(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049616
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】上製合紙本及びその組立方法
(51)【国際特許分類】
B42D 3/00 20060101AFI20240403BHJP
B42D 1/00 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
B42D3/00 B
B42D3/00 C
B42D1/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155950
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】520399578
【氏名又は名称】吉田 直弘
(72)【発明者】
【氏名】吉田 直弘
(57)【要約】
【課題】表紙の耐久性が向上した上製合紙本及びその組立方法を提供すること。
【解決手段】上製合紙本は、背表紙と、表表紙と、裏表紙と、複数枚の紙又は板紙を貼り合わせて一葉とした本紙部とを備える。背表紙、表表紙及び裏表紙は、別体に構成された板状の芯材をそれぞれ含む。上製合紙本を開いた状態で表表紙と裏表紙の間に位置する背表紙の第1芯材は、表表紙の第2芯材及び裏表紙の第3芯材とそれぞれ隙間を空けて設けられている。第1芯材と第2芯材は結合紙を介して結合され、かつ、第1芯材と第3芯材は結合紙を介して結合されている。結合紙を介して並んで結合された第2芯材、第1芯材及び第3芯材に対して、上製合紙本の背側から表紙用紙を覆い被せて接着することで、表表紙、背表紙及び裏表紙が一体に構成される。第1芯材と第2芯材又は第3芯材を結合した状態の結合紙の流れ目は、上製合紙本の天地方向と交差する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
背表紙と、表表紙と、裏表紙と、複数枚の紙又は板紙を貼り合わせて一葉とした本紙部と、を備えた上製合紙本であって、
前記背表紙、前記表表紙及び前記裏表紙は、別体に構成された板状の芯材をそれぞれ含み、
前記上製合紙本を開いた状態で前記表表紙と前記裏表紙の間に位置する前記背表紙の第1芯材は、前記表表紙の第2芯材及び前記裏表紙の第3芯材とそれぞれ隙間を空けて設けられており、
前記第1芯材と前記第2芯材は結合紙を介して結合され、かつ、前記第1芯材と前記第3芯材は結合紙を介して結合され、
前記結合紙を介して並んで結合された前記第2芯材、前記第1芯材及び前記第3芯材に対して、前記上製合紙本の背側から表紙用紙を覆い被せて接着することで、前記背表紙、前記表表紙及び前記裏表紙が一体に構成され、
前記第1芯材と前記第2芯材又は前記第3芯材を結合した状態の前記結合紙の流れ目は、前記上製合紙本の天地方向と交差する、上製合紙本。
【請求項2】
請求項1に記載の上製合紙本であって、
前記結合紙の流れ目は、前記上製合紙本の天地方向と略直角に交差する、上製合紙本。
【請求項3】
請求項1または2に記載の上製合紙本であって、
前記結合紙は、前記第1芯材と前記第2芯材又は前記第3芯材の間に設けられた前記隙間の前記天地方向における各端部を、前記上製合紙本の背側とのど側の両方から覆って、前記第1芯材から前記第2芯材又は前記第3芯材にわたり接着されている、上製合紙本。
【請求項4】
請求項3に記載の上製合紙本であって、
前記結合紙は、前記天地方向に延びた長尺状に形成され、前記上製合紙本ののど側から前記隙間の前記天地方向全体を前記端部を跨いで覆う、上製合紙本。
【請求項5】
請求項3に記載の上製合紙本であって、
前記結合紙は、前記天地方向に延びた長尺状に形成され、前記上製合紙本の背側から前記隙間の前記天地方向全体を前記端部を跨いで覆う、上製合紙本。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の上製合紙本であって、
前記第1芯材と前記第2芯材を結合する前記結合紙、及び前記第1芯材と前記第3芯材を結合する前記結合紙は、一体に構成された一枚の紙である、上製合紙本。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の上製合紙本であって、
前記結合紙は和紙である、上製合紙本。
【請求項8】
別体に構成された板状の芯材をそれぞれ含む背表紙、表表紙及び裏表紙と、複数枚の紙又は板紙を貼り合わせて一葉とした本紙部と、を備えた上製合紙本の組立方法であって、
前記上製合紙本を開いた状態で前記表表紙と前記裏表紙の間に位置する前記背表紙の第1芯材を、前記表表紙の第2芯材及び前記裏表紙の第3芯材とそれぞれ隙間を空けて設ける手順と、
結合紙を介して前記第1芯材と前記第2芯材を結合し、かつ、結合紙を介して前記第1芯材と前記第3芯材を結合する手順と、
前記結合紙を介して並んで結合された前記第2芯材、前記第1芯材及び前記第3芯材に対して、前記上製合紙本の背側から表紙用紙を覆い被せて接着する手順と、
前記表表紙、前記背表紙及び前記裏表紙が一体に構成された表紙部の前記表表紙の印刷面の裏側と前記裏表紙の印刷面の裏側に前記本紙部を貼り合わせる手順と、を有し、
前記結合紙を介して前記第1芯材と前記第2芯材又は前記第3芯材を結合する際、前記結合紙は、流れ目が前記上製合紙本の天地方向と交差する方向に配置される、上製合紙本の組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、上製合紙本及びその組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
仕掛け絵本などの本には、任意の模様の穴又は切り込みが本文中に設けられている。当該構成を実現するために、複数の紙面を構成する本紙部は、複数枚の紙を貼り合わせて一葉とすることで形成される。こういった、複数枚の紙が貼り合わされて構成される本は「合紙本」と呼ばれる。また、厚紙等によって本紙部とは別体に構成された表紙で本紙部を綴じた本は「上製本」と呼ばれる。以下の説明では、厚紙等によって形成された表紙で合紙本の本紙部を綴じた本を「上製合紙本」という。
【0003】
図9は、従来の上製合紙本を開いた状態で小口側斜め上から見た場合の斜視図である。
図9に示す上製合紙本10は、背表紙11と、表表紙12と、裏表紙13と、本紙部15とを備える。本紙部15は、上製合紙本10の中身であり、複数枚の紙を貼り合わせて一葉とした複数の紙面を構成する。
【0004】
図10は、
図9に示す上製合紙本1から本紙部15を除いて表紙部のみを小口側斜め上から見た場合の斜視図と、当該斜視図に示すX-X線断面図である。
図10に示すように、上製合紙本1から本紙部15を除いて構成される表紙部は、背表紙11、表表紙12及び裏表紙13を有する。背表紙11は、上製合紙本1を開いた状態で表表紙12と裏表紙13の間に位置する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7-285277
【特許文献2】特開2011-20384
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図10に示すように、上製合紙本1の表表紙12と背表紙11及び裏表紙13と背表紙11は、各表紙の内部に設けられる芯材14を上製合紙本1の背側から覆う表紙用紙16によって連結されている。このため、経年劣化等によって表紙用紙16の強度が低下した状態で上製合紙本1を何回も開閉したり、背表紙11を中心に表表紙12と裏表紙13をねじる等の動作により表紙連結部分に過度な力が加わると、上製合紙本1の天地方向における表紙連結部分の端部に亀裂が生じる場合がある。表紙連結部分の端部に生じた亀裂は、その後、上製合紙本1を開閉するだけで天地方向の破れとなり、最後には上製合紙本1が破損する。
【0007】
本開示の目的は、耐久性が向上した上製合紙本及びその組立方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る上製合紙本(例えば、後述の実施形態での上製合紙本100)は、
背表紙(例えば、後述の実施形態での背表紙101)と、表表紙(例えば、後述の実施形態での表表紙102)と、裏表紙(例えば、後述の実施形態での裏表紙103)と、複数枚の紙又は板紙を貼り合わせて一葉とした本紙部(例えば、後述の実施形態での本紙部150)と、を備え、
前記背表紙、前記表表紙及び前記裏表紙は、別体に構成された板状の芯材をそれぞれ含み、
前記上製合紙本を開いた状態で前記表表紙と前記裏表紙の間に位置する前記背表紙の第1芯材(例えば、後述の実施形態での第1芯材111)は、前記表表紙の第2芯材(例えば、後述の実施形態での第2芯材112)及び前記裏表紙の第3芯材(例えば、後述の実施形態での第3芯材113)とそれぞれ隙間を空けて設けられており、
前記第1芯材と前記第2芯材は結合紙(例えば、後述の実施形態での結合紙105)を介して結合され、かつ、前記第1芯材と前記第3芯材は結合紙(例えば、後述の実施形態での結合紙105)を介して結合され、
前記結合紙を介して並んで結合された前記第2芯材、前記第1芯材及び前記第3芯材に対して、前記上製合紙本の背側から表紙用紙(例えば、後述の実施形態での表紙用紙106)を覆い被せて接着することで、前記背表紙、前記表表紙及び前記裏表紙が一体に構成され、
前記第1芯材と前記第2芯材又は前記第3芯材を結合した状態の前記結合紙の流れ目は、前記上製合紙本の天地方向と交差する。
【0009】
上記上製合紙本において、前記結合紙の流れ目は、前記上製合紙本の天地方向と略直角に交差しても良い。
【0010】
上記上製合紙本において、前記結合紙は、前記第1芯材と前記第2芯材又は前記第3芯材の間に設けられた前記隙間の前記天地方向における各端部(例えば、後述の実施形態での端部117)を、前記上製合紙本の背側とのど側の両方から覆って、前記第1芯材から前記第2芯材又は前記第3芯材にわたり接着されていても良い。
【0011】
上記上製合紙本において、前記結合紙は、前記天地方向に延びた長尺状に形成され、前記上製合紙本ののど側から前記隙間の前記天地方向全体を前記端部を跨いで覆っても良い。
【0012】
上記上製合紙本において、前記結合紙は、前記天地方向に延びた長尺状に形成され、前記上製合紙本の背側から前記隙間の前記天地方向全体を前記端部を跨いで覆っても良い。
【0013】
上記上製合紙本において、前記第1芯材と前記第2芯材を結合する前記結合紙、及び前記第1芯材と前記第3芯材を結合する前記結合紙は、一体に構成された一枚の紙であっても良い。
【0014】
上記上製合紙本において、前記結合紙は和紙であっても良い。
【0015】
本開示の一態様に係る上製合紙本(例えば、後述の実施形態での上製合紙本100)の組立方法は、
前記上製合紙本が、別体に構成された板状の芯材をそれぞれ含む背表紙(例えば、後述の実施形態での背表紙101)、表表紙(例えば、後述の実施形態での表表紙102)及び裏表紙(例えば、後述の実施形態での裏表紙103)と、複数枚の紙又は板紙を貼り合わせて一葉とした本紙部(例えば、後述の実施形態での本紙部150)と、を備え、
前記上製合紙本を開いた状態で前記表表紙と前記裏表紙の間に位置する前記背表紙の第1芯材(例えば、後述の実施形態での第1芯材111)を、前記表表紙の第2芯材(例えば、後述の実施形態での第2芯材112)及び前記裏表紙の第3芯材(例えば、後述の実施形態での第3芯材113)とそれぞれ隙間を空けて設ける手順と、
結合紙(例えば、後述の実施形態での結合紙105)を介して前記第1芯材と前記第2芯材を結合し、かつ、結合紙(例えば、後述の実施形態での結合紙105)を介して前記第1芯材と前記第3芯材を結合する手順と、
前記結合紙を介して並んで結合された前記第2芯材、前記第1芯材及び前記第3芯材に対して、前記上製合紙本の背側から表紙用紙(例えば、後述の実施形態での表紙用紙106)を覆い被せて接着する手順と、
前記背表紙、前記表表紙及び前記裏表紙が一体に構成された表紙部の前記表表紙の印刷面の裏側と前記裏表紙の印刷面の裏側に前記本紙部を貼り合わせる手順と、を有し、
前記結合紙を介して前記第1芯材と前記第2芯材又は前記第3芯材を結合する際、前記結合紙は、流れ目が前記上製合紙本の天地方向と交差する方向に配置される。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、耐久性が向上した上製合紙本及びその組立方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】一実施形態の上製合紙本を開いた状態で小口側斜め上から見た場合の斜視図である。
【
図2】
図1に示す上製合紙本から本紙部を除いて表紙部のみを小口側斜め上から見た場合の斜視図と、当該斜視図に示すII-II線断面図である。
【
図3】
図1に示す上製合紙本から本紙部を除いて表紙部のみを小口側斜め上から見た場合の斜視図と、当該斜視図に示すIII-III線断面図である。
【
図4】上製合紙本の天地方向に対する結合紙の流れ目の向きを示す図である。
【
図5】一実施形態の組立方法によって上製合紙本が生産される第1手順時の状態を示す図である。
【
図6】一実施形態の組立方法によって上製合紙本が生産される第2手順時の状態を示す図である。
【
図7】一実施形態の組立方法によって上製合紙本が生産される第3手順時の状態を示す図である。
【
図8】一実施形態の組立方法によって上製合紙本が生産される第4手順時の状態を示す図である。
【
図9】従来の上製合紙本を開いた状態で小口側斜め上から見た場合の斜視図である。
【
図10】
図9に示す上製合紙本から本紙部を除いて表紙部のみを小口側斜め上から見た場合の斜視図と、当該斜視図に示すX-X線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示に係る上製合紙本及びその組立方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【0019】
図1は、一実施形態の上製合紙本を開いた状態で小口側斜め上から見た場合の斜視図である。
図1に示す上製合紙本100は、背表紙101と、表表紙102と、裏表紙103と、本紙部150とを備える。本紙部150は、上製合紙本100の中身であり、複数枚の紙又は板紙を貼り合わせて一葉とした複数の紙面を構成する。本紙部150の一葉は、例えば、一面が印刷された2枚の厚紙を二つ折りし、各厚紙の折り曲げられた部分の裏面同士を貼り合わせて構成されている。
【0020】
図2は、
図1に示す上製合紙本100から本紙部150を除いて表紙部のみを小口側斜め上から見た場合の斜視図と、当該斜視図に示すII-II線断面図である。
図3は、
図1に示す上製合紙本100から本紙部150を除いて表紙部のみを小口側斜め上から見た場合の斜視図と、当該斜視図に示すIII-III線断面図である。
図2及び
図3に示すように、上製合紙本100から本紙部150を除いて構成される表紙部は、背表紙101、表表紙102及び裏表紙103を有する。背表紙101は、上製合紙本100を開いた状態で表表紙102と裏表紙103の間に位置する。
【0021】
背表紙101、表表紙102及び裏表紙103は、別体に構成された板状の芯材をそれぞれ含む。各芯材は、板紙等から形成される。背表紙101は第1芯材111を内部に含み、表表紙102は第2芯材112を内部に含み、裏表紙103は第3芯材113を内部に含む。
【0022】
第1芯材111と第2芯材112は、隙間114Aを挟んで結合紙105によって結合されており、第1芯材111と第3芯材113は、隙間114Bを挟んで結合紙105によって結合されている。結合紙105は、上製合紙本100の天地方向(上下方向)に延びた長尺状に形成され、その短辺は、第1芯材111を中心に、隙間114Aを跨いだ第2芯材112の第1芯材111側の一部から隙間114Bを跨いだ第3芯材113の第1芯材111側の一部までの領域を覆う長さを有する。
【0023】
結合紙105は、上製合紙本100ののど側から隙間114A,114Bの天地方向全体を、隙間114A,114Bの天地方向における各端部117を跨いで覆うよう、各芯材に接着されている。このように、隙間114A,114Bの天地方向における各端部117は、上製合紙本100の背側とのど側の両方から結合紙105によって覆われる。なお、上製合紙本100の「のど」とは、本紙部150が背表紙101と対向する箇所をいう。
図2及び
図3に示す各断面図では、便宜上、各芯材と結合紙105が離れて示されているが、実際にはそれぞれ接している。
【0024】
図4に示すように、結合紙105は、第1芯材111と第2芯材112を結合し、かつ、第1芯材111と第3芯材113を結合した状態で、その流れ目が上製合紙本100の天地方向と略直角に交差するよう配置される。
図4には、結合紙105の流れ目の向きが、一点鎖線の矢印等によって示されている。結合紙105の流れ目は、主に製造時に配向された、結合紙105を形成する繊維の向きをいう。例えば、結合紙105を天地方向に破った際に抵抗があり、真直ぐに破りにくく、裂け目の毛羽立ちが割と多い場合、結合紙105の面上の天地方向に対して直角な方向が結合紙105の流れ目である。すなわち、結合紙105を流れ目に沿って破る際の引裂強さと、結合紙105を流れ目とは直角に破る際の引裂強さとの間には一定以上の差がある。結合紙105には、例えば、和紙が用いられる。
【0025】
結合紙105を介して並んで結合された第2芯材112、第1芯材111及び第3芯材113に対して、上製合紙本100の背側から表紙用紙106を覆い被せて接着することで、背表紙101、表表紙102及び裏表紙103が一体に構成される。
【0026】
以下、
図2~
図4に示した上述の表紙部を含む上製合紙本100の組立方法について、
図5~
図8を参照して説明する。
図5~
図8は、本実施形態の組立方法によって上製合紙本100が生産される各手順時の状態を示す図である。
【0027】
まず、
図5に示すように、上製合紙本100の天地方向に対して流れ目が略直角となるよう結合紙105を配置した後、結合紙105の略中央に長手方向をそろえて背表紙101の第1芯材111を配置する。次に、第1芯材111の両脇に、10mm程度の隙間114A,114Bを空けて表表紙102の第2芯材112及び裏表紙103の第3芯材113を配置する。なお、結合紙105の一面には、接着剤が塗布されている。したがって、
図5に示すように配置された結合紙105と各芯材は互いに接着される。
【0028】
次に、
図6に示すように、結合紙105の各芯材から天地方向に飛び出た部分をそれぞれ折り込み、当該折り込んだ部分を各芯材に接着する。このようにして、各芯材は、結合紙105を介して、第2芯材112、第1芯材111及び第3芯材113の順に並んで結合される。以下の説明では、
図6に示す、結合紙105によって結合され一体となった第2芯材112、第1芯材111及び第3芯材113を「結合芯材部110」という。
【0029】
次に、
図7に示すように、表紙用紙106と結合芯材部110を貼り合わせる。表紙用紙106の印刷面の裏側一面には、接着剤が塗布されている。
図7に示す例では、表紙用紙106の接着剤が塗布された面に、結合芯材部110の隙間114A,114Bの一部が結合紙105によって完全に覆われていない面が対向するよう、表紙用紙106の略中央に結合芯材部110を配置する。
【0030】
次に、
図8に示すように、表紙用紙106の結合芯材部110から飛び出た部分を折り込み、当該折り込んだ部分を結合芯材部110に接着する。このようにして、背表紙101、表表紙102及び裏表紙103が一体に構成され、結合芯材部110の隙間114A,114Bに対応する部分に沿って折り曲げれば、
図4に示す表紙部ができあがる。最後に、表表紙102の印刷面の裏側と、裏表紙103の印刷面の裏側に本紙部150を貼り合わせて、上製合紙本100が完成する。
【0031】
以上説明したように、本実施形態の上製合紙本及びその組立方法によれば、表紙部を構成する各芯材が結合紙105によって結合され、各芯材を結合した状態の結合紙105の流れ目は、上製合紙本100の天地方向と交差する。このため、特に上製合紙本100を開いた状態で背表紙101を中心に表表紙102と裏表紙103をねじる等の動作により、表紙部の隙間114A,114Bに対応する表紙連結部分に過度な力が加わっても、この力の向きに対して交差する流れ目を有する結合紙105が上記力に対抗する。結合紙105が上記力に対抗することで、表紙部の表紙連結部分の天地方向における端部117に亀裂が生じる可能性が低減する。その結果、上製合紙本100の耐久性が向上する。
【0032】
また、結合紙105の流れ目は上製合紙本100の天地方向と略直角に交差するため、表紙部の表紙連結部分に天地方向に加わる力に対して、結合紙105は最大限に対抗することができる。
【0033】
また、結合紙105は、表紙部の隙間114A,114Bの天地方向における各端部117を、上製合紙本100の背側とのど側の両方から覆って各芯材に接着されているため、表紙部の表紙連結部分の天地方向における端部117に加わる力に十分に対抗することができる。
【0034】
また、結合紙105は、天地方向に延びた長尺状に形成され、上製合紙本100ののど側から隙間114A,114Bの天地方向全体を上記端部117を跨いで覆うため、表紙部の表紙連結部分に加わる力に対して天地方向全体にわたって対抗できる。なお、結合紙105は、上製合紙本100の背側から隙間114A,114Bの天地方向全体を上記端部117を跨いで覆っても良い。
【0035】
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。例えば、結合紙105は、隙間114Aを挟んで第1芯材111と第2芯材112を結合し、かつ、隙間114Bを挟んで第1芯材111と第3芯材113を結合する一枚の紙であるが、隙間114Aを挟んで第1芯材111と第2芯材112を結合する第1結合紙と、隙間114Bを挟んで第1芯材111と第3芯材113を結合する第2結合紙の二枚の紙から構成されていても良い。但し、一枚の紙で構成した方が、上記組立方法における
図5に示す手順の際の手間や、部品点数の削減といった点で、利点は大きい。
【符号の説明】
【0036】
100 上製合紙本
101 背表紙
102 表表紙
103 裏表紙
105 結合紙
106 表紙用紙
110 結合芯材部
111 第1芯材
112 第2芯材
113 第3芯材
114A,114B 隙間
117 端部
150 本紙部