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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049637
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20240403BHJP
   B65H 29/52 20060101ALI20240403BHJP
   B41J 15/04 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
B41J2/01 125
B65H29/52
B41J15/04
B41J2/01 305
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155982
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】蛭間 大輔
【テーマコード(参考)】
2C056
2C060
3F101
【Fターム(参考)】
2C056FA10
2C056HA32
2C056HA47
2C056KD10
2C060BC42
2C060BC44
2C060BC48
3F101FA01
3F101FB15
3F101FC05
3F101FC11
3F101FC19
3F101FD02
3F101LA01
3F101LB03
(57)【要約】
【課題】媒体が送風口に引っ掛かってしまうことを抑制可能な印刷装置を提供する。
【解決手段】印刷装置は、媒体2を搬送方向に搬送する搬送部と、媒体2にインクを付着させることによって印刷を行う印刷部と、送風口37を有し、インクが付着された媒体2に、送風口37から送風を行う送風装置14と、を備え、送風口37には、送風方向の下流側に、ガイド部材34が配置され、ガイド部材34の端部のうち、媒体2に対向する第3端部43は、搬送方向に沿って延在する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、
前記媒体に液体を付着させることによって印刷を行う印刷部と、
送風口を有し、前記液体が付着された前記媒体に、前記送風口から送風を行う送風装置と、を備え、
前記送風口には、送風方向の下流側に、ガイド部材が配置され、
前記ガイド部材の前記媒体に対向する端部は、前記搬送方向に沿って延在することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷装置であって、
前記送風口の前記送風方向の下流側には、前記搬送方向と交差する前記媒体の幅方向に沿って、複数の前記ガイド部材が配列されていることを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項1に記載の印刷装置であって、
前記送風装置と対向する位置で前記媒体を支持する媒体支持部を備え、
前記ガイド部材の前記媒体に対向する端部は、前記搬送方向の下流に向かうにつれて前記媒体支持部に近づくように傾斜していることを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項1に記載の印刷装置であって、
前記送風装置は、前記送風口よりも前記送風方向の上流側に加熱部を備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
請求項4に記載の印刷装置であって、
前記送風装置は、気流を発生させる送風ファンを有し、
前記加熱部は、前記送風ファンよりも前記送風方向の下流側に配置されていることを特徴とする印刷装置。
【請求項6】
請求項4に記載の印刷装置であって、
前記ガイド部材は、少なくとも表面が樹脂で形成されていることを特徴とする印刷装置。
【請求項7】
請求項4に記載の印刷装置であって、
前記ガイド部材の表面に、シボ加工が施されていることを特徴とする印刷装置。
【請求項8】
請求項1に記載の印刷装置であって、
前記ガイド部材の、前記媒体の幅方向と交差する表面に、突起部が形成されていることを特徴とする印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送風装置を備えた印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示すように、インクが吐出されたメディアに対して、インクを乾燥させるための乾燥空流を送風する送風装置を備えた印刷装置が知られている。送風装置には、所定の搬送経路に沿って搬送されるメディアに向かって開口する送風口が形成されており、この送風口からメディアに対して送風がなされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-215428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示すような印刷装置では、搬送されるメディアの先端が、搬送経路から離脱して浮いてしまう場合がある。そして、送風装置の近傍でメディアの先端が浮いてしまうと、メディアの先端が送風口に引っ掛かり、メディアが正常に搬送されなくなる事態が生じ得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
印刷装置は、媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、前記媒体に液体を付着させることによって印刷を行う印刷部と、送風口を有し、前記液体が付着された前記媒体に、前記送風口から送風を行う送風装置と、を備え、前記送風口には、送風方向の下流側に、ガイド部材が配置され、前記ガイド部材の前記媒体に対向する端部は、前記搬送方向に沿って延在することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態の印刷装置の構成を示す概略断面図。
図2】第1実施形態の送風装置の構成を示す拡大断面図。
図3】第1実施形態の送風装置の斜視図。
図4】第2実施形態の送風装置の構成を示す拡大断面図。
図5】変形例に係る送風装置の構成を示す拡大断面図。
図6】変形例に係る送風装置の構成を示す拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
1.第1実施形態
以下、第1実施形態の印刷装置1について、図面を参照して説明する。本実施形態の印刷装置1は、例えば、搬送される用紙等の媒体2に対して、液体の一例であるインクを吐出することにより、媒体2に文字や写真等の画像を印刷するインクジェット式のプリンターである。
【0008】
図3を除く各図には、互いに交差するX軸、Y軸及びZ軸が示されている。具体的には、X軸、Y軸及びZ軸は、互いに直交する。X軸は、印刷装置1の設置面に対して平行であり、印刷装置1の幅方向に対応するとともに、媒体2の幅方向に対応する。Y軸は、印刷装置1の設置面に対して平行であり、印刷装置1の奥行き方向に対応する。Z軸は、印刷装置1の設置面に対して垂直であり、印刷装置1の高さ方向に対応する。
【0009】
以降、Y軸に平行な+Y方向は、インクを吐出する印刷部13において媒体2が搬送される方向であり、Y軸に平行な-Y方向は、+Y方向の反対の方向である。X軸に平行な+X方向は、搬送方向を左方向とした場合に、手前から奥に向かう方向であり、X軸に平行な-X方向は、+X方向の反対の方向である。Z軸に平行な+Z方向は、上方に向かう方向である。また、Z軸に平行な-Z方向は、+Z方向の反対の方向であり、印刷部13がインクを吐出する方向である。なお、本明細書では、X軸に沿った方向から視ることを、側面視と呼ぶ。
【0010】
図1は、印刷装置1の構成を示す概略断面図である。
図1に示すように、印刷装置1は、3つの支持部11a,11b,11cと、搬送部12と、印刷部13と、送風装置14と、を備える。
【0011】
支持部11a,11b,11cは、搬送方向に搬送される長尺の媒体2を支持する部材であり、媒体2は、支持部11a,11b,11cの表面に沿って搬送される。つまり、本実施形態の搬送方向は、支持部11a,11b,11cの表面に沿う方向で、且つX軸と交差する方向である。支持部11a,11b,11cは、印刷装置1の全体を支持する図示しないフレーム等に固定されている。
【0012】
支持部11aは、媒体2のうち、印刷部13と対向する部位よりも搬送方向の上流側の部位を支持する。支持部11aは、印刷部13によって印刷がなされる前の部位を支持することが多い。支持部11bは、支持部11aよりも搬送方向の下流側で、印刷部13の-Z方向に配置されおり、媒体2のうち、印刷部13によって印刷がなされている部位を支持する。支持部11bの+Z側の表面は、略水平であり、媒体2は、支持部11bの表面を+Y方向に搬送される。支持部11cは、支持部11bよりも搬送方向の下流側に配置され、媒体2のうち、印刷部13と対向する部位よりも搬送方向の下流側の部位を支持する。支持部11cは、印刷部13によって印刷がなされた後の部位を支持することが多い。支持部11cは、媒体支持部の一例である。なお、図面では、媒体2が支持部11a,11b,11cから離れて図示されているが、媒体2は、支持部11a,11b,11cに接触し、支持部11a,11b,11cの表面上を滑るように搬送される。つまり、支持部11a,11b,11cの表面は、媒体2の搬送経路を構成する。
【0013】
搬送部12は、媒体2を搬送方向に搬送する。搬送部12は、繰出軸21と、搬送ローラー22と、巻取軸23と、を備える。搬送部12は、複数の搬送ローラー22を備えてもよい。繰出軸21及び巻取軸23は、X軸に沿って延在する棒状の部材であり、±X方向の両端部において、図示しないフレーム等に支持されている。繰出軸21及び巻取軸23は、長尺の媒体2を円筒状に巻き重ねたロールを回転可能に支持する。
【0014】
繰出軸21は、搬送ローラー22よりも搬送方向の上流側に位置する。繰出軸21は、回転することで、巻き重ねられた媒体2を解いて繰り出す。搬送ローラー22は、図示しない駆動機構の駆動により、繰り出された媒体2を支持部11a,11b,11cに沿って搬送する。巻取軸23は、搬送ローラー22よりも搬送方向の下流側に位置する。巻取軸23は、搬送される媒体2を巻き取る。
【0015】
印刷部13は、媒体2にインクを付着させることによって印刷を行う。本実施形態の印刷部13は、媒体2の幅方向である±X方向に移動しながら印刷を行うシリアルタイプである。印刷部13は、媒体2の幅方向に亘って設けられるラインタイプとして構成されてもよい。
【0016】
印刷部13は、吐出ヘッド25と、キャリッジ26と、ガイド軸27と、を備える。吐出ヘッド25には、インクを吐出する複数のノズル28が形成されている。ガイド軸27は、X軸に沿って延在する棒状の部材であり、±X方向の両端部において、図示しないフレーム等に支持されている。ガイド軸27は、キャリッジ26の移動を案内する。キャリッジ26は、吐出ヘッド25を保持し、図示しない駆動機構の駆動により、吐出ヘッド25をガイド軸27に沿って±X方向に往復移動させる。吐出ヘッド25は、移動しながら媒体2に向けてインクを吐出することにより、媒体2に印刷を行う。
【0017】
本実施形態において、巻取軸23は、印刷部13よりも+Y方向で、且つ-Z方向に位置している。このため、支持部11cは、印刷部13によって印刷がなされた媒体2を巻取軸23に案内するために、支持部11bの下流側から巻取軸23に向かって傾斜して配置されている。つまり、印刷部13で印刷がなされた媒体2は、支持部11cに沿って、+Y成分と-Z成分を有する斜め方向に搬送された後で、巻取軸23によって巻き取られる。
【0018】
これ以降、X軸と交差し、支持部11cの傾斜方向に沿った座標軸をU軸とし、X軸及びU軸と交差する座標軸をV軸とする。具体的には、X軸、U軸及びV軸は、互いに直交する。そして、U軸に平行な方向のうち、支持部11cの表面に沿って搬送される媒体2の搬送方向を+U方向とし、その反対方向を-U方向とする。また、V軸に平行な方向のうち、支持部11cから見て媒体2が位置する方向を+V方向とし、その反対方向を-V方向とする。
【0019】
図2は、本実施形態の送風装置14の構成を示す拡大断面図であり、図3は、送風装置14の斜視図である。
図1図3に示すように、送風装置14は、媒体2を挟んで、支持部11cと対向する位置に配置されている。送風装置14は、図示しないフレーム等によって支持されている。送風装置14は、印刷がなされた後の媒体2、即ち支持部11c上に搬送されて支持部11cによって支持されている媒体2に向けて送風することで、媒体2に付着したインクを乾燥させる。送風装置14は、媒体2の幅方向の全域に送風できるように、X軸に沿って長尺な形状を有する。送風装置14は、流路部材31と、送風ファン32と、加熱部33と、ガイド部材34と、を備える。
【0020】
流路部材31は、空気の流路35を形成する部材であり、例えば、金属製の板状部材によって形成される。また、流路部材31は、流路35の両端に、外部から空気が吸入される給気口36と、外部へ空気を送出する送風口37とを形成する。つまり、送風装置14は、給気口36及び送風口37を有し、給気口36から空気を吸入するとともに、インクが付着された媒体2に送風口37から送風を行う。本実施形態において、給気口36及び送風口37は、双方とも-U方向に開口する。
【0021】
流路部材31は、第1部材31a、第2部材31b、及び第3部材31cを含む。第1部材31a及び第2部材31bは、支持部11cの表面に沿った姿勢で配置される平板状の部材である。第1部材31aは、第2部材31bよりも支持部11cに近い側、即ち-V側に配置され、支持部11cに支持される媒体2に対向する。第2部材31bの+U方向の端部は、第3部材31cの一端に接続されている。第3部材31cは、+U方向を凸として屈曲する略U字状の部材であり、その形状に沿って流路35を屈曲させる。第3部材31cは、第1部材31aの+U方向の端部を囲むように屈曲し、第3部材31cの他端は、第1部材31aよりも支持部11cに近い-V側の位置まで達する。
【0022】
第1部材31a、第2部材31b及び第3部材31cの-X方向の端部には、UV平面に沿った第4部材31d(図3参照)が接続され、第1部材31a、第2部材31b及び第3部材31cの+X方向の端部には、UV平面に沿った第5部材31e(図3参照)が接続されている。そして、第1部材31a、第2部材31b、第4部材31d及び第5部材31eのそれぞれの-U方向の端部によって給気口36が形成される。給気口36には、埃等の異物の吸入を防ぐためのフィルター38が配置されている。また、第1部材31a、第3部材31c、第4部材31d及び第5部材31eによって、第1部材31aの-V側に送風口37が形成される。送風口37は、給気口36よりも+U方向で、且つ-V方向に位置する。なお、第1部材31a、第2部材31b、第3部材31c、第4部材31d、及び第5部材31eのうち複数の部材が一体的に形成されている構成であってもよい。
【0023】
送風ファン32は、流路35内に配置され、図示しないモーター等の駆動を受けて回転することにより、流路35内に気流を発生させる。送風ファン32が回転して気流が発生すると、図中に破線で示すように、給気口36から外部の空気が吸入され、吸入された空気は、+U方向に進行する。その後、吸入された空気は、第3部材31cに沿って進行方向が180°転回され、送風口37から-U方向に排出される。これにより、媒体2に対する送風がなされる。送風ファン32は、例えば、プロペラファン、シロッコファン、またはターボファン等によって構成される。なお、X軸に沿って複数の送風ファン32が配列される構成であってもよい。
【0024】
加熱部33は、流路35内に配置されている。具体的には、加熱部33は、送風口37よりも送風方向の上流側で、且つ送風ファン32よりも送風方向の下流側に配置されている。加熱部33は、ヒーター管等の長尺な発熱体によって構成される。加熱部33は、X軸に沿って延在し、流路35内の空気を加熱する。加熱部33が流路内の空気を加熱することにより、送風口37から送風される空気は、給気口36から吸入される空気と比較して高温となる。なお、加熱部33を構成する発熱体は、ヒーター管に限定されず、電熱線や熱源ランプ等で構成されてもよい。また、加熱部33は、長尺な1つの発熱体からなる構成に限定されず、X軸に沿って配列された複数の発熱体によって構成されてもよい。また、加熱部33は、送風ファン32よりも送風方向の上流側に配置されてもよい。流路部材31の内面は、断熱材で構成されることが好ましい。
【0025】
送風口37の外側、即ち送風方向の下流側となる-U側には、複数のガイド部材34が配置されている。ガイド部材34は、プラスチックやゴム等の樹脂によって形成され、側面視において、略直角三角形の形状をした板状の部材である。ガイド部材34の姿勢は、UV平面に沿った姿勢であり、送風口37には、略同一の形状の複数のガイド部材34が、略同一の姿勢で、X軸に沿って配列されている(図3参照)。このため、送風口37から排出された空気は、ガイド部材34同士の隙間を通って媒体2に吹き付けられる。なお、すべてのガイド部材34の形状及び姿勢が同じ態様に限定されず、例えば、X軸方向の位置に応じて、形状及び姿勢の少なくとも一方が異なる態様であってもよい。
【0026】
ガイド部材34は、直角三角形の各辺に対応する3つの端部を有する。具体的には、ガイド部材34は、U軸に沿って延在する第1端部41と、第1端部41に略垂直でV軸に沿って延在する第2端部42と、直角三角形の斜辺に相当する第3端部43とを有する。
【0027】
第1端部41は、第1部材31aの媒体2に対向する面、即ち第1部材31aの外面に対向する端部であり、第1部材31aの外面に接続される。第2端部42は、送風口37に対向する端部であり、第1部材31aから第3部材31cの-U方向の端部まで、V軸に沿って送風口37を横切るように延在する。第3端部43は、支持部11cに支持された媒体2に対向する端部であり、媒体2の搬送方向に沿って延在する。具体的には、第3端部43は、第1端部41の-U方向の先端と、第2端部42の-V方向の先端とを結ぶ辺で構成され、U軸及びV軸に対して斜め方向に延在する。より具体的には、第3端部43は、搬送方向である+U方向に向かうにつれて、支持部11c及び媒体2に近づくように傾斜している。言い換えれば、第3端部43上において、搬送方向に離間する2つの任意の部位のうち、搬送方向の上流側に位置する第1部位と支持部11cとの距離は、搬送方向の下流側に位置する第2部位と支持部11cとの距離よりも長い。第3端部43は、「媒体に対向する端部」の一例である。
【0028】
上記のような印刷装置1において、支持部11c上を搬送されている媒体2の搬送方向の先端が、意図せずに支持部11cから浮き上がってしまっても、その先端は、ガイド部材34の第3端部43に当接するため、送風口37に進入することはない。さらに、この第3端部43は、搬送方向に沿って延在するため、ガイド部材34に当接した媒体2の先端は、ガイド部材34によって本来の搬送方向に案内される。さらにまた、ガイド部材34の第3端部43は、搬送方向の下流側の方が支持部11cとの距離が近いため、媒体2の先端を、支持部11cへ向かうように案内する。
【0029】
以上、説明したように、本実施形態の印刷装置1によれば、以下の効果を得ることができる。
【0030】
本実施形態によれば、媒体2に送風を行う送風口37の下流側にガイド部材34が設けられ、ガイド部材34の端部のうち、媒体2に対向する第3端部43は、媒体2の搬送方向に沿って延在する。このため、印刷後の媒体2の先端が本来の搬送経路を外れて送風口37に近づいた場合でも、媒体2は、ガイド部材34によって本来の搬送方向に案内される。このため、媒体2が送風口37に引っ掛かって、正常な搬送が阻害されてしまうことが抑制される。また、媒体2が送風口37に引っ掛かることがなくなるため、送風装置14を媒体2に近接させて配置することも可能となる。この結果、媒体2を効率的に乾燥させることが可能となる。
【0031】
また、本実施形態によれば、送風口37の下流側に、X軸に沿って複数のガイド部材34が配列されているため、送風口37への媒体2の引っ掛かりを一層抑制することができる。また、送風口37から排出される空気の気流が、複数のガイド部材34によって整えられるため、効率的な送風が可能となる。
【0032】
また、本実施形態によれば、ガイド部材34の、媒体2に対向する第3端部43が、媒体2の搬送方向の下流に向かうにつれて支持部11cに近づくように傾斜しているため、支持部11cから離れて送風口37に向かう媒体2を、支持部11cに戻すことが可能となる。
【0033】
また、本実施形態によれば、送風装置14は、加熱部33によって加熱された空気を媒体2に送風するため、インクが吐出された媒体2を効率的に乾燥させることができる。
【0034】
また、本実施形態によれば、加熱部33が送風ファン32の下流側に配置されるため、加熱部33が発する熱によって、送風ファン32がダメージを受けることを抑制できる。
【0035】
また、本実施形態によれば、ガイド部材34が、熱伝導率が比較的低い材料である樹脂によって形成されているため、加熱部33が発する熱によって送風口37の近傍が高温になった場合であっても、ガイド部材34自体の温度上昇を抑制することができる。この結果、ユーザーの指や媒体2の先端がガイド部材34に当接した際に、指や媒体2への過度な伝熱を抑制することができる。なお、ガイド部材34は、少なくとも表面が樹脂で形成されていればよく、例えば、金属材料の表面に樹脂を被覆した構成であってもよい。
【0036】
2.第2実施形態
以下、第2実施形態の印刷装置1について、図面を参照して説明する。
図4は、第2実施形態の印刷装置1に備わる送風装置15の構成を示す拡大断面図である。
図4に示すように、本実施形態の送風装置15は、流路部材31の+U側に形成された給気口36から外部の空気を吸入し、給気口36よりも-U側に配置された送風口37から-V方向に送風を行う点で、第1実施形態と異なる。なお、第1実施形態と共通の構成については、説明を省略する。
【0037】
本実施形態の流路部材31は、第1実施形態と同様、第1部材31a、第2部材31b、及び第3部材31cを含む。第1部材31a及び第2部材31bは、支持部11cの表面に沿った姿勢で配置される平板状の部材である。第1部材31aは、第2部材31bよりも支持部11cに近い側、即ち-V側に配置され、支持部11cに支持される媒体2に対向する。第2部材31bの-U方向の端部は、第3部材31cの一端に接続されている。第3部材31cは、流路35を屈曲させる部材であり、第3部材31cの他端は、第1部材31aの-U方向の端部よりもさらに-U方向に位置する。
【0038】
第1部材31a、第2部材31b及び第3部材31cの±X方向の端部には、第1実施形態と同様、UV平面に沿った図示しない第4部材31d及び第5部材31eが接続される。そして、第1部材31a、第2部材31b、第4部材31d及び第5部材31eのそれぞれの+U方向の端部によって給気口36が形成される。給気口36には、埃等の異物の吸入を防ぐためのフィルター38が配置されている。また、第1部材31a、第3部材31c、第4部材31d及び第5部材31eによって、第1部材31aの-U側に送風口37が形成される。つまり、送風口37は、給気口36よりも-U方向に位置する。
【0039】
送風口37の外側、即ち送風方向の下流側となる-V側には、側面視で三角形のガイド部材39が配置されている。ガイド部材39の姿勢は、UV平面に沿った姿勢であり、送風口37には、略同一の形状の複数のガイド部材39が、略同一の姿勢で、X軸に沿って配列されている。三角形の1つの頂点に対応する角部44は、送風口37よりも-U方向で、且つ-V方向に位置している。つまり、ガイド部材39は、送風口37よりも-U成分と-V成分とを有する斜め方向に突出している。
【0040】
ガイド部材39は、三角形の各辺に対応する第1端部45、第2端部46、及び第3端部47を有する。第1端部45は、送風口37を形成する第3部材31cの-V方向の端部と角部44とを結ぶ辺で構成される端部である。第2端部46は、送風口37に対向する端部であり、第3部材31cの-V方向の端部から第1部材31aまで、U軸に沿って送風口37を横切るように延在する。第3端部47は、支持部11cに支持された媒体2に対向する端部であり、媒体2の搬送方向に沿って延在する。具体的には、第3端部47は、角部44から第2端部46の+U方向の先端とを結ぶ辺で構成される端部である。
【0041】
図4に示すように、本実施形態の送風装置15は、例えば、搬送方向が凸状に湾曲する湾曲部50の近傍に配置される。具体的には、湾曲部50は、印刷部13の下方において+Y方向であった搬送方向が、支持部11cに沿って+U方向となるまでの変化を開始する位置である。このような構成において、媒体2が湾曲部50で搬送の向きを変えずに+Y方向に直進してしまった場合に、媒体2は、ガイド部材39の第3端部47に当接して、本来の搬送方向である+U方向へ案内される。
【0042】
以上、説明したように、本実施形態の印刷装置1においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、給気口36及び送風口37の位置、送風口37からの送風方向、及びガイド部材34,39の形状は、第1実施形態及び第2実施形態で例示した構成に限定されず、任意である。また、ガイド部材34,39における第3端部43,47の傾斜方向についても、上記の構成に限定されない。第3端部43,47は、本来の搬送経路を外れて送風口37に向かってくる媒体2を、本来の搬送経路に復帰させるように傾斜していればよい。
【0043】
上記の各実施形態は、以下のように変更してもよい。
【0044】
上記の各実施形態では、流路35内の空気を加熱する加熱部33を流路35内に配置した構成を示したが、送風装置の構成はこれに限定されない。例えば、図5に示す送風装置16のように、流路35の外側、即ち流路部材31の外側に、媒体2を加熱するための加熱部61を備えた構成としてもよい。さらに、加熱部61が発した熱で効率的に媒体2を加熱するために、反射板62を備えた構成としてもよい。この場合、反射板62は、加熱部61に対して、媒体2が位置する方向とは反対の方向である+V方向に配置されることが望ましい。これにより、加熱部61から+V側に放射される熱を、媒体2が位置する-V側に反射させることができる。また、加熱部61が発した熱の一部は、第1部材31aを介して、流路35内に伝達されるため、加熱部61によって流路35内の空気、即ち媒体2に送風するための空気を加熱することも可能である。また、図示は省略するが、媒体2を加熱する加熱部61を、支持部11c側に備える構成としてもよい。この場合には、送風装置14に加熱部33,61を備えなくてもよい。
【0045】
上記の第2実施形態において、支持部11b,11cのいずれかに、媒体2を切断するためのカッター溝11d(図6参照)が設けられている場合には、ガイド部材39に、切断操作を補助するための機能を持たせることも可能である。カッター溝11dは、X軸に沿って延在しており、ユーザーは、市販のカッター等を用いて、媒体2の+X方向または-X方向の外側でカッター溝11dにカッターの刃3を係合させた後、X軸に沿ってカッターを移動させることによって媒体2を切断可能である。図6に示す構成では、ガイド部材39の先端部は、カッター溝11dに係合させた状態のカッターの刃3の側面に当接可能に構成されている。これにより、カッターの刃3をX軸に沿って移動させる操作を、ガイド部材34による補助を受けながら行うことができるため、安定した切断操作が可能となる。また、図6に示すように、ガイド部材39が、その先端部において、カッター溝11dに係合させた状態のカッターの刃3と略平行となる第4端部48を有していれば、カッターの刃3の姿勢をより安定させることが可能となり、切断操作がより容易になる。
【0046】
上記の各実施形態において、X軸に沿って配列されるガイド部材34,39の数は、任意である。例えば、送風口37のX軸方向の中央近傍に1つのガイド部材34,39が配置された構成であっても、送風口37への媒体2の進入を抑制することが可能である。ただし、より確実に媒体2の進入を防ぐためには、所定の間隔で複数のガイド部材34,39を配置することが望ましい。また、送風ファン32や加熱部33が送風口37の近傍に配置されている場合や、送風口37自体が高温になり得る場合には、メンテナンス等を行うユーザーの指が送風口37に届かないように、ガイド部材34,39同士の間隔を狭くすることが望ましい。具体的には、この場合のガイド部材34,39同士の間隔、即ち隙間の幅は、10mm以下であることが望ましく、7mm以下であることがより望ましい。
【0047】
上記の各実施形態において、ガイド部材34,39の表面には、シボ加工が施されて、微細な凹凸が形成されていることが望ましい。この構成によれば、加熱部33が発する熱によってガイド部材34,39自体が比較的高温になり得る場合であっても、ユーザーの指や媒体2の先端がガイド部材34,39に当接した際に、指や媒体2への過度な伝熱を抑制することができる。
【0048】
上記の各実施形態において、ガイド部材34,39の、X軸に交差する表面、即ちUV平面に沿った表面上に、X軸に沿う方向に突出する突起部を設けるようにしてもよい。この構成によれば、ガイド部材34,39の表面に突起部が形成されているため、送風口37からガイド部材34,39に沿って送出される気流の剥離が促進され、送風効率を向上させたり、騒音を低減したりすることが可能となる。
【0049】
上記の各実施形態では、ガイド部材34,39は、熱伝導率が比較的低い材料である樹脂によって形成されているが、ガイド部材34,39の材質は、樹脂に限定されない。例えば、送風装置14,15,16の構造が、ユーザーによるガイド部材34,39への接触が困難な構造である場合や、ガイド部材34,39に当接した媒体2に対するガイド部材34,39の熱によるダメージが、無視できる程度に小さい場合には、ガイド部材34,39は、金属等、熱伝導率が比較的高い材料で形成されていてもよい。この場合、送風口37から排出された空気に対して、ガイド部材34,39から放熱がなされるため、送風される空気を効率的に加熱することができる。さらに、加熱部33が発する熱の一部や、送風ファン32を駆動するモーターからの廃熱をガイド部材34,39に伝達させる構成にすれば、熱の利用効率をより向上させることが可能となる。
【0050】
上記の各実施形態において、印刷部13が吐出する液体はインクに限定されない。例えば、印刷部13は、各種ディスプレイの製造に用いられる電極材または色材等の材料が、分散または溶解した状態で含有されている液状体を吐出してもよい。
【0051】
上記実施形態において、印刷部13の印刷方式は、液体を吐出するインクジェット式に限定されない。例えば、版を用いて媒体2に液体を付着させる印刷方式であってもよい。
【符号の説明】
【0052】
1…印刷装置、2…媒体、3…刃、11a,11b,11c…支持部、11d…カッター溝、12…搬送部、13…印刷部、14,15,16…送風装置、21…繰出軸、22…搬送ローラー、23…巻取軸、25…吐出ヘッド、26…キャリッジ、27…ガイド軸、28…ノズル、31…流路部材、31a…第1部材、31b…第2部材、31c…第3部材、31d…第4部材、31e…第5部材、32…送風ファン、33…加熱部、34,39…ガイド部材、35…流路、36…給気口、37…送風口、38…フィルター、41,45…第1端部、42,46…第2端部、43,47…第3端部、48…第4端部、44…角部、50…湾曲部、61…加熱部、62…反射板。
図1
図2
図3
図4
図5
図6