(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049668
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】バスバー用温度センサ及びバスバーモジュール並びにその製造方法
(51)【国際特許分類】
G01K 1/14 20210101AFI20240403BHJP
H01M 50/50 20210101ALN20240403BHJP
【FI】
G01K1/14 L
H01M50/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022156028
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006264
【氏名又は名称】三菱マテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120396
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】海老沢 哲
(72)【発明者】
【氏名】乾 信一郎
【テーマコード(参考)】
2F056
5H043
【Fターム(参考)】
2F056CL07
5H043FA01
5H043FA32
5H043FA36
(57)【要約】
【課題】 受熱面を確実に密着させてバスバーの高精度な温度測定が可能なバスバー用温度センサ及びバスバーモジュール並びにその製造方法を提供すること。
【解決手段】 バスバー2に取り付けて使用される温度センサ1であって、感熱素子3と、内部に感熱素子が収納されているケース部4とを備え、バスバーが、貫通孔2aを有し、ケース部が、ケース本体5と、ケース本体から突出して形成され貫通孔に挿入可能な突出部6とを有し、突出部内に感熱素子が収納されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バスバーに取り付けて使用される温度センサであって、
感熱素子と、
内部に前記感熱素子が収納されているケース部とを備え、
前記バスバーが、貫通孔を有し、
前記ケース部が、ケース本体と、
前記ケース本体から突出して形成され前記貫通孔に挿入可能な突出部とを有し、
前記突出部内に前記感熱素子が収納されていることを特徴とするバスバー用温度センサ。
【請求項2】
請求項1に記載のバスバー用温度センサにおいて、
前記ケース本体のうち前記突出部が形成された端面が、前記突出部を前記貫通孔に挿入した状態で前記バスバーに当接又は近接した状態となることを特徴とするバスバー用温度センサ。
【請求項3】
請求項1に記載のバスバー用温度センサにおいて、
前記感熱素子に一端が接続され前記ケース本体に収納された一対のリード線と、
前記一対のリード線の他端に一端が接続され前記ケース本体に収納された一対の電極端子とを備え、
前記ケース本体が、一対の外部配線を差し込むことで前記一対の電極端子の他端と前記一対の外部配線とが接続可能なコネクタ部を有していることを特徴とするバスバー用温度センサ。
【請求項4】
バスバーと、
前記バスバーに取り付けられた請求項1から3のいずれか一項に記載のバスバー用温度センサと、
前記貫通孔と前記突出部との隙間に充填されていると共に前記貫通孔と前記突出部とを封止する樹脂成形部とを備えていることを特徴とするバスバーモジュール。
【請求項5】
請求項4に記載のバスバーモジュールにおいて、
前記バスバーが、前記貫通孔の周囲に幅方向に膨らんだ幅広部を有し、
前記樹脂成形部が、前記幅広部も含めて封止していることを特徴とするバスバーモジュール。
【請求項6】
請求項4に記載のバスバーモジュールにおいて、
前記貫通孔及び前記突出部が、共に断面円形状であることを特徴とするバスバーモジュール。
【請求項7】
請求項4に記載のバスバーモジュールにおいて、
前記バスバーが、モータステータに用いられるものであることを特徴とするバスバーモジュール。
【請求項8】
請求項4に記載のバスバーモジュールを製造する方法であって、
バスバーに形成された貫通孔に請求項1から3のいずれか一項に記載のバスバー用温度センサの前記突出部を挿入する突出部挿入工程と、
前記貫通孔と前記突出部との隙間に樹脂を充填すると共に前記貫通孔と前記突出部とを封止する樹脂成形部を形成する樹脂充填工程とを有していることを特徴とするバスバーモジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータステータやバッテリー等の配線部材として用いられるバスバーに取り付けられるバスバー用温度センサ及びバスバーモジュール並びにその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
モータステータやバッテリー等の配線部材として用いられるバスバーには、バスバーの温度を検出するために温度センサが取り付けられているものが知られている。例えば、モータステータは高温になるため、温度センサによる制御が必須である。
従来、例えば特許文献1には、温度センサをコイルに取り付ける金属製のブラケットを用いた温度検知装置が記載されている。
また、特許文献2には、ステータコイルに接続してU字状に折り曲げられたU字部を有する中性線と、中性線に当接した温度センサとを備えた回転電機のステータが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6674070号公報
【特許文献2】特開2018-61389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
すなわち、上記従来の技術では、ブラケット等の取付ホルダーや中性線等の平角線に公差があるため、温度センサ取付時にガタツキが生じ、温度センサの受熱面が確実に密着されておらず、温度測定の精度が低下してしまう問題があった。また、固定方法として、絶縁ワニス等を用いた場合、取付ホルダーや平角線と温度センサの受熱面との間への絶縁ワニスの回り込みにバラツキが発生すると、やはり受熱性に影響が出てしまう不都合があった。
【0005】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、受熱面を確実に密着させてバスバーの高精度な温度測定が可能なバスバー用温度センサ及びバスバーモジュール並びにその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、第1の発明に係るバスバー用温度センサは、バスバーに取り付けて使用される温度センサであって、感熱素子と、内部に前記感熱素子が収納されているケース部とを備え、前記バスバーが、貫通孔を有し、前記ケース部が、ケース本体と、前記ケース本体から突出して形成され前記貫通孔に挿入可能な突出部とを有し、前記突出部内に前記感熱素子が収納されていることを特徴とする。
【0007】
このバスバー用温度センサでは、ケース本体から突出して形成され貫通孔に挿入可能な突出部を有し、突出部内に感熱素子が収納されているので、貫通孔に挿入された突出部が全周からバスバーの熱を受けることができ、熱応答性が向上することで高精度な温度測定が可能になる。
【0008】
第2の発明に係るバスバー用温度センサは、第1の発明において、前記ケース本体のうち前記突出部が形成された端面が、前記突出部を前記貫通孔に挿入した状態で前記バスバーに当接又は近接した状態となることを特徴とする。
すなわち、このバスバー用温度センサでは、ケース本体のうち突出部が形成された端面が、突出部を貫通孔に挿入した状態でバスバーに当接又は近接した状態となるので、ケース本体の端面が突出部挿入のストッパーとなると共にバスバーからの熱を端面でも受けることができる。
【0009】
第3の発明に係るバスバー用温度センサは、第1の発明において、前記感熱素子に一端が接続され前記ケース本体に収納された一対のリード線と、前記一対のリード線の他端に一端が接続され前記ケース本体に収納された一対の電極端子とを備え、前記ケース本体が、一対の外部配線を差し込むことで前記一対の電極端子の他端と前記一対の外部配線とが接続可能なコネクタ部を有していることを特徴とする。
すなわち、このバスバー用温度センサでは、ケース本体が、一対の外部配線を差し込むことで一対の電極端子の他端と一対の外部配線とが接続可能なコネクタ部を有しているので、コネクタ部によって外部配線を容易に接続することができる。
【0010】
第4の発明に係るバスバーモジュールは、バスバーと、前記バスバーに取り付けられた第1から第3の発明のいずれかのバスバー用温度センサと、前記貫通孔と前記突出部との隙間に充填されていると共に前記貫通孔と前記突出部とを封止する樹脂成形部とを備えていることを特徴とする。
すなわち、このバスバーモジュールでは、貫通孔と突出部との隙間に充填されていると共に貫通孔と突出部とを封止する樹脂成形部を備えているので、貫通孔と突出部とが直接又は樹脂成形部を介して接触し全周にわたって受熱面が密着することで、バスバーと突出部との接触面積が増大し、熱応答性が向上する。
【0011】
第5の発明に係るバスバーモジュールは、第4の発明において、前記バスバーが、前記貫通孔の周囲に幅方向に膨らんだ幅広部を有し、前記樹脂成形部が、前記幅広部も含めて封止していることを特徴とする。
すなわち、このバスバーモジュールでは、バスバーが、貫通孔の周囲に幅方向に膨らんだ幅広部を有しているので、幅広部によって貫通孔の周囲の強度を補強することができる。また、樹脂成形部が、幅広部も含めて封止しているので、幅広部からの熱を樹脂成形部を介してバスバー用温度センサに伝えることができ、より高い精度で温度を測定することができる。
【0012】
第6の発明に係るバスバーモジュールは、第4の発明において、前記貫通孔及び前記突出部が、共に断面円形状であることを特徴とする。
すなわち、このバスバーモジュールでは、貫通孔及び突出部が、共に断面円形状であるので、貫通孔と突出部との隙間に全周にわたって樹脂を均一に充填し易く、全周からの熱を突出部に均一に伝え易くなる。
【0013】
第7の発明に係るバスバーモジュールは、第4から第6の発明のいずれかにおいて、前記バスバーが、モータステータに用いられるものであることを特徴とする。
すなわち、このバスバーモジュールでは、バスバーが、モータステータに用いられるものであるので、受熱面が確実に密着している温度センサの突出部によりモータステータの温度を高精度かつ安定して測定することができる。
【0014】
第8の発明に係るバスバーモジュールの製造方法は、第4の発明のバスバーモジュールを製造する方法であって、バスバーに形成された貫通孔に第1から第3の発明のいずれかのバスバー用温度センサの前記突出部を挿入する突出部挿入工程と、前記貫通孔と前記突出部との隙間に樹脂を充填すると共に前記貫通孔と前記突出部とを封止する樹脂成形部を形成する樹脂充填工程とを有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明に係るバスバー用温度センサによれば、ケース本体から突出して形成され貫通孔に挿入可能な突出部とを有し、突出部内に感熱素子が収納されているので、貫通孔に挿入された突出部が全周からバスバーの熱を受けることができ、熱応答性が向上することで高精度な温度測定が可能になる。
また、本発明に係るバスバーモジュール及びその製造方法によれば、貫通孔と突出部との隙間に充填されていると共に貫通孔と突出部とを封止する樹脂成形部を備えているので、貫通孔と突出部とが直接又は樹脂成形部を介して接触し全周にわたって受熱面が密着することで、バスバーと突出部との接触面積が増大し、熱応答性が向上する。
このように本発明のバスバー用温度センサ及びバスバーモジュール並びにその製造方法では、熱応答性が高速化するため、モータステータ等のバスバーの高精度な温度測定に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係るバスバー用温度センサ及びバスバーモジュール並びにその製造方法の第1実施形態において、製造工程順に、突出部挿入前(a),突出部挿入後(b)及び樹脂成形部形成後(c)を示す斜視図である。
【
図2】第1実施形態において、コネクタ部より上部のバスバー用温度センサ及びバスバーモジュールを示す縦断面図である。
【
図3】第1実施形態において、バスバーモジュールを示す側面図(a)及びA-A線矢視断面図(b)である。
【
図4】本発明に係るバスバー用温度センサ及びバスバーモジュール並びにその製造方法の第2実施形態において、バスバーモジュールを示す側面図(a)及びB-B線矢視断面図(b)である。
【
図5】本発明に係るバスバー用温度センサ及びバスバーモジュール並びにその製造方法の第3実施形態において、内部を透視して示すバスバーモジュールの斜視図である。
【
図6】第3実施形態において、バスバーモジュールを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係るバスバー用温度センサ及びバスバーモジュール並びにその製造方法における第1実施形態を、
図1から
図3を参照しながら説明する。なお、以下の説明に用いる図面の一部では、各部を認識可能又は認識容易な大きさとするために必要に応じて縮尺を適宜変更している。
【0018】
本実施形態のバスバー用温度センサ1は、
図1から
図3に示すように、バスバー2に取り付けて使用される温度センサであって、感熱素子3と、内部に感熱素子3が収納されているケース部4とを備えている。
上記バスバー2は、貫通孔2aを有している。
上記ケース部4は、ケース本体5と、ケース本体5から突出して形成され貫通孔2aに挿入可能な突出部6とを有している。
【0019】
なお、ケース部4は、樹脂で成形されている。
上記突出部6内には、
図2に示すように、感熱素子3が収納されている。
上記ケース本体5のうち突出部6が形成された端面5aは、突出部6を貫通孔2aに挿入した状態でバスバー2に当接又は近接した状態となる。
【0020】
また、本実施形態のバスバー用温度センサ1は、
図2に示すように、感熱素子3に一端が接続されケース本体5に収納された一対のリード線3aを備えている。
上記ケース本体5は、一対の外部配線Lが差し込まれる差し込み口8cを有している。
上記差し込み口8cは、ケース本体5の下部に形成された差し込み口上部8aに、別途、樹脂で成形した差し込み口下部8bを嵌め込んで形成されている。
また、差し込み口8cは、突出部6の突出方向に直交する方向に向けて開口している。
【0021】
また、本実施形態のバスバーモジュール10は、バスバー2と、バスバー2に取り付けられた上記バスバー用温度センサ1と、貫通孔2aと突出部6との隙間に充填されていると共に貫通孔2aと突出部6とを封止する樹脂成形部11とを備えている。
上記バスバー2は、貫通孔2aの周囲に幅方向に膨らんだ幅広部2bを有している。
上記幅広部2bは、
図1の(b)及び
図2の(b)に示すように、断面円形状の貫通孔2aに対応して幅方向に円弧状に膨らんだ形状を有している。
上記樹脂成形部11は、幅広部2bも含めて封止している。すなわち、樹脂成形部11は、バスバー2の上面から幅広部2bを覆うようにしてバスバー2の下面まで形成されている。
【0022】
上記貫通孔2a及び突出部6は、共に断面円形状である。
なお、上記バスバー2は、モータステータに用いられるものである。すなわち、本実施形態のバスバー用温度センサ1は、モータステータのコイル導線の温度を検出するものである。
また、バスバー2は、例えばCu等の金属で形成されている。
本実施形態のバスバーモジュール10は、モーターのコイル部分に溶接等により取り付けられる。
【0023】
上記感熱素子3は、
図2に示すように、例えば基板(図示略)に実装されたサーミスタ(図示略)をガラスで覆っている封止ガラス部(図示略)と、封止ガラス部を樹脂で覆っている樹脂コート部3bとを備えている。
また、感熱素子3には、一対のリード線3aが接続され、一対のリード線3aには接続端子部7a(かしめ端子)を介して一対の外部配線Lが接続されている。
なお、ケース部4内は、絶縁性樹脂9が充填されている。この絶縁性樹脂9は、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂等の絶縁性樹脂が採用可能であり、特に熱伝導性の良い樹脂が好ましい。
【0024】
本実施形態のバスバーモジュールを製造する方法は、
図1の(a)(b)に示すように、バスバー2に形成された貫通孔2aに上記バスバー用温度センサ1の突出部6を挿入する突出部挿入工程と、
図1の(c)及び
図2に示すように、貫通孔2aと突出部6との隙間に樹脂を充填すると共に貫通孔2aと突出部6とを封止する樹脂成形部11を形成する樹脂充填工程とを有している。
上記樹脂充填工程においては、インサート成形で樹脂を貫通孔2aと突出部6との隙間に充填すると共に、幅広部2bと貫通孔2aと突出部6とを封止する樹脂成形部11を形成する。
【0025】
このように本実施形態のバスバー用温度センサ1では、ケース本体5から突出して形成され貫通孔2aに挿入可能な突出部6を有し、突出部6内に感熱素子3が収納されているので、貫通孔2aに挿入された突出部6が全周からバスバー2の熱を受けることができ、熱応答性が向上することで高精度な温度測定が可能になる。
【0026】
また、ケース本体5のうち突出部6が形成された端面5aが、突出部6を貫通孔2aに挿入した状態でバスバー2に当接又は近接した状態となるので、ケース本体5の端面5aが突出部6挿入のストッパーとなると共にバスバー2からの熱を端面5aでも受けることができる。
【0027】
本実施形態のバスバーモジュール10では、貫通孔2aと突出部6との隙間に充填されていると共に貫通孔2aと突出部6とを封止する樹脂成形部11を備えているので、貫通孔2aと突出部6とが直接又は樹脂成形部11を介して接触し全周にわたって受熱面が密着することで、バスバー2と突出部6との接触面積が増大し、熱応答性が向上する。
【0028】
また、バスバー2が、貫通孔2aの周囲に幅方向に膨らんだ幅広部2bを有しているので、幅広部2bによって貫通孔2aの周囲の強度を補強することができる。
すなわち、幅広部2bを設けない場合、貫通孔2aを形成することで、貫通孔2a周囲のバスバー2の強度が低下してしまうが、幅広部2bを設けることで貫通孔2a周囲は幅広に太くなって強度が向上し、バスバー2を補強することができる。また、幅広部2bを設けることで、幅広部2bを設けない場合に比べて貫通孔2aの内径を大きくすることができ、突出部6との接触面積を増やすことも可能になる。
また、樹脂成形部11が、幅広部2bも含めて封止しているので、幅広部2bからの熱を樹脂成形部11を介してバスバー用温度センサ1に伝えることができ、より高い精度で温度を測定することができる。
【0029】
さらに、貫通孔2a及び突出部6が、共に断面円形状であるので、貫通孔2aと突出部6との隙間に全周にわたって樹脂を均一に充填し易く、全周からの熱を突出部に均一に伝え易くなる。
なお、バスバー2が、モータステータに用いられるものであるので、受熱面が確実に密着している温度センサ1の突出部6によりモータステータの温度を高精度かつ安定して測定することができる。
【0030】
次に、本発明に係るバスバー用温度センサ及びバスバーモジュール並びにその製造方法の第2及び第3実施形態について、
図4から
図6を参照して以下に説明する。なお、以下の実施形態の説明において、上記実施形態において説明した同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0031】
第2実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、貫通孔2aが断面円形状であるのに対し、第2実施形態のバスバー用温度センサ1及びバスバーモジュール20では、
図4に示すように、貫通孔22aが断面略正方形状である点である。
また、第2実施形態では、幅広部22bが、断面略正方形状の貫通孔22aに対応した略台形状となっている。
【0032】
次に、第3実施形態と第2実施形態との異なる点は、第2実施形態では、ケース部4がケース本体5(コネクタ上部やコネクタ下部等)及び突出部6等の複数の部材を組み合わせて構成されているのに対し、第3実施形態のバスバー用温度センサ31及びバスバーモジュール30では、
図5及び
図6に示すように、ケース部34が樹脂で一体成形して作製されている点でも異なっている。
すなわち、第3実施形態では、感熱素子33,一対のリード線33a及び一対の電極端子37を収納した状態でインサート成形してケース部34が作製される。
【0033】
また、第3実施形態のバスバー用温度センサ31は、一対のリード線3aの他端に一端が接続されケース本体35に収納された一対の電極端子37を備えている。
また、ケース本体35は、一対の外部配線を差し込むことで一対の電極端子37の他端と一対の外部配線とが接続可能なコネクタ部38を有している。
上記コネクタ部38は、差し込み口8cに一対の外部配線の先端を差し込むことで、コネクタ部38内に露出している一対の電極端子37の他端と接続可能となっている。
【0034】
このように第3実施形態では、一体成形でケース部34を作製するので、部材点数を削減できると共に組み立てるコストも低減することができる。
また、ケース本体35が、一対の外部配線を差し込むことで一対の電極端子37の他端と一対の外部配線とが接続可能なコネクタ部38を有しているので、コネクタ部38によって外部配線を容易に接続することができる。
【0035】
なお、第2実施形態では、感熱素子3が上下に長く、その下部から一対のリード線3aが突出しているのに対し、第3実施形態では、感熱素子33が横に長く、その両端部から一対のリード線33aが突出している。
また、第3実施形態では、感熱素子33の形状に対応して、貫通孔32a及び突出部36が、共に断面長方形状に形成されている。
【実施例0036】
第1実施形態と第2実施形態とのバスバー用温度センサ及びバスバーモジュールについて、バスバーを一瞬で150℃まで昇温させた場合のバスバー用温度センサの熱時定数をシミュレーションした。
なお、特許文献1や特許文献2で用いられている矩形状の樹脂成形内に感熱素子を収納した温度センサをバスバーの表面に取り付けただけの場合についても、従来例として同様にシミュレーションした。
【0037】
これらの結果、上記従来例では、熱時定数が18.2secであったのに対し、断面矩形状の貫通孔を採用した第2実施形態のバスバー用温度センサ及びバスバーモジュールでは、6.0secであると共に、断面円形状の貫通孔を採用した第1実施形態のバスバー用温度センサ及びバスバーモジュールでは、4.6secであった。
このように、従来例に比べ、本発明の第1及び第2実施形態のバスバー用温度センサ及びバスバーモジュールでは、熱時定数が短縮され、大幅に高速化されている。
【0038】
なお、本発明の技術範囲は上記各実施形態及び実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0039】
例えば、上記各実施形態では、サーミスタを採用しているが、サーミスタとしては、チップサーミスタ,フレーク型サーミスタ又は薄膜サーミスタ等が採用可能であり、また焦電素子などを採用しても構わない。特に、200℃耐熱の能力がある感熱素子であることが好ましい。
また、上記各実施形態のように、バスバー用温度センサを樹脂成形部で封止してバスバーに本固定することが好ましいが、絶縁ワニス等でバスバー用温度センサをバスバーに本固定しても構わない。
1,31…バスバー用温度センサ、2…バスバー、2a,22a,32a…貫通孔、2b…幅広部、3,33…感熱素子、3a,33a…リード線、4,34…ケース部、5,35…ケース本体、5a…ケース本体のうち突出部が形成された端面、6…突出部、7…電極端子、8,38…コネクタ部、10,20…バスバーモジュール、11…樹脂成形部、L…外部配線