(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049575
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】回路基板ユニット、および電子機器
(51)【国際特許分類】
H05K 3/36 20060101AFI20240403BHJP
【FI】
H05K3/36 Z
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155869
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100196058
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彰雄
(72)【発明者】
【氏名】真砂 裕
(72)【発明者】
【氏名】大森 俊之
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 正明
(72)【発明者】
【氏名】平井 健
【テーマコード(参考)】
5E344
【Fターム(参考)】
5E344AA01
5E344BB02
5E344BB06
5E344BB15
5E344CC09
5E344CC23
5E344CD18
5E344DD02
5E344DD09
5E344EE07
(57)【要約】
【課題】コネクターユニットに流れる電流に起因する不要輻射ノイズが生じることを好適に抑制する。
【解決手段】本開示の回路基板ユニットの一つの態様は、第1グランド層を有する第1回路基板と、第2グランド層を有し、第1回路基板と対向して配置された第2回路基板と、第1回路基板に取り付けられた第1コネクターおよび第2回路基板に取り付けられ第1コネクターと接続された第2コネクターを有するコネクターユニットと、第1回路基板と第2回路基板との間に配置され、第1グランド層と第2グランド層とを電気的に接続する金属部材と、を備え、金属部材は、コネクターユニットに対して隣り合って配置されていることを特徴とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1グランド層を有する第1回路基板と、
第2グランド層を有し、前記第1回路基板と対向して配置された第2回路基板と、
前記第1回路基板に取り付けられた第1コネクターおよび前記第2回路基板に取り付けられ前記第1コネクターと接続された第2コネクターを有するコネクターユニットと、
前記第1回路基板と前記第2回路基板との間に配置され、前記第1グランド層と前記第2グランド層とを電気的に接続する金属部材と、
を備え、
前記金属部材は、前記コネクターユニットに対して隣り合って配置されていることを特徴とする回路基板ユニット。
【請求項2】
互いに隣り合う前記金属部材と前記コネクターユニットとの間の第1距離は、互いに対向する前記第1回路基板と前記第2回路基板との間の第2距離よりも小さい、請求項1に記載の回路基板ユニット。
【請求項3】
前記第1コネクターと前記第2コネクターとが接続される接続方向に見て、前記コネクターユニットは、所定方向に長い形状であり、
前記金属部材は、前記コネクターユニットに対して前記所定方向に隣り合って配置されている、請求項1に記載の回路基板ユニット。
【請求項4】
前記第1回路基板には、前記所定方向に並び前記第1コネクターにそれぞれ電気的に接続された複数の信号線が形成されており、
前記複数の信号線は、第1信号線と、前記第1信号線に流れる信号の周波数よりも高い周波数の信号が流れる第2信号線と、を含み、
前記第2信号線は、前記所定方向において、前記第1信号線よりも前記金属部材に近い位置に配置されている、請求項3に記載の回路基板ユニット。
【請求項5】
前記第1コネクターと前記第2コネクターとが接続される接続方向に見て、前記コネクターユニットは、所定方向に長い形状であり、
前記金属部材は、前記コネクターユニットに対して前記所定方向と直交する直交方向に隣り合って配置されている、請求項1に記載の回路基板ユニット。
【請求項6】
前記第1回路基板には、前記所定方向に並び前記第1コネクターにそれぞれ電気的に接続された複数の信号線が形成されており、
前記複数の信号線は、第1信号線と、前記第1信号線に流れる信号の周波数よりも高い周波数の信号が流れる第2信号線と、を含み、
前記複数の信号線は、前記コネクターユニットに対して前記直交方向に配置され、
前記金属部材は、前記コネクターユニットに対して前記複数の信号線とは反対側に配置され、
前記金属部材の前記所定方向の位置は、前記第2信号線の前記所定方向の位置を含む、請求項5に記載の回路基板ユニット。
【請求項7】
前記金属部材は、
前記第1グランド層に沿って広がり、前記第1グランド層に電気的に接続された第1接続面と、
前記第2グランド層に沿って広がり、前記第2グランド層に電気的に接続された第2接続面と、
を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の回路基板ユニット。
【請求項8】
前記金属部材は、
前記第1コネクターと前記第2コネクターとが接続される接続方向に延びる本体部と、
前記第1接続面を有し、前記本体部の前記接続方向の一端から突出する第1接続部と、
前記第2接続面を有し、前記第1接続部が突出する向きと異なる向きに、前記本体部の前記接続方向の他端から突出する第2接続部と、
を有し、
前記本体部は、板状であり、側面が前記コネクターユニットと対向して配置されている、請求項7に記載の回路基板ユニット。
【請求項9】
前記金属部材は、
前記第1コネクターと前記第2コネクターとが接続される接続方向に延びる本体部と、
前記第1接続面を有し、前記本体部の前記接続方向の一端から、前記コネクターユニットから離れる向きに突出する第1接続部と、
前記第2接続面を有し、前記第1接続部が突出する向きと同じ向きに、前記本体部の前記接続方向の他端から突出する第2接続部と、
を有し、
前記本体部は、板状であり、板面が前記コネクターユニットと対向して配置されている、請求項7に記載の回路基板ユニット。
【請求項10】
前記金属部材は、前記第1コネクターと前記第2コネクターとが接続される接続方向に延びる柱状の本体部を有し、
前記本体部は、前記コネクターユニットと対向して配置されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の回路基板ユニット。
【請求項11】
前記第1回路基板は、互いに異なる層に設けられた一対の前記第1グランド層を有し、
前記一対の第1グランド層は、互いに電気的に接続されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の回路基板ユニット。
【請求項12】
前記第1回路基板には、前記第1回路基板を貫通する貫通孔が形成され、
前記貫通孔には、金属製のボルトが通され、
前記ボルトは、
前記貫通孔に通され、前記金属部材に締め込まれたボルト本体部と、
前記ボルト本体部の一端に設けられたボルト頭部と、
を有し、
前記金属部材は、前記第1回路基板のうち前記第2回路基板と対向する面において前記一対の第1グランド層の一方に接触し、
前記ボルト頭部は、前記第1回路基板のうち前記第2回路基板と対向する面と反対側の面において前記一対の第1グランド層の他方に接触している、請求項11に記載の回路基板ユニット。
【請求項13】
前記金属部材は、前記第1回路基板に形成された係合穴部に挿入された係合爪部を有する、請求項12に記載の回路基板ユニット。
【請求項14】
弾性変形可能な導電部材を備え、
前記導電部材は、前記第1グランド層に接触し、
前記金属部材は、前記導電部材を介して前記第1グランド層と電気的に接続されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の回路基板ユニット。
【請求項15】
請求項1から6のいずれか一項に記載の回路基板ユニットを備えることを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、回路基板ユニット、および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載されているような回路基板同士を接続する基板間コネクターが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような基板間コネクターにおいては、一方の回路基板から他方の回路基板へと高周波信号などの信号が流れる場合に、不要輻射ノイズ、すなわち電磁ノイズが生じやすく、不要輻射ノイズを抑制できることが求められていた。これに対して、例えば、特許文献1では、回路基板のGNDパターン同士の接続を強化して、不要輻射ノイズの抑制を試みている。しかしながら、このような対策のみでは不要輻射ノイズを十分に抑制することができない問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の回路基板ユニットの一つの態様は、第1グランド層を有する第1回路基板と、第2グランド層を有し、前記第1回路基板と対向して配置された第2回路基板と、前記第1回路基板に取り付けられた第1コネクターおよび前記第2回路基板に取り付けられ前記第1コネクターと接続された第2コネクターを有するコネクターユニットと、前記第1回路基板と前記第2回路基板との間に配置され、前記第1グランド層と前記第2グランド層とを電気的に接続する金属部材と、を備え、前記金属部材は、前記コネクターユニットに対して隣り合って配置されていることを特徴とする。
【0006】
本開示の電子機器の一つの態様は、上記の回路基板ユニットを備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態のプロジェクターを示す概略構成図である。
【
図2】第1実施形態の回路基板ユニットの一部を示す断面図である。
【
図3】第1実施形態の回路基板ユニットの一部を示す断面図であって、
図2とは異なる断面を示す図である。
【
図4】第1実施形態の回路基板ユニットの一部を示す平面図である。
【
図5】第1実施形態の回路基板ユニットの一部を示す斜視図である。
【
図6】第1実施形態の回路基板ユニットの一部を示す側面図である。
【
図7】第2実施形態の回路基板ユニットの一部を示す断面図である。
【
図8】第2実施形態の回路基板ユニットの一部を示す斜視図である。
【
図9】第3実施形態の回路基板ユニットの一部を示す断面図である。
【
図10】第3実施形態の回路基板ユニットの一部を示す斜視図である。
【
図11】第4実施形態の回路基板ユニットの一部を示す斜視図である。
【
図12】第4実施形態の回路基板ユニットの一部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態について説明する。以下の実施形態では、電子機器としてプロジェクターを例に挙げて説明する。
なお、本開示の範囲は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本開示の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせる場合がある。
【0009】
<第1実施形態>
図1は、本実施形態の電子機器としてのプロジェクター1を示す概略構成図である。
本実施形態のプロジェクター1は、スクリーンSCR上にカラー画像を投射する投射型画像表示装置である。
図1に示すように、プロジェクター1は、光源装置2と、均一照明光学系40と、色分離光学系3と、光変調装置4Rと、光変調装置4Gと、光変調装置4Bと、合成光学系5と、投射光学装置6と、制御装置50と、を備えている。光源装置2は、照明光WLを均一照明光学系40に向けて射出する。
【0010】
均一照明光学系40は、インテグレーター光学系31と、偏光変換素子32と、重畳光学系33と、を備えている。インテグレーター光学系31は、第1レンズアレイ31aと、第2レンズアレイ31bと、を備えている。均一照明光学系40は、光源装置2から射出された照明光WLの強度分布を、被照明領域である光変調装置4R、光変調装置4G、および光変調装置4Bのそれぞれにおいて均一化する。均一照明光学系40から射出された照明光WLは、色分離光学系3へ入射する。
【0011】
色分離光学系3は、白色の照明光WLを赤色光LRと緑色光LGと青色光LBとに分離する。色分離光学系3は、第1ダイクロイックミラー7aと、第2ダイクロイックミラー7bと、第1反射ミラー8aと、第2反射ミラー8bと、第3反射ミラー8cと、第1リレーレンズ9aと、第2リレーレンズ9bと、を備えている。
【0012】
第1ダイクロイックミラー7aは、光源装置2からの照明光WLを赤色光LRと、その他の光、すなわち緑色光LGおよび青色光LBとに分離する。第1ダイクロイックミラー7aは、分離された赤色光LRを透過させると共に、その他の光、すなわち緑色光LGおよび青色光LBを反射する。一方、第2ダイクロイックミラー7bは、その他の光を緑色光LGと青色光LBとに分離する。第2ダイクロイックミラー7bは、分離された緑色光LGを反射し、青色光LBを透過させる。
【0013】
第1反射ミラー8aは、赤色光LRの光路中に配置され、第1ダイクロイックミラー7aを透過した赤色光LRを光変調装置4Rに向けて反射する。一方、第2反射ミラー8bおよび第3反射ミラー8cは、青色光LBの光路中に配置され、第2ダイクロイックミラー7bを透過した青色光LBを光変調装置4Bに向けて反射する。また、緑色光LGは、第2ダイクロイックミラー7bによって光変調装置4Gに向けて反射される。
【0014】
第1リレーレンズ9aおよび第2リレーレンズ9bは、青色光LBの光路中における第2ダイクロイックミラー7bの光射出側に配置されている。第1リレーレンズ9aおよび第2リレーレンズ9bは、青色光LBの光路長が赤色光LRの光路長および緑色光LGの光路長よりも長いことに起因した青色光LBの照明分布の違いを修正する。
【0015】
光変調装置4Rは、赤色光LRを画像情報に応じて変調し、赤色光LRに対応した画像光を形成する。光変調装置4Gは、緑色光LGを画像情報に応じて変調し、緑色光LGに対応した画像光を形成する。光変調装置4Bは、青色光LBを画像情報に応じて変調し、青色光LBに対応した画像光を形成する。
【0016】
光変調装置4R、光変調装置4G、および光変調装置4Bには、例えば透過型の液晶パネルが用いられている。また、液晶パネルの入射側および射出側には、図示しない偏光板がそれぞれ配置され、特定の方向の直線偏光のみを通過させる構成となっている。
【0017】
光変調装置4R、光変調装置4G、および光変調装置4Bの入射側には、それぞれフィールドレンズ10R、フィールドレンズ10G、フィールドレンズ10Bが配置されている。フィールドレンズ10R、フィールドレンズ10G、およびフィールドレンズ10Bは、それぞれの光変調装置4R、光変調装置4G、光変調装置4Bに入射する赤色光LR、緑色光LG、青色光LBの主光線を平行化する。
【0018】
合成光学系5は、光変調装置4R、光変調装置4G、および光変調装置4Bから射出された画像光が入射することにより、赤色光LR,緑色光LG,青色光LBに対応した画像光を合成し、合成された画像光を投射光学装置6に向けて射出する。合成光学系5には、例えばクロスダイクロイックプリズムが用いられる。
【0019】
投射光学装置6は、複数の投射レンズから構成されている。投射光学装置6は、合成光学系5により合成された画像光をスクリーンSCRに向けて拡大投射する。これにより、スクリーンSCR上に画像が表示される。
【0020】
次に、制御装置50について説明する。
図2は、制御装置50における回路基板ユニット60の一部を示す断面図である。
図3は、回路基板ユニット60の一部を示す断面図であって、
図2とは異なる断面を示す図である。
図4は、回路基板ユニット60の一部を示す平面図である。
図5は、回路基板ユニット60の一部を示す斜視図である。
図6は、回路基板ユニット60の一部を示す側面図である。
【0021】
各図には、適宜、X軸、Y軸、およびZ軸を示している。X軸と平行な方向を「第1水平方向X」と呼び、Y軸と平行な方向を「第2水平方向Y」と呼び、Z軸と平行な方向を「上下方向Z」と呼ぶ。第1水平方向Xと第2水平方向Yと上下方向Zとは、互いに直交する方向である。上下方向ZのうちZ軸の矢印が向く側、すなわち+Z側を「上側」と呼び、上下方向ZのうちZ軸の矢印が向く側と反対側、すなわち-Z側を「下側」と呼ぶ。第1水平方向XのうちX軸の矢印が向く側、すなわち+X側を「第1水平方向一方側」と呼び、第1水平方向XのうちX軸の矢印が向く側と反対側、すなわち-X側を「第1水平方向他方側」と呼ぶ。第2水平方向YのうちY軸の矢印が向く側、すなわち+Y側を「第2水平方向一方側」と呼び、第2水平方向YのうちY軸の矢印が向く側と反対側、すなわち-Y側を「第2水平方向他方側」と呼ぶ。第1水平方向Xは「所定方向」に相当し、第2水平方向Yは「直交方向」に相当し、上下方向Zは「接続方向」に相当する。
【0022】
なお、上下方向Z、第1水平方向X、および第2水平方向Yは、単に各部の相対位置関係等を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示す配置関係等と異なっていてもよい。
【0023】
制御装置50は、光源装置2を含むプロジェクター1の各部を制御するメインボードである。
図2から
図6に示すように、制御装置50は、回路基板ユニット60を有する。
図2に示すように、回路基板ユニット60は、第1回路基板61と、第2回路基板62と、コネクターユニット70と、を備える。第1回路基板61と第2回路基板62とは、コネクターユニット70を介して互いに電気的に接続されている。第1回路基板61と第2回路基板62とは、上下方向Zに接続されている。第2回路基板62は、第1回路基板61の上側に対向して配置されている。
【0024】
第1回路基板61および第2回路基板62は、板面が上下方向Zを向く板状であり、第1水平方向Xおよび第2水平方向Yに沿って延びている。すなわち、本実施形態において互いに直交する第1水平方向Xおよび第2水平方向Yは、第1回路基板61および第2回路基板62が延びる方向である。本実施形態において第1回路基板61および第2回路基板62は、銅箔からなる配線パターンが設けられたプリント回路基板である。第1回路基板61と第2回路基板62とは、同種の構造を有する基板であり、互いに上下方向Zに反転して配置されている。以下の説明において、上下方向Zに反転している点を除いて第1回路基板61と同様の構成については、第2回路基板62についての説明を一部省略する場合がある。
【0025】
図3に示すように、第1回路基板61は、第1基部61aと、一対の第1グランド層61b,61cと、一対の第1レジスト層61d,61eと、を有する。第1基部61aは、1層のみで構成されてもよいし、複数層で構成されてもよい。第1グランド層61bは、第1基部61aの下側に積層されている。第1グランド層61cは、第1基部61aの上側に積層されている。第1レジスト層61dは、第1グランド層61cの下側に積層されている。第1レジスト層61eは、第1グランド層61cの上側に積層されている。
【0026】
第1レジスト層61dの下面は、第1回路基板61の下面を構成している。第1レジスト層61eの上面は、第1回路基板61の上面を構成している。第1回路基板61の上面は、電子素子などが取り付けられる実装面である。第1グランド層61b,61cは、電位が回路基板ユニット60における基準電位となる層である。第1グランド層61b,61cは、例えば、銅箔からなるベタパターンによって構成されている。第1グランド層61b,61cは、リファレンスプレーンとも呼ばれる。
【0027】
第1グランド層61b,61cは、第1グランドパッド部61g,61iを有する。第1グランドパッド部61gは、第1レジスト層61dに形成された開口部61fを介して第1回路基板61の下側に露出する部分である。図示は省略するが、第1グランドパッド部61gは、例えば、上下方向Zに見て、円形状である。第1グランドパッド部61iは、第1レジスト層61eに形成された開口部61hを介して第1回路基板61の上側に露出する部分である。
図5に示すように、本実施形態において第1グランドパッド部61iは、上下方向Zに見て、第2水平方向Yに長い長方形状である。
【0028】
図4に示すように、第1回路基板61は、配線層61pを有する。配線層61pは、銅箔からなる複数の配線パターンによって構成された層である。図示は省略するが、配線層61pは、第1グランド層61cと第1レジスト層61eとの間に設けられている。配線層61pと第1グランド層61cとの間には絶縁層が設けられている。なお、
図4では、第1レジスト層61eの図示を省略している。
【0029】
配線層61pの配線パターンは、第1水平方向Xに並ぶ複数の信号線77と、第1水平方向Xに並ぶ複数の信号線78と、を含む。複数の信号線77および複数の信号線78は、後述する第1コネクター71にそれぞれ電気的に接続されている。複数の信号線77は、第1コネクター71の第2水平方向一方側に位置する。複数の信号線78は、第1コネクター71の第2水平方向他方側に位置する。
【0030】
複数の信号線77は、第1信号線77aと、第2信号線77bと、を含む。第2信号線77bに流れる信号の周波数は、第1信号線77aに流れる信号の周波数よりも高い。第1信号線77aおよび第2信号線77bは、それぞれ複数ずつ設けられている。本実施形態において第2信号線77bは、2本設けられている。複数の信号線77のうち2本の第2信号線77b以外の信号線77は、第1信号線77aである。第2信号線77bの数は、第1信号線77aの数よりも少ない。第2信号線77bは、複数の第1信号線77aよりも第1水平方向一方側、すなわち+X側に位置する。本実施形態では、複数の信号線77のうち最も第1水平方向一方側に位置する信号線77と、複数の信号線77のうち第1水平方向一方側から数えて2番目に位置する信号線77との2本の信号線77が、第2信号線77bである。第2信号線77bに流れる信号は、高周波信号である。第2信号線77bに流れる信号の周波数は、例えば、20MHz以上である。
【0031】
複数の信号線78は、複数の信号線77と同様に、第1信号線78aと、第2信号線78bと、を含む。第1信号線78aは、第1コネクター71に対して第2水平方向他方側、すなわち-Y側に配置されている点を除いて、第1信号線77aと同様の構成である。第2信号線78bは、第1コネクター71に対して第2水平方向他方側に配置されている点を除いて、第2信号線77bと同様の構成である。
【0032】
図3に示すように、第2回路基板62は、第2基部62aと、一対の第2グランド層62b,62cと、一対の第2レジスト層62d,62eと、を有する。図示は省略するが、第2回路基板62は、第1回路基板61と同様に、配線層を有する。第2基部62aは、1層のみで構成されてもよいし、複数層で構成されてもよい。第2グランド層62bは、第2基部62aの上側に積層されている。第2グランド層62cは、第2基部62aの下側に積層されている。第2レジスト層62dは、第2グランド層62bの上側に積層されている。第2レジスト層62eは、第2グランド層62bの下側に積層されている。
【0033】
第2レジスト層62eの下面は、第2回路基板62の下面を構成している。第2回路基板62の下面は、電子素子などが取り付けられる実装面である。第2レジスト層62dの上面は、第2回路基板62の上面を構成している。第2グランド層62b,62cは、電位が回路基板ユニット60における基準電位となる層である。第2グランド層62b,62cは、例えば、銅箔からなるベタパターンによって構成されている。第2グランド層62b,62cは、リファレンスプレーンとも呼ばれる。
【0034】
第2グランド層62b,62cは、第2グランドパッド部62g,62iを有する。第2グランドパッド部62gは、第2レジスト層62dに形成された開口部62fを介して第2回路基板62の上側に露出する部分である。図示は省略するが、第2グランドパッド部62gは、例えば、上下方向Zに見て、円形状である。第2グランドパッド部62iは、第2レジスト層62eに形成された開口部62hを介して第2回路基板62の下側に露出する部分である。図示は省略するが、本実施形態において第2グランドパッド部62iは、第2水平方向Yに長い長方形状である。
【0035】
コネクターユニット70は、第1回路基板61と第2回路基板62との間で信号伝送を中継する。
図4に示すように、本実施形態において、コネクターユニット70は、上下方向Zに見て、第1水平方向Xに長い形状である。本実施形態においてコネクターユニット70は、上下方向Zに見て、第1水平方向Xに長い長方形状である。なお、
図3から
図6においては、コネクターユニット70を模式的に示している。
【0036】
図2に示すように、コネクターユニット70は、第1コネクター71と、第2コネクター72と、を有する。第1コネクター71は、第1回路基板61の上面に取り付けられている。第2コネクター72は、第2回路基板62の下面に取り付けられている。第1コネクター71と第2コネクター72とは、上下方向Zに接続されている。つまり、本実施形態において第1コネクター71と第2コネクター72との接続方向は、上下方向Zである。
【0037】
本実施形態において第1コネクター71はオス型のコネクターであり、第2コネクター72はメス型のコネクターである。第1コネクター71と第2コネクター72とは、上下方向Zに嵌合されて互いに電気的に接続されている。つまり、本実施形態において第1コネクター71と第2コネクター72との嵌合方向は、上下方向Zである。
【0038】
第1コネクター71は、第1ハウジング73と、複数の第1接続子75aと、複数の第1接続子75bと、を有する。第1ハウジング73は、複数の第1接続子75aおよび複数の第1接続子75bを保持する樹脂製の部材である。第1ハウジング73は、例えば、複数の第1接続子75aおよび複数の第1接続子75bをインサート部材とするインサート成形により作られている。第1ハウジング73は、上側に開口する略直方体箱状である。
【0039】
第1ハウジング73は、下側の壁部を構成する底壁部73aと、底壁部73aの外周縁部から上側に突出する周壁部73bと、周壁部73bの内側において底壁部73aから上側に突出する凸部73cと、を有する。
図4に示すように、周壁部73bは、第1水平方向Xに長い長方形枠状である。凸部73cは、第1水平方向Xに延びる直方体状である。凸部73cの外周面は、全周に亘って周壁部73bの内周面から離れて配置されている。
図2に示すように、第1ハウジング73は、第1回路基板61の上面から上側に隙間を介して離れて配置されている。
【0040】
複数の第1接続子75aおよび複数の第1接続子75bは、第1ハウジング73に保持されている。各第1接続子75a,75bの一部は、第1ハウジング73に埋め込まれている。第1接続子75a,75bは、金属製で細長の板状部材である。複数の第1接続子75aは、第1ハウジング73の第2水平方向一方側の部分に保持されている。複数の第1接続子75bは、第1ハウジング73の第2水平方向他方側、すなわち-Y側の部分に保持されている。
【0041】
図4に示すように、複数の第1接続子75aは、第1水平方向Xに沿って間隔を空けて並んで配置されている。複数の第1接続子75bは、第1水平方向Xに沿って間隔を空けて並んで配置されている。各第1接続子75bは、各第1接続子75aとの間で凸部73cを第2水平方向Yに挟む位置にそれぞれ配置されている。第1接続子75aと第1接続子75bとは、互いに同様の形状を有する部材である。第1接続子75aと第1接続子75bとは、凸部73cを挟んで第2水平方向Yに互いに対称に配置されている。
【0042】
図2に示すように、第1接続子75aは、第1延伸部75cと、第2延伸部75dと、第3延伸部75eと、基板接続部75fと、を有する。第1延伸部75cは、上下方向Zに延びている。第1延伸部75cの下端部は、底壁部73aに埋め込まれている。第1延伸部75cのうち下端部よりも上側の部分は、底壁部73aから上側に突出して第1ハウジング73から露出し、後述する第1延伸部76cに電気的に接続されている。第1延伸部75cのうち下端部よりも上側の部分は、周壁部73bの内側のうち凸部73cに対して第2水平方向一方側に位置する。
【0043】
第2延伸部75dは、第1延伸部75cの下端部から第2水平方向一方側、すなわち+Y側に延びている。第2延伸部75dの第2水平方向一方側の端部は、第1ハウジング73の側面から第2水平方向一方側に突出し、第1ハウジング73から露出している。第2延伸部75dのうち第2水平方向一方側の端部を除いた部分は、底壁部73aに埋め込まれている。
【0044】
第3延伸部75eは、第2延伸部75dの第2水平方向一方側、すなわち+Y側の端部から下側かつ斜め第2水平方向一方側向きに延びている。第3延伸部75eの下端部は、第1ハウジング73よりも下側に位置する。基板接続部75fは、第3延伸部75eの下端部から第2水平方向一方側に延びている。基板接続部75fは、第1回路基板61に電気的に接続されている。
図4に示すように、複数の第1接続子75aにおける基板接続部75fは、複数の信号線77にそれぞれ電気的に接続されている。より詳細には、基板接続部75fは、信号線77のうち第1回路基板61の上面に露出する部分に接触し、信号線77と電気的に接続されている。
【0045】
第1接続子75bは、第1接続子75aと同様に、第1延伸部と、第2延伸部と、第3延伸部と、基板接続部と、を有する。第1接続子75bの各部は、第1接続子75aにおいて同様の名称を有する各部のそれぞれと、第2水平方向Yに対称である点を除いて同様の形状である。複数の第1接続子75bにおける基板接続部は、複数の信号線78にそれぞれ電気的に接続されている。
【0046】
図2に示すように、第2コネクター72は、第2ハウジング74と、複数の第2接続子76aと、複数の第2接続子76bと、を有する。第2ハウジング74は、複数の第2接続子76aおよび複数の第2接続子76bを保持する樹脂製の部材である。第2ハウジング74は、例えば、複数の第2接続子76aおよび複数の第2接続子76bをインサート部材とするインサート成形により作られている。
【0047】
第2ハウジング74は、下側に開口する略直方体箱状である。第2ハウジング74は、上側の壁部を構成する天壁部74aと、天壁部74aの中央部から下側に突出する周壁部74bと、を有する。周壁部74bは、第1水平方向Xに長い長方形枠状である。周壁部74bの外周縁部は、天壁部74aの外周縁部よりも内側に離れて位置する。天壁部74aと周壁部74bとによって、上側に窪む凹部が形成されている。第2ハウジング74は、第2回路基板62の下面から下側に隙間を介して離れて配置されている。
【0048】
第2ハウジング74は、第1ハウジング73と上下方向Zに嵌合されている。本実施形態では、第2ハウジング74の周壁部74bが、第1ハウジング73の周壁部73bの内側に上側から嵌合されている。周壁部74bの下側の端部は、第1ハウジング73の底壁部73aの上側に隙間を介して対向して配置されている。第2ハウジング74の天壁部74aのうち周壁部74bよりも外側に位置する部分は、第1ハウジング73の周壁部73bの上端部に接触している。第2ハウジング74の周壁部74bの内側には、凸部73cが挿入されている。凸部73cの上端部は、天壁部74aから下側に離れて位置する。
【0049】
複数の第2接続子76aおよび複数の第2接続子76bは、第2ハウジング74に保持されている。各第2接続子76a,76bの一部は、第2ハウジング74に埋め込まれている。第2接続子76a,76bは、金属製で細長の板状部材である。複数の第2接続子76aは、第2ハウジング74の第2水平方向一方側の部分に保持されている。複数の第2接続子76bは、第2ハウジング74の第2水平方向他方側の部分に保持されている。
【0050】
図示は省略するが、複数の第2接続子76aは、第1水平方向Xに沿って間隔を空けて並んで配置されている。複数の第2接続子76bは、第1水平方向Xに沿って間隔を空けて並んで配置されている。各第2接続子76bは、各第2接続子76aに対して第2水平方向他方側に間隔を空けて対向する位置にそれぞれ配置されている。第2接続子76aと第2接続子76bとは、互いに同様の形状を有する部材である。第2接続子76aと第2接続子76bとは、第2水平方向Yに互いに対称に配置されている。
【0051】
第2接続子76aは、第1接続子75aとほぼ同様の形状を有する部材である。第2接続子76aは、第1接続子75aに対して上下方向Zに反転した姿勢で配置されている。第2接続子76bは、第1接続子75bとほぼ同様の形状を有する部材である。第2接続子76bは、第1接続子75bに対して上下方向Zに反転した姿勢で配置されている。
【0052】
第2接続子76aは、第1延伸部76cと、第2延伸部76dと、第3延伸部76eと、基板接続部76fと、を有する。第1延伸部76cは、上下方向Zに延びている。第1延伸部76cの上端部は、天壁部74aに埋め込まれている。第1延伸部76cのうち上端部よりも下側の部分は、天壁部74aから下側に突出して第2ハウジング74から露出し、第1接続子75aの第1延伸部75cのうち底壁部73aから上側に突出した部分に電気的に接続されている。
【0053】
第2延伸部76dは、第1延伸部76cの上端部から第2水平方向一方側に延びている。第2延伸部76dの第2水平方向一方側の端部は、第2ハウジング74の側面から第2水平方向一方側に突出し、第2ハウジング74から露出している。第2延伸部76dのうち第2水平方向一方側の端部を除いた部分は、天壁部74aに埋め込まれている。
【0054】
第3延伸部76eは、第2延伸部76dの第2水平方向一方側の端部から上側かつ斜め第2水平方向一方側向きに延びている。第3延伸部76eの上端部は、第2ハウジング74よりも上側に位置する。基板接続部76fは、第3延伸部76eの上端部から第2水平方向一方側に延びている。基板接続部76fは、第2回路基板62に電気的に接続されている。
【0055】
第2接続子76bは、第2接続子76aと同様に、第1延伸部と、第2延伸部と、第3延伸部と、基板接続部と、を有する。第2接続子76bの各部は、第2接続子76aにおいて同様の名称を有する各部のそれぞれと、第2水平方向Yに対称である点を除いて同様の形状である。
【0056】
図3に示すように、回路基板ユニット60は、第1回路基板61と第2回路基板62との間に配置された金属部材80を備える。金属部材80は、第1グランド層61cと第2グランド層62cとを電気的に接続している。
図3および
図5に示すように、本実施形態において金属部材80は、板金部材である。金属部材80を構成する材料は、金属であれば、特に限定されない。なお、金属部材80に代えて、カーボン等の導電性部材を採用してもよい。
【0057】
図4から
図6に示すように、金属部材80は、コネクターユニット70に対して隣り合って配置されている。本実施形態において金属部材80は、コネクターユニット70の第1水平方向一方側に位置する。つまり、本実施形態において金属部材80は、コネクターユニット70に対して第1水平方向Xに隣り合って配置されている。
図4に示すように、金属部材80は、コネクターユニット70に対して、第1水平方向Xにおいて第1信号線77a,78aに対して第2信号線77b,78bが配置された側と同じ側、すなわち+X側に配置されている。これにより、本実施形態において第2信号線77b,78bは、第1水平方向Xにおいて、第1信号線77a,78aよりも金属部材80に近い位置に配置されている。
【0058】
図5に示すように、本実施形態において金属部材80は、本体部83と、第1接続部81と、第2接続部82と、を有する。本体部83は、第1コネクター71と第2コネクター72とが接続される接続方向、すなわち上下方向Zに延びている。本実施形態において本体部83は、板面が第2水平方向Yを向く板状である。本体部83は、長方形板状である。本体部83は、コネクターユニット70の第1水平方向一方側に位置する。本体部83の側面のうち第1水平方向他方側の側面83aは、コネクターユニット70と隙間を空けて対向して配置されている。本実施形態において本体部83は、第2水平方向Yにおいて、コネクターユニット70の第2水平方向Yにおける中央部と同じ位置に配置されている。
【0059】
第1接続部81は、本体部83の上下方向Zの一端、すなわち本体部83の下端から第2水平方向一方側に突出している。第1接続部81は、板面が上下方向Zを向く略長方形板状である。第1接続部81は、第1グランド層61cの第1グランドパッド部61iに上側から接触している。第1接続部81の下面は、第1グランド層61cに電気的に接続された第1接続面81fである。第1接続面81fは、第1グランドパッド部61iに接触している。これにより、金属部材80は、第1回路基板61のうち第2回路基板62と対向する面、すなわち上面において第1グランド層61cに接触している。第1接続面81fは、第1グランド層61cに沿って、上下方向Zと直交する方向に広がっている。
【0060】
第1接続部81は、板状部81aと、筒状部81bと、係合爪部81d,81eと、を有する。板状部81aは、長方形板状の部分である。板状部81aの下面が、第1接続面81fである。筒状部81bは、板状部81aから上側に突出している。筒状部81bは、上側に開口する円筒状である。係合爪部81dは、板状部81aの第2水平方向一方側の縁部から下側に突出している。
図3に示すように、係合爪部81dは、第1回路基板61に形成された係合穴部61kに上側から挿入されている。係合穴部61kは、第1回路基板61を上下方向Zに貫通している。
図5に示すように、係合爪部81eは、板状部81aの第1水平方向一方側の縁部から下側に突出している。係合爪部81eは、第1回路基板61に形成された係合穴部61mに上側から挿入されている。係合穴部61mは、第1回路基板61を上下方向Zに貫通している。
【0061】
図3に示すように、第1接続部81には、雌ねじ穴81cが形成されている。雌ねじ穴81cは、第1接続部81を上下方向Zに貫通している。より詳細には、雌ねじ穴81cは、板状部81aおよび筒状部81bを上下方向Zに貫通している。筒状部81bの内周面は、雌ねじ穴81cの内周面の一部を構成している。雌ねじ穴81cの内周面には、雌ねじ部が形成されている。
【0062】
雌ねじ穴81cには、第1接続部81を第1回路基板61に固定する金属製のボルト91が締め込まれている。ボルト91は、第1回路基板61に形成された貫通孔61jに下側から通されている。貫通孔61jは、第1回路基板61を上下方向Zに貫通している。貫通孔61jの内径は、雌ねじ穴81cの内径よりも大きい。
【0063】
ボルト91は、ボルト本体部91aと、ボルト頭部91bと、を有する。ボルト本体部91aは、上下方向Zに延びる円柱状である。ボルト本体部91aの外周面には、雌ねじ穴81cの内周面に形成された雌ねじ部に噛み合う雄ねじ部が形成されている。ボルト本体部91aは、貫通孔61jに下側から通されて第1回路基板61よりも上側に突出し、雌ねじ穴81c内に締め込まれている。これにより、ボルト本体部91aは、金属部材80に締め込まれている。本実施形態においてボルト本体部91aの上端部は、筒状部81bよりも上側に突出している。
【0064】
ボルト頭部91bは、ボルト本体部91aの一端、すなわち下端に設けられている。ボルト頭部91bは、ボルト本体部91aの下端から上下方向Zと直交する方向に広がっている。ボルト頭部91bの外径は、ボルト本体部91aの外径よりも大きい。ボルト頭部91bの外径は、貫通孔61jの内径よりも大きい。ボルト頭部91bは、第1グランド層61bの第1グランドパッド部61gに下側から接触している。これにより、ボルト頭部91bは、第1回路基板61のうち第2回路基板62と対向する面と反対側の面、すなわち下面において第1グランド層61bに接触している。
【0065】
第1グランド層61cの第1グランドパッド部61iに接触する第1接続部81にボルト本体部91aが締め込まれ、第1グランド層61bの第1グランドパッド部61gにボルト頭部91bが接触することにより、互いに異なる層に設けられた一対の第1グランド層61b,61cが、ボルト91および第1接続部81を介して、互いに電気的に接続されている。
【0066】
第2接続部82は、本体部83の上下方向Zの他端、すなわち本体部83の上端から第2水平方向他方側に突出している。つまり、第2接続部82は、第1接続部81が突出する向きと異なる向きに、本体部83の上下方向Zの他端から突出している。本実施形態において、本体部83に対して第2接続部82が突出する向きは、本体部83に対して第1接続部81が突出する向きと逆向きである。
【0067】
第2接続部82は、板面が上下方向Zを向く略長方形板状である。第2接続部82は、第2グランド層62cの第2グランドパッド部62iに下側から接触している。第2接続部82の上面は、第2グランド層62cに電気的に接続された第2接続面82fである。第2接続面82fは、第2グランドパッド部62iに接触している。これにより、金属部材80は、第2回路基板62のうち第1回路基板61と対向する面、すなわち下面において第2グランド層62cに接触している。第2接続面82fは、第2グランド層62cに沿って、上下方向Zと直交する方向に広がっている。
【0068】
第2接続部82は、板状部82aと、筒状部82bと、を有する。板状部82aは、略長方形板状の部分である。板状部82aの上面が、第2接続面82fである。筒状部82bは、板状部82aから下側に突出している。筒状部82bは、下側に開口する円筒状である。
【0069】
第2接続部82には、雌ねじ穴82cが形成されている。雌ねじ穴82cは、第2接続部82を上下方向Zに貫通している。より詳細には、雌ねじ穴82cは、板状部82aおよび筒状部82bを上下方向Zに貫通している。筒状部82bの内周面は、雌ねじ穴82cの内周面の一部を構成している。雌ねじ穴82cの内周面には、雌ねじ部が形成されている。
【0070】
雌ねじ穴82cには、第2接続部82を第2回路基板62に固定する金属製のボルト92が締め込まれている。ボルト92は、第2回路基板62に形成された貫通孔62jに上側から通されている。貫通孔62jは、第2回路基板62を上下方向Zに貫通している。貫通孔62jの内径は、雌ねじ穴82cの内径よりも大きい。
【0071】
ボルト92は、ボルト本体部92aと、ボルト頭部92bと、を有する。ボルト本体部92aは、上下方向Zに延びる円柱状である。ボルト本体部92aの外周面には、雌ねじ穴82cの内周面に形成された雌ねじ部に噛み合う雄ねじ部が形成されている。ボルト本体部92aは、貫通孔62jに上側から通されて第2回路基板62よりも下側に突出し、雌ねじ穴82c内に締め込まれている。これにより、ボルト本体部92aは、金属部材80に締め込まれている。本実施形態においてボルト本体部92aの下端部は、筒状部82bよりも下側に突出している。
【0072】
ボルト頭部92bは、ボルト本体部92aの一端、すなわち上端に設けられている。ボルト頭部92bは、ボルト本体部92aの上端から上下方向Zと直交する方向に広がっている。ボルト頭部92bの外径は、ボルト本体部92aの外径よりも大きい。ボルト頭部92bの外径は、貫通孔62jの内径よりも大きい。ボルト頭部92bは、第2グランド層62bの第2グランドパッド部62gに上側から接触している。これにより、ボルト頭部92bは、第2回路基板62のうち第1回路基板61と対向する面と反対側の面、すなわち上面において第2グランド層62bに接触している。
【0073】
第2グランド層62cの第2グランドパッド部62iに接触する第2接続部82にボルト本体部92aが締め込まれ、第2グランド層62bの第2グランドパッド部62gにボルト頭部92bが接触することにより、互いに異なる層に設けられた一対の第2グランド層62b,62cが、ボルト92および第2接続部82を介して、互いに電気的に接続されている。
【0074】
図6に示すように、互いに隣り合う金属部材80とコネクターユニット70との間の第1距離L1aは、互いに対向する第1回路基板61と第2回路基板62との間の第2距離L2よりも小さい。第1距離L1aは、金属部材80のうち本体部83の側面83aとコネクターユニット70との間の第1水平方向Xに沿う最短距離である。第2距離L2は、第1回路基板61の上面と第2回路基板62の下面との間の上下方向Zに沿う最短距離である。本実施形態において第1距離L1aは、第2距離L2の半分以下である。第1距離L1aは、例えば、0.5mm以上、20mm以下程度である。第1距離L1aは、例えば、10mmより小さいことが好ましい。第2距離L2は、例えば、10mm以上、30mm以下程度である。第1距離L1aは、コネクターユニット70の第2水平方向Yの寸法よりも小さい。
【0075】
本実施形態によれば、回路基板ユニット60は、第1グランド層61cを有する第1回路基板61と、第2グランド層62cを有し、第1回路基板61と対向して配置された第2回路基板62と、第1回路基板61に取り付けられた第1コネクター71および第2回路基板62に取り付けられ第1コネクター71と接続された第2コネクター72を有するコネクターユニット70と、第1回路基板61と第2回路基板62との間に配置され、第1グランド層61cと第2グランド層62cとを電気的に接続する金属部材80と、を備える。金属部材80は、コネクターユニット70に対して隣り合って配置されている。
【0076】
そのため、金属部材80によって、第1回路基板61と第2回路基板62との間にリターン電流が流れるリターンパスを設けることができる。金属部材80はコネクターユニット70に対して隣り合って配置されているため、金属部材80をコネクターユニット70に近づけて配置することができる。これにより、コネクターユニット70に流れる電流に対応するリターン電流を金属部材80に流しやすくできる。したがって、金属部材80に流れるリターン電流によって生じる電磁界で、コネクターユニット70に流れる電流によって生じる電磁界を好適に打ち消すことができる。そのため、第1回路基板61と第2回路基板62とを繋ぐコネクターユニット70に流れる電流に起因する不要輻射ノイズが生じることを好適に抑制できる。言い換えれば、コネクターユニット70を流れる電流とリターン電流とのエネルギーが釣り合い、余分なエネルギーが生じにくいため、当該余分なエネルギーに起因する不要輻射ノイズを好適に抑制できる。なお、コネクターユニット70に流れる電流とは、第1接続子75aおよび第2接続子76aを介して流れる電流と、第1接続子75bおよび第2接続子76bを介して流れる電流と、を含む。
【0077】
また、金属部材80によって、第1回路基板61の第1グランド層61cと第2回路基板62の第2グランド層62cとを電気的に接続することができるため、各グランド層の電位をより好適に安定化させることができる。これにより、各グランド層に沿って信号線77,78などに流れる電流に起因する不要輻射ノイズをより好適に抑制できる。
【0078】
また、金属部材80によって、第1グランド層61b,61cおよび第2グランド層62b,62cのようなリターン電流の経路を、コネクターユニット70に対して設けることができる。そのため、コネクターユニット70の各接続子が各回路基板から離れても、金属部材80によって、各回路基板から離れた各接続子に対してリターン電流の経路を設けることができる。これにより、金属部材80が設けられない場合と比較して、各接続子および各回路基板に設けられた各配線層のリターン電流の経路を短くすることができる。したがって、各接続子のリターン電流の経路の設計を容易にでき、各接続子に流れる信号の品質が悪くなることを抑制できる。
【0079】
また、金属部材80を設ける構造は、第1コネクター71および第2コネクター72を有するコネクターユニット70を外側からシールド部材で囲む構造よりも、簡単な構造となる。そのため、コネクターユニット70をシールド部材で囲むような構造に比べて、回路基板ユニット60の構造が複雑化することを抑制できる。したがって、回路基板ユニット60の製造コストが増大することを抑制できる。
【0080】
また、本実施形態によれば、互いに隣り合う金属部材80とコネクターユニット70との間の第1距離L1aは、互いに対向する第1回路基板61と第2回路基板62との間の第2距離L2よりも小さい。そのため、コネクターユニット70に対して金属部材80をより好適に近づけることができる。これにより、コネクターユニット70に流れる電流に対応するリターン電流を金属部材80に好適に流しやすくできる。したがって、金属部材80に流れるリターン電流によって生じる電磁界で、コネクターユニット70に流れる電流によって生じる電磁界をより好適に打ち消すことができる。そのため、第1回路基板61と第2回路基板62とを繋ぐコネクターユニット70に流れる電流に起因する不要輻射ノイズが生じることをより好適に抑制できる。
【0081】
また、本実施形態によれば、第1コネクター71と第2コネクター72とが接続される接続方向、すなわち上下方向Zに見て、コネクターユニット70は、第1水平方向Xに長い形状である。金属部材80は、コネクターユニット70に対して第1水平方向Xに隣り合って配置されている。コネクターユニット70が一方向に長い形状である場合、本実施形態のように、コネクターユニット70の各接続子がコネクターユニット70の長手方向に並んで配置される場合が多い。この場合、コネクターユニット70の短手方向、すなわち第2水平方向Yの両側に信号線77,78がそれぞれ配置されやすい。そのため、金属部材80をコネクターユニット70に対してコネクターユニット70の長手方向、すなわち所定方向である第1水平方向Xに隣り合う位置に配置することで、金属部材80が信号線77,78と干渉することを抑制しつつ、金属部材80をコネクターユニット70に対して好適に近づけて配置できる。
【0082】
また、本実施形態によれば、第1回路基板61には、第1水平方向Xに並び第1コネクター71にそれぞれ電気的に接続された複数の信号線77,78が形成されている。複数の信号線77,78は、第1信号線77a,78aと、第1信号線77a,78aに流れる信号の周波数よりも高い周波数の信号が流れる第2信号線77b,78bと、を含む。第2信号線77b,78bは、第1水平方向Xにおいて、第1信号線77a,78aよりも金属部材80に近い位置に配置されている。ここで、コネクターユニット70に流れる電流に起因する不要輻射ノイズは、コネクターユニット70に流れる電流の周波数が高いほど大きくなりやすい。そのため、比較的高い周波数の信号が流れる第2信号線77b,78bを金属部材80に近づけて配置することで、コネクターユニット70の各接続子のうち第2信号線77b,78bが接続された接続子に対して、金属部材80を好適に近づけて配置することができる。これにより、コネクターユニット70の各接続子に流れる電流のうち比較的高い周波数の電流に対応するリターン電流を金属部材80に好適に流しやすくできる。したがって、コネクターユニット70に流れる電流に起因する不要輻射ノイズが生じることをより好適に抑制できる。
【0083】
また、本実施形態によれば、金属部材80は、第1グランド層61cに沿って広がり、第1グランド層61cに電気的に接続された第1接続面81fと、第2グランド層62cに沿って広がり、第2グランド層62cに電気的に接続された第2接続面82fと、を有する。そのため、金属部材80と第1グランド層61cとの接触面積、および金属部材80と第2グランド層62cとの接触面積を好適に大きくすることができる。これにより、金属部材80を介して第1グランド層61cと第2グランド層62cとの間で流れるリターン電流の量をより好適に大きくしやすい。したがって、コネクターユニット70に流れる電流に起因する不要輻射ノイズが生じることをより好適に抑制できる。また、金属部材80によって、第1グランド層61cと第2グランド層62cとをより好適に接続することができ、各グランド層の電位をより好適に安定化させることができる。
【0084】
また、本実施形態によれば、金属部材80は、第1コネクター71と第2コネクター72とが接続される接続方向、すなわち上下方向Zに延びる本体部83と、第1接続面81fを有し、本体部83の接続方向の一端、すなわち下端から突出する第1接続部81と、第2接続面82fを有し、第1接続部81が突出する向きと異なる向きに、本体部83の接続方向の他端、すなわち上端から突出する第2接続部82と、を有する。本体部83は、板状であり、側面83aがコネクターユニット70と対向して配置されている。そのため、上下方向Zと直交する方向において第1接続面81fの位置と第2接続面82fの位置とを互いに異ならせることができる。これにより、上下方向Zと直交する方向において、第1回路基板61に第1接続面81fが接続される位置と第2回路基板62に第2接続面82fが接続される位置とを互いに異ならせることができる。したがって、各回路基板の実装面における電子部品の配置などに応じて、各接続面が接続される位置を調整しやすく、各回路基板における電子部品の配置の自由度を向上させることができる。また、本体部83の側面83aをコネクターユニット70に対向させて配置することで、金属部材80によってリターンパスを好適に作ることができる。また、金属部材80を板金部材として作りやすくしつつ、上述した第1接続面81fの位置と第2接続面82fの位置とを上下方向Zと直交する方向に異ならせる構造を好適に採用できる。
【0085】
また、本実施形態によれば、第1回路基板61は、互いに異なる層に設けられた一対の第1グランド層61b,61cを有する。一対の第1グランド層61b,61cは、互いに電気的に接続されている。そのため、一対の第1グランド層61b,61cの電位を安定化させることができる。また、第1グランド層61b,61cに電気的に繋がる金属部材80に、より好適にリターン電流を流しやすくできる。
【0086】
本実施形態では、第2回路基板62にも一対の第2グランド層62b,62cが設けられ、一対の第2グランド層62b,62c同士が互いに電気的に接続されている。そのため、一対の第2グランド層62b,62cの電位を安定化させることができる。また、第2グランド層62b,62cに電気的に繋がる金属部材80に、より好適にリターン電流を流しやすくできる。
【0087】
また、本実施形態によれば、第1回路基板61には、第1回路基板61を貫通する貫通孔61jが形成されている。貫通孔61jには、金属製のボルト91が通されている。ボルト91は、貫通孔61jに通され、金属部材80に締め込まれたボルト本体部91aと、ボルト本体部91aの一端に設けられたボルト頭部91bと、を有する。金属部材80は、第1回路基板61のうち第2回路基板62と対向する面において一対の第1グランド層61b,61cの一方に接触している。ボルト頭部91bは、第1回路基板61のうち第2回路基板62と対向する面と反対側の面において一対の第1グランド層61b,61cの他方に接触している。そのため、ボルト91によって金属部材80を第1回路基板61に対して固定することで、ボルト91および金属部材80を介して、一対の第1グランド層61b,61c同士を容易かつ好適に電気的に接続することができる。また、ボルト91によって、金属部材80を安定して第1回路基板61に対して固定することができる。
【0088】
本実施形態では、一対の第2グランド層62b,62c同士もボルト92を介して互いに電気的に接続されている。そのため、一対の第2グランド層62b,62c同士を容易かつ好適に電気的に接続することができる。また、ボルト92によって、金属部材80を安定して第2回路基板62に対して固定することができる。
【0089】
また、本実施形態によれば、金属部材80は、第1回路基板61に形成された係合穴部61k,61mに挿入された係合爪部81d,81eを有する。そのため、ボルト91を金属部材80に締め込む際、係合穴部61k,61mの内面に係合爪部81d,81eが引っ掛かり、金属部材80が第1回路基板61に対して回転することを抑制できる。これにより、ボルト91を金属部材80に対して締め込みやすくでき、ボルト91によって金属部材80を第1回路基板61に固定しやすくできる。
【0090】
なお、第1回路基板61に対して金属部材80をボルト91で固定した後に、金属部材80を第2回路基板62に対してボルト92で固定することで、第2回路基板62に対して金属部材80をボルト92で固定する際に金属部材80が第2回路基板62に対して回転することを抑制できる。そのため、本実施形態のように、第2接続部82に係合爪部が設けられていなくても、ボルト92によって金属部材80を第2回路基板62に固定しやすくできる。
【0091】
<第2実施形態>
本実施形態は、第1実施形態に対して、金属部材280の形状が異なる。
図7は、本実施形態の回路基板ユニット260の一部を示す断面図である。
図8は、本実施形態の回路基板ユニット260の一部を示す斜視図である。なお、
図7および
図8では、コネクターユニット70を模式的に示している。以下の説明において上述した実施形態と同様の構成については、適宜同一の符号を付す等により説明を省略する場合がある。
【0092】
図7に示すように、本実施形態の回路基板ユニット260において、第1回路基板261は、第1実施形態と異なり、係合穴部61k,61m、および貫通孔61jを有しない。第2回路基板262は、第1実施形態と異なり、係合穴部262kを有する。係合穴部262kは、第2回路基板262を上下方向Zに貫通している。
【0093】
図7および
図8に示すように、本実施形態の金属部材280は、板金部材であり、コネクターユニット70の第1水平方向一方側に隣り合って配置されている。金属部材280は、本体部283と、第1接続部281と、第2接続部282と、を有する。本体部283は、第1コネクター71と第2コネクター72とが接続される接続方向、すなわち上下方向Zに延びている。本実施形態において本体部283は、板面が第1水平方向Xを向く略長方形板状である。本体部283の板面のうち第1水平方向他方側の板面283bは、コネクターユニット70の第1水平方向一方側に対向して配置されている。板面283bとコネクターユニット70との間の第1水平方向Xの距離は、互いに隣り合う金属部材280とコネクターユニット70との間の第1距離L1bであり、互いに対向する第1回路基板261と第2回路基板262との間の第2距離L2よりも小さい。
【0094】
第1接続部281は、本体部283の上下方向Zの一端、すなわち本体部283の下端から第1水平方向一方側に突出している。つまり、第1接続部281は、本体部283の下端から、コネクターユニット70から離れる向きに突出している。第1接続部281は、板面が上下方向Zを向く長方形板状である。本実施形態において第1接続部281は、略長方形板状の板状部281aのみからなる。
【0095】
図7に示すように、第1接続部281は、第1グランド層61cの第1グランドパッド部61iに導電部材293を介して接触している。導電部材293は、導電性を有し、弾性変形可能な部材である。導電部材293は、例えば、導電性を有するガスケットである。導電部材293の下面は、第1グランドパッド部61iに接触している。これにより、導電部材293は、第1グランド層61cに接触している。導電部材293の上面は、第1接続部281の下面に接触している。これにより、金属部材280は、導電部材293を介して第1グランド層61cと電気的に接続されている。第1接続部281の下面は、導電部材293を介して第1グランド層61cに電気的に接続された第1接続面281fである。第1接続面281fは、第1グランド層61cに沿って、上下方向Zと直交する方向に広がっている。導電部材293は、金属部材280によって上方から押さえ付けられて、上下方向Zに圧縮弾性変形した状態となっている。
【0096】
第2接続部282は、本体部283の上下方向Zの他端、すなわち本体部283の上端から第1水平方向一方側に突出している。つまり、第2接続部282は、第1接続部281が突出する向きと同じ向きに、本体部283の上下方向Zの他端から突出している。第2接続部282は、板面が上下方向Zを向く略長方形板状である。第2接続部282は、第1接続部281の上側に間隔を空けて対向して配置されている。第2接続部282は、第2グランド層62cの第2グランドパッド部62iに接触している。第2接続部282の上面は、第2グランド層62cに電気的に接続された第2接続面282fである。第2接続面282fは、第2グランドパッド部62iに接触している。これにより、金属部材280は、第2回路基板262のうち第1回路基板261と対向する面、すなわち下面において第2グランド層62cに接触している。第2接続面282fは、第2グランド層62cに沿って、上下方向Zと直交する方向に広がっている。第2接続部282は、第1実施形態と同様に、ボルト92によって第2回路基板262に固定されている。
【0097】
第2接続部282は、板状部282aと、筒状部82bと、係合爪部282d,282eと、を有する。板状部282aは、略長方形板状の部分である。
図8に示すように、板状部282aの第2水平方向Yの寸法は、第1接続部281の板状部281aの第2水平方向Yの寸法よりも小さい。係合爪部282dは、板状部282aの第1水平方向一方側の縁部から上側に突出している。係合爪部282eは、板状部282aの第2水平方向他方側の縁部から上側に突出している。
図7に示すように、係合爪部282dは、第2回路基板262に形成された係合穴部262kに下側から挿入されている。図示は省略するが、係合爪部282eは、第2回路基板262に形成された他の係合穴部に下側から挿入されている。
【0098】
第1回路基板261のその他の構成は、第1実施形態の第1回路基板61のその他の構成と同様である。第2回路基板262のその他の構成は、第1実施形態の第2回路基板62のその他の構成と同様である。金属部材280のその他の構成は、第1実施形態の金属部材80のその他の構成と同様である。回路基板ユニット260のその他の構成は、第1実施形態の回路基板ユニット60のその他の構成と同様である。
【0099】
本実施形態によれば、金属部材280は、第1コネクター71と第2コネクター72とが接続される接続方向、すなわち上下方向Zに延びる本体部283と、第1接続面281fを有し、本体部283の接続方向の一端から、コネクターユニット70から離れる向きに突出する第1接続部281と、第2接続面282fを有し、第1接続部281が突出する向きと同じ向きに、本体部283の接続方向の他端から突出する第2接続部282と、を有する。本体部283は、板状であり、板面283bがコネクターユニット70と対向して配置されている。そのため、本体部283の全体をコネクターユニット70に対して好適に近づけて配置できる。これにより、コネクターユニット70に流れる電流に対応するリターン電流を金属部材280に好適に流しやすくできる。したがって、金属部材280に流れるリターン電流によって生じる電磁界で、コネクターユニット70に流れる電流によって生じる電磁界をより好適に打ち消すことができる。そのため、第1回路基板261と第2回路基板262とを繋ぐコネクターユニット70に流れる電流に起因する不要輻射ノイズが生じることを好適に抑制できる。
【0100】
また、本実施形態によれば、回路基板ユニット260は、弾性変形可能な導電部材293を備える。導電部材293は、第1グランド層61cに接触している。金属部材280は、導電部材293を介して第1グランド層61cと電気的に接続されている。そのため、金属部材280の上下方向Zの寸法にバラつきが生じても、当該寸法のバラつきを導電部材293が弾性変形することによって吸収できる。これにより、第1回路基板261と第2回路基板262との間に配置された金属部材280を、金属部材280の上下方向Zの寸法のバラつきによらず、第1回路基板261の第1グランド層61cと第2回路基板262の第2グランド層62cとに好適に電気的に接続させることができる。また、導電部材293を圧縮弾性変形させた状態とすることで、導電部材293の復元力によって、金属部材280を第2回路基板262に押し付けることができ、第1回路基板261と第2回路基板262との間に金属部材280を好適に固定して配置することができる。また、金属部材280のうち第1回路基板261に固定される部分、すなわち第1接続部281を、第1回路基板261にボルトで固定する場合に比べて容易に第1回路基板261に固定することができる。
【0101】
<第3実施形態>
本実施形態は、第1実施形態に対して、金属部材380の形状が異なる。
図9は、本実施形態の回路基板ユニット360の一部を示す断面図である。
図10は、本実施形態の回路基板ユニット360の一部を示す斜視図である。なお、
図9および
図10では、コネクターユニット70を模式的に示している。以下の説明において上述した実施形態と同様の構成については、適宜同一の符号を付す等により説明を省略する場合がある。
【0102】
図9に示すように、本実施形態の回路基板ユニット360において、第1回路基板361には、一対の貫通孔361jが形成されている。一対の貫通孔361jは、第1回路基板361を上下方向Zに貫通している。一対の貫通孔361jは、第1水平方向Xに間隔を空けて配置されている。
【0103】
図9および
図10に示すように、本実施形態の金属部材380は、コネクターユニット70の第1水平方向一方側に隣り合って配置されている。本実施形態において金属部材380は、本体部381と、接続部382と、を有する。本体部381は、第1コネクター71と第2コネクター72とが接続される接続方向、すなわち上下方向Zに延びる柱状である。本実施形態において本体部381は、上下方向Zに延びる円柱状である。本体部381は、コネクターユニット70と第1水平方向Xに対向して配置されている。本体部381とコネクターユニット70との間の第1水平方向Xの距離は、互いに隣り合う金属部材380とコネクターユニット70との間の第1距離L1cであり、互いに対向する第1回路基板361と第2回路基板62との間の第2距離L2よりも小さい。
【0104】
本体部381の上面には、下側に窪む雌ねじ穴381aが形成されている。
図9に示すように、雌ねじ穴381aには、ボルト92のボルト本体部92aが締め込まれている。これにより、本体部381は、ボルト92によって第2回路基板62に固定されている。本体部381の上面は、第2回路基板62の第2グランド層62cにおける第2グランドパッド部62iに接触している。本体部381の下面には、上側に窪む雌ねじ穴381bが形成されている。本体部381の下面は、第1回路基板361の上面よりも上側に離れて位置する。
【0105】
接続部382は、本体部381の下側に繋がっている。接続部382は、第2水平方向Yに見て、下側に開口する角張ったU字形状の部材である。接続部382は、基部382aと、一対の脚部382b,382cと、雄ねじ部382dと、を有する。基部382aは、板面が上下方向Zを向く長方形板状である。基部382aの上面は、本体部381の下面と接触している。基部382aは、第1回路基板361の上側に離れて配置されている。雄ねじ部382dは、本体部381の上面から上側に突出している。雄ねじ部382dは、本体部381の雌ねじ穴381bに下側から締め込まれている。これにより、本体部381と接続部382とが互いに固定されている。
【0106】
一対の脚部382b,382cは、基部382aの第1水平方向Xの両側の縁部のそれぞれから下側に突出している。一対の脚部382b,382cは、板面が第1水平方向Xを向く長方形板状である。脚部382bは、一対の貫通孔361jの一方に上側から挿入されて、上下方向Zに通されている。脚部382cは、一対の貫通孔361jの他方に上側から挿入されて、上下方向Zに通されている。一対の脚部382b,382cは、各貫通孔361jを介して、第1回路基板361よりも下側に突出している。一対の脚部382b,382cのそれぞれは、はんだ394によって、第1グランド層61bの第1グランドパッド部61gにおける下面と、第1グランド層61cの第1グランドパッド部61iにおける上面とにそれぞれ電気的に接続されている。これにより、一対の脚部382b,382cを介して、第1グランド層61bと第1グランド層61cとが電気的に接続されている。
【0107】
第1回路基板361のその他の構成は、第1実施形態の第1回路基板61のその他の構成と同様である。金属部材380のその他の構成は、第1実施形態の金属部材80のその他の構成と同様である。回路基板ユニット360のその他の構成は、第1実施形態の回路基板ユニット60のその他の構成と同様である。
【0108】
本実施形態によれば、金属部材380は、第1コネクター71と第2コネクター72とが接続される接続方向、すなわち上下方向Zに延びる柱状の本体部381を有する。本体部381は、コネクターユニット70と対向して配置されている。柱状の本体部381をコネクターユニット70と対向して配置することで、本体部381を板状にする場合に比べて、コネクターユニット70に流れる電流に対応して本体部381に流れるリターン電流の量を好適に多くできる。これにより、金属部材380に流れるリターン電流によって生じる電磁界で、コネクターユニット70に流れる電流によって生じる電磁界をより好適に打ち消すことができる。したがって、第1回路基板361と第2回路基板62とを繋ぐコネクターユニット70に流れる電流に起因する不要輻射ノイズが生じることを好適に抑制できる。
【0109】
<第4実施形態>
本実施形態は、第3実施形態に対して、金属部材480のコネクターユニット70に対する配置が異なる。
図11は、本実施形態の回路基板ユニット460の一部を示す斜視図である。
図12は、本実施形態の回路基板ユニット460の一部を示す平面図である。なお、
図11および
図12では、コネクターユニット70を模式的に示している。以下の説明において上述した実施形態と同様の構成については、適宜同一の符号を付す等により説明を省略する場合がある。
【0110】
図11に示すように、本実施形態の回路基板ユニット460において、第1回路基板461のうちコネクターユニット70の第2水平方向一方側に位置する部分には、信号線77が設けられていない。第1回路基板461のうちコネクターユニット70の第2水平方向他方側に位置する部分に設けられた複数の信号線478は、第1水平方向Xに並んで配置されている。複数の信号線478は、第1実施形態における複数の信号線78と同様に、第1信号線478aと、第1信号線478aに流れる信号の周波数よりも高い周波数の信号が流れる第2信号線478bと、を含む。第1信号線478aと第2信号線478bとは、それぞれ複数ずつ設けられている。第2信号線478bは、2本設けられている。2本の第2信号線478bは、複数の信号線478のうち第1水平方向Xの中央部に配置された信号線478である。
【0111】
本実施形態において金属部材480は、コネクターユニット70の第2水平方向一方側に隣り合って配置されている。つまり、本実施形態において金属部材480は、コネクターユニット70に対して第1水平方向Xと直交する第2水平方向Yに隣り合って配置されている。
図12に示すように、金属部材480は、上側から見て、コネクターユニット70を第2水平方向Yに挟んで複数の信号線478と反対側に配置されている。つまり、複数の信号線478は、コネクターユニット70に対して第2水平方向Yの第1側、すなわち-Y側に配置され、金属部材480は、コネクターユニット70に対して第2水平方向Yの第2側、すなわち+Y側に配置されている。
【0112】
金属部材480の第1水平方向Xの位置は、コネクターユニット70の第1水平方向Xの中央部における第1水平方向Xの位置と同じである。金属部材480の第1水平方向Xの位置は、第2信号線478bの第1水平方向Xの位置を含む。すなわち、金属部材480を第2水平方向Yから見て、金属部材480のうち第1水平方向Xにおいて最も第1側に位置する第1部分と最も第2側に位置する第2部分とを、第2信号線478bの上下方向Zに沿う位置に射影した時に、第1水平方向Xにおいて第2信号線478bの位置が第1部分と第2部分との間に位置する。金属部材480は、上下方向Zに見て、第2信号線478bとの間でコネクターユニット70を第2水平方向Yに挟む位置に配置されている。金属部材480の形状は、第3実施形態の金属部材380の形状と同じである。なお、本実施形態において金属部材の形状は、第1実施形態の金属部材80の形状または第2実施形態の金属部材280の形状と同じでもよい。
【0113】
第1回路基板461のその他の構成は、第3実施形態の第1回路基板361のその他の構成と同様である。金属部材480のその他の構成は、第3実施形態の金属部材380のその他の構成と同様である。回路基板ユニット460のその他の構成は、回路基板ユニット360のその他の構成と同様である。
【0114】
本実施形態によれば、第1コネクター71と第2コネクター72とが接続される接続方向、すなわち上下方向Zに見て、コネクターユニット70は、第1水平方向Xに長い形状である。金属部材480は、コネクターユニット70に対して第1水平方向Xと直交する直交方向、すなわち第2水平方向Yに隣り合って配置されている。そのため、金属部材480がコネクターユニット70と第1水平方向Xに隣り合う場合に比べて、金属部材480のコネクターユニット70に対する配置の自由度を大きくしやすい。具体的には、金属部材480をコネクターユニット70に対して第1水平方向Xのいずれの位置に配置するかを調整することができ、コネクターユニット70に流れる電流に応じて、金属部材480の配置を好適に設定することができる。したがって、金属部材480に好適にリターン電流を流すことができ、コネクターユニット70に流れる電流に起因する不要輻射ノイズが生じることを好適に抑制できる。
【0115】
また、本実施形態によれば、第1回路基板461には、第1水平方向Xに並び第1コネクター71にそれぞれ電気的に接続された複数の信号線478が形成されている。複数の信号線478は、第1信号線478aと、第1信号線478aに流れる信号の周波数よりも高い周波数の信号が流れる第2信号線478bと、を含む。複数の信号線478は、コネクターユニット70に対して第2水平方向Yに配置されている。金属部材480は、コネクターユニット70に対して複数の信号線478とは反対側に配置されている。金属部材480の第1水平方向Xの位置は、第2信号線478bの第1水平方向Xの位置を含む。そのため、コネクターユニット70の接続子のうち第2信号線478bが接続された接続子に対して、金属部材480を好適に近づけて配置することができる。これにより、コネクターユニット70の各接続子に流れる電流のうち比較的高い周波数の電流に対応するリターン電流を金属部材480に好適に流しやすくできる。したがって、コネクターユニット70に流れる電流に起因する不要輻射ノイズが生じることをより好適に抑制できる。
【0116】
本開示の実施形態は上述した実施形態に限られず、以下の構成および方法を採用することもできる。金属部材は、第1回路基板と第2回路基板との間に配置され、第1グランド層と第2グランド層とを電気的に接続し、かつ、コネクターユニットと隣り合って配置されているならば、どのような構成であってもよい。金属部材は、コネクターユニットに対していずれの方向に隣り合って配置されていてもよい。金属部材は、どのような形状であってもよい。
【0117】
例えば、上述した第3実施形態において金属部材380の本体部381は、多角柱状などの円柱状以外の柱状であってもよい。また、第3実施形態において金属部材380の脚部382b,382cは、第1回路基板361を貫通していなくてもよく、第1回路基板361の上面において第1グランド層61cと接続されているのみであってもよい。また、第3実施形態の金属部材380において、本体部381と接続部382とは、第1回路基板361を貫通する孔に下側から挿し込まれたボルトによって互いに固定されてもよい。また、第3実施形態において、金属部材380の基部382aと第1回路基板361との間には導電性のガスケットが設けられてもよい。
【0118】
コネクターユニットは、互いに接続された第1コネクターおよび第2コネクターを有するならば、どのような構成であってもよい。第1回路基板と第2回路基板とは、それぞれグランド層を有し、かつ、互いに対向して配置されているならば、どのような構成であってもよい。
【0119】
また、上記の第1実施形態において、透過型のプロジェクターに本開示を適用した場合の例について説明したが、本開示は、反射型のプロジェクターにも適用することも可能である。ここで、「透過型」とは、液晶パネル等を含む液晶ライトバルブが光を透過するタイプであることを意味する。「反射型」とは、液晶ライトバルブが光を反射するタイプであることを意味する。なお、光変調装置は、液晶パネル等に限られず、例えばマイクロミラーを用いた光変調装置であってもよい。
【0120】
また、上記の第1実施形態において、3つの光変調装置4R,4G,4Bを用いたプロジェクター1の例を挙げたが、本開示は、1つの光変調装置のみを用いたプロジェクター、4つ以上の光変調装置を用いたプロジェクターにも適用可能である。
また、回路基板が搭載される電子機器および回路基板ユニットが搭載される電子機器は、プロジェクターに限られず、他の電子機器であってもよい。
また、本明細書において説明した各構成および各方法は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【0121】
[本開示のまとめ]
以下、本開示のまとめを付記する。
【0122】
(付記1)
第1グランド層を有する第1回路基板と、
第2グランド層を有し、前記第1回路基板と対向して配置された第2回路基板と、
前記第1回路基板に取り付けられた第1コネクターおよび前記第2回路基板に取り付けられ前記第1コネクターと接続された第2コネクターを有するコネクターユニットと、
前記第1回路基板と前記第2回路基板との間に配置され、前記第1グランド層と前記第2グランド層とを電気的に接続する金属部材と、
を備え、
前記金属部材は、前記コネクターユニットに対して隣り合って配置されていることを特徴とする回路基板ユニット。
【0123】
この構成によれば、金属部材によって、第1回路基板と第2回路基板との間にリターン電流が流れるリターンパスを設けることができる。金属部材はコネクターユニットに対して隣り合って配置されているため、金属部材をコネクターユニットに近づけて配置することができる。これにより、コネクターユニットに流れる電流に対応するリターン電流を金属部材に流しやすくできる。したがって、金属部材に流れるリターン電流によって生じる電磁界で、コネクターユニットに流れる電流によって生じる電磁界を好適に打ち消すことができる。そのため、第1回路基板と第2回路基板とを繋ぐコネクターユニットに流れる電流に起因する不要輻射ノイズが生じることを好適に抑制できる。
【0124】
また、金属部材によって、第1回路基板の第1グランド層と第2回路基板の第2グランド層とを電気的に接続することができるため、各グランド層の電位をより好適に安定化させることができる。これにより、各グランド層に沿って信号線などに流れる電流に起因する不要輻射ノイズをより好適に抑制できる。
【0125】
また、金属部材によって、第1グランド層および第2グランド層のようなリターン電流の経路を、コネクターユニットに対して設けることができる。そのため、コネクターユニットの各接続子が各回路基板から離れても、金属部材によって、各回路基板から離れた各接続子に対してリターン電流の経路を設けることができる。これにより、金属部材が設けられない場合と比較して、各接続子および各回路基板に設けられた各配線層のリターン電流の経路を短くすることができる。したがって、各接続子のリターン電流の経路の設計を容易にでき、各接続子に流れる信号の品質が悪くなることを抑制できる。
【0126】
また、金属部材を設ける構造は、第1コネクターおよび第2コネクターを有するコネクターユニットを外側からシールド部材で囲む構造よりも、簡単な構造となる。そのため、コネクターユニットをシールド部材で囲むような構造に比べて、回路基板ユニットの構造が複雑化することを抑制できる。したがって、回路基板ユニットの製造コストが増大することを抑制できる。
【0127】
(付記2)
互いに隣り合う前記金属部材と前記コネクターユニットとの間の第1距離は、互いに対向する前記第1回路基板と前記第2回路基板との間の第2距離よりも小さい、付記1に記載の回路基板ユニット。
【0128】
この構成によれば、コネクターユニットに対して金属部材をより好適に近づけることができる。これにより、コネクターユニットに流れる電流に対応するリターン電流を金属部材に好適に流しやすくできる。したがって、金属部材に流れるリターン電流によって生じる電磁界で、コネクターユニットに流れる電流によって生じる電磁界をより好適に打ち消すことができる。そのため、第1回路基板と第2回路基板とを繋ぐコネクターユニットに流れる電流に起因する不要輻射ノイズが生じることをより好適に抑制できる。
【0129】
(付記3)
前記第1コネクターと前記第2コネクターとが接続される接続方向に見て、前記コネクターユニットは、所定方向に長い形状であり、
前記金属部材は、前記コネクターユニットに対して前記所定方向に隣り合って配置されている、付記1または付記2に記載の回路基板ユニット。
【0130】
この構成によれば、金属部材が各回路基板に設けられる信号線と干渉することを抑制しつつ、金属部材をコネクターユニットに対して好適に近づけて配置できる。
【0131】
(付記4)
前記第1回路基板には、前記所定方向に並び前記第1コネクターにそれぞれ電気的に接続された複数の信号線が形成されており、
前記複数の信号線は、第1信号線と、前記第1信号線に流れる信号の周波数よりも高い周波数の信号が流れる第2信号線と、を含み、
前記第2信号線は、前記所定方向において、前記第1信号線よりも前記金属部材に近い位置に配置されている、付記3に記載の回路基板ユニット。
【0132】
この構成によれば、比較的高い周波数の信号が流れる第2信号線を金属部材に近づけて配置することで、コネクターユニットの各接続子のうち第2信号線が接続された接続子に対して、金属部材を好適に近づけて配置することができる。これにより、コネクターユニットの各接続子に流れる電流のうち比較的高い周波数の電流に対応するリターン電流を金属部材に好適に流しやすくできる。したがって、コネクターユニットに流れる電流に起因する不要輻射ノイズが生じることをより好適に抑制できる。
【0133】
(付記5)
前記第1コネクターと前記第2コネクターとが接続される接続方向に見て、前記コネクターユニットは、所定方向に長い形状であり、
前記金属部材は、前記コネクターユニットに対して前記所定方向と直交する直交方向に隣り合って配置されている、付記1または付記2に記載の回路基板ユニット。
【0134】
この構成によれば、金属部材がコネクターユニットと所定方向に隣り合う場合に比べて、金属部材のコネクターユニットに対する配置の自由度を大きくしやすい。具体的には、金属部材をコネクターユニットに対して所定方向のいずれの位置に配置するかを調整することができ、コネクターユニットに流れる電流に応じて、金属部材の配置を好適に設定することができる。したがって、金属部材に好適にリターン電流を流すことができ、コネクターユニットに流れる電流に起因する不要輻射ノイズが生じることを好適に抑制できる。
【0135】
(付記6)
前記第1回路基板には、前記所定方向に並び前記第1コネクターにそれぞれ電気的に接続された複数の信号線が形成されており、
前記複数の信号線は、第1信号線と、前記第1信号線に流れる信号の周波数よりも高い周波数の信号が流れる第2信号線と、を含み、
前記複数の信号線は、前記コネクターユニットに対して前記直交方向に配置され、
前記金属部材は、前記コネクターユニットに対して前記複数の信号線とは反対側に配置され、
前記金属部材の前記所定方向の位置は、前記第2信号線の前記所定方向の位置を含む、付記5に記載の回路基板ユニット。
【0136】
この構成によれば、コネクターユニットの接続子のうち第2信号線が接続された接続子に対して、金属部材を好適に近づけて配置することができる。これにより、コネクターユニットの各接続子に流れる電流のうち比較的高い周波数の電流に対応するリターン電流を金属部材に好適に流しやすくできる。したがって、コネクターユニットに流れる電流に起因する不要輻射ノイズが生じることをより好適に抑制できる。
【0137】
(付記7)
前記金属部材は、
前記第1グランド層に沿って広がり、前記第1グランド層に電気的に接続された第1接続面と、
前記第2グランド層に沿って広がり、前記第2グランド層に電気的に接続された第2接続面と、
を有する、付記1から付記6のいずれか一つに記載の回路基板ユニット。
【0138】
この構成によれば、金属部材と第1グランド層との接触面積、および金属部材と第2グランド層との接触面積を好適に大きくすることができる。これにより、金属部材を介して第1グランド層と第2グランド層との間で流れるリターン電流の量をより好適に大きくしやすい。したがって、コネクターユニットに流れる電流に起因する不要輻射ノイズが生じることをより好適に抑制できる。また、金属部材によって、第1グランド層と第2グランド層とをより好適に接続することができ、各グランド層の電位をより好適に安定化させることができる。
【0139】
(付記8)
前記金属部材は、
前記第1コネクターと前記第2コネクターとが接続される接続方向に延びる本体部と、
前記第1接続面を有し、前記本体部の前記接続方向の一端から突出する第1接続部と、
前記第2接続面を有し、前記第1接続部が突出する向きと異なる向きに、前記本体部の前記接続方向の他端から突出する第2接続部と、
を有し、
前記本体部は、板状であり、側面が前記コネクターユニットと対向して配置されている、付記7に記載の回路基板ユニット。
【0140】
この構成によれば、接続方向と直交する方向において第1接続面の位置と第2接続面の位置とを互いに異ならせることができる。これにより、接続方向と直交する方向において、第1回路基板に第1接続面が接続される位置と第2回路基板に第2接続面が接続される位置とを互いに異ならせることができる。したがって、各回路基板の実装面における電子部品の配置などに応じて、各接続面が接続される位置を調整しやすく、各回路基板における電子部品の配置の自由度を向上させることができる。また、本体部の側面をコネクターユニットに対向させて配置することで、金属部材によってリターンパスを好適に作ることができる。また、金属部材を板金部材として作りやすくしつつ、上述した第1接続面の位置と第2接続面の位置とを接続方向と直交する方向に異ならせる構造を好適に採用できる。
【0141】
(付記9)
前記金属部材は、
前記第1コネクターと前記第2コネクターとが接続される接続方向に延びる本体部と、
前記第1接続面を有し、前記本体部の前記接続方向の一端から、前記コネクターユニットから離れる向きに突出する第1接続部と、
前記第2接続面を有し、前記第1接続部が突出する向きと同じ向きに、前記本体部の前記接続方向の他端から突出する第2接続部と、
を有し、
前記本体部は、板状であり、板面が前記コネクターユニットと対向して配置されている、付記7に記載の回路基板ユニット。
【0142】
この構成によれば、本体部の全体をコネクターユニットに対して好適に近づけて配置できる。これにより、コネクターユニットに流れる電流に対応するリターン電流を金属部材に好適に流しやすくできる。したがって、金属部材に流れるリターン電流によって生じる電磁界で、コネクターユニットに流れる電流によって生じる電磁界をより好適に打ち消すことができる。そのため、第1回路基板と第2回路基板とを繋ぐコネクターユニットに流れる電流に起因する不要輻射ノイズが生じることを好適に抑制できる。
【0143】
(付記10)
前記金属部材は、前記第1コネクターと前記第2コネクターとが接続される接続方向に延びる柱状の本体部を有し、
前記本体部は、前記コネクターユニットと対向して配置されている、付記1から付記9のいずれか一つに記載の回路基板ユニット。
【0144】
この構成によれば、柱状の本体部をコネクターユニットと対向して配置することで、本体部を板状にする場合に比べて、コネクターユニットに流れる電流に対応して本体部に流れるリターン電流の量を好適に多くできる。これにより、金属部材に流れるリターン電流によって生じる電磁界で、コネクターユニットに流れる電流によって生じる電磁界をより好適に打ち消すことができる。したがって、第1回路基板と第2回路基板とを繋ぐコネクターユニットに流れる電流に起因する不要輻射ノイズが生じることを好適に抑制できる。
【0145】
(付記11)
前記第1回路基板は、互いに異なる層に設けられた一対の前記第1グランド層を有し、
前記一対の第1グランド層は、互いに電気的に接続されている、付記1から付記10のいずれか一つに記載の回路基板ユニット。
【0146】
この構成によれば、一対の第1グランド層の電位を安定化させることができる。また、第1グランド層に電気的に繋がる金属部材に、より好適にリターン電流を流しやすくできる。
【0147】
(付記12)
前記第1回路基板には、前記第1回路基板を貫通する貫通孔が形成され、
前記貫通孔には、金属製のボルトが通され、
前記ボルトは、
前記貫通孔に通され、前記金属部材に締め込まれたボルト本体部と、
前記ボルト本体部の一端に設けられたボルト頭部と、
を有し、
前記金属部材は、前記第1回路基板のうち前記第2回路基板と対向する面において前記一対の第1グランド層の一方に接触し、
前記ボルト頭部は、前記第1回路基板のうち前記第2回路基板と対向する面と反対側の面において前記一対の第1グランド層の他方に接触している、付記11に記載の回路基板ユニット。
【0148】
この構成によれば、ボルトによって金属部材を第1回路基板に対して固定することで、ボルトおよび金属部材を介して、一対の第1グランド層同士を容易かつ好適に電気的に接続することができる。また、ボルトによって、金属部材を安定して第1回路基板に対して固定することができる。
【0149】
(付記13)
前記金属部材は、前記第1回路基板に形成された係合穴部に挿入された係合爪部を有する、付記12に記載の回路基板ユニット。
【0150】
この構成によれば、ボルトを金属部材に締め込む際、係合穴部の内面に係合爪部が引っ掛かり、金属部材が第1回路基板に対して回転することを抑制できる。これにより、ボルトを金属部材に対して締め込みやすくでき、ボルトによって金属部材を第1回路基板に固定しやすくできる。
【0151】
(付記14)
弾性変形可能な導電部材を備え、
前記導電部材は、前記第1グランド層に接触し、
前記金属部材は、前記導電部材を介して前記第1グランド層と電気的に接続されている、付記1から付記13のいずれか一つに記載の回路基板ユニット。
【0152】
この構成によれば、金属部材の寸法にバラつきが生じても、当該寸法のバラつきを導電部材が弾性変形することによって吸収できる。これにより、第1回路基板と第2回路基板との間に配置された金属部材を、金属部材の寸法のバラつきによらず、第1回路基板の第1グランド層と第2回路基板の第2グランド層とに好適に電気的に接続させることができる。また、導電部材を圧縮弾性変形させた状態とすることで、導電部材の復元力によって、金属部材を第2回路基板に押し付けることができ、第1回路基板と第2回路基板との間に金属部材を好適に固定して配置することができる。また、金属部材のうち第1回路基板に固定される部分を、第1回路基板にボルトで固定する場合に比べて容易に第1回路基板に固定することができる。
【0153】
(付記15)
付記1から付記14のいずれか一項に記載の回路基板ユニットを備えることを特徴とする電子機器。
【0154】
この構成によれば、電子機器において、コネクターユニットに流れる電流に起因する不要輻射ノイズが生じることを好適に抑制できる。
【符号の説明】
【0155】
1…プロジェクター(電子機器)、60,260,360,460…回路基板ユニット、61,261,361,461…第1回路基板、61b,61c…第1グランド層、61j,62j,361j…貫通孔、61k,61m,262k…係合穴部、62,262…第2回路基板、62b,62c…第2グランド層、70…コネクターユニット、71…第1コネクター、72…第2コネクター、77,78,478…信号線、77a,78a,478a…第1信号線、77b,78b,478b…第2信号線、80,280,380,480…金属部材、81,281…第1接続部、81d,81e,282d,282e…係合爪部、81f,281f…第1接続面、82,282…第2接続部、82f,282f…第2接続面、83,283,381…本体部、83a…側面、91,92…ボルト、91a,92a…ボルト本体部、91b,92b…ボルト頭部、283b…板面、293…導電部材、L2…第2距離、L1a,L1b,L1c…第1距離、X…第1水平方向(所定方向)、Y…第2水平方向(直交方向)、Z…上下方向(接続方向)