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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049719
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/28 20060101AFI20240403BHJP
【FI】
E06B7/28 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022156121
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(72)【発明者】
【氏名】前 健哉
(57)【要約】
【課題】障子に給電する給電装置の劣化及び故障を抑制できる建具を提供する。
【解決手段】枠体に取り付けられた障子と、枠体の内部に位置し第1開口部を介して障子と対向する給電側電極と、框の第2開口部を介して給電側電極と対向する受電側電極と、第1開口部を遮蔽する位置と開放する位置との間を移動する第1遮蔽部と、第2開口部を遮蔽する位置と開放する位置との間を移動する第2遮蔽部と、給電側電極、受電側電極、第1遮蔽部、第2遮蔽部を、非給電位置と給電位置との間において移動させる給電装置とを備える。給電装置は、非給電位置において、第1開口部、第2開口部を遮蔽する位置に第1遮蔽部、第2遮蔽部を配置し、給電側電極を枠体の内部に配置し、受電側電極を框の内部に配置し、給電位置において、第1開口部、第2開口部を開放する位置に第1遮蔽部、第2遮蔽部を配置し、給電側電極と受電側電極を接触させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状の枠体に取り付けられた障子と、
前記枠体の内部に、前記枠体における前記障子と対向する第1対向面に形成された第1開口部を介して前記障子と対向して設けられ前記障子との対向方向に移動可能な給電側電極と、
前記障子における框の内部に設けられ、前記障子が閉じたときに前記第1開口部と対向する位置に、前記框における前記枠体と対向する第2対向面に形成された第2開口部を介して前記給電側電極と対向し、前記対向方向に移動可能な受電側電極と、
前記枠体の内部に設けられ、前記第1開口部を遮蔽する位置と開放する位置との間を移動可能な第1遮蔽部と、
前記框の内部に設けられ、前記第2開口部を遮蔽する位置と開放する位置との間を移動可能な第2遮蔽部と、
前記給電側電極、前記受電側電極、前記第1遮蔽部及び前記第2遮蔽部を、前記給電側電極から前記受電側電極に給電が行われない非給電位置と、前記給電側電極から前記受電側電極に給電が行われる給電位置との間において一体的に移動させる給電装置と、
を備え、
前記給電装置は、
前記障子が閉じる前の前記非給電位置において、前記第1開口部を遮蔽する位置に前記第1遮蔽部を配置し、前記第2開口部を遮蔽する位置に前記第2遮蔽部を配置し、前記給電側電極を前記枠体の内部に配置し、前記受電側電極を前記框の内部に配置し、
前記障子が閉じたときの前記給電位置において、前記第1開口部を開放する位置に前記第1遮蔽部を配置し、前記第2開口部を開放する位置に前記第2遮蔽部を配置し、前記給電側電極と前記受電側電極を接触させる、建具。
【請求項2】
前記給電装置は、
前記枠体の内部に設けられ、前記対向方向に移動可能な第1突出部と、
前記框の内部に設けられ前記対向方向に移動可能な第2突出部と、
前記第1突出部の前記対向方向の移動に伴って、前記第1突出部の移動方向と逆側に前記給電側電極を移動させる第1リンク機構と、
前記第2突出部の前記対向方向の移動に伴って、前記第2突出部の移動方向と逆側に前記受電側電極を移動させる第2リンク機構と、
を有し、
前記第1突出部は、前記枠体に形成され前記第1開口部と異なる第3開口部と対向し、
前記第2突出部は、前記框に形成され前記第2開口部と異なる第4開口部と対向し、

前記第1突出部が前記対向方向に移動して前記第3開口部から突出するとともに、前記第2突出部が前記対向方向に移動して前記第4開口部から突出したときに前記非給電位置となり、
前記障子が閉じて前記第1突出部及び前記第2突出部が前記対向方向に移動して、前記第1突出部の先端面と前記第2突出部の先端面が前記第1対向面及び第2対向面と面一のときに前記給電位置となる、
請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記第1突出部が前記第3開口部から突出する向きに前記第1突出部を付勢する第1付勢部材と、
前記第2突出部が前記第4開口部から突出する向きに前記第2突出部を付勢する第2付勢部材と、
を有する、
請求項2に記載の建具。
【請求項4】
前記給電側電極の前記対向方向の移動をガイドする第1ガイド部と、
前記受電側電極の前記対向方向の移動をガイドする第2ガイド部と、
を有し、
前記第1ガイド部及び前記第2ガイド部の何れか一方は、前記対向方向と直交する第1方向の移動と、前記対向方向と前記第1方向との双方に直交する第2方向の移動とをガイドし、
前記第1ガイド部及び前記第2ガイド部の何れか他方は、少なくとも前記第2方向に自由度をもってガイドする、
請求項1から3のいずれか一項に記載の建具。
【請求項5】
前記給電側電極及び前記受電側電極の何れか一方は、互いに対向する面に磁石部を有し、
前記給電側電極及び前記受電側電極の何れか他方は、互いに対向する面に磁性部を有する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、建具に関する。
【背景技術】
【0002】
建具において、障子に取付けた電気錠側のリード線と、戸枠側に設けた制御盤側のリード線とを通電するための障子用の通電装置が特許文献1に開示されている。特許文献1の通電装置においては、障子側電極と枠側電極の両電極が互いに対向する方向に常時に付勢されて独立して動くことによって、両電極同士が確実に接触され接触不良が防止されると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-297881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電極同士の接点は露出しているため、水掛かり及び湿気による劣化が懸念される。戸枠と障子の隙間が小さい場合、給電側の電極が他の部材に接触して擦れる可能性が高く、故障しやすくなるという問題が生じる。
【0005】
本開示は、以上のような点を考慮してなされたもので、障子に給電する給電装置の劣化及び故障を抑制できる建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様は、矩形状の枠体に取り付けられた障子と、前記枠体の内部に、前記枠部における前記障子と対向する第1対向面に形成された第1開口部を介して前記障子と対向して設けられ前記障子との対向方向に移動可能な給電側電極と、前記障子における框の内部に設けられ、前記障子が閉じたときに前記第1開口部と対向する位置に、前記框における前記枠体と対向する第2対向面に形成された第2開口部を介して前記給電側電極と対向し、前記対向方向に移動可能な受電側電極と、前記枠体の内部に設けられ、前記第1開口部を遮蔽する位置と開放する位置との間を移動可能な第1遮蔽部と、前記框の内部に設けられ、前記第2開口部を遮蔽する位置と開放する位置との間を移動可能な第2遮蔽部と、前記給電側電極、前記受電側電極、前記第1遮蔽部及び前記第2遮蔽部を、前記給電側電極から前記受電側電極に給電が行われない非給電位置と、前記給電側電極から前記受電側電極に給電が行われる給電位置との間において一体的に移動させる給電装置と、を備え、前記給電装置は、前記障子が閉じる前の前記非給電位置において、前記第1開口部を遮蔽する位置に前記第1遮蔽部を配置し、前記第2開口部を遮蔽する位置に前記第2遮蔽部を配置し、前記給電側電極を前記枠体の内部に配置し、前記受電側電極を前記框の内部に配置し、前記障子が閉じたときの前記給電位置において、前記第1開口部を開放する位置に前記第1遮蔽部を配置し、前記第2開口部を開放する位置に前記第2遮蔽部を配置し、前記給電側電極と前記受電側電極を接触させる、建具である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の建具を屋内側から見た図である。
図2】本開示の給電装置を屋内側から見た拡大図である。
図3】本開示の給電装置を屋外側から見た斜視図である。
図4】接触する給電側電極と受電側電極の横断面図である。
図5】本開示の給電装置を屋内側から見た拡大図である。
図6】本開示の給電装置の変形例示す図である。
図7】本開示の給電装置の変形例示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の建具の実施の形態を、図1から図7を参照して説明する。以下の実施形態は、本開示の一態様を示すものであり、この開示を限定するものではなく、本開示の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺等を異ならせている。
【0009】
建具1の全体構成について説明する。図1に示すように、建具1は、建物の壁に形成された開口部1Aに取り付けられる矩形状の枠体2と、枠体2に左右方向にスライド移動可能な障子10A、10Bと、給電装置30と、を備えている。枠体2は、上枠3と下枠4と左右の縦枠5とを有し、四角形枠状に形成されている。
【0010】
以下、建物の開口に取り付けられた状態の建具1を屋内側から見たときに、上下となる方向を上下方向、左右となる方向を左右方向として示す建具1において、左右方向に直交し屋内外方向に沿った方向を見込み方向と呼ぶ。見込み方向は第1方向に対応する。上下方向は、第2方向に対応する。
【0011】
建具1は、枠体2の内部に開口部1Aを開閉するための外障子となる障子10Aと、内障子となる障子10Bが見込み方向に納められている。障子10Aは屋外側に、障子10Bは屋内側にそれぞれ設けられて、開口部1Aを横開きに開閉する。障子10Aと障子10Bは、引き違い障子である。
【0012】
障子10Aと障子10Bは、それぞれ上框11と下框12と左右の縦框13、14とを有し、四角形枠状に形成されている。障子10Aにおける縦框13は、障子10Aにおいて戸先側に位置する戸先框に対応する。以下の説明では、障子10Aにおける縦框13を戸先框13と呼ぶ。障子10Aと障子10Bの内部には、例えばガラスが納められている。
【0013】
給電装置30は、枠側デバイス30Aと、障子側デバイス30Bと、を有する。枠側デバイス30Aは、枠体2における左側の縦枠5の内部に設けられる。縦枠5は枠体2に対応する。障子側デバイス30Bは、戸先框13の内部に設けられる。給電装置30は、枠側デバイス30Aから障子側デバイス30Bに給電する。
【0014】
図2及び図3に示すように、枠側デバイス30Aは、第1リンク機構50Aと、給電側電極31Aと、第1遮蔽部32Aと、第1突出部33Aと、を有する。
【0015】
第1リンク機構50Aは、第1突出部33Aの対向方向の移動に伴って、第1突出部33Aの移動方向と逆側に給電側電極31Aを移動させる。第1リンク機構50Aは、固定板51Aと、第1ガイド部52Aと、ガイド軸53Aと、ガイド軸54Aと、移動部55Aと、移動部56Aと、移動部57Aと、ジョイント58Aと、ジョイント59Aと、ジョイント60Aと、リンク61Aと、リンク62Aと、を有する。
【0016】
固定板51Aは、上下方向に延びる矩形板状であり、縦枠5における左側の内面に固定される。第1ガイド部52Aは、固定板51Aにおける上側から右側に対向方向に延びる矩形板状である。第1ガイド部52Aにおける右側の先端は、縦枠5における右側の内面と隙間をもって離れている。ガイド軸53Aは、固定板51Aにおける下側から右側に対向方向に延びる四角柱状である。ガイド軸54Aは、上下方向に延びる半円柱状である。ガイド軸54Aの上端は、第1ガイド部52Aにおける右側の先端の下面に連結されている。ガイド軸54Aの下端は、ガイド軸53Aにおける右側の先端に連結されている。
【0017】
移動部55Aは、第1ガイド部52Aの上側に配置されている。移動部55Aには、見込み方向に延びる円柱状のジョイント58Aが挿し通されている。移動部55Aは、ジョイント58Aに対して回転可能である。詳細は後述するが、移動部55Aは、第1ガイド部52Aの上面に沿って対向方向に移動可能である。
【0018】
移動部56Aには、ガイド軸53Aが挿し通されている。移動部56Aは、ガイド軸53Aにガイドされて対向方向に移動可能である。ガイド軸53Aは四角柱状であるため、移動部56Aは、ガイド軸53Aに対して回転不能である。移動部56Aには、見込み方向に延びる円柱状のジョイント59Aが挿し通されている。移動部56Aは、ジョイント59Aに対して回転可能である。
【0019】
移動部57Aには、ガイド軸54Aが上下方向に挿し通されている。移動部57Aは、ガイド軸54Aにガイドされて上下方向に移動可能である。ガイド軸54Aは四角柱状であるため、移動部57Aは、ガイド軸54Aに対して回転不能である。移動部57Aには、見込み方向に延びる円柱状のジョイント60Aが挿し通されている。移動部57Aは、ジョイント60Aに対して回転可能である。
【0020】
リンク61Aは、ジョイント58Aとジョイント60Aにそれぞれ端部が回転可能に連結される。リンク62Aは、ジョイント59Aとジョイント60Aにそれぞれ端部が回転可能に連結される。
【0021】
実施形態の第1リンク機構50Aにおいては、移動部56Aがガイド軸53Aにガイドされて、ジョイント59A及びリンク62Aとともに左側に移動したときに、移動部57Aがガイド軸54Aにガイドされて、ジョイント60A及びリンク62Aとともに下側に移動する。移動部57Aがガイド軸54Aにガイドされてジョイント60A及びリンク62Aとともに下側に移動したときに、移動部55Aが第1ガイド部52Aの上面に案内されて、ジョイント58A及びリンク61Aとともに右側に移動する。
【0022】
実施形態の第1リンク機構50Aにおいては、移動部56Aがガイド軸53Aにガイドされて、ジョイント59A及びリンク62Aとともに右側に移動したときに、移動部57Aがガイド軸54Aにガイドされて、ジョイント60A及びリンク62Aとともに上側に移動する。移動部57Aがガイド軸54Aにガイドされてジョイント60A及びリンク62Aとともに上側に移動したときに、移動部55Aが第1ガイド部52Aの上面に案内されて、ジョイント58A及びリンク61Aとともに左側に移動する。移動部55Aは、下側への移動は、第1ガイド部52Aによって拘束されるが、上側へは自由度をもって対向方向に移動可能である。
【0023】
給電側電極31Aは、縦枠5の内部に設けられる。給電側電極31Aは、左右方向に延びる直方体状である。給電側電極31Aは、枠体2における障子10Aと対向する第1対向面21に形成された第1開口部5aと対向して設けられている。給電側電極31Aの上下方向の寸法及び見込み方向の寸法は、第1開口部5aの上下方向の寸法及び見込み方向の寸法よりもそれぞれ短い。給電側電極31Aは、右側に移動したときに第1開口部5aから突出可能である。給電側電極31Aは、第1開口部5aを介して障子10Aと左右方向に対向している。左右方向は、対向方向に対応する。給電側電極31Aは、移動部55Aの上側に連結されて固定されている。給電側電極31Aは、移動部55Aの移動に伴って上側への自由度をもって対向方向に移動可能である。
【0024】
図4に示すように、給電側電極31Aは、プラグ40と、磁石部41と、を有する。プラグ40は、見込み方向に間隔をあけて2つ配置されている。プラグ40は、右側に突出する。プラグ40は、給電端子である。磁石部41は、給電側電極31Aにおける右側の面に埋設されている。磁石部41は、給電側電極31Aにおいて2つのプラグ40の間に配置されている。
【0025】
第1遮蔽部32Aは、縦枠5の内部に設けられ、第1開口部5aを遮蔽する位置と開放する位置との間を上下方向に移動可能である。第1遮蔽部32Aは、上下方向に延びる矩形板状である。第1遮蔽部32Aは、第1開口部5aが開口する壁面に沿って移動可能である。第1遮蔽部32Aは、下端側において移動部57Aに右側から連結されている。第1遮蔽部32Aは、移動部57Aの移動に伴って上下方向に移動可能である。
【0026】
第1突出部33Aは、縦枠5の内部に設けられ対向方向に移動可能である。第1突出部33Aは、左右方向に延びる直方体状である。第1突出部33Aは、第1対向面21に形成され第1開口部5aと異なる第3開口部5bと対向して設けられている。第1突出部33Aの上下方向の寸法及び見込み方向の寸法は、第3開口部5bの上下方向の寸法及び見込み方向の寸法よりもそれぞれ短い。第1突出部33Aは、右側に移動したときに第3開口部5bから突出可能である。第1突出部33Aは、第3開口部5bを介して障子10Aと左右方向に対向している。
【0027】
第1突出部33Aは、対向方向の中途において全周に亘って突出する係合部63Aを有する。係合部63Aの上下方向の寸法及び見込み方向の寸法は、第3開口部5bの上下方向の寸法及び見込み方向の寸法よりもそれぞれ短い。第1突出部33Aが右側に移動して第3開口部5bから突出したときに、係合部63Aは縦枠5に係合する。第1突出部33Aは、上側において移動部56Aに下側から連結されている。第1突出部33Aは、移動部56Aの移動に伴って対向方向に移動可能である。
【0028】
第1突出部33Aの左側には、第1付勢部材64Aが設けられている。第1付勢部材64Aは、固定板51Aと第1突出部33Aとの間に配置されている。第1付勢部材64Aは、例えば、圧縮バネである。第1付勢部材64Aは、第1突出部33Aが第3開口部5bから突出する向きに第1突出部33Aを左側から付勢する。図3においては、第1付勢部材64Aの図示を省略している。
【0029】
障子側デバイス30Bは、第2リンク機構50Bと、受電側電極31Bと、第2遮蔽部32Bと、第2突出部33Bと、を有する。
【0030】
第2リンク機構50Bは、第2突出部33Bの対向方向の移動に伴って、第2突出部33Bの移動方向と逆側に受電側電極31Bを移動させる。第2リンク機構50Bは、固定板51Bと、第2ガイド部52Bと、ガイド軸53Bと、ガイド軸54Bと、移動部55Bと、移動部56Bと、移動部57Bと、ジョイント58Bと、ジョイント59Bと、ジョイント60Bと、リンク61Bと、リンク62Bと、を有する。
【0031】
固定板51Bは、上下方向に延びる矩形板状であり、縦框13における右側の内面に固定される。第2ガイド部52Bは、固定板51Bにおける上側から左側に対向方向に沿って延びる半円柱状である。第2ガイド部52Bにおける左側の先端は、縦框13における左側の内面と隙間をもって離れている。ガイド軸53Bは、固定板51Bにおける下側から左側に対向方向に延びる四角柱状である。ガイド軸54Bは、上下方向に延びる半円柱状である。ガイド軸54Bの上端は、第2ガイド部52Bにおける右左側の先端の下側に連結されている。ガイド軸54Bの下端は、ガイド軸53Bにおける左側の先端に連結されている。
【0032】
移動部55Bは、第2ガイド部52Bの上側に配置されている。移動部55Bには、見込み方向に延びる円柱状のジョイント58Bが挿し通されている。移動部55Bは、ジョイント58Bに対して回転可能である。移動部55Bは、第2ガイド部52Bに沿って対向方向に移動可能である。
【0033】
移動部56Bには、ガイド軸53Bが挿し通されている。移動部56Bは、ガイド軸53Bにガイドされて対向方向に移動可能である。ガイド軸53Bは四角柱状であるため、移動部56Aは、ガイド軸53Bに対して回転不能である。移動部56Bには、見込み方向に延びる円柱状のジョイント59Bが挿し通されている。移動部56Bは、ジョイント59Bに対して回転可能である。
【0034】
移動部57Bには、ガイド軸54Bが上下方向に挿し通されている。移動部57Bは、ガイド軸54Bにガイドされて上下方向に移動可能である。ガイド軸54Bは四角柱状であるため、移動部57Bは、ガイド軸54Bに対して回転不能である。移動部57Bには、見込み方向に延びる円柱状のジョイント60Bが挿し通されている。移動部57Bは、ジョイント60Bに対して回転可能である。
【0035】
リンク61Bは、ジョイント58Bとジョイント60Bにそれぞれ端部が回転可能に連結される。リンク62Bは、ジョイント59Bとジョイント60Bにそれぞれ端部が回転可能に連結される。
【0036】
実施形態の第2リンク機構50Bにおいては、移動部56Bがガイド軸53Bにガイドされて、ジョイント59B及びリンク62Bとともに右側に移動したときに、移動部57Bがガイド軸54Bにガイドされて、ジョイント60B及びリンク62Bとともに下側に移動する。移動部57Bがガイド軸54Bにガイドされてジョイント60B及びリンク62Bとともに下側に移動したときに、移動部55Bが第2ガイド部52Bに案内されて、ジョイント58B及びリンク61Bとともに左側に移動する。
【0037】
実施形態の第2リンク機構50Bにおいては、移動部56Bがガイド軸53Bにガイドされて、ジョイント59B及びリンク62Bとともに左側に移動したときに、移動部57Bがガイド軸54Bにガイドされて、ジョイント60B及びリンク62Bとともに上側に移動する。移動部57Bがガイド軸54Aにガイドされてジョイント60A及びリンク62Aとともに下側に移動したときに、移動部55Bが第2ガイド部52Bに案内されて、ジョイント58B及びリンク61Bとともに右側に移動する。
【0038】
受電側電極31Bは、戸先框13の内部に設けられる。受電側電極31Bは、左右方向に延びる直方体状である。受電側電極31Bは、戸先框13における枠体2と対向する第2対向面22に形成された第2開口部13aと対向して設けられている。受電側電極31Bの上下方向の寸法及び見込み方向の寸法は、第2開口部13aの上下方向の寸法及び見込み方向の寸法よりもそれぞれ短い。受電側電極31Bは、左側に移動したときに第2開口部13aから突出可能である。受電側電極31Bは、第2開口部13aを介して枠体2と対向方向に対向している。受電側電極31Bは、移動部55Bの上側に連結されて固定されている。受電側電極31Bは、移動部55Bの移動に伴って対向方向に移動可能である。
【0039】
図4に示したように、受電側電極31Bは、プラグ40と対向する位置に2つの挿入孔42を有する。挿入孔42は、給電側電極31Aと受電側電極31Bが接触したときに、プラグ40がそれぞれ挿入される。挿入孔42にプラグ40が挿入されることによって、給電側電極31Aから受電側電極31Bに給電される。受電側電極31Bは、見込み方向で挿入孔42の間に配置された磁性部43を有する。磁性部43は、磁性材で形成されている。磁性部43は、一例として鋼板である。磁性部43は、受電側電極31Bにおいて給電側電極31Aと互いに対向する面に設けられる。
【0040】
第2遮蔽部32Bは、戸先框13の内部に設けられ、第2開口部13aを遮蔽する位置と開放する位置との間を上下方向に移動可能である。第2遮蔽部32Bは、上下方向に延びる矩形板状である。第2遮蔽部32Bは、第2開口部13aが開口する壁面に沿って移動可能である。第2遮蔽部32Bは、下端側において移動部57Bに左側から連結されている。第2遮蔽部32Bは、移動部57Bの移動に伴って上下方向に移動可能である。
【0041】
第2突出部33Bは、戸先框13の内部に設けられ対向方向に移動可能である。第2突出部33Bは、左右方向に延びる直方体状である。第2突出部33Bは、第2対向面22に形成され第2開口部13aと異なる第4開口部13bと対向して設けられている。
第2突出部33Bの上下方向の寸法及び見込み方向の寸法は、第4開口部13bの上下方向の寸法及び見込み方向の寸法よりもそれぞれ短い。第2突出部33Bは、左側に移動したときに第4開口部13bから突出可能である。第2突出部33Bは、第4開口部13bを介して枠体2と対向方向に対向している。
【0042】
第2突出部33Bは、対向方向の中途において全周に亘って突出する係合部63Bを有する。係合部63Bの上下方向の寸法及び見込み方向の寸法は、第4開口部13bの上下方向の寸法及び見込み方向の寸法よりもそれぞれ短い。第2突出部33Bが左側に移動して第4開口部13bから突出したときに、係合部63Bは戸先框13に係合する。第2突出部33Bは、上側において移動部56Bに下側から連結されている。第2突出部33Bは、移動部56Bの移動に伴って対向方向に移動可能である。
【0043】
第2突出部33Bの右側には、第2付勢部材64Bが設けられている。第2付勢部材64Bは、固定板51Bと第2突出部33Bとの間に配置されている。第2付勢部材64Bは、例えば、圧縮バネである。第2付勢部材64Bは、第2突出部33Bが第4開口部13bから突出する向きに第2突出部33Bを右側から付勢する。図3においては、第2付勢部材64Bの図示を省略している。
【0044】
実施形態の建具1は、障子10Aが枠体2の縦枠5から離れていて閉じる前に、縦枠5において、第1付勢部材64Aが第1突出部33Aを左側から付勢することによって、図2に示したように、第1突出部33Aが右側に移動する。第1突出部33Aが右側に移動したときに第1リンク機構50Aの動作によって、第1開口部5aを遮蔽する位置に第1遮蔽部32Aが配置され、給電側電極31Aが縦枠5の内部に配置される。実施形態の建具1は、障子10Aが枠体2の縦枠5から離れていて閉じる前に戸先框13において、第2付勢部材64Bが第2突出部33Bを右側から付勢することによって、第2突出部33Bが左側に移動する。第2突出部33Bが左側に移動したときに第2リンク機構50Bの動作によって、第2開口部13aを遮蔽する位置に第2遮蔽部32Bが配置され、受電側電極31Bが戸先框13の内部に配置され、給電側電極31Aから受電側電極31Bに給電が行われない非給電位置となる。
【0045】
実施形態の建具1は、障子10Aが枠体2の縦枠5に対して閉じるときに、縦枠5から突出する第1突出部33Aの先端と、戸先框13から突出する第2突出部33Bの先端とが接触する。障子10Aが閉じたときには、図5に示すように、第1突出部33Aが左側に移動し、第2突出部33Bが右側に移動して、第1突出部33Aの先端面と、第2突出部33Bの先端面とが、第1対向面21及び第2対向面22と面一となる。
【0046】
第1突出部33Aが左側に移動したときに第1リンク機構50Aの動作によって、第1遮蔽部32Aと給電側電極31Aが同期して一体的に移動する。第1遮蔽部32Aは、第1開口部5aを開放する位置に配置される。給電側電極31Aは給電位置に配置される。第2突出部33Bが右側に移動したときに第2リンク機構50Bの動作によって、第2遮蔽部32Bと受電側電極31Bが同期して一体的に移動する。同期移動によって、第1開口部5aを開放する位置に第1遮蔽部32Aが配置され、第2開口部13aを開放する位置に第2遮蔽部32Bが配置され、給電側電極31Aと受電側電極31Bが接触し、プラグ40が挿入孔42に挿入されて給電される給電位置となる。
【0047】
障子10Aを閉じた際には、建築誤差等に起因して給電側電極31Aと受電側電極31Bの相対位置関係がずれる可能性がある。給電側電極31Aと受電側電極31Bの相対位置関係がずれた状態で接近した場合、磁石部41と磁性部43の間の磁力によって引き寄せられるため相対位置関係を調整することができる。
【0048】
実施形態の建具1においては、障子10Aが開いているときに、第1遮蔽部32Aが第1開口部5aを遮蔽し、第2遮蔽部32Bが第2開口部13aを遮蔽するため、水掛かり及び湿気による劣化を抑制することができる。
【0049】
実施形態の建具1においては、給電側電極31Aと受電側電極31Bが給電時以外は他の部品と接触しないため、擦れによる劣化及び故障を抑制することができる。
【0050】
実施形態の建具1においては、磁石部41と磁性部43の間の磁力によって給電側電極31Aと受電側電極31Bとを引き寄せて相対位置関係を調整するとともに、給電側電極31Aが上下方向に自由度をもって対向方向に移動するため、建築誤差等に起因するずれを吸収して円滑に給電することが可能になる。
【0051】
以上、添付図面を参照しながら本開示に係る好適な実施形態について説明したが、本開示は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本開示の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0052】
実施形態の建具1においては、給電側電極31Aが上下方向に自由度をもって対向方向に移動可能である構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、給電側電極31Aが見込み方向に自由度をもって対向方向に移動可能である構成、及び給電側電極31Aが上下方向及び見込み方向に自由度をもって対向方向に移動可能である構成を採ってもよい。例えば、給電側電極31Aが上下方向及び見込み方向の移動を拘束され、受電側電極31Bが上下方向に自由度をもって対向方向に移動可能である構成、見込み方向に自由度をもって対向方向に移動可能である構成、及び上下方向及び見込み方向に自由度をもって対向方向に移動可能である構成の何れかを選択してもよい。
【0053】
実施形態の建具1においては、給電側電極31Aが磁性部43を有し、受電側電極31Bが磁石部41を有する構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、給電側電極31Aが磁石部41を有し、受電側電極31Bが磁性部43を有する構成であってもよい。給電側電極31A及び受電側電極31Bの双方が磁極の異なる磁石部を有する構成であってもよい。
【0054】
実施形態の建具1においては、枠側デバイス30Aが縦枠5の内部に設けられ、障子側デバイス30Bが戸先框13の内部に設けられる構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、枠側デバイス30Aが上枠3及び下枠4の何れか一方に設けられ、障子側デバイス30Bが枠側デバイス30Aと対向する上框11及び下框12の何れか一方に設けられる構成であってもよい。
【0055】
図6には、枠側デバイス30Aが上枠3に設けられ、障子側デバイス30Bが上框11に設けられた変形例の構成が示されている。障子10Aは、上枠3に対して、図中の矢印で示す左側に移動することによって閉じる。第1突出部33Aは、下側の端部に、左側に向かうにつれて下側に向かう方向に傾斜する傾斜面35Aを有する。第2突出部33Bは、上側の端部に、左側に向かうにつれて下側に向かう方向に傾斜し傾斜面35Aと平行な傾斜面35Bを有する。
【0056】
図7に示すように、障子10Aを閉じるときには、傾斜面35Aと傾斜面35Bとが接触することによって、第1突出部33Aは上側に移動し、第2突出部33Bは下側に移動する。第1突出部33Aは上側に移動したときに、第1リンク機構50Aの動作によって給電側電極31Aが下側に移動し、第2リンク機構50Bの動作によって受電側電極31Bが上側に移動し、給電側電極31Aと受電側電極31Bが接触する給電位置に配置でき、実施形態で示した建具1と同様の作用・効果が得られる。
【0057】
変形例の建具においては、給電時の給電側電極31Aと受電側電極31Bの移動方向が障子10Aの開閉方向と交差する場合であっても、給電装置30において障子10Aの開閉時に他の部材と接触して擦れる部材は第1突出部33A及び第2突出部33Bである。第1突出部33A及び第2突出部33Bは、給電に直接関与しないため、給電装置30において故障の原因となることを抑制できる。
【符号の説明】
【0058】
1…建具、2…枠体、5…縦枠、5a…第1開口部、5b…第3開口部、13…戸先框、13a…第2開口部、13b…第4開口部、30…給電装置、31A…給電側電極、31B…受電側電極、32A…第1遮蔽部、32B…第2遮蔽部、33A…第1突出部、33B…第2突出部、41…磁石部、43…磁性部、50A…第1リンク機構、50B…第2リンク機構、52A…第1ガイド部、52B…第2ガイド部、64A…第1付勢部材、64B…第2付勢部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7