(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049695
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】熱交換器及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
F28F 9/013 20060101AFI20240403BHJP
B23K 1/00 20060101ALI20240403BHJP
F28D 1/047 20060101ALN20240403BHJP
【FI】
F28F9/013 B
B23K1/00 330K
F28D1/047 B
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022156085
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】中野 寛之
(72)【発明者】
【氏名】木村 恭彰
(72)【発明者】
【氏名】柴田 龍之介
(72)【発明者】
【氏名】會田 亮二
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103AA01
3L103BB42
3L103CC23
3L103DD06
3L103DD44
(57)【要約】
【課題】熱交換器のろう付け装置に対する位置合わせ工程を容易に行えるようにする。
【解決手段】熱交換器10は、フィンと、管板14と、フィン及び管板14を貫通した伝熱管12とを備えている。管板14は、第1管板141、第2管板142、第3管板143及び第4管板144を含む。第2管板142に、ろう付け装置100に対する位置合わせ用の開口142xが形成されている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィンと、
管板と、
前記フィン及び前記管板を貫通した伝熱管と、を備え、
前記管板は、ろう付け装置に対する位置合わせ用の開口を有する、熱交換器。
【請求項2】
前記開口は円形である、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記管板は複数の前記開口を有する、請求項2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記開口は多角形である、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記管板は、第1管板及び第2管板を含み、
前記熱交換器は、前記第1管板と前記第2管板とが角度をなして配置された折り曲げ型である、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項6】
前記第1管板と前記第2管板とが角度をなして配置されたことで、凹部が形成され、
前記第1管板及び前記第2管板は、前記凹部を画定する一端と、他端とを有し、
前記開口は、前記第1管板及び前記第2管板の少なくとも一方における前記一端の近傍に設けられている、請求項5に記載の熱交換器。
【請求項7】
前記第1管板及び前記第2管板の少なくとも一方は、当該管板の長手方向に沿って配列された複数の前記開口を有する、請求項5に記載の熱交換器。
【請求項8】
前記第2管板の長手方向に沿って配列された前記伝熱管の数は、前記第1管板の長手方向に沿って配列された前記伝熱管の数よりも多く、
前記第2管板が前記開口を有する、請求項5に記載の熱交換器。
【請求項9】
前記管板は、前記第1管板との間に前記第2管板を挟む第3管板をさらに含み、
前記熱交換器は、前記第1管板と前記第2管板と前記第3管板とが角度をなして配置された折り曲げ型であり、
前記第2管板が前記開口を有する、請求項5に記載の熱交換器。
【請求項10】
前記管板は、前記第1管板との間に前記第2管板を挟む第3管板をさらに含み、
前記熱交換器は、前記第1管板と前記第2管板と前記第3管板とが角度をなして配置された折り曲げ型であり、
前記第1管板、前記第2管板及び前記第3管板が前記開口を有する、請求項5に記載の熱交換器。
【請求項11】
前記管板は、前記伝熱管が延びる方向から見て、前記フィンの外側に配置された外側部を有し、
前記開口は前記外側部に設けられている、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項12】
前記伝熱管はアルミ製である、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項13】
前記管板の厚みは1mm以上である、請求項1~12のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項14】
開口を有する管板と前記管板を貫通した伝熱管とを含む熱交換器前駆体を、ろう付け装置のピンを前記開口に挿入することで、前記ろう付け装置に対して位置合わせする、位置合わせ工程と、
前記位置合わせ工程の後、前記ろう付け装置を用いて前記伝熱管のろう付けを行う、ろう付け工程と、
を備えた、熱交換器の製造方法。
【請求項15】
前記管板は、第1管板及び第2管板を含み、
前記伝熱管は、前記第1管板を貫通した第1伝熱管、第2伝熱管及び第3伝熱管と、前記第2管板を貫通した第4伝熱管、第5伝熱管及び第6伝熱管と、を含み、
前記ろう付け工程は、
前記第1管板及び前記第2管板を直線状に配置した状態で、前記第1伝熱管及び前記第2伝熱管にベンド管をろう付けし、かつ、前記第4伝熱管及び前記第5伝熱管にベンド管をろう付けする、第1工程と、
前記第1工程の後、前記第1管板と前記第2管板とが角度をなして配置されるように前記熱交換器前駆体を折り曲げる、第2工程と、
前記第2工程の後、前記第3伝熱管と前記第6伝熱管とに、前記第3伝熱管と前記第6伝熱管とを接続する接続管をろう付けする、第3工程と、
を含む、請求項14に記載の熱交換器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱交換器及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、U字状パイプの開口部(ろう付け部)が上端に位置するようにコンベア上に搭載された熱交換器が、搬送方向に沿って延びた一対のガイドに案内されつつ、U字状パイプの開口部にベンドパイプが自動ろう付けされることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、熱交換器(熱交換器前駆体)がガイドに案内されることが開示されている。しかしながら、特許文献1には、熱交換器前駆体をろう付け装置に対して位置合わせすることは開示されていない。そのため、特許文献1に開示された技術では、熱交換器前駆体のろう付け装置に対する位置合わせ工程が繁雑となり得る。
【0005】
本開示の目的は、熱交換器前駆体のろう付け装置に対する位置合わせ工程を容易に行うことができる熱交換器及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1観点に係る熱交換器は、フィンと、管板と、前記フィン及び前記管板を貫通した伝熱管と、を備え、前記管板は、ろう付け装置に対する位置合わせ用の開口を有する。
【0007】
本開示の第1観点によると、管板の開口にろう付け装置のピンを挿入することで、熱交換器前駆体のろう付け装置に対する位置合わせ工程を容易に行うことができる。
【0008】
本開示の第2観点に係る熱交換器は、上記第1観点において、前記開口は円形であってよい。この場合、開口にピンを差し込み易い。
【0009】
本開示の第3観点に係る熱交換器は、上記第2観点において、前記管板は複数の前記開口を有してよい。この場合、ピンが差し込まれた後における熱交換器前駆体のろう付け装置に対する回転を抑制できる。
【0010】
本開示の第4観点に係る熱交換器は、上記第1観点において、前記開口は多角形であってよい。この場合、ピンが差し込まれた後における熱交換器前駆体のろう付け装置に対する回転を抑制できる。
【0011】
本開示の第5観点に係る熱交換器は、上記第1~第4観点のいずれかにおいて、前記管板は、第1管板及び第2管板を含み、前記熱交換器は、前記第1管板と前記第2管板とが角度をなして配置された折り曲げ型であってよい。この場合、精度の良い位置合わせが難しい折り曲げ型熱交換器において、管板に位置合わせ用の開口を設けたことで、ろう付け装置に対する位置合わせ精度が向上する。
【0012】
本開示の第6観点に係る熱交換器は、上記第5観点において、前記第1管板と前記第2管板とが角度をなして配置されたことで、凹部が形成され、前記第1管板及び前記第2管板は、前記凹部を画定する一端と、他端とを有し、前記開口は、前記第1管板及び前記第2管板の少なくとも一方における前記一端の近傍に設けられてよい。この場合、管板全体の重心の近くに開口が設けられたことで、熱交換器前駆体のろう付け装置に対する位置合わせ精度が向上する。
【0013】
本開示の第7観点に係る熱交換器は、上記第5又は第6観点において、前記第1管板及び前記第2管板の少なくとも一方は、当該管板の長手方向に沿って配列された複数の前記開口を有してよい。この場合、開口が1つのみの場合に比べ、熱交換器前駆体のろう付け装置に対する位置合わせ精度が向上する。
【0014】
本開示の第8観点に係る熱交換器は、上記第5~第7観点のいずれかにおいて、前記第2管板の長手方向に沿って配列された前記伝熱管の数は、前記第1管板の長手方向に沿って配列された前記伝熱管の数よりも多く、前記第2管板が前記開口を有してよい。この場合、ろう付け個所の多い第2管板のろう付け装置に対する位置合わせ精度が向上する。
【0015】
本開示の第9観点に係る熱交換器は、上記第5~第8観点のいずれかにおいて、前記管板は、前記第1管板との間に前記第2管板を挟む第3管板をさらに含み、前記伝熱管は、前記第3管板を貫通した第3伝熱管をさらに含み、前記熱交換器は、前記第1管板、前記第2管板及び前記第3管板が角度をなして配置された折り曲げ型であり、前記第2管板が前記開口を有してよい。この場合、第1管板又は第3管板が開口を有する場合に比べ、開口を有する管板から、当該管板から最も離隔した管板までの間に存在する折り曲げ個所の数が減少するため、上記最も離隔した管板のろう付け装置に対する位置合わせ精度が向上する。
【0016】
本開示の第10観点に係る熱交換器は、上記第5~第8観点のいずれかにおいて、前記管板は、前記第1管板との間に前記第2管板を挟む第3管板をさらに含み、前記伝熱管は、前記第3管板を貫通した第3伝熱管をさらに含み、前記熱交換器は、前記第1管板、前記第2管板及び前記第3管板が角度をなして配置された折り曲げ型であり、前記第1管板、前記第2管板及び前記第3管板が前記開口を有してよい。この場合、管板全体の位置合わせ精度が向上する。
【0017】
本開示の第11観点に係る熱交換器は、上記第1~第10観点のいずれかにおいて、前記管板は、前記伝熱管が延びる方向から見て、前記フィンの外側に配置された外側部を有し、前記開口は前記外側部に設けられてよい。この場合、ピンによるフィンの変形や破損を未然に防止しつつ位置合わせ工程を行うことができる。
【0018】
本開示の第12観点に係る熱交換器は、上記第1~第11観点のいずれかにおいて、前記伝熱管はアルミ製であってよい。この場合、軽量化及び低コスト化を実現できる。
【0019】
本開示の第13観点に係る熱交換器は、上記第1~第12観点のいずれかにおいて、前記管板の厚みは1mm以上であってよい。この場合、一定の強度を確保できる。
【0020】
本開示の第14観点に係る熱交換器の製造方法は、開口を有する管板と前記管板を貫通した伝熱管とを含む熱交換器前駆体を、ろう付け装置のピンを前記開口に挿入することで、前記ろう付け装置に対して位置合わせする、位置合わせ工程と、前記位置合わせ工程の後、前記ろう付け装置を用いて前記伝熱管のろう付けを行う、ろう付け工程と、を備えている。
【0021】
本開示の第14観点によると、第1観点と同様、管板の開口にろう付け装置のピンを挿入することで、熱交換器前駆体のろう付け装置に対する位置合わせ工程を容易に行うことができる。
【0022】
本開示の第15観点に係る熱交換器の製造方法において、前記管板は、第1管板及び第2管板を含み、前記伝熱管は、前記第1管板を貫通した第1伝熱管、第2伝熱管及び第3伝熱管と、前記第2管板を貫通した第4伝熱管、第5伝熱管及び第6伝熱管と、を含み、前記ろう付け工程は、前記第1管板及び前記第2管板を直線状に配置した状態で、前記第1伝熱管及び前記第2伝熱管にベンド管をろう付けし、かつ、前記第4伝熱管及び前記第5伝熱管にベンド管をろう付けする、第1工程と、前記第1工程の後、前記第1管板と前記第2管板とが角度をなして配置されるように前記熱交換器前駆体を折り曲げる、第2工程と、前記第2工程の後、前記第3伝熱管と前記第6伝熱管とに、前記第3伝熱管と前記第6伝熱管とを接続する接続管をろう付けする、第3工程と、を含んでよい。この場合、熱交換器前駆体を折り曲げる第2工程の前に、第1工程において各管板内でのろう付けを行う。そして、第2工程において熱交換器前駆体を折り曲げた後、第3工程において2つの管板の伝熱管同士を接続する接続管のろう付けを行う。これにより、折り曲げ型の熱交換器において高い精度でろう付けを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本開示の第1実施形態に係る熱交換器を含む空気調和機の、外装パネルを取り外した状態での正面図である。
【
図3】
図1に示す熱交換器の製造方法を示すフロー図である。
【
図7】本開示の第2実施形態に係る熱交換器の右側面図である。
【
図8】本開示の第3実施形態に係る熱交換器の右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<第1実施形態>
先ず、
図1を参照し、本開示の第1実施形態に係る熱交換器10を含む空気調和機1の全体構成について説明する。なお、以下の説明において、「上」「下」「右」「左」「前」「後」の方向は、空気調和機1が
図1の状態で設置された状態での方向を表す。
【0025】
空気調和機1は、熱交換器10と、ファン及びフィルタ(図示略)と、フレーム1fと、外装パネル(図示略)とを有する。空気調和機1は室内機であり、熱交換器10は室内熱交換器である。
【0026】
フレーム1fは、空気調和機1の底部及び後部を構成する。フレーム1fは、一方向に長く、
図1において当該一方向が左右方向に沿うように、取付板(図示略)を介して室内の壁面に取り付けられている。ファン、外装パネル及び熱交換器10は、フレーム1fに取り付けられている。フィルタは、外装パネルに取り付けられている。
【0027】
熱交換器10は、フレーム1fと同様に一方向(
図1の左右方向)に長い。
【0028】
次いで、
図1及び
図2を参照し、熱交換器10の構成について詳細に説明する。
【0029】
熱交換器10は、
図1に示すように、複数のフィン11と、複数の伝熱管12と、管板14とを含む。伝熱管12及び管板14は、アルミ製である。
【0030】
複数のフィン11は、それぞれ、薄板状であり、板面が上下方向及び前後方向に沿うように配置されている。複数のフィン11は、左右方向に等間隔に並んでいる。
【0031】
複数の伝熱管12は、それぞれ、左右方向に延び、複数のフィン11を貫通している。
【0032】
なお、
図1では、簡略化のため、複数の伝熱管12の一部のみを描いており、複数のフィン11の一部のみを部分的に描いている。
【0033】
各伝熱管12の左端は、U字状の曲げ部21を介して別の伝熱管12の左端と接続されている。各伝熱管12の右端は、ベンド管22を介して別の伝熱管12の右端と接続されるか、或いは、冷媒管17と接続されている。曲げ部21は、複数のフィン11に対して左側に位置している。ベンド管22は、複数のフィン11に対して右側に位置している。
【0034】
曲げ部21は伝熱管12と一体的に形成されており、1本の管を折り曲げることで一対の伝熱管12と曲げ部21とがU字状管として形成される。一方、ベンド管22は、上記のように折り曲げて形成されたU字状管の開口端(伝熱管12の右端)に溶接されたものである。
【0035】
ベンド管22の近傍には、伝熱管12に冷媒を供給するための構成要素(冷媒管17、分流器18、膨張弁19等)が配置されている。
【0036】
管板14は、板面が上下方向及び前後方向に沿うように配置されており、複数のフィン11に対して右側に位置する。管板14には、複数の伝熱管12が貫通している。管板14と各伝熱管12との間にはほとんど間隙がなく、管板14がフィン11及び複数の伝熱管12を支持している。管板14の右側、即ち管板14に対して複数のフィン11と反対側に、ベンド管22が配置されている。なお、図示を省略するが、複数のフィン11に対して左側にも、管板が配置されている。
【0037】
管板14は、
図2に示すように、第1管板141と、第2管板142と、第3管板143と、第4管板144とを含む。各管板141~144の厚みは、1mm以上である。熱交換器10は、第1~第4管板141~144がそれぞれ隣り合う管板141~144と角度をなして配置された折り曲げ型である。第1~第4管板141~144のそれぞれに、複数の伝熱管12が貫通している。各U字状管(1本の管を折り曲げることで一対の伝熱管12と曲げ部21とが形成するU字状管)における一対の伝熱管12は、第1~第4管板141~144のうちの同じ管板を貫通している。
【0038】
第1~第4管板141~144が角度をなして配置されたことで、凹部Cが形成されている。第1~第4管板141~144は、それぞれ、当該管板の幅方向の一端141a~144aと他端141b~144bとを有する。一端141a~144aは、凹部Cを画定している。他端141b~144bは、一端141a~144aよりも、凹部Cから離隔している。
【0039】
第3管板143は、第1~第4管板141~144のうち最も後方に位置し、第1管板141との間に第2管板142を挟んでいる。第3管板143は第2管板142と接続され、第2管板142は第1管板141と接続され、第1管板141は第4管板144と接続されている。第4管板144は、第1~第4管板141~144のうち最も下方に位置している。
【0040】
各管板141~144において、複数の伝熱管12のうち少なくとも1本の伝熱管12は、ベンド管22を介して別の伝熱管12と接続されている。管板141,142,144に設けられたベンド管22は、所謂Uベンド管である。第2管板142を貫通した1本の伝熱管12と、第1管板141を貫通した1本の伝熱管12とは、U字状の接続管25によって互いに接続されている。同様に、第1管板141を貫通した1本の伝熱管12と、第4管板144を貫通した1本の伝熱管12とは、U字状の接続管25によって互いに接続されている。
【0041】
第2管板142の長手方向に沿って配列された伝熱管12の数(6本)は、第1管板141の長手方向に沿って配列された伝熱管12の数(4本)よりも多い。
【0042】
第2管板142には、2つの開口142xが形成されている。2つの開口142xは、後述するろう付け装置100(
図4及び
図5参照)に対する位置合わせ用の開口であり、それぞれ円形である。2つの開口142xは、第2管板142における一端142aの近傍に設けられ、第2管板142の長手方向に沿って配列されている。
【0043】
第2管板142は、フィン11(
図1参照)の配置空間と左右方向に重なる領域R1と、当該領域R1の外側の領域R2とを有する。領域R2は、左右方向(伝熱管12が延びる方向)から見てフィン11の外側に配置された領域であり、本開示の「外側部」に該当する。2つの開口142xは、領域R2に設けられている。
【0044】
第2管板142には、さらに、開口142yが形成されている。開口142yは、フレーム1fに固定するための開口であり、矩形状である。第1管板141には、フック141yが形成されている。開口142yにフレーム1fの爪(図示略)が引っ掛かり、フック141yがフレーム1fの開口(図示略)に引っ掛けられることで、管板14がフレーム1fに対して固定される。
【0045】
次いで、
図3~
図5を参照し、熱交換器10の製造方法について説明する。
【0046】
先ず、
図3及び
図4に示すように、第1~第4管板141~144を直線状に配置した状態で、ろう付け装置100の2つの円柱状のピン101を各開口142xに挿入することで、ろう付け装置100に対して熱交換器前駆体10Xを位置合わせする(S0:位置合わせ工程)。
【0047】
熱交換器前駆体10Xは、フィン11(
図1参照)、管板14、伝熱管12及び曲げ部21を含み、ベンド管22及び接続管25を含まない。ろう付け装置100は、第2管板142における領域R2と対向する部分に配置される。
【0048】
S0の後、
図3及び
図4に示すように、第1~第4管板141~144の各管板内で、ベンド管22をろう付けする(S1:第1工程)。具体的には、
図4に示すように、第1管板141を貫通する2本の伝熱管121,122にベンド管22をろう付けし、かつ、第2管板142を貫通する2本の伝熱管124,125にベンド管22をろう付けする。2本の伝熱管121,122は、それぞれ別のU字状管(1本の管を折り曲げることで一対の伝熱管12と曲げ部21とが形成するU字状管)を構成するものである。2本の伝熱管124,125は、それぞれ別のU字状管を構成するものである。
【0049】
S1の後、
図5に示すように、第1~第4管板141~144が角度をなして配置されるように、熱交換器前駆体10Xを折り曲げる(S2:第2工程)。
【0050】
S2の後、
図6に示すように、管板141,142を接続する接続管25、及び、管板141,144を接続する接続管25を、ろう付けする(S3:第3工程)。具体的には、第1管板141を貫通する1本の伝熱管123と、第2管板142を貫通する1本の伝熱管126とに、伝熱管123,126を接続する接続管25をろう付けする。また、第1管板141を貫通する1本の伝熱管127と、第4管板144を貫通する1本の伝熱管128とに、伝熱管127,128を接続する接続管25をろう付けする。これにより、熱交換器10(
図2参照)が完成する。
【0051】
S1~S3は、ろう付け装置100を用いて伝熱管12のろう付けを行う工程であり、本開示の「ろう付け工程」に該当する。伝熱管121は本開示の「第1伝熱管」に該当し、伝熱管122は本開示の「第2伝熱管」に該当し、伝熱管123は本開示の「第3伝熱管」に該当する。伝熱管124は本開示の「第4伝熱管」に該当し、伝熱管125は本開示の「第5伝熱管」に該当し、伝熱管126は本開示の「第6伝熱管」に該当する。
【0052】
以上に述べたように、本実施形態によると、第2管板142に、ろう付け装置100に対する位置合わせ用の開口142xが形成されている(
図6参照)。開口142xにろう付け装置100のピン101を挿入することで、熱交換器前駆体10Xのろう付け装置100に対する位置合わせ工程を容易に行うことができる。
【0053】
開口142xは円形である(
図6参照)。この場合、開口142xにピン101を差し込み易い。
【0054】
管板14は複数の開口142xを有する(
図6参照)。この場合、ピン101が差し込まれた後における熱交換器前駆体10Xのろう付け装置100に対する回転を抑制できる。
【0055】
熱交換器10は、第1~第4管板141~144が角度をなして配置された折り曲げ型である(
図6参照)。この場合、精度の良い位置合わせが難しい折り曲げ型熱交換器10において、開口142xを設けたことで、ろう付け装置100に対する位置合わせ精度が向上する。
【0056】
第1~第4管板141~144が角度をなして配置されたことで、凹部Cが形成されている(
図2参照)。開口142xは、第2管板142における凹部Cを画定する一端142aの近傍に設けられている。この場合、管板14全体の重心の近くに開口142xが設けられたことで、熱交換器前駆体10Xのろう付け装置100に対する位置合わせ精度が向上する。
【0057】
第2管板142は、当該管板の長手方向に沿って配列された複数の開口142xを有する(
図2参照)。この場合、開口142xが1つのみの場合に比べ、熱交換器前駆体10Xのろう付け装置100に対する位置合わせ精度が向上する。
【0058】
第2管板142の長手方向に沿って配列された伝熱管12の数は、第1管板141の長手方向に沿って配列された伝熱管12の数よりも多い(
図2参照)。この場合において、第2管板142が開口142xを有することで、ろう付け個所の多い第2管板142のろう付け装置100に対する位置合わせ精度が向上する。
【0059】
第1管板141と第3管板143との間に位置する第2管板142に、開口142xが形成されている(
図2参照)。この場合、第1管板141又は第3管板143が開口を有する場合に比べ、開口を有する管板から、当該管板から最も離隔した管板までの間に存在する折り曲げ個所の数が減少するため、上記最も離隔した管板のろう付け装置100に対する位置合わせ精度が向上する。
【0060】
開口142xは、領域R2(フィン11の外側に配置された外側部)に設けられている(
図2参照)。この場合、ピン101によるフィン11の変形や破損を未然に防止しつつ位置合わせ工程を行うことができる。
【0061】
伝熱管12はアルミ製である。この場合、軽量化及び低コスト化を実現できる。
【0062】
管板141~144の厚みは1mm以上である。この場合、一定の強度を確保できる。
【0063】
熱交換器10の製造方法において、熱交換器前駆体10Xを折り曲げる工程(S2)の前に、第1~第4管板141~144を直線状に配置した状態で第1~第4管板141~144の各管板内でべンド管22をろう付けする(S1)。そして、S2において熱交換器前駆体10Xを折り曲げた後、2つの管板141,142の伝熱管12同士を接続する接続管25のろう付けを行う(S3)。これにより、折り曲げ型の熱交換器10において高い精度でろう付けを行うことができる。
【0064】
<第2実施形態>
次いで、
図7を参照し、本開示の第2実施形態に係る熱交換器210について説明する。
【0065】
第2実施形態に係る熱交換器210は、位置合わせ用の開口の個数及び形状を除き、第1実施形態に係る熱交換器10と同じ構成である。
【0066】
第2実施形態において、管板14は、1つの位置合わせ用の開口242xを有する。開口242xは矩形である。この場合、ろう付け装置100のピン101(
図6参照)は円柱状ではなく角柱状となる。
【0067】
本実施形態によると、開口242xが多角形である。この場合、開口242xにピン101が差し込まれた後における熱交換器前駆体のろう付け装置100に対する回転を抑制できる。
【0068】
<第3実施形態>
次いで、
図8を参照し、本開示の第3実施形態に係る熱交換器310について説明する。
【0069】
第3実施形態に係る熱交換器310は、位置合わせ用の開口の配置を除き、第1実施形態に係る熱交換器10と同じ構成である。
【0070】
第3実施形態において、管板14は、3つの位置合わせ用の開口341x,342x,343xを有する。開口341xは第1管板141に形成されており、開口342xは第2管板142に形成されており、開口343xは第3管板143に形成されている。
【0071】
本実施形態によると、第1~第3管板141~143のそれぞれが位置合わせ用の開口341x,342x,343xを有することで、管板14全体のろう付け装置100に対する位置合わせ精度が向上する。
【0072】
<変形例>
上述の実施形態では、フィンを含む熱交換器前駆体をろう付け装置に対して位置合わせしてろう付け工程を行うが、これに限定されず、フィンを含まない熱交換器前駆体をろう付け装置に対して位置合わせしてろう付け工程を行った後、熱交換器前駆体にフィンを取り付けてもよい。
【0073】
第2実施形態において、開口242xは矩形であるが、矩形以外の多角形(五角形等)であってもよい。
【0074】
本開示に係る「熱交換器」は、室内熱交換器に限定されず、室外熱交換器であってもよい。
【0075】
以上、実施形態を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0076】
1 空気調和機
10;210;310 熱交換器
11 フィン
12 伝熱管
121 第1伝熱管
122 第2伝熱管
123 第3伝熱管
124 第4伝熱管
14 管板
141 第1管板
141a 一端
141b 他端
142 第2管板
142a 一端
142b 他端
142x;242x 開口
143 第3管板
143a 一端
143b 他端
22 ベンド管
25 接続管
10X 熱交換器前駆体
100 ろう付け装置
101 ピン
341x,342x,343x 開口
C 凹部
R2 領域(外側部)