(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049580
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】車両用ランプユニット装置
(51)【国際特許分類】
F21S 45/47 20180101AFI20240403BHJP
F21W 102/13 20180101ALN20240403BHJP
F21W 103/55 20180101ALN20240403BHJP
【FI】
F21S45/47
F21W102:13
F21W103:55
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155879
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】IAT弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 貴宜
(72)【発明者】
【氏名】武藤 孝志
(57)【要約】
【課題】製造コストが安価である車両用ランプユニット装置を提供することにある。
【解決手段】ヒートシンク3は、板状のベース部31、32、33から構成されていて、ベース部31、32、33の周縁に立壁30をベース部31、32、33の板面に対して交差する方向に設けたものである。このヒートシンク3の形状は、ベース部に複数の板状のリブを一体に設けた前記の特許文献1の車両用灯具のベース部の形状、および、後面に複数の放熱フィンを一体に設けた前記の特許文献2の車両用灯具のヒートシンクの形状と比較して、簡単であるから、ヒートシンク3を成形する成形金型の構造が簡単となり、その分、ヒートシンク3の製造コストを安価にすることができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状のベース部から構成されているヒートシンクと、
前記ベース部の一面に配置されている複数個の光源と、
を備え、
前記ヒートシンクのうち少なくとも周縁部には、立壁が、前記ベース部の板面に対して交差する方向に設けられている、
ことを特徴とする車両用ランプユニット装置。
【請求項2】
前記ヒートシンクのうち、複数個の前記光源が設置されていない部分に対応する部分には、前記立壁が設けられていて、
前記ヒートシンクのうち、前記光源がそれぞれ設置されている複数個の光源設置部分に対応する前記周縁部の少なくとも一部には、前記立壁が設けられていない、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用ランプユニット装置。
【請求項3】
前記ベース部のうち、前記光源がそれぞれ設置されている複数個の光源設置部分の肉厚は、前記ベース部のうち、複数個の前記光源が設置されていないその他の部分の肉厚よりも厚い、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用ランプユニット装置。
【請求項4】
複数個の前記光源設置部分は、車両の前後方向と左右方向と上下方向とに、互い違いに配置されている、
ことを特徴とする請求項2または3に記載の車両用ランプユニット装置。
【請求項5】
前記ヒートシンクの周縁部のうち、複数個の前記光源を結ぶ線方向に交差する部分には、前記立壁が設けられておらず、開口部が設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用ランプユニット装置。
【請求項6】
前記立壁のうち、複数個の前記光源に対して、車両の前後方向または車両の左右方向の少なくともいずれか一方には、開口部が設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用ランプユニット装置。
【請求項7】
前記立壁の前記ベース部の板面からの高さ寸法は、前記ベース部の最小肉厚寸法よりも大きい、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用ランプユニット装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両用ランプユニット装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数個の光源を備える車両用ランプユニット装置として、たとえば、特許文献1に示すものがある。以下、特許文献1について説明する。
【0003】
特許文献1の車両用灯具は、複数個の光源、すなわち、第1光源および第2光源と、板状のベース部と、を備え、ベース部が、第1光源を支持する第1支持部と、第2光源を支持する第2支持部と、第1光源と第2光源間方向に延びて配置されているスロープ部および複数の板状のリブと、を有するものである。特許文献1の車両用灯具は、複数個の光源からの熱をベース部のリブを介して放熱することができるものである。
【0004】
なお、車両用灯具のヒートシンクとしては、たとえば、特許文献2に示すものがある。特許文献2の車両用灯具のヒートシンクは、前面に突起部が突出形成されていて、後面に複数の放熱フィンが縦縞状に形成されているものである。突起部には、デジタルマイクロミラーデバイスで構成されている空間光変調器が当接していて、空間光変調器の熱をヒートシンクの放熱フィンを介して放熱する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-175680号公報
【特許文献1】特開2020-87686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の車両用灯具は、ベース部に複数の板状のリブを一体に設けるものであるから、ベース部の形状が複雑になり、ベース部を成形する成形金型の構造が複雑となり、その分、製造コストが高い。また、同様に、特許文献2の車両用灯具のヒートシンクは、後面に複数の放熱フィンを一体に設けるものであるから、ヒートシンクの形状が複雑になり、ヒートシンクを成形する成形金型の構造が複雑となり、その分、製造コストが高い。
【0007】
この発明が解決しようとする課題は、製造コストが安価である車両用ランプユニット装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の車両用ランプユニット装置は、前記の課題を解決するため、板状のベース部から構成されているヒートシンクと、前記ベース部の一面に配置されている複数個の光源と、を備え、前記ヒートシンクのうち少なくとも周縁部には、立壁が、前記ベース部の板面に対して交差する方向に設けられている、ことを特徴とする。
【0009】
この発明の車両用ランプユニット装置において、前記ヒートシンクのうち、複数個の前記光源が設置されていない部分に対応する部分には、前記立壁が設けられていて、前記ヒートシンクのうち、前記光源がそれぞれ設置されている複数個の光源設置部分に対応する前記周縁部の少なくとも一部には、前記立壁が設けられていない、ことが好ましい。
【0010】
この発明の車両用ランプユニット装置において、前記ベース部のうち、前記光源がそれぞれ設置されている複数個の光源設置部分の肉厚は、前記ベース部のうち、複数個の前記光源が設置されていないその他の部分の肉厚よりも厚い、ことが好ましい。
【0011】
この発明の車両用ランプユニット装置において、複数個の前記光源設置部分は、車両の前後方向と左右方向と上下方向とに、互い違いに配置されている、ことが好ましい。
【0012】
この発明の車両用ランプユニット装置において、前記ヒートシンクの周縁部のうち、複数個の前記光源を結ぶ線方向に交差する部分には、前記立壁が設けられておらず、開口部が設けられている、ことが好ましい。
【0013】
この発明の車両用ランプユニット装置において、前記立壁のうち、複数個の前記光源に対して、車両の前後方向または車両の左右方向の少なくともいずれか一方には、開口部が設けられている、ことが好ましい。
【0014】
この発明の車両用ランプユニット装置において、前記立壁の前記ベース部の板面からの高さ寸法は、前記ベース部の最小肉厚寸法よりも大きい、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
この発明は、製造コストが安価である車両用ランプユニット装置を提供することできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、この発明にかかる車両用ランプユニット装置の実施形態を示す使用状態(車両に装備した状態)の平面図である。
【
図2】
図2は、車両用ランプユニット装置を示す正面図(車両の前側から後側を見た図であって、
図1におけるII矢視図)である。
【
図3】
図3は、車両用ランプユニット装置のヒートシンクを示す底面図(車両の下側から上側を見た図であって、
図2におけるIII矢視図)である。
【
図4】
図4は、車両用ランプユニット装置のヒートシンクを示す平面図(車両の上側から下側を見た図であって、
図2におけるIV矢視図)である。
【
図5】
図5は、車両用ランプユニット装置のヒートシンクを示す正面図(車両の前側から後側を見た図であって、
図3におけるV矢視図)である。
【
図6】
図6は、車両用ランプユニット装置を示す縦断面図(
図4におけるVI-VI線断面図)である。
【
図7】
図7は、車両用ランプユニット装置のヒートシンクを示す縦断面図(
図4におけるVII-VII線断面図)である。
【
図8】
図8は、車両用ランプユニット装置のヒートシンクの変形例を示す底面図(
図3に対応する底面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明にかかる車両用ランプユニット装置の実施形態(実施例)の1例を図面に基づいて詳細に説明する。この明細書、別紙特許請求の範囲において、前、後、上、下、左、右は、この発明にかかる車両用ランプユニット装置を車両に装備した際の前、後、上、下、左、右である。
【0018】
図面において、符号「F」は「前」、「B」は「後」、「U」は上、「D」は「下」、「L」は「左」、「R」は「右」である。また、図面においては、概略図であるため、主要部品を図示し、主要部品以外の部品の図示を省略し、かつ、ハッチングの一部を省略する。さらに、
図3および
図4において、第1ランプユニット1と第2ランプユニット2とは、二点鎖線にて図示する。
【0019】
(実施形態の構成の説明)
以下、この実施形態にかかる車両用ランプユニット装置10L、10R(以下、「ランプユニット装置10L、10R」と称する)、および、車両用ランプ装置100L、100R(以下、「ヘッドランプ装置100L、100R」と称する)の構成について説明する。
【0020】
(ヘッドランプ装置100L、100Rの説明)
左側のヘッドランプ装置100L、右側のヘッドランプ装置100Rは、
図1に示すように、車両Vの前部の左側、右側に、装備されている。左側のヘッドランプ装置100Lにおいて、車両Vの外側は、車両Vの左側であり、車両Vの内側は、車両Vの右側である。右側のヘッドランプ装置100Rにおいて、車両Vの外側は、車両Vの右側であり、車両Vの内側は、車両Vの左側である。左右のヘッドランプ装置100L、100Rは、ランプハウジング101と、ランプレンズ102と、左側のランプユニット装置10L、右側のランプユニット装置10Rと、を備える。
【0021】
ランプハウジング101は、光不透過性の樹脂部材から構成されている。ランプレンズ102は、光透過性の樹脂部材から構成されている。ランプレンズ102は、アウターレンズあるいはアウターカバーである。ランプレンズ102の表面(後記の灯室103側の面に対して反対側の面)の平面視形状(車両Vの上側から下側を見た形状)は、車両Vの前端部の左右コーナ部の車体形状に沿って、車幅方向内側から車幅方向外側に向けて車両Vの前側から後側に傾斜(スラント)した形状あるいは回り込んだ形状をなしている。なお、図示されていないが、ランプレンズ102の正面視形状(車両Vの前側から後側を見た形状)は、車両Vの前端部の左右コーナ部の車体形状に沿って、車幅方向内側から車幅方向外側に向けて車両Vの下側から上側に傾斜(スラント)した形状をなしている。
【0022】
ランプハウジング101およびランプレンズ102により、灯室103が形成されている。灯室103内には、左側のランプユニット装置10L、右側のランプユニット装置10Rが、配置されている。
【0023】
(ランプユニット装置10Rの説明)
以下、右側のランプユニット装置10Rについて、
図2から
図7を参照して説明する。なお、左側のランプユニット装置10Lは、右側のランプユニット装置10Rとほぼ同様の構成であって、左右を反転させた構成をなすものである。このため、左側のランプユニット装置10Lについての説明は、省略する。また、「左右両側」「左側」「右側」の文言を、適宜省略する。
【0024】
ランプユニット装置10Rは、第1ランプユニット1と、第2ランプユニット2と、ヒートシンク3と、を備える。第1ランプユニット1と第2ランプユニット2は、ヒートシンク3に取り付けられている。ヒートシンク3は、取付部材としてのブラケット(図示せず)を介して、または、直接ランプハウジングに取り付けられている。これにより、ランプユニット装置10Rは、ヘッドランプ装置100Rに装備される。なお、ランプユニット装置10Rは、光軸調整装置を介して光軸調整可能に装備されている。
【0025】
第1ランプユニット1と第2ランプユニット2とは、車両Vの左右方向に配置されている。第1ランプユニット1は、車両Vの内側に配置されている。第2ランプユニット2は、第1ランプユニット1に対して、車両Vの外側で、後側にかつ上側に、配置されている。すなわち、第1ランプユニット1と第2ランプユニット2とは、車両Vの前端部の左右コーナ部の車体形状に沿って、配置されている。
【0026】
ここで、車両Vの前端部の左右コーナ部の平面視の空間は、車体形状に合わせられていて、第2ランプユニット2が配置されている車両Vの外側の空間(灯室103)が、第1ランプユニット1が配置されている車両Vの内側の空間(灯室103)と比較して、狭い、ものである。このため、第2ランプユニット2の車両Vの前後方向(光軸Z2方向)の寸法T2は、第1ランプユニット1の車両Vの前後方向(光軸Z1方向)の寸法T1と比較して、小さい。これに伴って、ヒートシンク3のうち、第2ランプユニット2が配置される部分、後記の第2ベース部32の車両Vの前後方向(光軸Z2方向)の寸法T20は、第1ランプユニット1が配置される部分、後記の第1ベース部31の車両Vの前後方向(光軸Z1方向)の寸法T10と比較して、小さい。
【0027】
(第1ランプユニット1、第2ランプユニット2の説明)
第1ランプユニット1は、
図2から
図4、
図6に示すように、第1レンズ10と、第1光源11と、第1リフレクタ12と、第1シェード13と、第1フレーム14と、を備える。なお、第1リフレクタ12と第1フレーム14とは、一体構造をなす場合がある。第1レンズ10は、第1フレーム14を介して、第1リフレクタ12に取り付けられている。第1光源11、第1リフレクタ12および第1シェード13は、ヒートシンク3の第1ベース部31に取り付けられている。第1シェード13は、第1レンズ10と第1光源11との間であって、第1レンズ10の後側焦線もしくは後側焦点よりも第1レンズ10側に配置されている。
【0028】
第1ランプユニット1は、スポット(光集束)のロービーム配光パターン(図示せず)を、車両Vの前方に照射する。スポットのロービーム配光パターンは、斜めカットオフラインと、上水平カットオフラインと、下水平カットオフラインと、エルボー点と、を有する。
【0029】
第2ランプユニット2は、同じく、
図2から
図4、
図6に示すように、第2レンズ20と、第2光源21と、第2リフレクタ22と、第2シェード23と、第2フレーム24と、を備える。なお、第2リフレクタ22と第2フレーム24とは、一体構造をなす場合がある。第2レンズ20は、第2フレーム24を介して、第2リフレクタ22に取り付けられている。第2光源21、第2リフレクタ22および第2シェード23は、ヒートシンク3の第2ベース部32に取り付けられている。第2シェード23は、第2レンズ20と第2光源21との間であって、第2レンズ20の後側焦線もしくは後側焦点よりも第2レンズ20側に配置されている。
【0030】
第2ランプユニット2は、ワイド(光拡散)のロービーム配光パターン(図示せず)を、車両Vの前方に照射する。ワイドのロービーム配光パターンは、水平カットオフラインを有する。このワイドのロービーム配光パターンは、水平カットオフラインは、前記のスポットのロービーム配光パターンの下水平カットオフラインと、ほぼ合致する。
【0031】
(ヒートシンク3の説明)
ヒートシンク3は、熱伝導率が高い部材、この例では、アルミダイカスト製の部材から構成されていて、板状のベース部31、32、33から構成されている。ベース部31、32、33は、車両Vの内側の第1ベース部31と、車両Vの外側の第2ベース部32と、第1ベース部31と第2ベース部32の間の第3ベース部33と、からなる。ヒートシンク3の周縁部は、縁および周縁と、この縁および周縁を含む部分と、からなる。なお、以下、ヒートシンク3の周縁、または、単に縁と称する。
【0032】
第1ベース部31と第2ベース部32とは、前記の車両Vの内側と外側に、車両Vの前側と後側に、車両Vの下側と上側に、それぞれ、互い違いに配置されている。第3ベース部33は、第1ベース部31と第2ベース部32との間を一体に繋げる。
【0033】
第1ベース部31、第2ベース部32の一面、この例では、上面には、第1光源設置部分310、第2光源設置部分320が一体に設けられている。この第1光源設置部分310、第2光源設置部分320は、第1ベース部31、第2ベース部32と同様に、車両Vの前後方向と左右方向と上下方向とに、互い違いに配置されている。
【0034】
第1光源設置部分310、第2光源設置部分320には、第1光源11、第2光源21が設置されている。これにより、ヒートシンク3のベース部31、32、33の一面(上面)には、複数個の光源(第1光源11および第2光源21)が配置されている。
【0035】
第1ベース部31、第2ベース部32には、取付ボス部が一体に設けられていて、この取付ボス部には、第1リフレクタ12(第1レンズ10および第1フレーム14を含む)、第2リフレクタ22(第2レンズ20および第2フレーム24を含む)が取り付けられている。
【0036】
第1ベース部31、第2ベース部32の上面には、第1シェード13、第2シェード23が取り付けられている。第1シェード13、第2シェード23は、第1レンズ10、第2レンズ20と第1光源11、第2光源21との間に配置されている。
【0037】
以上のようにして、第1ベース部31の上面、第2ベース部32の上面には、第1ランプユニット1、第2ランプユニット2が取り付けられている。
【0038】
ヒートシンク3の周縁には、立壁30が、ベース部31、32、33の板面に対して交差する方向、この例では、垂直方向に一体に設けられている。立壁30は、この例では、
図3に示すように、第2ベース部32および第3ベース部33の前側の縁と、第1ベース部31、第2ベース部32および第3ベース部33の後側の縁と、にそれぞれ、設けられている。一方、立壁30は、第1ベース部31の前側の縁および左側の縁と、第2ベースの右側の縁とには、設けられていない。この第1ベース部31の前側の縁および左側の縁と第2ベースの右側の縁とは、第1光源11と第2光源21とを結ぶ線方向に交差する部分に対応する。これにより、ヒートシンク3の周縁のうち、第1光源11と第2光源21とを結ぶ線方向に交差する部分には、立壁30が設けられておらず、開口部34が設けられている。この開口部34により、ヒートシンク3の周縁の少なくとも一部には、立壁30が設けられていない。
【0039】
このように、ヒートシンク3のうち、第1光源11、第2光源21が設置されていない部分に対応する部分(この例では、ヒートシンク3の周縁)には、立壁30が設けられている。一方、ヒートシンク3のうち、第1光源11、第2光源21がそれぞれ設置されている第1光源設置部分310、第2光源設置部分320に対応する部分(この例では、ヒートシンク3の周縁より内側の部分)には、立壁30が設けられていない。
【0040】
立壁30は、ベース部31、32、33の板面に対して下側に直角に折り曲げられて設けられている。この結果、ヒートシンク3の縦断面形状は、下記の形状をなす。すなわち、第2ベース部32および第3ベース部33の前側の縁と第1ベース部31、第2ベース部32および第3ベース部33の後側の縁とを含む縦断面形状は、
図7中の破線に示すように、コの字形状もしくはC形状をなす。また、第2ベース部32および第3ベース部33の前側の縁のみを含む場合と、第1ベース部31、第2ベース部32および第3ベース部33の後側の縁のみ含む場合の縦断面形状は、L字形状をなす。なお、
図7中の破線と一点鎖線や二点鎖線に示すように、立壁30を、ベース部31、32、33の板面に対して上下両側に直角に折り曲げて設けた場合の縦断面形状は、H字形状をなし、または、T字形状をなす。このように、縦断面形状は、任意である。
【0041】
立壁30のベース部31、32、33の板面からの高さ寸法Hは、ベース部31、32、33の最小肉厚寸法Tよりも大きい。また、第1ベース部31、第2ベース部32の第1光源設置部分310、第2光源設置部分320の肉厚T11、T12は、第1光源11、第2光源21が設置されていないその他の部分の肉厚T13よりも厚い。
【0042】
(実施形態の作用の説明)
この実施形態にかかるランプユニット装置10L、10Rは、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0043】
第1ランプユニット1の第1光源11と第2ランプユニット2の第2光源21とが、それぞれ、点灯される。すると、第1ランプユニット1の第1光源11からの光の一部は、第1リフレクタ12で第1シェード13側に反射される。その反射光の一部は、第1シェード13で遮蔽され、第1シェード13で遮蔽されなかった反射光は、第1レンズ10を透過して、スポットのロービーム配光パターンとして、車両Vの前方に照射される。
【0044】
一方、第2ランプユニット2の第2光源21からの光の一部は、第2リフレクタ22で第2シェード23側に反射される。その反射光の一部は、第2シェード23で遮蔽され、第2シェード23で遮蔽されなかった反射光は、第2レンズ20を透過して、ワイドのロービーム配光パターンとして、車両Vの前方に照射される。このワイドのロービーム配光パターンと前記のスポットのロービーム配光パターンとは、重畳されて、所定のロービーム配光パターンが形成される。
【0045】
第1フレーム14、第2フレーム24は、第1光源11、第2光源21からの光、および、第1リフレクタ12、第2リフレクタ22からの反射光が第1レンズ10、第2レンズ20に入射するまでの間において、外部に漏れるのを防ぐ。
【0046】
第1光源11、第2光源21の点灯に伴って、第1光源11、第2光源21において発生する熱は、ヒートシンク3の第1光源設置部分310、第2光源設置部分320、第1ベース部31、第2ベース部32、第3ベース部33、および、立壁30の各部位に伝わり、その各部位から外部に放出される。
【0047】
(実施形態の効果の説明)
この実施形態にかかるランプユニット装置10L、10Rは、以上のごとき構成、作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0048】
この実施形態にかかるランプユニット装置10L、10Rにおいて、ヒートシンク3は、板状のベース部31、32、33から構成されていて、ベース部31、32、33の周縁に立壁30をベース部31、32、33の板面に対して交差する方向に設けたものである。このヒートシンク3の形状は、ベース部に複数の板状のリブを一体に設けた前記の特許文献1の車両用灯具のベース部の形状、および、後面に複数の放熱フィンを一体に設けた前記の特許文献2の車両用灯具のヒートシンクの形状と比較して、簡単であるから、ヒートシンク3を成形する成形金型の構造が簡単となり、その分、ヒートシンク3の製造コストを安価にすることができる。この結果、この実施形態にかかるランプユニット装置10L、10Rの製造コストは、安価となる。これにより、この発明は、製造コストが安価であるランプユニット装置10L、10Rを提供することができる。
【0049】
この実施形態にかかるランプユニット装置10L、10Rにおいて、ヒートシンク3は、板状のベース部31、32、33の周縁に立壁30をベース部31、32、33の板面に対して交差する方向に設けたものである。このため、ベース部31、32、33に対して折れ曲がった立壁30により、ヒートシンク3の放熱性と強度性は、維持される。
【0050】
この実施形態にかかるランプユニット装置10L、10Rにおいて、ヒートシンク3のベース部31、32、33のうち、第1光源11、第2光源21が設置されている第1光源設置部分310、第2光源設置部分320の肉厚T11、T12は、第1光源11、第2光源21が設置されていないその他の部分の肉厚T13よりも厚い。このため、この実施形態にかかるランプユニット装置10L、10Rは、第1光源11、第2光源21において発生した熱を、肉厚T11、T12が他の部分の肉厚T13よりも厚い第1光源設置部分310、第2光源設置部分320を介して、ヒートシンク3の他の部分に効率良く伝えることができるので、ヒートシンク3の放熱性が向上される。
【0051】
この実施形態にかかるランプユニット装置10L、10Rにおいて、ヒートシンク3の第1光源設置部分310と第2光源設置部分320は、車両Vの前後方向と左右方向と上下方向とに、互い違いに配置されている。すなわち、ヒートシンク3の第1ベース部31と第2ベース部32は、第3ベース部33を介して、車両Vの前後方向と左右方向と上下方向とに、互い違いに配置されている。このため、この実施形態にかかるランプユニット装置10L、10Rにおいて、立壁30が、第2ベース部32および第3ベース部33の前側の縁と、第1ベース部31、第2ベース部32および第3ベース部33の後側の縁と、にそれぞれ、沿って、折れ曲がってかつ傾斜して設けられているので、この立壁30により、ヒートシンク3の強度性が向上され、かつ、ヒートシンク3の放熱性も向上される。
【0052】
この実施形態にかかるランプユニット装置10L、10Rにおいて、立壁30のうち、第1光源11と第2光源21とを結ぶ線方向に交差する部分には、開口部34が設けられている。すなわち、立壁30は、第1光源11と第2光源21とを結ぶ線方向に設けられているので、第1光源11と第2光源21とを結ぶ線方向の対流を発生させて、第1光源11および第2光源21で発生する熱を、対流に沿って外部に放出させることができ、ヒートシンク3の放熱性が向上される。
【0053】
この実施形態にかかるランプユニット装置10L、10Rにおいて、立壁30のベース部31、32、33の板面からの高さ寸法Hは、ベース部31、32、33の最小肉厚寸法Tよりも大きいので、第1光源11および第2光源21で発生する熱を、ベース部31、32、33を介して、立壁30で外部に効率良く放出させることができる。これにより、ヒートシンク3の放熱性が向上される。
【0054】
ここで、ヘッドランプ装置100L、100Rは、車幅方向内側から車幅方向外側に向けて車両Vの前側から後側に傾斜(スラント)した形状あるいは回り込んだ形状をなしている車両Vの前端部の左右コーナ部に装備されるものである。このため、ヘッドランプ装置100L、100Rの灯室103において、第2ランプユニット2が配置されている車両Vの外側の灯室103が、第1ランプユニット1が配置されている車両Vの内側の灯室103と比較して、狭い。
【0055】
一方、この実施形態にかかるランプユニット装置10L、10Rにおいて、第2ランプユニット2の車両Vの前後方向(光軸Z2方向)の寸法T2が、第1ランプユニット1の車両Vの前後方向(光軸Z1方向)の寸法T1と比較して、小さい。この結果、ヘッドランプ装置100L、100の灯室103にこの実施形態にかかるランプユニット装置10L、10Rを、省スペースで配置することができる。
【0056】
また、この実施形態にかかるランプユニット装置10L、10Rにおいて、第2ランプユニット2の車両Vの前後方向(光軸Z2方向)の寸法T2が、第1ランプユニット1の車両Vの前後方向(光軸Z1方向)の寸法T1と比較して、小さいので、ヒートシンク3のうち、第2ベース部32の車両Vの前後方向(光軸Z2方向)の寸法T20が、第1ベース部31の車両Vの前後方向(光軸Z1方向)の寸法T10と比較して、小さい。このため、第2ベース部32の表面積が、第1ベース部31の表面積と比較して、小さい。
【0057】
しかしながら、第2ベース部32が、第1ベース部31に対して、車両Vの外側に配置されているので、表面積が小さい第2ベース部32における放熱効率が、表面積が大きい第1ベース部31における放熱効率と、ほぼ同等の効率を得ることができる。
【0058】
以下、車両用ランプユニット装置のヒートシンクの変形例を、
図8を参照して、説明する。
図8中、
図1から
図7と同符号は、同一のものを示す。
【0059】
この変形例においては、ヒートシンク3の周縁以外の部分、第1ベース部31の左側の部分、第2ベース部32の右側の部分、繋部分の第3ベース部33の周縁より内側の部分には、立壁300が設けられている、ものである。この第1ベース部31の左側の部分、第2ベース部32の右側の部分、繋部分の第3ベース部33の周縁より内側の部分は、第1光源11、第2光源21が設置されていない部分に対応する部分である。一方、第1ベース部31の周縁より内側の部分、第2ベース部32の周縁より内側の部分は、第1光源11、第2光源21がそれぞれ設置されている第1光源設置部分310、第2光源設置部分320に対応する部分である。なお、この変形例においても、ヒートシンク3の周縁には、立壁30が設けられている。
【0060】
このように、この変形例においても、前記の実施形態と同様に、ヒートシンク3のうち、第1光源11、第2光源21が設置されていない部分に対応する部分には、立壁30、300が設けられている。一方、ヒートシンク3のうち、第1光源11、第2光源21がそれぞれ設置されている第1光源設置部分310、第2光源設置部分320に対応する部分には、立壁30、300が設けられていない。
【0061】
この変形例においては、立壁30、300のうち、第1光源11、第2光源21に対して、車両Vの前後方向および車両Vの左右方向には、開口部340が設けられている。なお、この開口部340は、前後方向および左右方向の両方に設けなくても、前後方向または左右方向の一方に設けられていれば良い。この開口部340により、ヒートシンク3の周縁の少なくとも一部には、立壁30が設けられていない。
【0062】
(実施形態以外の例の説明)
なお、前記の実施形態においては、灯室103内に、ロービーム配光パターンを照射するランプユニット装置10L、10Rを、配置した例について説明する。しかしながら、この発明においては、灯室103内に、ロービーム配光パターンを照射するランプユニット装置10L、10R以外に、たとえば、ハイビーム配光パターンを照射するランプユニット装置、あるいは、ディタイムランニングランプ装置などを、配置しても良い。
【0063】
この発明は、前記の実施形態により限定されるものではない。
【符号の説明】
【0064】
1 第1ランプユニット
10 第1レンズ
11 第1光源
12 第1リフレクタ
13 第1シェード
14 第1フレーム
2 第2ランプユニット
20 第2レンズ
21 第2光源
22 第2リフレクタ
23 第2シェード
24 第2フレーム
3 ヒートシンク(取付部材)
30 立壁
31 第1ベース部
310 第1光源設置部分
32 第2ベース部
320 第2光源設置部分
33 第3ベース部
34 開口部
10L、10R ランプユニット装置(車両用ランプユニット装置)
100L、100R ヘッドランプ装置(車両用ランプ装置)
101 ランプハウジング
102 ランプレンズ
103 灯室
B 後
D 下
F 前
H 寸法
L 左
R 右
T 寸法
T1 寸法
T2 寸法
T10 寸法
T11 肉厚
T12 肉厚
T13 肉厚
T20 寸法
U 上
V 車両
Z1 第1光軸
Z2 第2光軸