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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049602
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】粘着シート
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/38 20180101AFI20240403BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20240403BHJP
   B32B 27/00 20060101ALN20240403BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J201/00
B32B27/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155918
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002239
【氏名又は名称】弁理士法人G-chemical
(72)【発明者】
【氏名】岡原 快
(72)【発明者】
【氏名】横川 亮祐
(72)【発明者】
【氏名】奥村 友香
【テーマコード(参考)】
4F100
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
4F100AA21C
4F100AA21H
4F100AA37B
4F100AA37H
4F100AK25A
4F100AK25D
4F100AK25G
4F100AK42B
4F100AT00
4F100BA04
4F100CA13B
4F100CA13C
4F100CB05A
4F100CB05D
4F100CB05G
4F100GB48
4F100HB312
4F100HB31B
4F100HB31C
4F100HB35B
4F100HB35C
4F100JD08B
4F100JD08C
4F100JN02B
4F100JN02C
4J004AA10
4J004AB01
4J004BA02
4J004CA06
4J004EA05
4J004EA06
4J004FA01
4J004FA08
4J040DF041
4J040EF282
4J040GA07
4J040JA09
4J040JB09
4J040KA16
4J040KA26
4J040KA35
4J040KA38
4J040LA10
4J040NA17
4J040NA19
(57)【要約】
【課題】充分な遮光性を有し、且つ、被着体を意匠性の優れたものとすることができる粘着シートを提供する。
【解決手段】黒色を呈する遮光性層と白色を呈する着色層との積層構造を備える粘着シートであり、L***表色系で示されるL*について、前記粘着シートの一方の面のL*は35~75であり、他方の面のL*は前記一方の面のL*よりも10~50小さい、粘着シートを提供する。粘着シート1は、基材2と、基材2の一方の面に設けられた透明粘着剤層5aと、基材2の他方の面に設けられた黒色印刷層である遮光性印刷層3と、遮光性印刷層3表面に設けられた白色印刷層4と、白色印刷層4表面に設けられた透明粘着剤層5bとを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
黒色を呈する遮光性層と白色を呈する着色層との積層構造を備える粘着シートであり、
***表色系で示されるL*について、前記粘着シートの一方の面のL*は35~75であり、他方の面のL*は前記一方の面のL*よりも10~50小さい、粘着シート。
【請求項2】
波長550nmの光学濃度は3.0以上である請求項1に記載の粘着シート。
【請求項3】
両面粘着シートであり、電気電子機器における部材同士の固定用である請求項1または2に記載の粘着シート。
【請求項4】
請求項3に記載の粘着シートを備え、
前記粘着シートは両方の粘着面で部材同士を固定している、電気電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粘着シートに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、スマートフォン、デジタルカメラ、液晶ディスプレイ(LCD)、有機ELディスプレイ等の画像表示装置や携帯電子機器に用いられる粘着シートには、高い粘着力をはじめとする様々な性能が求められている。例えば、高い粘着力を有することに加え、画像表示装置内の光半導体素子が発する光を外部に漏らさない、あるいは外部からの光を筐体内部に侵入させないように、粘着シートには遮光性が求められる。
【0003】
例えば、特許文献1には、遮光性層、白色または銀色層、着色層をこの順に積層した積層構造、および、少なくとも一方の表層として粘着層を有する粘着シートであって、少なくとも一方の表面のL*(明度)が30以上、C*(彩度)が3以上であり、粘着シート全体の波長550nmの光の透過率が0.3%以下である粘着シートが開示されている。この粘着シートによれば、薄膜であっても、充分な遮光性を有することに加えて、表面に遮光性層の影響があらわれず、被着体に優れた装飾性を付与することができることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-308538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、画像表示装置や携帯電子機器は薄型化する傾向にあり、これに伴ってこれらに使用される粘着シートも薄型化が求められる。このため、上記粘着シートは薄くても遮光性に優れることが求められ、この場合、上記粘着シートはより黒く呈色される傾向がある。
【0006】
しかし、上記粘着シートには、充分な遮光性を有することに加え、被着体の意匠性を妨害しないことが求められる。遮光性に優れる粘着シートは一般的に黒色を呈していることが多いが、黒色は被着体との相性が悪い場合がある。例えば、灰色等の黒色以外の色を呈する被着体に対して黒色を呈する粘着シートを使用した場合には意匠性が劣る場合がある。よって、充分な遮光性を有し、且つ、被着体を意匠性の優れたものとすることができる粘着シートが求められている。
【0007】
本発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、その目的は、充分な遮光性を有し、且つ、被着体を意匠性の優れたものとすることができる粘着シート提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、特定の粘着シートによれば、充分な遮光性を有し、且つ、被着体を意匠性の優れたものとすることができることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて完成されたものである。
【0009】
すなわち、本発明は、黒色を呈する遮光性層と白色を呈する着色層との積層構造を備える粘着シートであり、
***表色系で示されるL*について、上記粘着シートの一方の面のL*は35~75であり、他方の面のL*は上記一方の面のL*よりも10~50小さい、粘着シートを提供する。
【0010】
上記粘着シートの、波長550nmの光学濃度は3.0以上であることが好ましい。
【0011】
上記粘着シートは、両面粘着シートであり、電気電子機器における部材同士の固定用であることが好ましい。
【0012】
また、本発明は、上記両面粘着シートを備え、
上記両面粘着シートは両方の粘着面で部材同士を固定している、電気電子機器を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の粘着シートによれば、充分な遮光性を有し、且つ、被着体を意匠性の優れたものとすることができる。このため、被着体が黒色以外の色を呈する場合、上記粘着シートを被着体に貼り合わせた際において、充分な遮光性を有しつつ、被着体の意匠性を妨害しにくい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る粘着シートの断面模式図である。
図2】本発明の一実施形態に係る粘着シートの断面模式図である。
図3】本発明の一実施形態に係る粘着シートの断面模式図である。
図4】本発明の一実施形態に係る粘着シートの断面模式図である。
図5】本発明の一実施形態に係る粘着シートの断面模式図である。
図6】本発明の一実施形態に係る粘着シートの断面模式図である。
図7】本発明の一実施形態に係る粘着シートの断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[粘着シート]
本発明の一実施形態に係る粘着シートは、黒色を呈する遮光性層と白色を呈する着色層との積層構造を備える。なお、本明細書において、上記白色を呈する着色層を「白色層」と称する場合がある。
【0016】
上記粘着シートは粘着剤層を少なくとも備える。上記粘着シートは、基材(基材層)を有しない、いわゆる「基材レスタイプ」の粘着シートであってもよいし、基材を有するタイプの粘着シートであってもよい。なお、本明細書において、「基材レスタイプ」の粘着シートを「基材レス粘着シート」と称する場合があり、基材を有するタイプの粘着シートを「基材付き粘着シート」と称する場合がある。上記基材レス粘着シートとしては、複層の粘着剤層のみからなる両面粘着シートが挙げられる。また、上記基材付き粘着シートとしては、例えば、基材の片面側に粘着剤層を有する片面粘着シートや、基材の両面側に粘着剤層を有する両面粘着シートが挙げられる。なお、上記の「基材(基材層)」とは、支持体のことであり、上記粘着シートを被着体に使用(貼付)する際には、粘着剤層とともに被着体に貼付される部分である。粘着シートの使用(貼付)時に剥離されるはく離ライナーは、上記基材に含まれない。
【0017】
上記粘着シートの、一方の面のL***表色系で示されるL*は、35~75であり、好ましくは40~72、より好ましくは45~70である。上記粘着シートの、他方の面のL***表色系で示されるL*は、上記一方の面のL*よりも10~50小さい。すなわち、[(一方の面のL*)-(他方の面のL*)]は、10~50であり、好ましくは15~45、より好ましくは20~40である。一方の面のL*が35以上であり、且つ、一方の面のL*および他方の面のL*の差が50以下であることにより、上記一方の面の明度が高く、被着体の意匠性を優れたものとすることができる。また、一方の面のL*が75以下であり、且つ、一方の面のL*および他方の面のL*の差が10以上であることにより、上記他方の面の明度が低く、遮光性に優れる。
【0018】
上記粘着シートの、上記他方の面のL***表色系で示されるL*は、30以下であることが好ましく、より好ましくは25以下、さらに好ましくは20以下である。上記他方の面のL*が30以下であると、遮光性により優れる。上記他方の面のL*は、10以上であることが好ましく、より好ましくは15以上である。
【0019】
(遮光性層)
上記遮光性層としては、上記粘着シートを構成する層であれば特に限定されず。例えば、基材、粘着剤層、印刷層(インク層)などが挙げられる。上記遮光性層は、光の透過を遮断する機能を有する層である。上記遮光性層は、各層を形成する際に黒色を呈する色材を含有させることにより、例えば、遮光性印刷層、遮光性基材、遮光性粘着剤層などとして形成することができる。
【0020】
上記遮光性層は、単層であってもよく、同一または組成、厚さ、物性などが異なる層から構成される複層であってもよい。特に、上記遮光性層が印刷層(遮光性印刷層)である場合、複層であることが好ましい。上記遮光性層が複層である場合、遮光性層の遮光性をより高くすることができ、また、各層にピンホールが発生する場合であっても遮光性を充分とすることができる。上記遮光性層が複層である構成としては、例えば、遮光性印刷層が複層積層された構成、単層または複層の遮光性印刷層と遮光性粘着剤層との積層構造などが挙げられる。上記複層における各遮光性層は、直接積層していてもよいし、他の層を介して積層していてもよい。上記遮光性層が複層である場合、遮光性層の層数は、2以上であり、例えば2~10、好ましくは2~8、より好ましくは2~5、さらに好ましくは3~4である。
【0021】
上記黒色を呈する色材としては、黒系色材の他、黒系色材、シアン系色材(青緑系色材)、マゼンダ系色材(赤紫系色材)、およびイエロー系色材(黄系色材)から選ばれた複数の色材が混合された色材混合物を用いることもできる。
【0022】
上記黒系色材としては、顔料、染料などのいずれの色材(着色剤)であってもよいが、顔料が好ましい。上記黒系色材としては、例えば、カーボンブラック(ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックなど)、グラファイト(黒鉛)、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、ペリレンブラック、チタンブラック、シアニンブラック、活性炭、フェライト(非磁性フェライト、磁性フェライトなど)、マグネタイト、酸化クロム、酸化鉄、二硫化モリブデン、クロム錯体、複合酸化物系黒色色素、アントラキノン系有機黒色色素などが挙げられる。上記黒系色材は一種のみを使用してもよいし二種以上を使用してもよい。中でも、コスト、入手性の観点から、カーボンブラックが好ましい。
【0023】
上記シアン系色材において、顔料(シアン系顔料)としては、例えば、C.I.ピグメントブルー1、同2、同3、同15、同15:1、同15:2、同15:3、同15:4、同15:5、同15:6、同16、同17、同17:1、同18、同22、同25、同56、同60、同63、同65、同66;C.I.バットブルー4;同60、C.I.ピグメントグリーン7などが挙げられる。上記シアン系色材において、染料(シアン系染料)としては、例えば、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95;C.I.アシッドブルー6、同45などが挙げられる。
【0024】
上記マゼンダ系色材において、顔料(マゼンダ系顔料)としては、例えば、C.I.ピグメントレッド1、同2、同3、同4、同5、同6、同7、同8、同9、同10、同11、同12、同13、同14、同15、同16、同17、同18、同19、同21、同22、同23、同30、同31、同32、同37、同38、同39、同40、同41、同42、同48:1、同48:2、同48:3、同48:4、同49、同49:1、同50、同51、同52、同52:2、同53:1、同54、同55、同56、同57:1、同58、同60、同60:1、同63、同63:1、同63:2、同64、同64:1、同67、同68、同81、同83、同87、同88、同89、同90、同92、同101、同104、同105、同106、同108、同112、同114、同122、同123、同139、同144、同146、同147、同149、同150、同151、同163、同166、同168、同170、同171、同172、同175、同176、同177、同178、同179、同184、同185、同187、同190、同193、同202、同206、同207、同209、同219、同222、同224、同238、同245;C.I.ピグメントバイオレット3、同9、同19、同23、同31、同32、同33、同36、同38、同43、同50;C.I.バットレッド1、同2、同10、同13、同15、同23、同29、同35などが挙げられる。
【0025】
上記マゼンダ系色材において、染料(マゼンダ系染料)としては、例えば、C.I.ソルベントレッド1、同3、同8、同23、同24、同25、同27、同30、同49、同52、同58、同63、同81、同82、同83、同84、同100、同109、同111、同121、同122;C.I.ディスパースレッド9;C.I.ソルベントバイオレット8、同13、同14、同21、同27;C.I.ディスパースバイオレット1;C.I.ベーシックレッド1、同2、同9、同12、同13、同14、同15、同17、同18、同22、同23、同24、同27、同29、同32、同34、同35、同36、同37、同38、同39、同40;C.I.ベーシックバイオレット1、同3、同7、同10、同14、同15、同21、同25、同26、同27、同28などが挙げられる。
【0026】
上記イエロー系色材において、顔料(イエロー系顔料)としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、同43;C.I.ピグメントイエロー1、同2、同3、同4、同5、同6、同7、同10、同11、同12、同13、同14、同15、同16、同17、同23、同24、同34、同35、同37、同42、同53、同55、同65、同73、同74、同75、同81、同83、同93、同94、同95、同97、同98、同100、同101、同104、同108、同109、同110、同113、同114、同116、同117、同120、同128、同129、同133、同138、同139、同147、同150、同151、同153、同154、同155、同156、同167、同172、同173、同180、同185、同195;C.I.バットイエロー1、同3、同20などが挙げられる。上記イエロー系色材において、染料(イエロー系染料)としては、例えばC.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162などが挙げられる。
【0027】
上記遮光性印刷層は、上記黒色を呈する色材、および必要に応じてバインダーを含む。上記バインダーとしては、特に制限されず、例えば、ポリウレタン系樹脂、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、尿素メラミン系樹脂、シリコーン系樹脂、フェノキシ樹脂、メタクリル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレートなど)、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体など)、ポリスチレン系樹脂(ポリスチレン、スチレン-アクリロニトリル共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-無水マレイン酸共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂など)、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、セルロース類(酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂など)、ポリアセタール等の公知乃至慣用の樹脂(熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂など)などが挙げられる。上記バインダーは、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。また、溶剤は、色材、バインダーの種類に応じて適宜選択される。
【0028】
上記遮光性印刷層は、上記黒色を呈する色材、および、必要に応じてバインダー、分散剤や溶剤などを含むインク組成物(黒色系インク組成物)を支持体(例えば、基材など)上に塗工、必要に応じて、乾燥、硬化させることにより形成することができる。
【0029】
上記遮光性印刷層の形成方法としては、公知乃至慣用のコーティング方法や、各種印刷法(グラビア印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、凸版印刷法、スクリーン印刷法など)を利用した方法などが挙げられる。
【0030】
上記遮光性印刷層の厚さ(総厚さ)は、特に限定されないが、1~20μmが好ましく、より好ましくは2~10μmである。上記厚さが1μm以上であるとより充分な遮光性が得られる。上記厚さが20μm以下であると、粘着シートの厚さをより薄くすることができる。
【0031】
上記遮光性基材は、基材を構成する成分中に上記黒色を呈する色材を混合したものが挙げられる。例えば上記遮光性基材が樹脂フィルムである場合、後述の基材を構成する樹脂中に上記黒色を呈する色材を混合したものが挙げられる。上記樹脂は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0032】
上記遮光性基材の厚さ(総厚さ)は、特に限定されないが、10~50μmが好ましく、より好ましくは20~40μmである。上記厚さが10μm以上であると、より充分な遮光性が得られる。上記厚さが50μm以下であると、粘着シートの厚さをより薄くすることができる。
【0033】
上記遮光性粘着剤層を構成する粘着剤としては、特に限定されず、公知乃至慣用の粘着剤を使用することができ、例えば後述の粘着剤が挙げられる。上記粘着剤は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0034】
上記遮光性粘着剤層に使用する上記黒色を呈する色材としては、例えば、黒色、灰色、白色、赤色、青色、黄色、緑色、黄緑色、橙色、紫色、金色、銀色、パール色等の着色剤が挙げられる。これらのうちの1種以上を使用して結果的に黒色を呈するような色材を選択して用いればよい。
【0035】
上記着色剤としては、特に限定されず、例えば、粘着剤層内を進行する光を吸収し減衰させ得る成分が用いられる。上記着色剤としては、少量の着色剤により遮光性を効率よく調節し得ることから、黒色着色剤が好ましい。上記黒色着色剤しては、カーボンブラック、グラファイト、アニリンブラック、ペリレンブラック、シアニンブラック、チタンブラック、無機顔料ヘマタイト、活性炭、二硫化モリブデン、クロム錯体、アントラキノン系着色剤などが挙げられる。上記黒色着色剤は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0036】
上記遮光性粘着剤層は上記着色剤としてカーボンブラック粒子を含むことが好ましい。上記カーボンブラック粒子としては、一般にカーボンブラック(ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック、松煙等)と称されるものを特に制限なく用いることができる。また、カーボンブラック粒子として、カルボキシ基やアミノ基、スルホン酸基、ケイ素含有基(例えばアルコキシシリル基、アルキルシリル基)等の官能基を有する表面改質カーボンブラック粒子を使用してもよい。このような表面改質カーボンブラック粒子は、自己分散型カーボンブラックとも称され、分散剤の添加量の低減、もしくは、不要にする効果がある。
【0037】
上記着色剤としては、少量の着色剤によって粘着剤層の遮光性を効率よく調節し得ることから、粒子状の着色剤(特に顔料)を好ましく使用することができる。上記粒子状の着色剤の平均粒径は、例えば約10nm以上であり、30nm以上、50nm以上、100nm以上、150nm以上であってもよい。上記粒子状の着色剤の平均粒径は、遮光性向上の観点から、例えば3000nm以下であり、1000nm以下、500nm以下、300nm以下、250nm以下、200nm以下、120nm以下、100nm以下であってもよい。上記平均粒径が小さいと、粘着剤層中の着色剤の分散性が向上し、遮光性をより向上させることができる。
【0038】
なお、本明細書において、上記平均粒径は体積平均粒子径として求めることができ、具体的には、レーザ散乱・回折法に基づく粒度分布測定装置に基づいて測定した粒度分布における積算値50%での粒径(50%体積平均粒子径;以下、D50と略記する場合もある。)を指す。測定装置としては、例えば、マイクロトラック・ベル社製の製品名「マイクロトラックMT3000II」またはその相当品を用いることができる。
【0039】
上記着色剤は、1つの実施形態において、TEM観察による個数基準の粒子径分布における標準偏差が200nm未満であることが好ましい。これにより、光吸収性に優れた粒子径範囲の粒子の割合が高くなり、より優れた遮光性が発揮される。上記標準偏差は、より好ましくは150nm未満、さらに好ましくは100nm未満、特に好ましくは80nm未満(例えば50nm未満)である。上記標準偏差は、例えば10nm以上であり、好ましくは20nm以上、より好ましくは30nm以上である。
【0040】
上記着色剤は、分散媒に分散した状態の分散液の形態で粘着剤組成物に添加してもよい。上記分散媒としては、特に限定されないが、水(イオン交換水、逆浸透水、蒸留水等)や、各種有機溶媒(エタノール等のアルコール類;アセトン等のケトン類;ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエーテル類;酢酸エチル等のエステル類;トルエン等の芳香族炭化水素類;それらの混合溶媒)、水と上記有機溶媒との水性混合溶媒が挙げられる。上記分散液は分散剤を含んでいてもよい。上記分散液を粘着剤組成物に混合することによって、上記粘着剤組成物は着色剤を含有し、さらに分散剤も含有し得る。
【0041】
上記遮光性粘着剤層中の上記着色剤の含有割合は、特に限定されないが、遮光性粘着剤層の総量100質量%に対して、例えば0.01質量%以上であり、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは4質量%以上である。上記着色剤の含有割合は、20質量%以下が好ましく、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
【0042】
上記遮光性粘着剤層の厚さ(総厚さ)は、特に限定されないが、1~30μmが好ましく、より好ましくは5~20μmである。上記厚さが1μm以上であると、より充分な遮光性が得られる。上記厚さが30μm以下であると、粘着シートの厚さをより薄くすることができる。
【0043】
(白色層)
上記白色層としては、上記粘着シートを構成する層であれば特に限定されず。例えば、基材、粘着剤層、印刷層(インク層)などが挙げられる。上記白色層としては、中でも、上記[(一方の面のL*)-(他方の面のL*)]を上述の特定の範囲とすることが容易である観点から、基材、印刷層が好ましく、より好ましくは印刷層である。
【0044】
上記白色層は、白色を呈する着色層である。上記白色層が、各層を形成する際に白色を呈する色材を含有させることにより、例えば、白色印刷層、白色基材、白色粘着剤層などとして形成することができる。
【0045】
上記白色層は、単層であってもよく、同一または組成、厚さ、物性などが異なる層から構成される複層であってもよい。上記白色層が複層である構成としては、例えば、白色印刷層が複層積層された構成などが挙げられる。上記複層における各白色層は、直接積層していてもよいし、他の層を介して積層していてもよい。上記白色層が複層である場合、白色層の層数は、2以上であり、例えば2~5、好ましくは2~3である。
【0046】
上記白色層は、L***表色系で示されるL*が、75以上(75~100)であることが好ましく、より好ましくは80以上、さらに好ましくは85以上である。なお、L***表色系で示されるa*やb*は、それぞれ、L*の値に応じて適宜選択することができる。a*および/またはb*は、-10~10が好ましく、より好ましくは-5~5、さらに好ましくは-2~2、特に好ましくは0である。
【0047】
上記白色を呈する色材としては、例えば、酸化チタン(ルチル型二酸化チタン、アナターゼ型二酸化チタンなどの二酸化チタン)、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化スズ、酸化バリウム、酸化セシウム,酸化イットリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム(軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウムなど)、炭酸バリウム、炭酸亜鉛、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、亜鉛華、硫化亜鉛、タルク、シリカ、アルミナ、クレー、カオリン、燐酸チタン、マイカ、石膏、ホワイトカーボン、珪藻土、ベントナイト、リトポン、ゼオライト、セリサイト、加水ハロイサイト等の無機の白系色材や、アクリル系樹脂粒子、ポリスチレン系樹脂粒子、ポリウレタン系樹脂粒子、アミド系樹脂粒子、ポリカーボネート系樹脂粒子、シリコーン系樹脂粒子、尿素-ホルマリン系樹脂粒子、メラミン系樹脂粒子等の有機の白系色材などが挙げられる。白系色材として、蛍光増白剤を用いることもでき、上記蛍光増白剤としては、公知の蛍光増白剤から適宜選択することができる。上記白色を呈する色材は、一種のみを使用してもよく、二種以上を使用してもよい。
【0048】
上記白色印刷層は、上記白色を呈する色材、および必要に応じてバインダーを含む。上記バインダーとしては、例えば、上述の遮光性印刷層が含んでいてもよいバインダーとして例示および説明されたものが挙げられる。上記バインダーは、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。また、溶剤は、色材、バインダーの種類に応じて適宜選択される。
【0049】
上記白色印刷層は、上記白色を呈する色材、および、必要に応じてバインダー、分散剤や溶剤などを含むインク組成物(白色系インク組成物)を支持体(例えば、基材など)上に塗工、必要に応じて、乾燥、硬化させることにより形成することができる。
【0050】
上記白色印刷層の形成方法としては、公知乃至慣用のコーティング方法や、各種印刷法(グラビア印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、凸版印刷法、スクリーン印刷法など)を利用した方法などが挙げられる。
【0051】
上記白色印刷層の厚さ(総厚さ)は、特に限定されないが、0.7μm以上が好ましく、より好ましくは1μm以上、さらに好ましくは1.5μm以上である。上記厚さが0.7μm以上であると、より充分な意匠性が得られる。また、上記白色印刷層の厚さは、特に限定されないが、例えば20μm以下であり、好ましくは10μm以下である。上記厚さが20μm以下であると、より充分な遮光性が得られる。
【0052】
上記白色基材は、基材を構成する成分中に上記白色を呈する色材を混合したものが挙げられる。例えば上記白色基材が樹脂フィルムである場合、後述の基材を構成する樹脂中に上記白色を呈する色材を混合したものが挙げられる。上記樹脂は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0053】
上記白色基材の厚さ(総厚さ)は、特に限定されないが、10~50μmが好ましく、より好ましくは20~40μmである。上記厚さが10μm以上であると、より充分な意匠性が得られる。上記厚さが50μm以下であると、より充分な遮光性が得られる。
【0054】
上記白色粘着剤層を構成する粘着剤としては、特に限定されず、公知乃至慣用の粘着剤を使用することができ、例えば後述の粘着剤が挙げられる。上記粘着剤は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0055】
上記白色粘着剤層の厚さ(総厚さ)は、特に限定されないが、1~30μmが好ましく、より好ましくは5~20μmである。上記厚さが1μm以上であると、より充分な意匠性が得られる。上記厚さが30μm以下であると、より充分な遮光性が得られる。
【0056】
(基材)
上記基材は、粘着シートにおいて支持体として機能する要素である。上記粘着シートは、遮光性印刷層および白色印刷層を形性容易である観点から、基材を備えることが好ましい。上記基材は、単層であってもよいし、同種または異種の基材の積層体であってもよい。
【0057】
上記基材としては、例えば、プラスチック基材(例えばプラスチックフィルム)、紙、布、不織布等の多孔質材料、ネット、発泡シートなどが挙げられる。上記基材としては、プラスチック基材(特にプラスチックフィルム)が好ましい。また、上記基材は非発泡シートであることが好ましい。
【0058】
上記プラスチック基材を構成する樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ランダム共重合ポリプロピレン、ブロック共重合ポリプロピレン、ホモポリプロレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、アイオノマー、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル(ランダム、交互)共重合体、エチレン-ブテン共重合体、エチレン-ヘキセン共重合体等のポリオレフィン系樹脂;ポリウレタン系樹脂;ゴム系樹脂(天然ゴム系、合成ゴム系、これらの混合系等):ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル;ポリカーボネート;ポリイミド;ポリエーテルエーテルケトン;ポリエーテルイミド;アラミド、全芳香族ポリアミド等のポリアミド;ポリフェニルスルフィド;フッ素樹脂;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;セルロース樹脂;シリコーン樹脂などが挙げられる。上記樹脂は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0059】
上記基材は、必要に応じて、例えば、充填剤(無機充填剤、有機充填剤等)、着色剤(顔料や染料)、分散剤(界面活性剤等)、老化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、可塑剤等の各種添加剤が配合されていてもよい。着色剤として黒色を呈する色材を含む場合の上記基材は遮光性基材であり得、着色剤として白色を呈する色材を含む場合の上記基材は白色基材であり得る。
【0060】
上記基材の粘着剤層や印刷層を備える側の表面は、層との密着性、保持性等を高める目的で、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、サンドマット加工処理、オゾン暴露処理、火炎暴露処理、高圧電撃暴露処理、イオン化放射線処理等の物理的処理;クロム酸処理等の化学的処理;コーティング剤(下塗り剤)による易接着処理等の表面処理が施されていてもよい。密着性を高めるための表面処理は、基材における密着性を向上させたい側の表面全体に施されていることが好ましい。
【0061】
上記基材の厚さは、支持体としての機能および表面の耐擦傷性に優れる観点から、5μm以上が好ましく、より好ましくは10μm以上である。上記基材の厚さは、50μm以下が好ましく、より好ましくは40μm以下である。
【0062】
(粘着剤層)
上記粘着シートが複数の粘着剤層を備える場合、上記複数の粘着剤層は、同一の粘着剤層であってもよく、組成、厚さ、物性などが異なる粘着剤層であってもよい。また、基材付き粘着シートにおける上記基材の一方の面に設けられた粘着剤層は、単層であってもよく、同一または組成、厚さ、物性などが異なる層から構成される複層であってもよい。
【0063】
上記粘着剤層を構成する粘着剤としては、公知乃至慣用のものを使用することができ、特に限定されないが、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤(天然ゴム系、合成ゴム系、これらの混合系等)、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリエーテル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、フッ素系粘着剤、スチレン系粘着剤などが挙げられる。中でも、粘着剤層を構成する粘着剤としては、密着性、耐候性、コスト、粘着剤の設計のしやすさの点より、アクリル系粘着剤が好ましい。上記粘着剤は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0064】
上記アクリル系粘着剤は、ベースポリマーとしてアクリル系ポリマーを含有する。上記アクリル系ポリマーは、ポリマーを構成するモノマー成分として、アクリル系モノマー(分子中に(メタ)アクリロイル基を有するモノマー)を含むポリマーである。すなわち、上記アクリル系ポリマーは、アクリル系モノマーに由来する構成単位を含む。なお、アクリル系ポリマーは、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。また、上記アクリル系ポリマーは、モノマー成分としてアクリル系モノマーを一種のみを含んでいてもよいし、二種以上を含んでいてもよい。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」および/または「メタクリル」(「アクリル」および「メタクリル」のうち、いずれか一方または両方)を表し、他も同様である。
【0065】
なお、本明細書において、ベースポリマーとは、粘着剤層を構成する粘着剤におけるポリマー成分の中の主成分、例えば50質量%を超えて含まれるポリマー成分をいうものとする。上記粘着剤層中のベースポリマーの含有割合は、粘着剤層の総量100質量%に対して、60質量%以上が好ましく、より好ましくは70質量%以上である。
【0066】
上記アクリル系ポリマーは、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位を質量割合で最も多く含むポリマーであることが好ましい。上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、炭化水素基含有(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。上記炭化水素基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル等の脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸アリールエステル等の芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。上記炭化水素基含有(メタ)アクリル酸エステルは、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0067】
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル((メタ)アクリル酸ラウリル)、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシルなどが挙げられる。
【0068】
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、中でも、炭素数が1~20(好ましくは2~12、より好ましくは4~10)の直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。上記炭素数が上記範囲内であると、上記アクリル系ポリマーのガラス転移温度の調整が容易であり、粘着性をより適切なものとしやすい。
【0069】
上記脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘプチル、(メタ)アクリル酸シクロオクチル等の一環式の脂肪族炭化水素環を有する(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸イソボルニル等の二環式の脂肪族炭化水素環を有する(メタ)アクリル酸エステル;ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリシクロペンタニル(メタ)アクリレート、1-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-メチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-エチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート等の三環以上の脂肪族炭化水素環を有する(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。
【0070】
上記芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸フェニルエステル、(メタ)アクリル酸ベンジルエステルなどが挙げられる。
【0071】
上記炭化水素基含有(メタ)アクリル酸エステルによる粘着性等の基本特性を上記粘着剤層において適切に発現させるためには、上記アクリル系ポリマーを構成する全モノマー成分における上記炭化水素基含有(メタ)アクリル酸エステルの割合は、上記全モノマー成分の総量(100質量%)に対して、50質量%以上が好ましく、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上であり、80質量%以上、90質量%以上、95質量%以上であってもよい。また、上記割合は、他のモノマー成分を共重合可能とし当該他のモノマー成分の効果を得る観点から、99.9質量%以下であってもよく、98質量%以下、95質量%以下、90質量%以下、80質量%以下であってもよい。
【0072】
上記アクリル系ポリマーは、凝集力の向上や架橋点の導入等の改質を目的として、上記炭化水素基含有(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な他のモノマー成分に由来する構成単位を含んでいてもよい。上記他のモノマー成分としては、例えば、ヒドロキシ基含有モノマー、窒素原子含有モノマー、カルボキシ基含有モノマー、酸無水物モノマー、ケト基含有モノマー、アルコキシシリル基含有モノマー、グリシジル基含有モノマー、スルホン酸基含有モノマー、リン酸基含有モノマー等の極性基含有モノマーなどが挙げられる。上記他のモノマー成分は、それぞれ、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0073】
上記ヒドロキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6-ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8-ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10-ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12-ヒドロキシラウリル、(4-ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0074】
上記窒素原子含有モノマーとしては、例えば、アミド基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、シアノ基含有モノマー、窒素原子含有環を有するモノマーなどが挙げられる。上記アミド基含有モノマーとしては、例えば(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。上記アミノ基含有モノマーとしては、例えば、アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t-ブチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。上記シアノ基含有モノマーとしては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルが挙げられる。上記窒素原子含有環を有するモノマーとしては、例えば、N-ビニル-2-ピロリドン、N-メチルビニルピロリドン、N-ビニルピリジン、N-ビニルピペリドン、N-ビニルピリミジン、N-ビニルピペラジン、N-ビニルピラジン、N-ビニルピロール、N-ビニルイミダゾール、N-ビニルオキサゾール、N-ビニルモルホリン、N-ビニルカプロラクタム、N-(メタ)アクリロイルモルホリンなどが挙げられる。
【0075】
上記カルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸などが挙げられる。上記酸無水物モノマーとしては、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸などが挙げられる。
【0076】
上記ケト基含有モノマーとしては、例えば、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリレート、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、アリルアセトアセテート、ビニルアセトアセテートなどが挙げられる。
【0077】
上記アルコキシシリル基含有モノマーとしては、例えば、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシランなどが挙げられる。
【0078】
上記グリシジル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどが挙げられる。
【0079】
上記スルホン酸基含有モノマーとしては、例えば、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸などが挙げられる。
【0080】
上記リン酸基含有モノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートなどが挙げられる。
【0081】
上記アクリル系ポリマーを構成する全モノマー成分(100質量%)中の、上記極性基含有モノマーの割合の合計は、特に限定されないが、極性基含有モノマーの使用による効果をよりよく発揮する観点から、0.1質量%以上であることが好ましく、より好ましくは1質量%以上である。また、上記割合の合計は、適度な柔軟性を有する粘着剤層を得る観点から、10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは8質量%以下である。
【0082】
上記アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分としては、さらに、その他のモノマーを含んでいてもよい。上記その他のモノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリン酸ビニル等のビニルエステル系モノマー;スチレン、置換スチレン(α-メチルスチレン等)、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物;エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、イソブチレン等のオレフィン系モノマー;塩化ビニル、塩化ビニリデン等の塩素含有モノマー;メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシ基含有モノマー;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル系モノマーなどが挙げられる。
【0083】
上記アクリル系ポリマーを構成する全モノマー成分の総量100質量%中の、上記その他のモノマーの割合は、例えば、0.05質量%以上、0.5質量%以上であってもよい。上記割合は、例えば、20質量%以下、10質量%以下、5質量%以下であってもよく、実質的に含まなくてもよい。
【0084】
上記アクリル系ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、5×104以上であることが好ましく、より好ましくは10×104以上、さらに好ましくは20×104以上、特に好ましくは30×104以上である。上記Mwが5×104以上であると、良好な凝集性を示す粘着剤が得られやすい。また、上記Mwは500×104以下であることが好ましい。上記Mwが500×104以下であると、適度な流動性(ポリマー鎖の運動性)を示す粘着剤を形成しやすい。
【0085】
上記アクリル系ポリマーは、アクリル系モノマーを少なくとも含む組成物を重合することにより得られる。これらの重合方法としては、特に限定されないが、例えば、溶液重合方法、乳化重合方法、塊状重合方法、熱重合方法、活性エネルギー線照射による重合方法(活性エネルギー線重合方法)などが挙げられる。中でも、粘着剤層の透明性、コストなどの点より、塊状重合方法、熱重合方法、活性エネルギー線重合方法が好ましい。また、得られるアクリル系ポリマーは、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体などいずれであってもよい。
【0086】
モノマー成分の重合に際しては、各種の一般的な溶剤が用いられてもよい。上記溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸n-ブチル等のエステル類;トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類;n-ヘキサン、n-ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類などの有機溶剤が挙げられる。上記溶剤は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0087】
モノマー成分のラジカル重合に用いられる重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤などは特に限定されず適宜選択して使用することができる。なお、ポリマーの重量平均分子量は、重合開始剤、連鎖移動剤の使用量、反応条件により制御可能であり、これらの種類に応じて適宜のその使用量が調整される。
【0088】
モノマー成分の重合に用いられる重合開始剤としては、重合反応の種類に応じて、熱重合開始剤や光重合開始剤(光開始剤)などが使用可能である。上記重合開始剤は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0089】
上記熱重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、アゾ系重合開始剤、過酸化物系重合開始剤(例えば、ジベンゾイルペルオキシド、tert-ブチルペルマレエート、過硫酸カリウム等の過硫酸塩、ベンゾイルパーオキサイド、過酸化水素等)、フェニル置換エタン等の置換エタン系開始剤、芳香族カルボニル化合物、レドックス系重合開始剤等が挙げられる。中でも、特開2002-69411号公報に開示されたアゾ系重合開始剤が好ましい。上記アゾ系重合開始剤としては、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス-2-メチルブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオン酸)ジメチル、4,4’-アゾビス-4-シアノバレリアン酸などが挙げられる。熱重合開始剤の使用量は、通常の使用量であればよく、例えば、モノマー成分100質量部に対して例えば0.01~5質量部、好ましくは0.05~3質量部の範囲から選択することができる。
【0090】
上記光重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、α-ケトール系光重合開始剤、芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、ケタール系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤などが挙げられる。他にも、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤、チタノセン系光重合開始剤が挙げられる。上記ベンゾインエーテル系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、アニソールメチルエーテルなどが挙げられる。上記アセトフェノン系光重合開始剤としては、例えば、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-(t-ブチル)ジクロロアセトフェノンなどが挙げられる。上記α-ケトール系光重合開始剤としては、例えば、2-メチル-2-ヒドロキシプロピオフェノン、1-[4-(2-ヒドロキシエチル)フェニル]-2-メチルプロパン-1-オンなどが挙げられる。上記芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤としては、例えば、2-ナフタレンスルホニルクロライドなどが挙げられる。上記光活性オキシム系光重合開始剤としては、例えば、1-フェニル-1,1-プロパンジオン-2-(O-エトキシカルボニル)-オキシムなどが挙げられる。上記ベンゾイン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインなどが挙げられる。上記ベンジル系光重合開始剤としては、例えば、ベンジルなどが挙げられる。上記ベンゾフェノン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、ポリビニルベンゾフェノン、α-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどが挙げられる。上記ケタール系光重合開始剤としては、例えば、ベンジルジメチルケタールなどが挙げられる。上記チオキサントン系光重合開始剤としては、例えば、チオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-メチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、ドデシルチオキサントンなどが挙げられる。上記アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、例えば、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイドなどが挙げられる。上記チタノセン系光重合開始剤としては、例えば、ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)-フェニル)チタニウムなどが挙げられる。光重合開始剤の使用量は、通常の使用量であればよく、例えば、モノマー成分100質量部に対して例えば0.01~5質量部、好ましくは0.05~3質量部の範囲から選択することができる。
【0091】
上記アクリル系ポリマーは、上記架橋剤に由来する構造部を含んでいてもよい。すなわち、上記アクリル系ポリマーは、上記架橋剤により架橋したものであってもよい。架橋剤を用いることにより、アクリル系粘着剤層におけるアクリル系ポリマー中に架橋構造を形成し、ゲル分率をコントロールすることができる。上記架橋剤を用いると、粘着剤層において、ベースポリマーの架橋構造が形成され、凝集力が向上する。上記架橋剤は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0092】
上記架橋剤としては、特に限定されないが、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メラミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤、尿素系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、アミン系架橋剤、ヒドラジン系架橋剤、シリコーン系架橋剤、シラン系架橋剤(シランカップリング剤)などが挙げられる。
【0093】
上記架橋剤の含有量は、特に限定されないが、上記アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分の総量100質量部に対して、0.001~20質量部が好ましく、より好ましくは0.01~15質量部、特に好ましくは0.5~10質量部である。
【0094】
上記イソシアネート系架橋剤は、1分子あたり平均2個以上のイソシアネート基を有する化合物(多官能イソシアネート化合物)である。上記イソシアネート系架橋剤としては、脂肪族ポリイソシアネート類、脂環族ポリイソシアネート類、芳香族ポリイソシアネート類等が挙げられる。
【0095】
上記脂肪族ポリイソシアネート類としては、例えば、1,2-エチレンジイソシアネート;1,2-テトラメチレンジイソシアネート、1,3-テトラメチレンジイソシアネート、1,4-テトラメチレンジイソシアネート等のテトラメチレンジイソシアネート;1,2-ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3-ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4-ヘキサメチレンジイソシアネート、1,5-ヘキサメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、2,5-ヘキサメチレンジイソシアネート等のヘキサメチレンジイソシアネート;2-メチル-1,5-ペンタンジイソシアネート、3-メチル-1,5-ペンタンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0096】
上記脂環族ポリイソシアネート類としては、例えば、イソホロンジイソシアネート;1,2-シクロヘキシルジイソシアネート、1,3-シクロヘキシルジイソシアネート、1,4-シクロヘキシルジイソシアネート等のシクロヘキシルジイソシアネート;1,2-シクロペンチルジイソシアネート、1,3-シクロペンチルジイソシアネート等のシクロペンチルジイソシアネート;水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシレンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0097】
上記芳香族ポリイソシアネート類としては、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート、2-ニトロジフェニル-4,4’-ジイソシアネート、2,2’-ジフェニルプロパン-4,4’-ジイソシアネート、3,3’-ジメチルジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、4,4’-ジフェニルプロパンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、ナフチレン-1,4-ジイソシアネート、ナフチレン-1,5-ジイソシアネート、3,3’-ジメトキシジフェニル-4,4’-ジイソシアネート、キシリレン-1,4-ジイソシアネート、キシリレン-1,3-ジイソシアネートなどが挙げられる。
【0098】
また、上記イソシアネート系架橋剤としては、例えば、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート付加物(商品名「コロネートL」、東ソー株式会社製)、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート付加物(商品名「コロネートHL」、東ソー株式会社製)、トリメチロールプロパン/キシリレンジイソシアネート付加物(商品名「タケネートD-110N」、三井化学株式会社製)などの市販品も挙げられる。
【0099】
なお、乳化重合にて作製した変性アクリル系ポリマーの水分散液では、イソシアネート系架橋剤を用いなくてもよいが、必要な場合には、水と反応し易いために、ブロック化したイソシアネート系架橋剤を用いることもできる。
【0100】
上記架橋剤としてイソシアネート系架橋剤を用いる場合の上記イソシアネート系架橋剤の含有量は、特に限定されないが、上記アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分の総量100質量部に対して、0.5質量部以上が好ましく、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは1.5質量部以上である。上記含有量は、10質量部以下が好ましく、より好ましくは8質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下である。
【0101】
上記エポキシ系架橋剤(多官能エポキシ化合物)としては、例えば、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-m-キシレンジアミン、ジグリシジルアニリン、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、o-フタル酸ジグリシジルエステル、トリグリシジル-トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノール-S-ジグリシジルエーテルの他、分子内にエポキシ基を2つ以上有するエポキシ系樹脂などが挙げられる。また、上記エポキシ系架橋剤としては、例えば、商品名「テトラッドC」(三菱ガス化学株式会社製)などの市販品も挙げられる。
【0102】
上記架橋剤としてエポキシ系架橋剤を用いる場合の上記エポキシ系架橋剤の含有量は、特に限定されないが、上記アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分の総量100質量部に対して、0質量部を超えて1質量部以下が好ましく、より好ましくは0.001~0.5質量部、さらに好ましくは0.002~0.2質量部、さらに好ましくは0.005~0.1質量部、さらに好ましくは0.008~0.1質量部、特に好ましくは0.009~0.05質量部である。
【0103】
上記過酸化物系架橋剤としては、熱によりラジカル活性種を発生してベースポリマーの架橋を進行させるものであれば適宜使用可能であるが、作業性や安定性を勘案して、1分間半減期温度が80~160℃である過酸化物を使用することが好ましく、90~140℃である過酸化物を使用することがより好ましい。
【0104】
上記過酸化物系架橋剤としては、例えば、ジ(2-エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート(1分間半減期温度:90.6℃)、ジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(1分間半減期温度:92.1℃)、ジ-sec-ブチルパーオキシジカーボネート(1分間半減期温度:92.4℃)、t-ブチルパーオキシネオデカノエート(1分間半減期温度:103.5℃)、t-ヘキシルパーオキシピバレート(1分間半減期温度:109.1℃)、t-ブチルパーオキシピバレート(1分間半減期温度:110.3℃)、ジラウロイルパーオキシド(1分間半減期温度:116.4℃)、ジ-n-オクタノイルパーオキシド(1分間半減期温度:117.4℃)、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(1分間半減期温度:124.3℃)、ジ(4-メチルベンゾイル)パーオキシド(1分間半減期温度:128.2℃)、ジベンゾイルパーオキシド(1分間半減期温度:130.0℃)、t-ブチルパーオキシイソブチレート(1分間半減期温度:136.1℃)、1,1-ジ(t-ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン(1分間半減期温度:149.2℃)などが挙げられる。
【0105】
上記過酸化物系架橋剤の半減期とは、過酸化物の分解速度を表す指標であり、過酸化物の残存量が半分になるまでの時間をいう。任意の時間で半減期を得るための分解温度や、任意の温度での半減期時間に関しては、メーカーカタログなどに記載されており、例えば、日油株式会社の「有機過酸化物カタログ第9版(2003年5月)」などに記載されている。なお、反応処理後の残存した過酸化物分解量の測定方法としては、例えば、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)により測定することができる。より具体的には、例えば、反応処理後の粘着剤を約0.2gずつ取り出し、酢酸エチル10mlに浸漬し、振とう機で25℃下、120rpmで3時間振とう抽出した後、室温で3日間静置する。次いで、アセトニトリル10ml加えて、25℃下、120rpmで30分振とうし、メンブランフィルター(0.45μm)によりろ過して得られた抽出液約10μlをHPLCに注入して分析し、反応処理後の過酸化物量とすることができる。
【0106】
上記架橋剤として過酸化物系架橋剤を用いる場合の上記架橋剤の含有量は、特に限定されないが、上記アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分の総量100質量部に対して、2質量部以下含有することが好ましく、より好ましくは0.02~2質量部、さらに好ましくは0.05~1質量部である。
【0107】
また、上記架橋剤として、有機系架橋剤や多官能性金属キレートを併用してもよい。多官能性金属キレートは、多価金属が有機化合物と共有結合または配位結合しているものである。多価金属原子としては、Al、Cr、Zr、Co、Cu、Fe、Ni、V、Zn、In、Ca、Mg、Mn、Y、Ce、Sr、Ba、Mo、La、Sn、Tiなどが挙げられる。共有結合または配位結合する有機化合物中の原子としては酸素原子などが挙げられ、有機化合物としてはアルキルエステル、アルコール化合物、カルボン酸化合物、エーテル化合物、ケトン化合物などが挙げられる。
【0108】
上記架橋剤としては、中でも、イソシアネート系架橋剤を含むことが好ましい。また、イソシアネート系架橋剤と共に他の架橋剤を含むことがより好ましい。上記他の架橋剤としては、エポキシ系架橋剤が好ましい。このような架橋剤を用いると、上記アクリル系ポリマーとの組み合わせ(特に、上述の好ましい上記アクリル系ポリマーとの組み合わせ)により、薄くてもより密着性に優れた粘着剤層とすることができる。
【0109】
上記粘着剤層は、粘着付与樹脂を含有していてもよい。粘着付与樹脂を含むと、上記粘着剤層は薄くてもより良好な密着性を有する傾向がある。上記粘着剤層が、アクリル系粘着剤と、粘着付与樹脂とを含む場合、被着体との密着性に優れ、より剥がれにくくなる。
【0110】
上記粘着付与樹脂としては、例えば、フェノール系粘着付与樹脂、テルペン系粘着付与樹脂、ロジン系粘着付与樹脂、炭化水素系粘着付与樹脂、エポキシ系粘着付与樹脂、ポリアミド系粘着付与樹脂、エラストマー系粘着付与樹脂、ケトン系粘着付与樹脂などが挙げられる。上記粘着付与樹脂は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0111】
上記フェノール系粘着付与樹脂としては、テルペンフェノール樹脂、水素添加テルペンフェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂、ロジンフェノール樹脂が挙げられる。上記テルペンフェノール樹脂は、テルペン残基およびフェノール残基を含むポリマーであり、テルペン類とフェノール化合物との共重合体(テルペン-フェノール共重合体樹脂)、テルペン類の単独重合体または共重合体をフェノール変性したもの(フェノール変性テルペン樹脂)が挙げられる。上記テルペンフェノール樹脂を構成するテルペン類としては、α-ピネン、β-ピネン、リモネン(d体、l体、d/l体(ジペンテン)等)等のモノテルペン類が挙げられる。上記水素添加テルペンフェノール樹脂は、上記テルペンフェノール樹脂を水素化した構造を有する樹脂である。上記アルキルフェノール樹脂は、アルキルフェノールとホルムアルデヒドから得られる樹脂(油性フェノール樹脂)である。上記アルキルフェノール樹脂としては、例えば、ノボラックタイプおよびレゾールタイプのものが挙げられる。上記ロジンフェノール樹脂は、ロジン類または後述の各種ロジン誘導体のフェノール変性物である。上記ロジンフェノール樹脂としては、例えば、ロジン類または後述の各種ロジン誘導体にフェノールを酸触媒で付加させ熱重合する方法等により得られる。
【0112】
上記テルペン系粘着付与樹脂としては、α-ピネン、β-ピネン、d-リモネン、l-リモネン、ジペンテン等のテルペン類(典型的にはモノテルペン類)の重合体が挙げられる。上記テルペン類の重合体は、一種のテルペン類の単独重合体であってもよく、二種以上のテルペン類の共重合体であってもよい。一種のテルペン類の単独重合体としては、α-ピネン重合体、β-ピネン重合体、ジペンテン重合体などが挙げられる。上記変性テルペン系粘着付与樹脂は、上記テルペン樹脂を変性したもの(変性テルペン樹脂)である。上記変性テルペン樹脂としては、スチレン変性テルペン樹脂、水素添加テルペン樹脂などが挙げられる。
【0113】
上記ロジン系粘着付与樹脂としては、ロジン類およびロジン誘導体樹脂が挙げられる。上記ロジン類としては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン等の未変性ロジン(生ロジン);これらの未変性ロジンを水素添加、不均化、重合等により変性した変性ロジン(水素添加ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、その他の化学的に修飾されたロジン等)などが挙げられる。上記ロジン誘導体樹脂としては、上記ロジン類の誘導体が挙げられる。上記ロジン誘導体樹脂としては、例えば、未変性ロジンとアルコール類とのエステルである未変性ロジンエステルや、変性ロジンとアルコール類とのエステルである変性ロジンエステル等のロジンエステル類;ロジン類を不飽和脂肪酸で変性した不飽和脂肪酸変性ロジン類;ロジンエステル類を不飽和脂肪酸で変性した不飽和脂肪酸変性ロジンエステル類;ロジン類または上記の各種ロジン誘導体のカルボキシ基を還元処理したロジンアルコール類;ロジン類または上記の各種ロジン誘導体の金属塩などが挙げられる。上記ロジンエステル類の具体例としては、未変性ロジンまたは変性ロジンのメチルエステル、トリエチレングリコールエステル、グリセリンエステル、ペンタエリスリトールエステルなどが挙げられる。
【0114】
上記炭化水素系粘着付与樹脂としては、脂肪族系炭化水素樹脂、芳香族系炭化水素樹脂、脂肪族系環状炭化水素樹脂、脂肪族・芳香族系石油樹脂(スチレン-オレフィン系共重合体等)、脂肪族・脂環族系石油樹脂、水素添加炭化水素樹脂、クマロン系樹脂、クマロンインデン系樹脂などが挙げられる。
【0115】
上記粘着剤層中の上記粘着付与樹脂の含有量は、特に限定されないが、上記ベースポリマーの総量100質量部に対して、例えば1質量部以上(例えば、1~100質量部)であり、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、さらに好ましくは15質量部以上である。上記含有量が1質量部以上であると、粘着剤層は薄くてもよりいっそう優れた密着性を有する。上記含有量は、耐熱凝集力が優れる観点から、100質量部以下が好ましく、より好ましくは60質量部以下、さらに好ましくは50質量部以下である。
【0116】
上記粘着剤層は、必要に応じて、さらに、架橋剤、架橋促進剤、老化防止剤、酸化防止剤、可塑剤、軟化剤、界面活性剤、帯電防止剤、表面潤滑剤、レベリング剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、箔状物、防錆剤、着色剤(染料、顔料等)、フィラーなどの添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲で含有していてもよい。上記添加剤は、それぞれ、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。着色剤として黒色を呈する色材を含む場合の上記粘着剤層は遮光性粘着剤層であり得、着色剤として白色を呈する色材を含む場合の上記粘着剤層は白色粘着剤層であり得る。
【0117】
上記粘着剤層の厚さ(基材付き両面粘着シートの場合は片面の粘着剤層の総厚さ)は、特に限定されないが、1~100μmが好ましく、より好ましくは2~50μm、さらに好ましくは5~30μmである。上記厚さが1μm以上であると、粘着シートの密着性により優れる。上記粘着剤層の厚さが100μm以下であると、粘着シートの厚さをより薄くすることができる。なお、基材付き両面粘着シートにおける両面の粘着剤層の厚さは、同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0118】
上記粘着剤層は、いずれの形態であってもよく、例えば、エマルジョン型、溶剤型(溶液型)、活性エネルギー線硬化型、熱溶融型(ホットメルト型)などであってもよい。中でも、生産性に優れる粘着剤層が得やすい点より、溶剤型、活性エネルギー線硬化型の粘着剤組成物が好ましい。
【0119】
上記活性エネルギー線としては、例えば、α線、β線、γ線、中性子線、電子線などの電離性放射線や、紫外線などが挙げられ、特に、紫外線が好ましい。すなわち、上記活性エネルギー線硬化型粘着剤層は紫外線硬化型粘着剤層が好ましい。
【0120】
上記粘着剤層は、例えば、粘着剤層を形成するための粘着剤組成物をはく離ライナー上に塗布(塗工)し、得られた粘着剤組成物層を乾燥硬化させることや、上記粘着剤組成物をはく離ライナー上に塗布(塗工)し、得られた粘着剤組成物層に活性エネルギー線を照射して硬化させて製造することができる。また、必要に応じて、さらに、加熱乾燥してもよい。
【0121】
(粘着シート)
上記粘着シートの好ましい積層構造としては、例えば、[粘着剤層/基材/遮光性印刷層/白色印刷層/粘着剤層]、[粘着剤層/遮光性印刷層/基材/遮光性印刷層/白色印刷層/粘着剤層]、[粘着剤層/遮光性印刷層/基材/白色印刷層/粘着剤層]、[遮光性粘着剤層/基材/遮光性印刷層/白色印刷層/粘着剤層]、[遮光性粘着剤層/白色印刷層/基材/粘着剤層]、[粘着剤層/遮光性基材/白色印刷層/粘着剤層]、[粘着剤層/遮光性印刷層/白色基材/遮光性印刷層/粘着剤層]などが挙げられる。なお、上記遮光性印刷層および上記白色印刷層は、単層であってもよく複層であってもよい。また、上記積層構造において「遮光性」および「白色」のいずれも付していない層は遮光性層および白色層以外の層(例えば透明層)である。
【0122】
上記粘着シートの波長550nmの光学濃度は、3.0以上が好ましく、より好ましくは3.5以上、さらに好ましくは4.0以上である。上記光学濃度が3.0以上であると、遮光性により優れる。
【0123】
上記粘着シートの厚さは、5~300μmであることが好ましく、より好ましくは100~200μm、より好ましくは20~100μmである。上記厚さが5μm以上であると、被着体への密着性により優れる。上記厚さが300μm以下であると、粘着シートの厚さをより薄くすることができる。なお、上記粘着シートの厚さは、両面粘着シートの場合は一方の粘着面から他方の粘着面までの厚さ、片面粘着シートの場合は基材表面から粘着面までの厚さ、すなわち粘着体の厚さをいい、はく離ライナーを含まない。
【0124】
上記粘着シートは、使用時まで、粘着剤層の表面(粘着面)にはく離ライナーが貼り合わせられていてもよい。両面粘着シートにおける両面の各粘着面は、2枚のはく離ライナーによりそれぞれ保護されていてもよいし、両面が剥離面となっているはく離ライナー1枚により、ロール状に巻回される形態(巻回体)で保護されていてもよい。はく離ライナーは粘着剤層の保護材として用いられ、被着体に貼付する際に剥がされる。なお、はく離ライナーは必ずしも設けられなくてもよい。
【0125】
上記はく離ライナーとしては、慣用の剥離紙などを使用でき、特に限定されないが、例えば、剥離処理層を有する基材、フッ素ポリマーからなる低接着性基材や無極性ポリマーからなる低接着性基材などが挙げられる。上記剥離処理層を有する基材としては、例えば、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、硫化モリブデン等の剥離処理剤により表面処理されたプラスチックフィルムや紙などが挙げられる。上記フッ素ポリマーからなる低接着性基材におけるフッ素系ポリマーとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン-フッ化ビニリデン共重合体などが挙げられる。また、上記無極性ポリマーとしては、例えば、オレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等)などが挙げられる。なお、はく離ライナーは公知乃至慣用の方法により形成することができる。また、はく離ライナーの厚さも特に限定されない。
【0126】
図1~7に、本発明の粘着シートの一実施形態の断面模式図を示す。図1に示す粘着シート(両面粘着シート)1は、基材2と、基材2の一方の面に設けられた透明粘着剤層5aと、基材2の他方の面に設けられた黒色印刷層である遮光性印刷層3と、遮光性印刷層3表面に設けられた白色印刷層4と、白色印刷層4表面に設けられた透明粘着剤層5bとを備える。遮光性印刷層3および白色印刷層4は、それぞれ、単層の印刷層により形成されていてもよいし、複層の印刷層により形成されていてもよい。透明粘着剤層5aおよび透明粘着剤層5bの表面には、それぞれ、はく離ライナーが設けられていてもよい。
【0127】
図2に示す粘着シート(両面粘着シート)1は、基材2と透明粘着剤層5aとの間に黒色印刷層である遮光性印刷層3aが挿入されていること以外は図1に示す粘着シート1と同様である。すなわち、図2に示す粘着シート1は、基材2の一方の面に設けられた黒色印刷層である遮光性印刷層3aと、遮光性印刷層3a表面に設けられた透明粘着剤層5aと、基材2の他方の面に設けられた黒色印刷層である遮光性印刷層3bと、遮光性印刷層3b表面に設けられた白色印刷層4と、白色印刷層4表面に設けられた透明粘着剤層5bとを備える。遮光性印刷層3a、3b、および白色印刷層4は、それぞれ、単層の印刷層により形成されていてもよいし、複層の印刷層により形成されていてもよい。透明粘着剤層5aおよび透明粘着剤層5bの表面には、それぞれ、はく離ライナーが設けられていてもよい。
【0128】
図3に示す粘着シート(両面粘着シート)1は、基材2と、基材2の一方の面に設けられた黒色印刷層である遮光性印刷層3と、遮光性印刷層3表面に設けられた透明粘着剤層5aと、基材2の他方の面に設けられた白色印刷層4と、白色印刷層4表面に設けられた透明粘着剤層5bとを備える。遮光性印刷層3および白色印刷層4は、それぞれ、単層の印刷層により形成されていてもよいし、複層の印刷層により形成されていてもよい。透明粘着剤層5aおよび透明粘着剤層5bの表面には、それぞれ、はく離ライナーが設けられていてもよい。
【0129】
図4に示す粘着シート(両面粘着シート)1は、透明粘着剤層5aの代わりに黒色粘着剤層である遮光性粘着剤層5cを使用していること以外は図1に示す粘着シート1と同様の構成である。すなわち、図4に示す粘着シート1は、基材2と、基材2の一方の面に設けられた黒色粘着剤層である遮光性粘着剤層5cと、基材2の他方の面に設けられた黒色印刷層である遮光性印刷層3と、遮光性印刷層3表面に設けられた白色印刷層4と、白色印刷層4表面に設けられた透明粘着剤層5bとを備える。遮光性印刷層3および白色印刷層4は、それぞれ、単層の印刷層により形成されていてもよいし、複層の印刷層により形成されていてもよい。遮光性粘着剤層5cおよび透明粘着剤層5bの表面には、それぞれ、はく離ライナーが設けられていてもよい。
【0130】
図5に示す粘着シートは、基材2と、基材2の一方の面に設けられた白色印刷層4と、白色印刷層4表面に設けられた黒色粘着剤層である遮光性粘着剤層5cと、基材2の他方の面に設けられた透明粘着剤層5bとを備える。白色印刷層4は単層の印刷層により形成されていてもよいし、複層の印刷層により形成されていてもよい。遮光性粘着剤層5cおよび透明粘着剤層5bの表面には、それぞれ、はく離ライナーが設けられていてもよい。
【0131】
図6に示す粘着シートは、黒色基材である遮光性基材2aと、遮光性基材2aの一方の面に設けられた透明粘着剤層5aと、遮光性基材2aの他方の面に設けられた白色印刷層4と、白色印刷層4表面に設けられた透明粘着剤層5bとを備える。白色印刷層4は単層の印刷層により形成されていてもよいし、複層の印刷層により形成されていてもよい。透明粘着剤層5aおよび透明粘着剤層5bの表面には、それぞれ、はく離ライナーが設けられていてもよい。
【0132】
図7に示す粘着シートは、白色基材2bと、白色基材2bの一方の面に設けられた黒色印刷層である遮光性印刷層3aと、遮光性印刷層3a表面に設けられた透明粘着剤層5aと、白色基材2bの他方の面に設けられた黒色印刷層である遮光性印刷層3bと、遮光性印刷層3b表面に設けられた透明粘着剤層5bとを備える。遮光性印刷層3aおよび3bは、それぞれ、単層の印刷層により形成されていてもよいし、複層の印刷層により形成されていてもよい。また、粘着シート1の両表面のL*を相違させる観点から、遮光性印刷層3aおよび遮光性印刷層3bの厚さは異なっており、遮光性印刷層3aの厚さを相対的に厚くしている。透明粘着剤層5aおよび透明粘着剤層5bの表面には、それぞれ、はく離ライナーが設けられていてもよい。
【0133】
上記粘着シートは、電気電子機器に備えられる部材に貼り合わせて使用される、電気電子部材貼付用であることが好ましい。上記粘着シートが両面粘着シートである場合、上記両面粘着シートは、両方の粘着面にそれぞれ、電気電子機器に備えられる部品を貼り合わせて使用される用途、すなわち電気電子機器における部材同士の固定用の両面粘着シートであることが好ましい。上記両面粘着シートは、上記部材同士を固定する用途、あるいは仮固定する用途のいずれに使用されるものであってもよい。
【0134】
なお、「電気電子機器」とは、電気機器または電子機器の少なくともいずれかに該当する機器をいう。上記電気電子機器としては、例えば、液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、プラズマディスプレイ等の画像表示装置や、携帯電子機器などが挙げられる。
【0135】
上記携帯電子機器としては、例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレット型パソコン、ノート型パソコン、各種ウェアラブル機器(例えば、腕時計のように手首に装着するリストウェア型、クリップやストラップ等で体の一部に装着するモジュラー型、メガネ型(単眼型や両眼型。ヘッドマウント型も含む。)を包含するアイウェア型、シャツや靴下、帽子等に例えばアクセサリの形態で取り付ける衣服型、イヤホンのように耳に取り付けるイヤウェア型等)、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、音響機器(携帯音楽プレーヤー、ICレコーダー等)、計算機(電卓等)、携帯ゲーム機器、電子辞書、電子手帳、電子書籍、車載用情報機器、携帯ラジオ、携帯テレビ、携帯プリンター、携帯スキャナ、携帯モデムなどが挙げられる。なお、本明細書において「携帯」とは、単に携帯することが可能であるだけでは充分ではなく、個人(標準的な成人)が相対的に容易に持ち運び可能なレベルの携帯性を有することを意味するものとする。上記粘着シートは、例えば、粘着剤層が上記携帯電子機器の部材に密着するように用いられる。
【0136】
本発明の粘着シートによれば、充分な遮光性を有し、且つ、被着体を意匠性の優れたものとすることができる。このため、被着体が黒色以外の色(例えばグレー色)を呈する場合、上記粘着シート(特に、上記粘着シートの上記他方の面)を被着体に貼り合わせた際において、充分な遮光性を有しつつ、被着体の意匠性を妨害しにくい。このため、被着体がセンサーやSUS板であっても意匠性に優れる。
【実施例0137】
以下に実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0138】
調製例1
(アクリル系ポリマー溶液Aの調製)
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流冷却器、および滴下ロートを備えた反応容器に、 モノマー成分としてのアクリル酸ブチル(BA)95質量部およびアクリル酸(AA)5質量部と、重合溶媒としての酢酸エチル233質量部とを仕込み、窒素ガスを導入しながら2時間撹拌した。このようにして重合系内の酸素を除去した後、重合開始剤として0.2質量部の2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を加え、60℃で8時間溶液重合してアクリル系ポリマーの溶液(アクリル系ポリマー溶液A)を得た。このアクリル系ポリマーのMwは約70×104であった。
【0139】
調製例2
(透明粘着剤層の調製)
調製例1で調製したアクリル系ポリマー溶液Aに、アクリル系ポリマー100質量部に対して、粘着付与樹脂としてテルペンフェノール樹脂(商品名「YSポリスターS-145」 、軟化点約140~150℃、水酸基価70~110mgKOH/g、ヤスハラケミカル株式会社製)30質量部と、架橋剤としてイソシアネート系架橋剤(商品名「コロネートL」、東ソー株式会社製)2質量部およびエポキシ系架橋剤(商品名「テトラッドC」、三菱ガス化学株式会社製)0.01質量部とを加え、撹拌混合して粘着剤組成物を調製した。上記粘着剤組成物を、片面をシリコーンで剥離処理した厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(製品名「MRF#38」、三菱ケミカル株式会社製)の剥離処理層上に塗布し、100℃で2分間乾燥させ、透明粘着剤層(厚さ10μm)を形成した。
【0140】
調製例3
(遮光性粘着剤層Aの調製)
調製例1で調製したアクリル系ポリマー溶液Aに、アクリル系ポリマー100質量部に対して、粘着付与樹脂としてテルペンフェノール樹脂(商品名「YSポリスターS-145」 、軟化点約140~150℃、水酸基価70~110mgKOH/g、ヤスハラケミカル株式会社製)30質量部と、架橋剤としてイソシアネート系架橋剤(商品名 「コロネートL」、東ソー株式会社製)2質量部およびエポキシ系架橋剤(商品名「テトラッドC」、三菱ガス化学株式会社製)0.01質量部とを加え、さらに黒色着色剤としてのカーボンブラック粒子(商品名「マルチラックA903」、平均粒径350nmトーヨーカラー社製)を粘着剤層中に10質量部となるよう添加し、撹拌混合して粘着剤組成物を調製した。上記粘着剤組成物を、片面をシリコーンで剥離処理した厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(製品名「MRF#38」、三菱ケミカル株式会社製)の剥離処理層上に塗布し、100℃で2分間乾燥させ、遮光性粘着剤層A(厚さ10μm)を形成した。
【0141】
調製例4
(遮光性粘着剤層Bの調製)
カーボンブラック粒子と分散剤とを、各々の含有量が約30質量%、約1~5質量%となるよう分散媒としての酢酸エチルに添加して、カーボンブラック分散液を調製した。カーボンブラック分散液につき、レーザ散乱・回折法(マイクロトラック・ベル社製の製品名「マイクロトラックMT3000II」使用。分散媒:酢酸エチル)に基づき粒度分布を測定し、平均粒径(D50)[nm]を記録した。D50は150nmであった。
【0142】
調製例1で調製したアクリル系ポリマー溶液Aに、アクリル系ポリマー100質量部に対して、粘着付与樹脂としてテルペンフェノール樹脂(商品名「YSポリスターS-145」 、軟化点約140~150℃、水酸基価70~110mgKOH/g、ヤスハラケミカル株式会社製)30質量部と、架橋剤としてイソシアネート系架橋剤(商品名 「コロネートL」、東ソー株式会社製)2質量部およびエポキシ系架橋剤(商品名「テトラッドC」、三菱ガス化学株式会社製)0.01質量部とを加え、さらに黒色着色剤として。カーボンブラック粒子の含有量が粘着剤層中に10質量部となるよう上記カーボンブラック分散液を添加し、撹拌混合して粘着剤組成物を調製した。上記粘着剤組成物を、片面をシリコーンで剥離処理した厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(製品名「MRF#38」、三菱ケミカル株式会社製)の剥離処理層上に塗布し、100℃で2分間乾燥させ、遮光性粘着剤層B(厚さ10μm)を形成した。
【0143】
実施例1
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(商品名「ルミラー」、厚さ:12μm、東レ株式会社製)の一方の面に、インキ(商品名「NB-300」、大日精化工業株式会社製)を、グラビア印刷法を利用して、黒色印刷層(遮光性印刷層)2.0μm、白色印刷層は0.8μm程度となるように、黒/黒/黒/白の順に多層印刷を行い、合計厚さが18.8μmの印刷層付き基材を得た。この印刷層付き基材の両面に、それぞれ、調製例2で作製した透明粘着剤層を貼り合わせ、はく離ライナー付きの、厚さ38.8μmの両面粘着シートを得た。両面粘着シートの構成は、[透明粘着剤層(1面側)/白色印刷層/遮光性印刷層(3層)/透明基材/透明粘着剤層(2面側)]である。
【0144】
実施例2
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(商品名「ルミラー」、厚さ:12μm、東レ株式会社製)の一方の面に、インキ(商品名「NB-300」、大日精化工業株式会社製)を、グラビア印刷法を利用して、各層2.0μm程度となるように、黒/黒/黒/白の順に多層印刷を行い、合計厚さが19.6μmの印刷層付き基材を得た。この印刷層付き基材の両面に、それぞれ、調製例2で作製した透明粘着剤層を貼り合わせ、はく離ライナー付きの、厚さ39.6μmの両面粘着シートを得た。両面粘着シートの構成は、[透明粘着剤層(1面側)/白色印刷層/遮光性印刷層(3層)/透明基材/透明粘着剤層(2面側)]である。
【0145】
実施例3
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(商品名「ルミラー」、厚さ:12μm、東レ株式会社製)の一方の面に、インキ(商品名「NB-300」、大日精化工業株式会社製)を、グラビア印刷法を利用して、各層2.0μm程度となるように、黒/黒/黒/黒/白の順に多層印刷を行い、合計厚さが22μmの印刷層付き基材を得た。この印刷層付き基材の両面に、それぞれ、調製例2で作製した透明粘着剤層を貼り合わせ、はく離ライナー付きの、厚さ42μmの両面粘着シートを得た。両面粘着シートの構成は、[透明粘着剤層(1面側)/白色印刷層/遮光性印刷層(4層)/透明基材/透明粘着剤層(2面側)]である。
【0146】
実施例4
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(商品名「ルミラー」、厚さ:12μm、東レ株式会社製)の一方の面に、インキ(商品名「NB-300」、大日精化工業株式会社製)を、グラビア印刷法を利用して、各層2.0μm程度となるように、黒/黒/黒/白/白/白の順に多層印刷を行い、合計厚さが24μmの印刷層付き基材を得た。この印刷層付き基材の両面に、それぞれ、調製例2で作製した透明粘着剤層を貼り合わせ、はく離ライナー付きの、厚さ44μmの両面粘着シートを得た。両面粘着シートの構成は、[透明粘着剤層(1面側)/白色印刷層(3層)/遮光性印刷層(3層)/透明基材/透明粘着剤層(2面側)]である。
【0147】
実施例5
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(商品名「ルミラー」、厚さ:12μm、東レ株式会社製)の一方の面に、インキ(商品名「NB-300」、大日精化工業株式会社製)を、グラビア印刷法を利用して、各層2.0μm程度となるように、黒/黒の順に多層印刷を行った。また、上記PETフィルムの他方の面に、インキ(商品名「NB-300」、大日精化工業株式会社製)を、グラビア印刷法を利用して、各層2.0μm程度となるように、黒/黒/白の順に多層印刷を行った。このようにして、合計厚さが22μmの印刷層付き基材を得た。この印刷層付き基材の両面に、それぞれ、調製例2で作製した透明粘着剤層を貼り合わせ、はく離ライナー付きの、厚さ42μmの両面粘着シートを得た。両面粘着シートの構成は、[透明粘着剤層(1面側)/白色印刷層(1層)/遮光性印刷層(2層)/透明基材/遮光性印刷層(2層)/透明粘着剤層(2面側)]である。
【0148】
実施例6
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(商品名「ルミラー」、厚さ:12μm、東レ株式会社製)の一方の面に、インキ(商品名「NB-300」、大日精化工業株式会社製)を、グラビア印刷法を利用して、各層2.0μm程度となるように、黒/黒/黒の順に多層印刷を行った。また、上記PETフィルムの他方の面に、インキ(商品名「NB-300」、大日精化工業株式会社製)を、グラビア印刷法を利用して、厚さ2.0μm程度となるように白色印刷層の形成を行った。このようにして、合計厚さが20μmの印刷層付き基材を得た。この印刷層付き基材の両面に、それぞれ、調製例2で作製した透明粘着剤層を貼り合わせ、はく離ライナー付きの、厚さ40μmの両面粘着シートを得た。両面粘着シートの構成は、[透明粘着剤層(1面側)/白色印刷層(1層)/透明基材/遮光性印刷層(3層)/透明粘着剤層(2面側)]である。
【0149】
実施例7
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(商品名「ルミラー」、厚さ:12μm、東レ株式会社製)の一方の面に、インキ(商品名「NB-300」、大日精化工業株式会社製)を、グラビア印刷法を利用して、黒色印刷層(遮光性印刷層)2.0μm、白色印刷層0.8μm程度となるように、黒/黒/黒/白の順に多層印刷を行い、合計厚さが18.8μmの印刷層付き基材を得た。この印刷層付き基材の印刷層形成面に、調製例2で作製した透明粘着剤層を貼り合わせた。また、上記印刷層付き基材の印刷層非形成面に、調製例3で作製した遮光性粘着剤層Aを貼り合わせた。このようにして、はく離ライナー付きの、厚さ38.8μmの両面粘着シートを得た。両面粘着シートの構成は、[透明粘着剤層(1面側)/白色印刷層/遮光性印刷層(3層)/透明基材/遮光性粘着剤層A(2面側)]である。
【0150】
実施例8
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(商品名「ルミラー」、厚さ:12μm、東レ株式会社製)の一方の面に、インキ(商品名「NB-300」、大日精化工業株式会社製)を、グラビア印刷法を利用して、各層2.0μm程度となるように、黒/黒/黒/白の順に多層印刷を行い、合計厚さが19.6μmの印刷層付き基材を得た。この印刷層付き基材の印刷層形成面に、調製例2で作製した透明粘着剤層を貼り合わせた。また、上記印刷層付き基材の印刷層非形成面に、厚さが10μmとなるように、調製例3で作製した遮光性粘着剤層Aを貼り合わせた。このようにして、はく離ライナー付きの、厚さ39.6μmの両面粘着シートを得た。両面粘着シートの構成は、[透明粘着剤層(1面側)/白色印刷層/遮光性印刷層(3層)/透明基材/遮光性粘着剤層A(2面側)]である。
【0151】
実施例9
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(商品名「ルミラー」、厚さ:12μm、東レ株式会社製)の一方の面に、インキ(商品名「NB-300」、大日精化工業株式会社製)を、グラビア印刷法を利用して、厚さ2.0μm程度となるように白色印刷層の形成を行い、厚さが13.6μmの印刷層付き基材を得た。この印刷層付き基材の印刷層形成面に、厚さが10μmとなるように、調製例4で作製した遮光性粘着剤層Bを貼り合わせた。また、上記印刷層付き基材の印刷層非形成面に、厚さが10μmとなるように、調製例2で作製した透明粘着剤層を貼り合わせた。このようにして、はく離ライナー付きの、厚さ33.6μmの両面粘着シートを得た。両面粘着シートの構成は、[透明粘着剤層(1面側)/透明基材/白色印刷層/遮光性粘着剤層B(2面側)]である。
【0152】
実施例10
黒色ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(商品名「ルミラー#25-X36」、厚さ:25μm、東レ株式会社製)の一方の面に、インキ(商品名「NB-300」、大日精化工業株式会社製)を、グラビア印刷法を利用して、厚さ2.0μm程度となるように白色印刷層の形成を行い、厚さが26.6μmの印刷層付き基材を得た。この印刷層付き基材の両面に、それぞれ、調製例2で作製した透明粘着剤層を貼り合わせ、はく離ライナー付きの、厚さ46.6μmの両面粘着シートを得た。両面粘着シートの構成は、[透明粘着剤層(1面側)/白色印刷層/遮光性基材/透明粘着剤層(2面側)]である。
【0153】
実施例11
白色ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(商品名「ルミラー#38-E20」、厚さ:38μm、東レ株式会社製)の一方の面に、インキ(商品名「NB-300」、大日精化工業株式会社製)を、グラビア印刷法を利用して、各層2.0μm程度となるように、黒/黒/黒の順に多層印刷を行った。また、上記白色PETフィルムの他方の面に、インキ(商品名「NB-300」、大日精化工業株式会社製)を、グラビア印刷法を利用して、厚さ1.0μm程度となるように黒色印刷層(遮光性印刷層)の形成を行った。このようにして、合計厚さが45.5μmの印刷層付き基材を得た。この印刷層付き基材の両面に、それぞれ、調製例2で作製した透明粘着剤層を貼り合わせ、はく離ライナー付きの、厚さ65.5μmの両面粘着シートを得た。両面粘着シートの構成は、[透明粘着剤層(1面側)/遮光性印刷層/白色基材/遮光性印刷層(3層)/透明粘着剤層(2面側)]である。
【0154】
比較例1
白色ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(商品名「ルミラー#38-E20」、厚さ:38μm、東レ株式会社製)の一方の面に、インキ(商品名「NB-300」、大日精化工業株式会社製)を、グラビア印刷法を利用して、各層2.0μm程度となるように、白/銀/黒/黒/黒の順に多層印刷を行い、厚さが48μmの印刷層付き基材を得た。この印刷層付き基材の両面に、それぞれ、調製例2で作製した透明粘着剤層を貼り合わせ、はく離ライナー付きの、厚さ68μmの両面粘着シートを得た。両面粘着シートの構成は、[透明粘着剤層(1面側)/白色基材/白色印刷層/銀色印刷層/遮光性印刷層(3層)/透明粘着剤層(2面側)]である。
【0155】
比較例2
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(商品名「ルミラー」、厚さ:12μm、東レ株式会社製)の一方の面に、インキ(商品名「NB-300」、大日精化工業株式会社製)を、グラビア印刷法を利用して、黒色印刷層(遮光性印刷層)2.0μm、白色印刷層は0.6μm程度となるように、黒/黒/黒/白の順に多層印刷を行い、合計厚さが18.6μmの印刷層付き基材を得た。この印刷層付き基材の両面に、それぞれ、調製例2で作製した透明粘着剤層を貼り合わせ、はく離ライナー付きの、厚さ38.6μmの両面粘着シートを得た。両面粘着シートの構成は、[透明粘着剤層(1面側)/白色印刷層/遮光性印刷層(3層)/透明基材/透明粘着剤層(2面側)]である。
【0156】
比較例3
黒色ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(商品名「ルミラー#25-X36」、厚さ:25μm、東レ株式会社製)の両面に、それぞれ、調製例2で作製した透明粘着剤層を貼り合わせ、はく離ライナー付きの、厚さ45μmの両面粘着シートを得た。両面粘着シートの構成は、[透明粘着剤層(1面側)/遮光性基材/透明粘着剤層(2面側)]である。
【0157】
比較例4
白色ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(商品名「ルミラー#38-E20」、厚さ:38μm、東レ株式会社製)の両面に、それぞれ、調製例2で作製した透明粘着剤層を貼り合わせ、はく離ライナー付きの、厚さ58μmの両面粘着シートを得た。両面粘着シートの構成は、[透明粘着剤層(1面側)/白色基材/透明粘着剤層(2面側)]である。
【0158】
比較例5
白色ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(商品名「ルミラー#38-E20」、厚さ:38μm、東レ株式会社製)の一方の面に、インキ(商品名「NB-300」、大日精化工業株式会社製)を、グラビア印刷法を利用して、各層2.0μm程度となるように、黒/黒/黒の順に多層印刷を行い、厚さが44μmの印刷層付き基材を得た。この印刷層付き基材の両面に、それぞれ、調製例2で作製した透明粘着剤層を貼り合わせ、はく離ライナー付きの、厚さ64μmの両面粘着シートを得た。両面粘着シートの構成は、[透明粘着剤層(1面側)/白色基材/遮光性印刷層(3層)/透明粘着剤層(2面側)]である。
【0159】
比較例6
調製例3で作製した遮光性粘着剤層Aからなる両面粘着シート(はく離ライナー付き)を比較例6の粘着シートとした。
【0160】
比較例7
調製例4で作製した遮光性粘着剤層Bからなる両面粘着シート(はく離ライナー付き)を比較例7の粘着シートとした。
【0161】
<評価>
実施例および比較例で得られた粘着シートについて、以下の評価を行った。結果を表に示す。
【0162】
(1)明度L*
実施例および比較例で作製した粘着シートの両方のはく離ライナー表面について、色彩色差計(装置名「CR-200」、コニカミノルタ株式会社製)を用いて、L***表色系で示されるL*を測定した。そして、ΔL=[(1面側のL*)-(2面側のL*)]として算出した。なお、使用したはく離ライナーは透明性が高く粘着シートのL*への影響はないものとして、はく離ライナー付きで測定した。
【0163】
(2)光学濃度(OD値)
UV-VIS紫外可視分光光度計(商品名「SolidSpec-3700」、株式会社島津製作所製)を用いて、粘着シートの一方の面側から照射して他方の面側に透過した波長550nmの光の強度を測定することにより求めた。なお、はく離ライナーは剥がした状態で測定を行った。
【0164】
(3)外観検査目視判定
被着体(商品名「デコパネ」、発泡ポリスチレンパネル、グレー、L*:57.8、光洋産業株式会社製)とし、ΔLが10≦X≦50の範囲内であり、且つ、上記被着体および1面側のL*の差の絶対値が12以下である場合を◎、12を超え20以下の場合を〇、20を超えた場合を×とした。
【0165】
【表1】
【0166】
【表2】
【0167】
表1に示すように、本発明の粘着シートは、1面側のL*は35~75であり、2面側のL*は上記1面側のL*よりも10~50小さく、光学濃度が高く且つ外観検査目視判定が〇以上であり、充分な遮光性を有し、且つ、被着体を意匠性の優れたものとすることができると評価された。一方、ΔLが10~50の範囲外である場合、外観検査目視判定が×であり、遮光性および/または被着体の意匠性が劣ると評価された(比較例)。
【符号の説明】
【0168】
1 粘着シート
2 基材
2a 遮光性基材
2b 白色基材
3,3a,3b 遮光性印刷層
4 白色印刷層
5a,5b 透明粘着剤層
5c 遮光性粘着剤層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7