(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049677
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】外面形状検査装置
(51)【国際特許分類】
G01B 11/25 20060101AFI20240403BHJP
G01B 11/24 20060101ALI20240403BHJP
G01B 11/30 20060101ALI20240403BHJP
B29D 30/06 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
G01B11/25 H
G01B11/24 K
G01B11/30 Z
B29D30/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022156045
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福田 和幸
【テーマコード(参考)】
2F065
4F215
4F501
【Fターム(参考)】
2F065AA01
2F065AA49
2F065AA51
2F065AA58
2F065CC13
2F065DD02
2F065FF04
2F065GG04
2F065HH05
2F065HH12
2F065JJ08
2F065JJ19
2F065JJ26
2F065MM04
2F065PP13
2F065QQ08
2F065QQ24
2F065QQ25
2F065QQ31
2F065RR08
2F065SS02
4F215AH20
4F215AQ01
4F215VA13
4F215VL25
4F215VQ04
4F501TA13
4F501TE20
4F501TQ04
4F501TS01
4F501TV01
(57)【要約】
【課題】低コストかつ設置位置の自由度が高い外面形状検査装置を提供する。
【解決手段】 外面形状検査装置1は、生タイヤTを回転可能に保持するドラム2と、線状のレーザ光Lを、生タイヤTの外面Sに照射する光源部4と、外面Sにおけるレーザ光Lの照射部分Liを撮像する撮像部6と、撮像部6が撮像した画像に基づいて、生タイヤTの外面Sの異常の有無を判定する判定処理を実行する処理装置8と、を備える。レーザ光Lは生タイヤTの赤道面に平行な面に交差する。撮像部6は、生タイヤTの子午線断面に平行な面に交差する方向から画像を撮像する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生タイヤを回転可能に保持するドラムと、
線状のレーザ光を、前記生タイヤの外面に照射する光源部と、
前記外面における前記レーザ光の照射部分を撮像する撮像部と、
前記撮像部が撮像した画像に基づいて、前記生タイヤの外面の異常の有無を判定する判定処理を実行する処理部と、を備え、
前記レーザ光が前記生タイヤの赤道面に平行な面に交差し、
前記撮像部は、前記生タイヤの子午線断面に平行な面に交差する方向から前記画像を撮像する
外面形状検査装置。
【請求項2】
前記レーザ光の光軸は、前記生タイヤの径方向に沿っており、
前記撮像部の撮像方向と、前記レーザ光の光軸との間の角度が45度である
請求項1に記載の外面形状検査装置。
【請求項3】
前記外面は、前記生タイヤのサイドウォール部の外面を含む
請求項1又は2に記載の外面形状検査装置。
【請求項4】
前記ドラムは、前記生タイヤの成形機が有する、生タイヤ成形用のドラムである
請求項1に記載の外面形状検査装置。
【請求項5】
前記判定処理は、
前記画像における前記レーザ光の照射部分が撮像された画像部分を検出する第1処理と、
前記画像部分の輪郭及び前記画像部分の面積の少なくともいずれか一方に基づいて、前記外面の異常の有無を判定する第2処理と、を含む
請求項1又は2に記載の外面形状検査装置。
【請求項6】
前記第2処理は、
正常な前記生タイヤから得られる正常な画像部分の輪郭と、前記画像部分の輪郭と、の比較、及び、前記正常な画像部分の面積と、前記画像部分の面積と、の比較の少なくともいずれか一方を行う第3処理と、
前記第3処理による比較結果に基づいて、前記外面の異常の有無を判定する第4処理と、を含む
請求項5に記載の外面形状検査装置。
【請求項7】
前記正常な画像部分を所定の比率で拡張する第5処理をさらに含み、
前記第3処理では、拡張後の前記正常な画像部分の輪郭と、前記画像部分の輪郭と、を比較する
請求項6に記載の外面形状検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤの外面形状検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、タイヤの外面形状であるトレッド面の形状を、レーザ変位計を用いて測定する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
レーザ変位計を用いてタイヤの外面形状を測定し検査する場合、レーザ変位計が高価であるため、コスト高となるという問題がある。
さらにレーザ変位計を用いた場合、光源とカメラとが一体であるため、レーザ変位計からワークまでの距離によってレーザ変位計の測定視野が定まってしまうことがあり、設置位置に制約がある。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、低コストかつ設置位置の自由度が高い外面形状検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る外面形状検査装置は、生タイヤを回転可能に保持するドラムと、線状のレーザ光を、前記生タイヤの外面に照射する光源部と、前記外面における前記レーザ光の照射部分を撮像する撮像部と、前記撮像部が撮像した画像に基づいて、前記生タイヤの外面の異常の有無を判定する判定処理を実行する処理部と、を備える。前記レーザ光は前記生タイヤの赤道面に平行な面に交差する。前記撮像部は、前記生タイヤの子午線断面に平行な面に交差する方向から前記画像を撮像する。
【0007】
上記構成によれば、レーザ光が生タイヤの赤道面に交差しているので、線状のレーザ光が外面に照射されると、外面には、レーザ光の照射部分が生タイヤの幅方向を横断するように線状に表れる。さらに、撮像部による画像は、生タイヤの子午線断面に平行な面に交差する方向から撮像されるので、画像に含まれるレーザ光の照射部分の画像部分には、生タイヤの外面における幅方向の形状が表れる。この結果、画像に基づいて、対象面の形状における異常の有無を判定することができる。
このように、レーザ変位計等を用いることなく、光源部及び撮像部といった簡易な構成で、外面形状の検査を行うことができ、低コスト化が可能となる。
さらに、光源部及び撮像部を別体とすれば、互いに独立して設置可能であり、光源部及び撮像部の設置位置の自由度が大きく制限されることはない。
よって、上記構成によれば、低コストかつ設置位置の自由度が高い外面検査装置を得ることができる。
【0008】
(2)上記外面形状検査装置において、前記レーザ光の光軸が、前記生タイヤの径方向に沿っている場合、前記撮像部の撮像方向と、前記レーザ光の光軸との間の角度が45度であることが好ましい。
この場合、画像中の照射部分の画像部分によって表される生タイヤの幅方向の形状がより明確となる。この結果、判定処理の精度を高めることができる。
【0009】
(3)また、前記外面は、前記生タイヤのサイドウォール部の外面を含むことが好ましく、この場合、サイドウォール部の外面の形状検査を行うことができる。
【0010】
(4)上記外面形状検査装置において、前記ドラムは、前記生タイヤの成形機が有する、生タイヤ成型用のドラムであってもよい。
この場合、成形機によって成形された直後の生タイヤを支持装置から取り外すことなく、そのまま外面形状の検査を行うことができる。
【0011】
(5)上記外面形状検査装置において、前記判定処理は、前記画像における前記レーザ光の照射部分が撮像された画像部分を検出する第1処理と、前記画像部分の輪郭及び前記画像部分の面積の少なくともいずれか一方に基づいて、前記外面の異常の有無を判定する第2処理と、を含んでいてもよい。
【0012】
(6)また、前記第2処理は、正常な前記生タイヤから得られる正常な画像部分の輪郭と、前記画像部分の輪郭と、の比較、及び、前記正常な画像部分の面積と、前記画像部分の面積と、の比較の少なくともいずれか一方を行う第3処理と、前記第3処理による比較結果に基づいて、前記外面の異常の有無を判定する第4処理と、を含んでいてもよい。
この場合、正常な画像部分の形状又は面積と、検査対象である生タイヤの画像部分の形状又は面積と、を比較するので、より精度よく、異常の有無の判定を行うことができる。
【0013】
(7)また、前記正常な画像部分を所定の比率で拡張する第5処理をさらに含む場合、前記第3処理では、拡張後の前記正常な画像部分の輪郭と、前記画像部分の輪郭と、を比較するように構成することができる。
この場合、第3処理において、拡張後の輪郭内に、検査対象である生タイヤの画像部分の輪郭が含まれれば正常と判定する際に、正常と判定される許容範囲をより広くすることができる。
この結果、例えば、検査対象である生タイヤの照射部分の形状に、誤差が含まれていたとしても、その誤差を許容することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、低コストかつ設置位置の自由度が高い外面形状検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、実施形態に係る外面形状検査装置の全体構成を示す斜視図である。
【
図2】
図2(a)は、光源部及び撮像部を示す部分正面図であり、
図2(b)は、光源部及び撮像部を示す部分側面図である。
【
図3】
図3は、照射部分を含む生タイヤの外面の一部を示す斜視図である。
【
図4】
図4(a)は、撮像部が出力する画像の一例を示す図であって、正常な生タイヤを撮像した画像であり、
図4(b)は、撮像部が出力する画像の一例を示す図であって、異常が生じた生タイヤを撮像した画像である。
【
図5】
図5(a)及び
図5(b)は、他の実施形態に係る外面形状検査装置による判定処理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、好ましい実施形態について図面を参照しつつ説明する。
〔外面形状検査装置の全体構成〕
図1は、実施形態に係る外面形状検査装置の全体構成を示す斜視図である。
外面形状検査装置1は、生タイヤTの外面形状の異常を検査するための装置である。
外面形状検査装置1は、生タイヤTを成形するための成形機(図示省略)に組み込まれている。外面形状検査装置1は、成形機によって生タイヤTが成形されると、成形された生タイヤTを成形機から取り外すことなく外面形状の検査を行うことができる。
【0017】
なお、以下の説明では、各図中、互いに直交する3方向をX方向、Y方向、及びZ方向とする。また、X方向のうちの
図1中の矢印の方向をX1方向、矢印の反対方向をX2方向とする。Y方向のうちの
図1中の矢印の方向をY1方向、矢印の反対方向をY2方向とする。Z方向のうちの
図1中の矢印の方向をZ1方向(上方向)、矢印の反対方向をZ2方向(下方向)とする。
【0018】
図1中、外面形状検査装置1は、ドラム2と、光源部4と、撮像部6と、処理装置8と、を備える。
ドラム2は、生タイヤTを回転可能に保持する。ドラム2は、円筒状である。生タイヤTは、ドラム2の外周面で保持される。
ドラム2は、当該ドラム2のY2方向側に配置される駆動装置(図示省略)によって、ドラム2の中心軸C回りに回転可能に支持される。これにより、ドラム2は、生タイヤTを回転可能に保持する。中心軸Cは、生タイヤTの中心軸でもある。
【0019】
ドラム2は、生タイヤTの成形機の成形ドラムである。よって、ドラム2のY1方向側には、トレッド部材を成形するトレッド成形ドラム(図示省略)や、成形されたトレッド部材をドラム2へ移送するトランスファ装置(図示省略)等が設置される。
外面形状検査装置1は、成形機が有する成形ドラムを利用して生タイヤTを保持する。
【0020】
成形機によって成形される生タイヤTは、未加硫状態のタイヤである。生タイヤTは、トレッド部材や、サイドウォール部材、ビード部材等のタイヤ構成部材を組み合わせて成形される。
図1中、生タイヤTは、トレッド部t1と、サイドウォール部t2と、ビード部t3と、を有する。トレッド部t1は、前記トレッド部材によって構成される部分である。サイドウォール部t2は、前記サイドウォール部材によって構成される部分である。ビード部t3は、前記ビード部材によって構成される部分である。
トレッド部t1、サイドウォール部t2、及びビード部t3は、加硫成型後のタイヤにおいて、トレッド、サイドウォール、及びビードとなる部分である。
【0021】
光源部4は、線状のレーザ光Lを照射する光源である。線状のレーザ光とは、光軸方向(出射方向)に直交する断面が線状であるレーザ光をいう。光源部4としては、例えば、緑色又は赤色のレーザ光を出射する半導体レーザを用いることができる。
光源部4は、レーザ光Lを生タイヤTの外面Sに照射する。また、光源部4は、Z2方向に沿ってレーザ光Lを照射する。
【0022】
撮像部6は、カメラ部6aと、レンズ部6bと、を含む。撮像部6は、生タイヤTの外面Sのうち、レーザ光Lが照射されている照射部分を含む領域を撮像する。つまり、撮像部6は、いわゆるエリアカメラである。カメラ部6aは、CCD素子(Charge Coupled Devices)等の撮像素子を有する。カメラ部6aは、レンズ部6bを介して生タイヤTの外面Sを撮像し、撮像した画像を出力する機能を有する。カメラ部6aの撮像素子の画素数は、例えば、30万画素程度である。
【0023】
カメラ部6aと、処理装置8とは、互いに通信可能に接続されている。カメラ部6aが撮像した画像(画像データ)は処理装置8へ与えられる。
【0024】
処理装置8は、処理部8aと、記憶部8bと、入出力部8cと、を備えるコンピュータ等により構成される。処理部8aは、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。記憶部8bは、例えば、フラッシュメモリ、ハードディスク、ROM(Read Only Memory)等である。
記憶部8bには、処理部8aに実行させるためのコンピュータプログラムや、必要な情報が記憶されている。処理部8aは、記憶部8bのようなコンピュータ読み取り可能な非一過性の記録媒体に記憶されたコンピュータプログラムを実行することで、処理装置8が有する各種処理機能を実現する。
入出力部8cは、キーボード、タッチパネル、モニタ、マウス、スピーカ等を含む入出力デバイスである。
【0025】
処理装置8は、撮像部6(カメラ部6a)から与えられる画像に基づいて、判定処理を実行する機能を有する。判定処理とは、生タイヤTの外面Sの異常の有無を判定する処理である。
【0026】
〔光源部4及び撮像部6の配置について〕
図2(a)は、光源部4及び撮像部6を示す部分正面図、
図2(b)は、光源部4及び撮像部6を示す部分側面図である。なお、
図2(b)では、光源部4の手前に撮像部6が位置しているため、撮像部6は2点鎖線で示している。
図2(a)及び
図2(b)に示すように、光源部4が照射するレーザ光Lの光軸Lsは、生タイヤTの外面Sのうちのサイドウォール外面s2上の点Pを通過する。なお、レーザ光Lの光軸Lsは、レーザ光Lの出射方向に平行であってレーザ光Lの断面中心を通過する直線である。
【0027】
光軸Lsは、Z方向(上下方向)に平行な直線である。また、光軸Lsは、生タイヤTの中心軸Cに直交する。よって、光軸Lsは、生タイヤTの径方向に沿っている。
このように、光源部4は、サイドウォール部t2の直上に配置されている。
【0028】
レーザ光Lの断面は、上述したように線状である。本実施形態では、レーザ光Lの断面における長手方向がY方向に沿っている。
よって、
図2(a)に示すように、レーザ光Lは、Y方向から見ると、光源部4から生タイヤTまでの間において、Z方向に沿う直線状に表れる。
また、
図2(b)に示すように、レーザ光Lは、X方向から見ると、光源部4から生タイヤTまでの間において、扇状に広がっている。つまり、レーザ光Lは、Y-Z平面において、Z2方向に向かって漸次広がるように光源部4から出射される。レーザ光Lが有する扇形状は、光軸Lsに線対称である。
サイドウォール外面s2におけるレーザ光Lの断面は、サイドウォール外面s2の幅方向の範囲よりも広がっている。
【0029】
このように、本実施形態では、レーザ光Lの断面における長手方向は、Y方向に沿っている。よって、レーザ光Lは、生タイヤTの赤道面に平行な面(X-Z平面)に対して交差している。なお、赤道面とは、生タイヤTの中心軸Cに直交するとともに、生タイヤTのY方向の中心を通る平面である。
【0030】
レーザ光Lの照射部分Liは、外面Sに照射されたレーザ光Lの反射光が表れる外面S上の部分である。照射部分Liは、レーザ光Lが外面Sに照射されたときのレーザ光Lの断面形状に基づいて定まる。よって、照射部分Liは線状に表れる。
【0031】
図3は、照射部分Liを含む生タイヤTの外面Sの一部を示す斜視図である。
図3に示すように、照射部分Liは、外面Sのうち、トレッド外面s1、及び、サイドウォール外面s2に亘って線状に表れている。
照射部分Liのビード部t3側の第1端部Li1は、サイドウォール外面s2の内端縁s22に位置する。照射部分Liにおいて第1端部Li1の反対側の第2端部Li2は、トレッド外面s1に位置する。
このように、照射部分Liは、サイドウォール外面s2の全域を横断している。また、照射部分Liは、トレッド外面s1とサイドウォール外面s2との境界s21を跨いでトレッド外面s1にまで延びている。
【0032】
図2(a)及び
図2(b)に示すように、撮像部6の光軸Rsは点Pを通過する。撮像部6は、光軸Rsが点Pを通過する位置に配置されている。撮像部6の光軸Rsは、撮像部6による撮像範囲の中心を通過する直線である。よって、光軸Rsは撮像部6の撮像方向を示している。
図2(a)に示すように、光源部4及び撮像部6をY方向から見たとき、光軸Rsと、レーザ光Lの光軸Lsと、間の角度θは、45度となっている。
また、
図2(b)に示すように、光源部4及び撮像部6をX方向から見たとき、光軸Rsは、Z方向に平行な直線である。よって、光源部4及び撮像部6をX方向から見たとき、光軸Rsと、光軸Lsと、は一致する。
【0033】
ここで、光軸Rsは、点Pを通過している。つまり、撮像部6の撮像方向は、点P及び照射部分Liへ向けられている。
また、撮像部6の撮像範囲は、生タイヤTの外面Sのうち、点P及び照射部分Liを含むように設定される。
撮像部6のレンズ部6bは、点P近傍が焦点となるように設定される。これにより、撮像部6は、照射部分Li及びその周辺を撮像することができる。
また、光軸Rsは、レーザ光Lの光軸Lsを含みかつY方向に平行な面に交差している。つまり、光軸Rsは、生タイヤTの子午線断面に平行な面に交差している。よって、撮像部6による画像は、生タイヤTの子午線断面に平行な面に交差する方向から撮像される。なお、生タイヤTの子午線断面とは、生タイヤTの中心軸Cを含む平面に沿った断面である。
撮像部6は、照射部分Liが撮像された画像を処理装置8へ与える。
【0034】
〔外面形状検査について〕
次に、上記外面形状検査装置1による外面形状検査について説明する。
まず、成形機によって生タイヤTが成形されると、ドラム2に保持される生タイヤTに空気を導入し、生タイヤTの内圧を所定の圧力にする。
次いで、光源部4及び撮像部6を配置する。光源部4及び撮像部6の配置位置は、上述の通りである。
【0035】
光源部4及び撮像部6の配置が終わると、ドラム2を回転させるとともに、光源部4にレーザ光Lを出射させ、撮像部6による撮像を開始する。ドラム2の回転速度は、例えば、1000回転/分である。
撮像部6は、所定のサンプリング周期で、連続的に撮像を行い、画像を出力する。
よって、撮像部6は、1つの生タイヤTに対して、複数の画像を出力する。
これにより、撮像部6は、1つの生タイヤTにおいて周方向多数箇所の画像を出力する。
【0036】
なお、光源部4から点Pまでの距離D1(
図2(a))は、光源部4のレーザ光Lの照射範囲等に応じて適宜設定される。より具体的には、距離D1は、照射部分Liがサイドウォール外面s2の幅方向全域を含む値に設定される。サイドウォール外面s2の幅方向とは、生タイヤTの子午線断面におけるサイドウォール外面s2の内端縁s22と、境界s21とを通過する直線に平行な方向である。
また、撮像部6(のレンズ部6b)から点Pまでの距離D2(
図2(a))は、レンズ部6bの焦点位置や撮像範囲等に応じて適宜設定される。より具体的には、距離D2は、撮像範囲が照射部分Liの全体を含む値に設定される。
本実施形態では、レーザ変位計等と異なり、光源部4及び撮像部6は、別体であり、互いに独立して設置可能である。
このため、レンズ部6bの調整や交換によって、撮像部6から点Pまでの距離D2のみを比較的小さく設定することができる。これにより、撮像部6における照射部分Liからの光量を無駄なく確保することができ、この結果、サンプリング周期(シャッタースピード)を早めることが可能となる。
よって、撮像部6によって連続的に撮像する際のサンプリング周期の自由度を高めることができる。
【0037】
図4(a)は、撮像部6が出力する画像の一例を示す図である。
図4(a)中、画像10は、正常な生タイヤTの画像である。画像10には、照射部分Liが撮像された画像部分12が含まれる。画像部分12以外の周囲部分13は、照射部分Li以外の外面Sの部分である。
照射部分Liは、レーザ光Lによる反射光によって周囲の外面Sの部分よりも明るい部分となって表れる。よって、画像10においても、画像部分12は、周囲部分13よりも明るい部分となって表れる。
この画像部分12には、生タイヤTの外面S(サイドウォール外面s2)における幅方向の形状が表れる。
【0038】
すなわち、上記構成によれば、レーザ光Lが生タイヤTの赤道面に交差しているので、線状のレーザ光Lが外面Sに照射されると、外面Sには、上述したように、レーザ光Lの照射部分Liが生タイヤTの幅方向に横断するように線状に表れる。
さらに、撮像部6による画像10は、生タイヤTの子午線断面に平行な面に交差する方向から撮像されるので、画像10に含まれるレーザ光Lの照射部分Liの画像部分12には、生タイヤTの外面Sにおける幅方向の形状が表れる。この結果、画像10に基づいて、外面S(サイドウォール外面s2)の形状における異常の有無を判定することができる。
このように、レーザ変位計等を用いることなく、光源部4及び撮像部6といった簡易な構成で、外面形状の検査を行うことができ、低コスト化が可能となる。
さらに、光源部4及び撮像部6は、別体であり、互いに独立して設置可能であるので、光源部4及び撮像部6の設置位置の自由度が大きく制限されることはない。
よって、上記構成によれば、低コストかつ設置位置の自由度が高い外面形状検査装置1を得ることができる。
【0039】
撮像部6は、1つの生タイヤTを撮像することで得た複数の画像10を処理装置8へ与える。
複数の画像10が与えられた処理装置8は、判定処理を行う。
判定処理には、第1処理及び第2処理が含まれる。
第1処理は、複数の画像10におけるレーザ光Lの照射部分Liが撮像された画像部分12を検出する処理である。
第2処理は、画像部分12の面積に基づいて、サイドウォール外面s2の異常の有無を判定する処理である。
【0040】
なお、本実施形態では、上述のように画像部分12に基づいてサイドウォール外面s2の異常の有無を判定するので、画像10の品質として高い精細性を必要としない。このため、上述したように、30万画素程度のカメラ部6aを用いることができ、画像10のデータ量が大きくなるのを抑制できる。画像10のデータ量が抑制されることで、撮像部6から処理装置8への出力等、データの取り扱いが容易となる上、取り扱い速度を高めることができる。
【0041】
第1処理において、処理装置8は、複数の画像10それぞれに対して画像処理を行い、画像部分12を検出する。
画像部分12を検出すると、処理装置8は、第2処理に進み、画像10に含まれる画像部分12の面積を求める。
ここで、処理装置8は、画像10に設定された対象領域20(
図4(a))内における画像部分12の面積を求める。
対象領域20は、予め画像10に対して設定された領域である。対象領域20は、正常な生タイヤTによって得られた画像部分12に基づいて設定される。対象領域20は、正常な生タイヤTによって得られた画像部分12の全体を含むことができ、異常が生じた生タイヤTによる画像部分12の一部が領域外となるような領域に設定される。
【0042】
よって、
図4(a)に示すように、正常な生タイヤTの場合、画像部分12の全体は、対象領域20内に含まれる。
図4(b)は、撮像部6が出力する画像の一例を示す図であり、異常が生じた生タイヤTを撮像した画像10である。
異常が生じた生タイヤTでは、例えば、空気を導入したときにサイドウォール外面s2に突出部分等の異常な箇所が現れる。よって、
図4(b)に示すように、画像部分12においても、正常な生タイヤTの画像部分12と比較して、異常な形状が表れる。
画像部分12に異常な形状が表れると、
図4(b)に示すように、画像部分12の一部分14が対象領域20から外れる。一部分14が対象領域20から外れると、画像部分12の面積は、正常な生タイヤTの画像部分12の面積よりも減少することとなる。
【0043】
処理装置8は、このような画像部分12の面積の減少を判定することで、サイドウォール外面s2の異常の有無を判定する。
画像部分12の面積に対して予め閾値が設定される。処理装置8は、画像部分12の面積と閾値とを比較し、画像部分12の面積が閾値よりも小さくなると、サイドウォール外面s2に異常があると判定する。
処理装置8は、複数の画像10の複数の画像部分12について判定を行い、複数の画像部分12のうち、1つでもサイドウォール外面s2に異常があると判定すると、その生タイヤTのサイドウォール外面s2には異常があると判定する。
【0044】
閾値は、正常な生タイヤTの画像部分12の面積に基づいて設定される。閾値は、正常な生タイヤTの画像部分12の面積に設定してもよいし、誤差を考慮して、正常な生タイヤTの画像部分12の面積よりも少ない値に設定してもよい。
つまり、第2処理は、正常な生タイヤTから得られる正常な画像部分12の面積と、検査対象の画像部分12の面積と、の比較を行う第3処理と、第3処理による比較結果に基づいて、サイドウォール外面s2の異常の有無を判定する第4処理と、を含む。
このように、処理装置8は、正常な画像部分12の面積と、検査対象である生タイヤTの画像部分12の面積と、を比較するので、より精度よく、サイドウォール外面s2の異常の有無の判定を行うことができる。
【0045】
生タイヤTのサイドウォール外面s2に異常があると判定すると、処理装置8は、入出力部8cのモニタやスピーカを介して警告を出力し、外面形状検査装置1のオペレータへ向けて報知する。
処理装置8による報知により、オペレータは、生タイヤTのサイドウォール外面s2に異常があることを認識することができる。
【0046】
なお、本実施形態では、第3処理において、正常な生タイヤTから得られる正常な画像部分12の面積(閾値)と、検査対象の画像部分12の面積と、の比較を行った場合を例示した。
しかし、第3処理では、正常な生タイヤTから得られる正常な画像部分12の輪郭と、検査対象の画像部分12の輪郭と、の比較を行ってもよい。
【0047】
この場合、処理装置8(の処理部8a)は、
図4(a)及び
図4(b)の画像10において、画像部分12の輪郭線12aを求める。輪郭線12aは、画像10において、画像部分12と、画像部分12以外の部分との境界を示す線である。
処理装置8は、正常な生タイヤTから得られる正常な画像部分12の輪郭線12aを予め記憶部8bに記憶する。
処理装置8は、判定処理において検査対象である生タイヤTの画像部分12の輪郭線12aを求める。
処理装置8は、正常な生タイヤTから得られる正常な画像部分12の輪郭線12aと、検査対象の画像部分12の輪郭線12aと、の比較を行う。
処理装置8は、両輪郭線12aの間の一致の度合いを数値(一致度)として求め、一致度に基づいて、サイドウォール外面s2の異常の有無を判定する。
この場合においても、正常な画像部分12の輪郭線12aと、検査対象である生タイヤTの画像部分12の輪郭線12aと、を比較するので、より精度よく、サイドウォール外面s2の異常の有無の判定を行うことができる。
【0048】
また、第3処理では、1つの検査対象である生タイヤTの複数の画像部分12同士を比較してもよい。
生タイヤTのサイドウォール外面s2に生じる異常は、周方向に対して部分的に生じることがある。よってこの場合、1つの検査対象である生タイヤTの複数の画像部分12には、正常な場合の画像部分12と、異常な場合の画像部分12とが含まれる。よって、1つの生タイヤTの複数の画像部分12同士を比較することで、サイドウォール外面s2の異常の有無を判定することができる。
【0049】
〔他の実施形態について〕
図5(a)及び
図5(b)は、他の実施形態に係る外面形状検査装置1による判定処理を説明するための図である。
この実施形態では、正常な画像部分12を所定の比率で拡張する第5処理をさらに含む点、及び、第3処理では、拡張後の輪郭線と、検査対象である生タイヤTの画像部分12の輪郭線12aと、を比較する点において、上記実施形態と異なる。
【0050】
図5(a)は、第5処理において、拡張された輪郭線の一例を示している。
図5(a)中、正常な画像部分12の輪郭線12aは、2点鎖線で示している。
本実施形態において、処理装置8は、第5処理において、正常な画像部分12を拡張し、拡張画像部分24を求める。処理装置8は、例えば、正常な画像部分12の幅方向の寸法が約3倍となるように拡張する。画像部分12の幅方向とは、画像部分12の長手方向に直交する方向である。
さらに、処理装置8は、拡張画像部分24の拡張輪郭線24aを求める。
【0051】
処理装置8は、第3処理において、
図5(b)に示すように、拡張輪郭線24aと、検査対象である生タイヤTの画像部分12の輪郭線12aと、を比較する。
図5(b)では、サイドウォール外面s2に異常(突出部)が生じることで、輪郭線12aに変形部分が表れている場合を示している。
【0052】
処理装置8は、拡張輪郭線24aの内側に輪郭線12aの全体が含まれる場合、正常と判定する。
一方、
図5(b)に示すように、輪郭線12aが拡張輪郭線24aの外側にはみ出る場合、異常と判定する。
サイドウォール外面s2に突出部が存在すると、レーザ光Lの照射部分Liの形状は、突出部に沿って変形する。このため、輪郭線12aには突出部による変形部分が表れる。
図5(b)では、変形部分を有することにより、輪郭線12aは、拡張輪郭線24aの外側にはみ出ている。これにより、処理装置8は、輪郭線12aに変形部分が有ると判定することができる。
このように、本実施形態においても、サイドウォール外面s2の異常の有無を判定することができる。
【0053】
この場合、検査対象である生タイヤTの画像部分12の形状を正常と判定する際の許容範囲をより広くすることができる。
この結果、例えば、ドラム2の回転による振動に伴って照射部分の形状に生じる誤差等、検査対象である生タイヤの照射部分の形状に誤差が含まれていたとしても、その誤差を許容することができる。
【0054】
〔その他〕
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。
上記実施形態では、撮像部6の光軸Rsと、レーザ光Lの光軸Lsと、間の角度θを45度とした場合を例示したが、光軸Rsは、レーザ光Lの断面における長手方向に交差しかつレーザ光Lの光軸Lsに交差していれば、他の値に設定してもよい。但し、上記実施形態のように、角度θを45度とすることで、画像10中の照射部分Liの画像部分12によって表される生タイヤTの幅方向の形状がより明確となる。この結果、判定処理の精度を高めることができる。
【0055】
また、上記実施形態では、画像部分12の面積、及び画像部分12の輪郭線12aのいずれか一方を用いて判定処理を行う場合を例示したが、面積及び輪郭線12aの両方を用いて判定処理を行ってもよい。
また、上記実施形態では、撮像部6としてエリアカメラを用いた場合を例示したが、撮像部6としてエリアカメラに限らず、ラインスキャンカメラを用いることもできる。
【0056】
本開示の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0057】
1 外面形状検査装置
2 ドラム
4 光源部
6 撮像部
8 処理装置
8a 処理部
10 画像
12 画像部分
12a 輪郭線
24 拡張画像部分
24a 拡張輪郭線
L レーザ光
Li 照射部分
Ls 光軸
S 外面
T 生タイヤ
s2 サイドウォール外面
θ 角度