IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社イノフィスの特許一覧

<>
  • 特開-股関節伸展装置 図1
  • 特開-股関節伸展装置 図2
  • 特開-股関節伸展装置 図3
  • 特開-股関節伸展装置 図4
  • 特開-股関節伸展装置 図5
  • 特開-股関節伸展装置 図6
  • 特開-股関節伸展装置 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049600
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】股関節伸展装置
(51)【国際特許分類】
   A61H 1/02 20060101AFI20240403BHJP
   A61F 5/01 20060101ALI20240403BHJP
   A61H 39/04 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
A61H1/02 N
A61F5/01 K
A61H39/04 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155914
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】515087972
【氏名又は名称】株式会社イノフィス
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100135356
【弁理士】
【氏名又は名称】若林 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】小林 宏
(72)【発明者】
【氏名】岩本 祐梨子
【テーマコード(参考)】
4C046
4C098
4C101
【Fターム(参考)】
4C046AA07
4C046AA46
4C046BB07
4C046CC12
4C046DD03
4C046DD08
4C098AA02
4C098BB08
4C098BC24
4C098BC42
4C098BD04
4C098BD13
4C101BA01
4C101BB04
4C101BB05
4C101BC09
4C101BE01
4C101BE09
(57)【要約】
【課題】骨盤及び背骨に負担をかけずに、確実かつ十分に股関節を伸展させることが可能な股関節伸展装置を提供すること。
【解決手段】仰臥位の使用者Pの臀部を下方側から支持し使用者Pの骨盤P12の上部に対向する位置に配置される回転軸151を中心に回転可能に支持される臀部支持部15と、臀部支持部15を下側から押圧して回転させる駆動装置21、31、32と、を備える股関節伸展装置1である。臀部支持部15は、板状の部材により構成される。駆動装置は、エアジャッキ21により構成される。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
仰臥位の使用者の臀部を下方側から支持し使用者の骨盤の上部に対向する位置に配置される回転軸を中心に回転可能に支持される臀部支持部と、
前記臀部支持部を下側から押圧して回転させる駆動装置と、を備える股関節伸展装置。
【請求項2】
前記臀部支持部は、板状の部材により構成される請求項1に記載の股関節伸展装置。
【請求項3】
前記駆動装置は、エアジャッキにより構成される請求項1に記載の股関節伸展装置。
【請求項4】
前記エアジャッキは、左右一対設けられ、一対の前記エアジャッキは独立して駆動可能である請求項3に記載の股関節伸展装置。
【請求項5】
前記臀部支持部と前記回転軸により連結されて前記臀部支持部を回転可能に支持する基部とを備え、
前記基部の上面は、使用者の背部に対向し、少なくとも前記回転軸から、使用者の背部から頸部へ向かう方向に沿って下側へ傾斜する傾斜面により構成されている請求項1に記載の股関節伸展装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、股関節伸展装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、使用者が椅子に座った状態で、使用者の体重によって過度の負担がかかることを回避しつつ、股関節および膝関節の屈伸運動を行なわせて、下半身の拘縮防止を図ることが可能な構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。この構成では、一般的な椅子よりも奥行長さが短い座板部に、使用者が着座することで、使用者の大腿部は、その長さ方向の中間部分よりも付根側(骨盤側)だけが座板部によって支持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-125601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年では、直立した状態の姿勢を改善することが求められている。このためには、股関節を伸展させることが重要であるが、上記従来の技術による構成では、確実かつ十分に股関節を伸展させることは容易ではなかった。本発明は、骨盤及び背骨に負担をかけずに、確実かつ十分に股関節を伸展させることが可能な股関節伸展装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、仰臥位の使用者の臀部を下方側から支持し使用者の骨盤の上部に対向する位置に配置される回転軸を中心に回転可能に支持される臀部支持部と、前記臀部支持部を下側から押圧して回転させる駆動装置と、を備える股関節伸展装置に関する。
【0006】
前記臀部支持部は、板状の部材により構成されることが好ましい。前記駆動装置は、エアジャッキにより構成されることが好ましい。前記エアジャッキは、左右一対設けられ、一対の前記エアジャッキは独立して駆動可能であることが好ましい。
【0007】
前記臀部支持部と前記回転軸により連結されて前記臀部支持部を回転可能に支持する基部とを備え、前記基部の上面は、使用者の背部に対向し、少なくとも前記回転軸から、使用者の背部から頸部へ向かう方向に沿って下側へ傾斜する傾斜面により構成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、骨盤及び背骨に負担をかけずに、確実かつ十分に股関節を伸展させることが可能な股関節伸展装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態による股関節伸展装置を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態による股関節伸展装置を示す分解斜視図である。
図3】本発明の一実施形態による股関節伸展装置において左右両方の臀部支持部を持ち上げた状態を示す斜視図である。
図4】本発明の一実施形態による股関節伸展装置において左側の臀部支持部を持ち上げた状態を示す斜視図である。
図5】本発明の一実施形態による股関節伸展装置において右側の臀部支持部を持ち上げた状態を示す斜視図である。
図6】本発明の一実施形態による股関節伸展装置により使用者が伸展をする前の状態を示す説明図である。
図7】本発明の一実施形態による股関節伸展装置により使用者が伸展をしている状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
以下の説明においては、使用者Pが仰臥位で股関節伸展装置1を使用している状態であって、仰臥位の利用者Pから見た、左右方向左側、右側をそれぞれ左側、右側と定義し、上下方向上側、下側を、それぞれ上側、下側と定義して説明する。
【0011】
図1図2等に示すように、股関節伸展装置1は、装置本体を構成する本体基部11、本体上部傾斜部12、及び、本体上部端部13と、臀部支持部15と、駆動装置を構成するエアジャッキ21、電磁弁31、及び、ポンプ32と、を備えており、股関節伸展装置1の全体は、使用者Pの臀部等に当接したときに、固い当接感を抑えて痛くないように、クッション性を有する図示しないカバー部材により全体が覆われている。
【0012】
本体基部11は、平面視で長方形状の板状に形成されている。本体基部11の一端部側の上面は、傾斜面を有している。傾斜面は、後述のように、使用者Pに使用されているときに、使用者Pの背部に対向し、使用者Pの背部から頸部へ向かう方向に沿って、蝶番151の回転軸の近傍から下側へ傾斜する。
【0013】
本体基部11の他端部側の上面は、水平な平坦面を有している。この水平な平坦面の一端部側の部分には、下側へ窪んで、電磁弁31、ポンプ32等を収容する収容凹部が形成されており、この収容凹部を塞ぐように、長方形状の板状の被固定板部14が設けられている。被固定板部14の上面には、本体上部傾斜部12が配置されて本体基部11に対して固定されている。本体基部11の他端部側の上面の水平な平坦面の他端部側の部分には、本体上部端部13が、本体基部11に対して固定されている。
【0014】
本体上部傾斜部12の上面は、本体基部11の一端部側の上面の傾斜面と同じ傾斜角度の傾斜面を有している。これらの傾斜面の間には、被固定板部14の端部が配置されており、これらの傾斜面は、被固定板部14の端部を介して同じ方向へ続けて傾斜している。この部分には、一対の蝶番151により一対の臀部支持部15が、それぞれ被固定板部14に対して蝶番151の回転軸を中心に、回転可能に支持されている。臀部支持部15は長方形の板状の部材により構成されている。
【0015】
本体上部傾斜部12の上面には、一対のエアジャッキ21が載置されている。1対のエアジャッキ21は、左右方向に並べられて配置されており、それぞれ膨らんでいない状態で長方形状を有している。本体上部傾斜部12の上面の傾斜面において高さの高い側における、一対のエアジャッキ21の部分には、それぞれ管部材22が接続されている。1対のエアジャッキ21には、一対の臀部支持部15が、それぞれ載置された状態とされている。エアジャッキ21が膨らむことにより、臀部支持部15が被固定板部14に対して蝶番151の回転軸を中心に回転して持ち上げられるように構成されている。
【0016】
ポンプ32は、例えば、コンプレッサ等により構成され、管部材33を介して、本体基部11の外部の大気に連通する。また、ポンプ32は、一対の電磁弁31を介して一対の管部材22にそれぞれ接続されている。一対の管部材22は、エアジャッキ21に接続されている。ポンプ32及び一対の電磁弁31は、電子回路41に電気的に接続されている。ポンプ32は、電子回路41により制御されることにより、駆動/駆動停止を行う。また、一対の電磁弁31は、電子回路41により制御されることにより、それぞれ独立して、弁の開閉を行う。このため、一対のエアジャッキ21は、それぞれ別個独立して駆動することが可能である。
【0017】
即ち、電子回路41により一対の電磁弁31の両方を開いてポンプ32を駆動させる制御を行うことにより、図3に示すように、一対のエアジャッキ21の両方を膨らませて、左右両方の臀部支持部15を被固定板部14に対して、蝶番151の回転軸を中心に回転させて持ち上げる。
【0018】
また、電子回路41により一対の電磁弁31の左側(図2における右側)の電磁弁31を開いて、ポンプ32を駆動させる制御を行うことにより、図4に示すように、左側(図4における右側)のエアジャッキ21を膨らませて、左側の臀部支持部15を被固定板部14に対して、蝶番151の回転軸を中心に回転させて持ち上げる。
【0019】
また、電子回路41により一対の電磁弁31の右側(図2における左側)の電磁弁31を開いて、ポンプ32を駆動させる制御を行うことにより、図4に示すように、右側(図5における左側)のエアジャッキ21を膨らませて、右側の臀部支持部15を被固定板部14に対して、蝶番151の回転軸を中心に回転させて持ち上げる。
【0020】
上記構成の股関節伸展装置1を使用する際には、先ず使用者Pは、使用者Pの骨盤P12の上部、より具体的には、下位の腰椎L5に対向する位置に、蝶番151の回転軸を配置させるようにして、使用者Pの左右方向に一対の臀部支持部15が並ぶ位置関係で、図6に示すように、仰臥位の使用者Pの臀部を臀部支持部15の上に配置させる。
【0021】
この状態で、ポンプ32を駆動させる制御を行うことにより、エアジャッキ21を膨らませて、図7に示すように、臀部支持部15を下側から押圧して、被固定板部14に対して蝶番151の回転軸を中心に回転させて持ち上げる。これにより、使用者Pの股関節P21及びその付近が、最も高い位置にある臀部支持部15の先端部によって、最も高く持ち上げられる。これにより使用者Pにおける骨盤P12に対する下肢P13の角度A2が、図6に示す角度A1よりも大きくなり、確実且つ十分に股関節P21における伸展を行うことができる。
【0022】
なお、図6図7においては、骨盤P12は垂直に指向して延びているように図示しているが、これは模式的に図示したものであり、実際には、股関節P21は、背骨P11と骨盤P12との接続位置よりも、図6図7において左側に位置し、臀部支持部15の左端部付近に位置する。
【0023】
このように、臀部支持部15を被固定板部14に対して、蝶番151の回転軸を中心に回転させて持ち上げることを、適宜、使用者Pの必要に応じて、左側の臀部支持部15のみ、右側の臀部支持部15のみ、左右両方の臀部支持部15、のいずれかについて行うことにより、左脚の股関節P21、右脚の股関節P21、両脚の股関節P21、のいずれかにおいて伸展を行うことができる。
【0024】
上述の実施形態によれば、以下のような効果を発揮することができる。
本実施形態においては、股関節伸展装置1は、仰臥位の使用者Pの臀部を下方側から支持し、使用者Pの骨盤P12の上部に対向する位置に配置される蝶番151の回転軸を中心に回転可能に支持される臀部支持部15と、臀部支持部15を下側から押圧して回転させる駆動装置としてのエアジャッキ21、電磁弁31、及び、ポンプ32と、を備える。
【0025】
これにより、使用者Pの臀部の全体が支持された状態で、股関節P21及びその付近が、臀部支持部15の先端部によって、最も高く持ち上げられる。これにより使用者Pにおける骨盤P12に対する下肢P13の角度A2を、図6に示す角度A1よりも大きくすることができ、確実且つ十分に股関節P21における伸展を行うことができる。
【0026】
また、本実施形態においては、臀部支持部15は、板状の部材により構成される。これにより、骨盤P12を板状の臀部支持部15で支持することにより骨盤P12の姿勢を安定させた状態で、使用者Pの股関節P21を最も高く持ち上げることができる。このため、骨盤P12を背骨P11に対して反り返らせずに、この部分に負担をかけずに、伸展を確実且つ十分に行うことが可能となる。また、エアジャッキ21が膨らんでいくとエアジャッキ21の内部の圧力が高くなりエアジャッキ21は硬くなってゆくが、このように硬くなることが、直接使用者Pの臀部に伝わることを回避することが可能となる。
【0027】
また、本実施形態においては、駆動装置は、エアジャッキ21により構成される。これにより、エアジャッキ21の膨らみを利用して、臀部支持部15を持ち上げる構成を、容易に実現することが可能となる。
【0028】
また、本実施形態においては、エアジャッキ21は、左右一対設けられ、一対のエアジャッキ21は独立して駆動可能である。これにより、使用者Pの左の股関節P21のみ、右の股関節P21のみ、両方の股関節P21、のいずれかについて、必要に応じて、選択的に伸展を行うことが可能となる。
【0029】
また、本実施形態においては、臀部支持部15と蝶番151の回転軸により連結されて臀部支持部15を回転可能に支持する本体基部11とを備え、本体基部11の上面は、使用者Pの背部に対向し、少なくとも蝶番151の回転軸から、使用者Pの背部から頸部向かう方向に沿って下側へ傾斜する傾斜面により構成されている。これにより、使用Pを、使用者Pの背部から頸部へ向かう方向に沿って下側へ傾斜させた状態で、使用者Pの股関節P21の伸展を行うことが可能となる。
【0030】
本発明は、上述した実施形態に制限されることなく、請求の範囲に記載した範囲において、様々な形態で実施することができる。例えば、股関節伸展装置の各部の構成は、本実施形態による股関節伸展装置1の各部の構成に限定されない。基部や駆動装置等の構成は、本実施形態による本体基部11や、エアジャッキ21、電磁弁31、及び、ポンプ32等の構成に限定されない。
【符号の説明】
【0031】
1 股関節伸展装置
11 本体基部
15 臀部支持部
21 エアジャッキ(駆動装置)
31 電磁弁(駆動装置)
32 ポンプ(駆動装置)
151 蝶番
P 使用者
P12 骨盤
P21 股関節
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7