(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049669
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】施設管理装置、図面データ生成装置、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/08 20120101AFI20240403BHJP
【FI】
G06Q50/08
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022156030
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】500208276
【氏名又は名称】住友セメントシステム開発株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100196058
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100206999
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 綾夏
(72)【発明者】
【氏名】山口 浩二
(72)【発明者】
【氏名】利光 輝
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 文隆
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC07
5L050CC07
(57)【要約】
【課題】施設の点検および不具合の対応を行う作業員の作業負荷を軽減すること。
【解決手段】施設管理装置は、取得部と、受付部と、出力部とを備える。取得部は、施設の図面データであって電子文書のファイル形式で生成された前記図面データに領域が設定された領域図面データを取得する。受付部は、前記領域図面データに基づいて、作業員から、前記領域内の不具合対象の位置を示すオブジェクト画像の表示位置と、前記不具合対象についての不具合内容を示す入力情報と、を含む不具合情報の入力を受け付ける。出力部は、前記不具合情報を出力する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設の図面データであって電子文書のファイル形式で生成された前記図面データに領域が設定された領域図面データを取得する取得部と、
前記領域図面データに基づいて、作業員から、前記領域内の不具合対象の位置を示すオブジェクト画像の表示位置と、前記不具合対象についての不具合内容を示す入力情報と、を含む不具合情報の入力を受け付ける受付部と、
前記不具合情報を出力する出力部と、
を備える施設管理装置。
【請求項2】
前記オブジェクト画像を表示部に表示させるとともに、前記オブジェクト画像が指定されることによって前記入力情報を表示させる表示制御部を備える、
請求項1に記載の施設管理装置。
【請求項3】
前記領域図面データは、下位階層の詳細図面データが関連付けられる複数の階層データを含み、
前記受付部は、各階層データの図面画面上で前記不具合情報の入力をそれぞれ受け付け、
前記出力部は、階層データごとの前記不具合情報を出力する、
請求項1または2に記載の施設管理装置。
【請求項4】
上位階層の階層データにおける前記オブジェクト画像と、下位階層の階層データにおける前記オブジェクト画像とを、上位階層の階層データの図面画面上で表示可能にする表示制御部を備える、
請求項3に記載の施設管理装置。
【請求項5】
施設の図面データであって電子文書のファイル形式で生成された前記図面データを取得する取得部と、
前記図面データに領域を設定する設定部と、
前記領域内の不具合対象の位置を示すオブジェクト画像の表示位置と、前記不具合対象についての不具合内容を示す入力情報と、を含む不具合情報の入力を施設管理装置が受け付けるための領域図面データを生成する生成部と、
前記領域図面データを出力する出力部と、
を備える図面データ生成装置。
【請求項6】
施設管理装置のコンピュータを、
施設の図面データであって電子文書のファイル形式で生成された前記図面データに領域が設定された領域図面データを取得する取得部、
前記領域図面データに基づいて、作業員から、前記領域内の不具合対象の位置を示すオブジェクト画像の表示位置と、前記不具合対象についての不具合内容を示す入力情報と、を含む不具合情報の入力を受け付ける受付部、
前記不具合情報を出力する出力部、
として機能させるプログラム。
【請求項7】
図面データ生成装置のコンピュータを、
施設の図面データであって電子文書のファイル形式で生成された前記図面データを取得する取得部、
前記図面データに領域を設定する設定部、
前記領域内の不具合対象の位置を示すオブジェクト画像の表示位置と、前記不具合対象についての不具合内容を示す入力情報と、を含む不具合情報の入力を施設管理装置が受け付けるための領域図面データを生成する生成部、
前記領域図面データを出力する出力部、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施設管理装置、図面データ生成装置、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、工場やオフィスビルなどの各種施設では、施設の点検及び施設管理者やテナントからの連絡で発覚した不具合情報の管理が行われる。施設の不具合情報の管理は、例えば、施設管理会社によって行われる日常の点検で発見した不具合や、建設中の物件であれば建設段階での点検や完成時の点検で発見した不具合である。施設の点検では、作業員が各フロアをまわり、エリアごとに点検作業が行われる。点検作業時の不具合情報の管理は、例えば、作業員が平面図等の施設の図面を所持して、点検時に発見した不具合のある箇所を図面上に直接書き込むことによって行われることがある。
【0003】
また、近年では、IT技術の進歩に伴って、作業員の作業負担を軽減するための各種技術が提案されている。例えば、予め確認対象物の位置を特定しておき、タブレット装置に当該位置を示す確認ポイントを表示させるようにし、操作者が当該マークを参照にして確認作業を行う情報処理システムが開示されている(例えば、下記特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術では、点検作業において各フロアのエリアで、設備不良等の不備を新たに発見したとしても、当該不備について、その場で管理用のデータに反映させることができないことがあった。このため、点検作業を終えた作業員が事務所等に戻り、事後的に専用の装置等で管理用のデータを更新させるといった更新作業を要し、作業負荷となることがある、という問題があった。
【0006】
上記事情に鑑み、本発明は、施設の点検および不具合の対応を行う作業員の作業負荷を軽減することができる技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様である施設管理装置は、施設の図面データであって電子文書のファイル形式で生成された前記図面データに領域が設定された領域図面データを取得する取得部と、前記領域図面データに基づいて、作業員から、前記領域内の不具合対象(不具合発生場所)の位置を示すオブジェクト画像の表示位置と、前記不具合対象についての不具合内容を示す入力情報と、を含む不具合情報(対応結果)の入力を受け付ける受付部と、前記不具合情報を出力する出力部と、を備える施設管理装置である。
【0008】
本発明の一態様である図面データ生成装置は、施設の図面データであって電子文書のファイル形式で生成された前記図面データを取得する取得部と、前記図面データに領域を設定する設定部と、前記領域内の不具合対象の位置を示すオブジェクト画像の表示位置と、前記不具合対象についての不具合内容を示す入力情報と、を含む不具合情報(対応結果)の入力を施設管理装置が受け付けるための領域図面データを生成する生成部と、前記領域図面データを出力する出力部と、を備える図面データ生成装置である。
【0009】
本発明の一態様であるプログラムは、施設管理装置のコンピュータを、施設の図面データであって電子文書のファイル形式で生成された前記図面データに領域が設定された領域図面データを取得する取得部、前記領域図面データに基づいて、作業員から、前記領域内の不具合対象の位置を示すオブジェクト画像の表示位置と、前記不具合対象についての不具合内容を示す入力情報と、を含む不具合情報(対応結果)の入力を受け付ける受付部、前記不具合情報(前記対応結果)を出力する出力部、として機能させるプログラムである。
【0010】
本発明の一態様であるプログラムは、図面データ生成装置のコンピュータを、施設の図面データであって電子文書のファイル形式で生成された前記図面データを取得する取得部、前記図面データに領域を設定する設定部、前記領域内の不具合対象の位置を示すオブジェクト画像の表示位置と、前記不具合対象についての不具合内容を示す入力情報と、を含む不具合情報(対応結果)の入力を施設管理装置が受け付けるための領域図面データを生成する生成部、前記領域図面データを出力する出力部、として機能させるプログラムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、施設の点検および不具合の対応を行う作業員の作業負荷を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態に係る施設管理システム1のネットワーク構成を示す説明図である。
【
図2】施設管理システム1が行う一連の工程の概要を示すフローチャートである。
【
図3】事務所端末装置110が生成する領域図面データの一例を示す説明図である。
【
図4】領域図面データ300の編集の一例を示す図である。
【
図5】携帯端末装置120の画面の一例を示す図である。
【
図6】ピンアイコン522に関する表示の一例を示す図である。
【
図8】事務所端末装置110が行う領域図面データの生成処理を示すフローチャートである。
【
図9】携帯端末装置120が行う施設管理処理を示すフローチャートである。
【
図10】携帯端末装置120が行う操作受付処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施形態)
(施設管理システム1のネットワーク構成)
図1は、実施形態に係る施設管理システム1のネットワーク構成を示す説明図である。
図1に示すように、施設管理システム1は、施設管理サーバ100と、事務所端末装置110と、携帯端末装置120とを備える。それぞれの装置は、ネットワーク140(例えば、TCP/IPによるネットワーク、モバイルネットワーク等)によって通信可能に接続されている。また、それぞれの装置は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、通信部などを備えたコンピュータ装置である。
【0014】
(施設管理サーバ100)
施設管理サーバ100は、施設の点検等を行う施設管理会社で取り扱われる各種データを管理する。施設は、施設管理会社によって管理される施設であり、例えば、オフィスビル、工場、学校、病院、商業施設、マンションなどである。また、点検は、施設管理会社によって行われる日常点検や、建設中の物件であれば建設段階での点検や完成時の点検を含む。施設管理会社は、例えば、ビル管理会社や建設会社である。各種データは、施設の図面を示すデータや、施設のフロアごとの不具合情報を含む。各種データは、施設管理DB101に記憶される。なお、施設管理DB101に記憶されるデータの詳細については、
図7を用いて後述する。
【0015】
(事務所端末装置110)
事務所端末装置110は、施設管理会社の事務所に配置される。事務所端末装置110は、図面データ生成装置の一例である。事務所端末装置110は、例えば、パソコンである。ただし、事務所端末装置110は、タブレット端末であってもよい。事務所端末装置110は、予めインストールされている図面データ生成プログラムを起動して、所定の図面データ(以下「領域図面データ」という。)を生成する。事務所端末装置110は、生成した領域図面データを施設管理サーバ100へ送信する。施設管理サーバ100は、事務所端末装置110から受信した領域図面データを施設管理DB101に記憶させる。また、事務所端末装置110は、操作者の操作に応じて、領域図面データの画面上で入力された不具合対応結果を表示することも可能である。事務所端末装置110は、例えば、Webブラウザを用いて、領域図面データの生成や、送受信する各種データの表示を行う。
【0016】
(携帯端末装置120)
携帯端末装置120は、作業員が携行する可搬型の端末装置である。携帯端末装置120は、施設管理装置の一例である。携帯端末装置120は、例えば、スマートフォンや、タブレット端末である。携帯端末装置120は、予めインストールされている施設管理アプリ(アプリケーションソフトウェア)を起動して、施設管理サーバ100から領域図面データを受信して表示する。携帯端末装置120は、領域図面データの図面画面上で、施設を管理する作業員から不具合情報の入力を受け付けて、対応結果を表示する。不具合情報は、施設管理サーバ100へ送信される。施設管理サーバ100は、不具合情報を領域図面データに反映させる。
【0017】
(施設管理サーバ100のハードウェア構成)
次に、施設管理サーバ100のハードウェア構成について説明する。施設管理サーバ100は、CPUと、メモリと、通信I/F(インターフェース)とを備える。各部は、バスによってそれぞれ接続される。
【0018】
CPUは、施設管理サーバ100の全体の制御を司る。メモリは、例えば、ROMおよびRAMを含む。例えば、ROMは、各種プログラムを記憶する。RAMは、CPUのワークエリアとして使用される。メモリ2に記憶されるプログラムは、CPUにロードされることで、コーディングされている処理をCPUに実行させる。
【0019】
通信I/Fは、通信回線を通じて、インターネットなどのネットワーク140に接続され、ネットワーク140を介して他の装置(例えば、事務所端末装置110や携帯端末装置120)に接続される。また、通信I/Fは、ネットワーク140と自装置内部とのインターフェースを司り、他の装置からのデータの入出力を制御する。
【0020】
(事務所端末装置110および携帯端末装置120のハードウェア構成)
次に、事務所端末装置110および携帯端末装置120のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。事務所端末装置110および携帯端末装置120は、それぞれ、CPUと、メモリと、通信I/Fと、入力デバイスと、出力デバイスと、記憶媒体I/Fとを備える。各部は、バスによってそれぞれ接続される。
【0021】
CPUは、事務所端末装置110および携帯端末装置120の全体の制御を司る。メモリは、例えば、ROMおよびRAMなどを含む。例えば、ROMは、各種プログラムを記憶する。RAMは、CPUのワークエリアとして使用される。メモリに記憶されるプログラムは、CPUにロードされることで、コーディングされている処理をCPUに実行させる。なお、メモリは、USB(Universal Serial Bus)フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)、磁気ディスク、光ディスクを含む。
【0022】
通信I/Fは、通信回線を通じて、インターネットなどのネットワーク140に接続され、ネットワーク140を介して他の装置(例えば、施設管理サーバ100)に接続される。また、通信I/Fは、ネットワーク140と自装置内部とのインターフェースを司り、他の装置からのデータの入出力を制御する。
【0023】
入力デバイスは、タッチパネル、操作ボタン、キーボード、マウス、マイク、カメラ等を含む。また、入力デバイスは、カメラやスキャナを含む。
出力デバイスは、ディスプレイ、プリンタ、スピーカなどを含む。ディスプレイは、画像を表示する。ディスプレイは、タッチパネル式の表示部を含む。
記憶媒体I/Fは、CPUの制御にしたがって、USBフラッシュメモリ等の各種記憶媒体に対するデータのリード、ライトを制御する。
【0024】
(事務所端末装置110および携帯端末装置120の機能的構成について)
次に、本実施形態に係る事務所端末装置110および携帯端末装置120の機能的構成について説明する。事務所端末装置110は、取得部と、設定部と、生成部と、出力部とを備える。各機能部は、事務所端末装置110が備えるCPUによって実現される。すなわち、事務所端末装置110が備えるCPUが、メモリに記憶される図面データ生成プログラムを実行することにより、各機能部を実現する。
【0025】
また、携帯端末装置120は、取得部と、受付部と、出力部と、表示制御部とを備える。各機能部は、携帯端末装置が備えるCPUによって実現される。すなわち、携帯端末装置120が備えるCPUが、メモリに記憶される施設管理アプリを実行することにより、各機能部を実現する。以下、事務所端末装置110および携帯端末装置120の各機能部について、施設管理システム1が行う一連の工程とともに説明する。
【0026】
(施設管理システム1が行う一連の工程の概要について)
図2は、施設管理システム1が行う一連の工程の概要を示すフローチャートである。
図2において、まず、事務所端末装置110の取得部は、電子文書のファイル形式で生成された施設の図面データを取得する(ステップS201)。
【0027】
電子文書のファイル形式は、デジタルデータを、紙面等に印刷したときと同じような状態のまま、閲覧や編集、保存ができる形式である。例えば、図面データは、CAD(Computer Aided Design)で作成されたCAD図面を電子文書のファイル形式に変換したデータであり、CADデータの素材や編集に係る情報を含まない。本実施形態において、電子文書のファイル形式は、例えば、PDF(Portable Document Format)形式とする。図面データは、例えば、施設の各フロアを示す平面図をPDF形式にしたデータ(以下「PDF図面データ」という。)である。なお、PDF図面データは、各種コンピュータ装置によって作成された図面や、手書きの図面をスキャナで読み取ったデータでもよい。
【0028】
次に、事務所端末装置110の設定部は、PDF図面データに領域を設定する(ステップS202)。そして、事務所端末装置110の生成部は、領域図面データを生成する(ステップS203)。領域図面データは、携帯端末装置120が不具合情報の入力を受け付けるための図面画面を表示可能なデータである。不具合情報は、オブジェクト画像の表示位置と、不具合対象についての不具合内容を示す入力情報とを含む。オブジェクト画像の表示位置は、設定部によってPDF図面データ上で設定された領域内の不具合対象の位置である。オブジェクト画像は、不具合対象の位置を示す画像であればよい。本実施形態において、オブジェクト画像は、ピンアイコンであるが、これに限らず、所定のマークや文字など他の画像とすることも可能である。
【0029】
そして、事務所端末装置110の出力部は、生成部によって生成された領域図面データを施設管理サーバ100へ出力(アップロード)する(ステップS204)。施設管理サーバ100は、事務所端末装置110から領域図面データを受信すると、受信した領域図面データを施設管理DB101に記憶させる。このようにして、事務所端末装置110により領域図面データの生成が完了する。
【0030】
次に、携帯端末装置120が行う工程について説明する。
携帯端末装置120の取得部は、施設管理サーバ100から、領域図面データを受信(ダウンロード)する(ステップS205)。受信する領域図面データは、過去に受け付けた不具合情報(
図7の不具合情報DB101h参照)を含む。そして、携帯端末装置120の表示制御部は、ディスプレイに領域図面データの図面画面を表示する(ステップS206)。なお、携帯端末装置120は、領域図面データを受信すると、通信をオフラインにし、以降の処理を行う。
【0031】
次に、携帯端末装置120の受付部は、作業員による施設の点検において、領域図面データの図面画面上で、設備や建具等に不備のある不具合対象の位置の指定を受け付ける(ステップS207)。そして、携帯端末装置120の受付部は、不具合対象についての不具合内容を示す入力情報を受け付ける(ステップS208)。
【0032】
次に、携帯端末装置120の表示制御部は、不具合対象の位置にピンアイコン(オブジェクト画像の一例)を表示する(ステップS209)。そして、携帯端末装置120の出力部は、ピンアイコンの表示位置と入力情報とを含む不具合情報を施設管理サーバ100へ送信する(ステップS210)。なお、施設管理サーバ100へ送信するデータは、不具合情報のみであり、図面の部分を含まないこととする。
【0033】
施設管理サーバ100は、携帯端末装置120から不具合情報を受信すると、不具合情報に基づいて、施設管理DB101に記憶する領域図面データを更新する。
【0034】
(領域図面データの生成について)
図3は、事務所端末装置110が生成する領域図面データの一例を示す説明図である。
図3(A)は、事務所端末装置110が取得したPDF図面データ301を示す。PDF図面データ301は、ある施設(例えばオフィスビル)のあるフロア(例えば1階)の平面図を示す。PDF図面データ301は、事務所端末装置110のディスプレイに表示される。
【0035】
図3(B)は、PDF図面データ301の拡大
図301aを示す。事務所端末装置110は、操作者から、PDF図面データ301上で領域の指定を受け付ける。具体的には、事務所端末装置110は、拡大
図301aにおいて、第1指定点305および第2指定点306の2点の指定を順次受け付ける。
【0036】
図3(C)は、領域図面データ300における親場所310の領域を示す。具体的に説明すると、
図3(B)に示したように、第1指定点305および第2指定点306の2点の指定を受け付けると、事務所端末装置110は、第1指定点305および第2指定点306を結ぶ直線を対角線とした四角形(例えば長方形)を親場所310として設定する。このように、本実施形態では、2点の指定を受け付けるだけで、親場所310の領域を設定することができる。また、事務所端末装置110は、設定した親場所310に親場所名311の入力を受け付け、受け付けた名称を親場所310に付す。
【0037】
図3(D)は、領域図面データ300における子場所320を示す。
図3(C)に示したように、親場所310を設定すると、事務所端末装置110は、親場所310を分割する分割数の入力を受け付ける。分割数は、X方向(横方向)の分割数と、Y方向(縦方向)の分割数とを含む。例えば、X方向に「3」、Y方向に「2」の入力を受け付けたとすると、
図3(D)のように、6個の子場所320(320a~320f)が設定される。このような操作により、簡単に子場所320を設定することができる。
【0038】
また、事務所端末装置110は、設定した子場所320に子場所名321を付す。子場所名321は、デフォルトで「X0Y0」、「X1Y0」のように、X方向およびY方向の各分割数に応じた名称が自動で付される。これにより、簡単に利用を開始することができる。また、事務所端末装置110は、子場所名321の入力を受け付けることにより、受け付けた名称322(例えば「入口付近」)に子場所名321を変更することが可能である。なお、子場所320および子場所名321は、設定に応じて、表示または非表示を切替えることも可能である。
【0039】
また、後述するように、不具合情報には、子場所320の情報が含まれ、言い換えれば、子場所320ごとに不具合情報が蓄積される。このため、子場所名321を変更したとしても、不具合履歴はそのまま保持することが可能である。また、事務所端末装置110の編集機能により、子場所320を削除することも可能である。子場所320を削除したとても、元々蓄積していた不具合履歴については、削除した子場所320に紐付けられて、そのまま保存されるようにしている。これにより、改装等によって、子場所320を削除したとしても、過去の不具合履歴から、当該箇所がトラブルの多い箇所であるか否か等の判断材料として活用することができるようになっている。
【0040】
(領域図面データ300の編集について)
図4は、領域図面データ300の編集の一例を示す図である。まず、領域図面データ300に下位階層の図面データを含ませるようにする例について説明する。例えば、工場等の大きな施設では、設定した親場所310をさらに細分化して領域を管理したい場合がある。そこで、本実施形態において、領域図面データ300は、下位階層の詳細図面データが関連付けられる複数の階層データとすることが可能になっている。
【0041】
図4(A)は、領域図面データ300に、詳細図面データ400を関連付ける例を示す。詳細図面データ400は、PDF形式のデータであり、PDF図面データ301の一部分を拡大した図面データである。一部分は、領域図面データ300(上位階層の図面データ)の挿入箇所に対応する部分である。詳細図面データ400は、親場所310に関連付けられる。詳細図面データ400は、上位階層(第1階層)である領域図面データ300(第1階層データ)の下位階層(第2階層)のデータ(第2階層データ)として記憶される。
【0042】
また、詳細図面データ400(第2階層データ)についても、下位階層の詳細図面データ(第3階層データ)を関連付ける例を示す。第3階層データは、第2階層データの一部分を拡大した図面データである。一部分は、第2階層データの挿入箇所に対応する部分である。第3階層データについても、親場所310に関連付けられ、第2階層データの下位階層(第3階層)の第3階層データとして記憶される。
【0043】
また、第3階層データについても、下位階層の詳細図面データ(第4階層データ)を関連付けることも可能であり、すなわち、ネストによって無限に下位階層の図面データを関連付けていくことが可能である。具体的に説明すると、第n階層データに、下位階層の第n+1階層データを関連付けることが可能である。第n+1階層データは、第n階層データの一部分を拡大した図面データである。一部分は、第n階層データの挿入箇所に対応する部分である。第n+1階層データについても、親場所310に関連付けられ、第n階層データの下位階層(第n+1階層)の第n+1階層データとして記憶される。
【0044】
(子場所320の領域変更について)
図4(B)は、子場所320の領域変更を受け付ける際の一例を示す。
図4(B)に示すように、事務所端末装置110は、子場所320の領域線323の指定を受け付け、さらに、指定された領域線323の移動を、親場所310の領域内で受け付けることが可能である。
図4(C)は、子場所320の領域変更後の一例を示す。
図4(C)に示すように、領域線323が図中の左方向へ移動することにより、子場所320aが縮小し、子場所320bが拡大する。なお、図示ではX方向についての領域の変更(拡縮変更)を示すが、Y方向についても領域の変更を行うことが可能である。
【0045】
図3および
図4に示したように、PDF図面データ301に領域情報が設定されることにより、領域図面データ300が生成される。領域情報は、親場所310の位置情報(座標)と、親場所名311と、子場所の位置情報(座標)と、子場所名321とを含む。このように、領域図面データ300は、PDF図面データ301に領域情報が付されただけの簡素化されたデータとして生成される。
【0046】
(携帯端末装置120の画面例)
図5は、携帯端末装置120の画面の一例を示す図である。
図5(A)は、図面選択画面510を示す。図面選択画面510は、例えば、ホーム画面(不図示)から図面ボタン511が押下され、さらに、その後に表示される施設選択画面(不図示)によって施設(例えば「施設○○」)が選択されたことによって遷移した画面を示す。図面選択画面510は、施設欄512と、図面選択欄513とを含む。施設欄512は、前ページである施設選択画面(不図示)において選択された「施設○○」を示す。図面選択欄513は、「施設○○」の領域図面データ300のうち、1階のデータと、2階のデータとを選択可能に示している。図面選択欄513において、1階のデータが選択されたとすると、携帯端末装置120は、施設管理サーバ100から、1階について、過去の不具合履歴を含む領域図面データ300をダウンロードし、
図5(B)に示す領域図面画面520に遷移する。
【0047】
図5(B)に示す領域図面画面520は、領域図面データ300の図面画面である。領域図面画面520は、親場所310と、子場所320とを含む。図示において、子場所320(320a、320b)は、2つに分割されているものとする。子場所320は、例えば、赤の実線で表示され、図面上の他の部分とは区別して表示されている。親場所310には親場所名311が付され、子場所320には、子場所名が付されている。なお、親場所名311は、便宜上、親場所310の上方に表示されているが、親場所310の中央に表示される。
【0048】
領域図面画面520は、トグル521と、ピンアイコン522と、詳細ボタン523とを含む。トグル521は、親場所310および子場所320について、表示または非表示の設定切替えを受け付ける。図示では、親場所310および子場所320を表示する設定となっている場合を示しているが、トグル521が操作されることによって、親場所310および子場所320を非表示とすることも可能である。
【0049】
なお、各場所について表示または非表示について、設定切替えを可能にしてもよい。具体的には、例えば、親場所310についてのみ、表示または非表示の切替えを可能としたり、子場所320についてのみ、表示または非表示の切替えを可能としたりしてもよい。また、子場所名321についてのみ、表示または非表示を切替え可能にしてもよいし、子場所320の枠線についてのみ、表示または非表示を切替え可能にしてもよい。また、一部の子場所320を表示とし、他の一部の子場所320を非表示とする切替えを可能にしてもよい。
【0050】
ピンアイコン522は、過去の不具合対象となった位置を示し、具体的には、過去の不具合において設備機器類や建具類に不備等があった位置を示す。ピンアイコン522は、作業員による作業ごと(不具合対象の位置の指定を受け付けるごと)に表示され、すなわち、複数の作業があれば、その数に対応する数が表示されることとなる。
【0051】
また、本実施形態では、領域図面データ300が複数の階層データを含む場合、下位階層の階層データについても、不具合情報を受け付けることが可能である。このため、ピンアイコン522は、上位階層の領域図面データ300にも、下位階層の詳細図面データ400にも含まれる場合がある。携帯端末装置120は、上位階層の階層データにおけるピンアイコン522と、下位階層の階層データにおけるピンアイコン522とを、上位階層の階層データの図面画面上で表示可能にする。
【0052】
詳細ボタン523は、下位階層の詳細図面データ400への切替えを受け付けるボタンである。なお、詳細図面データ400への切替えは、詳細ボタン523の押下を受け付けることによって行われることに限らない。例えば、詳細図面データ400が挿入されている領域が操作されることによって行われてもよいし、領域図面画面520とは別の画面において表示される所定のボタンの押下を受け付けることによって行われるようにしてもよい。
【0053】
携帯端末装置120は、領域図面画面520において、新たなピンアイコン522の生成を受け付けることが可能である。例えば、ポインタ524に示すように、作業員によってディスプレイ上の任意の位置(不具合対象の位置)が指定(例えば、長押し)されると、携帯端末装置120は、
図5(C)に示す入力情報受付画面530に遷移する。
【0054】
図5(C)に示す入力情報受付画面530は、受付情報531と、指定位置情報532と、不具合項目欄533とを含む。受付情報531と、指定位置情報532とは、自動入力される。受付情報は、自動で採番される受付番号と、携帯端末装置120の時計機能から自動で得られる受付日時とを含む。
【0055】
指定位置情報532は、領域図面データ300に含まれる領域情報(親場所や子場所の情報)と、作業員がディスプレイを指定した位置(不具合対象の位置)の情報とに基づいて得られる。本実施形態では、領域図面データ300には領域情報が設定されているため、携帯端末装置120は、不具合対象の位置が含まれる領域(例えば子場所320)を特定することにより、指定位置情報532として、子場所320の情報までを自動入力することが可能である。
【0056】
なお、作業員によって指定された不具合対象の位置に、領域情報が設定されていない場合も生じ得る。この場合、指定位置情報532のうち、親場所310および子場所320については空欄となり、すなわち、指定位置情報532のうち、施設、棟、および階について自動入力されることとなる。なお、親場所310および子場所320が空欄の場合、作業員は、必要に応じて、メモ欄533bに場所を特定する情報を入力すればよい。また、この場合、携帯端末装置120は、作業員に、メモ欄533bへの場所の入力を促す通知を行うようにしてもよい。
【0057】
不具合項目欄533は、入力情報を受け付ける領域である。不具合項目欄533は、例えば、プルダウンによって表示される複数の項目の中から一の項目を受け付ける選択項目533aや、作業員によって適宜入力(操作入力、音声入力)されるメモ欄533bを含む。本実施形態において、不具合対象は、例えば、設備機器類と、建具類とを含む。設備機器類は、施設に備えられる機器であり、例えば、空調、照明、ボイラー、便器、給湯器などの対象機器を含む。建具類は、例えば、ドア、窓、天井などの対象機器を含む。不具合項目欄533は、図示する設備機器ボタンの押下によって、空調、照明、ドア、窓、などの対象機器のうち、いずれか1つが選択される。また、不具合項目欄533は、不具合対応作業の一連の作業段階を示すステータス表示533cを含む。詳細については後述するが、本実施形態では、不具合対象の作業段階(ステータス)に応じてピンアイコン522の表示態様が変わるようになっている。
【0058】
入力情報受付画面530において、各種情報が入力されて、確定ボタン534が押下されると、不具合情報が施設管理サーバ100へ送信されるとともに、
図5(D)の領域図面画面540に遷移する。なお、施設管理サーバ100は、不具合情報に基づいて、領域図面データ300を更新する。
【0059】
図5(D)に示す領域図面画面540は、
図5(B)に示した領域図面画面520と比較して、ピンアイコン522aが追加されている。ピンアイコン522aは、作業員が指定した位置(ポインタ524によって指定された位置)を中心にして表示される。なお、ピンアイコン522aは、当該指定した位置の属する子場所320の中心位置に表示されてもよい。
【0060】
本実施形態では、領域図面データ300が、複数の階層データを含む場合、下位階層の階層データについても、不具合情報を受け付けることが可能である。この場合、携帯端末装置120は、各階層データの図面画面上で階層データごとの不具合情報をそれぞれ受け付けることが可能であり、さらに、各階層データの図面画面上で階層データごとのピンアイコン522をそれぞれ表示することが可能である。
【0061】
具体的に説明すると、詳細ボタン523が押下されると、詳細図面データ400の画面が表示される。詳細図面データ400の画面において、作業員によってディスプレイ上の任意の位置(不具合対象の位置)が指定(例えば、長押し)されると、入力情報受付画面530に相当する画面に遷移する。そして、遷移した画面において、入力情報が入力されると、ピンアイコン522が追加される。詳細図面データ400においてピンアイコン522が追加された場合も、携帯端末装置120は、詳細図面データ400の不具合情報を施設管理サーバ100へ送信する。
【0062】
このように、本実施形態では、作業員がディスプレイを長押しすることにより、不具合対象の位置が指定され、さらに当該位置の入力情報の入力を受け付けて、新たなピンアイコン522aを表示させることが可能である。
【0063】
(ピンアイコン522の表示例)
図6は、ピンアイコン522に関する表示の一例を示す図である。本実施形態では、作業員から受け付けた任意の位置に不具合対象の位置が指定されるため、場合によっては、複数のピンアイコン522がほぼ同じ位置に重なってしまうことがある。また、上位階層の階層データ(領域図面データ300)と、下位階層の階層データ(詳細図面データ400)とに、それぞれピンアイコン522が付されて場合がある。この場合において、上位階層の階層データの画面上で、各階層データに付されたピンアイコン522を同時に表示させる場合も、複数のピンアイコン522がほぼ同じ位置に重なってしまうことがある。そこで、本実施形態では、ピンアイコン522を移動表示させることを可能にしている。
【0064】
図6(A)は、ピンアイコン522が重なってしまう場合の移動表示610を示す。例えば、ピンアイコン522c、522dが重なって表示されてしまう場合には、移動表示610に示すように、一方のピンアイコン522dを、重なってしまう他方のピンアイコン522cからずらして表示させる。なお、移動表示610は、ピンアイコン522c、522dが重ならなければよく、一方のみをずらして表示させることに限らず、両方をずらして表示させてもよい。また、3つ以上のピンアイコン522が重なった場合には、3つのピンアイコン522が重ならないようにすればよい。これにより、作業員は、ピンアイコン522の数によって、トラブルの多い領域を視覚的に把握することができる。また、作業員は、詳細図面データ400の画面を表示させなくても、各領域にどの程度トラブルが発生しているかを容易に把握することができる。
【0065】
なお、複数のピンアイコン522が重なってしまう場合に、移動表示610としない重畳表示とすることも可能である。また、携帯端末装置120は、移動表示610とするか重畳表示とするかの切替えボタンを表示し、切替えボタンの操作に応じて、重畳表示とすることも可能である。重畳表示とすることにより、作業員は、ピンアイコン522の正確な位置を把握することができる。なお、作業員が図面画面の拡大操作(ピンチアウト)を行うと、図面が拡大されることにより、各ピンアイコン522がより正確な位置で表示されることになる。この場合、重畳表示されていたピンアイコン522がずれて表示されることもある。
【0066】
(ピンアイコン522の操作による入力情報の表示について)
次に、ピンアイコン522が操作されることによって入力情報を表示することについて説明する。
図6(B)は、ピンアイコン522が所定の操作(例えば、シングルタップ)を受け付けた際に表示される入力情報を示す。図示では、入力情報は、不具合概要620としている。不具合概要620は、ピンアイコン522が示す不具合情報の概要を示しており、例えば、症状、原因、処置内容を示している。これにより、作業員は、ピンアイコン522が示す不具合情報の概要を、簡単な操作で容易に把握することができる。また、本実施形態では、ピンアイコン522が示す各種機器の不備に対して処置が完了したとしても、ピンアイコン522を消去しないようにし、不具合履歴として残すようにしている。これにより、作業員は、施設内のトラブルの多い箇所を視覚的に把握したり、分析したりすることができる。
【0067】
また、ピンアイコン522が所定の操作とは異なる操作(例えば、ダブルタップ)を受け付けた場合、入力情報受付画面530(
図5(C))に遷移して入力情報を表示するとともに、入力情報の編集を行うことが可能になる。また、当該画面において、不具合履歴を表示させることも可能である。
【0068】
なお、ピンアイコン522を移動表示610(
図6(A))させずに、重畳表示している際に、ダブルタップを受け付けた場合も、入力情報の編集が可能になる。ただし、この場合、重複するピンアイコン522に応じた数分の編集画面(入力情報受付画面530に相当する画面)が存在することになる。本実施形態では、一度に一の編集画面のみを表示させるようにしている。このため、各編集画面に、それぞれ編集画面を切替えるボタン(例えば「次へ」ボタン)を表示させるようにし、当該ボタンの操作を受け付けることによって、編集画面を切替え可能にしている。
【0069】
(設備機器マークについて)
図6(C)は、ピンアイコン522に付される設備機器マーク600、および設備機器マーク600が押下された際の画面を示す。ここで、施設管理の不備には様々なものがあり、また、設備機器類の不具合履歴(故障履歴)は重要な情報であるため、設備機器類の情報を蓄積するようにしている。特に、設備機器類の表示については、ピンアイコン522に設備機器マーク600を付すようにしている。
【0070】
本実施形態では、不具合項目欄533(
図5(C))に、設備機器類に属する不具合対象(例えば空調)が入力されると、ピンアイコン522に設備機器マーク600が付されるようにしている。これにより、作業員は、ピンアイコン522が示す不具合対象が設備機器類であることを容易に把握することができる。なお、本実施形態では、設備機器マーク600が付されていないピンアイコン522は、建具類に属する対象区分や、そのほか、作業員が任意に選択した注目箇所を示すこととなる。設備機器マーク600がタップされると、
図6(C)に示す詳細画面630が表示される。
【0071】
図6(C)に示す詳細画面630は、設備機器の詳細情報631と、履歴表示ボタン632とを含む。詳細情報631は、設備機器に関する情報を示す。履歴表示ボタン632が押下されると、不具合履歴(故障履歴、修理履歴など)を示す画面に遷移する。
【0072】
(ピンアイコン522の表示態様について)
本実施形態においてピンアイコン522は、作業のステータスに応じた表示態様で表示される。ステータスは、作業中、完了確認中、完了済といったステータスである。作業中のステータスは、作業員によって各種機器の不備が確認され、作業中または未処理の段階を示す。完了確認中のステータスは、管理者(例えば、上司)による確認を依頼している段階を示す。完了済のステータスは、管理者による確認が完了した段階を示す。
【0073】
ピンアイコン522は、例えば、作業中のステータスでは赤色で表示され、完了確認中のステータスでは黄色で表示され、完了済のステータスでは青色で表示される。なお、ステータスに応じた表示態様は、色の相違に限らず、大きさ、点滅、太さ、文字の付加などの相違としてもよい。また、完了済のステータスの変更に係る操作は、事務所端末装置110が受け付ける。具体的には、事務所端末装置110は、権限のある操作者から、ステータスの変更に係る操作を受け付けることによって、ステータスを変更する。
【0074】
(検索条件に応じたピンアイコン522の表示について)
本実施形態において領域図面画面520は、検索条件に応じたピンアイコン522を表示させることが可能である。検索条件は、例えば、日付、不具合対象(設備機器類または建具類)、詳細図面データ400に含まれるピンアイコン522を含ませるか否かといった条件である。これにより、例えば、領域図面データ300(上位階層の階層データ)の図面画面に、直近に生成された不具合情報のピンアイコン522のみを表示させたりすることができる。
【0075】
(写真データの入力について)
本実施形態では、不具合情報に写真データを含ませることも可能である。例えば、
図5(C)の入力情報受付画面530において、所定のボタン(写真取込みボタン)を表示させるようにし、当該ボタンが押下されることにより、写真データを取り込むようにすればよい。また、当該ボタンが押下されることにより、カメラを起動させて、撮像された写真データを取得するようにしてもよい。このように、不具合情報に写真データを含ませることにより、不具合情報を、報告書等の各種書類の作成に用いることが可能である。
【0076】
(施設管理DB101が記憶する情報の一例)
図7は、施設管理DB101の一例を示す図である。
図7に示すように、施設管理DB101は、各DB101a~101hを含む。なお、以下の各DB101a~101hの説明において、重複する項目については、適宜説明を省略する。
【0077】
施設DB101aは、「施設ID」と、「施設名」との項目を含む。「施設ID」は、施設を識別する情報である。「施設名」は、施設の名称である。各項目に情報が入力されることにより、施設情報がレコードとして記憶される。
【0078】
棟DB101bは、「棟ID」と、「棟名」と、「施設ID」との項目を含む。「棟ID」は、棟を識別する情報である。「棟名」は、棟の名称である。各項目に情報が入力されることにより、棟情報がレコードとして記憶される。
【0079】
階DB101cは、「階ID」と、「階名」と、「棟ID」との項目を含む。「階ID」は、階を識別する情報である。「階名」は、フロア階数を示す。各項目に情報が入力されることにより、階情報がレコードとして記憶される。
【0080】
親場所DB101dは、「親場所ID」と、「親場所名」と、「階ID」との項目を含む。「親場所ID」は、親場所を識別する情報である。「親場所名」は、親場所の名称ある。各項目に情報が入力されることにより、親場所情報がレコードとして記憶される。
【0081】
子場所DB101eは、「子場所ID」と、「子場所名」と、「親場所ID」との項目を含む。「子場所ID」は、子場所を識別する情報である。「子場所名」は、子場所の名称ある。各項目に情報が入力されることにより、子場所情報がレコードとして記憶される。
【0082】
ドキュメント管理DB101fは、「図面ID」と、「PDFファイル名」と、「階ID」との項目を含む。「図面ID」は、図面を識別する情報である。「PDFファイル名」は、PDFファイルの名称ある。各項目に情報が入力されることにより、ドキュメント情報がレコードとして記憶される。
【0083】
場所領域DB101gは、「場所領域ID」と、「図面ID」と、「X座標1」と、「Y座標1」と、「X座標2」と、「Y座標2」と、「親場所ID」と、「子場所ID」と、「リンク先図面ID」との項目を含む。「場所領域ID」は、場所領域を識別する情報である。「X座標1」および「Y座標1」は、第1指定点305(
図3参照)の座標を示す。「X座標2」および「Y座標2」は、第2指定点306(
図3参照)の座標を示す。「リンク先図面ID」は、ドキュメント管理DB101fに記憶されるいずれかの図面を識別する情報である。各項目に情報が入力されることにより、場所領域情報がレコードとして記憶される。
【0084】
不具合情報DB101hは、「受付番号」と、「施設名」と、「棟名」と、「階名」と、「親場所ID」と、「子場所ID」と、「対象区分」と、「対象機器」と、「症状」と、「原因」と、「処置」と「図面ID」と、「X座標」と、「Y座標」との項目を含む。「受付番号」は、作業を受け付けた際に自動で採番される識別番号である。「対象区分」は、設備機器類および建具類のいずれかを示す。「対象機器」は、空調、照明、ドア、窓、などの対象機器のうち、いずれかを示す。「症状」は、対象機器の不具合を示す。「原因」は、当該不具合の原因を示す。「処置」は、当該不具合に対する処置を示す。「X座標」および「Y座標」は、それぞれ、作業員が携帯端末装置120のディスプレイ上で指定した不具合対象の位置の座標を示す。各項目に情報が入力されることにより、不具合情報がレコードとして記憶される。
【0085】
なお、「不具合対象」と、「対象機器」と、「症状」と、「原因」と、「処置」との項目は、入力情報に含まれる。不具合情報は、例えば、対象機器の情報を含むことから、対象機器の情報から各入力情報を得ることが可能である。言い換えれば、対象機器が指定されることにより、各入力情報に基づく不具合履歴を抽出することが可能になっている。
【0086】
(事務所端末装置110が行う領域図面データの生成処理)
図8は、事務所端末装置110が行う領域図面データの生成処理を示すフローチャートである。
図8において、事務所端末装置110は、PDF図面データを取得する(ステップS801)。次に、事務所端末装置110は、施設名、棟名、階名を受け付ける(ステップS802)。そして、事務所端末装置110は、PDF図面データ301上で、親場所310(
図3参照)の指定を受け付ける(ステップS803)。次に、事務所端末装置110は、親場所名を受け付ける(ステップS804)。そして、下位階層の詳細図面データ400(
図4参照)の挿入があるか否かを判断する(ステップS805)。
【0087】
詳細図面データ400の挿入がある場合(ステップS805:YES)、事務所端末装置110は、挿入された詳細図面データ400を編集対象の図面データにセットする(ステップS806)。なお、詳細図面データ400に対して、さらに下位階層の階層データを挿入することも可能であり、この場合、ネストする回数分、ステップS803~S806の処理が繰り返される。ステップS805において、詳細図面データ400の挿入がない場合(ステップS805:NO)、事務所端末装置110は、所定の操作を受け付けることにより、子場所320の設定を行うか否かを判断する(ステップS807)。
【0088】
子場所320の設定を行わない場合(ステップS807:NO)、事務所端末装置110は、ステップS814の処理に進む。一方、子場所320の設定を行う場合(ステップS807:YES)、事務所端末装置110は、親場所310を分割する分割数の入力を受け付けて(ステップS808)、子場所320を生成する(ステップS809)。
【0089】
次に、事務所端末装置110は、子場所名の変更を受け付けたか否かを判断する(ステップS810)。子場所名の変更を受け付けない場合(ステップS810:NO)、事務所端末装置110は、ステップS812の処理に進む。一方、子場所名の変更を受け付けた場合(ステップS810:YES)、事務所端末装置110は、子場所名を変更する(ステップS811)。そして、事務所端末装置110は、子場所320の領域の変更(拡縮変更)を受け付けたか否かを判断する(ステップS812)。
【0090】
子場所320の領域変更を受け付けない場合(ステップS812:NO)、事務所端末装置110は、ステップS814の処理に進む。一方、子場所320の領域変更を受け付けた場合(ステップS812:YES)、事務所端末装置110は、子場所320の領域を変更する(ステップS813)。そして、事務所端末装置110は、所定の確定ボタンが選択されることにより、登録が完了したか否かを判断する(ステップS814)。登録が完了しない場合(ステップS814:NO)、事務所端末装置110は、所定の操作を受け付けることにより、親場所310の設定を行うか否かを判断する(ステップS815)。
【0091】
親場所310の設定を行わない場合(ステップS815:NO)、事務所端末装置110は、ステップS814の処理に戻る。一方、親場所310の設定を行う場合(ステップS815:YES)、事務所端末装置110は、ステップS803の処理に戻る。ステップS814において、登録が完了した場合(ステップS814:YES)、事務所端末装置110は、領域図面データを施設管理サーバ100にアップロードし(ステップS816)、一連の処理を終了する。
【0092】
(携帯端末装置120が行う施設管理処理)
図9は、携帯端末装置120が行う施設管理処理を示すフローチャートである。
図9に示すように、携帯端末装置120は、図面選択画面510(
図5(A))の図面選択欄513において、領域図面データ300の選択を受け付けるまで待機し(ステップS901:NO)、領域図面データ300の選択を受け付けると(ステップS901:YES)、施設管理サーバ100から領域図面データ300をダウンロードする(ステップS902)。
【0093】
なお、ダウンロードしたデータは、所定期間の経過により、削除される。言い換えれば、所定期間が経過する前であれば、携帯端末装置120は、ダウンロードしたデータをメモリに記憶している。このため、所定期間が経過する前であれば、携帯端末装置120は、領域図面データ300そのものをダウンロードせずに、最新の不具合情報のみを受信すればよい。また、この場合、携帯端末装置120は、受信した最新の不具合情報を、メモリに記憶している領域図面データ300に反映させて表示すればよい。
【0094】
次に、携帯端末装置120は、表示する領域図面データ300に不具合情報が含まれるか否かを判断する(ステップS903)。領域図面データ300に不具合情報が含まれない場合(ステップS903:NO)、携帯端末装置120は、ピンアイコン522を含まない領域図面データ300を表示し(ステップS904)、ステップS913の処理に進む。一方、領域図面データ300に不具合情報が含まれる場合(ステップS903:YES)、携帯端末装置120は、不具合情報ごとにピンアイコン522を生成する(ステップS905)。なお、不具合情報には、不具合概要620(
図6(B))を示す情報や、作業のステータスを示す情報も含まれる。
【0095】
そして、携帯端末装置120は、領域図面データ300に、下位階層の階層データが含まれるか否かを判断する(ステップS906)。下位階層の階層データが含まれる場合(ステップS906:YES)、携帯端末装置120は、下位階層の階層データを着目対象の図面データにセットし(ステップS907)、ステップS905の処理に戻る。なお、この場合、下位階層の階層データについて、ステップS905~S907の処理を行う。また、下位階層の階層データに、さらに下位階層の階層データが含まれている場合、携帯端末装置120は、下位階層の階層データがなくなるまで、ステップS905~S907の処理を繰り返す。
【0096】
ステップS906において、下位階層の階層データが挿入されていない場合(ステップS906:NO)、携帯端末装置120は、領域図面データ300上で重複するピンアイコン522があるか否かを判断する(ステップS908)。重複するピンアイコン522がない場合(ステップS908:NO)、携帯端末装置120は、ステップS910の処理に進む。重複するピンアイコン522がある場合(ステップS908:YES)、携帯端末装置120は、ピンアイコン522を移動表示610(
図6(A))とする制御を行う(ステップS909)。
【0097】
そして、携帯端末装置120は、対象区分が設備機器類であるか否かを判断する(ステップS910)。対象区分が設備機器類ではない場合(ステップS910:NO)、携帯端末装置120は、ステップS912の処理に進む。一方、対象区分が設備機器類である場合(ステップS911:YES)、携帯端末装置120は、表示するピンアイコン522に設備機器マーク600(
図6(C)参照)を付加する(ステップS911)。そして、携帯端末装置120は、領域図面データ300にピンアイコン522を付加し(ステップS912)、ステップS904の処理に進む。
【0098】
そして、携帯端末装置120は、ステップS913において、操作受付処理(
図10参照)を行い(ステップS913)、ピンアイコン522に表示変更があるか否かを判断する(ステップS914)。ピンアイコン522の表示変更は、検索条件の変更を受け付けた場合や、ピンアイコン522が新たに追加された場合や、詳細図面データ400への画面切替えを受け付けた場合などに行われる。ピンアイコン522に表示変更がある場合(ステップS914:YES)、ステップS903の処理に戻る。
【0099】
一方、ピンアイコン522に表示変更がない場合(ステップS914:NO)、携帯端末装置120は、作業の終了であるか否かを判断する(ステップS915)。作業の終了とは、例えば、表示対象の図面を他の図面に切替える操作を受け付けることや、施設管理アプリの終了などである。作業を終了しない場合(ステップS915:NO)、携帯端末装置120は、ステップS913の処理に戻る。一方、作業を終了する場合(ステップS915:YES)、携帯端末装置120は、不具合情報を施設管理サーバ100にアップロードして(ステップS916)、一連の処理を終了する。
【0100】
(携帯端末装置120が行う操作受付処理)
図10は、携帯端末装置120が行う操作受付処理を示すフローチャートである。
図10において、携帯端末装置120は、ピンアイコン522の生成に係る操作(不具合対象の位置の指定:長押し操作)を受け付けたか否かを判断する(ステップS1001)。当該操作を受け付けない場合(ステップS1001:NO)、携帯端末装置120は、ステップS1007の処理に進む。一方、当該操作を受け付けた場合(ステップS1001:YES)、携帯端末装置120は、当該操作において受け付けた位置に領域情報が設定されているか否かを判断する(ステップS1002)。
【0101】
領域情報が設定されている場合(ステップS1002:YES)、携帯端末装置120は、
図5(C)に示した指定位置情報532が全て入力された入力情報受付画面530を表示し(ステップS1003)、ステップS1005の処理に進む。一方、領域情報が設定されていない場合(ステップS1002:NO)、携帯端末装置120は、指定位置情報532の一部(親場所310および子場所320)を空欄とした入力画面を表示する(ステップS1004)。
【0102】
そして、携帯端末装置120は、不具合項目欄533(
図5(C))の入力が完了したか否かを判断する(ステップS1005)。携帯端末装置120は、当該入力が完了するまで待機し(ステップS1005:NO)、当該入力が完了して(ステップS1005:YES)、確定ボタン534が押下されると、不具合情報を保存する(ステップS1006)。
【0103】
そして、携帯端末装置120は、表示中のピンアイコン522がシングルタップされたか否かを判断する(ステップS1007)。ピンアイコン522がシングルタップされない場合(ステップS1007:NO)、携帯端末装置120は、ステップS1009の処理に進む。一方、ピンアイコン522がシングルタップされた場合(ステップS1007:YES)、携帯端末装置120は、不具合概要620(
図6(B))を表示する(ステップS1008)。
【0104】
そして、携帯端末装置120は、表示中のピンアイコン522がダブルタップされたか否かを判断する(ステップS1009)。ピンアイコン522がダブルタップされない場合(ステップS1009:NO)、携帯端末装置120は、ステップS1013の処理に進む。一方、ピンアイコン522がダブルタップされた場合(ステップS1009:YES)、携帯端末装置120は、入力情報受付画面530(
図5(C))を表示して(ステップS1010)、入力情報の編集を行うことが可能になる。
【0105】
そして、携帯端末装置120は、入力情報の編集が完了するまで待機し(ステップS1011:NO)、当該編集が完了すると(ステップS1011:YES)、具体的には、確定ボタン534が押下されると、更新データ(点検結果)を保存する(ステップS1012)。
【0106】
次に、携帯端末装置120は、ピンアイコン522に付される設備機器マーク600(
図6(C))がタップされたか否かを判断する(ステップS1013)。設備機器マーク600がタップされない場合(ステップS1013:NO)、携帯端末装置120は、ステップS1015の処理に進む。設備機器マーク600がタップされた場合(ステップS1013:YES)、携帯端末装置120は、
図6(C)に示す詳細画面630を表示し、すなわち、不具合対象の設備機器に対応する詳細情報631を表示する(ステップS1014)。
【0107】
次に、携帯端末装置120は、下位階層の階層データ(詳細図面データ400)への切替え(例えば、
図5(B)の詳細ボタン523の押下)を受け付けたか否かを判断する(ステップS1015)。当該切替えを受け付けない場合(ステップS1015:NO)、携帯端末装置120は、
図9のステップS914の処理に進む。一方、当該切替えを受け付けた場合(ステップS1015:YES)、携帯端末装置120は、下位階層の階層データ(詳細図面データ400)を表示し(ステップS1016)、ステップS914の処理に進む。
【0108】
以上説明したように、本実施形態に係る携帯端末装置120は、領域が設定されている領域図面データ300を表示して、不具合結果(ピンアイコン522の表示と不具合内容を示す入力情報)を受け付けて、不具合情報を出力する。これにより、携帯端末装置120は、
図5(C)の入力情報受付画面530に示したように、不具合対象の位置を示す指定位置情報532を自動入力して、不具合内容が入力されることによって、ピンアイコン522を表示させることができる。したがって、携帯端末装置120は、作業員が作業中に不具合対象の位置を長押しして不具合内容を入力するといった簡単な操作を行うことにより、不具合情報を得ることができる。これにより、作業員の作業負荷を軽減させることができる。
【0109】
また、従来では、作業員によっては、新たな不備を発見したとしても、場所の特定に関して、大雑把に報告する者や細かく報告する者がいるなど報告内容にバラツキが生じたり、管理用のデータの更新を失念したりすることがあり、画一的な不具合情報を得ることができないことがあった。このため、各作業員に一定基準の不具合情報を共有させることができず、作業員ごとに、不具合内容にバラツキが生じることがあった。
【0110】
一方で、本実施形態によれば、場所の特定に関して作業員ごとのバラツキを抑えることができるとともに、管理用のデータの更新を失念することも抑えることができ、画一的な不具合情報を得ることができる。これにより、各作業員に一定基準の不具合情報を共有させることができるため、作業員ごとに不具合内容にバラツキが生じてしまうことを抑えることができる。したがって、本実施形態によれば、作業の効率化を図ることができる。
【0111】
また、本実施形態に係る携帯端末装置120は、ディスプレイに表示したピンアイコン522が指定されることによって入力情報を表示させる。これにより、作業員は、各不具合対象の位置で、入力情報を閲覧したり、編集したりすることができるため、不具合対象の経過や状況や概要を、簡単な操作で容易に把握することができる。
【0112】
また、本実施形態では、領域図面データ300に、下位階層の詳細図面データ400が関連付けられる複数の階層データを含ませ、携帯端末装置120は、階層データごとに不具合情報を受け付けて出力する。これにより、携帯端末装置120は、詳細図面データ400についても、不具合対象の位置を示す指定位置情報532を自動入力して、不具合内容が入力されることによって、ピンアイコン522を表示させることができる。したがって、携帯端末装置120は、作業員が作業中に不具合対象の位置の長押しして不具合内容を入力するといった簡単な操作を行うことにより、詳細図面データ400についても、不具合情報を得ることができる。これにより、作業員の詳細図面データ400の更新に係る作業負荷を軽減させることができる。
【0113】
また、本実施形態では、上位階層の階層データにおけるピンアイコン522と、下位階層の階層データにおけるピンアイコン522とを、上位階層の階層データの図面画面上で表示可能にする。これにより、作業員は、詳細図面データ400の画面を表示させなくても、各領域にどの程度トラブルが発生しているかを、視覚的に容易に把握することができる。
【0114】
また、本実施形態に係る事務所端末装置110は、携帯端末装置120が不具合情報(ピンアイコン522の表示位置と、不具合内容を示す入力情報)の入力を受け付ける領域図面データ300であって、PDF図面データ301に領域が設定される領域図面データ300を生成して出力する。これにより、領域図面データ300を、PDF図面データ301に領域情報が付されただけの簡素化されたデータとすることができる。これにより、データ通信量についても抑えることができるため、各種装置の処理速度の低下や通信速度の低下を抑えることができる。したがって、作業員はストレスなく各種操作を行うことができるとともに、作業効率の向上を図ることができる。
【0115】
また、事務所端末装置110によって生成された領域図面データ300を用いることにより、携帯端末装置120は、領域図面データ300を表示して、不具合情報(ピンアイコン522の表示と不具合内容を示す入力情報)を受け付けて、不具合情報を出力することができる。したがって、携帯端末装置120は、作業員が作業中に不具合対象の位置を長押しして不具合内容を入力するといった簡単な操作を行うことにより、不具合情報を得ることができる。これにより、作業員の作業負荷を軽減させることができる。
【0116】
なお、上述した実施形態では、不具合情報の入力や編集は、携帯端末装置120によって行われることとしたが、事務所端末装置110によって行われることも可能である。また、上述した施設管理システム1は、施設管理サーバ100を備えるようにしたが、これに限らず、施設管理サーバ100を備えないようにしてもよい。この場合、事務所端末装置110が施設管理DB101を備えるようにし、事務所端末装置110が施設管理会社で取り扱われる各種データを管理すればよい。また、事務所端末装置110と携帯端末装置120とが直接通信を行うようにすればよい。
【0117】
なお、上記において説明した施設管理システム1における各機能(入出力、記憶、処理)の全部又は一部は、当該機能の実行主体として説明した装置とは異なる他の装置において実現してもよい。具体的には、上述した説明では、事務所端末装置110が、取得部と、設定部と、生成部と、出力部との機能部を備え、携帯端末装置120は、取得部と、受付部と、出力部と、表示制御部との機能部を備える例について説明した。ただし、これらの機能部の全部または一部が、他のコンピュータ装置に具備されていてもよい。具体的には、例えば、これらの機能部のうち全部または一部が、施設管理サーバ100に具備されていてもよいし、他のコンピュータ装置に具備されていてもよい。また、これらの機能部が具備されるコンピュータ装置は、複数台であってもよいし、1台であってもよい。
【0118】
なお、実施形態について説明したが、具体的な構成は上述した実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0119】
以上に示した実施形態に係る装置等(例えば、事務所端末装置110、携帯端末装置120)の機能を実現するためのプログラムをコンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記憶して、この記憶媒体に記憶されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、オペレーティングシステム(OS:Operating System)あるいは周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。また、「コンピュータが読み取り可能な記憶媒体」とは、USB(Universal Serial Bus)フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disc)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0120】
さらに、「コンピュータが読み取り可能な記憶媒体」とは、インターネット等のネットワークあるいは電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合の情報処理装置やクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記のプログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)あるいは電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記のプログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上記のプログラムは、前述した機能をコンピュータシステムに既に記憶されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0121】
1…施設管理システム、100…施設管理サーバ、101…施設管理DB、110…事務所端末装置、120…携帯端末装置、300…領域図面データ、400…詳細図面データ、522…ピンアイコン、600…設備機器マーク