IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ジャパンディスプレイの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049633
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20240403BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20240403BHJP
   G02F 1/1333 20060101ALI20240403BHJP
   F21V 7/00 20060101ALI20240403BHJP
   F21V 7/06 20060101ALI20240403BHJP
   F21V 9/40 20180101ALI20240403BHJP
   F21V 5/08 20060101ALI20240403BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20240403BHJP
   F21V 7/07 20060101ALI20240403BHJP
   F21V 9/08 20180101ALI20240403BHJP
   F21V 9/14 20060101ALI20240403BHJP
   G02B 21/06 20060101ALN20240403BHJP
【FI】
F21S2/00 330
G02F1/13 505
G02F1/1333
F21S2/00 233
F21S2/00 350
F21V7/00 510
F21V7/06 100
F21V9/40 400
F21V5/08
F21V5/00 600
F21V7/07 100
F21V9/08 400
F21V9/08 100
F21V9/14
G02B21/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155978
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 誠
(72)【発明者】
【氏名】岡田 真文
【テーマコード(参考)】
2H052
2H088
2H189
【Fターム(参考)】
2H052AC17
2H052AC25
2H052AC27
2H052AC33
2H088EA42
2H088HA14
2H088HA21
2H088HA24
2H088MA20
2H189AA32
2H189HA16
2H189LA15
2H189LA18
2H189LA19
2H189MA15
(57)【要約】
【課題】単純な構成で、リング状照射光を形成することが出来る照明装置を実現する。また、リング状照射光の形状を任意に変えることが出来る照明装置を実現する。
【解決手段】
これを実現するために、本発明は次のような手段をとる。すなわち、光源が配置した第1の孔13と光を出射する第2の孔12と、前記第1の孔13と前記第2の孔12を連結する反射曲面11を有する第1の反射体10と、平面で視て、前記第2の孔12の中心を含む領域に遮光体20が配置され、前記第2の孔12の内端と前記遮光体20の外端の間にリング状に開口部が形成され、前記開口部を覆って液晶レンズ100が配置していることを特徴とする照明装置である。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源が配置した第1の孔と光を出射する第2の孔と、前記第1の孔と前記第2の孔を連結する反射曲面を有する第1の反射体と、
平面で視て、前記第2の孔の中心を含む領域に遮光体が配置され、
前記第2の孔の内端と前記遮光体の外端の間にリング状に開口部が形成され、
前記開口部を覆って液晶レンズが配置していることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記第1の反射体の外形は直方体であり、
前記第1の孔は前記直方体の第1の面に形成され、
前記第2の孔は前記第1の面と対向する第2の面に形成され、
前記遮光体の主面は、前記第2の面と平行に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記遮光体は、前記遮光体に取り付けられたタブを介して、前記第1の反射体の前記第2の面に取り付けられていることを特徴とする請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記遮光体は前記液晶レンズに取り付けられていることを特徴とする請求項2に記載の照明装置。
【請求項5】
前記第1の反射体の前記曲面は、前記第1の孔に近い第1の曲面と、前記第2の孔に近い第2の曲面を有し、
前記第2の曲面の一部は、双曲面あるいは放物面を有することを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項6】
前記遮光体の前記光源に対向する面の波長500nmの光に対する吸収率は80%以上であることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項7】
前記遮光体と前記光源の間に第2の反射体が配置し、
前記第2の反射体の前記光源と対向する側の面は第3の反射面となっていることを特徴とする請求項5に記載の照明装置。
【請求項8】
前記第3の反射面は、前記光源からの光を反射して、前記第1の反射体の前記第2の曲面に向かわせるような曲面であることを特徴とする請求項7に記載の照明装置。
【請求項9】
前記第2の反射体と前記遮光体の間には、空間が存在していることを特徴とする請求項7に記載の照明装置。
【請求項10】
前記リングは円形であることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項11】
前記液晶レンズは、第1の液晶レンズ、第2の液晶レンズ、第3の液晶レンズ、第4の液晶レンズを有することを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項12】
前記第1の液晶レンズ、前記第2の液晶レンズ、前記第3の液晶レンズ、前記第4の液晶レンズは、入射光のうちの、異なる偏光光に対して作用することを特徴とする請求項11に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リング状の照射光を提供することが出来る照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
撮影用ライトや特殊照明等で、リング状の照明光を必要とする場合がある。また、顕微鏡等の光学器具や露光装置等の製造装置において、リング状の照射光を必要とする場合がある。
【0003】
特許文献1には、レーザ走査顕微鏡において、レーザ光に位相回折格子とアキシコンプリズムを作用させることによって、リング状の照射光を得ることが記載されている。特許文献2には、コリメート光に対し、ドーナッツレンズ、リング状開口、及びコンデンサレンズを作用させ、リング状開口の像をフォーカス位置に投影することによって、リング状の照明光を得ることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8-334701号公報
【特許文献2】特開2006-313213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
先行文献に記載の技術は、顕微鏡等の比較的小さな装置に使用される照明装置である。また、これらに記載の装置は、比較的複雑な光学系を必要とする。
【0006】
本発明の課題は、撮影照明用等の比較的大きなリング状の照明光にも対応することが出来、かつ、比較的簡単な光学系によって、リング状の照明光を形成することが出来る照明装置を実現することである。また、本発明の他の課題は、照明装置の外形を小さくすることによって、リング状照射光が必要な場合の、顕微鏡、露光装置等にも使用することが出来る照明装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題を解決するものであり、主な具体的な手段は次のとおりである。
【0008】
(1)光源が配置した第1の孔と光を出射する第2の孔と、前記第1の孔と前記第2の孔を連結する反射曲面を有する第1の反射体と、平面で視て、前記第2の孔の中心を含む領域に遮光体が配置され、前記第2の孔の内端と前記遮光体の外端の間にリング状に開口部が形成され、前記開口部を覆って液晶レンズが配置していることを特徴とする照明装置。
【0009】
(2)前記第1の反射体の外形は直方体であり、前記第1の孔は前記直方体の第1の面に形成され、前記第2の孔は前記第1の面と対向する第2の面に形成され、前記遮光体の主面は、前記第2の面と平行に形成されていることを特徴とする(1)に記載の照明装置。
【0010】
(3)前記第1の反射体の前記曲面は、前記第1の孔に近い第1の曲面と、前記第2の孔に近い第2の曲面を有し、前記第2の曲面の一部は、双曲面あるいは放物面を有することを特徴とする(1)に記載の照明装置。
【0011】
(4)前記遮光体と前記光源の間に第2の反射体が配置し、前記第2の反射体の前記光源と対向する側の面は第3の反射面となっていることを特徴とする(3)に記載の照明装置。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】リング状照射光を形成する照明装置の模式図である。
図2図1の照明装置の詳細平面図である。
図3図2のA-A断面図である。
図4図2のB-B断面図である。
図5】実施例1の照明装置の分解斜視図である。
図6】実施例1の照明装置の断面図である。
図7】実施例1の照明装置の平面図である。
図8】液晶レンズを外した場合の実施例1の照明装置からの照明光の例であり、リング状照射光が形成される場合である。
図9】液晶レンズを外した場合の実施例1の照明装置からの照明光の他の例であり、リング状照射光が形成されない場合である。
図10】液晶レンズを配置した場合の実施例1の照明装置からの照明光の例である。
図11図10の照明装置によるリング状照射光の例である。
図12図11の液晶レンズの作用を示す模式断面図である。
図13】液晶レンズを配置した場合の実施例1の照明装置からの照明光の他の例である。
図14図13の照明装置によるリング状照射光の例である。
図15図13の液晶レンズの作用を示す模式断面図である。
図16】液晶レンズの動作を説明する断面図である。
図17】液晶レンズの動作を説明する他の断面図である。
図18】液晶レンズの動作を説明するさらに他の断面図である。
図19】第1液晶レンズの断面図である。
図20】第1液晶レンズの電極形状を示す平面図である。
図21】第1液晶レンズと第2液晶レンズの動作を示す斜視図である。
図22】第1液晶レンズと第2液晶レンズを積層した状態を示す断面図である。
図23】第1液晶レンズ、第2液晶レンズ、第3液晶レンズ、第4液晶レンズの動作を示す斜視図である。
図24】ファンネル型反射体の内部において、LEDからの出射光の分布を示す断面図である。
図25】実施例2において、液晶レンズを除いた状態における照明装置の断面図である。
図26図25を上方向から視た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に実施例を用いて本発明を詳細に説明する。
【実施例0014】
図1は、照射光3を形成するための照明装置1の例である。図1において、左側は照射光3を形成するためのリング状照明装置1が支持具2にセットされている図である。右側がこの照明装置1から投射された照射光3である。
【0015】
リング状照明装置1には、多数の光源が円状に配列している。広範囲の領域を照射するため光源の前面に拡散板が配置されることもある。図1において、リング状照明装置1のリングの幅w1よりも、リング状照射光3のリングの幅w2のほうが大きい。リング状照明装置1からの光は、コリメート光ではなく、ある程度の配光角をもって照明装置1から出射するからである。
【0016】
図2図1に示すリング状照明装置1の平面図である。図2において、多数の光源4を収容する筐体5は、断面がU字状のリングであり、このU字溝に多数の光源4が配置されている。個々の光源4は各々が発光ダイオード(LED)を備えた光源であり、配光角の小さい光源4を使用場合図1のようなリング状照射光は形成される。
【0017】
図3は、図2の光源4のA-A断面図である。図3において、断面がU字型の筐体5の中に、ファンネル型反射体6とLED7で構成されるコリメート光源4が配置している。図4は、図2の光源4のB-B断面図である。図4において、ファンネル型反射体6とLED7で構成されるコリメート光源4が隣り合って配置している。
【0018】
図3及び図4において、コリメート光源4を構成するファンネル型反射体6は、内面が、例えばパラボラ反射面となっており、点光源からの光を反射し、コリメート光を出射する。以後パラボラ曲面は、双曲面あるいは放物面をいう。ファンネル型反射体6の出射面は、例えば円形であり、コリメート光源の断面形状は円形となる。
【0019】
図2のようなリング状照明装置5では、リング状照明装置1の直径と投射されるリング状照射光3の直径とが同じになる。したがって、大きな径のリング状照射光3を得ようとすると、リング状照明装置1も大きくなり、使用するコリメート光源4も多くなる。
【0020】
また、リング状照明装置1からの光の配光角も、個々のコリメート光源4の特性によって決まり、自由度が小さい。例えば、図1におけるリング状照射光3の幅は、リング状照明装置1の配光角によって決まるので、個々のコリメート光源4の特性によって決まる。リング状照射光3の直径や幅を変えたい場合は、コリメート光源4の光の出射孔に合わせてレンズ等の光学部品を配置する必要があり、構成が複雑になる。
【0021】
図5は、リング状照射光を形成することが可能な、本発明の実施例1の照明装置の分解斜視図である。図5おいて、外形が直方体で、下面に、光源であるLED30用の孔13が形成され、上面の出射孔12からコリメート光を出射するファンネル型反射体10が配置している。ファンネル型反射体10において、LED30用の孔13と出射孔12の間は、パラボラ曲面で結ばれ、出射孔12からコリメート光が出射されるような構成となっている。
【0022】
図5において。ファンネル型反射体10の出射孔12の周辺領域以外を覆って、遮光体20が配置している。ファンネル型反射体10の出射孔12の周辺のみから光を出射してリング状照射光を形成するためである。図5において、遮光体20をファンネル型反射体10の上面において支えるために、タブ21が形成されている。なお、タブ21は、リング状照射光が形成される投射面では、ボケによって、判別できなくなる。
【0023】
このようにして、光源であるLED30と、ファンネル型反射体10と、遮光体20によってリング状の光源が形成される。この構成によって、リング状照射光を形成することが出来るが、リング状照射光の大きさ、幅等は、これらの光学要素によって特定されてしまい、種々のリング状照明を形成することは難しい。
【0024】
本発明では、これらの構成に加えて、ファンネル型反射体10の出射面12に液晶レンズ100を配置することによって、リング状照射光の形状を制御すること可能な構成としている。つまり、液晶レンズ100の作用によって、リング状照射光の形状を変化させることが可能である。図5のような構成であれば、直方体のファンネル型反射体10の上に液晶レンズ100を配置すればよいので、単純な構成とすることが出来る。実施例1によれば、図5に示すように、全体としては、単純な構成の照明装置によって、種々なリング状照射光を形成することが出来る。
【0025】
図6図5の断面図であり、図7図5の平面図である。なお、図7では、液晶レンズ100は透視され、図面からは省略されている。図6図7のC-C断面図に相当する。図6において、外形が矩形のファンネル型反射体10の内部にファンネル状の反射面11が形成されている。ファンネル型反射体10には、光の出射孔12と、光源であるLED30を配置するための孔13が形成され、LED30用孔13と出射孔の間は、少なくとも一部にパラボラ曲面を含む反射面11となっている。
【0026】
図6において、直方体の下面に形成された、LED用の孔13の中にLED30が配置している。LED30用の孔13はLED30を収容できるだけの大きさがあればよい。小型のLED30は平面で視て1.5mm程度の小さいものも市販されている。一方、輝度が大きく、指向角の大きい表面実装型LEDが使用される場合もある。LED30は図5に示すように上面から見て矩形でもよいし、図7に示すように上面から見て円形でもよい。
【0027】
図6及び図7に示すように、外形が直方体であるファンネル型反射体10の上面に形成された出射孔12は、周辺を除いて遮光体20によって覆われている。つまり、図7に示すように、実際の出射孔40はリング状となっている。したがって、出射孔40から出射する光は平面で視てリング状となっている。
【0028】
しかし、照射面において、リング状照射光を形成するには、出射孔40から出射される光はコリメートされている必要がある。実施例1のファンネル型反射体10の反射面11には、これに対応する曲面が形成されている。図6において、反射面11は、第1の曲面R1と第2の曲面R2で構成されている。
【0029】
図6に示すように、出射する光の多くは反射面11の周辺、すなわち、第2の曲面R2において反射した光である。したがって、第2の曲面R2が光源からの光に対してコリメート光を形成するように、最適化をされている必要がある。第2の曲面R2は、一部に放物面あるいは双曲面を含む。第1の曲面R1は第2の曲面R2が最適な反射面となるように、LED30用孔と第2の曲面R2を接続する曲面であればよい。
【0030】
図6において、光源であるLED30からの光の多くは遮光体20によって吸収され、LED20から比較的大きな角度で出射する光がリング状照射光として使用される。したがって、光の利用効率の点からは、光源であるLED30は、指向角の大きな特性を持つLEDが好ましい。LEDには、大きく分けて、砲弾型LEDとSMD(Surface Mount Device)とが存在する。砲弾型は、光の出射面の平面は円とすることが出来るが、輝度が小さい。これに対して、SMD方式は、輝度を大きくでき、かつ、指向角も大きいものが多い。したがって、SMD方式のLEDは、本実施例には好適である。
【0031】
図6において、LED30から出射した光の多くは、遮光体20によって吸収される。遮光体20は、光の反射率が小さく、光を出来るだけ吸収するものがよい。仮に、遮光体20から光が反射すると、この反射光は、再び、ファンネル型反射体10の反射面11で反射され、出射孔40から出ていく。しかし、この光はコリメート光ではないので、リング状照射光の形成には、悪影響を及ぼす場合が多い。遮光体20の光吸収率は、可視光の代表として、波長が500nmである緑色光に対し、80%以上であることが好ましく、さらに好ましくは90%以上である。
【0032】
図6の構成では、LED30から所定の範囲の角度で出射する光に対してコリメート光を形成するようにしているので、第2の曲面R2を最適化するように設計することが出来る。図7に示すように、遮光体20にはタブ21が形成され、タブ21によって、ファンネル型反射体10の上面で支持されている。タブ21は幅が小さいので、スクリーンに投射したリング状照射光においては、タブ21は見えなくなっている。タブ21は、図7に示すように2個に限らず、3個以上でもよい。なお、遮光体20は、後で説明する液晶レンズ100に貼り付けられていてもよい。この場合、液晶レンズ100はスペーサを介してファンネル型反射体10の上面で支えることが出来る。
【0033】
遮光体20はLED30からの光を吸収するので、高温になる可能性があるため、高温に耐える材料である必要がある。一方、遮光体20の上に載置される液晶レンズ100は、温度が上がると十分な特性が得られない場合がある。したがって、遮光体20において、LED30側の面の温度が上昇しても、液晶レンズ100側の面の温度があまり上昇しないように、熱伝導率の小さな材料で形成することが望ましい。このような材料で、光の反射率の小さい材料が無い場合、黒色の耐熱性の塗料、あるいはその相当品を遮光体20のLED側の面に塗布などで形成すればよい。
【0034】
一方、遮光体20を複数層で形成してもよい。すなわち、LED30と対向する第1の面は光の吸収体として優れた材料を使用し、液晶レンズ100と対向する第2の面は、熱伝導率の小さな材料で構成する。この場合、第1の面の材料を基材として、第2の面の材料を第1の面に塗布等の手段で形成してもよい。逆に、第2の面の材料を基材として、第1の面の材料を第1の面に塗布等の手段で形成してもよい。
【0035】
図6に示すように、LED30及びファンネル型反射体10からの出射光は、遮光体20の外側から液晶レンズ100に入射し、液晶レンズ100において必要なレンズ作用を受け、スクリーンにリング状照射光が照射される。液晶レンズ100には、出来るだけコリメートされた光が入射したほうが液晶レンズ100による出射光の制御がしやすい。
【0036】
図8は、液晶レンズ100が無い状態における光源30からの光の経路を示す断面図である。図8において、遮光体20の外側からコリメート光が出射される。コリメート光と言っても完全にコリメートされているわけではないので、配光角θをもって放射される。図8はスクリーン1000においてリング状照射光が照射される場合の例である。照明装置のリング状光源の直径D、照明装置とスクリーン1000の距離L、及び、照明装置の配光角θの関係がスクリーン1000において、リング状照射光の形成を可能とする例である。図8において、スクリーン1000に形成されるリング状照射光の直径Eと、照明装置におけるリング状開口の直径Dは同じである。
【0037】
図9は、図8と同じ構造において、照明装置の配光角θが大きくなった場合である。この場合は、スクリーン1000において、左右の出射孔からの照明光が交差しており、リング状照射光は形成されない。照明装置が図9のような構成であっても、照明装置とスクリーン1000間の距離がLSのように短ければスクリーン1000上にリング状照射光が形成される。
【0038】
図8及び図9に示すように、照明装置における、リング状の出射面の径D、出射光の配光角θによって、照明装置からどの程度離れたスクリーン1000にまで、リング状照射光が形成されるかが決まる。
【0039】
図10は、遮光体20の上に液晶レンズ100を配置した場合の断面図である。液晶レンズ100は第1液晶レンズ110、第2液晶レンズ120、第3液晶レンズ130、第4液晶レンズ140の4枚組になっている。4枚組になっている理由は後で説明する。図10において、遮光体20の外側からコリメート光が液晶レンズ100に入射する。この光は液晶レンズ100でレンズ作用を受けた後、液晶レンズ100から配光角θをもって出射される。この配光角θは液晶レンズ100によって制御可能である。
【0040】
図10において、スクリーン1000に形成されたリング状照射光の直径Eは照明装置におけるリング状出射孔の直径Dと同じであるが、幅w2は、リング状出射孔の幅w1よりも大きくなっている。この差は液晶レンズ100によって出射光の配光角を制御することによって制御される。
【0041】
図11は、照明装置のリング状の出射面14とスクリーン1000におけるリング状照射光3を比較した平面図である。図11において、左側が照明装置のリング状の出射孔40の平面図である。直径はDで幅はw1である。右側はスクリーン1000におけるリング状照射光3の平面図である。直径はEであり、幅はw2である。直径Dと直径Eは同じ大きさであるが、幅w2は幅w1よりも大きい。w2とw1の差は液晶レンズによって制御することが出来る。
【0042】
図10図11に示すような液晶レンズ100は、例えば図12に示すように、照明装置の出射面に沿ってリング状の凹レンズ50を形成するように、液晶レンズ100を制御することによって可能である。図12は液晶レンズ100の作用のみを示す断面模式図である。図12において、照明装置のリング状の出射孔をふさぐように、凹レンズ50が配置している。この凹レンズ50は回転対称なレンズとなっている。この凹レンズは、平面で視ると、リング状に、照明装置の出射孔の上を覆っている。
【0043】
図13は、実施例1における液晶レンズ100の他の作用を示す断面図である。図13図10と異なる点は、液晶レンズ100から出射する光の出射方向が、液晶レンズ100の主面と直角方向でなく、角度φとなっていることである。したがって、スクリーン1000に照射されるリング状照射光の径Eは、照明装置のリング状の出射孔の径Dよりも大きくなっている。一方、液晶レンズ100を出射する出射光の配光角θを液晶レンズ100によって制御することで、照明装置リング状出射孔の幅w1と、スクリーン1000に投射されるリング状照射光の幅w2の関係を制御することが出来る。
【0044】
図14は、照明装置の出射孔とスクリーン1000上のリング状照射光の関係を示す平面図である。図14において、左側が照明装置のリング状の出射孔40の平面図である。直径はDで幅はw1である。右側はスクリーン1000におけるリング状照射光3の平面図である。直径はEであり、幅はw2である。図14においては、直径Eは直径Dよりも大きい。また、幅w2は幅w1よりも大きい。EとDの差、及び、w2とw1の差は液晶レンズによって制御することが出来る。
【0045】
図13図14に示すような液晶レンズ100は、例えば図15に示すように、照明装置の出射面に大きな凹レンズ60を形成するように、液晶レンズ100を制御することによって可能である。図15は液晶レンズ100の作用のみを示す断面模式図である。図15において、照明装置のリング状の出射孔を含み、照明装置の出射面のほぼ全面を覆って、大きな凹レンズ60が配置している。この凹レンズ60は回転対称なレンズとなっている。
【0046】
なお、図15において、遮光体20に覆われた直径D1の領域は、光が出射しないので、正確なレンズを形成する必要はない。図15は、液晶レンズ100の作用をイメージするための図である。液晶レンズ100の作用は、液晶レンズ100内の電極に対する印加電圧によって、レンズ形状を変えることができる。
【0047】
図16は、液晶レンズ100の原理を示す断面図である。図16において、液晶層300の左側からコリメートされた光が入射している。図16におけるPは入射光の偏向方向の意味である。通常の光の偏向方向はランダム分布しているが、液晶は屈折率に異方性があるので、図16はP方向に偏向している光についての作用を示すものである。
【0048】
図16において、液晶層300には、電極によって液晶分子301が液晶層300の周辺に行くにしたがって、傾きが大きくなるように配向している。液晶分子301は細長い形状であり、液晶分子301の長軸方向の実効屈折率は、液晶分子301の短軸方向の実効屈折率よりも大きいので、液晶層300の周辺ほど屈折率が大きくなるため、凸レンズが形成される。図16における点線は光波面WFであり、fはレンズのフォーカス距離である。
【0049】
液晶は、屈折率に異方性があるので、レンズを形成するには、第1のレンズが作用する光の偏向方向と直角方向に偏向する光に作用する第2のレンズが必要になる。図17はこのレンズ構成を示す分解斜視図である。図17において、左側の平行四辺形は光の波面である。つまり、X方向とY方向に偏向した光が液晶層300に入射する。第1液晶レンズ110はX偏光光に作用するレンズであり、第2液晶レンズ120はY偏光光に作用するレンズである。
【0050】
図17において、第1液晶レンズ110と第2液晶レンズ120では液晶分子301の初期配向方向が90度異なっている。液晶分子301の初期配向は、液晶レンズ内の配向膜の配向方向によって決定される。つまり、図17では、2枚の液晶レンズ110、120において、光が入射する側の基板における配向膜の配向方向が互いに直角方向になっている。
【0051】
図18は液晶レンズによって凹レンズを形成する場合である。図18において、波面WFが液晶層300に平行で、1方向に偏向した光が、左側から液晶層300に入射する。図18において、液晶層300における液晶分子301は、電極によって光軸付近において最も大きく配向され、周辺に行くにしたがって、配向角度が小さくなっている。このような液晶配向によるレンズ構成によって、液晶層300を通過した光の波面WFは図12の点線で示すような曲線になって凹レンズが形成される。なお、凹レンズの場合も、図17に示すように、2枚の液晶レンズが必要なことは同じである。
【0052】
図19は、液晶レンズ110の詳細断面図である。図19において、TFT基板111の上には、第1電極112が形成され、第1電極112を覆って第1配向膜113が形成されている。第1配向膜113の配向方向によって、入射光のうちの、液晶レンズによって作用を受ける方向の偏光光が決められる。対向基板115の内側には、第2電極116が形成され、第2電極116を覆って第2配向膜117が形成されている。第1配向膜113の配向方向と第2配向膜117の配向方向の関係は、どのような液晶を使用するかによって決められる。TFT基板111と対向基板115の間に液晶層300が挟持されている。
【0053】
図20の左側の図は、第1基板111に形成された第1電極112の平面図である。第1電極112は同心円状の複数の円となっている。円状の各電極112には電圧を印加するための引き出し配線114が接続されている。図20の右側の図は、対向基板115に形成された第2電極116の形状を示す平面図である。第2電極116は、平面電極であり、対向基板115のほぼ全面にわたって形成されている。
【0054】
図20において、第1電極112と第2電極116間の電圧を変化させることによって種々の強度のレンズを形成することができる。図19図20の例は、第1電極111が同心円で形成されているので、円形のレンズを容易に形成できるという特徴を有している。
【0055】
図19及び図20で説明した液晶レンズ110は、1方向、例えば偏光光PXに対して作用するレンズである。しかし、LED10からの光は、あらゆる方向に偏光しているので、少なくとも、PXと直角方向に偏光した光PYに対して作用する液晶レンズが必要である。
【0056】
図21はこの構成を示す斜視図である。図21において、LEDからの光LLが左側から入射すると、第1液晶レンズ110によってPX方向に偏光した光が液晶レンズの作用を受ける。PY方向に偏光した光は第1液晶レンズ110の影響を受けない。PY方向に偏光した光は、第2液晶レンズ120によって液晶レンズの作用を受ける。PX方向に偏光した光は、第2液晶レンズ120の作用は受けない。これによって、x方向に偏光した光もy方向に偏光した光も液晶レンズの作用を受けることが出来る。
【0057】
図22は、第1液晶レンズ110と第2液晶レンズ120を積層した状態を示す断面図である。第1液晶レンズ110と第2液晶レンズ120は透明接着材200によって接着している。図22において、第2液晶レンズ120の電極構成は、第1液晶レンズ110と同じである。つまり、第2液晶レンズ120において、TFT基板121に第3電極122が形成され、その上に第3配向膜123が形成されている。対向基板125の上に第4電極126が形成され、その上に第4配向膜127が形成されている。
【0058】
第2液晶レンズ120が第1液晶レンズ110と異なる点は、配向膜123の配向方向である。図22において、ALは配向膜113の配向方向を示している。図22において、第1液晶レンズ110におけるTFT基板111に形成された第1配向膜113の配向方向は例えばx方向である。第2液晶レンズ120のTFT基板121に形成された第3配向膜123の配向方向は、例えばy方向である。つまり、x方向に偏光した光もy方向に偏光した光も、2枚の液晶レンズ110及び120によって作用を受けることが出来る。
【0059】
なお、第1液晶レンズ110における対向基板115に形成された第2配向膜117の配向方向、及び第2液晶レンズ120の対向基板125に形成された第4配向膜127の配向方向は、液晶300としてどのような液晶を使用するかによって決まる。つまり、第1液晶レンズ110における第2配向膜117は第1配向膜113と同じ方向に配向する場合もあるし、直角方向に配向する場合もある。第2液晶レンズ120における第3配向膜123と第4配向膜127の関係も同じである。
【0060】
ところで、LED10からの光は、全方向に偏光しているので、PXあるいはPYの偏光光にのみ作用したのでは、液晶レンズの十分な作用を得られない場合がある。この場合は、図23に示すように、例えば、x方向に対して45度方向に偏光している光P45に対して作用する液晶レンズ130、x方向に対して135度方向に偏光している光P135に対して作用する液晶レンズ140を加えればよい。
【0061】
このように、液晶レンズを用いることによって、照明装置の形状を変えずに、必要に応じて、色々なリング状照射光を形成することが出来る。
【実施例0062】
図24は、光源としてのLED30からの出射光の分布を示す断面図である。比較的指向角の大きいLED30を使用したとしても、出射方向がLED30の出射面に対して垂直方向、すなわち、図24に示すA領域の光度が大きい。したがって、図24のような構成は、LED30からの光の利用効率が低い。光の利用効率を上げるために、遮光体20の内側を反射面にすると、遮光体20の反射面からの光は制御が困難なので、リング状の出射孔から出射する光をコリメート光とすることが難しくなる。
【0063】
図25及び図26は、これを対策した実施例2における照明装置の断面図及び平面図である。なお、図25及び図26は、液晶レンズ100は省略されているが、実際の照明装置では、実施例1と同様に液晶レンズ100が使用される。本実施例では、図25に示すように、LED30からの輝度が大きい領域、すなわち、図24におけるA領域に対応する部分に、反射体500を配置し、反射体500からの光を、ファンネル型反射体10の反射面11における第2の曲面R2側に向ける。そして、曲面R2で反射した光はコリメート光として照明装置のリング状の出射孔40から放出される。
【0064】
図25において、反射体500のLED30と対向する面は、LED30からの光を反射してファンネル型反射体10の曲面R2に入射するような曲面に設定されている。反射体500の直径は、遮光体20の直径よりも非常に小さく出来るので、このような作用を有するように、反射体500の曲面を設定することは可能である。
【0065】
逆に、反射体500の径を、照明装置のリング状出射孔40から出射する光がコリメート光を維持できる程度の大きさに抑えればよい。それでも、LED30からの光の光度が大きい領域の光を使用することが出来るので、光の利用効率を向上させることが出来る。
【0066】
図26は、図25を上側から視た平面図である。図26において、反射体500、遮光体20、リング状出射孔40がLED30を中心として同心円状に配置している。図26において、LEDの径d1よりも反射体500の径d2が大きく、反射体500の径d2よりも遮光体20の径d3が大きい。
【0067】
図25に戻り、反射体500と遮光体20の垂直方向の距離hは、反射体500からの反射光の角度が所定の範囲に収まるように任意に設定することが出来る。図25では、反射体500は宙に浮いているようになっているが、実際には、遮光体20から懸垂させる、あるいは、ファンネル型反射体10の第1の反射面R1に支柱を立てて支えてもよい。
【0068】
このように、実施例2によれば、光源であるLED30からの光の利用効率が高い、コリメートされたリング状の出射光を出射出来る照明装置を実現することが出来る。また、液晶レンズ100を用いることによって、実施例1で説明したのと同様な効果を得ることが出来る。
【0069】
以上の説明では、光源であるLED30は1個であるとして説明したが、照度が十分に取れない場合は、LED30を複数使用すればよい。また、以上の説明では、リングは、円形であるとして説明したが、本発明は、円形に限らず、矩形リング、楕円リング等の場合にも適用できる。
【0070】
また、本発明による照明装置は、比較的単純な構造であるので、照明装置の大きさを小さくできる。したがって、小型の光学機器にも適用することが出来る。一方、液晶レンズの作用によって、大きなリング状照射光にも対することが出来る。
【符号の説明】
【0071】
1…リング状投光器、 2…支持具 、3…リング状照射光、 4…コリメート光源、 5…筐体、 6…ファンネル型反射体、 7…光源、 10…ファンネル型反射体、 11…パラボラ反射面、 12…出射孔、 20…遮光体、 21…タブ、 30…LED、 40…リング状出射孔、 50…液晶レンズの作用を示すためのイメージとしての凹レンズ、 60…液晶レンズの他の作用を示すためのイメージとしての凹レンズ、 100…液晶レンズ、 110…第1液晶レンズ、 111…TFT基板、 112…第1電極、 113…第1配向膜、 114…引き出し配線、 115…対向基板、 116…第2電極、 117…第2配向膜、 120…第2液晶レンズ、 121…TFT基板、 122…第3電極、 123…第3配向膜、 125…対向基板、 126…第4電極、 127…第4配向膜、 500…反射体、 1000…スクリーン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26