特開 2024-49639 画像読取装置

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024049639

(43)【公開日】2024-04-10

(54)【発明の名称】画像読取装置

(51)【国際特許分類】

   H04N 1/04 20060101AFI20240403BHJP

   B65H 7/14 20060101ALI20240403BHJP

   H04N 1/00 20060101ALI20240403BHJP

   G03B 27/62 20060101ALI20240403BHJP

【ＦＩ】

H04N1/04 106A

B65H7/14

H04N1/00 567C

H04N1/12 Z

G03B27/62

【審査請求】未請求

【請求項の数】7

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2022155984

(22)【出願日】2022-09-29

(71)【出願人】

【識別番号】000002369

【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100179475

【弁理士】

【氏名又は名称】仲井 智至

(74)【代理人】

【識別番号】100216253

【弁理士】

【氏名又は名称】松岡 宏紀

(74)【代理人】

【識別番号】100225901

【弁理士】

【氏名又は名称】今村 真之

(72)【発明者】

【氏名】並木 政樹

【テーマコード（参考）】

2H012

3F048

5C062

5C072

【Ｆターム（参考）】

2H012CC03

3F048AA04

3F048AA08

3F048AB02

3F048BA10

3F048BB03

3F048BB05

3F048BB09

3F048BB10

3F048DA01

3F048DB11

3F048DC15

3F048EB02

5C062AA02

5C062AA05

5C062AB02

5C062AB30

5C062AB32

5C062AB33

5C062AB40

5C062AB42

5C062AC22

5C062AC58

5C062AD02

5C062AE15

5C072AA01

5C072BA20

5C072CA05

5C072DA02

5C072EA05

5C072EA06

5C072EA08

5C072NA01

5C072NA04

5C072RA03

5C072RA04

5C072UA13

5C072WA02

5C072XA01

(57)【要約】

【課題】原稿搬送経路が開放された状態では、ユーザーによる各種作業の際に２次元センサーに塵埃等が付着し易く、検出不良を招き易い。
【解決手段】画像読取装置は、媒体搬送経路において媒体を読み取る読み取り手段と、媒体搬送経路の下側を形成する下ユニットと、媒体搬送経路の上側を形成するユニットであって、下ユニットに対し開閉可能に設けられる上ユニットと、を備えた画像読取装置であって、下ユニットは、給送前の媒体を支持する媒体支持部と、媒体支持部から給送される媒体と対向配置され、第１軸及び第２軸を含む２次元座標系での媒体の動きを検出する２次元センサーと、上ユニットの開閉に連動して状態を切り換えるカバーであって、上ユニットが閉じた状態において２次元センサーを露呈させる第１状態と、上ユニットが開いた状態において２次元センサーを覆う第２状態とを切り換えるカバーとを備える。
【選択図】図７

【特許請求の範囲】

【請求項1】

媒体を搬送する媒体搬送経路と、
前記媒体搬送経路において媒体を読み取る読み取り手段と、
前記媒体搬送経路の下側を形成する下ユニットと、
前記媒体搬送経路の上側を形成するユニットであって、前記下ユニットに対し開閉可能に設けられる上ユニットと、を備えた画像読取装置であって、
前記下ユニットは、給送前の媒体を支持する媒体支持部と、
前記媒体支持部から給送される媒体と対向配置され、第１軸及び第２軸を含む２次元座標系での媒体の動きを検出する２次元センサーと、
前記上ユニットの開閉に連動して状態を切り換えるカバーであって、前記上ユニットが閉じた状態において前記２次元センサーを露呈させる第１状態と、前記上ユニットが開いた状態において前記２次元センサーを覆う第２状態とを切り換えるカバーと、を備える、
ことを特徴とする画像読取装置。

【請求項2】

請求項１に記載の画像読取装置において、前記カバーは、前記媒体支持部が媒体を支持する支持面より下側において媒体の搬送方向と交差する幅方向に沿ってスライド可能に設けられ、前記幅方向のうちの一方向である第１方向にスライドすることで前記第１状態から前記第２状態に切り換わり、前記幅方向のうちの他方向である第２方向にスライドすることで前記第２状態ら前記第１状態に切り換わる、
ことを特徴とする画像読取装置。

【請求項3】

請求項２に記載の画像読取装置において、前記下ユニットは、前記幅方向において媒体を搬送する搬送領域の外側であって前記搬送領域に対し前記第２方向の外側に、前記カバーとの係わり合いが可能なカム斜面が形成されたカム部材を備え、
前記カム部材は、閉じた状態の前記上ユニットに対して進退する方向に変位可能であるとともに前記上ユニットに向けて押圧され、
前記上ユニットは、閉じた状態において前記カム部材を押し下げる押し下げ部を備え、
前記カバーは、前記第２方向に向けて押圧されており、
前記上ユニットが閉じた状態では、前記押し下げ部が前記カム部材を押し下げることにより、前記カム斜面と前記カバーとの係わり合いが解消し、前記カバーが前記第２方向に押圧されて前記第１状態をとり、
前記上ユニットが閉じられた状態から開かれると、前記カム部材が上昇することで前記カム斜面が前記カバーを前記第１方向に押し、前記カバーが前記第２状態に切り換わる、
ことを特徴とする画像読取装置。

【請求項4】

請求項１に記載の画像読取装置において、前記カバーは、前記媒体支持部が媒体を支持する支持面より下側において回転可能に設けられ、回転することで前記第１状態と前記第２状態とを切り換える、
ことを特徴とする画像読取装置。

【請求項5】

請求項４に記載の画像読取装置において、前記上ユニットは、媒体を搬送する搬送領域の外側に、前記カバーとの当接が可能な当接部を備え、
前記カバーは、前記第２状態に向けて押圧されており、
前記上ユニットが閉じた状態では、前記当接部が前記カバーと当接することで前記カバーが前記第１状態をとり、
前記上ユニットが閉じられた状態から開かれると、前記当接部と前記カバーとの係わり合いが解消して前記カバーが前記第２状態に切り換わる、
ことを特徴とする画像読取装置。

【請求項6】

請求項１に記載の画像読取装置において、前記カバーは、前記２次元センサーにおいて媒体と対向する対向面を清掃可能な清掃部材を備え、
前記カバーの状態切り換えに伴って前記清掃部材が前記対向面を清掃する、
ことを特徴とする画像読取装置。

【請求項7】

請求項１に記載の画像読取装置において、前記上ユニットは、前記媒体支持部に支持された媒体の搬送方向下流への移動を規制する規制状態と、前記規制状態を解除する解除状態とを切り換える規制部と、
前記規制部の状態切り換えに伴って回転可能な部材であって、前記規制部が前記解除状態にある際に前記２次元センサーと対面する対面状態をとり、前記規制部が前記規制状態にある際に前記対面状態よりも前記２次元センサーから離間する離間状態をとる回転部材と、
を備えることを特徴とする画像読取装置。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、媒体の画像を読み取る画像読取装置に関する。

【背景技術】

【0002】

特許文献１には、２次元センサーを用いて媒体の斜行を検出する画像読取装置が開示されている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開２０２０－８３６２１号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

画像読取装置において、紙詰まり等が生じた際に原稿搬送経路が開放される場合がある。原稿搬送経路が開放された状態では、ユーザーによる各種作業の際に２次元センサーに塵埃等が付着し易く、検出不良を招き易い。

【課題を解決するための手段】

【0005】

上記課題を解決する為の、本発明の画像読取装置は、媒体を搬送する媒体搬送経路と、前記媒体搬送経路において媒体を読み取る読み取り手段と、前記媒体搬送経路の下側を形成する下ユニットと、前記媒体搬送経路の上側を形成するユニットであって、前記下ユニットに対し開閉可能に設けられる上ユニットと、を備えた画像読取装置であって、前記下ユニットは、給送前の媒体を支持する媒体支持部と、前記媒体支持部から給送される媒体と対向配置され、第１軸及び第２軸を含む２次元座標系での媒体の動きを検出する２次元センサーと、前記上ユニットの開閉に連動して状態を切り換えるカバーであって、前記上ユニットが閉じた状態において前記２次元センサーを露呈させる第１状態と、前記上ユニットが開いた状態において前記２次元センサーを覆う第２状態とを切り換えるカバーとを備えることを特徴とする。

【図面の簡単な説明】

【0006】

【図1】スキャナーの外観斜視図。

【図2】スキャナーにおける原稿搬送経路を示す図。

【図3】カバーが２次元センサーを覆う第２状態を示す斜視図。

【図4】カバーが２次元センサーを露呈させる第１状態を示す斜視図。

【図5】２次元センサーの位置で装置上部を切断した断面図であって、上ユニットが閉じた状態の図。

【図6】２次元センサーの位置で装置上部を切断した断面図であって、上ユニットが開いた状態の図。

【図7】カバーと２次元センサーの斜視図であって、上ユニットが閉じ、カバーが２次元センサーを露呈させる第１状態を示す斜視図。

【図8】カバーと２次元センサーの斜視図であって、上ユニットが開き、カバーが２次元センサーを覆う第２状態を示す斜視図。

【図9】カバーの変形例を示す図。

【図10】他の実施形態に係るカバーと２次元センサーの斜視図であって、上ユニットが閉じ、カバーが２次元センサーを露呈させる第１状態を示す斜視図。

【図11】他の実施形態に係るカバーと２次元センサーの斜視図であって、上ユニットが開き、カバーが２次元センサーを覆う第２状態を示す斜視図。

【図12】他の実施形態に係るスキャナーを２次元センサーが見える位置で切断した断面図であって、非給送状態を示す図。

【図13】他の実施形態に係るスキャナーを２次元センサーが見える位置で切断した断面図であって、給送状態を示す図。

【発明を実施するための形態】

【0007】

以下、本発明を概略的に説明する。
第１の態様に係る画像読取装置は、媒体を搬送する媒体搬送経路と、前記媒体搬送経路において媒体を読み取る読み取り手段と、前記媒体搬送経路の下側を形成する下ユニットと、前記媒体搬送経路の上側を形成するユニットであって、前記下ユニットに対し開閉可能に設けられる上ユニットと、を備えた画像読取装置であって、前記下ユニットは、給送前の媒体を支持する媒体支持部と、前記媒体支持部から給送される媒体と対向配置され、第１軸及び第２軸を含む２次元座標系での媒体の動きを検出する２次元センサーと、前記上ユニットの開閉に連動して状態を切り換えるカバーであって、前記上ユニットが閉じた状態において前記２次元センサーを露呈させる第１状態と、前記上ユニットが開いた状態において前記２次元センサーを覆う第２状態とを切り換えるカバーとを備えることを特徴とする。

【0008】

本態様によれば、前記下ユニットには、前記上ユニットの開閉に連動して状態を切り換えるカバーであって、前記上ユニットが閉じた状態において前記２次元センサーを露呈させる第１状態と、前記上ユニットが開いた状態において前記２次元センサーを覆う第２状態とを切り換えるカバーが設けられるので、前記媒体搬送経路を開放する為に前記上ユニットが開かれると、前記カバーによって前記２次元センサーが覆われる。これにより、前記媒体搬送経路が開放された状態においてユーザーによる各種作業が行われる際に、前記２次元センサーに塵埃等が付着することを抑制し、検出不良を抑制できる。

【0009】

第２の態様は、第１の態様において、前記カバーは、前記媒体支持部が媒体を支持する支持面より下側において媒体の搬送方向と交差する幅方向に沿ってスライド可能に設けられ、前記幅方向のうちの一方向である第１方向にスライドすることで前記第１状態から前記第２状態に切り換わり、前記幅方向のうちの他方向である第２方向にスライドすることで前記第２状態から前記第１状態に切り換わることを特徴とする。

【0010】

本態様によれば、前記カバーは、前記媒体支持部が媒体を支持する支持面より下側において媒体の搬送方向と交差する幅方向に沿ってスライド可能に設けられることから、前記カバーが給送される媒体と接触し難く、媒体の給送を阻害することを抑制できる。
また前記カバーは、媒体の搬送方向と交差する幅方向に沿ってスライドすることで前記第１状態と前記第２状態とを切り換える構成である為、前記カバーが状態を切り換える為に必要なスペースを抑制でき、装置の大型化を抑制できる。

【0011】

第３の態様は、第２の態様において、前記下ユニットは、前記幅方向において媒体を搬送する搬送領域の外側であって前記搬送領域に対し前記第２方向の外側に、前記カバーとの係わり合いが可能なカム斜面が形成されたカム部材を備え、前記カム部材は、閉じた状態の前記上ユニットに対して進退する方向に変位可能であるとともに前記上ユニットに向けて押圧され、前記上ユニットは、閉じた状態において前記カム部材を押し下げる押し下げ部を備え、前記カバーは、前記第２方向に向けて押圧されており、前記上ユニットが閉じた状態では、前記押し下げ部が前記カム部材を押し下げることにより、前記カム斜面と前記カバーとの係わり合いが解消し、前記カバーが前記第２方向に押圧されて前記第１状態をとり、前記上ユニットが閉じられた状態から開かれると、前記カム部材が上昇することで前記カム斜面が前記カバーを前記第１方向に押し、前記カバーが前記第２状態に切り換わることを特徴とする。

【0012】

本態様によれば、前記カム部材の動作によって前記カバーが状態切り換えを行う構成である為、簡易な構造で前記カバーの状態切り換えを行うことができる。

【0013】

第４の態様は、第１の態様において、前記カバーは、前記媒体支持部が媒体を支持する支持面より下側において回転可能に設けられ、回転することで前記第１状態と前記第２状態とを切り換えることを特徴とする。

【0014】

本態様によれば、前記カバーは、前記媒体支持部が媒体を支持する支持面より下側において回転可能に設けられ、回転することで前記第１状態と前記第２状態とを切り換えることから、前記カバーが給送される媒体と接触し難く、媒体の給送を阻害することを抑制できる。

【0015】

第５の態様は、第４の態様において、前記上ユニットは、媒体を搬送する搬送領域の外側に、前記カバーとの当接が可能な当接部を備え、前記カバーは、前記第２状態に向けて押圧されており、前記上ユニットが閉じた状態では、前記当接部が前記カバーと当接することで前記カバーが前記第１状態をとり、前記上ユニットが閉じられた状態から開かれると、前記当接部と前記カバーとの係わり合いが解消して前記カバーが前記第２状態に切り換わることを特徴とする。

【0016】

本態様によれば、前記カバーは、前記当接部との係わり合いとその解消とによって状態切り換えを行う構成である為、簡易な構造で前記カバーの状態切り換えを行うことができる。

【0017】

第６の態様は、第１の態様において、前記カバーは、前記２次元センサーにおいて媒体と対向する対向面を清掃可能な清掃部材を備え、前記カバーの状態切り換えに伴って前記清掃部材が前記対向面を清掃することを特徴とする。

【0018】

本態様によれば、前記カバーは、前記２次元センサーにおいて媒体と対向する対向面を清掃可能な清掃部材を備え、記カバーの状態切り換えに伴って前記清掃部材が前記対向面を清掃する為、ユーザーの手に依らず前記２次元センサーの性能を維持することができる。
尚、本態様は上記第１の態様に限らず、上記第２～第５の態様のいずれかに適用しても良い。

【0019】

第７の態様は、第１の態様において、前記上ユニットは、前記媒体支持部に支持された媒体の搬送方向下流への移動を規制する規制状態と、前記規制状態を解除する解除状態とを切り換える規制部と、前記規制部の状態切り換えに伴って回転可能な部材であって、前記規制部が前記解除状態にある際に前記２次元センサーと対面する対面状態をとり、前記規制部が前記規制状態にある際に前記対面状態よりも前記２次元センサーから離間する離間状態をとる回転部材とを備えることを特徴とする。

【0020】

本態様によれば、前記規制部が前記規制状態にあるとき、即ち非給送状態にあるときは、前記回転部材が前記離間状態をとり、前記規制部が前記解除状態にあるとき、即ち給送可能状態にあるときは、前記回転部材が前記対面状態をとる構成である。ここで前記回転部材は、前記対面状態において前記２次元センサーと対面する為、当該回転部材によって前記２次元センサーへの塵埃等の付着を抑制できる。特に、媒体を給送中は紙粉等が前記２次元センサーに付着し易い為、これを抑制できる。
ここで、前記回転部材が前記対面状態のままであると、前記媒体支持部への媒体のセットに際して前記回転部材が邪魔となるが、前記規制部が前記規制状態にあるとき、即ち非給送状態にあるときは、前記回転部材が前記離間状態をとることから、前記媒体支持部への媒体のセットに際して前記回転部材が邪魔になり難く、取り扱い性が向上する。
尚、本態様は上記第１の態様に限らず、上記第２～第６の態様のいずれかに適用しても良い。

【0021】

以下、本発明を具体的に説明する。
以下では画像読取装置の一実施形態について、図面に基づき説明する。本実施形態では画像読取装置の一例として、媒体の一例である原稿の表面及び裏面の少なくとも一面を読み取り可能なドキュメントスキャナー（以下、単にスキャナー１と称する）を例に挙げる。以降において原稿は符号Ｐを付して原稿Ｐと称する。

【0022】

尚、各図において示すＸ－Ｙ－Ｚ座標系は直交座標系であって、Ｘ軸方向が装置幅方向であり、また、原稿搬送方向と交差する方向である原稿幅方向である。装置前面から見て左方向を＋Ｘ方向、右方向を－Ｘ方向とする。
また、Ｙ軸方向が原稿搬送方向である。尚、本実施形態においてＹ軸方向は水平面に対して交差する方向である。
Ｚ軸方向はＹ軸方向と交差する方向であって、概ね搬送される原稿Ｐの面と直交する方向を示している。＋Ｚ方向は鉛直上方を含む方向であり、－Ｚ方向は鉛直下方を含む報告である。
以降において、原稿Ｐが送られていく方向（＋Ｙ方向）を「下流」と称し、これと反対の方向（－Ｙ方向）を「上流」と称する場合がある。

【0023】

図１においてスキャナー１は、原稿Ｐの画像を読み取る読取部２０（図２参照）を内部に備える装置本体２を備えている。
装置本体２は、下ユニット３及び上ユニット４を備えて構成されている。上ユニット４は下ユニット３に対して原稿搬送方向下流の回動軸４ａ（図２参照）を回動支点として回動することで開閉可能に設けられている。図２において符号４－１は、開いた状態の上ユニット４を示している。下ユニット３は原稿搬送経路の下側を形成し、上ユニット４は原稿搬送経路の上側を形成する。原稿搬送経路は下ユニット３と上ユニット４との間に形成される為、上ユニット４を装置前面方向に回動して開くと、原稿搬送経路を開放することができ、これによりジャム処理を行うことができる。

【0024】

図１において装置本体２の装置背面寄りには、給送される原稿Ｐを支持する原稿支持部４０が設けられている。原稿支持部４０は、原稿Ｐを支持する支持面４０ａを有する。また原稿支持部４０には、原稿Ｐの幅方向の側縁をガイドする一対のエッジガイド、具体的には第１エッジガイド１２Ａ及び第２エッジガイド１２Ｂが設けられている。第１エッジガイド１２Ａ及び第２エッジガイド１２Ｂは、不図示のラックピニオン機構により互いに接近し或いは離間する方向に変位する。

【0025】

原稿支持部４０は、第１ペーパーサポート８及び第２ペーパーサポート９を備えている。第１ペーパーサポート８及び第２ペーパーサポート９は、原稿支持部４０の内部に収納可能であり、且つ、図１に示す様に原稿支持部４０から引き出し可能に構成される。

【0026】

装置本体２は、上ユニット４の装置前面に、各種読み取り設定や読み取り実行の操作を行う為のパネルであって、また読み取り設定内容等を示すユーザインタフェース（ＵＩ）が実現される操作パネル７を備えている。操作パネル７は、本実施形態では表示と入力の双方が行える所謂タッチパネルであり、各種操作を行う為の操作部と、各種情報を表示する為の表示部とを兼用する。
上ユニット４の上部には装置本体２内部に連なる給送口６が設けられており、原稿支持部４０に支持される原稿Ｐは、給送口６から装置本体２内部に設けられる読取部２０に向けて送られる。
また、下ユニット３の装置前面側には、排出される原稿Ｐを受ける排紙トレイ５が設けられている。

【0027】

次に、図２を参照して、スキャナー１における原稿搬送経路について説明する。図２は本発明に係るスキャナー１における原稿搬送経路を簡略的に示す図である。尚、スキャナー１は、原稿読み取りに係る機能、具体的には後述する読取部２０を省いた観点において原稿Ｐを搬送する原稿搬送装置と捉えることができる。また或いは、読取部２０を備えていても、原稿搬送の観点に着目すれば、スキャナー１そのものが原稿搬送装置と捉えることができる。
図２において符号Ｔで示す実線は、原稿搬送経路、換言すれば原稿Ｐの通過軌跡を示している。原稿搬送経路Ｔは、下ユニット３と、上ユニット４とによって挟まれた空間である。

【0028】

原稿搬送経路Ｔの最も上流側には、原稿支持部４０が設けられており、原稿支持部４０の下流側には、原稿支持部４０の支持面４０aに支持された原稿Ｐを読取部２０に向けて送る給送ローラー１４と、給送ローラー１４との間で原稿Ｐをニップして分離する分離ローラー１５とが設けられている。

【0029】

給送ローラー１４は、原稿支持部４０の支持面４０aに支持された原稿Ｐのうち、最下位のものと接する。従って、スキャナー１において複数枚の原稿Ｐを原稿支持部４０にセットした場合には、支持面４０ａ側の原稿Ｐから順に下流側に向けて給送される。

【0030】

給送ローラー１４と分離ローラー１５はそれぞれ、本実施形態では原稿幅方向の中心位置に対して対称となる様に２つ配置されている。
給送ローラー１４は、不図示のモーターから回転トルクを得て、図２において反時計回り方向に回転駆動される。
分離ローラー１５には、不図示のモーターから、不図示のトルクリミッタを介して図２の反時計回り方向の回転トルクが伝達される。

【0031】

給送ローラー１４と分離ローラー１５との間に原稿Ｐが介在しない場合、或いは１枚のみ介在する場合、分離ローラー１５は、不図示のトルクリミッタにおいて滑りが生じることにより、図２において時計回り方向に従動回転する。
給送ローラー１４と分離ローラー１５との間に、給送されるべき原稿Ｐに加えて更に２枚目以降の原稿Ｐが入り込むと、原稿間で滑りが生じることにより、分離ローラー１５は不図示のモーターから受ける回転トルクにより、図２の反時計回り方向に回転する。これにより、原稿Ｐの重送が防止される。

【0032】

給送ローラー１４の下流には、搬送ローラー対１６と、画像を読み取る読取部２０と、排出ローラー対１７とが設けられている。搬送ローラー対１６は、不図示のモーターにより回転駆動される搬送駆動ローラー１６ａと、従動回転する搬送従動ローラー１６ｂとを備えて成る。
給送ローラー１４及び分離ローラー１５によりニップされて下流側に給送された原稿Ｐは搬送ローラー対１６にニップされて、搬送ローラー対１６の下流側に位置する読取部２０に搬送される。

【0033】

読取部２０は、上ユニット４側に設けられた上部読取センサー２０ａと、下ユニット３側に設けられた下部読取センサー２０ｂとを備えている。本実施形態において、上部読取センサー２０ａ及び下部読取センサー２０ｂは一例として密着型イメージセンサーモジュール（ＣＩＳＭ）として構成されている。

【0034】

原稿Ｐは、読取部２０において原稿Ｐの表面及び裏面の少なくとも一方の面の画像を読み取られた後、読取部２０の下流側に位置する排出ローラー対１７にニップされて、下ユニット３の装置前面側に設けられた排出口１８から排出される。
排出ローラー対１７は、不図示のモーターにより回転駆動される排出駆動ローラー１７ａと、従動回転する排出従動ローラー１７ｂとを備えて成る。

【0035】

続いて、原稿搬送経路Ｔに設けられた各検出手段について説明する。
先ず、原稿支持部４０には、２次元センサー３６が設けられている。２次元センサー３６は、原稿支持部４０に載置された原稿Ｐのうち最下位のものと対向している。
２次元センサー３６は、コンピューター用マウスに用いられる２次元（平面）座標系での検出対象の移動を検出可能なセンサーと同じ、或いは類似する原理に基づくセンサーであって、不図示のコントローラー、光源、レンズ、イメージセンサー、のこれらを備えている。

【0036】

２次元センサー３６の光源は、原稿支持部４０に載置された原稿Ｐに光を照射するための光源であり、例えば赤色ＬＥＤ、赤外線ＬＥＤ、レーザー、青色ＬＥＤ、等の光源を採用することができる。この光源から発せられた光はレンズを介して原稿支持部４０に載置された原稿Ｐに向けて照射される。照射された光は原稿Ｐで反射し、反射光がイメージセンサーで受光される。イメージセンサーには、ＣＭＯＳやＣＣＤ等のイメージセンサーを用いることができる。イメージセンサーは、第１軸Ａｘ方向と、これと直交する第２軸Ａｙ方向とに沿って画素が配列されて成る。本実施形態において第１軸Ａｘ方向は、Ｘ軸方向と平行であり、第２軸Ａｙ方向は、Ｙ軸方向と並行である。
不図示のコントローラーは、イメージセンサーにより取得した画像を解析し、画像の第１軸Ａｘ方向の移動距離Ｗｘと、第２軸Ａｙ方向の移動距離Ｗｙとを、検出値（出力値）として出力する。

【0037】

そして２次元センサー３６から第１軸Ａｘ方向及び第２軸Ａｙ方向の検出値を取得する制御部（不図示）は、取得した検出値を用い、原稿支持部４０に載置された原稿Ｐのうち最下位のものであって、給送中である原稿Ｐの搬送状態を判断し、特に斜行が生じているか否かを判断する。

【0038】

次に、２次元センサー３６の下流側には、原稿支持部４０上に原稿Ｐが存在するか否かを検出する為の原稿有無検出部３５が設けられている。原稿有無検出部３５は、光源と、光源から発せられる光の反射光成分を受光するセンサーとで構成され、制御部（不図示）は、原稿支持部４０上に原稿Ｐがある場合とない場合とでの反射光強度の違いにより、原稿支持部４０上の原稿Ｐの有無を検知できる。

【0039】

給送ローラー１４の下流側には、第１原稿検出部３１が設けられている。第１原稿検出部３１は、一例として光学式センサーとして構成され、原稿搬送経路Ｔを挟んで対向配置される発光部３１ａと、受光部３１ｂとを備えて成り、受光部３１ｂが制御部（不図示）に検出光の強度を示す電気信号を送信する。搬送される原稿Ｐが発光部３１ａから発せられる検出光を遮ることにより、前記検出光の強度を示す電気信号が変化し、これにより制御部（不図示）は、原稿Ｐの先端或いは後端の通過を検知できる。

【0040】

第１原稿検出部３１の下流側には、原稿Ｐの重送を検出する重送検出部３０が配置されている。重送検出部３０は、図２に示す様に原稿搬送経路Ｔを挟んで対向配置される超音波発信部３０ａと、超音波を受信する超音波受信部３０ｂとを備えて成り、超音波受信部３０ｂが制御部（不図示）に検出した超音波の強度に応じた出力値を送信する。原稿Ｐの重送が生じると、前記超音波の強度を示す電気信号が変化し、これにより制御部（不図示）は、原稿Ｐの重送を検知できる。

【0041】

重送検出部３０の下流側には、第２原稿検出部３２が設けられている。第２原稿検出部３２は、レバーを有する接触式センサーとして構成されており、原稿Ｐの先端或いは後端の通過に伴いレバーが回動すると、第２原稿検出部３２から制御部（不図示）に送られる電気信号が変化し、これにより制御部（不図示）は、原稿Ｐの先端或いは後端の通過を検知できる。
制御部（不図示）は、上述した第１原稿検出部３１及び第２原稿検出部３２により、原稿送り経路Ｔにおける原稿Ｐの位置を把握することができる。

【0042】

続いて図３以降を参照して、２次元センサー３６を露呈させる第１状態と２次元センサー３６を覆う第２状態とを切り換えるカバーについて説明する。
図３に示す様に、原稿支持部４０にはＸ軸方向に延びるガイド穴４０ｂ、４０ｂが形成されている。ガイド穴４０ｂ、４０ｂは、上述したエッジガイド１２Ａ、１２Ｂをガイドする穴である。ガイド穴４０ｂの内側には、原稿支持部４０の下側に設けられたベース部材４１の一部が露呈する。
ガイド穴４０ｂ、４０ｂよりも＋Ｙ方向には、Ｘ軸方向における原稿Ｐの中心となる位置に、方形の開口部４０ｃが形成されている。２次元センサー３６は、開口部４０ｃの内側に露呈する様に設けられる。

【0043】

符号４３は、上ユニット４の外観を構成する上部筐体であり、上部筐体４３には、原稿支持部４０の側へ突出する庇部４４が一体に形成されている。庇部４４は、Ｘ軸方向において原稿Ｐの中心となる位置に設けられており、図５に示す様に上ユニット４が閉じた状態で２次元センサー３６と対面する位置に設けられている。図５において破線Ｄａは２次元センサー３６が発する検出光の光軸であり、光軸Ｄａが庇部４４と交差する様に設けられている。この様な庇部４４により、２次元センサー３６への塵埃等の付着が抑制される。庇部４４は、上ユニット４に設けられている為、ジャム処理等を行う為に上ユニット４を開くと、図６に示す様に２次元センサー３６が庇部４４によって覆われた状態が解消される。

【0044】

原稿支持部４０の下側であってベース部材４１の上側には、カバー５０が設けられている。図７、図８は、カバー５０の設置状態を判り易く示す為に、原稿支持部１１の図示は省略し、また上ユニット４の外観を構成する上部筐体４３の図示も省略している。加えて原稿支持部４０より下流において原稿搬送経路Ｔを形成する部材の図示も省略している。
本実施形態に係るカバー５０は、図７、図８では図示を省略するガイド手段によってＸ軸方向にスライド可能に設けられている。

【0045】

カバー５０は、Ｘ軸方向に沿って延設された板状の部材である。Ｘ軸方向のうち＋Ｘ方向は第１方向の一例であり、カバー５０は、＋Ｘ方向の端部を先端側とし、先端側に先端部５０ａを有している。またＸ軸方向のうち－Ｘ方向は第２方向の一例であり、カバー５０は、－Ｘ方向の端部を基端側とし、基端側に基端部５０ｂを有している。先端部５０ａは、基端部５０ｂよりも幅（Ｙ軸方向長さ）がやや小さく、また厚み（Ｚ軸方向の厚み）がやや薄い形状を有している。

【0046】

カバー５０の下側には、押圧部材の一例である引っ張りばね５１が設けられている。引っ張りばね５１の－Ｘ方向の端部は、ベース部材４１に形成された不図示のばね掛け部に掛けられており、引っ張りばね５１の＋Ｘ方向の端部は、カバー５０に形成された不図示のばね掛け部に掛けられている。これによりカバー５０は、－Ｘ方向に押圧された状態、即ち２次元センサー３６から退避する方向に押圧された状態となっている。

【0047】

下ユニット３には、Ｘ軸方向において原稿搬送領域の外側に、カム部材５２が設けられている。カム部材５２は、不図示のガイド手段によってＺ軸方向に変位可能であるとともに、不図示の押圧部材、例えば圧縮コイルばねによって＋Ｚ方向即ち上ユニット４に向かう方向に押圧されている。
カム部材５２には、カム斜面５２ａが形成されている。カム斜面５２ａは、カバー５０の基端部５０ｂと係わり合う斜面である。カム部材５２が＋Ｚ方向即ち上ユニット４に向かう方向に変位すると、カム斜面５２ａは、基端部５０ｂ即ちカバー５０を＋Ｘ方向に押し退ける様に機能する。

【0048】

カム部材５２には、＋Ｚ方向即ち上ユニット４に向かう方向に突出するロッド部５２ｂが形成されている。
上ユニット４には、Ｘ軸方向において原稿搬送領域の外側に、押し下げ部５４が設けられている。押し下げ部５４は、ロッド部５２ｂと当接可能な位置に設けられており、上ユニット４が閉じられた状態でロッド部５２ｂ即ちカム部材５２を図７に示す様に押し下げている。この状態では、カム部材５２のカム斜面５２ａがカバー５０を＋Ｘ方向に押し退けておらず、カバー５０は先端部５０ａが２次元センサー３６を露呈させる第１状態をとる。

【0049】

図７の状態から上ユニット４を開くと、図８に示す様に押し下げ部５４によるロッド部５２ｂ即ちカム部材５２の押し下げが解消され、カム部材５２は＋Ｚ方向に変位する。このカム部材５２の＋Ｚ方向への変位により、カム部材５２のカム斜面５２ａがカバー５０を＋Ｘ方向に押し退ける。これによりカバー５０は先端部５０ａが２次元センサー３６を覆う第２状態をとる。
この状態から上ユニット４を閉じると、押し下げ部５４がロッド部５２ｂ即ちカム部材５２を押し下げ、図７に示した状態に戻る。

【0050】

以上の様に下ユニット３には、上ユニット４の開閉に連動して状態を切り換えるカバーであって、上ユニット４が閉じた状態において２次元センサー３６を露呈させる第１状態と、上ユニット４が開いた状態において２次元センサー３６を覆う第２状態とを切り換えるカバー５０が設けられる。これにより、原稿搬送経路Ｔを開放する為に上ユニット４が開かれると、カバー５０によって２次元センサー３６が覆われる。その為、原稿搬送経路Ｔが開放された状態においてユーザーによる各種作業が行われる際に、２次元センサー３６に塵埃等が付着することを抑制し、検出不良を抑制できる。

【0051】

また本実施形態においてカバー５０は、原稿支持部４０が原稿Ｐを支持する支持面４０ａより下側（－Ｚ方向）においてＸ軸方向即ち幅方向に沿ってスライド可能に設けられ、幅方向のうちの一方向である第１方向（＋Ｘ方向）にスライドすることで第１状態から第２状態に切り換わり、幅方向のうちの他方向である第２方向（－Ｘ方向）にスライドすることで第２状態から第１状態に切り換わる構成である。
この様にカバー５０は、原稿支持部４０が原稿Ｐを支持する支持面４０ａより下側においてスライド可能に設けられることから、カバー５０が給送される原稿Ｐと接触し難く、原稿Ｐの給送を阻害することを抑制できる。
またカバー５０は、幅方向に沿ってスライドすることで第１状態と第２状態とを切り換える構成である為、カバー５０が状態を切り換える為に必要なスペースを抑制でき、装置の大型化を抑制できる。

【0052】

また本実施形態において下ユニット３は、幅方向において原稿Ｐを搬送する搬送領域の外側であって搬送領域に対し第２方向（－Ｘ方向）の外側に、カバー５０との係わり合いが可能なカム斜面５２ａが形成されたカム部材５２を備えている。カム部材５２は、閉じた状態の上ユニット４に対して進退する方向に変位可能であるとともに上ユニット４に向けて押圧されている。上ユニット４は、閉じた状態においてカム部材５２を押し下げる押し下げ部５４を備えている。カバー５０は、第２方向（－Ｘ方向）に向けて押圧されており、上ユニット４が閉じた状態では、押し下げ部がカム部材５２を押し下げることにより、カム斜面５２ａとカバー５０との係わり合いが解消し、カバー５０が第２方向（－Ｘ方向）に押圧されて第１状態をとる。上ユニット４が閉じられた状態から開かれると、カム部材５２が上昇することでカム斜面５２ａがカバー５０を第１方向（＋Ｘ方向）に押し、カバー５０が第２状態に切り換わる。この様にカム部材５２の動作によってカバー５０が状態切り換えを行う構成である為、簡易な構造でカバー５０の状態切り換えを行うことができる。

【0053】

尚、図９に示す様に、カバー５０の先端部５０ａにブラシ５５を設けても良い。ブラシ５５は、清掃部材の一例である。ブラシ５５は、２次元センサー３６において原稿Ｐと対向する対向面３６ａを清掃可能である。即ちブラシ５５は、カバー５０の状態切り換えに伴って対向面３６ａを清掃する。この様に構成することで、ユーザーの手に依らず２次元センサー３６の性能を維持することができる。
尚、２次元センサー３６の上部に透明カバーを設けても良い。またこの場合、ブラシ５５が透明カバーを清掃しても良い。

【0054】

続いて図１０、図１１を参照してカバーの他の実施形態について説明する。図１０に示すカバー６０は、原稿支持部４０が原稿Ｐを支持する支持面４０ａより下側において回転軸６１を中心に回転可能に設けられている。回転軸６１は、Ｚ軸方向に沿った軸中心線を有する軸であり、ベース部材４１に設けられる。カバー５０は、回転することで２次元センサー３６を露呈させる第１状態（図１０）と、２次元センサー３６を覆う第２状態（図１１）とを切り換える。
カバー６０は、＋Ｘ方向の先端に先端部６０ａを備え、先端部６０ａが２次元センサー３６を覆う。またカバー６０は、－Ｘ方向の先端に基端部６０ｂを備える。
カバー６０は、２次元センサー３６を覆う第２状態（図１１）においてＸ軸方向にほぼ平行となる。カバー６０は、２次元センサー３６を露呈させる第１状態（図１０）では、先端部６０ａが２次元センサー３６に対し＋Ｙ方向に退避する。
カバー６０は、不図示の押圧部材、例えばねじりバネによって２次元センサー３６を覆う第２状態（図１１）に向けて押圧されている。

【0055】

上ユニット４は、原稿Ｐを搬送する搬送領域の外側に、カバー５０との当接が可能な当接部６４を備えている。当接部６４には、当接面６４ａが設けられている。上ユニット４が閉じた状態では、図１０に示す様に当接部６４がカバー５０と当接することでカバー５０が第１状態をとる。上ユニット４が閉じられた状態から開かれると、図１１に示す様に当接部６４とカバー５０との係わり合いが解消してカバー５０が第２状態に切り換わる。
本実施形態においても、カバー６０は、原稿支持部４０が原稿Ｐを支持する支持面４０ａより下側において回転可能に設けられ、回転することで第１状態と第２状態とを切り換えることから、カバー５０が給送される原稿Ｐと接触し難く、原稿Ｐの給送を阻害することを抑制できる。
またカバー６０は、当接部６４との係わり合いとその解消とによって状態切り換えを行う構成である為、簡易な構造でカバー６０の状態切り換えを行うことができる。

【0056】

また上述した庇部４４は、以下の様に変形できる。庇部４４は固定的に設けられており、原稿支持部４０への原稿Ｐのセットに際して庇部４４は邪魔になり易い。この点に鑑み図１２、図１３に示す実施形態は、庇部４４に代えて回転部材６６を備える。
符号２３は、上ユニット４に設けられた部材であって、原稿支持部４０に支持された原稿Ｐの搬送方向下流への移動を規制する規制状態（図１２）と、規制状態を解除する解除状態（図１３）とを切り換える規制部である。
規制部２３は、間口規制部２４に対し回転軸２３ａを介して回転可能に設けられている。間口規制部２４は、給送ローラー１４と分離ローラー１５との間に向かう原稿Ｐの枚数を規制する部材であって、Ｚ軸方向に沿って変位可能に設けられている。間口規制部２４は、原稿給送時に図１３に示す様に下降することで、給送ローラー１４と分離ローラー１５との間に向かう原稿Ｐの枚数を規制する。
規制部２３は、図１２に示す様に非給送時に原稿支持部４０に支持された原稿Ｐの搬送方向下流への移動を規制する。この状態において規制部２３は、下端部がセットガイド２２に形成された回転規制部２２ｂと係わり合い、図の時計回り方向への回転が規制されている。

【0057】

セットガイド２２は下ユニット３において回転軸２２ａを中心に回転可能に設けられており、不図示の駆動源から動力を得て回転する。セットガイド２２は、非給送時に図１３に示す様に上昇姿勢をとり、規制部２３の時計回り方向への回転を規制する。間口規制部２４は、規制部２３を介してセットガイド２２によって＋Ｚ方向に押し上げられている。

【0058】

この状態から原稿Ｐの給送が開始されると、セットガイド２２が反時計回り方向に駆動される。これにより規制部２３は回転可能となり、給送される原稿Ｐによって図１３に示す様に下流方向に回転する。また間口規制部２４は下降して給送ローラー１４と分離ローラー１５との間に向かう原稿Ｐの枚数を規制する。

【0059】

以上の構成において、上述した庇部４４に代えて設けられる回転部材６６は、上ユニット４において回転軸６６ａを中心に回転可能に設けられている。図１２に示す非給送時、回転部材６６は間口規制部２４によって押し上げられている。この状態において２次元センサー３６の光軸Ｄａは、回転部材６６と交差する。
そして図１３に示す給送状態になると、回転部材６６は下降する。この状態でも２次元センサー３６の光軸Ｄａは、回転部材６６と交差する。

【0060】

この様に回転部材６６は、規制部２３の状態切り換えに伴って回転可能であって、規制部２３が解除状態にある際に２次元センサー３６と対面する対面状態をとり（図１３）、規制部２３が規制状態にある際に対面状態よりも２次元センサー３６から離間する離間状態をとる（図１２）。
この様に回転部材６６は、対面状態において２次元センサー３６と対面する為、当該回転部材６６によって２次元センサー３６への塵埃等の付着を抑制できる。特に、原稿Ｐの給送中は紙粉等が２次元センサー３６に付着し易い為、これを抑制できる。
そして規制部２３が規制状態にあるとき、即ち非給送状態にあるときは、回転部材６６が離間状態をとることから、原稿支持部４０への原稿Ｐのセットに際して回転部材６６が邪魔になり難く、取り扱い性が向上する。

【0061】

本発明は上記において説明した各実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
特に上記実施形態においてスキャナー１は媒体搬送装置の一態様であり、媒体搬送装置は媒体に記録を行う記録部、一例としてインクジェットヘッドを備えた記録装置において媒体を搬送する媒体搬送装置であっても良い。

【符号の説明】

【0062】

１…スキャナー、２…装置本体、３…下ユニット、４…上ユニット、４ａ…回動軸、５…排紙トレイ、６…給送口、７…操作パネル、８…第１ペーパーサポート、９…第２ペーパーサポート、１２Ａ…第１エッジガイド、１２Ｂ…第２エッジガイド、１４…給送ローラー、１５…分離ローラー、１６…搬送ローラー対、１６ａ…搬送駆動ローラー、１６ｂ…搬送従動ローラー、１７…排出ローラー対、１７ａ…排出駆動ローラー、１７ｂ…排出従動ローラー、１８…排出口、２０…読取部、２０ａ…上部読取センサー、２０ｂ…下部読取センサー、２２…セットガイド、２２ａ…回転軸、２２ｂ…回転規制部、２３…規制部、２３ａ…回転軸、２４…間口規制部、３０…重送検出部、３０ａ…超音波発信部、３０ｂ…超音波受信部、３１…第１原稿検出部、３１ａ…発光部、３１ｂ…受光部、３２…第２原稿検出部、３５…原稿有無検出部、３６…２次元センサー、４０…原稿支持部、４０ａ…支持面、４０ｂ…ガイド穴、４０ｃ…開口部、４１…ベース部材、４３…上部筐体、４４…庇部、５０…カバー、５０ａ…先端部、５０ｂ…基端部、５１…引っ張りばね、５２…カム部材、５２ａ…カム斜面、５２ｂ…ロッド部、５４…押し下げ部、５５…ブラシ、６０…カバー、６０ａ…先端部、６０ｂ…基端部、６１…回転軸、６４…当接部、６４ａ…当接面、６６…回転部材、６６ａ…回転軸、Ｐ…原稿

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】