(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049642
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】振動素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
G01C 19/5628 20120101AFI20240403BHJP
H03H 3/02 20060101ALI20240403BHJP
H10N 30/20 20230101ALI20240403BHJP
H10N 30/853 20230101ALI20240403BHJP
H10N 30/082 20230101ALI20240403BHJP
【FI】
G01C19/5628
H03H3/02 B
H01L41/09
H01L41/187
H01L41/332
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155987
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】坂田 日和
(72)【発明者】
【氏名】山口 啓一
(72)【発明者】
【氏名】西澤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】白石 茂
【テーマコード(参考)】
2F105
5J108
【Fターム(参考)】
2F105BB02
2F105BB03
2F105BB15
2F105CC01
2F105CD02
2F105CD06
5J108AA09
5J108BB02
5J108CC06
5J108DD05
5J108KK01
5J108KK02
5J108MM08
5J108MM11
5J108MM14
(57)【要約】
【課題】深さが異なる第1溝および第2溝を容易に形成することのできる振動素子の製造方法を提供すること。
【解決手段】振動素子の製造方法は、表裏関係にある第1面および第2面を有する水晶基板を準備する準備工程と、水晶基板の振動素子が形成される領域を素子形成領域とし、第1溝が形成される領域を第1溝形成領域とし、第2溝が形成される領域を第2溝形成領域としたとき、第1面の素子形成領域上に、第1溝形成領域と重なる第1開口と第2溝形成領域と重なる第2開口とを有する第1保護膜を形成する第1保護膜形成工程と、第1保護膜を介して水晶基板を第1面側からドライエッチングする第1ドライエッチング工程と、を含み、第1開口の幅をWaとし、第2開口の幅をWbとしたとき、Wa<Wbである。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表裏関係にある第1面および第2面を有し、前記第1面に開口する有底の第1溝を有する第1振動腕と、前記第1面に開口する有底の第2溝を有する第2振動腕と、を備える振動素子の製造方法であって、
前記第1面および前記第2面を有する水晶基板を準備する準備工程と、
前記水晶基板の前記振動素子が形成される領域を素子形成領域とし、前記第1溝が形成される領域を第1溝形成領域とし、前記第2溝が形成される領域を第2溝形成領域としたとき、前記第1面の前記素子形成領域上に、前記第1溝形成領域と重なる第1開口と前記第2溝形成領域と重なる第2開口とを有する第1保護膜を形成する第1保護膜形成工程と、
前記第1保護膜を介して前記水晶基板を前記第1面側からドライエッチングする第1ドライエッチング工程と、を含み、
前記第1開口の幅をWaとし、前記第2開口の幅をWbとしたとき、Wa<Wbであることを特徴とする振動素子の製造方法。
【請求項2】
前記第1保護膜は、前記第1振動腕の延在方向に直交する方向に並ぶ複数の前記第1開口を有する請求項1に記載の振動素子の製造方法。
【請求項3】
前記振動素子は、前記第1振動腕の前記第2面に開口する第3溝と、前記第2振動腕の前記第2面に開口する第4溝と、を有し、
前記水晶基板の前記第3溝が形成される領域を第3溝形成領域とし、前記第4溝が形成される領域を第4溝形成領域としたとき、前記第2面の前記素子形成領域上に、前記第3溝形成領域と重なる第3開口と前記第4溝形成領域と重なる第4開口とを有する第2保護膜を形成する第2保護膜形成工程と、
前記第2保護膜を介して前記水晶基板を前記第2面側からドライエッチングする第2ドライエッチング工程と、を含み、
前記第3開口の幅をWcとし、前記第4開口の幅をWdとしたとき、Wc<Wdである請求項1に記載の振動素子の製造方法。
【請求項4】
表裏関係にある第1面および第2面を有し、前記第1面に開口する有底の第1溝を有する第1振動腕と、前記第1面に開口する有底の第2溝を有する第2振動腕と、を備える振動素子の製造方法であって、
前記第1面および前記第2面を有する水晶基板を準備する準備工程と、
前記水晶基板の前記振動素子が形成される領域を素子形成領域とし、前記第1溝が形成される領域を第1溝形成領域とし、前記第2溝が形成される領域を第2溝形成領域としたとき、前記第1面の前記素子形成領域上に、前記第1溝形成領域と重なる第1開口と、前記第1開口内に位置する第1レート調整部と、前記第2溝形成領域と重なる第2開口とを有する第1保護膜を形成する第1保護膜形成工程と、
前記第1保護膜を介して前記水晶基板を前記第1面側からドライエッチングする第1ドライエッチング工程と、を含み、
前記第1開口の縁と前記第1レート調整部との離間距離をDaとし、前記第2開口の幅をWbとしたとき、Da<Wbであることを特徴とする振動素子の製造方法。
【請求項5】
前記振動素子は、前記第1振動腕の前記第2面に開口する第3溝と、前記第2振動腕の前記第2面に開口する第4溝と、を有し、
前記水晶基板の前記第3溝が形成される領域を第3溝形成領域とし、前記第4溝が形成される領域を第4溝形成領域としたとき、前記第2面の前記素子形成領域上に、前記第3溝形成領域と重なる第3開口と、前記第3開口内に位置する第2レート調整部と、前記第4溝形成領域と重なる第4開口とを有する第2保護膜を形成する第2保護膜形成工程と、
前記第2保護膜を介して前記水晶基板を前記第2面側からドライエッチングする第2ドライエッチング工程と、を含み、
前記第3開口の縁と前記第2レート調整部との離間距離をDcとし、前記第4開口の幅をWdとしたとき、Dc<Wdである請求項4に記載の振動素子の製造方法。
【請求項6】
前記第1振動腕の延在方向に沿って複数の前記第1レート調整部が離間して配置され、
隣り合う一対の前記第1レート調整部の離間距離をDbとしたとき、Db<Wbである請求項4に記載の振動素子の製造方法。
【請求項7】
前記振動素子は、角速度を検出する角速度検出素子であり、
前記第1振動腕は、印加される駆動信号に応じて屈曲振動し、
前記第2振動腕は、印加される角速度に応じて屈曲振動する請求項1に記載の振動素子の製造方法。
【請求項8】
前記振動素子は、基部と、前記基部から第1方向の両側に延出する一対の前記第2振動腕と、前記基部から前記第1方向と交差する第2方向の両側に延出する一対の支持腕と、一方の前記支持腕から前記第1方向の両側に延出する一対の前記第1振動腕と、他方の前記支持腕から前記第1方向の両側に延出する一対の前記第1振動腕と、を有する請求項7に記載の振動素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、表面および下面のそれぞれに溝を有する一対の振動腕を備えた水晶振動片の製造方法として、ドライエッチングのマイクロローディング効果を利用して、水晶振動片の外形形状と各振動腕の溝とを一括形成する方法が記載されている。なお、マイクロローディング効果とは、加工幅が狭い密部位と加工幅が広い疎部位とでは、同条件でドライエッチングしても疎部位の方が密部位よりも加工深さが深くなる、つまり、エッチングレートが大きくなる効果を言う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、例えば、複数の振動腕に対して異なる深さの溝を形成することが想定されていない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の振動素子の製造方法は、表裏関係にある第1面および第2面を有し、前記第1面に開口する有底の第1溝を有する第1振動腕と、前記第1面に開口する有底の第2溝を有する第2振動腕と、を備える振動素子の製造方法であって、
前記第1面および前記第2面を有する水晶基板を準備する準備工程と、
前記水晶基板の前記振動素子が形成される領域を素子形成領域とし、前記第1溝が形成される領域を第1溝形成領域とし、前記第2溝が形成される領域を第2溝形成領域としたとき、前記第1面の前記素子形成領域上に、前記第1溝形成領域と重なる第1開口と前記第2溝形成領域と重なる第2開口とを有する第1保護膜を形成する第1保護膜形成工程と、
前記第1保護膜を介して前記水晶基板を前記第1面側からドライエッチングする第1ドライエッチング工程と、を含み、
前記第1開口の幅をWaとし、前記第2開口の幅をWbとしたとき、Wa<Wbである。
【0006】
本発明の振動素子の製造方法は、表裏関係にある第1面および第2面を有し、前記第1面に開口する有底の第1溝を有する第1振動腕と、前記第1面に開口する有底の第2溝を有する第2振動腕と、を備える振動素子の製造方法であって、
前記第1面および前記第2面を有する水晶基板を準備する準備工程と、
前記水晶基板の前記振動素子が形成される領域を素子形成領域とし、前記第1溝が形成される領域を第1溝形成領域とし、前記第2溝が形成される領域を第2溝形成領域としたとき、前記第1面の前記素子形成領域上に、前記第1溝形成領域と重なる第1開口と、前記第1開口内に位置する第1レート調整部と、前記第2溝形成領域と重なる第2開口とを有する第1保護膜を形成する第1保護膜形成工程と、
前記第1保護膜を介して前記水晶基板を前記第1面側からドライエッチングする第1ドライエッチング工程と、を含み、
前記第1開口の縁と前記第1レート調整部との離間距離をDaとし、前記第2開口の幅をWbとしたとき、Da<Wbである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態に係る振動素子の平面図である。
【
図6】d1=d2のときのd1、d2と感度との関係を示すグラフである。
【
図7】d2/d1と感度との関係を示すグラフである。
【
図8】振動素子の製造方法を示すフローチャートである。
【
図9】振動素子の製造方法を説明するための断面図である。
【
図10】振動素子の製造方法を説明するための断面図である。
【
図11】振動素子の製造方法を説明するための断面図である。
【
図12】振動素子の製造方法を説明するための断面図である。
【
図13】振動素子の製造方法を説明するための断面図である。
【
図14】振動素子の製造方法を説明するための断面図である。
【
図15】第2実施形態に係る振動素子の断面図である。
【
図16】第2実施形態に係る振動素子の断面図である。
【
図17】振動素子の製造方法を説明するための断面図である。
【
図18】振動素子の製造方法を説明するための断面図である。
【
図19】振動素子の製造方法を説明するための断面図である。
【
図20】振動素子の製造方法を説明するための断面図である。
【
図21】第3実施形態に係る振動素子の断面図である。
【
図22】第3実施形態に係る振動素子の断面図である。
【
図23】振動素子の製造方法を説明するための断面図である。
【
図25】振動素子の製造方法を説明するための断面図である。
【
図26】振動素子の製造方法を説明するための断面図である。
【
図27】振動素子の製造方法を説明するための断面図である。
【
図29】振動素子の製造方法を説明するための断面図である。
【
図30】第4実施形態に係る振動素子の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の振動素子の製造方法を添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0009】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る振動素子の平面図である。
図2は、
図1中のA-A線断面図である。
図3は、
図1中のB-B線断面図である。
図4および
図5は、それぞれ、振動素子の駆動状態を示す概略図である。
図6は、d1=d2のときのd1、d2と感度との関係を示すグラフである。
図7は、d2/d1と感度との関係を示すグラフである。
図8は、振動素子の製造方法を示すフローチャートである。
図9ないし
図14は、それぞれ、振動素子の製造方法を説明するための断面図である。
【0010】
以下では、説明の便宜上、互いに直交する3軸であるX軸、Y軸およびZ軸を図示する。また、X軸に沿う方向をX軸方向、Y軸に沿う方向をY軸方向、Z軸に沿う方向をZ軸方向とも言う。また、各軸の矢印側を「プラス側」とも言い、反対側を「マイナス側」とも言う。また、Z軸方向のプラス側を「上」とも言い、マイナス側を「下」とも言う。また、Z軸方向からの平面視を、単に「平面視」とも言う。
【0011】
まず、本実施形態の振動素子の製造方法により製造される振動素子1について説明する。振動素子1は、Z軸まわりの角速度ωzを検出することができる角速度検出素子である。このような振動素子1は、
図1ないし
図3に示すように、Zカットの水晶基板をパターニングしてなる振動基板2と、振動基板2の表面に成膜された電極3と、を有する。
【0012】
また、振動基板2は、Z軸方向に厚みを有し、X-Y平面に広がる板状であり、表裏関係にある第1面としての上面2aおよび第2面としての下面2bを有する。また、振動基板2は、中央部に位置する基部21と、基部21からY軸方向両側に延出する第2振動腕A2としての一対の検出振動腕22、23と、基部21からX軸方向両側へ延出する一対の支持腕24、25と、一方の支持腕24の先端部からY軸方向両側に延出する第1振動腕A1としての一対の駆動振動腕26、27と、他方の支持腕25の先端部からY軸方向両側に延出する第1振動腕A1としての一対の駆動振動腕28、29と、を有する。そして、基部21において、図示しない支持部材に支持される。
【0013】
このような形状の振動素子1によれば、後述するように、駆動振動モードにおいて駆動振動腕26、27、28、29がバランスよく屈曲振動するため、検出振動腕22、23に不要な振動が生じ難く、角速度ωzを精度よく検出することができる。
【0014】
検出振動腕22は、上面2aに形成された第2溝A21としての有底の溝221と、下面2bに形成された第4溝A22としての有底の溝222と、を有する。溝221、222は、それぞれ、検出振動腕22に沿って形成されている。また、溝221、222は、対称的に形成されている。
【0015】
検出振動腕23は、上面2aに形成された第2溝A21としての有底の溝231と、下面2bに形成された第4溝A22としての有底の溝232と、を有する。溝231、232は、それぞれ、検出振動腕23に沿って形成されている。また、溝231、232は、対称的に形成されている。
【0016】
これら2本の検出振動腕22、23は、互いに同じ構成(形状および寸法)に設計されている。
【0017】
駆動振動腕26は、上面2aに形成された第1溝A11としての有底の溝261と、下面2bに形成された第3溝A12としての有底の溝262と、を有する。溝261、262は、それぞれ、駆動振動腕26に沿って形成されている。また、溝261、262は、対称的に形成されている。
【0018】
駆動振動腕27は、上面2aに形成された第1溝A11としての有底の溝271と、下面2bに形成された第3溝A12としての有底の溝272と、を有する。溝271、272は、それぞれ、駆動振動腕27に沿って形成されている。また、溝271、272は、対称的に形成されている。
【0019】
駆動振動腕28は、上面2aに形成された第1溝A11としての有底の溝281と、下面2bに形成された第3溝A12としての有底の溝282と、を有する。溝281、282は、それぞれ、駆動振動腕28に沿って形成されている。また、溝281、282は、対称的に形成されている。
【0020】
駆動振動腕29は、上面2aに形成された第1溝A11としての有底の溝291と、下面2bに形成された第3溝A12としての有底の溝292と、を有する。溝291、292は、それぞれ、駆動振動腕29に沿って形成されている。また、溝291、292は、対称的に形成されている。
【0021】
これら4本の駆動振動腕26、27、28、29は、互いに同じ構成(形状および寸法)に設計されている。また、各駆動振動腕26、27、28、29に形成された溝261、262、271、272、281、282、291、292の幅W1は、各検出振動腕22、23に形成された溝221、222、231、232の幅W2よりも小さい。つまり、W1<W2である。
【0022】
電極3は、第1検出信号電極31と、第1検出接地電極32と、第2検出信号電極33と、第2検出接地電極34と、駆動信号電極35と、駆動接地電極36と、を有する。このうち、第1検出信号電極31は、検出振動腕22の上面2aおよび下面2bに配置され、第1検出接地電極32は、検出振動腕22の両側面に配置されている。また、第2検出信号電極33は、検出振動腕23の上面2aおよび下面2bに配置され、第2検出接地電極34は、検出振動腕23の両側面に配置されている。また、駆動信号電極35は、駆動振動腕26、27の上面2aおよび下面2bと、駆動振動腕28、29の両側面と、に配置されている。また、駆動接地電極36は、駆動振動腕26、27の両側面と、駆動振動腕28、29の上面2aおよび下面2bと、に配置されている。
【0023】
以上、振動素子1の構成について簡単に説明した。このような構成の振動素子1は、次のようにしてZ軸まわりの角速度ωzを検出する。
【0024】
駆動信号電極35と駆動接地電極36との間に駆動信号を印加すると、
図4に示すように、駆動振動腕26、27と駆動振動腕28、29とがX軸方向に逆相で屈曲振動する(以下、この状態を「駆動振動モード」とも言う)。なお、この状態では、駆動振動腕26、27、28、29の振動がキャンセルされ、検出振動腕22、23は、振動しない。駆動振動モードで駆動している状態で振動素子1に角速度ωzが加わると、
図5に示すように、駆動振動腕26、27、28、29にコリオリの力が働いてY軸方向の屈曲振動が励振され、この屈曲振動に呼応するように検出振動腕22、23がX軸方向に屈曲振動する(以下、この状態を「検出振動モード」とも言う)。
【0025】
このような屈曲振動によって検出振動腕22に発生した電荷を第1検出信号電極31から第1検出信号として取り出し、検出振動腕23に発生した電荷を第2検出信号電極33から第2検出信号として取り出し、これら第1、第2検出信号に基づいて角速度ωzが求められる。なお、第1、第2検出信号は、互いに逆相の信号であるため、差動検出方式を用いることで、より精度よく角速度ωzを検出することができる。
【0026】
次に、検出振動腕22、23に形成された溝と、駆動振動腕26、27、28、29に形成された溝との関係について説明する。なお、前述したように、各検出振動腕22、23は、互いに同様の構成であり、各駆動振動腕26、27、28、29は、互いに同様の構成である。したがって、以下では、説明の便宜上、検出振動腕22、23を総称して第2振動腕A2とし、駆動振動腕26、27、28、29を総称して第1振動腕A1として説明する。
【0027】
前述したように、第1振動腕A1は、上面2aに形成された第1溝A11と、下面2bに形成された第3溝A12と、を有する。また、第2振動腕A2は、上面2aに形成された第2溝A21と、下面2bに形成された第4溝A22と、を有する。そのため、第1振動腕A1および第2振動腕A2の断面形状は、それぞれ、H型となる。このような構成によれば、第1、第2振動腕A1、A2の屈曲振動時の熱伝達経路を長くすることができ、熱弾性損失が低減され、Q値が高まる。さらには、第1、第2振動腕A1、A2が柔らかくなり、これらがX軸方向に屈曲変形し易くなる。そのため、駆動振動モードでの第1振動腕A1の振幅を大きくすることができる。第1振動腕A1の振幅が大きいほどコリオリ力が大きくなり、検出振動モードでの第2振動腕A2の振幅がより大きくなる。そのため、より大きな検出信号が得られ、角速度ωzの検出感度が高まる。
【0028】
以下、
図2に示すように、第1振動腕A1の厚さをt1、第1振動腕A1の第1、第3溝A11、A12の深さをd1とし、第2振動腕A2の厚さをt2、第2、第4溝A21、A22の深さをd2として、d2/t2とd1/t1との関係について詳細に説明する。なお、d1は、第1、第3溝A11、A12の深さの合計である。本実施形態では、第1、第3溝A11、A12が対称的に形成されているため、第1、第3溝A11、A12の深さは、それぞれ、d1/2である。同様に、d2は、第2、第4溝A21、A22の深さの合計である。本実施形態では第2、第4溝A21、A22が対称的に形成されているため、第2、第4溝A21、A22の深さは、それぞれ、d2/2である。
【0029】
図6に、d1、d2(ただし、d1=d2)と角速度ωzの検出感度(感度)との関係を示す。なお、振動基板2の板厚つまりt1、t2は、100μmである。また、検出感度は、d1、d2が60μmのときの検出感度を1とした比で表している。同図から分かるように、d1、d2が深くなるほど検出感度が高まっている。しかしながら、d1、d2を90μm(板厚の90%)としても、d1、d2が60μm(板厚の60%)のときと比較して検出感度が1.09倍にしか高まっていない。このことから、d1=d2である場合、d1、d2を大きくしても検出感度が高まり難いことが分かる。
【0030】
次に、
図7に、d2/d1と検出感度との関係を示す。なお、振動基板2の板厚つまりt1、t2は、100μmである。また、検出感度は、従来の構成であるd2/d1=1のときの検出感度を1とした比で表している。同図から分かるように、d2/d1が大きくなるほど検出感度が高まっている。すなわち、第1振動腕A1の第1、第3溝A11、A12に対して、第2振動腕A2の第2、第4溝A21、A22が深くなるほど検出感度が高まっている。そして、d2/d1>1の領域で、従来の構成よりも検出感度を高められることが分かる。
【0031】
したがって、振動素子1では、d2/d1>1、つまり、d2/t2>d1/t1を満足している。つまり、第1、第3溝A11、A12は、第2、第4溝A21、A22よりも浅い。これにより、従来の構成よりも検出感度を高めることができ、従来の構成では到達することのできない検出感度を得ることができる。
【0032】
以上、振動素子1の全体構成について説明した。次に、振動素子1の製造方法について説明する。ここでも、駆動振動腕26、27、28、29を総称して第1振動腕A1として説明し、検出振動腕22、23を総称して第2振動腕A2として説明する。振動素子1の製造方法は、
図8に示すように、準備工程S1と、第1保護膜形成工程S2と、第1ドライエッチング工程S3と、第2保護膜形成工程S4と、第2ドライエッチング工程S5と、電極形成工程S6と、を含む。以下、
図2に対応する断面図を用いて、これら各工程S1~S6について順に説明する。
【0033】
[準備工程S1]
まず、
図9に示すように、振動基板2の母材であるZカットの水晶基板200を準備する。水晶基板200は、表裏関係にある第1面としての上面2aおよび第2面としての下面2bを有する。水晶基板200は、振動基板2よりも大きく、水晶基板200から複数の振動基板2を形成することができる。水晶基板200は、ランバード加工された人工水晶をZカットで切断することにより得られる水晶ウエハーを用いることができる。
【0034】
なお、以下では、振動基板2が形成される領域を素子形成領域Q1、素子形成領域Q1外の領域を除去領域Q2、第1溝A11が形成される領域を第1溝形成領域Qm1、第2溝A21が形成される領域を第2溝形成領域Qm2、第3溝A12が形成される領域を第3溝形成領域Qm3、第4溝A22が形成される領域を第4溝形成領域Qm4、ともいう。図示しないが、1つの水晶基板200内に、複数の素子形成領域Q1がマトリクス状に設けられている。
【0035】
次に、必要に応じて、水晶基板200の両面に対して厚み調整および平坦化のための研磨加工を行う。このような研磨加工は、ラッピング加工とも呼ばれる。例えば、上下一対の定盤を備えるウエハー研磨装置を用いて、互いに逆向きに回転する定盤の間で水晶基板200を挟み込み、水晶基板200を回転させると共に研磨液を供給しながら、水晶基板200の両面を研磨する。なお、研磨加工では、上述のラッピング加工に続けて、必要に応じて水晶基板200の両面に対して鏡面研磨加工を行ってもよい。このような研磨加工は、ポリッシング加工とも呼ばれる。これにより、水晶基板200の両面を鏡面化することができる。
【0036】
[第1保護膜形成工程S2]
次に、
図10に示すように、水晶基板200の上面2aに第1保護膜4を形成する。第1保護膜4は、素子形成領域Q1上に形成されており、第1溝形成領域Qm1と重なる第1開口41と、第2溝形成領域Qm2と重なる第2開口42と、を有する。また、第1開口41の幅Waは、第2開口42の幅Wbよりも小さい。つまり、Wa<Wbである。なお、幅Wa、Wbは、第1、第2振動腕A1、A2の延在方向に直交するX軸方向の長さを言う。また、幅Wa、Wbは、それぞれ、マイクロローディング効果を発現させるために十分に小さく、例えば、100μm以下に設計されている。また、幅Wa、Wbは、求められるエッチング深さに応じて適宜設定されている。
【0037】
なお、除去領域Q2、具体的には、隣り合う振動腕間の距離D1や隣り合う素子間の距離D2は、幅Waおよび幅Wbよりも十分に大きく設計されている。
【0038】
第1保護膜4の材料や形成方法は、特に限定されない。例えば、第1保護膜4は、金属材料で構成された金属膜であってもよい。この場合、スパッタリング、蒸着、めっきなどの各種成膜方法を用いて水晶基板200の上面に第1保護膜4の母材となる金属膜を成膜し、成膜した金属膜をフォトリソグラフィー技法およびエッチング技法でパターニングすることにより第1保護膜4を形成することができる。第1保護膜4を金属膜とすることにより、エッチングレートの低い第1保護膜4が得られ、その分、第1保護膜4を薄くすることができる。第1保護膜4を薄くすることにより、水晶基板200のパターニング精度が高まり、振動基板2の外形形状や第1、第2溝A11、A21の寸法精度が向上する。
【0039】
また、例えば、第1保護膜4は、樹脂材料で構成された樹脂膜であってもよい。この場合、スピンコート法、スプレーコート法などの各種成膜方法を用いて水晶基板200の上面に第1保護膜4の母材となるフォトレジストを成膜し、製膜したフォトレジストをフォトリソグラフィー技法でパターニングすることにより第1保護膜4を形成することができる。第1保護膜4を樹脂膜とすることにより、フォトレジストをそのまま第1保護膜4として利用することができる。そのため、第1保護膜形成工程S2を簡素化することができる。
【0040】
[第1ドライエッチング工程S3]
次に、
図11に示すように、上面2a側から第1保護膜4を介して水晶基板200をドライエッチングする。ドライエッチングによれば、水晶の結晶面の影響を受けずに加工することができるため、優れた寸法精度を実現することができる。なお、ドライエッチングは、反応性イオンエッチングであり、RIE(リアクティブイオンエッチング)装置を用いて行われる。RIE装置に導入される反応ガスとしては、特に限定されないが、例えば、SF
6、CF
4、C
2F
4、C
2F
6、C
3F
6、C
4F
8等を用いることができる。
【0041】
本工程では、マイクロローディング効果を用いて水晶基板200をドライエッチングする。「マイクロローディング効果」とは、加工幅が狭い密部位と加工幅が広い疎部位とでは、同条件でドライエッチングしても疎部位のほうが密部位よりも加工深さが深くなる、つまり、エッチングレートが大きくなる効果を言う。本実施形態に当て嵌めると、前述したように、第1開口41の幅Waが第2開口42の幅Wbよりも小さく、除去領域Q2がこれら幅Wa、Wbよりも大きい。したがって、エッチング加工される3つの領域である第1溝形成領域Qm1、第2溝形成領域Qm2および除去領域Q2のうち、除去領域Q2が最も疎な部位であり、第1溝形成領域Qm1が最も密な部分である。そのため、本工程におけるエッチングレートは、マイクロローディング効果により、除去領域Q2>第2溝形成領域Qm2>第1溝形成領域Qm1となる。
【0042】
したがって、
図11に示すように、本工程では、除去領域Q2のエッチング深さが最も深く、次いで、第2溝形成領域Qm2のエッチング深さが深く、第1溝形成領域Qm1のエッチング深さが最も浅い。これにより、本工程において、深さの異なる第1溝A11および第2溝A21が一括して形成される。そのため、第1溝A11および第2溝A21の形成が容易となる。なお、本工程の終了時において、除去領域Q2のエッチング深さが水晶基板200の厚さの半分以上に達している。
【0043】
以上、水晶基板200を上面2a側からエッチングする工程が終了する。次の工程S4、S5は、水晶基板200を下面2b側からエッチングする工程であり、前述した工程S2、S3と同様である。そのため、工程S2、S3と重複する部分については、説明を省略する。
【0044】
[第2保護膜形成工程S4]
次に、
図12に示すように、水晶基板200の下面2bに第2保護膜5を形成する。第2保護膜5は、素子形成領域Q1上に形成されており、第3溝形成領域Qm3と重なる第3開口51と、第4溝形成領域Qm4と重なる第4開口52と、を有する。また、第3開口51の幅Wcは、第4開口52の幅Wdよりも小さい。つまり、Wc<Wdである。なお、幅Wc、Wdは、第1、第2振動腕A1、A2の延在方向に直交するX軸方向の長さを言う。また、幅Wc、Wdは、それぞれ、マイクロローディング効果を発現させるために十分に小さく設計されている。また、幅Wc、Wdは、求められるエッチング深さに応じて適宜設定されている。このような第2保護膜5は、前述した第1保護膜4と同様の構成である。
【0045】
なお、除去領域Q2、具体的には、隣り合う振動腕間の距離D1や隣り合う素子間の距離D2は、幅Wcおよび幅Wdよりも十分に大きく設計されている。
【0046】
[第2ドライエッチング工程S5]
次に、
図13に示すように、下面2b側から第2保護膜5を介して水晶基板200をドライエッチングする。前述したように、第3開口51の幅Wcが第4開口52の幅Wdよりも小さく、除去領域Q2がこれら幅Wc、Wdよりも大きい。したがって、エッチング加工される3つの領域である第3溝形成領域Qm3、第4溝形成領域Qm4および除去領域Q2のうち、除去領域Q2が最も疎な部位であり、第3溝形成領域Qm3が最も密な部分である。そのため、本工程におけるエッチングレートは、マイクロローディング効果により、除去領域Q2>第4溝形成領域Qm4>第3溝形成領域Qm3となる。
【0047】
したがって、
図13に示すように、本工程では、除去領域Q2のエッチング深さが最も深く、次いで、第4溝形成領域Qm4のエッチング深さが深く、第3溝形成領域Qm3のエッチング深さが最も浅い。これにより、本工程において、深さの異なる第3溝A12および第4溝A22が一括して形成される。そのため、第3溝A12および第4溝A22の形成が容易となる。なお、本工程の終了時では、除去領域Q2において水晶基板200が貫通し、振動基板2の外形形状が完成している。これにより、振動基板2の外形形状を完成させるためのさらなるドライエッチング工程が不要となるため、振動素子1の製造工程の削減、振動素子1の低コスト化を図ることができる。
【0048】
以上により、水晶基板200から複数の振動基板2が得られる。
【0049】
[電極形成工程S6]
次に、
図14に示すように、振動基板2の表面に電極3を形成する。電極3の形成方法としては、特に限定されないが、例えば、振動基板2の表面に金属膜を成膜し、この金属膜をフォトリソグラフィー技法およびエッチング技法を用いてパターニングすることにより形成することができる。
【0050】
以上により、振動素子1が得られる。このような製造方法によれば、マイクロローディング効果を利用して、深さの異なる第1溝A11および第2溝A21を一括して形成することができる。同様に、マイクロローディング効果を利用して、深さの異なる第3溝A12および第4溝A22を一括して容易に形成することができる。また、振動基板2の外形形状に対する各溝A11、A21、A12、A22の位置ずれが抑制され、振動基板2の形成精度が高まる。
【0051】
また、本実施形態では、第2ドライエッチング工程S5までは水晶基板200の除去領域Q2が貫通せず、水晶基板200の機械的強度を十分に高く維持することができる。つまり、水晶基板200の機械的強度が高いままの状態で、終盤に位置する第2ドライエッチング工程S5までの各工程を行うことができる。そのため、ハンドリング性が高まり、振動素子1の製造が容易となる。
【0052】
ただし、これに限定されず、例えば、第1ドライエッチング工程S3において、水晶基板200の除去領域Q2が貫通してもよい。つまり、第1ドライエッチング工程S3において、振動基板2の外形形状を完成させてもよい。このように、上面2a側からのドライエッチングだけで振動基板2の外形形状を形成することにより、外形形状が完成するまで第1保護膜4を使い続けることができる。そのため、高い精度で外形形状を形成することができる。したがって、第1、第2振動腕A1、A2の不要振動や振動バランスの低下が抑制され、優れた角速度検出特性を有する振動素子1を製造することができる。
【0053】
以上、振動素子の製造方法について説明した。このような振動素子の製造方法は、前述したように、表裏関係にある第1面としての上面2aおよび第2面としての下面2bを有し、上面2aに開口する有底の第1溝A11を有する第1振動腕A1と、上面2aに開口する有底の第2溝A21を有する第2振動腕A2と、を備える振動素子1の製造方法であって、上面2aおよび下面2bを有する水晶基板200を準備する準備工程S1と、水晶基板200の振動素子1が形成される領域を素子形成領域Q1とし、第1溝A11が形成される領域を第1溝形成領域Qm1とし、第2溝A21が形成される領域を第2溝形成領域Qm2としたとき、上面2aの素子形成領域Q1上に、第1溝形成領域Qm1と重なる第1開口41と第2溝形成領域Qm2と重なる第2開口42とを有する第1保護膜4を形成する第1保護膜形成工程S2と、第1保護膜4を介して水晶基板200を上面2a側からドライエッチングする第1ドライエッチング工程S3と、を含む。そして、第1開口41の幅をWaとし、第2開口42の幅をWbとしたとき、Wa<Wbである。これにより、マイクロローディング効果によって、第1溝形成領域Qm1のエッチングレートを第2溝形成領域Qm2のエッチングレートよりも低くすることができる。そのため、深さの異なる第1、第2溝A11、A21を一括して形成することができ、振動素子1の製造が容易となる。また、外形形状と共に第1、第2溝A11、A21が形成されるため、外形形状に対する第1、第2溝A11、A21の位置ずれが阻止され、振動素子1の形成精度が高まる。
【0054】
また、前述したように、振動素子1は、第1振動腕A1の下面2bに開口する第3溝A12と、第2振動腕A2の下面2bに開口する第4溝A22と、を有し、水晶基板200の第3溝A12が形成される領域を第3溝形成領域Qm3とし、第4溝A22が形成される領域を第4溝形成領域Qm4としたとき、下面2bの素子形成領域Q1上に、第3溝形成領域Qm3と重なる第3開口51と第4溝形成領域Qm4と重なる第4開口52とを有する第2保護膜5を形成する第2保護膜形成工程S4と、第2保護膜5を介して水晶基板200を下面2b側からドライエッチングする第2ドライエッチング工程S5と、を含む。そして、第3開口51の幅をWcとし、第4開口52の幅をWdとしたとき、Wc<Wdである。これにより、マイクロローディング効果によって、第3溝形成領域Qm3のエッチングレートを第4溝形成領域Qm4のエッチングレートよりも低くすることができる。そのため、深さの異なる第3、第4溝A12、A22を一括して形成することができ、振動素子1の製造が容易となる。
【0055】
また、前述したように、振動素子1は、角速度を検出する角速度検出素子であり、第1振動腕A1は、印加される駆動信号に応じて屈曲振動し、第2振動腕A2は、印加される角速度ωzに応じて屈曲振動する。つまり、第1振動腕A1が駆動振動腕26、27、28、29であり、第2振動腕A2が検出振動腕22、23である。これにより、駆動振動腕26、27、28、29に形成される第1溝A11が、検出振動腕22、23に形成される第2溝A21よりも浅くなるため、角速度検出素子の検出感度を高めることができる。
【0056】
また、前述したように、振動素子1は、基部21と、基部21から第1方向であるY軸方向の両側に延出する第2振動腕A2である一対の検出振動腕22、23と、基部21からY軸方向と交差する第2方向であるX軸方向の両側に延出する一対の支持腕24、25と、一方の支持腕24からY軸方向の両側に延出する第1振動腕A1である一対の駆動振動腕26、27と、他方の支持腕25からY軸方向の両側に延出する第1振動腕A1である一対の駆動振動腕28、29と、を有する。このような構成によれば、駆動振動モードにおいて駆動振動腕26、27、28、29がバランスよく屈曲振動するため、検出振動腕22、23に不要な振動が生じ難く、角速度ωzを精度よく検出することができる。
【0057】
<第2実施形態>
図15および
図16は、それぞれ、第2実施形態に係る振動素子の断面図である。
図17ないし
図20は、それぞれ、振動素子の製造方法を説明するための断面図である。
【0058】
本実施形態に係る振動素子の製造方法は、製造する振動素子の構成が異なること以外は、前述した第1実施形態の振動素子の製造方法と同様である。以下の説明では、本実施形態の振動素子の製造方法に関し、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、本実施形態の各図では、前述した実施形態と同様の構成について、同一符号を付している。
【0059】
本実施形態に係る振動素子の製造方法では、
図15および
図16に示す振動素子10を製造する。振動素子10は、第1振動腕A1の構成だけが振動素子1と異なっている。各第1振動腕A1には、2本の第1溝A11が第1振動腕A1の幅方向つまりX軸方向に並んで形成されている。同様に、2本の第3溝A12が第1振動腕A1の幅方向つまりX軸方向に並んで形成されている。このように、第1、第3溝A11、A12をそれぞれ2本ずつ並べて形成することにより、前述した第1実施形態と比べて、第1、第3溝A11、A12の実効幅を大きくすることができる。そのため、前述した第1実施形態と比べて、第1振動腕A1のQ値を上げることができ、また、第1振動腕A1を柔らかくすることができる。なお、第1溝A11の数は、特に限定されず、例えば、3本以上であってもよい。第1溝A11の数は、第1振動腕A1の幅、第1溝A11の幅W1などに応じて適宜設定することができる。第3溝A12についても同様である。
【0060】
以上、振動素子10の構成について説明した。次に、振動素子10の製造方法について説明する。振動素子10の製造方法は、前述した第1実施形態の振動素子1の製造方法と同様であり、準備工程S1と、第1保護膜形成工程S2と、第1ドライエッチング工程S3と、第2保護膜形成工程S4と、第2ドライエッチング工程S5と、電極形成工程S6と、を含む。以下、これら各工程S1~S6について順に説明するが、前述した第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略する。
【0061】
[準備工程S1]
まず、振動基板2の母材であるZカットの水晶基板200を準備する。
【0062】
[第1保護膜形成工程S2]
次に、
図17に示すように、水晶基板200の上面2aに第1保護膜4を形成する。第1保護膜4は、素子形成領域Q1上に形成され、各第1溝形成領域Qm1と重なる2つの第1開口41と、第2溝形成領域Qm2と重なる第2開口42と、を有する。また、各第1開口41の幅Waは、第2開口42の幅Wbよりも小さい。つまり、Wa<Wbである。
【0063】
[第1ドライエッチング工程S3]
次に、
図18に示すように、上面2a側から第1保護膜4を介して水晶基板200をドライエッチングする。これにより、マイクロローディング効果を利用して、深さの異なる第1溝A11および第2溝A21を一括して形成する。
【0064】
[第2保護膜形成工程S4]
次に、
図19に示すように、水晶基板200の下面2bに第2保護膜5を形成する。第2保護膜5は、素子形成領域Q1上に形成され、各第3溝形成領域Qm3と重なる2つの第3開口51と、第4溝形成領域Qm4と重なる第4開口52と、を有する。また、各第3開口51の幅Wcは、第4開口52の幅Wdよりも小さい。つまり、Wc<Wdである。このような第2保護膜5は、前述した第1保護膜4と同様の構成である。
【0065】
[第2ドライエッチング工程S5]
次に、
図20に示すように、下面2b側から第2保護膜5を介して水晶基板200をドライエッチングする。これにより、マイクロローディング効果を利用して、深さの異なる第3溝A12および第4溝A22を一括して形成する。以上により、水晶基板200から複数の振動基板2が得られる。
【0066】
[電極形成工程S6]
次に、振動基板2の表面に電極3を形成する。これにより、振動素子1が得られる。
【0067】
以上のように、本実施形態の振動素子の製造方法では、第1保護膜4は、第1振動腕A1の延在方向に直交する方向に並ぶ複数の第1開口41を有する。これにより、第1溝A11を複数形成することができる。そのため、前述した第1実施形態と比べて、第1溝A11の実効幅を大きくすることができる。そのため、前述した第1実施形態と比べて、第1振動腕A1のQ値を上げることができ、また、第1振動腕A1を柔らかくすることができる。
【0068】
以上のような第2実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0069】
<第3実施形態>
図21および
図22は、それぞれ、第3実施形態に係る振動素子の断面図である。
図23は、振動素子の製造方法を説明するための断面図である。
図24は、第1保護膜を示す平面図である。
図25ないし
図27は、それぞれ、振動素子の製造方法を説明するための断面図である。
図28は、第2保護膜を示す平面図である。
図29は、振動素子の製造方法を説明するための断面図である。
【0070】
本実施形態に係る振動素子の製造方法は、製造する振動素子の構成が異なること以外は、前述した第1実施形態の振動素子の製造方法と同様である。以下の説明では、本実施形態の振動素子の製造方法に関し、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、本実施形態の各図では、前述した実施形態と同様の構成について、同一符号を付している。
【0071】
本実施形態の振動素子の製造方法では、
図21および
図22に示す振動素子100を製造する。振動素子100は、振動素子1と同じ外形形状であり、第1、第3溝A11、A12の幅W1が第2、第4溝A21、A22の幅W2と等しいか、幅W2よりも大きい。つまり、W1≧W2である。このように、W1≧W2とすることにより、前述した第1、第2実施形態と比べて、第1、第3溝A11、A12の実効幅を大きくすることができる。そのため、前述した第1、第2実施形態よりも第1振動腕A1のQ値を上げることができ、また、第1振動腕A1を柔らかくすることができる。
【0072】
以上、振動素子100について説明した。次に、振動素子100の製造方法について説明する。振動素子100の製造方法は、前述した第1実施形態の振動素子1の製造方法と同様であり、準備工程S1と、第1保護膜形成工程S2と、第1ドライエッチング工程S3と、第2保護膜形成工程S4と、第2ドライエッチング工程S5と、電極形成工程S6と、を含む。以下、これら各工程S1~S6について順に説明するが、前述した第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略する。
【0073】
[準備工程S1]
まず、振動基板2の母材であるZカットの水晶基板200を準備する。
【0074】
[第1保護膜形成工程S2]
次に、
図23に示すように、水晶基板200の上面2aに第1保護膜4を形成する。第1保護膜4は、素子形成領域Q1上に形成され、第1溝形成領域Qm1と重なる第1開口41と、第2溝形成領域Qm2と重なる第2開口42と、を有する。第1開口41の幅Waは、第2開口42の幅Wbよりも大きい。つまり、Wa>Wbである。そのため、マイクロローディング効果によって、第1溝形成領域Qm1のエッチングレートが第2溝形成領域Qm2のエッチングレートよりも高くなり、第1溝A11が第2溝A21よりも深くなってしまう。そこで、第1保護膜4は、さらに、第1開口41内に位置する第1レート調整部43を有する。第1レート調整部43は、第1溝形成領域Qm1のエッチングレートを低下させる機能を有する。
【0075】
図24に示すように、第1レート調整部43は、第1開口41の幅方向中央部つまりX軸方向中央部に位置し、第1振動腕A1の延在方向に沿って互いに離間して複数配置されている。また、各第1レート調整部43は、後の第1ドライエッチング工程S3において、その直下の水晶基板200が除去されるように十分に小さく形成されている。また、第1開口41の縁と第1レート調整部43との離間距離をDaとしたとき、Da<Wbである。なお、離間距離Daは、X軸方向の離間距離を言う。また、隣り合う第1レート調整部43の離間距離をDbとしたとき、Db<Wbである。これにより、第1溝形成領域Qm1が第2溝形成領域Qm2よりも密な部分となり、Wa>Wbであっても第1溝形成領域Qm1のエッチングレートを第2溝形成領域Qm2のエッチングレートよりも低くすることができる。
【0076】
ただし、第1レート調整部43の構成は、特に限定されない。例えば、第1振動腕A1の延在方向に沿って延在する長尺な第1レート調整部43が1つまたは複数配置されていてもよい。また、第1振動腕A1の延在方向に沿って整列した複数の第1レート調整部43が第1振動腕A1の幅方向に沿って複数列配置されていてもよい。また、複数の第1レート調整部43が行列状、格子状に配置されていてもよい。第1レート調整部43の形状、数、配置などは、第1開口41の幅Waや求められるエッチング深さに応じて適宜設定することができる。
【0077】
[第1ドライエッチング工程S3]
次に、
図25に示すように、上面2a側から第1保護膜4を介して水晶基板200をドライエッチングする。これにより、マイクロローディング効果を利用して、深さの異なる第1溝A11および第2溝A21を一括して形成する。前述したように、第1レート調整部43を設けることで、第1溝形成領域Qm1のエッチングレートが第2溝形成領域Qm2のエッチングレートよりも低くなるため、第2溝A21よりも浅い第1溝A11を形成することができる。なお、第1溝A11は、
図26に示すように、ドライエッチングが進むにつれて、第1レート調整部43の直下の水晶基板200が徐々に除去され、最終的に
図25に示したような第1溝A11が形成される。特に、本実施形態のように、複数の第1レート調整部43を島状に配置することにより、各第1レート調整部43を小さくでき、かつ、各第1レート調整部43の全周がエッチングされるため、第1レート調整部43の直下の水晶基板200が除去され易くなる。
【0078】
[第2保護膜形成工程S4]
次に、
図27に示すように、水晶基板200の下面2bに第2保護膜5を形成する。第2保護膜5は、素子形成領域Q1上に形成され、第3溝形成領域Qm3と重なる第3開口51と、第4溝形成領域Qm4と重なる第4開口52と、を有する。第3開口51の幅Wcは、第4開口52の幅Wdよりも大きい。つまり、Wc>Wdである。そのため、マイクロローディング効果によって、第3溝形成領域Qm3のエッチングレートが第4溝形成領域Qm4のエッチングレートよりも高くなり、第3溝A12が第4溝A22よりも深くなってしまう。そこで、第2保護膜5は、さらに、第3開口51内に位置する第2レート調整部53を有する。第2レート調整部53は、第3溝形成領域Qm3のエッチングレートを低下させる機能を有する。このような第2保護膜5は、前述した第1保護膜4と同様の構成である。
【0079】
図28に示すように、第2レート調整部53は、第3開口51の幅方向中央部に位置し、第1振動腕A1の延在方向に沿って互いに離間して複数配置されている。そして、第3開口51の縁と第2レート調整部53との離間距離をDcとしたとき、Dc<Wdである。また、隣り合う第2レート調整部53の離間距離をDdとしたとき、Dd<Wdである。これにより、第3溝形成領域Qm3が第4溝形成領域Qm4よりも密な領域となり、Wc>Wdであっても、第3溝形成領域Qm3におけるエッチングレートを第4溝形成領域Qm4におけるエッチングレートよりも低くすることができる。
【0080】
[第2ドライエッチング工程S5]
次に、
図29に示すように、下面2b側から第2保護膜5を介して水晶基板200をドライエッチングする。これにより、マイクロローディング効果を利用して、深さの異なる第3溝A12および第4溝A22を一括して形成する。なお、第3溝A12は、前述した第1溝A11と同様に、ドライエッチングが進むにつれて、第2レート調整部53の直下の水晶基板200が徐々に除去され、最終的に
図29に示したような第3溝A12が形成される。以上により、水晶基板200から複数の振動基板2が得られる。
【0081】
[電極形成工程S6]
次に、振動基板2の表面に電極3を形成する。これにより、振動素子1が得られる。
【0082】
このような製造方法によれば、マイクロローディング効果を利用して、深さの異なる第1溝A11および第2溝A21を一括して形成することができる。同様に、マイクロローディング効果を利用して、深さの異なる第3溝A12および第4溝A22を一括して容易に形成することができる。また、振動基板2の外形形状に対する各溝A11、A21、A12、A22の位置ずれが抑制され、振動基板2の形成精度が高まる。特に、浅い第1、第3溝A11、A12を、深い第2、第4溝A21、A22よりも幅広にすることができるため、振動素子1の設計自由度が増す。
【0083】
以上のように、本実施形態の振動素子の製造方法は、表裏関係にある第1面としての上面2aおよび第2面としての下面2bを有し、上面2aに開口する有底の第1溝A11を有する第1振動腕A1と、上面2aに開口する有底の第2溝A21を有する第2振動腕A2と、を備える振動素子1の製造方法であって、上面2aおよび下面2bを有する水晶基板200を準備する準備工程S1と、水晶基板200の振動素子1が形成される領域を素子形成領域Q1とし、第1溝A11が形成される領域を第1溝形成領域Qm1とし、第2溝A21が形成される領域を第2溝形成領域Qm2としたとき、上面2aの素子形成領域Q1上に、第1溝形成領域Qm1と重なる第1開口41と、第1開口41内に位置する第1レート調整部43と、第2溝形成領域Qm2と重なる第2開口42とを有する第1保護膜4を形成する第1保護膜形成工程S2と、第1保護膜4を介して水晶基板200を上面2a側からドライエッチングする第1ドライエッチング工程S3と、を含む。そして、第1開口41の縁と第1レート調整部43との離間距離をDaとし、第2開口42の幅をWbとしたとき、Da<Wbである。これにより、マイクロローディング効果によって、第1溝形成領域Qm1のエッチングレートを第2溝形成領域Qm2のエッチングレートよりも低くすることができる。そのため、深さの異なる第1、第2溝A11、A21を一括して形成することができ、振動素子1の製造が容易となる。特に、浅い方の第1溝A11を、深い方の第2溝A21よりも幅広にすることができる。また、外形形状と共に第1、第2溝A11、A21が形成されるため、外形形状に対する第1、第2溝A11、A21の位置ずれが阻止され、振動素子1の形成精度が高まる。
【0084】
また、前述したように、振動素子1は、第1振動腕A1の下面2bに開口する第3溝A12と、第2振動腕A2の下面2bに開口する第4溝A22と、を有し、水晶基板200の第3溝A12が形成される領域を第3溝形成領域Qm3とし、第4溝A22が形成される領域を第4溝形成領域Qm4としたとき、下面2bの素子形成領域Q1上に、第3溝形成領域Qm3と重なる第3開口51と、第3開口51内に位置する第2レート調整部53と、第4溝形成領域Qm4と重なる第4開口52とを有する第2保護膜5を形成する第2保護膜形成工程S4と、第2保護膜5を介して水晶基板200を下面2b側からドライエッチングする第2ドライエッチング工程S5と、を含む。そして、第3開口51の縁と第2レート調整部53との離間距離をDcとし、第4開口52の幅をWdとしたとき、Dc<Wdである。これにより、マイクロローディング効果によって、第3溝形成領域Qm3のエッチングレートを第4溝形成領域Qm4のエッチングレートよりも低くすることができる。そのため、深さの異なる第3、第4溝A12、A22を一括して形成することができ、振動素子1の製造が容易となる。特に、浅い第3溝A12を、深い第4溝A22よりも幅広にすることができる。
【0085】
また、前述したように、第1振動腕A1の延在方向に沿って複数の第1レート調整部43が離間して配置されている。そして、隣り合う一対の第1レート調整部43の離間距離をDbとしたとき、Db<Wbである。これにより、第1ドライエッチング工程S3において、第1レート調整部43の直下の水晶基板200が除去され易くなる。
【0086】
以上のような第3実施形態によっても前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0087】
<第4実施形態>
図30は、第4実施形態に係る振動素子の平面図である。
【0088】
本実施形態に係る振動素子の製造方法では、製造する振動素子の構成が異なること以外は、前述した第1実施形態の振動素子の製造方法と同様である。なお、以下の説明では、本実施形態の振動素子の製造方法に関し、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、本実施形態の各図では、前述した実施形態と同様の構成について、同一符号を付している。
【0089】
本実施形態の振動素子の製造方法では、
図30に示す振動素子6が製造される。振動素子6は、Y軸まわりの角速度ωyを検出することができる角速度検出素子である。このような振動素子6は、Zカットの水晶基板をパターニングしてなる振動基板7と、振動基板7の表面に成膜されている電極8と、を有する。
【0090】
また、振動基板7は、板状であり、互いに表裏関係にある第1面としての上面7aおよび第2面としての下面7bを有する。また、振動基板7は、その中央部に位置する基部71と、基部71からY軸方向プラス側に延出する第2振動腕A2としての一対の検出振動腕72、73と、基部71からY軸方向マイナス側に延出する第1振動腕A1としての一対の駆動振動腕74、75と、を有する。一対の検出振動腕72、73は、X軸方向に並んで配置され、一対の駆動振動腕74、75は、X軸方向に並んで配置されている。
【0091】
検出振動腕72は、上面7aに形成された第2溝としての有底の溝721と、下面7bに形成された第4溝としての有底の溝722と、を有する。同様に、検出振動腕73は、上面7aに形成された第2溝としての有底の溝731と、下面7bに形成された第4溝としての有底の溝732と、を有する。
【0092】
駆動振動腕74は、上面7aに形成された第1溝としての有底の溝741と、下面7bに形成された第3溝としての有底の溝742と、を有する。同様に、駆動振動腕75は、上面7aに形成された第1溝としての有底の溝751と、下面7bに形成された第3溝としての有底の溝752と、を有する。
【0093】
電極8は、第1検出信号電極81と、第1検出接地電極82と、第2検出信号電極83と、第2検出接地電極84と、駆動信号電極85と、駆動接地電極86と、を有する。
【0094】
このうち、第1検出信号電極81は、検出振動腕72の上面7aおよび下面7bに配置されており、第1検出接地電極82は、検出振動腕72の両側面に配置されている。また、第2検出信号電極83は、検出振動腕73の上面7aおよび下面7bに配置されており、第2検出接地電極84は、検出振動腕73の両側面に配置されている。また、駆動信号電極85は、駆動振動腕74の上面7aおよび下面7bと、駆動振動腕75の両側面とに配置されており、駆動接地電極86は、駆動振動腕74の両側面と駆動振動腕75の上面7aおよび下面7bとに配置されている。
【0095】
以上のような第4実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0096】
以上、本発明の振動素子の製造方法を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物や工程が付加されていてもよい。また、振動素子としては、前述した振動素子1、6に限定されず、例えば、音叉型、双音叉型の振動素子であってもよい。また、振動素子は、角速度検出素子に限定されない。
【0097】
また、振動素子1は、例えば、
図31および
図32に示すように、第3、第4溝A12、A22を省略してもよい。この場合、振動素子1の製造方法は、準備工程S1と、第1保護膜形成工程S2と、第1ドライエッチング工程S3と、電極形成工程S6と、を含む。そして、第1ドライエッチング工程S3において、水晶基板200の除去領域Q2を貫通させればよい。このような構成によれば、上面2a側からのドライエッチング工程だけで振動基板2を形成することができる。そのため、振動素子1の製造がより容易となる。
【0098】
また、例えば、第1実施形態や第2実施形態にも第1レート調整部43を用いてもよい。これにより、第1溝A11をさらに浅くすることができる。つまり、第2溝A21よりも幅広の第1溝A11を形成する目的以外であっても、第1レート調整部43を用いることができる。第2レート調整部53についても、同様である。
【符号の説明】
【0099】
1…振動素子、10…振動素子、100…振動素子、2…振動基板、2a…上面、2b…下面、200…水晶基板、21…基部、22…検出振動腕、221…溝、222…溝、23…検出振動腕、231…溝、232…溝、24…支持腕、25…支持腕、26…駆動振動腕、261…溝、262…溝、27…駆動振動腕、271…溝、272…溝、28…駆動振動腕、281…溝、282…溝、29…駆動振動腕、291…溝、292…溝、3…電極、31…第1検出信号電極、32…第1検出接地電極、33…第2検出信号電極、34…第2検出接地電極、35…駆動信号電極、36…駆動接地電極、4…第1保護膜、41…第1開口、42…第2開口、43…第1レート調整部、5…第2保護膜、51…第3開口、52…第4開口、53…第2レート調整部、6…振動素子、7…振動基板、7a…上面、7b…下面、71…基部、72…検出振動腕、721…溝、722…溝、73…検出振動腕、731…溝、732…溝、74…駆動振動腕、741…溝、742…溝、75…駆動振動腕、751…溝、752…溝、8…電極、81…第1検出信号電極、82…第1検出接地電極、83…第2検出信号電極、84…第2検出接地電極、85…駆動信号電極、86…駆動接地電極、A1…第1振動腕、A11…第1溝、A12…第3溝、A2…第2振動腕、A21…第2溝、A22…第4溝、d1…深さ、d2…深さ、D1…距離、D2…距離、Da…離間距離、Db…離間距離、Dc…離間距離、Dd…離間距離、Q1…素子形成領域、Q2…除去領域、Qm1…第1溝形成領域、Qm2…第2溝形成領域、Qm3…第3溝形成領域、Qm4…第4溝形成領域、S1…準備工程、S2…第1保護膜形成工程、S3…第1ドライエッチング工程、S4…第2保護膜形成工程、S5…第2ドライエッチング工程、S6…電極形成工程、t1…厚さ、t2…厚さ、W1…幅、W2…幅、Wa…幅、Wb…幅、Wc…幅、Wd…幅、ωy…角速度、ωz…角速度