(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049728
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】タッチパネル付き表示装置、機器およびタッチパネルディスプレイ用カバー材
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20240403BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
G06F3/041 460
G06F3/041 422
G06F3/041 600
G06F3/044 128
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022156134
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】520487808
【氏名又は名称】シャープディスプレイテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120662
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 桂子
(74)【代理人】
【識別番号】100216770
【弁理士】
【氏名又は名称】三品 明生
(74)【代理人】
【識別番号】100217364
【弁理士】
【氏名又は名称】田端 豊
(74)【代理人】
【識別番号】100180529
【弁理士】
【氏名又は名称】梶谷 美道
(72)【発明者】
【氏名】山岸 慎治
(72)【発明者】
【氏名】臼倉 奈留
(72)【発明者】
【氏名】杉田 靖博
(72)【発明者】
【氏名】木田 和寿
(72)【発明者】
【氏名】丸山 武紀
(72)【発明者】
【氏名】山本 琢磨
(72)【発明者】
【氏名】福島 浩
(57)【要約】 (修正有)
【課題】操作性に優れたタッチパネル付き表示装置、機器およびタッチパネルディスプレイ用カバー材を提供する。
【解決手段】タッチパネル付き表示装置である機器101は、タッチパネルディスプレイ10と、タッチパネルディスプレイ10と対向するように配置されたカバー材31と、を備える。カバー材31の第1主面30aは、凹形状を有する入力部40と、入力部40を囲む平面部45と、を含む。入力部40は、平面視における入力部40の中心を含む底部分と、底部分を囲む傾斜部分と、傾斜部分を囲み、外縁に位置する稜線部分とを有し、入力部40の底部分における最大深さは、0.2mm以上0.6mm以下であり、入力部40の中心を通り平面部45に垂直な断面において、稜線部分は第1曲線部分を含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルディスプレイと、
第1主面および第2主面を有し、前記第2主面が前記タッチパネルディスプレイと対向するように配置されたカバー材と
を備えたタッチパネル付き表示装置であって、
前記カバー材の第1主面は、凹形状を有する入力部と、前記入力部を囲む平面部とを含み、
前記入力部は、平面視における前記入力部の中心を含む底部分と、前記底部分を囲む傾斜部分と、前記傾斜部分を囲み、外縁に位置する稜線部分とを有し、
前記入力部の底部分における最大深さは、0.2mm以上0.6mm以下であり、
前記入力部の中心を通り前記平面部に垂直な断面において、前記稜線部分は第1曲線部分を含む、タッチパネル付き表示装置。
【請求項2】
前記稜線部分の第1曲線部分の曲率半径Rは、2mm以上であり、前記曲率半径の中心は前記カバー材内または前記第2主面側に位置している、請求項1に記載のタッチパネル付き表示装置。
【請求項3】
前記曲率半径Rは10mm以下である、請求項2に記載のタッチパネル付き表示装置。
【請求項4】
前記中心を通り前記平面部に垂直な断面において、前記傾斜部分は直線部分または第2曲線部分を有し、
前記傾斜部分と前記平面部とがなす角度は5°以上7°以下である、請求項1に記載のタッチパネル付き表示装置。
【請求項5】
前記最大深さは、0.3mm以上0.5mm以下である、請求項1に記載のタッチパネル付き表示装置。
【請求項6】
前記カバー材の第1主面は、前記入力部内に位置する少なくとも1つの凸部を有する、請求項1に記載の請求項1に記載のタッチパネル付き表示装置。
【請求項7】
前記凸部の高さは、前記入力部の深さ以下である、請求項6に記載の請求項1に記載のタッチパネル付き表示装置。
【請求項8】
タッチパネルディスプレイパネルと、
第1主面および第2主面を有し、前記第2主面が前記タッチパネルディスプレイと対向するように配置されたカバー材とを備えたタッチパネル付き表示装置であって、
前記カバー材の第1主面は、凸形状を有する入力部と、前記入力部を囲む平面部とを含み、
前記入力部は、平面視における前記入力部の中心を含む頂部と、前記頂部を囲む傾斜部分と、前記傾斜部分を囲み、外縁に位置する稜線部分とを有し、
前記入力部の前記頂部における最大高さは、0.2mm以上0.6mm以下であり、
平面視における前記入力部の中心を通り前記平面部に垂直な断面において、前記稜線部分は第1曲線部分を含む、タッチパネル付き表示装置。
【請求項9】
前記稜線部分の第1曲線部分の曲率半径Rは、2mm以上であり、前記曲率半径の中心は前記カバー材内または前記カバー材の第1主面側に位置している、請求項8に記載のタッチパネル付き表示装置。
【請求項10】
前記曲率半径Rは10mm以下である、請求項9に記載のタッチパネル付き表示装置。
【請求項11】
前記中心を通り前記平面部に垂直な断面において、前記傾斜部分は直線部分または第2曲線部分を有し、
前記傾斜部分と前記平面部とがなす角度は5°以上7°以下である、請求項8に記載のタッチパネル付き表示装置。
【請求項12】
前記最大高さは、0.3mm以上0.5mm以下である、請求項8に記載のタッチパネル付き表示装置。
【請求項13】
前記タッチパネルディスプレイは、
第1表面を有する第1基板と、
前記第1表面と対向する第2表面を有する第2基板と、
前記第1表面上に配置されたドライブ電極と、
前記第2表面上に配置された位置センス電極および押圧センス電極と、
表示パネルと、
を備え、
平面視において、前記ドライブ電極が前記押圧センス電極の少なくとも一部と重なっている、請求項1から12のいずれか1項に記載のタッチパネル付き表示装置。
【請求項14】
前記タッチパネルディスプレイは、前記第2表面上に配置されたシールド電極をさらに備え、
前記シールド電極は、前記位置センス電極と前記押圧センス電極との間に配置されており、
平面視において、前記ドライブ電極の端部の少なくとも一部が前記シールド電極上に位置している、請求項13に記載のタッチパネル付き表示装置。
【請求項15】
請求項1に記載のタッチパネル付き表示装置と、
前記タッチパネル付き表示装置を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、前記タッチパネル付き表示装置のタッチパネルディスプレイに、前記カバー材の前記入力部に対応した領域に配置されたアイコンを含む第1画像と、前記アイコンを含まない第2画像とを表示させ、
前記タッチパネルディスプレイに前記第1画像を表示させた状態において、前記制御装置は、前記タッチパネルディスプレイの前記入力部において入力を検出した場合に、前記アイコンに関連した機能を実現する、機器。
【請求項16】
第1主面およびタッチパネルディスプレイと対向するように配置される第2主面を有し、
前記第1主面は、凹形状を有する入力部と、前記入力部を囲む平面部とを含み、
前記入力部は、平面視における前記入力部の中心を含む底部分と、前記底部分を囲む傾斜部分と、前記傾斜部分を囲み、外縁に位置する稜線部分とを有し、
前記入力部の底部分における最大深さは、0.2mm以上0.6mm以下であり、
前記入力部の中心を通り前記平面部に垂直な断面において、前記稜線部分は第1曲線部分を含む、タッチパネルディスプレイ用カバー材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、タッチパネル付き表示装置、機器およびタッチパネルディスプレイ用カバー材に関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネル付きの表示装置は、スマートフォン、ノートパソコン、タブレット等の携帯端末や、POSシステム、券売機、産業機器、カーナビゲーションシステム等、幅広い分野で使用されている。
【0003】
このようなタッチパネル付きの表示装置では、一般に手指や指示棒が接触する面が平坦であるため、タッチパネルのどこを接触すれば適切な入力が可能となるのか分かりにくい場合がある。このため、例えば、特許文献1に示されるように、タッチパネルへの接触があると、操作者に触覚を提示するタッチパネルが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、操作性に優れたタッチパネル付き表示装置、機器およびタッチパネルディスプレイ用カバー材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の実施形態に係るタッチパネル付き表示装置は、タッチパネルディスプレイと、第1主面および第2主面を有し、前記第2主面が前記タッチパネルディスプレイと対向するように配置されたカバー材とを備えたタッチパネル付き表示装置であって、前記カバー材の第1主面は、凹形状を有する入力部と、前記入力部を囲む平面部とを含み、前記入力部は、平面視における前記入力部の中心を含む底部分と、前記底部分を囲む傾斜部分と、前記傾斜部分を囲み、外縁に位置する稜線部分とを有し、前記入力部の底部分における最大深さは、0.2mm以上0.6mm以下であり、前記入力部の中心を通り前記平面部に垂直な断面において、前記稜線部分は第1曲線部分を含む。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一実施形態によれば、触覚を得ることができ、かつ、外観上、目立ちにくい入力部を備えている。よって、操作性に優れたタッチパネル付き表示装置、機器およびタッチパネルディスプレイ用カバー材が実現し得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態の機器が搭載された車両のインストルメントパネルを示す模式図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態の機器の平面図である。
【
図4】
図4は、入力部の平面形状および断面形状を示している。
【
図5】
図5は、入力部の断面形状のうち、稜線部分近傍を拡大して示している。
【
図6】
図6は、機器が第1画像を表示している状態を示す模式図である。
【
図7】
図7は、機器が第2画像を表示している状態を示す模式図である。
【
図8】
図8は、第2実施形態の機器の平面図である。
【
図10】
図10は、入力部の平面形状および断面形状を示している。
【
図13】
図13は、入力部の平面形状および断面形状を示している。
【
図16】
図16は、カバー材を撮影して得られた画像の例を示す。
【
図18】
図18は、本開示のタッチパネル付きの表示装置に用いることのできるタッチパネルディスプレイの一例を示す断面図である。
【
図19】
図19は、
図18に示すタッチパネルディスプレイのドライブ電極の形状の一例を示す平面図である。
【
図20】
図20は、
図18に示すタッチパネルディスプレイの位置センス電極、押圧センス電極およびシールド電極の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
タッチパネル付きの表示装置は、様々な分野で使用される機器に幅広く組み込まれている。これらの機器のタッチパネルを手指で操作する場合、通常は、操作がし易いように、機器を移動させたり、操作者自身の位置を変えることによって、タッチパネルまでの距離や向きを調節する。しかし、特定の分野で使用される機器では、使用状態において、操作者と使用する機器のタッチパネルまでの距離、位置または向きの調節が困難な場合がある。
【0010】
例えば、車両に搭載されるカーナビゲーションシステムを使用する場合、操作者は運転席または助手席につき、車両のインストルメントパネルの中央に配置されたカーナビゲーションシステムのタッチパネルを操作する。操作者に対して、タッチパネルは斜め前方に離れて位置している。このため、操作者がカーナビゲーションシステムのディスプレイに表示された画像を見て、アイコンを手指で押す操作を行う場合、手指の先を正確にアイコンに合わせることが難しいことがある。
【0011】
このような課題は、カーナビゲーションシステムに限られず、タッチパネル付きの表示装置を備えた機器を移動させることが困難である場合や、操作者の位置や姿勢に制限がある場合にも生じ得る。
【0012】
本願発明者はこのような課題に鑑み、新規なタッチパネル付き表示装置、機器およびタッチパネルディスプレイ用カバー材を想到した。
【0013】
以下本開示の実施形態を図面に基づいて説明する。本開示は、以下の実施形態に限定されず、本開示の構成を充足する範囲内で、適宜設計変更を行うことが可能である。また、以下の説明において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、実施形態および変形例に記載された各構成は、本開示の要旨を逸脱しない範囲において適宜組み合わされてもよいし、変更されてもよい。説明を分かりやすくするために、以下で参照する図面においては、構成が簡略化または模式化して示されていたり、一部の構成部材が省略されていたりする場合がある。また、各図に示された構成部材間の寸法比は、必ずしも実際の寸法比を示すものではない。
【0014】
[第1実施形態]
図1は、本実施形態の機器101が搭載された車両のインストルメントパネル200を示す模式図である。インストルメントパネル200は、車両の室内の前部に位置している。
インストルメントパネル200の中央に機器101が配置されている。本実施形態では機器101は、カーナビゲーションシステムである。インストルメントパネル200は、運転席202および助手席203の前方に配置されている。
【0015】
図2は、機器101の平面図であり、
図3は
図2におけるA-A線での機器101の断面図である。
【0016】
機器101は、タッチパネルディスプレイ10と、カバー材31とを含む。また、機器101はタッチパネルディスプレイ10を制御し、タッチパネルディスプレイ10に画像を表示する制御装置201を含む。
【0017】
タッチパネルディスプレイ10は、主面10aにおいて画像の表示を行い、また、主面10aにおいて、手指や指示体が接触し、または、押下された位置を検出する。タッチパネルディスプレイ10のタッチパネルは、静電容量方式、抵抗膜方式、超音波表面弾性波方式、赤外線方式など種々の方式のタッチパネルであってよい。また、タッチパネルは、インセル、オンセル、アウトセルのいずれの方式でディスプレイパネルに配置されていてもよい。タッチパネルディスプレイ10のディスプレイは、液晶表示パネルであってもよいし、有機ELパネルであってもよい。
【0018】
カバー材31は、タッチパネルディスプレイ10の主面10aを保護する保護膜として機能する。カバー材31は、第1主面30aおよび第1主面30aと反対側に位置する第2主面30bを有し、第2主面30bがタッチパネルディスプレイ10と対向するように、OCA(Optically Clear Adhesive)などの接着層20によって、カバー材31がタッチパネルディスプレイ10の主面10aに貼り付けられている。カバー材31は、透明なガラスまたは樹脂によって構成されている。
【0019】
カバー材31の第1主面30aは少なくとも1つの入力部40と、入力部40を囲む平面部45とを有する。本実施形態では、第1主面30aは、11個の入力部40を有している。各入力部40は凹形状を有している。一方、平面部45は平面形状を有している。入力部40が凹形状を有していることによって、操作者は手指の指先の感覚で入力部40の位置を認識しやすくなる。
【0020】
平面視、つまり、第1主面30aに垂直な方向から見て、入力部40は、機器101において主として表示される画像における、機器101を操作するためのアイコン(ボタン)の位置および形状に対応していることが好ましい。入力部40は、操作者の指先の腹で押しやすい形状をしており、また、隣接する入力部40とある程度、離隔していることが好ましい。例えば、入力部40の平面視における形状は、丸、四角、楕円、長円などである。また、入力部40の大きさは、例えば、0.5cm2以上である。
【0021】
図4は、入力部40の平面形状、および、平面視における入力部40の中心を通り、平面部45に垂直な断面における形状を示している。入力部40は、底部分41と、傾斜部分42と、稜線部分43とを有する。
【0022】
底部分41は、平面視における入力部40の中心C1を含んでいる。本実施形態では、傾斜部分42は、底部分41を囲んでおり、リング形状を有している。また、稜線部分43は、傾斜部分42を囲んでおり、入力部40の外縁に位置している。
【0023】
図5は、入力部40の断面形状のうち、稜線部分43の近傍を拡大し示している。稜線部分43は、第1曲線部分を含み、平面部45と入力部40の傾斜部分42とを滑らかに接続している。稜線部分43の断面形状が曲線であることによって、機器101を斜めから見た場合に、入力部40が目立ちにくくなる。
【0024】
第1曲線部分は、曲率半径R1が2mm以上である円弧であることが好ましい。
図4に示すように、曲率半径R1の中心は、カバー材31内またはカバー材31の第2主面30b側の外部に位置している。曲率半径R1が2mm以上であれば、機器101を斜めから見た場合に、入力部40が目立ちにくくなる。
【0025】
曲率半径R1に特に上限はない。しかし、曲率半径R1が大きい場合、平面部45と傾斜部分42とを稜線部分43で滑らかに接続するためには、第1曲線部分の長さを大きくとる必要があり、相対的に入力部40が大きくなる。このため、第1曲線部分の曲率半径R1は10mm以下であることが好ましい。
【0026】
傾斜部分42は、平面視における入力部40の中心を通り、平面部45に垂直な断面において、直線または曲線である。傾斜部分42と平面部45とがなす角度θは5°以上7°以下であることが好ましい。傾斜部分42が曲線である場合には、傾斜部分42と平面部45とがなす角度θは、傾斜部分42と平面部45との接続点C2における曲線の接線と、平面部45とがなす角度で定義される。
【0027】
角度θが5°以上であることによって、操作者は手指の指先の感覚で入力部40の位置を認識しやすくなる。また、角度θが7°以下であることによって、機器101を斜めから見た場合に、入力部40が目立ちにくくなる。
【0028】
底部分41は、平面視における入力部40の中心を通り、平面部45に垂直な断面において、1以上の直線部分または曲線部分を含む。例えば、底部分41全体が曲線部分によって構成されていてもよい。より具体的には、傾斜部分42と一体的な第2曲線部分によって構成されていてもよい。この場合、第2曲線部分の曲率半径R2の中心は第1主面30a側の外部に位置している。底部分41と傾斜部分42とが第2曲線部分で構成される場合には、底部分41と傾斜部分42との境界は、中心C1と接続点C2との中間点に位置している。
【0029】
底部分41が直線部分を含む場合には、直線部分は第1主面30aと平行であることが好ましい。また、この場合、傾斜部分42と底部分41との境界となる稜に丸みを持たせることが好ましい。また、底部分41は、直線部分と曲線部分とを含んでいてもよい。
【0030】
入力部40の底部分41における最大深さDは、0.2mm以上であることが好ましい。これによって、操作者は入力部40の窪みを手指の指先の感覚で認識しやすくなる。また、この最大深さDは、0.6mm以下であることが好ましい。最大深さが0.6mmを超える場合、機器101を斜めから見た場合に、入力部40が目立つ場合がある。最大深さDは、底部分41に凸部や凹部が設けられている場合には、これらの凸部や凹部を含まない。
【0031】
カバー材31は、第1主面30aが上述した形状が有するように作製される。例えば、カバー材31を樹脂で構成する場合には、金型を用いた射出成型によって作製される。
また、カバー材31をガラスによって構成する場合には、熱金型成形または研削成形によって作製することができる。
【0032】
次に機器101の動作を説明する。
図6は、機器101において、カーナビゲーションシステムが動作しており、制御装置201によって、カーナビゲーションシステム動作中の主要な操作画面である第1画像60が、機器101の画面である第1主面30aに表示されている状態を模式的に示す。第1画像60は、機器101が搭載された車両の現在地を含む地
図61と、カーナビゲーションシステムを操作するための複数のアイコン62とを含む。アイコン62には、第1画像60のその領域を操作者がタッチすることによって、カーナビゲーションシステムが実現する機能に関する文字、記号、イラスト等が含まれる。
【0033】
第1画像60におけるアイコン62の領域(形状、サイズおよび第1画像60における位置)は、カバー材31の第1主面30aにおける入力部40に概ね一致または対応している。
【0034】
図1に示す運転席202または助手席203についた操作者が、腕を伸ばして機器101の第1主面30aに表示された第1画像60のアイコン62の1つにタッチしようとすると、操作者の指先がまず、第1主面30aの入力部40に軽く接触する。操作者は、入力部50の凹部形状を触覚によって認識し、指先の位置と入力部50の位置がずれている場合には、操作者は、入力部50の凹部形状に誘導され指先の位置を修正することが可能である。
【0035】
操作者は必要に応じた修正した位置で指先を押し込むことによって、機器101のタッチパネルディスプレイ10(
図3)に入力を行う。あるいは、操作者は、入力部50の凹部形状の触覚に基づき、入力部50の凹部形状に誘導され指先を押し込む方向を修正する。これにより、機器101は、入力を受け、選択したアイコン62に関連した機能を実行する。
【0036】
このように、操作者は入力部50の形状を指先で触覚することによって、選択したアイコン62の位置を適切に認識し、機器101を操作することができる。特に、車両に搭載された機器101は、インストルメントパネル200に取り付けられており、操作者は、機器101を顔の近くに保持することができない。また、運転席202および助手席203についた操作者に対して機器101は、斜め前方に離れて配置されている。このため、離れた位置にある機器101に表示される第1画像60も操作者は斜め方向から見ることになるため、指先の位置を第1画像60のアイコン62に合わせにくい場合も考えられる。本実施形態の機器101によれば、このような課題を解決し得る。
【0037】
図7は、機器101の画面である第1主面30aに第2画像65が表示されている状態を模式的に示す。第2画像65は、カーナビゲーションシステム動作中の主要な操作画面ではなく、第2画像65は、アイコン62を含んでいない。第2画像65は、例えば、風景画である。
【0038】
第1主面30aには入力部40が配置されている。しかし、入力部40が上述した形状を有しているため、機器101を斜めから見た場合に、入力部40が目立ちにくい。このため、操作者は、入力部40をあまり認識することなく第2画像65を見ることができる。
【0039】
また、機器101が動作していない状態でも、入力部40が上述した形状を有していることにより、入力部40が目立ちにくい。このため、インストルメントパネル200の美感に与える影響を抑制することができる。
【0040】
このように本実施形態によれば、触覚を得ることができ、かつ、外観上、目立ちにくい入力部を備えているため、操作性に優れたタッチパネル付き表示装置、機器およびタッチパネルディスプレイ用カバー材が実現し得る。
【0041】
(第2実施形態)
図8は、本実施形態の機器102の平面図であり、
図9は
図8におけるB-B線での機器102の断面図である。
図10は、入力部40の平面形状、および、平面視における入力部40の中心を通り、平面部45に垂直な断面における形状を示している。機器102は、カバー材32の第1主面30aの入力部40内に少なくとも1つの凸部44を有する点で第1実施形態の機器101と異なる。
【0042】
図8から
図10に示すように、カバー材32の第1主面30aは、入力部40内に位置する凸部44を有している。凸部44は、例えば、平面視における入力部40の中心C1であって、底部分41上に位置している。凸部44は、中心C1から多少ずれていてもよい。凸部44の高さHは、入力部40の最大深さD以下であることが好ましい。凸部44は、1つの入力部40内に2以上配置されていてもよい。例えば、平面視における入力部40の面積が大きい場合には、2以上の凸部44が設けられていてもよい。
【0043】
平面視における凸部44の上面の形状は円、楕円、長円、角形、四角形を含む多角形等であってよい。また、上面が外接する円の直径φが0.3mm以上、2mm以下であることが好ましい。0.3mmよりも直径φが小さい場合、操作者が指先で凸部を認識しにくくなる。また、直径φが2mmよりも大きい場合、機器102を斜めから見た場合に、入力部40が目立つ場合がある。
【0044】
凸部44が入力部40に位置していることによって、操作者は、指先を入力部40に接触させると、入力部40の凹部形状とともに凸部44を認識する。操作者は、凹部形状と凸部44とで異なる触覚を受けるため、入力部40の位置をより認識しやすくなる。また、入力部40内で凸部44を認識できるため、指先の中心から凸部44がずれている場合、凸部44の認識位置に基づき操作者は指先の位置を調整すること、あるいは、力をかける方向を調整することをより行い易くなる。
【0045】
(第3実施形態)
図11は、本実施形態の機器103の平面図であり、
図12は
図11におけるC-C線での機器103の断面図である。機器103は、カバー材33の第1主面30aが凸形状の入力部50をさらに備えている点で第1実施形態の機器101と異なる。
【0046】
図13は、入力部50の平面形状、および、平面視における入力部50の中心を通り、平面部45に垂直な断面における形状を示している。入力部50は、頂部分51と、傾斜部分52と、稜線部分53とを有する。
【0047】
頂部分51は、平面視における入力部50の中心C1を含んでいる。本実施形態では、傾斜部分52は、頂部分51を囲んでおり、リング形状を有している。また、稜線部分53は、傾斜部分42を囲んでおり、入力部40の外縁に位置している。
【0048】
第1実施形態と同様、稜線部分53は、第3曲線部分を含み、平面部45と入力部50の傾斜部分52とを滑らかに接続している。稜線部分53の断面形状が曲線であることによって、機器103を斜めから見た場合に、入力部50が目立ちにくくなる。
【0049】
第3曲線部分は、曲率半径R3が2mm以上である円弧であることが好ましい。曲率半径R3の中心は、カバー材33の第1主面30a側の外部に位置している。曲率半径R3が2mm以上であれば、機器103を斜めから見た場合に、入力部50が目立ちにくくなる。
【0050】
第1実施形態と同様、曲率半径R3に特に上限はないが、曲率半径R3は10mm以下であることが好ましい。曲率半径R3は10mmを超える場合、相対的に入力部50が大きくなる場合がある。
【0051】
傾斜部分52は、平面視における入力部50の中心を通り、平面部45に垂直な断面において、直線または曲線である。傾斜部分52と平面部45とがなす角度θは5°以上7°以下であることが好ましい。傾斜部分52が曲線である場合には、傾斜部分52と平面部45とがなす角度θは、傾斜部分52と平面部45との接続点C2における曲線の接線と、平面部45とがなす角度で定義される。
【0052】
角度θが5°以上であることによって、操作者は手指の指先の感覚で入力部40の位置を認識しやすくなる。また、角度θが7°以下であることによって、機器103を斜めから見た場合に、入力部50が目立ちにくくなる。
【0053】
頂部分51は、平面視における入力部40の中心を通り、平面部45に垂直な断面において、1以上の直線部分または曲線部分を含む。例えば、頂部分51全体が曲線部分によって構成されていてもよい。より具体的には、傾斜部分52と一体的な第4曲線部分によって構成されていてもよい。この場合、第4曲線部分の曲率半径R4の中心は、カバー材33の内部または第2主面30b側の外部に位置している。頂部分51と傾斜部分52とが第4曲線部分で構成される場合には、頂部分51と傾斜部分52との境界は、中心C1と接続点C2との中間点に位置している。
【0054】
頂部分51が直線部分を含む場合には、直線部分は第1主面30aと平行であることが好ましい。また、この場合、傾斜部分52と頂部分51との境界となる稜に丸みを持たせることが好ましい。また、頂部分51は、直線部分と曲線部分とを含んでいてもよい。
【0055】
入力部50の頂部分51における最大高さTは、0.2mm以上であることが好ましい。これによって、操作者は入力部50の凸形状を手指の指先の感覚で認識しやすくなる。また、この最大高さTは、0.6mm以下であることが好ましい。最大高さが0.6mmを超える場合、機器103を斜めから見た場合に、入力部50が目立つ場合がある。最大高さTは、頂部分51に凸部や凹部が設けられている場合には、これらの凸部や凹部を含まない。
【0056】
本実施形態の機器103によれば、操作者は、入力部50を手指の指先の感覚で認識することができる。また、凸形状を有する入力部50と、凹形状を有する入力部40とを区別して認識し得る。また、機器103を斜めから見た場合、入力部40および入力部50が目立ちにくい。
【0057】
なお、本実施形態では、カバー材33の第1主面30aは、凸形状を有する入力部50および凹形状を有する入力部40の両方を備えているが、第1主面30aは、凸形状を有する入力部50のみを備えており、凹形状を有する入力部40を備えていなくてもよい。
(第4実施形態)
本開示のタッチパネルタッチパネル付き表示装置に用いられるタッチパネルディスプレイ10は、例えば、位置と押圧の大きさとを検出するタッチパネルディスプレイであってもよい。
図18は、このようなタッチパネルディスプレイ10の断面構造の一例を示す。タッチパネルディスプレイ10は、例えば、表示パネル70と、表示パネル70上に対向するように配置されたタッチパネル80とを備える。表示パネル70は上述したように液晶表示パネルであってもよいし、有機ELパネルであってもよい。タッチパネル80は、例えば、特開2021-128511号公報に開示された構造を備えていてもよい。特開2021-128511号公報の開示を参照によってここに引用する。
【0058】
タッチパネル80は、具体的には、相互容量方式のタッチパネルであり、第1基板71と、第2基板72と、誘電体層73とを有する。第1基板71の第1表面71aと第2基板72の第2表面72aとは、誘電体層73を介して対向している。第1基板71の第1表面71aには、ドライブ電極74が配置されている。
図19はドライブ電極74の一例を示す平面図である。ドライブ電極74は、x方向(行方向)およびy方向(列方向)に2次元に配列された複数の基部74cと複数の基部を行方向に接続する接続部74dを有する。
【0059】
第2基板72の第2表面72aには、位置センス電極75と、押圧センス電極76と、シールド電極77とが配置されている。
図20は、位置センス電極75、押圧センス電極76、およびシールド電極77の一例を示す平面図である。
【0060】
位置センス電極75は、x方向およびy方向に2次元に配列された複数の基部75cと複数の基部75cを列方向に接続する接続部75dを有する。同様に、押圧センス電極76は、x方向およびy方向に2次元に配列された複数の基部76cと複数の基部76cを列方向に接続する接続部76dを有する。位置センス電極75の基部75cと押圧センス電極76の基部76cとは、x方向およびy方向に千鳥状に配置されている。
シールド電極77は、第2基板72の第2表面において、位置センス電極75と押圧電極76との間に配置されている。
【0061】
平面視において、ドライブ電極74は、押圧センス電極76の少なくとも一部と重なっている。また、平面視において、ドライブ電極74の端部の少なくとも一部がシールド電極77上に位置している。
【0062】
図21から
図23を参照しながらタッチパネルディスプレイ10の動作を説明する。タッチパネルディスプレイ10のドライブ電極74に駆動信号を印加すると、手指などの指示体Fが接触していない状態で、駆動電極74と、位置センス電極75、押圧センス電極76およびシールド電極77との間に破線で示すように、電気力線が発生する。
図22に示すように、操作者が、手指などの指示体Fを第1基板10の第1表面101とは反対側の面に接触させると、ドライブ電極74および位置センス電極75のそれぞれと指示体Fとが容量結合し、これらの電極との間の電気力線が減少する。このため、指示体Fの接触によって、ドライブ電極74と位置センス電極75との間の静電容量は減少し、位置センス電極75で検出される信号が変化することで、指示体Fの位置が検出される。
【0063】
操作者がさらに力を加え、指示体Fで第1基板10を押し付けると、
図23に示すように、ドライブ電極74と押圧センス電極76との距離が短くなる。これにより、ドライブ電極74と押圧センス電極76との間の静電容量が増加し、押圧センス電極76において検出される信号が変化することで、押圧の大きさが検出される。
【0064】
シールド電極77は、位置検出および押圧の大きさの検出の精度を高める。具体的には、指示体Fで第1基板10を押し付けることによって、指示体Fが接している部分において、第1基板71と第2基板72との間隔が小さくなる。このため、ドライブ電極74と位置センス電極75との距離も短くなり、ドライブ電極74と位置センス電極75との間の静電容量が増加する可能性がある。しかし、シールド電極77が位置センス電極75よりもドライブ電極74に近接していることによって、ドライブ電極74は、位置センス電極75よりもシールド電極77と容量結合しやすい。このため、ドライブ電極74と位置センス電極75との距離が短くなっても、ドライブ電極74と位置センス電極75との間の静電容量の増大が抑制される。
【0065】
一方、指示体Fの接触によって、ドライブ電極74と押圧センス電極76との間の静電容量も減少する可能性がある。しかし、平面視において、ドライブ電極74の端部にシールド電極77上に位置している。接触した指示体Fは、押圧センス電極76よりもシールド電極77と容量結合しやすい。このため、指示体Fの接触によって、ドライブ電極74と位置センス電極75との距離が短くなっても、ドライブ電極74と押圧センス電極76との間の静電容量の減少が抑制される。
【0066】
このように、タッチパネルディスプレイ10が、位置検出および押圧の大きさの検出を行うことができれば、所定の大きさ以上の押圧を検出した場合に操作者から入力があったと判定することができる。よって、操作者がカバー材31の第1主面30aに位置する入力部50を触覚によって認識し、必要に応じて指先の位置を修正して、指先を押し込む、という動作を行うことによって、機器101のタッチパネルディスプレイ10により確実に入力を行うことができる。よって、操作性に優れたタッチパネル付き表示装置、機器およびタッチパネルディスプレイ用カバー材が実現し得る。
【0067】
(他の形態)
本開示のタッチパネル付き表示装置、機器およびタッチパネルディスプレイ用カバー材は上記実施形態に限られず、種々の改変が可能である。第1から第3実施形態を適宜組み合わせてもよい。第1から第3実施形態で説明した入力部40、50の形状、位置、サイズ等は、一例であって、入力部は、これらの実施形態で図示した形状、位置、サイズに限られない。また、機器はカーナビゲーションシステムに限られず、種々の分野および用途で使用される機器であってもよい。
【0068】
(実施例1)
1.試料の作製
入力部40の最大深さD、傾斜部分の角度θおよび稜線部分の第1曲線部分の曲率半径R1を変えて、手指の触覚および機器の第1主面30aの見え方について検討した。
【0069】
図2に示す入力部40を有するカバー材31を作製し、見え方および手指の触覚を調べた。作製したカバー材31において、最大深さDを0.1,0.2,0.3,0.4,0.5,0.7mm、傾斜部分の角度θを4,5,6,7,8°、稜線部分の曲率半径R1を0,1,2,3,4,10°に設定した。表1~3に示すように試料1~16を作製した。
【0070】
2.評価
作製したカバー材の評価は以下のように行った。
【0071】
(1)手指による触感の評価
円形の入力部40を手指でタッチし、入力部40の触感を確認した。入力部40の位置を明確に認識できた場合を「Good」と判定し、認識できなかった場合を「Poor」と評価した。また、入力部40を認識できるが、入力部40と平面部45との境界がはっきり認識できない場合を「Fair」と判定した。
【0072】
(2)カバー材の撮影による評価
第1主面30a側から撮影用の平行光をカバー材に照射し、カバー材の第1主面30aを、第1主面30aの垂直な方向に対して0°および30°の角度をなす方向から撮影し、円形の入力部40に生じる輝度差を評価した。
図14は、撮影した入力部40の画像例を模式的に示し、
図15は、
図14のD-D線に沿った輝度値を測定した結果の例を示す。
【0073】
入力部40の外側の平面部45における輝度を内挿した基準線Lsを設定し、入力部40内における最大輝度および最小輝度を、基準線Ls上のそれぞれの位置における輝度を100%とした相対最大輝度および相対最小輝度に換算し、相対最大輝度と相対最小輝度との差を最大輝度差として求めた。なお、
図15では、矢印で示す位置に輝度の高い領域が見られる。これは、
図15に示す測定が、曲率半径R1=0°の試料であり、特異的に輝度が高くなっている位置があることが原因と考えられる。他の試料では、このような特異的に輝度が高い点は見られなかったことから、この矢印の位置における輝度は、最大輝度には含めなかった。
【0074】
撮影角度が0°の時の最大輝度差を基準として30°の時の最大輝度差を規格化し、最大輝度差が20%以内であれば、「Good」と判定し、最大輝度差が20%を超え、25%かであれば、「Fair」と判定した。また、最大輝度差が25%を超えた場合、「Poor」と判定した。
【0075】
表1に、傾斜部分の角度θを6°、曲率半径R1を3mmに設定し、最大深さDを、0.1,0.2,0.3,0.4,0.5,0.7mmに設定した試料1~6を評価した結果を示す。
【0076】
表1に示すように、最大深さDが0.1mmでは、手指の感触が悪く、入力部40を明確に認識できない。最大深さDが0.2mmになれば、入力部40を認識可能となり、0.3mm以上であれば、良好な感触を得ることができた。
【0077】
一方、カバー材の見え方については、最大深さDが0.5mm以内であれば、最大輝度差は小さく、入力部40の窪みが目立ちにくいことが分かった。最大深さDが0.5mmになると入力部40が目立ち始め、0.6mmになると、最大輝度差が大きくなり、入力部40に影が目立つことが分かった。
【0078】
これらの結果から、最大深さDは0.2mm以上0.6mm以下であることが好ましく、0.3mm以上0.5mm以下であることがより好ましいことが分かる。
【0079】
【0080】
表2に、最大深さDを0.5mm、曲率半径R1を3mmに設定し、傾斜部分の角度θを4,5,6,7,8°に設定した試料5,8~11を評価した結果を示す。
【0081】
表2に示すように、角度θが4°では、手指の感触が悪く、入力部40を明確に認識できない。θが5°になれば、入力部40を認識可能となり、6°以上であれば、良好な感触を得ることができた。
【0082】
一方、カバー材の見え方については、角度θが6°以下であれば、入力部40の窪みが目立ちにくいことが分かった。θが7°になると入力部40が目立ち始め、8°になると、入力部40が目立つことが分かった。
【0083】
これらの結果から、角度θは5°以上7°以下が好ましく、6°程度であることがより好ましいことが分かった。
【0084】
【0085】
表3に、最大深さDを0.5mm、傾斜部分の角度θを6°に設定し、曲率半径R1を
0,1,2,3,4,10°に設定した試料5,12~16を評価した結果を示す。
【0086】
表3に示すように、手指の感触は、曲率半径R1が0,1,2,3,4,10°のどの値であっても、入力部40を明確に認識できることが分かった。
【0087】
一方、カバー材の見え方については、曲率半径R1が1°以下では、入力部40の窪みが目立つことが分かった。曲率半径R1が2°になると入力部40が目立ちにくくなり、3°以上になると、入力部40が目立たない、つまり、最大輝度値の差が十分に小さくなることが分かった。
【0088】
これらの結果から、曲率半径R1は2°以上であることが好ましいことが分かった。
【0089】
【0090】
(実施例2)
実施例1と同様、
図2に示す入力部40を有するカバー材31を作製し、第1主面30aを斜め方向から見た場合の見え方について検討した。最大深さD(mm)、傾斜部分の角度θ(°)および稜線部分の曲率半径R1(mm)を表4に示す値で作製した試料21、22を作製し、カバー材の第1主面30aを、第1主面30aの垂直な方向に対して0,15,30,45°の角度をなす方向から撮影した結果を
図16に示す。
図16に示すように、試料21では、撮影の角度が30°程度まで入力部40に輝度差が見られず、入力部40が認識しにくい。これに対し、試料22では、撮影の角度が30°以上で入力部40の形状が目立つ。
【0091】
【0092】
図17は、この時の1つの入力部40を拡大して示す。また、表5に、入力部40の最大輝度差を測定した結果を示す。
【0093】
【0094】
表5に示すように、試料21では、撮影の角度が30°の時、最大輝度差が12%であるのに対し、試料22では、撮影の角度が30°の時、最大輝度差が36%である。このように、試料22では、最大輝度差が20%以下であることによって、入力部40が認識しにくくなっていることが分かる。
【0095】
これらの結果から、最大深さD(mm)、傾斜部分の角度θ(°)および稜線部分の曲率半径R1(mm)が上述いた好ましい範囲の値であることによって、入力部40を斜めから見ても目立ちにくくなることが分かる。
【0096】
(実施例3)
第3実施形態の機器103のカバー材32を作製し、実施例1と同様の方法、手指による触感およびカバー材の撮影によって入力部50の評価を行った。その結果、入力部50の最大高さTは0.2mm以上0.6mm以下が好ましく、曲率半径R3は2°以上であることが好ましく、傾斜部分52の角度θが5°以上7°以下であることが好ましいことを確認した。
【0097】
本開示のタッチパネル付き表示装置、機器およびタッチパネルディスプレイ用カバー材は、以下のようにも説明することができる。
【0098】
第1の構成に係るタッチパネル付き表示装置は、タッチパネルディスプレイと、第1主面および第2主面を有し、第2主面がタッチパネルディスプレイと対向するように配置されたカバー材とを備える。カバー材の第1主面は、凹形状を有する入力部と、入力部を囲む平面部とを含み、入力部は、平面視における入力部の中心を含む底部分と、底部分を囲む傾斜部分と、傾斜部分を囲み、外縁に位置する稜線部分とを有し、入力部の底部分における最大深さは、0.2mm以上0.6mm以下であり、入力部の中心を通り平面部に垂直な断面において、稜線部分は第1曲線部分を含む。
【0099】
第1の構成によれば、触覚を得ることができ、かつ、外観上、目立ちにくい入力部を備えている。よって、操作性に優れたタッチパネル付き表示装置が実現し得る。
【0100】
第2の構成は、第1の構成において、稜線部分の第1曲線部分の曲率半径Rは、2mm以上であり、曲率半径の中心はカバー材内または第2主面側に位置していてもよい。
【0101】
第3の構成は第2の構成において、曲率半径Rは10mm以下であってもよい。
【0102】
第4の構成は、第1~第3の構成のいずれか1つにおいて、中心を通り平面部に垂直な断面において、傾斜部分は直線部分または第2曲線部分を有し、傾斜部分と平面部とがなす角度は5°以上7°以下であってもよい。
【0103】
第5の構成は、第1~第4の構成のいずれか1つにおいて、最大深さは、0.3mm以上0.5mm以下であってもよい。
【0104】
第6の構成は、第1~第5の構成のいずれか1つにおいて、カバー材の第1主面は、入力部内に位置する少なくとも1つの凸部を有していてもよい。この構成によれば、より入力部を触覚で認識しやすくなる。
【0105】
第7の構成は、第6の構成において、凸部の高さは、入力部の深さ以下であってもよい。
【0106】
第8の構成に係るタッチパネル付き表示装置は、タッチパネルディスプレイパネルと、第1主面および第2主面を有し、第2主面がタッチパネルディスプレイと対向するように配置されたカバー材とを備える。カバー材の第1主面は、凸形状を有する入力部と、入力部を囲む平面部とを含み、入力部は、平面視における入力部の中心を含む頂部と、頂部を囲む傾斜部分と、傾斜部分を囲み、外縁に位置する稜線部分とを有し、入力部の頂部における最大高さは、0.2mm以上0.6mm以下であり、平面視における入力部の中心を通り平面部に垂直な断面において、稜線部分は第1曲線部分を含む。
【0107】
第8の構成によれば、触覚を得ることができ、かつ、外観上、目立ちにくい入力部を備えている。よって、操作性に優れたタッチパネル付き表示装置が実現し得る。
【0108】
第9の構成は、第8の構成おいて、稜線部分の第1曲線部分の曲率半径Rは、2mm以上であり、曲率半径の中心はカバー材内またはカバー材の第1主面側に位置していてもよい。
【0109】
第10の構成は、第9の構成において、曲率半径Rは10mm以下であってもよい。
【0110】
第11の構成は、第8~第10の構成のいずれか1つにおいて、中心を通り平面部に垂直な断面において、傾斜部分は直線部分または第2曲線部分を有し、傾斜部分と平面部とがなす角度は5°以上7°以下であってもよい。
【0111】
第12の構成は、第8~第11の構成のいずれか1つにおいて、最大高さは、0.3mm以上0.5mm以下であってもよい。
【0112】
第13の構成は、第1~第12の構成のいずれか1つにおいて、タッチパネルディスプレイは、第1表面を有する第1基板と、第1表面と対向する第2表面を有する第2基板と、第1表面上に配置されたドライブ電極と、第2表面上に配置された位置センス電極および押圧センス電極と、表示パネルと、を備え、平面視において、ドライブ電極が押圧センス電極の少なくとも一部と重なっていてもよい。
【0113】
第14の構成は、第13の構成において、タッチパネルディスプレイは、第2表面上に配置されたシールド電極をさらに備え、シールド電極は、位置センス電極と押圧センス電極との間に配置されており、平面視において、ドライブ電極の端部の少なくとも一部がシールド電極上に位置していてもよい。
【0114】
第13の構成に係る機器は、第1または第8の構成に係るタッチパネル付き表示装置と、タッチパネル付き表示装置を制御する制御装置と、を備え、制御装置は、タッチパネル付き表示装置のタッチパネルディスプレイに、カバー材の入力部に対応した領域に配置されたアイコンを含む第1画像と、アイコンを含まない第2画像とを表示させ、タッチパネルディスプレイに第1画像を表示させた状態において、制御装置は、タッチパネルディスプレイの入力部において入力を検出した場合に、アイコンに関連した機能を実現する。
【0115】
第13の構成によれば、触覚を得ることができ、かつ、外観上、目立ちにくい入力部を備えている。よって、操作性に優れた機器が実現し得る。
【0116】
第14の構成に係るタッチパネルディスプレイ用カバー材は、第1主面およびタッチパネルディスプレイと対向するように配置される第2主面を有し、第1主面は、凹形状を有する入力部と、入力部を囲む平面部とを含み、入力部は、平面視における入力部の中心を含む底部分と、底部分を囲む傾斜部分と、傾斜部分を囲み、外縁に位置する稜線部分とを有し、入力部の底部分における最大深さは、0.2mm以上0.6mm以下であり、入力部の中心を通り平面部に垂直な断面において、稜線部分は第1曲線部分を含む。
【0117】
第14の構成によれば、触覚を得ることができ、かつ、外観上、目立ちにくい入力部を備えている。よって、操作性に優れたタッチパネルディスプレイ用カバー材が実現し得る。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本開示のタッチパネル付き表示装置、機器およびタッチパネルディスプレイ用カバー材は、種々の分野のタッチパネル付きの表示装置に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0119】
10…タッチパネルディスプレイ、10a…主面、20…接着層21、30a…第1主面、30b…第2主面、31~33…カバー材、40,50…入力部、41…底部分、42,52…傾斜部分、43,53…稜線部分、45…平面部、51…頂部、60…第1画像、61…地図、62…アイコン、65…第2画像、101~103…機器、200…インストルメントパネル、201…制御装置、202…運転席、203…助手席