(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049638
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】水平多関節ロボット
(51)【国際特許分類】
B25J 9/06 20060101AFI20240403BHJP
【FI】
B25J9/06 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155983
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】菊池 尊行
(72)【発明者】
【氏名】中西 大介
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707BS15
3C707CY36
3C707HS27
3C707HT02
3C707HT07
(57)【要約】
【課題】アームの軽量化が図れる水平多関節ロボットを提供する。
【解決手段】水平多関節ロボット1は、基台10と、基台10に連結し、第1回動軸F1まわりに回動する第1アーム11と、第1アーム11と連結し、第1回動軸F1と平行な第2回動軸F2まわりに回動する第2アーム12と、第1アーム11を駆動させる第1モーター21と、第2アーム12を駆動させる第2モーター22と、を備え、第1モーター21と第2モーター22とは、基台10に配置され、第2モーター22の駆動力は、第1アーム11内に設けられたベルト32を介して第2アーム12に伝達される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と、
前記基台に連結し、第1回動軸まわりに回動する第1アームと、
前記第1アームと連結し、前記第1回動軸と平行な第2回動軸まわりに回動する第2アームと、
前記第1アームを駆動させる第1モーターと、
前記第2アームを駆動させる第2モーターと、を備え、
前記第1モーターと前記第2モーターとは、前記基台に配置され、
前記第2モーターの駆動力は、前記第1アーム内に設けられたベルトを介して前記第2アームに伝達される、
水平多関節ロボット。
【請求項2】
前記第2モーターの軸は、前記第1回動軸と一致する、
請求項1に記載の水平多関節ロボット。
【請求項3】
前記第1モーターと前記第2モーターとは、前記基台において、前記第1アームの上下に分かれて配置されている、
請求項1に記載の水平多関節ロボット。
【請求項4】
前記第1モーターは、前記第1アームの下に配置されている、
請求項3に記載の水平多関節ロボット。
【請求項5】
前記第2モーターは、前記第1アームの下に配置されている、
請求項3に記載の水平多関節ロボット。
【請求項6】
前記第1アーム内に設けられ、前記ベルトのテンションを調整するプーリーを備える、
請求項1に記載の水平多関節ロボット。
【請求項7】
前記第2アームの回転を減速して、前記第2アームに前記駆動力を伝える減速機を備え、
前記減速機は、前記基台に配置されている、
請求項1に記載の水平多関節ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水平多関節ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載されているスカラロボットは、第2ロボットアームに作動モーターを配置することで、ベルトや偏向装置を排除し、ロボットアームの軽量化を図り、質量慣性モーメントを減少していることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のスカラロボットは、第2ロボットアームに作動モーターを配置しているので、ロボットアームの更なる軽量化を図ることが難しいという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
水平多関節ロボットは、基台と、前記基台に連結し、第1回動軸まわりに回動する第1アームと、前記第1アームと連結し、前記第1回動軸と平行な第2回動軸まわりに回動する第2アームと、前記第1アームを駆動させる第1モーターと、前記第2アームを駆動させる第2モーターと、を備え、前記第1モーターと前記第2モーターとは、前記基台に配置され、前記第2モーターの駆動力は、前記第1アーム内に設けられたベルトを介して前記第2アームに伝達される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態に係る水平多関節ロボットの全体構成を示す側面図。
【
図2】第1実施形態に係る水平多関節ロボットの内部構成を示す側面図。
【
図3】第1実施形態に係る水平多関節ロボットの内部構成を示す側面図。
【
図4】第2実施形態に係る水平多関節ロボットの内部構成を示す側面図。
【
図5】第3実施形態に係る水平多関節ロボットの内部構成を示す側面図。
【
図6】第4実施形態に係る水平多関節ロボットの内部構成を示す側面図。
【
図7】第4実施形態に係る水平多関節ロボットの第1アームの内部構成を示す平面図。
【
図8】第5実施形態に係る水平多関節ロボットの内部構成を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
1.第1実施形態
先ず、第1実施形態に係る水平多関節ロボット1について、
図1及び
図2を参照して説明する。
尚、説明の便宜上、以降の各図には、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸、及びZ軸を図示している。また、X軸に沿った方向を「X方向」、Y軸に沿った方向を「Y方向」、Z軸に沿った方向を「Z方向」と言う。また、各軸の矢印先端側を「プラス側」、矢印と反対側を「マイナス側」とも言う。また、Z方向のプラス側を「上」、Z方向のマイナス側を「下」とも言う。
【0008】
水平多関節ロボット1は、
図1及び
図2に示すように、基台10と、基台10に連結し、第1回動軸F1まわりに回動する第1アーム11と、第1アーム11と連結し、第1回動軸F1と平行な第2回動軸F2まわりに回動する第2アーム12と、第2回動軸F2と平行な第3回動軸F3まわりに回転し、且つ、第3回動軸F3に沿った方向に駆動する第3アーム13と、第1アーム11を駆動させる第1モーター21と、第2アーム12を駆動させる第2モーター22と、第3アーム13を回転駆動させる第3モーター23と、第3アーム13を上下方向に駆動させる第4モーター24と、を備える。
【0009】
尚、水平多関節ロボット1は、基台10に連結した台座14を介して床等に固定されている。また、第1回動軸F1、第2回動軸F2、及び第3回動軸F3は、水平面であるXY面に直交している。第3回動軸F3は、第3アーム13の中心軸と一致している。
【0010】
基台10は、第1アーム11と連結し、第1アーム11を駆動する第1モーター21と、第2アーム12を駆動する第2モーター22と、第1アーム11、第2アーム12、及びスピンドルアーム13を制御する制御部20と、を有する。第1モーター21と第2モーター22とは、第1アーム11の上下に分かれて配置されており、本実施形態では、第1モーター21が第1アーム11の下に配置されている。そのため、基台10の下方に第1モーター21として、出力が大きく重いモーターを用いることができ、水平多関節ロボット1をバランス良く安定に固定することができる。
【0011】
第1アーム11は、
図2に示すように、基台10と連結し、基台10に配置された第1モーター21により第1回動軸F1まわりに回動する。第1アーム11内には、第1モーター21に連結した第1減速機41が設けられている。第1減速機41は、第1モーター21の回転が入力され、歯数の異なる複数の歯車を用いて入力された回転の速度を減速しつつ、減速比に応じたトルクを出力する働きがある。即ち、入力の回転速度を減速することで出力を増幅する。第1モーター21の回転軸と第1減速機41の回転軸が第1回動軸F1と一致し、第1アーム11は第1回動軸F1周りに回動する。また、第1アーム11内には、第2モーター22の駆動力を第2アーム12に伝達するプーリー51、ベルト32、プーリー52、及び第2減速機42が配置されている。
【0012】
第2アーム12は、第1アーム11と連結し、基台10に配置された第2モーター22により第1回動軸F1と平行な第2回動軸F2まわりに回動する。基台10に配置された第2モーター22の回転軸である軸M2は、第1アーム11の第1回動軸F1と一致している。また、第2モーター22の駆動力は、第1アーム内に設けられたベルト32を介して第2アーム12に伝達される。より具体的には、第2モーター22の駆動力は、第2モーター22に連結したプーリー51が回転することで、ベルト32に伝達し、第2アーム12に連結したプーリー52が回転することで第2アーム12に伝達される。第2モーター22の回転軸である軸M2は、第1アーム11の第1回動軸F1と一致していることによって、基台10や水平多関節ロボット1の占有領域の大型化を防止することができる。
【0013】
尚、本実施形態において、第2アーム12とプーリー52との間には、第2モーター22の回転を減速して、第2アーム12に駆動力を伝える第2減速機42が設けられている。第2減速機42は、第2モーター22の回転が入力され、歯数の異なる複数の歯車を用いて入力された回転の速度を減速しつつ、減速比に応じたトルクを出力する働きがある。即ち、入力の回転速度を減速することで出力を増幅する。また、第2アーム12を駆動する第2モーター22が基台10内に配置されているため、第2アーム12を軽量化することができ、イナーシャの低減を図ることができる。更に、第2モーター22として、高速化を図ることができる出力の大きいモーターを用いることができる。
【0014】
第3アーム13は、第2アーム12と連結し、第2アーム12内に設けられた第3モーター23とベルト33により第2回動軸F2と平行な第3回動軸F3まわりに回転し、第2アーム12内に設けられた第4モーター24とベルト34により第3回動軸F3に沿った矢印Gの方向であるZ方向に上下駆動する。また、第3アーム13は、基台10と第2アーム12との間に設けられた制御ケーブル15を介して制御部20によって制御され、回動及び上下駆動する。尚、第3アーム13のZ方向マイナス側端部に挟持装置や吸着装置を取り付けることにより、対象物を挟持又は吸着し対象物を所定の場所に移送することができる。
【0015】
以上述べたように本実施形態の水平多関節ロボット1は、第2アーム12を駆動する第2モーター22が基台10内に配置されているため、第2アーム12を軽量化することができる。そのため、アーム部分が軽量化され、アームの駆動に伴うイナーシャの低減を図ることができる。
【0016】
尚、第2減速機42が第1アーム11に設けられた構成を示したが、例えば、
図3に示す水平多関節ロボット1xのように、第2減速機42が第1アーム11と第2アーム12との間に設けられる構成としても良い。このとき、第2減速機42が外部に露出しても良いし、第2アーム12のケースで第2減速機42を覆っていても良い。
【0017】
2.第2実施形態
次に、第2実施形態に係る水平多関節ロボット1aについて、
図4を参照して説明する。
【0018】
本実施形態の水平多関節ロボット1aは、第1実施形態の水平多関節ロボット1に比べ、第1アーム11aの構成が異なること以外は、第1実施形態の水平多関節ロボット1と同様である。尚、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項は同じ符号を付してその説明を省略する。
【0019】
水平多関節ロボット1aは、
図4に示すように、基台10と連結する第1アーム11a内にプーリー51とプーリー52との間に配置されたプーリー53、プーリー51とプーリー53とに接するベルト32a、プーリー52とプーリー53とに接するベルト32bが配置されている。従って、第2モーター22の駆動力は、第1アーム内に設けられたプーリー51,52,53及びベルト32a,32bを介して第2アーム12に伝達される。
【0020】
また、第1アーム11aは、第2モーター22とベルト32bとの間に、ベルト32aが配置する構成としているため、第2アーム12とベルト32bとの間に第2減速機42を配置することができる。そのため、第1アーム11aのZ方向の長さである厚みを薄くすることができ、第1アーム11aの軽量化及び水平多関節ロボット1aの低背化を図ることができる。
【0021】
このような構成とすることで、第1実施形態で得られる効果に加え、水平多関節ロボット1aの低背化を図ることができる。
【0022】
3.第3実施形態
次に、第3実施形態に係る水平多関節ロボット1bについて、
図5を参照して説明する。
【0023】
本実施形態の水平多関節ロボット1bは、第1実施形態の水平多関節ロボット1に比べ、基台10b内の第1モーター21と第2モーター22との配置構成と、第1アーム11b内の構成と、が異なること以外は、第1実施形態の水平多関節ロボット1と同様である。尚、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項は同じ符号を付してその説明を省略する。
【0024】
水平多関節ロボット1bは、
図5に示すように、基台10b内の第1モーター21と第2モーター22とが第1アーム11bの上下に分かれて配置され、第1モーター21が第1アーム11bの上に配置され、第2モーター22が第1アーム11bの下に配置されている。第2モーター22を第1アーム11bの下に配置することにより、第1アーム11b内の第2モーター22の駆動力を伝達するベルト32と第2アーム12との間に第2減速機42を配置することができる。そのため、第1アーム11bのZ方向の長さである厚みを薄くすることができ、第1アーム11bの軽量化及び水平多関節ロボット1bの低背化を図ることができる。
【0025】
このような構成とすることで、第1実施形態で得られる効果に加え、水平多関節ロボット1bの低背化を図ることができる。
【0026】
4.第4実施形態
次に、第4実施形態に係る水平多関節ロボット1cについて、
図6及び
図7を参照して説明する。
【0027】
本実施形態の水平多関節ロボット1cは、第1実施形態の水平多関節ロボット1に比べ、基台10c内の第1モーター21と第2モーター22との配置構成と、第1アーム11cの構成と、が異なること以外は、第1実施形態の水平多関節ロボット1と同様である。尚、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項は同じ符号を付してその説明を省略する。
【0028】
水平多関節ロボット1cは、
図6及び
図7に示すように、基台10c内の第1モーター21が第1アーム11cの上に配置され、基台10c内の第2モーター22が第1アーム11cの下に配置されている。第2モーター22を第1アーム11cの下に配置することにより、第1アーム11c内の第2モーター22の駆動力を伝達するベルト32と第2アーム12との間に第2アーム12の回動を減速する第2減速機42を配置することができる。
【0029】
また、第1アーム11c内には、プーリー51とプーリー52との間に、ベルト32のテンションを調整するプーリー54が配置されている。そのため、プーリー51及びプーリー52とベルト32との摩擦力の低下を制御することができ、第2モーター22の駆動力をより効率良く第2アーム12に伝達することができる。
【0030】
このような構成とすることで、第1実施形態で得られる効果に加え、水平多関節ロボット1cの低背化を図ることができ、且つ、第2モーター22の駆動力をより効率良く第2アーム12に伝達することができる。
【0031】
5.第5実施形態
次に、第5実施形態に係る水平多関節ロボット1dについて、
図8を参照して説明する。
【0032】
本実施形態の水平多関節ロボット1dは、第1実施形態の水平多関節ロボット1に比べ、第2減速機42の配置位置が異なること以外は、第1実施形態の水平多関節ロボット1と同様である。尚、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項は同じ符号を付してその説明を省略する。
【0033】
水平多関節ロボット1dは、
図8に示すように、第2アーム12の回動を減速する第2減速機42が基台10d内に配置されている。そのため、アームをより軽量化することができ、アームの駆動に伴うイナーシャをより低減することができる。
【0034】
このような構成とすることで、第1実施形態で得られる効果をより向上させることができる。
【0035】
6.変形例1
上の角実施形態においては、第1モーター21と第2モーター22とが、基台10内において、第1アーム11の上下にわかれて配置された構造を示したが、これに限らない。
例えば、第1モーター21と第2モーター22との両方が、基台10内において、第1アーム11の下に設けられても良い。また、第1モーター21と第2モーター22との両方が、基台10内において、第1アーム11の上に設けられても良い。
【0036】
7.変形例2
第1減速機41、第2減速機42を有する構造を示したが、これに限らない。例えば、第1モーター21や第2モーター22として、所謂ダイレクトドライブモーターのような出力トルクが大きいものを採用することができる場合、第1モーター21が第1アーム11を直接駆動する構造や、第2モーター22が第2アーム12を直接駆動する構造であっても良い。
【0037】
8.変形例3
また、制御部20が基台10に配置されている構造を示したが、これに限らない。例えば、基台10の外部に制御装置として配置され、ケーブルで接続する構造でも良い。
【符号の説明】
【0038】
1,1a,1b,1c,1d,1x…水平多関節ロボット、10…基台、11…第1アーム、12…第2アーム、13…第3アーム、14…台座、15…制御ケーブル、20…制御部、21…第1モーター、22…第2モーター、23…第3モーター、24…第4モーター、32,33,34…ベルト、41…第1減速機、42…第2減速機、51,52…プーリー、F1…第1回動軸、F2…第2回動軸、F3…第3回動軸、G…矢印、M2…軸。