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特開2024-49630無線通信システム、無線通信方法、及び、コンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049630
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】無線通信システム、無線通信方法、及び、コンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/06 20060101AFI20240403BHJP
   H04B 7/0413 20170101ALI20240403BHJP
【FI】
H04B7/06 982
H04B7/0413 400
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155974
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104765
【弁理士】
【氏名又は名称】江上 達夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡延
(74)【代理人】
【識別番号】100131015
【弁理士】
【氏名又は名称】三輪 浩誉
(72)【発明者】
【氏名】神谷 典史
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 英作
(57)【要約】
【課題】通信容量が低下する影響を低減可能な無線通信システムを提供する。
【解決手段】無線通信システムSYSは、複数の無線送信信号tx(k)を含む無線信号TXを複数の送信アンテナ素子11を用いて送信する送信装置1と、無線信号を、複数の受信アンテナ素子21を用いて複数の無線受信信号ry(k)として受信する受信装置2とを備える。受信装置は、無線受信信号に対して信号分離処理を行うことで複数の分離受信信号x’(k)を生成し、分離受信信号の相関関係γijを生成し、相関関係に基づいて位相制御情報ΔΦ(k)を生成する。送信装置は、複数の送信信号x(k)に対して信号合成処理を行うことで複数の合成送信信号s(k)を生成し、合成送信信号の位相を位相制御情報に基づいて算出した位相移動量だけ調整する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の送信信号に対して信号合成処理を行うことで複数の合成送信信号を生成し、前記複数の合成送信信号から生成される複数の無線送信信号を含む無線信号を、複数の送信アンテナ素子を用いて送信する送信装置と、
前記送信装置が送信した前記無線信号を、複数の受信アンテナ素子を用いて複数の無線受信信号として受信する受信装置と
を備える無線通信システムであって、
前記受信装置は、
前記複数の無線受信信号に対して信号分離処理を行うことで、複数の分離受信信号を生成する受信信号生成手段と、
前記複数の分離受信信号の間の相関関係を示す相関情報を生成する相関情報生成手段と、
前記相関情報に基づいて、前記複数の合成送信信号の位相と通信容量との間の関係を示す位相制御情報を生成する位相制御情報生成手段と、
前記位相制御情報を前記送信装置に送信する送信手段と
を備え、
前記送信装置は、
前記送信手段が送信した前記位相制御情報を受信する受信手段と、
前記複数の送信信号に対して前記信号合成処理を行うことで、前記複数の合成送信信号を生成する送信信号生成手段と、
前記受信手段が受信した前記位相制御情報に基づいて、前記複数の合成送信信号の夫々の位相の移動量を示す位相移動量を算出する位相算出手段と、
前記複数の合成送信信号の夫々の位相を、前記位相算出手段が算出した前記位相移動量だけ調整する位相調整手段と
を備える無線通信システム。
【請求項2】
前記相関情報生成手段は、
前記複数の分離受信信号のうちの第1の分離受信信号と、前記複数の分離受信信号のうちの前記第1の分離受信信号とは異なる第2の分離受信信号の複素共役との間の相互相関関係、及び、前記第1の分離受信信号と前記第1の分離受信信号の複素共役との間の自己相関関係を含む前記相関関係を算出し、
前記相関関係を送信信号電力で正規化することで、正規化された前記相関関係を示す前記相関情報を生成する
を備える請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記位相制御情報生成手段は、
前記相関情報が行列成分となる第1正方行列を生成し、
前記信号合成処理に用いられるユニタリ行列と、前記第1正方行列と、前記ユニタリ行列のエルミート転置行列との乗算によって得られる第2正方行列の対角成分の虚数成分を用いて、前記位相制御情報を生成する
請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記位相算出手段は、
前記受信手段が受信した位相制御情報に基づいて、前記位相移動量の更新量を算出し、
前記更新量を前記位相移動量に累積加算して前記位相移動量を更新することで、前記位相移動量を算出する
請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記複数の送信アンテナ素子は、第1の円の円周上に配置されているN(尚、Nは、2以上の整数を示す変数である)個の送信アンテナ素子であり、
前記複数の受信アンテナ素子は、第2の円の円周上に配置されているN個の受信アンテナ素子であり、
前記信号合成手段は、長さNの離散フーリエ変換行列であるユニタリ行列を用いて、前記信号合成処理を行う
請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項6】
複数の送信信号に対して信号合成処理を行うことで複数の合成送信信号を生成し、前記複数の合成送信信号から生成される複数の無線送信信号を含む無線信号を、複数の送信アンテナ素子を用いて送信する送信装置と、
前記送信装置が送信した前記無線信号を、複数の受信アンテナ素子を用いて複数の無線受信信号として受信する受信装置と
を用いた無線通信方法であって、
前記複数の無線受信信号に対して信号分離処理を行うことで、複数の分離受信信号を生成することと、
前記複数の分離受信信号の間の相関関係を示す相関情報を生成することと、
前記相関情報に基づいて、前記複数の合成送信信号の位相と通信容量との間の関係を示す位相制御情報を生成することと、
前記複数の送信信号に対して前記信号合成処理を行うことで、前記複数の合成送信信号を生成することと、
前記位相制御情報に基づいて、前記複数の合成送信信号の夫々の位相の移動量を示す位相移動量を算出することと、
前記複数の合成送信信号の夫々の位相を、前記位相移動量だけ調整することと
を備える無線通信方法。
【請求項7】
コンピュータに無線通信方法を実行させるコンピュータプログラムであって、
前記無線通信方法は、
複数の送信信号に対して信号合成処理を行うことで複数の合成送信信号を生成し、前記複数の合成送信信号から生成される複数の無線送信信号を含む無線信号を、複数の送信アンテナ素子を用いて送信する送信装置と、
前記送信装置が送信した前記無線信号を、複数の受信アンテナ素子を用いて複数の無線受信信号として受信する受信装置と
を用いた無線通信方法であって、
前記無線通信方法は、
前記複数の無線受信信号に対して信号分離処理を行うことで、複数の分離受信信号を生成することと、
前記複数の分離受信信号の間の相関関係を示す相関情報を生成することと、
前記相関情報に基づいて、前記複数の合成送信信号の位相と通信容量との間の関係を示す位相制御情報を生成することと、
前記複数の送信信号に対して前記信号合成処理を行うことで、前記複数の合成送信信号を生成することと、
前記位相制御情報に基づいて、前記複数の合成送信信号の夫々の位相の移動量を示す位相移動量を算出することと、
前記複数の合成送信信号の夫々の位相を、前記位相移動量だけ調整することと
を備えるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MIMO(MIMO:Multi Input Multi Output)伝送技術を用いた無線通信を行うことが可能な無線通信システム、無線通信方法、及び、コンピュータプログラムの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、MIMO伝送技術を用いた無線通信(以降、“MIMO無線通信”と称する)を行う無線通信システムの研究が進められている。MIMO無線通信を行う無線通信システムの一例が、特許文献1から特許文献5及び非特許文献1から非特許文献2があげられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2019/189704号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2017/057725号パンフレット
【特許文献3】特表2014-526191号公報
【特許文献4】特開2016-115976号公報
【特許文献5】特開2015-043610号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Frode Bohagen et al.、“Design of Optimal High-Rank Line-of-Sight MIMO Channels”、IEEE Transactions on Wireless Communications、Vol.6、No.4、pp.1420-1425、2007年4月
【非特許文献2】Ove Edfors et al.、“Is Orbital Angular Momentum(OAM) Based Radio Communication an Unexploited Area?”、IEEE Transactions on Antennas and Propagation、Vol.60、No.2、pp.1126-1131、2012年2月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
見通し内環境において行われるMIMO通信による通信容量は、送信装置が備える複数の送信アンテナ素子と受信装置が備える複数の受信アンテナ素子との間の相対的な位置関係に依存する。一般的には、複数の送信アンテナ素子及び複数の受信アンテナ素子は、与えられたアンテナ設置条件の下で通信容量が最大となるように配置される。しかしながら、複数の送信アンテナ素子と複数の受信アンテナ素子との間の相対的な位置関係が、風雨及び振動等の外的要因に起因して理想的な位置関係から変化してしまった場合には、通信容量が低下してしまう。そこで、このような複数の送信アンテナ素子と複数の受信アンテナ素子との間の相対的な位置関係の変化を検出し、検出した変化に起因した通信容量への影響を低減することが望まれる。
【0006】
上述した特許文献1には、複数の送信アンテナ素子が円周上に配置された円形アレイ(UCA:Uniform Circular Array)アンテナ及び複数の受信アンテナ素子が円周上に配置された円形アレイアンテナを用いて、軌道角運動量(OAM:Orbital Angular Momentum)モードを利用するMIMO無線通信が行われる場合に、複数の送信アンテナ素子と複数の受信アンテナ素子との間の相対的な位置関係の変化を検出する方法が記載されている。しかしながら、特許文献1に記載された方法が行われる場面は、UCAアンテナを用いてOAMモードを利用するMIMO無線通信を行う場面に限定されている。このため、特許文献1に記載された方法は、UCAアンテナを用いない場合及びOAMモードを利用しない場合の夫々において、複数の送信アンテナ素子と複数の受信アンテナ素子との間の相対的な位置関係の変化を検出することができない。その結果、特許文献1に記載された方法は、複数の送信アンテナ素子と複数の受信アンテナ素子との間の相対的な位置関係の変化に起因した通信容量への影響を適切に低減することができないという技術的問題を有している。
【0007】
本発明は、上述した技術的問題を解決可能な無線通信システム、無線通信方法、及び、コンピュータプログラムを提供することを課題とする。一例として、本発明は、複数の送信アンテナ素子と複数の受信アンテナ素子との間の相対的な位置関係の変化に起因した通信容量への影響を適切に低減可能な無線通信システム、送信装置、受信装置、無線通信方法、及び、コンピュータプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
無線通信システムの一態様は、複数の送信信号に対して信号合成処理を行うことで複数の合成送信信号を生成し、前記複数の合成送信信号から生成される複数の無線送信信号を含む無線信号を、複数の送信アンテナ素子を用いて送信する送信装置と、前記送信装置が送信した前記無線信号を、複数の受信アンテナ素子を用いて複数の無線受信信号として受信する受信装置とを備える無線通信システムであって、前記受信装置は、前記複数の無線受信信号に対して信号分離処理を行うことで、複数の分離受信信号を生成する受信信号生成手段と、前記複数の分離受信信号の間の相関関係を示す相関情報を生成する相関情報生成手段と、前記相関情報に基づいて、前記複数の合成送信信号の位相と通信容量との間の関係を示す位相制御情報を生成する位相制御情報生成手段と、前記位相制御情報を前記送信装置に送信する送信手段とを備え、前記送信装置は、前記送信手段が送信した前記位相制御情報を受信する受信手段と、前記複数の送信信号に対して前記信号合成処理を行うことで、前記複数の合成送信信号を生成する送信信号生成手段と、前記受信手段が受信した前記位相制御情報に基づいて、前記複数の合成送信信号の夫々の位相の移動量を示す位相移動量を算出する位相算出手段と、前記複数の合成送信信号の夫々の位相を、前記位相算出手段が算出した前記位相移動量だけ調整する位相調整手段とを備える。
【0009】
無線通信方法の一態様は、複数の送信信号に対して信号合成処理を行うことで複数の合成送信信号を生成し、前記複数の合成送信信号から生成される複数の無線送信信号を含む無線信号を、複数の送信アンテナ素子を用いて送信する送信装置と、前記送信装置が送信した前記無線信号を、複数の受信アンテナ素子を用いて複数の無線受信信号として受信する受信装置とを用いた無線通信方法であって、前記複数の無線受信信号に対して信号分離処理を行うことで、複数の分離受信信号を生成することと、前記複数の分離受信信号の間の相関関係を示す相関情報を生成することと、前記相関情報に基づいて、前記複数の合成送信信号の位相と通信容量との間の関係を示す位相制御情報を生成することと、前記複数の送信信号に対して前記信号合成処理を行うことで、前記複数の合成送信信号を生成することと、前記位相制御情報に基づいて、前記複数の合成送信信号の夫々の位相の移動量を示す位相移動量を算出することと、前記複数の合成送信信号の夫々の位相を、前記位相移動量だけ調整することとを備える。
【0010】
コンピュータプログラムの一態様は、コンピュータに無線通信方法を実行させるコンピュータプログラムであって、前記無線通信方法は、複数の送信信号に対して信号合成処理を行うことで複数の合成送信信号を生成し、前記複数の合成送信信号から生成される複数の無線送信信号を含む無線信号を、複数の送信アンテナ素子を用いて送信する送信装置と、前記送信装置が送信した前記無線信号を、複数の受信アンテナ素子を用いて複数の無線受信信号として受信する受信装置とを用いた無線通信方法であって、前記無線通信方法は、前記複数の無線受信信号に対して信号分離処理を行うことで、複数の分離受信信号を生成することと、前記複数の分離受信信号の間の相関関係を示す相関情報を生成することと、前記相関情報に基づいて、前記複数の合成送信信号の位相と通信容量との間の関係を示す位相制御情報を生成することと、前記複数の送信信号に対して前記信号合成処理を行うことで、前記複数の合成送信信号を生成することと、前記位相制御情報に基づいて、前記複数の合成送信信号の夫々の位相の移動量を示す位相移動量を算出することと、前記複数の合成送信信号の夫々の位相を、前記位相移動量だけ調整することとを備える。
【発明の効果】
【0011】
上述した信号推定装置、無線通信システム、無線通信方法、及び、コンピュータプログラムの夫々の態様によれば、複数の送信アンテナ素子と複数の受信アンテナ素子との間の相対的な位置関係の変化に起因した通信容量への影響を適切に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本実施形態における無線通信システムの全体構成を示すブロック図である。
図2図2は、受信動作を実行するために受信装置の信号処理装置内に実現される論理的な機能ブロックを示すブロック図である。
図3図3は、相関情報を生成するために通信状態検出部内に実現される機能ブロックの一例を示している。
図4図4は、位相制御情報を生成するために位相制御情報生成部内に実現される機能ブロックの一例を示している。
図5図5は、送信動作を実行するために送信装置の信号処理装置内に実現される論理的な機能ブロックを示すブロック図である。
図6図6は、位相移動量を算出するために位相更新部内に実現される機能ブロックの一例を示している。
図7図7は、受信装置が行う受信動作の流れを示すフローチャートである。
図8図8は、相関情報を生成する動作の流れを示すフローチャートである。
図9図9は、位相制御情報を生成する動作の流れを示すフローチャートである。
図10図10は、送信装置が行う送信動作の流れを示すフローチャートである。
図11図11は、位相移動量を算出する動作の流れを示すフローチャートである。
図12図12は、送信アンテナ素子及び受信アンテナ素子の配置の一例を示す。
図13図13は、通信容量の時間変化を示すグラフである。
図14図14は、位相移動量の時間変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、無線通信システム、無線通信方法、及び、コンピュータプログラムの実施形態が適用された無線通信システムSYSを用いて、無線通信システム、無線通信方法、及び、コンピュータプログラムの実施形態について説明する。但し、本発明が以下に説明する実施形態に限定されることはない。
【0014】
<1>無線通信システムSYSの構成
はじめに、本実施形態における無線通信システムSYSの構成について説明する。
【0015】
<1-1>無線通信システムSYSの全体構成
はじめに、図1を参照しながら、本実施形態における無線通信システムSYSの全体構成について説明する。図1は、本実施形態における無線通信システムSYSの全体構成を示すブロック図である。
【0016】
図1に示すように、無線通信システムSYSは、送信装置1と、受信装置2とを備えている。無線通信システムSYSは、送信装置1と受信装置2とを用いて、MIMO(MIMO:Multi Input Multi Output)伝送技術を用いた無線通信を行う。本実施形態では特に、無線通信システムSYSは、見通し内環境(LOS:Line Of Sight環境)において、MIMO伝送技術を用いた無線通信を行ってもよい。尚、以下の説明では、MIMO伝送技術を用いた無線通信を、“MIMO無線通信”と称する。
【0017】
MIMO無線通信を行うために、送信装置1は、複数の送信アンテナ素子11を備えている。送信装置1は、複数の送信アンテナ素子11を用いて、複数の無線送信信号txを含む無線信号TXを、受信装置2に送信する。複数の送信アンテナ素子11は、同一間隔で円周上に配置されていてもよい。この場合、複数の送信アンテナ素子11は、円形アレイ(UCA:Uniform Circular Array)アンテナを構成していてもよい。複数の送信アンテナ素子11は、同一間隔で直線上に配置されていてもよい。この場合、複数の送信アンテナ素子11は、直線アレイ(ULA:Uniform Linear Array)アンテナを構成していてもよい。
【0018】
以下の説明では、説明の簡略化のために、送信装置1がN(尚、Nは2以上の整数を示す変数である)個の送信アンテナ素子11を備える例について説明する。また、以下の説明では、送信装置1が備えるN個の送信アンテナ素子11を、夫々、送信アンテナ素子11(0)から11(N-1)と称する。送信装置1は、N個の送信アンテナ素子11(0)から11(N-1)を用いて、N個の無線送信信号txを送信する。尚、以下の説明では、N個の送信アンテナ素子11#1から11#Nが夫々送信するN個の無線送信信号txを、無線送信信号tx(0)からtx(N-1)と称する。つまり、以下の説明では、送信アンテナ素子11(k)(尚、kは、0以上且つN-1以下の整数を示す変数である)は、無線送信信号tx(k)を送信する。
【0019】
送信装置1は更に、信号処理装置12と、記憶装置13とを備えている。
【0020】
信号処理装置12は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)及びFPGA(Field Programmable Gate Array)の少なくとも一つを含んでいてもよい。信号処理装置12は、コンピュータプログラムを読み込んでもよい。例えば、信号処理装置12は、記憶装置13が記憶しているコンピュータプログラムを読み込んでもよい。例えば、信号処理装置12は、コンピュータで読み取り可能な記録媒体が記憶しているコンピュータプログラムを、図示しない記録媒体読み取り装置を用いて読み込んでもよい。信号処理装置12は、不図示の通信装置を介して、送信装置1の外部に配置される不図示の装置からコンピュータプログラムを取得してもよい(つまり、ダウンロードしてもよい又は読み込んでもよい)。信号処理装置12は、読み込んだコンピュータプログラムを実行する。その結果、信号処理装置12内には、送信装置1が行うべき動作を実行するための論理的な機能ブロックが実現される。具体的には、信号処理装置12内には、無線信号TXを送信する送信動作を実行するための論理的な機能ブロックが実現される。つまり、信号処理装置12は、送信装置1が行うべき動作を実行するための論理的な機能ブロックを実現するためのコントローラとして機能可能である。
【0021】
記憶装置13は、所望のデータを記憶可能である。例えば、記憶装置13は、信号処理装置12が実行するコンピュータプログラムを一時的に記憶していてもよい。記憶装置13は、信号処理装置12がコンピュータプログラムを実行している際に信号処理装置12が一時的に使用するデータを一時的に記憶してもよい。記憶装置13は、送信装置1が長期的に保存するデータを記憶してもよい。尚、記憶装置13は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、ハードディスク装置、光磁気ディスク装置、SSD(Solid State Drive)及びディスクアレイ装置のうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0022】
MIMO無線通信を行うために、受信装置2は、複数の受信アンテナ素子21を備えている。複数の受信アンテナ素子21は、複数の送信アンテナ素子11に対向するように配置されている。受信装置2は、複数の受信アンテナ素子21を用いて、送信装置1が送信した無線信号TXを、複数の無線受信信号ryを含む無線信号RYとして受信する。複数の受信アンテナ素子21は、同一間隔で円周上に配置されていてもよい。この場合、複数の受信アンテナ素子21は、円形アレイ(UCA:Uniform Circular Array)アンテナを構成していてもよい。複数の受信アンテナ素子21は、同一間隔で直線上に配置されていてもよい。この場合、複数の受信アンテナ素子21は、直線アレイ(ULA:Uniform Linear Array)アンテナを構成していてもよい。
【0023】
以下の説明では、説明の簡略化のために、受信装置2がN個の受信アンテナ素子21を備える例について説明する。また、以下の説明では、受信装置2が備えるN個の受信アンテナ素子21を、夫々、受信アンテナ素子21(0)から21(N-1)と称する。受信装置2は、受信アンテナ素子21(0)から21(N-1)を用いて、無線信号RYを構成するN個の無線受信信号ryを受信する。尚、以下の説明では、N個の受信アンテナ素子21(0)から21(N-1)が夫々受信するN個の無線受信信号ryを、無線受信信号ry(0)からry(N-1)と称する。つまり、以下の説明では、受信アンテナ素子21(k)は、無線受信信号ry(k)を受信する。
【0024】
受信装置2は更に、信号処理装置22と、記憶装置23とを備えている。
【0025】
信号処理装置22は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)及びFPGA(Field Programmable Gate Array)の少なくとも一つを含んでいてもよい。信号処理装置22は、コンピュータプログラムを読み込んでもよい。例えば、信号処理装置22は、記憶装置23が記憶しているコンピュータプログラムを読み込んでもよい。例えば、信号処理装置22は、コンピュータで読み取り可能な記録媒体が記憶しているコンピュータプログラムを、図示しない記録媒体読み取り装置を用いて読み込んでもよい。信号処理装置22は、不図示の通信装置を介して、受信装置2の外部に配置される不図示の装置からコンピュータプログラムを取得してもよい(つまり、ダウンロードしてもよい又は読み込んでもよい)。信号処理装置22は、読み込んだコンピュータプログラムを実行する。その結果、信号処理装置22内には、受信装置2が行うべき動作を実行するための論理的な機能ブロックが実現される。具体的には、信号処理装置22内には、無線信号RYを受信する受信動作を実行するための論理的な機能ブロックが実現される。つまり、信号処理装置22は、受信装置2が行うべき動作を実行するための論理的な機能ブロックを実現するためのコントローラとして機能可能である。
【0026】
記憶装置23は、所望のデータを記憶可能である。例えば、記憶装置23は、信号処理装置22が実行するコンピュータプログラムを一時的に記憶していてもよい。記憶装置23は、信号処理装置22がコンピュータプログラムを実行している際に信号処理装置22が一時的に使用するデータを一時的に記憶してもよい。記憶装置23は、受信装置2が長期的に保存するデータを記憶してもよい。尚、記憶装置23は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、ハードディスク装置、光磁気ディスク装置、SSD(Solid State Drive)及びディスクアレイ装置のうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0027】
<1-2>受信装置2(信号処理装置22)の構成
続いて、図2を参照しながら、本実施形態における受信装置2の構成(特に、信号処理装置22の構成)について説明する。図2は、受信動作を実行するために信号処理装置22内に実現される論理的な機能ブロックを示すブロック図である。
【0028】
図2に示すように、信号処理装置22内には、受信動作を実行するための論理的な機能ブロックとして、複数のベースバンド(BB:BaseBand)信号生成部221と、後述する付記における「受信信号生成手段」の一具体例であるMIMO等化処理部222と、複数の信号判定部223と、後述する付記における「相関情報生成手段」の一具体例である通信状態検出部224と、後述する付記における「位相制御情報生成手段」の一具体例である位相制御情報生成部225と、後述する付記における「送信手段」の一具体例であるフィードバック(FB:FeedBack)信号生成部226とを備えている。
【0029】
尚、図2は、受信動作を実行するための論理的な機能ブロックを概念的に(言い換えれば、簡略的に)示すに過ぎない。つまり、図2に示す機能ブロックがそのまま信号処理装置22に実現される必要はなく、図2に示す機能ブロックが行う動作を信号処理装置22が行うことができる限りは、信号処理装置22内に実現される機能ブロックの構成が図2に示す構成に限定されることはない。
【0030】
複数のベースバンド信号生成部221は、複数の受信アンテナ素子21が夫々受信した複数の無線受信信号yrから、複数のベースバンド信号yを夫々生成する。上述したように、受信装置2は、N個の受信アンテナ素子21(0)から21(N-1)を用いてN個の無線受信信号yr(0)からyr(N-1)を夫々受信する。このため、受信装置2は、複数のベースバンド信号生成部221として、N個の無線受信信号yr(0)からyr(N-1)からN個のベースバンド信号y(0)からy(N-1)を夫々生成するN個のベースバンド信号生成部221(0)から221(N-1)を備えている。この場合、ベースバンド信号生成部221(k)は、無線受信信号yr(k)からベースバンド信号y(k)を夫々生成する。
【0031】
特に、ベースバンド信号生成部221(0)から221(N-1)は、時刻nにおいて受信アンテナ素子21(0)から21(N-1)が夫々受信した無線受信信号yr(0)からyr(N-1)から、ベースバンド信号y(0)からy(N-1)を夫々生成する。尚、nは、インデックスとしての整数を用いて時刻を示す変数である。以下の説明では、時刻nにおいて受信アンテナ素子21(k)が受信した無線受信信号yr(k)を、無線受信信号yr(k)[n]と称し、ベースバンド信号生成部221(k)が無線受信信号yr(k)[n]から生成するベースバンド信号y(k)を、ベースバンド信号y(k)[n]と称する。
【0032】
ベースバンド信号生成部221(k)は、無線受信信号yr(k)[n]に対して、所定の無線受信処理を行うことで、ベースバンド信号y(k)[n]を生成してもよい。所定の無線受信処理は、例えば、ダウンコンバート処理、アナログデジタル変換処理及びフィルタリング処理等のうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0033】
MIMO等化処理部222は、ベースバンド信号y(0)[n]からy(N-1)[n]に対して、MIMO等化処理を行う。その結果、MIMO等化処理部222は、複数のMIMO受信信号x’を生成する。具体的には、MIMO等化処理部222は、N個のMIMO受信信号x’(0)[n]からx’(N-1)[n]を生成する。
【0034】
上述したMIMO無線通信を行う受信装置2が生成したベースバンド信号y(0)[n]からy(N-1)[n]には、時刻nにおいて送信装置1から受信装置2に送信された送信信号x(0)[n]からx(N-1)[n]が混在している。この場合、MIMO等化処理は、MIMO無線通信によって多重化された送信信号x(0)[n]からx(N-1)[n]を分離するための信号分離処理を含んでいてもよい。尚、MIMO等化処理が信号分離処理を含む場合には、MIMO受信信号x’は、分離受信信号と称されてもよい。
【0035】
更に、MIMO無線通信を行う受信装置2が生成したベースバンド信号y(0)[n]からy(N-1)[n]には、伝送路3に生じた干渉の影響が含まれている。伝送路3に生じた干渉の一例として、マルチパス干渉(MPI:Multipath Interference)があげられる。この場合、MIMO等化処理は、伝送路3に生じた干渉を考慮した信号分離処理であってもよい。例えば、MIMO等化処理は、伝送路3に生じた干渉を補償する処理を含んでいてもよい。
【0036】
MIMO等化処理部222は、既存のMIMO等化処理を行ってもよい。例えば、MIMO等化処理部222は、最小平均二乗誤差法(MMSE:Minimum Mean Square Error)に基づくMIMO等化処理を行ってもよい。例えば、MIMO等化処理部222は、ゼロフォーシング法(ZF:Zero Forcing)に基づくMIMO等化処理を行ってもよい。尚、以下の説明では、最小平均二乗誤差法に基づくMIMO等化処理を、MMSE処理と称する。また、以下の説明では、ゼロフォーシング法に基づくMIMO等化処理を、ZF処理と称する。
【0037】
複数の信号判定部223は、複数のMIMO受信信号x’から、送信装置1から受信装置2に送信された送信信号xを夫々推定する。具体的には、受信装置2は、N個の信号判定部223(0)から223(N-1)を備えている。信号判定部223(0)から223(N-1)は、MIMO受信信号x’(0)[n]からx’(N-1)[n]から、時刻nにおいて送信装置1から受信装置2に送信された送信信号x(0)[n]からx(N-1)[n]を夫々推定する。つまり、信号判定部223(k)は、MIMO受信信号x’(k)[n]から送信信号x(k)[n]を推定する。受信装置2は、既存の信号推定方法を用いて、送信信号xを推定してもよい。このため、信号判定部223(k)が行う信号推定方法の詳細な説明は省略する。
【0038】
信号判定部223(k)は、送信信号x(k)[n]の推定結果に基づいて、MIMO受信信号x’(k)[n]に含まれる誤差信号(言い換えれば、誤差成分)を算出してもよい。信号判定部223(k)は、算出した誤差信号をMIMO等化処理部222に出力(言い換えれば、フィードバック)してもよい。MIMO等化処理部222は、信号判定部223(k)から出力される誤差信号に基づいて、MMSE処理又はZF処理を行うために必要なタップ係数行列を算出してもよい。
【0039】
通信状態検出部224は、MIMO受信信号x’(0)からx’(N-1)の間の相関関係を示す相関情報γIを生成する(言い換えれば、算出する)。具体的には、通信状態検出部224は、MIMO受信信号x’(i)とMIMO受信信号x’(j)との間の相関関係γi,jを算出する。iは、0以上且つN-1以下の整数を示す変数である。jは、0以上且つN-1以下であって、且つ、変数i以上の整数を示す変数である。変数iと変数jとが異なる場合には、相関関係γi,jは、相互相関関係と称されてもよい。一方で、変数iと変数jとが同一である場合には、相関関係γi,jは、自己相関関係と称されてもよい。
【0040】
通信状態検出部224は、相関関係γi,jを算出する動作を、変数iと変数jとの組み合わせのパターンを変更しながら繰り返す。その結果、通信状態検出部224は、N個の自己相関関係γi,jと、N×(N-1)/2個の相互相関関係γi,jとを示す相関情報γIを生成する。つまり、通信状態検出部224は、N×(N+1)/2個の相関関係γi,jを示す相関情報γIを生成する。
【0041】
通信状態検出部224内には、相関情報γIを生成するための機能ブロックが実現されてもよい。図3は、相関情報γIを生成するために通信状態検出部224内に実現される機能ブロックの一例を示している。図3に示すように、通信状態検出部224内には、相関算出部2241と、正規化・オフセット処理部2242とが実現されてもよい。尚、相関算出部2241及び正規化・オフセット処理部2242の夫々の動作については、後に図8等を参照しながら詳述するが、その概要についてここで簡単に説明する。相関算出部2241は、上述した相関関係γi,jを算出する。正規化・オフセット処理部2242は、相関算出部2241が算出した相関関係γi,jに対して、MIMO等化処理の種類に基づいてその種類が定まる所定の正規化・オフセット処理を行う。その結果、正規化・オフセット処理部2242は、正規化・オフセット処理が行われた相関関係γi,jを含む相関情報γIを出力する。
【0042】
再び図2において、位相制御情報生成部225は、通信状態検出部224が生成した相関情報γI(相関関係γi,j)に基づいて、後に詳述する複数のMIMO送信信号sの夫々の位相と、送信装置1から受信装置2に対して伝送可能な情報量である通信容量との間の関係を示す位相制御情報ΔΦを生成する。
【0043】
複数のMIMO送信信号sは、送信装置1が無線送信信号tx(0)からtx(N-1)を生成するために生成する信号である。具体的には、送信装置1は、後に図5等を参照しながら詳述するように、送信装置1から受信装置2に送信するべき情報から生成されるN個の入力信号In(0)からIn(N-1)に対してQAM(Quadrature Amplitude Modulation)変換処理等を行うことで、N個の送信信号x(0)からx(N-1)を生成する。具体的には、送信装置1は、時刻nにおいて送信装置1から受信装置2に送信するべき情報から生成されるN個の入力信号In(0)[n]からIn(N-1)[n]に対してQAM変換処理等を行うことで、N個の送信信号x(0)[n]からx(N-1)[n]を生成する。更に、送信装置1は、N個の送信信号x(0)からx(N-1)に対して信号合成処理等を行うことで、N個のMIMO送信信号s(0)からs(N-1)を複数のMIMO送信信号sとして生成する。具体的には、送信装置1は、N個の送信信号x(0)[n]からx(N-1)[n]に対して信号合成処理等を行うことで、N個のMIMO送信信号s(0)[n]からs(N-1)[n]を複数のMIMO送信信号sとして生成する。更に、送信装置1は、N個のMIMO送信信号s(0)からs(N-1)に対して無線信号処理等を行うことで、N個の無線送信信号tx(0)からtx(N-1)を生成する。具体的には、送信装置1は、N個のMIMO送信信号s(0)[n]からs(N-1)[n]に対して無線信号処理等を行うことで、N個の無線送信信号tx(0)[n]からtx(N-1)[n]を生成する。位相制御情報生成部225は、複数のMIMO送信信号s(0)からs(N-1)の夫々の位相と通信容量との間の関係を示す位相制御情報ΔΦを生成する。具体的には、位相制御情報生成部225は、位相制御情報ΔΦとして、MIMO送信信号s(0)の位相と通信容量との間の関係を示す位相制御情報ΔΦ(0)と、MIMO送信信号s(1)の位相と通信容量との間の関係を示す位相制御情報ΔΦ(1)と、・・・、MIMO送信信号s(N-1)の位相と通信容量との間の関係を示す位相制御情報ΔΦ(N-1)とを生成する。
【0044】
本実施形態では、位相制御情報生成部225が、位相制御情報ΔΦ(k)として、MIMO送信信号s(1)の位相の移動量(言い換えれば、変化量)に対する通信容量の変化率を示す情報を生成する例について説明する。
【0045】
位相制御情報生成部225内には、位相制御情報ΔΦを生成するための機能ブロックが実現されてもよい。図4は、位相制御情報ΔΦを生成するために位相制御情報生成部225内に実現される機能ブロックの一例を示している。図4に示すように、位相制御情報生成部225内には、行列生成部2251と、ユニタリ変換部2252とが実現されてもよい。尚、行列生成部2251及びユニタリ変換部2252の夫々の動作については、後に図9等を参照しながら詳述するが、その概要についてここで簡単に説明する。行列生成部2251は、相関情報γIが示すN×(N+1)/2個の相関関係γi,jが上三角成分となるN行×N列のエルミート行列EMに対して、MIMO等化処理の種類に基づいてその内容が定まる所定の対角行列DMを乗算することで、N行×N列の正方行列Γを生成する。ユニタリ変換部2252は、送信装置1が信号合成処理を行うために用いるユニタリ行列Fと、正方行列Γと、ユニタリ行列のFのエルミート転置行列Fとの乗算によって得られる正方行列Γ’のN個の対角成分の虚数成分に基づいて、位相制御情報ΔΦ(0)からΔΦ(N-1)を生成する。
【0046】
再び図2において、フィードバック信号生成部226は、位相制御情報ΔΦ(0)からΔΦ(N-1)を含むフィードバック信号を生成する。フィードバック信号生成部226は、生成したフィードバック信号を送信装置1に送信する。
【0047】
<1-3>送信装置1の構成
続いて、図5を参照しながら、本実施形態における送信装置1の構成(特に、信号処理装置12の構成)について説明する。図5は、送信動作を実行するために信号処理装置12内に実現される論理的な機能ブロックを示すブロック図である。
【0048】
図5に示すように、信号処理装置12内には、送信動作を実行するための論理的な機能ブロックとして、複数のQAM信号変換部121と、後述する付記における「送信信号生成手段」の一具体例である信号合成部122と、後述する付記における「位相調整手段」の一具体例である複数の移相部123と、複数の無線信号生成部124と、フィードバック(FB:FeedBack)信号受信部125と、後述する付記における「位相算出手段」の一具体例である位相更新部126とを備えている。
【0049】
尚、図5は、送信動作を実行するための論理的な機能ブロックを概念的に(言い換えれば、簡略的に)示すに過ぎない。つまり、図5に示す機能ブロックがそのまま信号処理装置12に実現される必要はなく、図5に示す機能ブロックが行う動作を信号処理装置12が行うことができる限りは、信号処理装置12内に実現される機能ブロックの構成が図5に示す構成に限定されることはない。
【0050】
複数のQAM信号変換部121の夫々は、送信装置1から受信装置2に送信するべき情報から生成される入力信号Inに対してQAM変換処理等を行うことで、送信信号xを生成する。具体的には、信号処理装置12は、複数のQAM信号変換部121として、N個のQAM信号変換部121(0)から121(N-1)を備えている。QAM信号変換部121(0)から121(N-1)には、入力信号In(0)からIn(N-1)が夫々入力される。入力信号In(0)からIn(N-1)は、夫々、送信装置1から受信装置2に送信するべき情報をN個のビット系列に分割することで生成されるN個のビット系列である。具体的には、QAM信号変換部121(0)から121(N-1)には、入力信号In(0)[n]からIn(N-1)[n]が入力される。入力信号In(0)[n]からIn(N-1)[n]は、夫々、時刻nにおいて送信装置1から受信装置2に送信するべき情報をN個のビット系列に分割することで生成されるN個のビット系列である。QAM信号変換部121(k)は、入力信号In(k)[n]に対してQAM変換処理等を行うことで、送信信号x(k)[n]を生成する。
【0051】
QAM信号変換部121(0)から121(N-1)は、QAM変換処理として、入力信号In(0)[n]からI(N-1)[n]を構成するN個のビット列を、直交振幅変調信号に対応するN個の複素信号点の系列に変換する処理を行ってもよい。その結果、直交振幅変調信号に対応するN個の複素信号点の系列に相当する送信信号x(0)[n]からx(N-1)[n]が生成される。
【0052】
尚、図5は、信号処理装置12が、送信信号x(0)[n]からx(N-1)[n]を夫々出力するQAM信号変換部121(0)から121(N-1)を備える例を示している。しかしながら、信号処理装置12が、単一のQAM信号変換部121と、QAM信号変換部121の出力をN個の信号系列に変換するシリアルパラレル変換器とを備えていてもよい。
【0053】
信号合成部122は、N個の送信信号x(0)[n]からx(N-1)[n]に対して信号合成処理を行うことで、N個のMIMO送信信号s(0)[n]からs(N-1)[n]を生成する。信号合成処理は、送信信号x(0)[n]からx(N-1)[n]をN次元のベクトルであるとみなした上で、当該N次元のベクトルに対してN行×N列のユニタリ行列Fを乗算する行列演算を行うと共に、行列演算によって得られたN次元のベクトルをMIMO送信信号s(0)[n]からs(N-1)[n]として出力する処理を含んでいてもい。ユニタリ行列Fは、典型的には、長さNの離散フーリエ変換行列であるが、長さNの離散フーリエ変換行列とは異なる行列であってもよい。
【0054】
尚、信号合成部122は、ユニタリ行列Fとして、N行×N列の単位行列を用いてもよい。この場合、信号合成部122の出力は、信号合成部122の入力と一致してもよい。つまり、信号合成部122は、信号合成部122に入力された送信信号x(0)[n]からx(N-1)[n]を、MIMO送信信号s(0)[n]からs(N-1)[n]としてそのまま出力してもよい。
【0055】
複数の移相部123の夫々は、MIMO送信信号sの位相を、位相更新部126が指定する位相移動量φだけ移動させる(言い換えれば、調整する)。具体的には、信号処理装置12は、複数の移相部123として、N個の移相部123(0)から123(N-1)を備えている。移相部123(k)は、MIMO送信信号s(k)[n]の位相を、位相更新部126が算出した位相移動量φ(k)だけ移動させる。その結果、移相部123(k)は、位相が位相移動量φ(k)だけ移動したMIMO送信信号s(k)[n]を出力する。
【0056】
複数の無線信号生成部124は、複数の移相部123が出力する複数のMIMO送信信号sから、複数の無線送信信号txを夫々生成する。具体的には、信号処理装置12は、複数の無線信号生成部124として、N個の無線信号生成部124(0)から124(N-1)を備えている。無線信号生成部124(k)は、MIMO送信信号s(k)[n]に対して無線信号処理を行うことで、無線送信信号tx(k)[n]を生成する。無線信号処理は、例えば、パルス成形処理、デジタルアナログ変換処理及びアップコンバート処理のうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。無線送信信号tx(k)[n]は、送信アンテナ素子11(k)を用いて、受信装置2に送信される。
【0057】
フィードバック信号受信部125は、受信装置2が備えるフィードバック信号生成部226が送信したフィードバック信号を受信する。フィードバック信号受信部125は、受信したフィードバック信号を、位相更新部126に出力する。特に、フィードバック信号受信部125は、受信したフィードバック信号に含まれる位相制御情報ΔΦ(0)からΔΦ(N-1)を、位相更新部126に出力する。
【0058】
位相更新部126は、位相制御情報ΔΦ(0)からΔΦ(N-1)に基づいて、移相部123(0)から123(N-1)が夫々用いる位相移動量φ(0)からφ(N-1)を算出する。
【0059】
位相更新部126内には、位相移動量φ(0)からφ(N-1)を算出するための機能ブロックが実現されてもよい。図6は、位相制御情報ΔΦを生成するために位相更新部126内に実現される機能ブロックの一例を示している。図6に示すように、位相更新部126内には、更新情報生成部1261と、累積加算部1262とが実現されてもよい。尚、更新情報生成部1261及び累積加算部1262の夫々の動作については、後に図11等を参照しながら詳述するが、その概要についてここで簡単に説明する。更新情報生成部1261は、位相制御情報ΔΦ(k)に基づいて、MIMO送信信号s(k)[n]の位相更新量α(k)を算出する。累積加算部1262は、位相移動量φ(k)に対して位相更新量α(k)を加算することで、位相移動量φ(k)を更新する。位相更新量α(k)に基づいて更新された位相移動量φ(k)は、移相部123(k)によってMIMO送信信号s(k)[n]の位相を移動するために用いられる。
【0060】
<2>無線通信システムSYSの動作
続いて、本実施形態における無線通信システムSYSの動作について説明する。
【0061】
<2-1>受信装置2が行う受信動作
はじめに、図7を参照しながら、受信装置2が行う受信動作について説明する。図7は、受信装置2が行う受信動作の流れを示すフローチャートである。
【0062】
図7に示すように、受信装置2は、受信アンテナ素子21(0)から21(N-1)を用いて、無線受信信号ry(0)[n]からry(N-1)[n]を夫々受信する(ステップS21)。その後、ベースバンド信号生成部221(0)から221(N-1)は、無線受信信号ry(0)[n]からry(N-1)[n]から、ベースバンド信号y(0)からy(N-1)を夫々生成する(ステップS22)。
【0063】
その後、MIMO等化処理部222は、ベースバンド信号y(0)[n]からy(N-1)[n]に対して、MIMO等化処理を行う(ステップS23)。その結果、MIMO等化処理部222は、MIMO受信信号x’(0)[n]からx’(N-1)[n]を生成する(ステップS23)。
【0064】
MIMO等化処理におけるタップ係数行列がWである場合には、MIMO等化処理は、数式1に示す行列演算を行う処理を含んでいてもよい。数式1における記号「T」は、転置行列を意味する。尚、以下の説明では、タップ係数行列Wが、N行×N列の行列となる例(つまり、最も単純な例)について説明する。数式1における記号「・」は、乗算を示す。以下の説明でも同様である。
【0065】
【数1】
【0066】
上述したように、MIMO等化処理部222は、MIMO等化処理として、ZF処理及びMMSE処理の少なくとも一方を行ってもよい。この場合、ZF処理で用いられるタップ係数行列Wと、MMSE処理で用いられるタップ係数行列Wとが異なっていてもよい。例えば、MIMO等化処理としてZF処理が行われる場合には、タップ係数行列Wとして、数式2に示す行列が用いられてもよい。例えば、MIMO等化処理としてMMSE処理が行われる場合には、タップ係数行列Wとして、数式3に示す行列が用いられてもよい。尚、数式2及び3における記号「H」は、送信装置1のQAM信号変換部121からMIMO等化処理部222に至るまでの信号経路における信号の変化を表現したN行×N列の行列である。数式2及び3における記号「」は、エルミート転置行列(つまり、共役転置行列)を示す。数式3における記号「P」は、無線送信信号tx(0)[n]からtx(N-1)[n]の各信号あたりの信号電力(つまり、送信信号電力)を示す。数式3における記号「σ」は、ノイズ分散を示す。数式3における記号「I」は、N行×N列の単位行列を示す。
【0067】
【数2】
【0068】
【数3】
【0069】
その後、信号判定部223(0)から223(N-1)は、MIMO受信信号x’(0)[n]からx’(N-1)[n]から、送信信号x(0)[n]からx(N-1)[n]を夫々推定する(ステップS24)。
【0070】
ステップS24の動作と並行して又は相前後して、通信状態検出部224は、MIMO受信信号x’(0)からx’(N-1)の間の相関関係を示す相関情報γIを生成する(ステップS25)。具体的には、通信状態検出部224は、0≦n<Lを満たす時刻nのMIMO受信信号x’(0)[n]からx’(N-1)[n]に基づいて、相関情報γIを生成する
ここで、図8を参照しながら、図7のステップS25における相関情報γIを生成する動作について詳細に説明する。図8は、図7のステップS25における相関情報γIを生成する動作の流れを示すフローチャートである。
【0071】
図8に示すように、通信状態検出部224は、時刻を示す変数nと、相関情報γIに含まれる相関関係γi,jを初期化する(ステップS251)。具体的には、通信状態検出部224は、変数nがゼロになるように、変数nを初期化する。更に、通信状態検出部224は、相関関係γi,jがゼロになるように相関関係γi,jを初期化する動作を、変数iと変数jとの組み合わせのパターンを変更しながら繰り返す。
【0072】
その後、通信状態検出部224(特に、相関算出部2241)は、数式4を用いて相関関係γi,jを更新する動作を、変数iと変数jとの組み合わせのパターンを変更しながら繰り返す(ステップS252)。数式4における記号「*」は、複素共役を示す。具体的には、相関算出部2241は、相関関係γi,jに対して、MIMO受信信号x’(i)[n]とMIMO受信信号x’(j)[n]の複素共役との乗算結果を加算する動作を、変数iと変数jとの組み合わせのパターンを変更しながら繰り返す。数式4における記号「←」は、右辺を左辺に代入する演算を示す。以下の説明においても、記号「←」は、右辺を左辺に代入する演算を示す。
【0073】
【数4】
【0074】
相関算出部2241は、ステップS252の動作を、時刻を示す変数nがL+1未満であると判定されている間は、変数nを1ずつインクリメントしながら繰り返す(ステップSS253からステップS254)。つまり、相関算出部2241は、ステップS252の動作を、変数nを1ずつインクリメントしながらL回繰り返す。その結果、時刻を示す変数nがL+1未満でない(つまり、L+1以上である)と判定された時点での相関関係γi,jは、MIMO受信信号x’(i)[0]、x’(i)[1]、・・・、及びx’(i)[L-1]と、MIMO受信信号x’(j)[0]、x’(j)[1]、・・・、及びx’(j)[L-1]との間の相関関係を示す。
【0075】
その後、通信状態検出部224(特に、正規化・オフセット処理部2242)は、相関関係γi,jに対して所定の正規化・オフセット処理を行う(ステップS255)。上述したように、ステップS255において行われる正規化・オフセット処理の種類は、MIMO等化処理の種類に基づいて定まる。つまり、ステップS255において行われる正規化・オフセット処理の種類は、MIMO等化処理の種類に基づいて変わってもよい。
【0076】
例えば、MIMO等化処理としてMMSE処理が行われる場合には、正規化・オフセット処理部2242は、数式5に示す処理を、正規化・オフセット処理として行ってもよい。数式5における記号「L」は、MIMO受信信号x’(0)[n]からx’(N-1)[n]の信号系列の長さを示す。数式5における記号「P」は、数式3における記号「P」と同様に、無線送信信号tx(0)[n]からtx(N-1)[n]の各信号あたりの信号電力を示す。この場合、数式5に示す正規化・オフセット処理は、相関関係γi,jを信号系列の長さLと信号電力Pとの乗算結果で正規化する処理を含んでいる。
【0077】
【数5】
【0078】
例えば、MIMO等化処理としてZF処理が行われる場合には、正規化・オフセット処理部2242は、数式6に示す処理を、正規化・オフセット処理として行ってもよい。数式6における記号「δ(i、j)」は、変数iと変数jとが同一である場合に1を示し、且つ、変数iと変数jとが同一でない場合にゼロとなる。この場合、数式5に示す正規化・オフセット処理は、相関関係γi,jを信号系列の長さLと信号電力Pとの乗算結果で正規化する処理と、正規化の結果を、記号δ(i、j)が示すオフセット量だけオフセットする処理とを含んでいる。
【0079】
【数6】
【0080】
その結果、通信状態検出部224は、正規化・オフセット処理が行われた相関関係γi,jを示す相関情報γIを、位相制御情報生成部225に出力する(ステップS256)。
【0081】
再び図7において、その後、位相制御情報生成部225は、ステップS25において生成された相関情報γI(相関関係γi,j)に基づいて、位相制御情報ΔΦを生成する(ステップS26)。
【0082】
ここで、図9を参照しながら、図7のステップS26における位相制御情報ΔΦを生成する動作について詳細に説明する。図9は、図7のステップS26における位相制御情報ΔΦを生成する動作の流れを示すフローチャートである。
【0083】
図9に示すように、位相制御情報生成部225(特に、行列生成部2251)は、N×(N+1)/2個の相関関係γi,jを取得する(ステップS261)。
【0084】
その後、行列生成部2251は、ステップS261において取得したN×(N+1)/2個の相関関係γi,jが上三角成分となるN行×N列のエルミート行列EMを生成する(ステップS262)。つまり、行列生成部2251は、第i行第j列の行列成分EMi,jが、γi,jとなるエルミート行列EMを生成する。尚、エルミート行列EMの下三角成分は、N×(N+1)/2個の相関関係γi,jの複素共役であってもよい。つまり、行列生成部2251は、第j行第i列の行列成分EMj,iが、γi,jの複素共役となるエルミート行列EMを生成してもよい。
【0085】
その後、行列生成部2251は、ステップS262において生成したエルミート行列EMに対して所定の対角行列DMを乗算することで、N行×N列の正方行列Γを生成する(ステップS263)。具体的には、行列生成部2251は、エルミート行列EMに対してエルミート行列EMの左側から対角行列DMを乗算することで、正方行列Γを生成する。つまり、行列生成部2251は、Γ=DM×EMという数式を用いて、正方行列Γを生成する。
【0086】
ステップS263で用いられる対角行列DMの種類は、MIMO等化処理の種類に基づいて定まる。つまり、ステップS263で用いられる対角行列DMの種類は、MIMO等化処理の種類に基づいて変わってもよい。
【0087】
例えば、MIMO等化処理としてMMSE処理が行われる場合には、行列生成部2251は、第j行第j列の対角成分が1/(1-γj,j)となる対角行列を、対角行列DMとして用いてもよい。この場合、正方行列Γの第i行第j列の行列成分Γi,jは、γi,j/(1-γj,j)となる。
【0088】
例えば、MIMO等化処理としてZF処理が行われる場合には、行列生成部2251は、第j行第j列の対角成分が-1/(γj,j(1+γj,j))となる対角行列を、対角行列DMとして用いてもよい。この場合、正方行列Γの第i行第j列の行列成分Γi,jは、-γi,j/(γj,j(1+γj,j))となる。
【0089】
その後、位相制御情報生成部225(特に、ユニタリ変換部2252)は、ユニタリ行列Fと、正方行列Γと、ユニタリ行列のFのエルミート転置行列Fとの乗算によって得られる正方行列Γ’を生成し、正方行列Γ’のN個の対角成分v、v、・・・、及びvN-1を取得する(ステップS264)。具体的には、ユニタリ変換部2252は、正方行列Γに対して、正方行列Γの左側からユニタリ行列Fを乗算し且つ正方行列Γの右側からエルミート転置行列Fを乗算することで、N行×N列の正方行列Γ’を生成する。つまり、ユニタリ変換部2252は、Γ’=F×Γ×Fという数式を用いて、正方行列Γ’を生成する。その後、ユニタリ変換部2252は、正方行列Γ’からN個の対角成分v、v、・・・、及びvN-1を抽出する。
【0090】
ステップS264において得られるN個の対角成分v、v、・・・、及びvN-1は、複素数である。この場合、ユニタリ変換部2252は、対角成分vの虚数成分を2倍することで得られる実数成分を、位相制御情報ΔΦ(k)として算出する(ステップS265)。つまり、ユニタリ変換部2252は、対角成分vの虚数成分を2倍することで得られる実数成分を、位相制御情報ΔΦ(0)として算出し、対角成分vの虚数成分を2倍することで得られる実数成分を、位相制御情報ΔΦ(1)として算出し、・・・、対角成分vN-1の虚数成分を2倍することで得られる実数成分を、位相制御情報ΔΦ(N-1)として算出する。
【0091】
このように算出される位相制御情報Φ(k)は、図5に示す送信装置1の移相部123(k)が用いる位相移動量φ(k)と通信容量との間の関係を示している。具体的には、位相制御情報ΔΦ(k)は、位相移動量φ(k)に対する通信容量の変化率を示している。位相制御情報ΔΦ(k)が正の値である場合には、位相移動量φ(k)が増加することで通信容量が増加すると想定される。一方で、位相制御情報ΔΦ(k)が負の値である場合には、位相移動量φ(k)が減少することで通信容量が増加すると想定される。
【0092】
再び図7において、フィードバック信号生成部226は、ステップS26において生成された位相制御情報ΔΦ(0)からΔΦ(N-1)を含むフィードバック信号を生成する(ステップS27)。その後、フィードバック信号生成部226は、生成したフィードバック信号を送信装置1に送信する(ステップS27)。
【0093】
以上の動作が、受信動作が終了するまで繰り返される(ステップS28)。
【0094】
<2-2>送信装置1が行う送信動作
続いて、図10を参照しながら、送信装置1が行う送信動作について説明する。図10は、送信装置1が行う送信動作の流れを示すフローチャートである。
【0095】
図10に示すように、QAM信号変換部121(k)から121(N-1)は、夫々、入力信号In(0)からIn(N-1)から、送信信号x(0)[n]からx(N-1)[n]を生成する(ステップS11)。
【0096】
その後、信号合成部122は、送信信号x(0)[n]からx(N-1)[n]に対して信号合成処理を行うことで、MIMO送信信号s(0)[n]からs(N-1)[n]を生成する(ステップS12)。具体的には、信号合成部122は、ユニタリ行列Fを用いて送信信号x(0)[n]からx(N-1)[n]に対して信号合成処理を行うことで、MIMO送信信号s(0)[n]からs(N-1)[n]を生成する。この場合、信号合成部122は、数式7に示す信号合成処理を行うことで、MIMO送信信号s(0)[n]からs(N-1)[n]を生成してもよい。尚、信号合成部122がMIMO送信信号s(0)[n]からs(N-1)[n]を生成するために用いるユニタリ行列Fは、上述した受信装置2の位相制御情報生成部225が位相制御情報ΔΦ(0)からΔΦ(N-1)を生成するために用いるユニタリ行列Fと同一である
【0097】
【数7】
【0098】
その後、移相部123(0)から123(N-1)は、夫々、ステップS12において生成されたMIMO送信信号s(0)[n]からs(N-1)[n]の位相を、位相移動量φ(0)からφ(N-1)だけ移動させる(ステップS13)。この場合、移相部123(0)から123(N-1)はは、数式8に示すN個の信号を、位相が位相移動量φ(0)からφ(N-1)だけ移動したいMIMO送信信号s(0)[n]からs(N-1)[n]として出力する。
【0099】
【数8】
【0100】
ステップS13において用いられる位相移動量φ(0)からφ(N-1)は、位相更新部126によって算出される。ここで、図11を参照しながら、位相移動量φ(0)からφ(N-1)を算出する動作について詳細に説明する。図11は、位相移動量φ(0)からφ(N-1)を算出する動作の流れを示すフローチャートである。
【0101】
図11に示すように、位相更新部126は、位相移動量φ(0)からφ(N-1)を初期化する(ステップS131)。具体的には、位相更新部126は、位相移動量φ(0)からφ(N-1)の夫々がゼロになるように、位相移動量φ(0)からφ(N-1)を初期化する。更に、位相更新部126は、位相移動量φ(0)からφ(N-1)を算出するために用いる内部変数h(0)からh(N-1)を初期化する(ステップS131)。具体的には、位相更新部126は、内部変数h(0)からh(N-1)の夫々がゼロになるように、内部変数h(0)からh(N-1)を初期化する。
【0102】
その後、位相更新部126(特に、更新情報生成部1261)は、受信装置2から送信されたフィードバック信号に含まれる位相制御情報ΔΦ(0)からΔΦ(N-1)を取得する(ステップS132)。
【0103】
その後、更新情報生成部1261は、ステップS132において取得された位相制御情報ΔΦ(0)からΔΦ(N-1)に基づいて、MIMO送信信号s(0)[n]の位相更新量α(0)からMIMO送信信号s(N-1)[n]の位相更新量α(N-1)を算出する(ステップS263)。具体的には、更新情報生成部1261は、まず、数式9を用いて、内部変数h(0)からh(N-1)を更新する。尚、数式9における記号「ρ」は、任意に設定可能なハイパーパラメータである。その後、更新情報生成部1261は、数式10を用いて、位相更新量α(0)からα(N-1)を更新する。尚、数式10における記号「η」は、任意に設定可能なハイパーパラメータである。尚、数式9及び数式10に示すように位相更新量α(0)からα(N-1)を更新する動作は、RMSPropと称される学習アルゴリズムを用いた動作と同様であってもよい。
【0104】
【数9】
【0105】
【数10】
【0106】
その後、位相更新部126(特に、累積加算部1262)は、ステップS133において算出された位相更新量α(0)からα(N-1)を位相移動量φ(0)からφ(N-1)に夫々加算することで、位相移動量φ(0)からφ(N-1)を更新する(ステップS134)。つまり、累積加算部1262は、位相移動量φ(k)=位相移動量φ(k)+位相更新量α(k)という数式をも用いて、位相更新量α(k)を更新する。
【0107】
上述したように、位相制御情報ΔΦ(k)は、位相移動量φ(k)に対する通信容量の変化率を示している。上述したように、位相制御情報ΔΦ(k)が正の値である場合には、位相移動量φ(k)が増加することで通信容量が増加すると想定される。数式9及び数式10から分かるように、位相制御情報ΔΦ(k)が正の値である場合には、正の位相更新量α(k)が算出される。このため、位相更新量α(k)が位相移動量φ(k)に加算されることで、位相移動量φ(k)が増加する。その結果、位相移動量φ(k)の更新(増加)によって、通信容量が増加することが期待される。一方で、位相制御情報ΔΦ(k)が負の値である場合には、位相移動量φ(k)が減少することで通信容量が増加すると想定される。数式9及び数式10から分かるように、位相制御情報ΔΦ(k)が負の値である場合には、負の位相更新量α(k)が算出される。このため、位相更新量α(k)が位相移動量φ(k)に加算されることで、位相移動量φ(k)が減少する。その結果、位相移動量φ(k)の更新(減少)によって、通信容量が増加することが期待される。
【0108】
このように、本実施形態では、無線通信システムSYSの通信容量が増加するように、MIMO送信信号s(0)[n]からs(N-1)[n]の位相が移動される。ここで、MIMO送信信号s(0)[n]からs(N-1)[n]の位相の移動量を示す位相移動量φ(0)からφ(N-1)は、MIMO受信信号x’(0)からx’(N-1)の間の相関関係γi,jを示す相関情報γIに基づいて算出される。この場合、MIMO受信信号x’(0)からx’(N-1)の間の相関関係γi,jを示す相関情報γIは、通信容量の変化に関する情報を含んでいるとみなしてもよい。言い換えれば、無線通信システムSYSは、MIMO受信信号x’(0)からx’(N-1)の間の相関関係γi,jを示す相関情報γIに基づいて、通信容量の変化を検出し、通信容量の低下を防ぐように、MIMO送信信号s(0)[n]からs(N-1)[n]の位相を移動しているとみなしてもよい。上述したように、通信容量の変化が、複数の送信アンテナ素子11と複数の受信アンテナ素子21との間の相対的な位置関係の変化に起因していることを考慮すると、無線通信システムSYSは、MIMO受信信号x’(0)からx’(N-1)の間の相関関係γi,jを示す相関情報γIに基づいて、複数の送信アンテナ素子11と複数の受信アンテナ素子21との間の相対的な位置関係の変化に起因した通信容量の変化を検出し、通信容量の低下を防ぐように、MIMO送信信号s(0)[n]からs(N-1)[n]の位相を移動しているとみなしてもよい。その結果、無線通信システムSYSは、複数の送信アンテナ素子11と複数の受信アンテナ素子21との間の相対的な位置関係の変化に起因した通信容量への影響を適切に低減することができる。
【0109】
位相更新部126は、以上説明したステップS131からステップS134までの動作を、図11に示す動作を終了すると判定されるまで繰り返す(ステップS135)。この際、位相更新部126に、位相移動量φ(0)からφ(N-1)及び内部変数h(0)からh(N-1)を初期化することを要求するリセット信号が入力された場合には(ステップS136:Yes)、位相更新部126は、ステップS131の初期化動作を行った上で、ステップS132からステップS134までの動作を行う。他方で、リセット信号が入力されていない場合には(ステップS136:No)、位相更新部126は、ステップS131の初期化動作を行うことなく、ステップS132からステップS134までの動作を行う。このため、位相更新部126は、リセット信号が入力されるまでは、位相更新量α(k)を位相移動量φ(k)に累積加算し続けることで、位相移動量φ(k)を更新する。
【0110】
再び図10において、その後、無線信号生成部124(0)から124(N-1)は、夫々、移相部123(0)から123(N-1)から夫々出力されるMIMO送信信号s(0)[n]からs(N-1)[n]に対して無線信号処理を行うことで、無線送信信号tx(0)[n]からtx(N-1)[n]を生成する(ステップS14)。無線送信信号tx(0)[n]からtx(N-1)[n]は、送信アンテナ素子11(0)から11(N-1)を夫々用いて、受信装置2に送信される。
【0111】
<3>無線通信システムSYSの技術的効果
以上説明したように、無線通信システムSYSは、無線通信システムSYSの通信容量が増加するように、MIMO送信信号s(0)[n]からs(N-1)[n]の位相を移動することができる。このため、無線通信システムSYSは、複数の送信アンテナ素子11と複数の受信アンテナ素子21との間の相対的な位置関係の変化に起因した通信容量への影響を適切に低減することができる。特に、本実施形態では、無線通信システムSYSは、複数の送信アンテナ素子11及び複数の受信アンテナ素子21の配列パターンに依存することなく、複数の送信アンテナ素子11と複数の受信アンテナ素子21との間の相対的な位置関係の変化に起因した通信容量への影響を適切に低減することができる。
【0112】
ここで、無線通信システムSYSの技術的効果の具体例として、図12に示すように、(i)送信装置1が、円周上に配置された八つの送信アンテナ素子11を備えており、(ii)受信装置2が、円周上に配置された八つの受信アンテナ素子21を備えてており、(iii)送信装置1の信号合成部122及び受信装置2の位相制御情報生成部225の夫々が、ユニタリ行列Fとして長さNが8となる離散フーリエ変換行列を用いる場合に実現される技術的効果について説明する。
【0113】
ここで、複数の送信アンテナ素子11と複数の受信アンテナ素子21との間の相対的な位置関係が理想的な位置関係である場合には、移相部123によるMIMO送信信号s(0)[n]からs(8)[n]位相の移動は不要である。この場合、位相更新部126は、ゼロとなる位相移動量φ(0)からφ(7)を算出する。
【0114】
一方で、複数の送信アンテナ素子11と複数の受信アンテナ素子21との間の相対的な位置関係が理想的な位置関係とは異なる場合には、通信容量が減少する。例えば、複数の送信アンテナ素子11と複数の受信アンテナ素子21との間の相対的な位置関係が、理想的な位置関係に対してy軸方向及びz軸方向に沿って数度ずれた場合の通信容量の時間経過の様子が、図13に示されている。図13に示すように、時刻t0において、複数の送信アンテナ素子11と複数の受信アンテナ素子21との間の相対的な位置関係が変わってしまった場合には、その直後に通信容量が減少しているものの、上述したMIMO送信信号s(0)[n]からs(7)[n]の位相の移動により、通信容量が回復することが分かる。
【0115】
更に、図13に示すように通信容量が変化している状況下での八つの移相部123((0)から123(7)が用いる位相移動量φ(0)からφ(7)の時間経過の様子が、図14に示されている。図14に示す例では、八つの移相部123(0)から123(7)のうちの三つが、位相を進めるように位相を移動させ、八つの移相部123(0)から123(7)のうちの他の三つが、位相を遅らせるように位相を移動させ、且つ、八つの移相部123(0)から123(7)のうちの残りの二つが、位相を殆ど移動させていない。図14に示すように、時間の経過と共に位相移動量φ(0)からφ(7)が更新され、その結果、通信容量が回復することが分かる。
【0116】
尚、図13及び図14は、時刻t0において複数の送信アンテナ素子11と複数の受信アンテナ素子21との間の相対的な位置関係が変化した後は、複数の送信アンテナ素子11と複数の受信アンテナ素子21との間の相対的な位置関係がそれ以上変化しない例を示している。しかしながら、時刻t0において複数の送信アンテナ素子11と複数の受信アンテナ素子21との間の相対的な位置関係が変化した後においても複数の送信アンテナ素子11と複数の受信アンテナ素子21との間の相対的な位置関係が更に変化する場合においても、上述した効果が享受可能である。
【0117】
<4>付記
以上説明した実施形態に関して、更に以下の付記を開示する。
[付記1]
複数の送信信号に対して信号合成処理を行うことで複数の合成送信信号を生成し、前記複数の合成送信信号から生成される複数の無線送信信号を含む無線信号を、複数の送信アンテナ素子を用いて送信する送信装置と、
前記送信装置が送信した前記無線信号を、複数の受信アンテナ素子を用いて複数の無線受信信号として受信する受信装置と
を備える無線通信システムであって、
前記受信装置は、
前記複数の無線受信信号に対して信号分離処理を行うことで、複数の分離受信信号を生成する受信信号生成手段と、
前記複数の分離受信信号の間の相関関係を示す相関情報を生成する相関情報生成手段と、
前記相関情報に基づいて、前記複数の合成送信信号の位相と通信容量との間の関係を示す位相制御情報を生成する位相制御情報生成手段と、
前記位相制御情報を前記送信装置に送信する送信手段と
を備え、
前記送信装置は、
前記送信手段が送信した前記位相制御情報を受信する受信手段と、
前記複数の送信信号に対して前記信号合成処理を行うことで、前記複数の合成送信信号を生成する送信信号生成手段と、
前記受信手段が受信した前記位相制御情報に基づいて、前記複数の合成送信信号の夫々の位相の移動量を示す位相移動量を算出する位相算出手段と、
前記複数の合成送信信号の夫々の位相を、前記位相算出手段が算出した前記位相移動量だけ調整する位相調整手段と
を備える無線通信システム。
[付記2]
前記相関情報生成手段は、
前記複数の分離受信信号のうちの第1の分離受信信号と、前記複数の分離受信信号のうちの前記第1の分離受信信号とは異なる第2の分離受信信号の複素共役との間の相互相関関係、及び、前記第1の分離受信信号と前記第1の分離受信信号の複素共役との間の自己相関関係を含む前記相関関係を算出し、
前記相関関係を送信信号電力で正規化することで、正規化された前記相関関係を示す前記相関情報を生成する
を備える付記1に記載の無線通信システム。
[付記3]
前記位相制御情報生成手段は、
前記相関情報が行列成分となる第1正方行列を生成し、
前記信号合成処理に用いられるユニタリ行列と、前記第1正方行列と、前記ユニタリ行列のエルミート転置行列との乗算によって得られる第2正方行列の対角成分の虚数成分を用いて、前記位相制御情報を生成する
付記1又は2に記載の無線通信システム。
[付記4]
前記位相算出手段は、
前記受信手段が受信した位相制御情報に基づいて、前記位相移動量の更新量を算出し、
前記更新量を前記位相移動量に累積加算して前記位相移動量を更新することで、前記位相移動量を算出する
付記1から3のいずれか一項に記載の無線通信システム。
[付記5]
前記複数の送信アンテナ素子は、第1の円の円周上に配置されているN(尚、Nは、2以上の整数を示す変数である)個の送信アンテナ素子であり、
前記複数の受信アンテナ素子は、第2の円の円周上に配置されているN個の受信アンテナ素子であり、
前記信号合成手段は、長さNの離散フーリエ変換行列であるユニタリ行列を用いて、前記信号合成処理を行う
付記1から4のいずれか一項に記載の無線通信システム。
[付記6]
複数の送信信号に対して信号合成処理を行うことで複数の合成送信信号を生成し、前記複数の合成送信信号から生成される複数の無線送信信号を含む無線信号を、複数の送信アンテナ素子を用いて送信する送信装置と、
前記送信装置が送信した前記無線信号を、複数の受信アンテナ素子を用いて複数の無線受信信号として受信する受信装置と
を用いた無線通信方法であって、
前記複数の無線受信信号に対して信号分離処理を行うことで、複数の分離受信信号を生成することと、
前記複数の分離受信信号の間の相関関係を示す相関情報を生成することと、
前記相関情報に基づいて、前記複数の合成送信信号の位相と通信容量との間の関係を示す位相制御情報を生成することと、
前記複数の送信信号に対して前記信号合成処理を行うことで、前記複数の合成送信信号を生成することと、
前記位相制御情報に基づいて、前記複数の合成送信信号の夫々の位相の移動量を示す位相移動量を算出することと、
前記複数の合成送信信号の夫々の位相を、前記位相移動量だけ調整することと
を備える無線通信方法。
[付記7]
コンピュータに無線通信方法を実行させるコンピュータプログラムであって、
前記無線通信方法は、
複数の送信信号に対して信号合成処理を行うことで複数の合成送信信号を生成し、前記複数の合成送信信号から生成される複数の無線送信信号を含む無線信号を、複数の送信アンテナ素子を用いて送信する送信装置と、
前記送信装置が送信した前記無線信号を、複数の受信アンテナ素子を用いて複数の無線受信信号として受信する受信装置と
を用いた無線通信方法であって、
前記無線通信方法は、
前記複数の無線受信信号に対して信号分離処理を行うことで、複数の分離受信信号を生成することと、
前記複数の分離受信信号の間の相関関係を示す相関情報を生成することと、
前記相関情報に基づいて、前記複数の合成送信信号の位相と通信容量との間の関係を示す位相制御情報を生成することと、
前記複数の送信信号に対して前記信号合成処理を行うことで、前記複数の合成送信信号を生成することと、
前記位相制御情報に基づいて、前記複数の合成送信信号の夫々の位相の移動量を示す位相移動量を算出することと、
前記複数の合成送信信号の夫々の位相を、前記位相移動量だけ調整することと
を備えるコンピュータプログラム。
【0118】
本発明は、請求の範囲及び明細書全体から読み取るこのできる発明の要旨又は思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う通信システム、送信装置、受信装置、送信方法、受信方法、及び、コンピュータプログラムもまた本発明の技術思想に含まれる。
【符号の説明】
【0119】
1 送信装置
11 信号処理装置
122 信号合成部
123 移相部
125 フィードバック信号受信部
126 位相更新部
2 受信装置
21 信号処理装置
222 MIMO等化処理部
224 通信状態検出部
225 位相制御情報生成部
226 フィードバック信号生成部
SYS 無線通信システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14