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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049629
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】無線通信システムおよび無線通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/10 20180101AFI20240403BHJP
   H04W 84/10 20090101ALI20240403BHJP
   H04W 52/02 20090101ALI20240403BHJP
   H04W 48/10 20090101ALI20240403BHJP
   H04W 4/35 20180101ALI20240403BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
H04W76/10
H04W84/10 110
H04W52/02 111
H04W48/10
H04W4/35
H04M11/00 302
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155972
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】511146794
【氏名又は名称】株式会社Braveridge
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【弁理士】
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】音村 和生
(72)【発明者】
【氏名】塚本 和明
(72)【発明者】
【氏名】吉原 和也
(72)【発明者】
【氏名】谷渕 太樹
【テーマコード(参考)】
5K067
5K201
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067AA43
5K067BB27
5K067DD11
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE25
5K067HH21
5K201BB08
5K201CB10
5K201CC02
5K201CC09
5K201EB07
5K201EC06
5K201ED04
(57)【要約】
【課題】多数の端末装置との通信を繋がりやすくすることができる無線通信システムおよび無線通信方法を提供する。
【解決手段】無線通信システムは、情報を送信する複数の端末装置20と、端末装置20と無線通信して情報を収集する中継装置30と、中継装置30を介して端末装置20から収集した情報を受信して管理データとして受信する管理装置とを備えている。中継装置30は、一斉送信によるアドバタイズを所定の時間間隔ごとに送信して、端末装置20からのコネクションリクエストを待つ。そして、端末装置20は、中継装置30からの無線信号を受信可能とするスキャン期間であり、少なくともアドバタイズの送信間隔に設定されたスキャン期間を、少なくともスキャン期間の時間に接続台数を乗算した時間とした間隔で、アドバタイズを受信する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を送信する複数の端末装置と、前記端末装置と無線通信して情報を収集する情報通信装置とを備え、
前記情報通信装置は、一斉送信による接続待ち通知を所定の時間間隔ごとに送信して、前記端末装置からの接続要求通知を待ち、
前記端末装置は、前記情報通信装置からの無線信号が受信可能であり、少なくとも接続待ち通知の送信間隔に設定されたスキャン期間を、少なくとも前記スキャン期間の時間に接続台数を乗算した時間とした間隔で、接続待ち通知を受信し、前記情報通信装置と接続し、情報を送信する無線通信システム。
【請求項2】
前記端末装置は、電池により駆動され、前記情報通信装置と無線通信する通信手段と、前記通信手段を制御する制御手段とを備え、
前記通信手段は、前記情報通信装置への無線信号を送信する送信手段と、前記情報通信装置からの無線信号を受信する受信手段と、前記送信手段および前記受信手段へ前記電池からそれぞれの電源の供給路を通電状態または非通電状態とするスイッチ手段とを備え、
前記制御手段は、前記スイッチ手段を制御して、前記スキャン期間のときに、前記受信手段を通電状態とすると共に、前記送信手段を非通電状態とする請求項1記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記制御手段は、前記スイッチ手段を制御して、前記スキャン期間同士の間に、前記受信手段を非通電状態とすると共に、前記送信手段を非通電状態とする請求項2記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記端末装置は、前記情報通信装置との間で通信確立した後に、収集した情報を前記情報通信装置へ送信し、
前記情報通信装置は、前記端末装置へスリープ指示を送信し、
前記端末装置の前記制御手段は、スリープ指示により、前記端末装置が送信する情報の送信間隔に基づいた時間について、前記受信手段を非通電状態とすると共に、前記送信手段を非通電状態とする請求項2記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記制御手段は、前記スキャン期間にて前記受信手段を介して1回目の接続待ち通知を受信したときは引き続き2回目の接続待ち通知を受信待ちし、この前記スキャン期間にて2回目の接続待ち通知を受信したときは、前記スキャン期間中でも前記スキャン期間を終了する請求項2から4のいずれかの項に記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記制御手段は、前記スキャン期間にて前記受信手段を介して1回目の接続待ち通知を受信したときは引き続き2回目の接続待ち通知を受信待ちし、この前記スキャン期間が終了しても2回目の接続待ち通知を受信できないときは前記スキャン期間を終了し、次の前記スキャン期間にて2回目の接続待ち通知を受信待ちする請求項2から4のいずれかの項に記載の無線通信システム。
【請求項7】
前記制御手段は、前記スキャン期間にて前記受信手段を介して1回目の接続待ち通知を受信したときは引き続き2回目の接続待ち通知を受信待ちし、この前記スキャン期間にて2回目の接続待ち通知を受信できないときは前記スキャン期間を延長して、2回目の接続待ち通知を受信待ちする請求項2から4のいずれかの項に記載の無線通信システム
【請求項8】
情報を送信する複数の端末装置と、前記端末装置と無線通信して情報を収集する情報通信装置とを備え、
前記情報通信装置が、一斉送信による接続待ち通知を所定の時間間隔ごとに送信して、前記端末装置からの接続要求通知を待ち、
前記端末装置が、前記情報通信装置からの無線信号が受信可能であり、少なくとも接続待ち通知の送信間隔に設定されたスキャン期間を、少なくとも前記スキャン期間の時間に接続台数を乗算した時間とした間隔で、接続待ち通知を受信し、前記情報通信装置と接続し、情報を送信する無線通信システムの無線通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報を発信する複数の端末装置と、この端末装置と無線通信して情報を収集する情報通信装置とを備えた無線通信システムおよび無線通信方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数の端末装置を管理対象物に取り付け、管理対象物からの情報を無線通信により受信して管理対象物を監視するシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の通信システム、通信装置及び通信システムの設定変更方法は、時刻情報を取得するリアルタイムクロック(RTC)、人工衛星から位置情報を取得する全球測位衛星システムGNSS、加速度センサ、温湿度センサ、気圧センサ及び照度センサなどの各種のセンサからのデータを収集する子機と、子機からのデータを収集する親機と、親機からデータを収集するサーバとを備えたものである。
【0004】
特許文献1における子機と親機との間は、無線LAN、Bluetooth(登録商標)、特定小電力無線又は携帯電話回線、あるいは他の無線通信のいずれかの機能を持ち、好ましくは、Bluetooth(Bluetooth Low Energyを含む)又は特定小電力無線(IEEE802.15.4準拠)であり、親機と通信する低速な無線通信部とすることができる、と記載されている。
【0005】
また、BLE(Bluetooth Low Energy)接続する際に、同時に複数の端末装置と通信する技術に関して特許文献2に記載されたものが知られている。
【0006】
特許文献2に記載の通信装置、通信装置の制御方法、およびプログラムは、MFP(Multi Function Peripheral)が、いずれかのモバイル端末とBLE接続を行った後に、ペリフェラル、セントラル、アドバタイザの動作モードを時分割で切り替えて動作し、MFPがモバイル端末のいずれかとBLE接続を行った後で、さらにMFPがいずれかのモバイル端末とBLE接続を行う場合に、MFPはセントラルとしてBLE接続を行うことで、複数のモバイル端末とMFPとが、同時にBLE接続を行うことができる、というものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2020-198461号公報
【特許文献2】特開2019-103001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の通信システム、通信装置及び通信システムの設定変更方法では、子機からのセンサデータを受信すると、親機のプロセッサは、第1無線通信部を介して応答(ACK)データを子機に返信している。例えば、BLE(Bluetooth Low Energy)では、通信開始時には、ペリフェラル(Peripheral)となる子機から一斉送信して、セントラル(Central)となる親機が受信して返信するまで、一斉送信は継続される。
【0009】
従って、子機は親機に繋がるまで止めずに一斉送信を繰り返してしまうため、子機の数が多いと、一斉送信するチャネルは数が限られてしまうため、一斉送信が重なってしまい、繋がり難い状態となってしまう。
【0010】
また、特許文献2に記載の通信装置及び通信システムの設定変更方法では、同時に複数のモバイル端末と接続することが考慮されているが、数百台を超えるような台数の接続は考慮されていない。
【0011】
そこで本発明は、多数の端末装置との通信を繋がりやすくすることができる無線通信システムおよび無線通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の無線通信システムは、情報を送信する複数の端末装置と、前記端末装置と無線通信して情報を収集する情報通信装置とを備え、前記情報通信装置は、一斉送信による接続待ち通知を所定の時間間隔ごとに送信して、前記端末装置からの接続要求通知を待ち、前記端末装置は、前記情報通信装置からの無線信号が受信可能であり、少なくとも接続待ち通知の送信間隔に設定されたスキャン期間を、少なくとも前記スキャン期間の時間に接続台数を乗算した時間とした間隔で、接続待ち通知を受信し、前記情報通信装置と接続し、情報を送信することを特徴としたものである。
【0013】
また、本発明の無線通信システムの無線通信方法は、情報を送信する複数の端末装置と、前記端末装置と無線通信して情報を収集する情報通信装置とを備え、前記情報通信装置が、一斉送信による接続待ち通知を所定の時間間隔ごとに送信して、前記端末装置からの接続要求通知を待ち、前記端末装置が、前記情報通信装置からの無線信号が受信可能であり、少なくとも接続待ち通知の送信間隔に設定されたスキャン期間を、少なくとも前記スキャン期間の時間に接続台数を乗算した時間とした間隔で、接続待ち通知を受信し、前記情報通信装置と接続し、情報を送信することを特徴としたものである。
【0014】
本発明によれば、複数の端末装置から接続待ち通知が送信されるのではなく、情報通信装置が接続待ち通知を送信するため、複数の端末装置から次々に接続待ち通知が送信されることはない。また、複数の端末装置が、少なくとも接続待ち通知の送信間隔に設定されたスキャン期間にて、情報通信装置からの一斉送信による接続待ち通知を受信する。このスキャン期間を、少なくともスキャン期間の時間に接続台数を乗算した時間とした間隔とすることで、端末装置が多数あっても情報通信装置からの接続待ち通知を順番に受信することができる。
【0015】
前記端末装置は、電池により駆動され、前記情報通信装置と無線通信する通信手段と、前記通信手段を制御する制御手段とを備え、前記通信手段は、前記情報通信装置への無線信号を送信する送信手段と、前記情報通信装置からの無線信号を受信する受信手段と、前記送信手段および前記受信手段へ前記電池からそれぞれの電源の供給路を通電状態または非通電状態とするスイッチ手段とを備え、前記制御手段は、前記スイッチ手段を制御して、前記スキャン期間のときに、前記受信手段を通電状態とすると共に、前記送信手段を非通電状態とすることができる。
スキャン期間のときに、制御手段は、スイッチ手段を制御して、受信手段を通電状態とすると共に、送信手段を非通電状態とすることにより、送信手段での電流の消費を抑えることができるため、電池の長寿命化を図ることができる。
【0016】
前記制御手段は、前記スイッチ手段を制御して、前記スキャン期間同士の間に、前記受信手段を非通電状態とすると共に、前記送信手段を非通電状態とすることができる。
スキャン期間が終了し次回のスキャン期間となるまでの間、受信手段および送信手段への給電を停止している。従って、更に、この期間の端末装置の消費電力を抑えることができるため、更に、電池の長寿命化を図ることができる。
【0017】
前記端末装置は、前記情報通信装置との間で通信確立した後に、収集した情報を前記情報通信装置へ送信し、前記情報通信装置は、前記端末装置へスリープ指示を送信し、前記端末装置の前記制御手段は、スリープ指示により、前記端末装置が送信する情報の送信間隔に基づいた時間について、前記受信手段を非通電状態とすると共に、前記送信手段を非通電状態とすることができる。
そうすることで、端末装置は、一度、収集した情報を情報通信装置へ送信すると、端末装置が送信する情報の送信間隔の間、受信手段と送信手段とを非通電状態とすることにより、送信間隔に応じて消費電力を抑えることができる。
【0018】
前記制御手段は、前記スキャン期間にて前記受信手段を介して1回目の接続待ち通知を受信したときは引き続き2回目の接続待ち通知を受信待ちし、この前記スキャン期間にて2回目の接続待ち通知を受信したときは、前記スキャン期間中でも前記スキャン期間を終了することができる。
そうすることで、スキャン期間を前倒しで短縮させることができるため、端末装置の接続台数を増加せることができる。また、送信よりは消費電力が小さい受信でも早めにスキャン期間を終了することができるので消費電力を抑えることができる。
【0019】
前記制御手段は、前記スキャン期間にて前記受信手段を介して1回目の接続待ち通知を受信したときは引き続き2回目の接続待ち通知を受信待ちし、この前記スキャン期間にて2回目の接続待ち通知を受信できないときは前記スキャン期間を終了し、次の前記スキャン期間にて2回目の接続待ち通知を受信待ちするとすることができる。
そうすることで、他の端末装置のスキャン期間が重なってしまう確率を抑えることができるので、それぞれの端末装置が受信できる確率を均等に与えることができる。
【0020】
前記制御手段は、前記スキャン期間にて前記受信手段を介して1回目の接続待ち通知を受信したときは引き続き2回目の接続待ち通知を受信待ちし、この前記スキャン期間にて2回目の接続待ち通知を受信できないときは前記スキャン期間を延長して、2回目の接続待ち通知を受信待ちすることができる。
1回のスキャン期間で2回の接続待ち通知を受信することができるので、確実に接続待ち通知を2回受信することができる。また、2回のスキャン期間の合計より、1回のスキャン期間を延長した方が確率的に短い期間とすることができるため、スキャン期間の時間を短くすることができるので、端末装置の接続台数を増加せることができ、消費電力を抑えることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、端末装置が多数あっても情報通信装置からの接続待ち通知を順番に受信することができるので、多数の端末装置との通信を繋がりやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施の形態1に係る無線通信システムを示す図である。
図2図1に示す無線通信システムの構成を説明するための図である。
図3図1および図2に示す無線通信システムの端末装置の構成を説明するための図である。
図4図1および図2に示す無線通信システムの中継装置の構成を説明するための図である。
図5図1および図2に示す無線通信システムの管理装置の構成を説明するための図である。
図6図1に示す無線通信システムの端末装置と中継装置との通信動作を説明するための図である。
図7】本発明の実施の形態2に係る無線通信システムの端末装置と中継装置との通信動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る無線通信システムを図面に基づいて説明する。
図1および図2に示す無線通信システム10は、物流センターDC(拠点)間を車両Tによる搬送されたり、最終拠点となる配送倉庫(図示せず)に配送されたりする荷物Pを、管理対象として、荷物の位置や経路を管理する物流管理システムとして機能するものである。
【0024】
(無線通信システムの構成の説明)
図1および図2に示す無線通信システム10は、荷物Pと一緒に搬送される端末装置20と、物流センターDCおよび配送倉庫に設置された中継装置30(情報通信装置)と、管理センターCに設置された管理装置40と、管理センターCや管理センターCを運営する企業(図示せず)に設置されたり、荷物Pの運送依頼者が操作したりする問い合わせ端末50と、管理装置40を管理する管理者が操作する管理端末60とを備えている。
【0025】
端末装置20と中継装置30とは、例えば、近距離通信の一例であるBLE(Bluetooth Low Energy)のような無線通信規格により通信している。
【0026】
中継装置30は、例えば、遠距離通信の一例である通信事業者による通信規格であるLTE(Long Term Evolution)や5G~3Gなどにより通信可能に通信ネットワークNに接続されている。通信ネットワークNは、例えば、インターネットとすることができる。
【0027】
次に、端末装置20の構成について図3に基づいて説明する。
端末装置20は、荷物Pに装着される移動装置である。図3に示すように端末装置20は、電源として電池Bを備えており、電池Bから各手段への電源供給により長時間駆動することができるものである。
端末装置20は、通信手段21と、残量測定手段22と、制御手段23と、記憶手段24とを備えている。
【0028】
通信手段21は、無線通信により中継装置30からの情報を受信して制御手段23へ出力したり、制御手段23からの情報を入力して中継装置30へ送信したりすることができる。
通信手段21は、中継装置30へ無線信号を送信する送信手段21tと、中継装置30からの無線信号を受信する受信手段21rと、電池Bから送信手段21tおよび受信手段21rへのそれぞれの電源の供給路を通電状態または非通電状態に切り替えるスイッチ手段S1,S2とを備えている。
送信手段21tと受信手段21rとは、制御手段23により、通信状態のときは電力を消費する動作状態になり、非通信状態のときには電力を消費しない非動作状態となる。
【0029】
残量測定手段22は、電池Bの残量を測定する機能を有する。電池Bの残量は、電圧測定法、クーロンカウンタ法、電池セルモデリング法、インピーダンストラック法などが使用できる。
【0030】
制御手段23は、通信手段21を制御してBLEの手順により中継装置30と通信する機能を備えている。制御手段23は、残量測定手段22からの情報を送信手段21tにより送信する。制御手段23は、電池Bから送信手段21tと受信手段21rへの供給路を通電状態したり非通電状態としたりするスイッチ手段S1,S2を制御することで、端末装置20を「受信モード」と「送信モード」と「休止モード」とに切り替えることができる。
記憶手段24は、各種データが格納される。記憶手段24は、例えば、以前に通信した中継装置30の識別情報(以下、センターIDと称す。)と、端末装置20を識別する識別情報(以下、端末IDと称す。)と、電池残量を示す残量情報と、制御手段23にて動作するファームウェアのバージョン情報など格納される。
【0031】
次に、中継装置30の構成について図4に基づいて説明する。
中継装置30は、物流センターDC(図1参照)の電灯線からの電力が供給される固定装置である。中継装置30は、端末装置20からの情報を収集して管理装置40へ送信する。中継装置30は、約600台以上の端末装置20との接続を想定するものである。
中継装置30は、第1通信手段31と、第2通信手段32と、通信制御手段33と、記憶手段34とを備えている。
【0032】
第1通信手段31は、通信制御手段33の制御により、基地局または中継局とネットワークNとを介して管理装置40と通信する機能を有する。第2通信手段32は、通信制御手段33の制御により、端末装置20との間を通信する機能を有する。
【0033】
通信制御手段33は、第1通信手段31により受信した端末装置20からの情報を、第2通信手段32により管理装置40に中継する機能を有する。
記憶手段34は、各種データが格納される。記憶手段34は、例えば、端末装置20からの管理データと、管理データの受信日時データと、センターIDとが格納される。
【0034】
次に、管理装置40の構成について図5に基づいて説明する。
管理装置40は、端末装置20から収集した情報を中継装置30を介して受信して管理データとして受信するものである。
管理装置40は、通信手段41と、制御手段42と、記憶手段43とを備えている。
通信手段41は、図示しないルータ装置を介して通信ネットワークNと通信する機能を備えている。通信手段41は、ルータ装置と通信するため、例えば、LAN(Local Area Network)とすることができる。
【0035】
制御手段42は、中継装置30を介して受信した端末装置20からの情報を、記憶手段43に格納された情報に関連付けて格納したり、記憶手段43から情報を読み出し問い合わせに対して返信したりする。
記憶手段43は、端末装置20から収集した管理データが、荷物Pを識別する識別情報(以下、荷物IDと称す。)に関連付けて蓄積される。また、記憶手段43には、センターIDに対応する物流センター名称が格納されている。
【0036】
次に、問い合わせ端末50について、図1および図2に基づいて説明する。
問い合わせ端末50は、通信ネットワークNに通信可能に接続されている。問い合わせ端末50は、管理装置40に荷物Pの配送状況の確認を取る機能を有する。
問い合わせ端末50は、管理センターや管理センターを運営する企業に設置されたデスクトップ型やノートブック型のパーソナルコンピュータとすることができる。また、問い合わせ端末50は、荷物Pの運送依頼者が操作するスマートフォンとすることができる。
【0037】
問い合わせ端末50は、管理装置40が配送情報を提供するサイトを閲覧するブラウザ(閲覧ソフト)が動作する機能や、管理装置40へ配送情報を問い合わせるアプリケーションソフトが動作する機能を有している。
管理端末60は、デスクトップ型やノートブック型のパーソナルコンピュータとすることができる。
管理者が管理端末60となるコンピュータを操作して管理装置40にアクセスして、管理装置40にログインするときに、管理者権限を有するIDによりログインすることで、コンピュータが管理端末60として機能する。管理端末60は、問い合わせ端末50と同様にブラウザやアプリケーションソフトが動作することが可能である。
【0038】
(無線通信システムの動作および使用状態の説明)
以上のように構成された本発明の実施の形態1に係る無線通信システムの動作および使用状態について、図面に基づいて説明する。
BLEにおいて接続確立する前の状態では、親機となる1台の装置がセントラル、この親機の周囲に位置する複数の子機がペリフェラルとして機能する。しかし、本実施の形態1では、物流センターDCに配置された親機(中継装置30)をペリフェラル、この物流センターDCに配送される複数の端末装置20をセントラルとして機能させている。
【0039】
まず、図1に示すように、端末装置20は、荷物Pに装着され、車両Tにより運搬される。荷物Pは、物流センターDCを順次車両Tにより運搬される。
物流センターDCでは、固定設置され、ペリフェラルとして動作する中継装置30が、常に、一斉送信による接続待ち通知であるアドバタイズを、通信制御手段33が第2通信手段32を介して送信している。
【0040】
従って、端末装置20を装着した荷物Pが車両Tによる運搬中の場合では、中継装置30から離れているため、中継装置30からの無線信号は端末装置20へは届かない(ステップS10参照)。
端末装置20は、所定時間ごとに中継装置30からの無線信号(アドバタイズ)を受信するために、図3に示すように、送信手段21tを非動作状態とし、受信手段21rを動作状態とした「受信モード」により受信待ちをしている。
「受信モード」では、制御手段23が、スイッチ手段S1を通電状態として受信手段21rへの給電を有効とし、スイッチ手段S2を非通電状態として送信手段21tへの給電を無効とした状態である。
従って、この「受信モード」とした期間が受信可能なスキャン期間となる(ステップS20参照)。
【0041】
「受信モード」の基本時間は、少なくともアドバタイズが送信される間隔である送信間隔とすることができるが、例えば、送信間隔+αとすることができる。従って、0.020秒≦「受信モード」の時間≦0.020秒+αとすることができる。
αが大きければアドバタイズを受信できる確率が高くなるが、大き過ぎると、他の端末装置20の「受信モード」と重なってしまう確率が高くなるため、例えば、送信間隔の1/4以下とすることができる。
本実施の形態1では、アドバタイズが送信される間隔を0.02秒とし、αを送信間隔の1/4時間としているため、0.020秒≦「受信モード」の時間≦0.025秒(0.02秒+0.02秒×1/4)とすることができる。
【0042】
そして、時間が経過して「受信モード」が終了すると、制御手段23は、スイッチ手段S1を非通電状態として受信手段21rへの給電を停止することで、受信手段21rおよび送信手段21tへの両方の給電を停止する「休止モード」とする(ステップS30参照)。
「休止モード」の時間(スキャン間隔時間)は、端末装置20の台数に基づいて設定することができる。
例えば、中継装置30が接続する端末装置20の台数が300台である場合、アドバタイズが送信される間隔が0.025秒であるため、600台×0.025秒=15秒とすることができる。本実施の形態1では、接続台数の余裕を持って640台に設定することで、スキャン間隔時間を16秒としている。
【0043】
端末装置20を装着した荷物Pが物流センターDCに搬入されると、中継装置30からの無線信号は端末装置20に到達する。そのため、中継装置30から送信されたアドバタイズが端末装置20にて受信可能となる。
【0044】
「受信モード」としたスキャン期間のときに、中継装置30からのアドバタイズを、受信手段21rを介して制御手段23が受信する(ステップS40参照)。そうすると、コネクションリクエストの送信準備を行い、引き続き、次の中継装置30からのアドバタイズを待つ。
【0045】
図6に示す例では、1回のスキャン期間のときに、中継装置30からの2回目のアドバタイズを受信している。そうすると、制御手段23は、スイッチ手段S1を非通電状態とし、スイッチ手段S2を通電状態とすることで、受信手段21rへの給電を無効とし、送信手段21tへの給電を有効とした「送信モード」へ変更する。
従って、このスキャン期間にて2回目のアドバタイズを受信したときは、スキャン期間中でもスキャン期間を終了して、スキャン期間を基本時間より短く終了することで、「受信モード」が終了し、「送信モード」が始まる(ステップS50参照)。
このように、2回目のアドバタイズを受信したときは、スキャン期間中でもスキャン期間を終了する。そのため、スキャン期間を前倒しで短縮させることができるため、中継装置30と通信可能な端末装置20の接続台数を増加させることができる。また、送信手段21tが消費する電力より小さい受信手段21rでも、早めに給電を無効とすることで、消費電力を抑えることができる。
【0046】
そして、端末装置20の制御手段23は、送信手段21tを介して中継装置30へのコネクションリクエストの送信を行う(ステップS60参照)。
【0047】
中継装置30の通信制御手段33が、端末装置20からのコネクションリクエストを、第2通信手段32を介して受信することで、BLEの接続が確立するので、端末装置20がマスター、中継装置30がスレーブとなって、データの送受信が行われる(ステップS70参照)。
【0048】
端末装置20からの管理データは、前回に通信した中継装置30の識別情報(前回経由した物流センターを識別するセンターID)と、端末IDと、残量測定手段22の測定による電池残量を示す残量情報と、ファームウェアのバージョン情報などが送信される。
中継装置30では、通信制御手段33が受信した管理データを記憶手段34に格納する。
【0049】
端末装置20と中継装置30とのデータ送受信が完了すると、中継装置30から端末装置20へスリープ指示を示す通知が送信される(ステップS80参照)。
スリープは、端末装置20を「休止モード」とすることを指示する通知である。スリープ時間は、端末装置20がどれくらいの時間間隔でデータを送信するかによって決定される。本実施の形態1では、8分間の「休止モード」としているが、例えば、端末装置がセンサにより周囲状態をセンシングするものであり、周囲状態が時々刻々と変化するものであれば数分や数十秒とすることも可能である。従って、この休止モードの時間は、端末装置20が送信する情報の送信間隔に基づいて決定することができる。
【0050】
このように、端末装置20は、一度、収集した情報を中継装置30へ送信すると、端末装置20が送信する情報の送信間隔の間、受信手段21rと送信手段21tとを非通電状態とした「休止モード」とすることにより、送信間隔に応じて消費電力を抑えることができる。
【0051】
図1に示す中継装置30では、図4に示す通信制御手段33が記憶手段34に格納された管理データを読み込み、第1通信手段31を介して管理装置40へ送信する。
管理装置40では、制御手段42が、図1に示す各物流センターDCに設置された中継装置30からの管理データを、通信手段41を介して受信すると、記憶手段43に蓄積する。
記憶手段43に蓄積するときには、端末装置20から収集した管理データと、端末装置20が装着された荷物Pの荷物IDに関連付けて格納される。
【0052】
図6に示すステップS40,S50では、1回のスキャン期間(受信モード)で2回のアドバタイズを受信しているが、2回目のアドバタイズが中継装置30から送信されたときに、端末装置20のスキャン期間が終了していると(ステップS90参照)、2回目のアドバタイズは受信できないため、端末装置20は「休止モード」を挟んで、次のスキャン期間(受信モード)によりアドバタイズを待つことになる(ステップS100参照)。
【0053】
図1に示すように、荷物Pを発送した者、または荷物Pを受け取る者は、問い合わせ端末50を操作して管理装置40へ荷物Pの配送状況を問い合わせすることができる。
問い合わせ端末50を操作して配送状況を問い合わせするときには、問い合わせ端末50から、問い合わせ通知として、問い合わせしたい荷物IDを管理装置40へ送信する。
【0054】
管理装置40では、図5に示す通信手段41を介して問い合わせ通知を受信すると、制御手段42が記憶手段43から荷物IDに関連付けられた管理データを読み込む。
制御手段42は、読み込んだ管理データのうち、センターID(中継装置30を識別する識別情報)に対応する物流センター名称を、中継装置30が管理データを受信した受信日時データの時系列順に並べて、問い合わせ端末50へ通信手段41を介して返信する。
そうすることで、問い合わせ端末50にて、荷物Pがどこの物流センターDCまで配送されているのか把握することができる。
【0055】
また、管理装置40では、制御手段42により、端末装置20の残量測定手段22が測定した残量情報がしきい値未満であるか否かを判定して、残量がしきい値未満であるときには、端末IDと共に残量情報、センターIDを管理端末60へ送信する。
【0056】
このように、中継装置30からのアドバタイズが受信可能である端末装置20によるスキャン期間であり、少なくともアドバタイズの送信間隔に設定されたスキャン期間が、少なくともスキャン期間の時間に接続台数を乗算した間隔で、端末装置20が中継装置30からのアドバタイズを受信している。
例えば、中継装置をセントラル、端末装置をペリフェラルとした場合では、多数の端末装置が、中継装置に向けて一斉にアドバタイズを送信してしまい、競合するケースが多く発生してしまう。
しかし、本実施の形態では、中継装置30がアドバタイズを送信することにより、BLEではアドバタイズの送信チャンネルが3チャンネルしか許容されていなくても、多数の端末装置20が次々にアドバタイズを送信することはないため、アドバタイズが競合してしまうことを回避することができる。
また、端末装置20がアドバタイズの送信間隔に設定されたスキャン期間による受信間隔が、スキャン期間の時間に接続台数を乗算した時間に設定されていることにより、それぞれの端末装置20が中継装置30からのアドバタイズを順番に受信することを可能とすることができる。
従って、中継装置30が多数の端末装置20との通信を繋がりやすくすることができる。
【0057】
また、スキャン期間中は受信手段21rへは給電しているが、送信手段21tへは給電を停止しており、スキャン期間同士の間は受信手段21rおよび送信手段21tへの給電を停止している。従って、送信手段21tでの電流の消費を抑えることができるため、電池の長寿命化を図ることができるので、1回の荷物Pの配送だけでなく、複数回の荷物Pの配送の経路を管理することができる。
【0058】
更に、端末装置20から中継装置30への通信が完了すると、中継装置30から端末装置20へスリープを指示することにより、次回の管理データを送信するまでの間、受信手段21rおよび送信手段21tへの給電を停止している。従って、更に、この期間の端末装置20の消費電力を抑えることができるため、更に、電池の長寿命化を図ることができる。
【0059】
本実施の形態では、端末装置20でのスキャン期間は、2回目のアドバタイズを受信して送信モードに移行する以外は固定時間である。従って、他の端末装置20のスキャン期間が重なってしまう確率を抑えることができるので、それぞれの端末装置20が受信できる確率を均等に与えることができる。
【0060】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る無線通信システムを図面に基づいて説明する。
なお、図1および図2に示す無線通信システム10、図3に示す端末装置20、図4に示す中継装置30および図5に示す管理装置40の各構成は、実施の形態1と同じであるため、説明を省略する。
【0061】
図6に示す実施の形態1に掛る端末装置20では、2回目のアドバタイズが中継装置30から送信されたときに、端末装置20のスキャン期間が終了していると(ステップS90参照)、2回目のアドバタイズは受信できないため、端末装置20は「休止モード」を挟んで、次の「受信モード」によりアドバタイズを待っている(ステップS100参照)。
【0062】
図7に示すように、実施の形態2では、1回目のアドバタイズをスキャン期間にて受信すると(ステップS110参照)、コネクションリクエストを送信する準備を開始すると共に、スキャン期間を延長して、2回目のアドバタイズを待つようにしている(ステップS120参照)。
そうすることで、1回のスキャン期間で2回のアドバタイズを受信することができるので、確実にアドバタイズを2回受信することができる。また、2回のスキャン期間の合計より、1回のスキャン期間を延長した方が確率的に短い期間とすることができるため、受信モードの時間を短くすることができるので、端末装置の接続台数を増加せることができ、消費電力を抑えることができる。
【0063】
なお、実施の形態1,2では、端末装置20と中継装置30(情報通信装置)との間の無線通信としてBLEを例に説明したが、情報通信装置から端末装置へ一斉送信による接続待ち通知が所定の時間間隔ごとに送信され、接続待ち通知を受信した端末装置が接続要求通知を情報通信装置へ返信する無線通信であれば、本発明は適用可能である。
また、実施の形態1では、端末装置20が2回のアドバタイズを受信することにより情報通信装置に接続要求通知を返信していたが、1回のアドバタイズを受信することにより接続要求通知を返信してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、多数の端末装置からの情報を無線通信により収集することができるので、端末装置に各種のセンサを搭載したり、端末装置の測位手段を搭載したりして、端末装置の被装着物の各種の情報を得るような状況に好適である。
【符号の説明】
【0065】
10 無線通信システム
20 端末装置
21 通信手段
21t 送信手段
21r 受信手段
22 残量測定手段
23 制御手段
24 記憶手段
30 中継装置
31 第1通信手段
32 第2通信手段
33 通信制御手段
34 記憶手段
40 管理装置
41 通信手段
42 制御手段
43 記憶手段
50 問い合わせ端末
60 管理端末
B 電池
C 管理センター
DC 物流センター
P 荷物
T 車両
N 通信ネットワーク
S1,S2 スイッチ手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7