(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049722
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】鞍乗り型車両
(51)【国際特許分類】
B62J 21/00 20060101AFI20240403BHJP
B62J 23/00 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
B62J21/00
B62J23/00 C
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022156127
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】磯野 史弥
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 友康
(57)【要約】
【課題】省スペースで外観性に優れ、上下方向の荷重に対する優れた強度を有するガード部材を備えた鞍乗り型車両を提供する。
【解決手段】自動二輪車1は、ヘッドパイプと、ヘッドパイプから後方に延びるメインフレームと、メインフレームの後端から下方に延びるセンターフレームと、センターフレームから後方に延びてシート45を支持するシートフレーム27と、後輪3を支持するスイングアーム31と、シートフレーム27から後下方に延びる左サポートステー61を有し、後輪3を車幅方向の外側から覆う左ガード部材60と、スイングアーム31に接続されたリアクッション32と、を備える。左サポートステー61は、シートフレーム27に締結されている。左サポートステー61は、リアクッション32の後方に配置され、側面視でリアクッション32と略平行に配置されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前輪(2)を操舵可能に支持するヘッドパイプ(21)と、
前記ヘッドパイプ(21)から後方に延びるメインフレーム(22)と、
前記メインフレーム(22)の後端から下方に延びるセンターフレーム(23)と、
前記メインフレーム(22)および前記センターフレーム(23)のうちいずれか一方から後方に延びてシート(45)を支持するシートフレーム(27)と、
後輪(3)を支持するスイングアーム(31)と、
を備える鞍乗り型車両において、
前記シートフレーム(27)から後下方に延びるサポートステー(61,71)を有し、前記後輪(3)を車幅方向の外側から覆うガード部材(60,70)と、
前記スイングアーム(31)に接続されたリアクッション(32)と、
を備え、
前記サポートステー(61,71)は、前記シートフレーム(27)に締結され、
前記サポートステー(61,71)は、前記リアクッション(32)の後方に配置され、側面視で前記リアクッション(32)と略平行に配置されている、
鞍乗り型車両。
【請求項2】
前記センターフレーム(23)に取り付けられたピリオンステップホルダ(10)と、
前記シートフレーム(27)に取り付けられたリアフェンダ(50)と、
をさらに備え、
前記ガード部材(60,70)は、側面視で前後方向に沿って延び、前記ピリオンステップホルダ(10)および前記リアフェンダ(50)の後端部に取り付けられ、前記サポートステー(61,71)に結合されたステップステー(62,72)をさらに備える、
請求項1に記載の鞍乗り型車両。
【請求項3】
前記ガード部材(60,70)は、前記サポートステー(61,71)および前記ステップステー(62,72)に結合され、側面視で前記サポートステー(61,71)から前記リアフェンダ(50)の内周縁に沿って延びて前記ステップステー(62,72)に接続するリアフェンダ補強ステー(63,73)をさらに備える、
請求項2に記載の鞍乗り型車両。
【請求項4】
前記ガード部材(60,70)は、
車両の車幅中心(C)に対して一方側に配置された前記ステップステー(62,72)である第1ステップステー(62)と、
前記車幅中心(C)に対して他方側に配置された前記ステップステー(62,72)である第2ステップステー(72)と、
を有し、
前記リアフェンダ(50)の内側に配置され、前記第1ステップステー(62)および前記第2ステップステー(72)を接続する接続ステー(52)と、
前記リアフェンダ(50)の後方に配置され、ライセンスプレート(14)を保持するブラケット(15)と、
をさらに備え、
前記ブラケット(15)は、前記接続ステー(52)に締結されている、
請求項2または請求項3に記載の鞍乗り型車両。
【請求項5】
前記ステップステー(62,72)は、側面視で前記リアクッション(32)および前記スイングアーム(31)の接続部に重なっている、
請求項2または請求項3に記載の鞍乗り型車両。
【請求項6】
前記ガード部材(60)は、側面視で前記サポートステー(61)の後方に配置され、前記サポートステー(61)および前記リアフェンダ補強ステー(63)に結合し、側面視で少なくとも一部が前記サポートステー(61)の延在方向に沿って延びるサブステー(64)をさらに備える、
請求項3に記載の鞍乗り型車両。
【請求項7】
前記サポートステー(61)は、
前記シートフレーム(27)に締結された上部(61a)と、
段差部(61c)を介して前記上部(61a)に接続され、前記上部(61a)よりも車幅方向の外側に位置する下部(61b)と、
を有する、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の鞍乗り型車両。
【請求項8】
前記シートフレーム(27)から後方に延びるシートグリップ(12)と、
前記シートフレーム(27)、前記サポートステー(61,71)および前記シートグリップ(12)が共締めされた締結部(81)と、を有し、
前記締結部(81)には、車幅方向の内側から前記シートフレーム(27)、前記サポートステー(61,71)、前記シートグリップ(12)の順に配置されている、
請求項2に記載の鞍乗り型車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗り型車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、交通参加者の中でも高齢者や障がい者や子供といった脆弱な立場にある人々にも配慮した持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する取り組みが活発化している。この実現に向けて居住性向上に関する開発を通して交通の安全性や利便性をより一層改善する研究開発に注力している。2人乗りの鞍乗り型車両においては、後輪を側方から覆うガード部材を備えた車両がある(例えば、特許文献1参照)。この種のガード部材は、シート後部に着座する同乗者の衣服が後輪に接触することを防止する。特許文献1には、後輪を側方から覆うカバーと、カバーを支持するとともに、リアフェンダに支持された第1取付部、および第1取付部よりも前方において車体フレームに支持された第2取付部を有し、前後方向に沿って延びて支持部材と、を備えたガード部材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両の居住性に関し、上記従来のガード部材においては、リアクッションが従来の場所と異なる場所に配置された場合、従来のガード部材のレイアウトを適用することが難しく、配置スペースの制約が生じるとともに外観性が悪化する可能性がある。
【0005】
そこで本発明は、省スペースで外観性に優れ、上下方向の荷重に対する優れた強度を有するガード部材を備えた鞍乗り型車両を提供するものである。そして、延いては持続可能な輸送システムの発展に寄与するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る鞍乗り型車両は、前輪(2)を操舵可能に支持するヘッドパイプ(21)と、前記ヘッドパイプ(21)から後方に延びるメインフレーム(22)と、前記メインフレーム(22)の後端から下方に延びるセンターフレーム(23)と、前記メインフレーム(22)および前記センターフレーム(23)のうちいずれか一方から後方に延びてシート(45)を支持するシートフレーム(27)と、後輪(3)を支持するスイングアーム(31)と、を備える鞍乗り型車両において、前記シートフレーム(27)から後下方に延びるサポートステー(61,71)を有し、前記後輪(3)を車幅方向の外側から覆うガード部材(60,70)と、前記スイングアーム(31)に接続されたリアクッション(32)と、を備え、前記サポートステー(61,71)は、前記シートフレーム(27)に締結され、前記サポートステー(61,71)は、前記リアクッション(32)の後方に配置され、側面視で前記リアクッション(32)と略平行に配置されている。
【0007】
第1の態様によれば、ガード部材のサポートステーがシートフレームに締結されており、かつシートフレームから後下方に延びているので、サポートステーによってガード部材に加わる上下荷重を受けることができる。しかもサポートステーがリアクッションの後方でリアクッションと略平行に配置されているので、リアクッションおよびサポートステーの一体感を出すことができる。このため、リアクッションの後方のスペースを有効に利用しつつ、サポートステーがリアクッションに対して傾斜して延びている構成と比較して外観性を向上させることができる。以上により、省スペースで外観性に優れ、上下方向の荷重に対する優れた強度を有するガード部材を備えた鞍乗り型車両を提供できる。
【0008】
本発明の第2の態様に係る鞍乗り型車両は、上記第1の態様に係る鞍乗り型車両において、前記センターフレーム(23)に取り付けられたピリオンステップホルダ(10)と、前記シートフレーム(27)に取り付けられたリアフェンダ(50)と、をさらに備え、前記ガード部材(60,70)は、側面視で前後方向に沿って延び、前記ピリオンステップホルダ(10)および前記リアフェンダ(50)の後端部に取り付けられ、前記サポートステー(61,71)に結合されたステップステー(62,72)をさらに備えていてもよい。
【0009】
第2の態様によれば、リアフェンダの後端部がステップステーを介してピリオンステップホルダに支持されるので、リアフェンダの振動を抑制できる。特にステップステーがサポートステーに接続しているので、ステップステーに加わる上下方向の荷重をサポートステーによって受けることができる。このため、ステップステーの上下動を抑制でき、ひいてはリアフェンダの上下方向の振動を効果的に抑制できる。
【0010】
本発明の第3の態様に係る鞍乗り型車両は、上記第2の態様に係る鞍乗り型車両において、前記ガード部材(60,70)は、前記サポートステー(61,71)および前記ステップステー(62,72)に結合され、側面視で前記サポートステー(61,71)から前記リアフェンダ(50)の内周縁に沿って延びて前記ステップステー(62,72)に接続するリアフェンダ補強ステー(63,73)をさらに備えていてもよい。
【0011】
第3の態様によれば、リアフェンダ補強ステーによってサポートステーおよびステップステーがより強固に接続されるので、リアフェンダの振動をより確実に抑制できる。さらに、リアフェンダ補強ステーが側面視でリアフェンダの内周縁に沿って延びているので、リアフェンダおよびリアフェンダ補強ステーの一体感を出すことができ、車両後部の外観性を向上させることができる。
【0012】
本発明の第4の態様に係る鞍乗り型車両は、上記第2の態様または第3の態様に係る鞍乗り型車両において、前記ガード部材(60,70)は、車両の車幅中心(C)に対して一方側に配置された前記ステップステー(62,72)である第1ステップステー(62)と、前記車幅中心(C)に対して他方側に配置された前記ステップステー(62,72)である第2ステップステー(72)と、を有し、前記リアフェンダ(50)の内側に配置され、前記第1ステップステー(62)および前記第2ステップステー(72)を接続する接続ステー(52)と、前記リアフェンダ(50)の後方に配置され、ライセンスプレート(14)を保持するブラケット(15)と、をさらに備え、前記ブラケット(15)は、前記接続ステー(52)に締結されていてもよい。
【0013】
第4の態様によれば、接続ステーにブラケットの支持を担わせることができるので、リアフェンダ単体にブラケットが締結される場合に設けられるゴムブッシュを省略することができる。したがって、部品点数を削減することができる。
また、第1ステップステーおよび第2ステップステーが接続ステーを介して連結されるので、ガード部材に加わる荷重を、車幅中心に対する左右の両側に分散することができる。したがって、ガード部材全体の強度を向上させることができる。
【0014】
本発明の第5の態様に係る鞍乗り型車両は、上記第2の態様から第4の態様のいずれかの態様に係る鞍乗り型車両において、前記ステップステー(62,72)は、側面視で前記リアクッション(32)および前記スイングアーム(31)の接続部に重なっていてもよい。
【0015】
第5の態様によれば、リアクッションとスイングアームとの接続部へのアクセスが困難となるので、リアクッションの防盗性を向上させることができる。
【0016】
本発明の第6の態様に係る鞍乗り型車両は、上記第3の態様に係る鞍乗り型車両において、前記ガード部材(60)は、側面視で前記サポートステー(61)の後方に配置され、前記サポートステー(61)および前記リアフェンダ補強ステー(63)に結合し、側面視で少なくとも一部が前記サポートステー(61)の延在方向に沿って延びるサブステー(64)をさらに備えていてもよい。
【0017】
第6の態様によれば、サポートステーのうち、リアフェンダ補強ステーとの接続部と、サブステーとの接続部と、の間の箇所をリアフェンダ補強ステーおよびサブステーによって補強することができる。特にサブステーが側面視でサポートステーの延在方向に沿って延びているので、サポートステーに加わる荷重の一部をサポートステーによって効果的に受けることができる。
【0018】
本発明の第7の態様に係る鞍乗り型車両は、上記第1の態様から第6の態様のいずれかの態様に係る鞍乗り型車両において、前記サポートステー(61)は、前記シートフレーム(27)に締結された上部(61a)と、段差部(61c)を介して前記上部(61a)に接続され、前記上部(61a)よりも車幅方向の外側に位置する下部(61b)と、を有していてもよい。
【0019】
第7の態様によれば、段差部の上方にサポートステーが存在しない空間を形成できるので、シートに着座した乗員の足の自由度を向上させることができる。したがって、後部座席の居住性の高い鞍乗り型車両が得られる。
【0020】
本発明の第8の態様に係る鞍乗り型車両は、上記第2の態様に係る鞍乗り型車両において、前記シートフレーム(27)から後方に延びるシートグリップ(12)と、 前記シートフレーム(27)、前記サポートステー(61,71)および前記シートグリップ(12)が共締めされた締結部(81)と、を有し、前記締結部(81)には、車幅方向の内側から前記シートフレーム(27)、前記サポートステー(61,71)、前記シートグリップ(12)の順に配置されていてもよい。
【0021】
第8の態様によれば、シートフレームにシートグリップを取り付ける前に、リアフェンダにサポートステーおよびステップステーを組み付けた組立体をシートフレームに取り付けることができる。したがって、車両を効率よく組み立てることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、省スペースで外観性に優れ、上下方向の荷重に対する優れた強度を有するガード部材を備えた鞍乗り型車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図2】実施形態の自動二輪車の後部における一部の部材を示す斜視図である。
【
図3】実施形態の自動二輪車の後部を示す左側面図である。
【
図4】実施形態の自動二輪車の後部を示す背面図である。
【
図6】実施形態の自動二輪車の後部を示す右側面図である。
【
図7】実施形態の自動二輪車の後部を示す平面図である。
【
図8】実施形態の左ステップステーおよび右ステップステーの後端部周辺を示す斜視図である。
【
図9】実施形態のリアフェンダの後端部周辺を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。また、以下の説明における前後上下左右等の方向は、以下に説明する車両における方向と同一とする。すなわち、上下方向は鉛直方向と一致し、左右方向は車幅方向と一致する。また、以下の説明に用いる図中において、矢印UPは上方、矢印FRは前方、矢印LHは左方をそれぞれ示している。また、以下の説明において、車幅方向のうち、車両の車幅中心から離れる方向を外側といい、車両の車幅中心に近づく方向を内側という。
【0025】
図1は、実施形態の自動二輪車の左側面図である。
図1に示すように、本実施形態の自動二輪車1は、鞍乗り型車両の一例である。自動二輪車1は、前輪2と、後輪3と、車体フレーム20と、リアサスペンション30と、エンジン35と、燃料タンク40と、シート45と、ガード部材60,70(
図4参照)と、を備える。
【0026】
車体フレーム20は、ヘッドパイプ21と、メインフレーム22と、左右一対のセンターフレーム23と、ダウンフレーム24と、左右一対のロアフレーム25と、サブフレーム26と、を備える。ヘッドパイプ21は、車体フレーム20の前端に設けられている。ヘッドパイプ21は、前輪懸架装置4を介して前輪2を操舵可能に支持している。メインフレーム22は、ヘッドパイプ21の上部からやや後ろ下がりに後方へ延びている。一対のセンターフレーム23は、メインフレーム22の後端部に結合している。一対のセンターフレーム23は、全体としてメインフレーム22の後端から下方に延びている。より詳細に、センターフレーム23は、メインフレーム22の後端部から左右に分岐して後方に延びた後、下方に屈曲して延びている。ダウンフレーム24は、ヘッドパイプ21の下部から下方かつ後方へ、メインフレーム22よりも前後方向に対して急傾斜で延びている。一対のロアフレーム25は、ダウンフレーム24の下端部に結合している。ロアフレーム25は、ダウンフレーム24の下端部から左右に分岐して下方に延びた後、後方に屈曲して延びている。ロアフレーム25の後端は、センターフレーム23の下端に結合している。
【0027】
図2は、実施形態の自動二輪車の後部における一部の部材を示す斜視図である。
図1および
図2に示すように、サブフレーム26は、左右一対のシートフレーム27と、左右一対のリアフレーム28と、を備える。シートフレーム27は、センターフレーム23に1対1で結合している。図示の例では、シートフレーム27は、センターフレーム23の屈曲部に結合している。ただしシートフレーム27はメインフレーム22に結合していてもよい。一対のシートフレーム27は、それぞれセンターフレーム23から後方に延びている。各シートフレーム27は、連結部27aを有する。連結部27aは、シートフレーム27における前後方向の中途部に設けられている。連結部27aは、側面視で下方に向かうに従い先細る三角形状に形成されている。一対のシートフレーム27には、車幅方向に延びる補強ステー29が連結されている。一対のシートフレーム27の後端部は、互いに連結されている。リアフレーム28は、シートフレーム27の下方でセンターフレーム23に1対1で結合している。一対のリアフレーム28は、それぞれセンターフレーム23から後上方に延びて連結部27aの下部に結合している。
【0028】
一対のセンターフレーム23それぞれには、ピリオンステップホルダ10が取り付けられている。ピリオンステップホルダ10は、側面視でセンターフレーム23から後方に突出している。ピリオンステップホルダ10は、側面視で後方に向けて先細るように形成されている。ピリオンステップホルダ10の後部には、ピリオンステップ11が取り付けられている。ピリオンステップ11は、格納位置と使用位置との間で揺動可能となっている。
【0029】
シートフレーム27には、シートグリップ12が取り付けられている。シートグリップ12は、上方から見て前方に開放されたU字状に形成されている。シートグリップ12は、一対の前端部と、各前端部から後方に延びる左右一対の側部12aと、側部12aの後端部同士を接続する後部12bと、を備える。シートグリップ12の前端部は、サブフレーム26に結合している。具体的に、シートグリップ12の前端部は、シートフレーム27の連結部27aに締結されている。側部12aは、側面視で前後方向に沿って直線状に延びている。側部12aは、前後方向における中途部においてシートフレーム27の後端部に結合している。これにより、シートグリップ12は、シートフレーム27から後方に延びている。後部12bは、車両の車幅中心Cに交差するように配置されている(
図4参照)。後部12bは、車幅中心C上に位置する中間部から車幅方向両側に延びた後、下方に屈曲して延びて側部12aの後端部に接続している。
【0030】
図1に示すように、リアサスペンション30は、後輪3を上下揺動可能に支持するスイングアーム31と、スイングアーム31に揺動反力を付与する左右一対のリアクッション32と、を備える。
【0031】
スイングアーム31は、車体後部の下方に設けられている。スイングアーム31は、側面視で前後に延びている。スイングアーム31の前端部は、車体フレーム20の一対のセンターフレーム23にピポット軸を介して上下揺動可能に支持されている。スイングアーム31は、後輪3を前方で跨ぐように二股状に形成されている。スイングアーム31の後端部は、後輪3を軸支している。後輪3は、原動機であるエンジン35に対して、車体後部の左方に配設されたチェーン式の伝動機構5を介して連結されている。
【0032】
一対のリアクッション32は、車体後部の左右に設けられている。リアクッション32は、ピリオンステップホルダ10およびピリオンステップ11よりも後方に配置されている。リアクッション32は、側面視で後輪3に重なっている。リアクッション32は、サブフレーム26とスイングアーム31との間に介在している。リアクッション32の上端は、サブフレーム26のうちシートフレーム27の連結部27aに結合している。ただしリアクッション32の上端は、リアフレーム28に結合していてもよい。リアクッション32の下端は、スイングアーム31のうち後輪3の車幅方向外側に位置する部分に結合している。リアクッション32は、上端が下端よりも前方に位置するように、側面視で上下方向に対して傾斜した前傾姿勢で配置されている。
【0033】
エンジン35は、メインフレーム22の下方、かつセンターフレーム23の前方に配置されている。エンジン35は、クランクシャフトを収容するクランクケース36と、クランクケース36の前部に結合したシリンダ37と、を備える。クランクケース36の前部は、ダウンフレーム24に支持されている。クランクケース36の後部は、センターフレーム23に支持されている。
【0034】
燃料タンク40は、シリンダ37の上方に配置されている。燃料タンク40は、メインフレーム22の上方において、メインフレーム22を車幅方向に跨ぐように配置されている。
【0035】
シート45は、燃料タンク40の後方に配置されている。シート45は、シートフレーム27に下方から支持されている。シート45の後部は、同乗者が着座するパッセンジャーシート45aを構成している。パッセンジャーシート45aは、側面視でシートグリップ12の側部12aの上方、かつシートグリップ12の後部12bの前方に配置されている。パッセンジャーシート45aの前部は、シートフレーム27に締結されている。パッセンジャーシート45aの後部は、シートグリップ12の側部12aに締結されている。
【0036】
図3は、実施形態の自動二輪車の後部を示す左側面図である。
図2および
図3に示すように、リアフェンダ50は、車体フレーム20に支持されている。具体的にリアフェンダ50は、サブフレーム26の補強ステー29およびシートフレーム27の後端部に締結されている。リアフェンダ50は、後輪3を後方および上方から覆っている。リアフェンダ50は、側面視で後輪3とシートフレーム27との間から、後輪3の上方を通って後輪3の後方まで後輪3の外周に沿って延びている。リアフェンダ50は、側面視で内周縁が後輪3に重なるように形成されている。リアフェンダ50は、例えば金属材料により形成されている。リアフェンダ50には、ライセンスプレート14を支持するブラケット15、テールライト16およびウィンカーランプ17が取り付けられている。
【0037】
図4は、実施形態の自動二輪車の後部を示す背面図である。
図3および
図4に示すように、ガード部材60,70は、側面視で後輪3を覆うように設けられている。ガード部材60,70は、車両の左側に配置された左ガード部材60と、車両の右側に配置された右ガード部材70と、である。なお、以下で説明するガード部材60,70の位置は、自動二輪車1のフル積載状態または2名乗車状態で規定される。
【0038】
図2および
図3に示すように、左ガード部材60は、左サポートステー61と、左ステップステー62と、左リアフェンダ補強ステー63と、サブステー64と、第1クロス部65と、を備える。これら左サポートステー61、左ステップステー62、左リアフェンダ補強ステー63、サブステー64および第1クロス部65は、金属製の中空のパイプ材または中実のワイヤである。
【0039】
左ステップステー62は、側面視で前後方向に沿って延びている。左ステップステー62は、左側のピリオンステップホルダ10に取り付けられた前結合部62a、およびリアフェンダ50の後端部に取り付けられた後結合部62bを有している。左ステップステー62は、ピリオンステップホルダ10に結合した前部62fと、リアフェンダ50に結合した後部62rと、を備える。前部62fは、ピリオンステップホルダ10の後端部に締結されている。前部62fは、ピリオンステップホルダ10の後端部から後方に直線状に延びている。前部62fは、リアクッション32およびスイングアーム31の接続部よりも車幅方向外側の位置を通っている。前部62fは、側面視でリアクッション32およびスイングアーム31の接続部に重なっている。後部62rは、前部62fの後端部から車幅方向の内側に屈曲して直線状に延びている。後部62rは、側面視で前部62fに対して僅かに傾斜して後上がりに延びている。後部62rの後端部は、リアフェンダ50に締結されている。左ステップステー62における前後方向の中途部は、左サポートステー61に結合されている。
【0040】
左ステップステー62には、車幅方向の外側に張り出した足置き部66が結合している。足置き部66は、外枠66aと、第2クロス部66bと、を備える。外枠66aは、例えば中空のパイプ材または中実のワイヤである。外枠66aは、上方から見て車幅方向内側に開放されたU字状に延在している。外枠66aの一端は、左ステップステー62の前部62fに結合している。外枠66aの他端は、左ステップステー62の後部62rに結合している。外枠66aは、左ステップステー62に溶接により結合している。第2クロス部66bは、例えば中空のパイプ材または中実のワイヤである。第2クロス部66bは、外枠66aよりも小さい線径を有する。第2クロス部66bは、外枠66aの内側を前後方向に沿って延び、外枠66aの前部および後部に結合している。
【0041】
左サポートステー61は、シートフレーム27に結合した上端部と、左ステップステー62に結合した下端部と、を有する。左サポートステー61は、下端部が上端部よりも後方に位置するように延びている。左サポートステー61は、シートフレーム27から後下方に延びている。左サポートステー61の全体は、側面視で左ステップステー62と足置き部66の外枠66aとの一対の結合部よりも前後方向の内側に配置されている。
【0042】
左サポートステー61は、左側のリアクッション32の後方に配置されている。左サポートステー61は、左側のリアクッション32に対して他の部材を介さずに配置されている。左サポートステー61は、側面視でリアクッション32と略平行に配置されている。左サポートステー61は、側面視でリアクッション32に沿って延びている。なお左サポートステー61は、側面視でリアクッション32と完全に平行に配置されている必要はなく、側面視でリアクッション32と実質的に平行に配置されていてもよい。すなわち左サポートステーの少なくとも一部が側面視でリアクッション32に対して僅かに傾斜して配置されていてもよい。ただし、左サポートステー61と左側のリアクッション32との間隔は、直径120mmの球体が通過不能となるように設定される。
【0043】
図5は、
図3のV-V線における断面図である。
図3および
図5に示すように、左サポートステー61の上端部は、シートフレーム27の連結部27aに締結されている。左サポートステー61の上端部は、ボルト82によってシートフレーム27およびシートグリップ12の前端部と共締めされている。左サポートステー61、シートフレーム27およびシートグリップ12が共締めされた締結部81には、車幅方向の内側からシートフレーム27の連結部27a、左サポートステー61の上端部、シートグリップ12の前端部の順に配置されている。
【0044】
図2に示すように、左サポートステー61の下端部は、足置き部66の外枠66aの両端の間で、左ステップステー62に結合している。左サポートステー61の下端部は、左ステップステー62のうち、前部62fの後端部よりも前方の箇所に結合している。左サポートステー61の下端部は、左ステップステー62に溶接により結合している。ただし、左サポートステー61と左ステップステー62との結合方法は、溶接等の冶金的接合に限定されず、締結等の機械的接合であってもよい。
【0045】
図2および
図4に示すように、左サポートステー61は、左サポートステー61の上端部から下方に延びる上部61aと、左サポートステー61の下端部から上方に延びる下部61bと、上部61aの下端と下部61bの上端とを接続する段差部61cと、を備える。上部61aの全体は、後方から見てリアクッション32の中心軸線Pよりも車幅方向の内側に配置されている。上部61aには、リアフェンダ50に締結された結合部61dが設けられている。結合部61dは、上部61aの車幅方向内側に設けられ、車幅方向外側から視認不能とされている。下部61bは、段差部61cを介して上部61aに接続され、上部61aよりも車幅方向の外側に位置している。下部61bの全体は、後方から見てリアクッション32の中心軸線Pよりも車幅方向の外側に配置されている。段差部61cは、上部61aの下端で車幅方向外側かつ下方に屈曲して延びている。段差部61cは、下部61bの上端で車幅方向内側かつ上方に屈曲して延びている。段差部61cは、後方から見てリアクッション32の中心軸線Pに交差している。
【0046】
図2および
図3に示すように、左リアフェンダ補強ステー63は、左サポートステー61および左ステップステー62に結合されている。左リアフェンダ補強ステー63は、側面視で左サポートステー61からリアフェンダ50の内周縁に沿って延びて左ステップステー62に接続している。左リアフェンダ補強ステー63は、左サポートステー61の上部61aに結合している。左リアフェンダ補強ステー63は、左ステップステー62の後部62rに結合している。左リアフェンダ補強ステー63は、左サポートステー61および左ステップステー62に溶接により結合している。ただし、左リアフェンダ補強ステー63と左サポートステー61および左ステップステー62それぞれとの結合方法は、溶接等の冶金的接合に限定されず、締結等の機械的接合であってもよい。左リアフェンダ補強ステー63の全体は、側面視でリアフェンダ50の内周縁に重なっている。
【0047】
図2および
図4に示すように、左リアフェンダ補強ステー63は、リアフェンダ50の内周縁に対して車幅方向に一定の間隔をあけて延びている。左リアフェンダ補強ステー63には、リアフェンダ50に締結された結合部63aが設けられている。結合部63aは、左リアフェンダ補強ステー63における延在方向の中途部に設けられている。結合部63aは、左リアフェンダ補強ステー63の車幅方向内側に設けられ、車幅方向外側から視認不能とされている。
【0048】
図2および
図3に示すように、サブステー64は、側面視で左サポートステー61の後方に配置されている。サブステー64は、左リアフェンダ補強ステー63および左サポートステー61に溶接により結合している。ただし、サブステー64と左リアフェンダ補強ステー63および左サポートステー61それぞれとの結合方法は、溶接等の冶金的接合に限定されず、締結等の機械的接合であってもよい。サブステー64は、左リアフェンダ補強ステー63との結合部から側面視で左サポートステー61の延在方向に沿って延びる上部64aと、上部64aの下端で左サポートステー61側に屈曲して左サポートステー61に結合する下部64bと、を備える。上部64aは、サブステー64の上端部から側面視で後下方に延びている。下部64bは、上部64aの下端部から側面視で前下方に延びて左サポートステー61の下部61bに結合している。これによりサブステー64は、左リアフェンダ補強ステー63を介して、段差部61cを跨ぐように左サポートステー61に接続している。サブステー64の上部64aおよび下部64bのそれぞれは、直線状に延びている。サブステー64の全体は、後方から見て、上端部から下方かつ車幅方向外側に延びている(
図4参照)。
【0049】
第1クロス部65は、側面視で左ステップステー62、左リアフェンダ補強ステー63およびサブステー64に囲まれた領域に配置されている。第1クロス部65は、複数の線材によって形成されている。線材は、左ステップステー62、左リアフェンダ補強ステー63およびサブステー64よりも小さい線径を有する。複数の線材は、側面視で互いに平行に配置されている。線材は、側面視で左リアフェンダ補強ステー63およびサブステー64の間を水平方向に沿って延び、左リアフェンダ補強ステー63およびサブステー64に結合している。複数の線材は、上下方向に等間隔に配置されている。ただし、線材は、左ステップステー62、左リアフェンダ補強ステー63およびサブステー64のうちいずれか2つに結合していればよい。
【0050】
図6は、実施形態の自動二輪車の後部を示す右側面図である。
図7は、実施形態の自動二輪車の後部を示す平面図である。
図4、
図6および
図7に示すように、右ガード部材70は、右サポートステー71と、右ステップステー72と、右リアフェンダ補強ステー73と、を備える。右サポートステー71は、左サポートステー61と実質的に左右対称に形成されている。右サポートステー71の上端部は、シートフレーム27の連結部27aに締結されている。右サポートステー71の上端部は、左サポートステー61の上端部と同様に、締結部83においてシートフレーム27およびシートグリップ12の前端部と共締めされている。右ステップステー72は、右側のピリオンステップホルダ10に結合される前端部が左ステップステー62の前端部よりも後方に位置することを除き、左ステップステー62と実質的に左右対称に形成されている。右ステップステー72は、上方から見て少なくとも一部がマフラー55に重なるように、側面視でマフラー55の上方で前後方向に沿って延びている。右ステップステー72は、右側のピリオンステップホルダ10に取り付けられた前結合部72a、およびリアフェンダ50の後端部に取り付けられた後結合部72bを有している。右ステップステー72は、右サポートステー71に結合されている。右リアフェンダ補強ステー73は、左リアフェンダ補強ステー63と実質的に左右対称に形成されている。右リアフェンダ補強ステー73は、右サポートステー71および右ステップステー72に結合されている。
【0051】
図8は、実施形態の左ステップステーおよび右ステップステーの後端部周辺を示す斜視図である。
図9は、実施形態のリアフェンダの後端部周辺を示す斜視図である。
図8および
図9に示すように、左ステップステー62および右ステップステー72は、接続ステー52を介して連結されている。接続ステー52は、リアフェンダ50の内側に配置されている。接続ステー52は、リアフェンダ50を貫通するボルト等の締結部材によって左ステップステー62および右ステップステー72に結合している。接続ステー52の全体は、リアフェンダ50の内面に沿って延びている。接続ステー52の中間部には、ブラケット15がリアフェンダ50を挟んで締結されている。すなわち、接続ステー52およびブラケット15の間にはリアフェンダ50が介在しており、ブラケット15を接続ステー52に締結するボルト等の締結部材がリアフェンダ50を貫通している。
【0052】
以上に説明したように、本実施形態の自動二輪車1は、シートフレーム27から後下方に延びる左サポートステー61を有し、後輪3を車幅方向の外側から覆う左ガード部材60を備える。左サポートステー61は、リアクッション32の後方に配置され、側面視でリアクッション32と略平行に配置されている。この構成によれば、左ガード部材60の左サポートステー61がシートフレーム27に締結されており、かつシートフレーム27から後下方に延びているので、左サポートステー61によって左ガード部材60に加わる上下荷重を受けることができる。しかも左サポートステー61がリアクッション32の後方でリアクッション32と略平行に配置されているので、リアクッション32および左サポートステー61の一体感を出すことができる。このため、リアクッション32の後方のスペースを有効に利用しつつ、左サポートステー61がリアクッション32に対して傾斜して延びている構成と比較して外観性を向上させることができる。以上により、省スペースで外観性に優れ、上下方向の荷重に対する優れた強度を有する左ガード部材60を備えた自動二輪車1を提供できる。
【0053】
左ガード部材60は、側面視で前後方向に沿って延び、ピリオンステップホルダ10およびリアフェンダ50の後端部に取り付けられ、左サポートステー61に結合された左ステップステー62をさらに備える。この構成によれば、リアフェンダ50の後端部が左ステップステー62を介してピリオンステップホルダ10に支持されるので、リアフェンダ50の振動を抑制できる。特に左ステップステー62が左サポートステー61に接続しているので、左ステップステー62に加わる上下方向の荷重を左サポートステー61によって受けることができる。このため、左ステップステー62の上下動を抑制でき、ひいてはリアフェンダ50の上下方向の振動を効果的に抑制できる。
【0054】
さらに、本実施形態では、左ステップステー62に足置き部66が設けられている。このため、足置き部66に加わる上下方向の荷重を左サポートステー61によって受けることができる。したがって、左ステップステー62によってリアフェンダ50の振動を抑制することとともに、安定感のある足置き部66を形成することが可能となる。
【0055】
左ガード部材60は、左サポートステー61および左ステップステー62に結合され、側面視で左サポートステー61からリアフェンダ50の内周縁に沿って延びて左ステップステー62に接続する左リアフェンダ補強ステー63をさらに備える。この構成によれば、左リアフェンダ補強ステー63によって左サポートステー61および左ステップステー62がより強固に接続されるので、リアフェンダ50の振動をより確実に抑制できる。さらに、左リアフェンダ補強ステー63が側面視でリアフェンダ50の内周縁に沿って延びているので、リアフェンダ50および左リアフェンダ補強ステー63の一体感を出すことができ、車両後部の外観性を向上させることができる。
【0056】
さらに本実施形態では、左リアフェンダ補強ステー63がリアフェンダ50に締結された結合部63aを有する。これにより、左ガード部材60がリアフェンダ50により強固に取り付けられるので、リアフェンダ50の振動をより確実に抑制できる。
【0057】
自動二輪車1は、リアフェンダ50の内側に配置され、左ステップステー62および右ステップステー72を接続する接続ステー52と、リアフェンダ50の後方に配置され、ライセンスプレート14を保持するブラケット15と、をさらに備える。ブラケット15は、接続ステー52に締結されている。この構成によれば、接続ステー52にブラケット15の支持を担わせることができる。ここでリアフェンダ単体にブラケットが締結される場合には、リアフェンダに生じる応力を緩和するためにゴムブッシュが装着される場合がある。したがって、本実施形態によれば、ゴムブッシュを省略することが可能となり、部品点数を削減することができる。
【0058】
左ステップステー62は、側面視でリアクッション32およびスイングアーム31の接続部に重なっている。この構成によれば、リアクッション32とスイングアーム31との接続部へのアクセスが困難となるので、リアクッション32の防盗性を向上させることができる。
【0059】
なお、右ガード部材70は、左ガード部材60の左サポートステー61、左ステップステー62および左リアフェンダ補強ステー63に対応して、右サポートステー71、右ステップステー72および右リアフェンダ補強ステー73を備えるので、上述した左ガード部材60に関する作用効果を同様に奏功する。
【0060】
左ガード部材60は、側面視で左サポートステー61の後方に配置され、左サポートステー61および左リアフェンダ補強ステー63に結合し、側面視で少なくとも一部が左サポートステー61の延在方向に沿って延びるサブステー64をさらに備える。この構成によれば、左サポートステー61のうち、左リアフェンダ補強ステー63との接続部と、サブステー64との接続部と、の間の箇所を左リアフェンダ補強ステー63およびサブステー64によって補強することができる。特にサブステー64が側面視で左サポートステー61の延在方向に沿って延びているので、左サポートステー61に加わる荷重の一部を左サポートステー61によって効果的に受けることができる。
【0061】
しかも、本実施形態ではサブステー64が左リアフェンダ補強ステー63を介して、段差部61cを跨ぐように左サポートステー61に接続している。このため、左サポートステー61における段差部61cの両端の屈曲部を補強することができる。
【0062】
左サポートステー61は、シートフレームに締結された上部61aと、段差部61cを介して上部61aに接続され、上部61aよりも車幅方向の外側に位置する下部61bと、を有する。この構成によれば、段差部61cの上方に左サポートステー61が存在しない空間を形成できるので、パッセンジャーシート45aに着座した乗員の足の自由度を向上させることができる。したがって、後部座席の居住性の高い自動二輪車1が得られる。
【0063】
自動二輪車1は、シートフレーム27、左サポートステー61およびシートグリップ12が共締めされた締結部81を有する。締結部81には、車幅方向の内側からシートフレーム27、左サポートステー61、シートグリップ12の順に配置されている。この構成によれば、シートフレーム27にシートグリップ12を取り付ける前に、リアフェンダ50に左サポートステー61および左ステップステー62を組み付けた組立体をシートフレーム27に取り付けることができる。したがって、車両を効率よく組み立てることができる。
【0064】
なお、本発明は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、本発明は運転者が車体を跨いで乗車する鞍乗り型車両全般に適用することができる。すわなち、本発明は自動二輪車だけでなく自動三輪車に適用可能である。また本発明は、原動機としてモータを備えた車両に適用することができる。
【0065】
上記実施形態では、ガード部材60,70が車両の左右に設けられているが、これに限定されない。ガード部材は、車両の左右一方のみに設けられていてもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、左ガード部材60が左サポートステー61に対して離脱不能に設けられた第1クロス部65を備えているが、この構成に限定されない。左ガード部材は、第1クロス部65に代えて、左サポートステーに対して直接または間接的に取り付けられるカバー部材を備えていてもよい。
【0067】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0068】
1…自動二輪車(鞍乗り型車両) 2…前輪 3…後輪 10…ピリオンステップホルダ 12…シートグリップ 14…ライセンスプレート 15…ブラケット 21…ヘッドパイプ 22…メインフレーム 23…センターフレーム 27…シートフレーム 31…スイングアーム 32…リアクッション 45…シート 50…リアフェンダ 52…接続ステー 60…左ガード部材(ガード部材) 61…左サポートステー(サポートステー) 61a…上部 61b…下部 61c…段差部 62…左ステップステー(ステップステー、第1ステップステー) 63…左リアフェンダ補強ステー(リアフェンダ補強ステー) 64…サブステー 70…右ガード部材(ガード部材) 71…右サポートステー(サポートステー) 72…右ステップステー(ステップステー、第2ステップステー) 73…右リアフェンダ補強ステー(リアフェンダ補強ステー) 81…締結部 C…車幅中心