部と駆動素子部に跨って配置されてもよい。コネクタ端子が、駆動素子部に配置される場合、第1駆動素子部をコネクタ端子の第1方向の一方側に配置し、第2駆動素子部をコネクタ端子の第1方向の他方側に配置できる。これにより、コネクタ端子の第1方向の両側に駆動素子を配置でき、コネクタ端子と複数の駆動素子のそれぞれとを繋ぐ配線パターンを短くできる。
【0067】
駆動基板において、駆動制御部は、コンデンサ部に配置されていてもよいし、コンデンサ部と駆動素子部に跨って配置されてもよい。また、駆動制御部は、制御基板に実装されていてもよい。この場合、第2コネクタ端子、コネクタ、および第1コネクタ端子を介して、駆動制御部から駆動基板の各電子素子に制御信号が伝送される。
【0068】
伝熱媒体は、ヒートシンクと制御基板との間に配置され、制御基板が有する電子素子およびヒートシンクの両方と接触していてもよい。これにより、制御基板の温度が高くなりすぎることをより好適に抑制できる。また、駆動基板の温度が高くなりすぎることを抑制できるならば、駆動基板とヒートシンクとの間に伝熱媒体は設けられなくてもよい。同様に、駆動基板の温度が高くなりすぎることを抑制できるならば、冷媒流路は設けられなくてもよい。また、冷媒流路の構成は、本実施形態に限定されず、様々な構成を採用できる。
【0069】
コネクタとコネクタ端子の構成は本実施形態に限定されず、コネクタとコネクタ端子とは単一の部材であってもよい。すなわち、コネクタは駆動基板本体部に直接的に実装されていてもよい。
【0070】
駆動基板が有するコンデンサの個数は、15個以下であってもよいし、17個以上であってもよい。また、駆動基板が有する駆動素子の個数は、17個以下であってもよいし、19個以上であってもよい。
【0071】
本実施形態のインバータによって駆動される被駆動体は、車両を駆動するモータに限定されず、例えば電化製品等が備えるモータ等の他の用途に用いられるモータであってもよい。
【0072】
以上に、本発明の実施形態を説明したが、実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
【0073】
なお、本技術は以下のような構成をとることが可能である。
(1) 演算装置を有する制御基板と、複数の電子素子およびコネクタ端子を有する駆動基板と、前記制御基板と前記駆動基板との間に配置されるヒートシンクと、前記制御基板と前記駆動基板とを接続するコネクタと、を備え、前記ヒートシンクは、前記ヒートシンクを貫通する貫通孔を有し、前記コネクタは、前記貫通孔を通され、かつ、前記コネクタ端子と接続され、複数の前記電子素子は、複数の駆動素子と複数のコンデンサとを含み、前記駆動基板は、複数の前記駆動素子を有する駆動素子部と、複数の前記コンデンサを有するコンデンサ部と、を有し、前記コネクタ端子は、前記駆動素子部および前記コンデンサ部の少なくともいずれか一方に配置され、前記駆動基板の板厚方向と直交する第1方向において、前記コネクタ端子の両側に前記電子素子が配置されるインバータ。
(2) 前記駆動基板は、被駆動体と電気的に接続される出力端子を有し、前記板厚方向および前記第1方向の直交する第2方向において、前記コンデンサ部、前記駆動素子部、および前記出力端子は、前記第2方向の一方側から、前記コンデンサ部、前記駆動素子部、前記出力端子の順に配置される、(1)に記載のインバータ。
(3) 前記駆動素子部には、前記駆動素子部および前記コンデンサ部それぞれの動作を制御する駆動制御部が配置され、前記駆動制御部は、前記コネクタ端子と前記第2方向に並んで配置される、(2)に記載のインバータ。
(4) 前記駆動素子部は、第1駆動素子部と、第2駆動素子部と、を有し、前記第1駆動素子部および前記第2駆動素子部の一方は、前記駆動制御部の前記第1方向の一方側に配置され、前記第1駆動素子部および前記第2駆動素子部の他方は、前記駆動制御部の前記第1方向の他方側に配置される、(3)に記載のインバータ。
(5) 前記コネクタ端子は、前記コンデンサ部に配置され、前記コンデンサ部は、第1コンデンサ部と、第2コンデンサ部と、を有し、前記第1コンデンサ部および前記第2コンデンサ部の一方は、前記コネクタ端子の前記第1方向の一方側に配置され、前記第1コンデンサ部および前記第2コンデンサ部の他方は、前記コネクタ端子の前記第1方向の他方側に配置される、(4)に記載のインバータ。
(6) 前記駆動素子部は、3相の交流電流を生成し、前記第1駆動素子部は、前記3相の交流電流うち2相の交流電流を生成し、前記第2駆動素子部は、前記3相の交流電流のうち1相の交流電流を生成する、(4)または(5)に記載のインバータ。
(7) 前記駆動基板の面積は、前記制御基板の面積よりも大きい、(1)から(6)のいずれか一項に記載のインバータ。
(8) 前記制御基板、前記駆動基板、前記ヒートシンク、および前記コネクタを内部に収容するケースを備え、前記ケースには、前記駆動基板および前記ヒートシンクが固定され、前記ケースは、冷却媒体が流れる冷媒流路を有する、(1)から(7)のいずれか一項に記載のインバータ。
(9) 前記駆動基板と前記ヒートシンクとの間には、複数の前記電子素子および前記ヒートシンクの両方と接触する伝熱媒体が配置される、(1)から(8)のいずれか一項に記載のインバータ。
【符号の説明】
【0074】
10…インバータ、20…ケース、23a…冷媒流路、40…ヒートシンク、40a…貫通孔、50…制御基板、50e…演算装置、60…駆動基板、60b…電子素子、60c…コネクタ端子、60e…出力端子、70…駆動素子部、70a…第1駆動素子部、70b…第2駆動素子部、70e…駆動素子、70f…駆動制御部、80…コンデンサ部、80a…第1コンデンサ部、80b…第2コンデンサ部、80e…コンデンサ、90…コネクタ、D…被駆動体、D1…第1方向、D2…第2方向、T…伝熱媒体