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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049743
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】ゴム成形型、及びゴム成形品製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 33/02 20060101AFI20240403BHJP
   B29C 35/02 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
B29C33/02
B29C35/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022156161
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100187791
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 晃志郎
(72)【発明者】
【氏名】山口 尚志
(72)【発明者】
【氏名】鹿野 貴之
【テーマコード(参考)】
4F202
4F203
【Fターム(参考)】
4F202AA45
4F202AG06
4F202AG28
4F202AM33
4F202CA27
4F202CB01
4F202CK01
4F202CK32
4F202CK33
4F202CK43
4F202CN01
4F203AA45
4F203AB03
4F203AG13
4F203AG25
4F203AM33
4F203DA11
4F203DB01
4F203DC01
4F203DL11
(57)【要約】
【課題】ゴム成形型の構造により、特定箇所のバリ発生を低減するゴム成形型、及びゴム成形品製造方法を提供すること。
【解決手段】ゴム成形型1は、第一型と、第二型と、第一型と第二型とに挟まれる第一中芯3と、第一中芯3に対して挿抜可能な第二中芯4を備える。第二中芯4が第一中芯3に挿入される状態で、第一型、第二型、及び第一中芯3と第二中芯4に囲われ、ゴム材料23を注入可能な中空部2を備える。第一中芯3に第二中芯4が挿抜されるときの移動方向において、第一中芯3の側を第一側とし、反対側を第二側とする。第一中芯3は、第二側から第一側に向かって形成される第一凹部5と、第一凹部5からさらに第一側に向かって形成される第二凹部6を備える。第一凹部5は、第二中芯4が挿入された状態で第二中芯4の外周及び先端との間に、ゴム材料が流動可能な隙間が形成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴムを成形するゴム成形型であって、
第一型と、
第二型と、
前記第一型と前記第二型とに挟まれる第一中芯と、
前記第一中芯に対して挿抜可能な第二中芯と、
前記第二中芯が前記第一中芯に挿入される状態で、前記第一型、前記第二型、及び前記第一中芯と前記第二中芯に囲われて形成され、ゴム材料を注入可能な中空部を備え、
前記第一中芯に対して、前記第二中芯が挿抜されるときの移動方向において、前記第二中芯の挿入方向の側を第一側とし、抜き方向の側を第二側とし、
前記第一中芯は、
前記第二側から前記第一側に向かって形成される第一凹部と、
前記第一凹部からさらに前記第一側に向かって形成される第二凹部を備え、
前記第二中芯は、前記第一凹部に挿抜可能であり、
前記第一凹部は、前記第二中芯が挿入された状態で該第二中芯の外周との間に、前記ゴム材料が流動可能な隙間が形成されるゴム成形型。
【請求項2】
前記第二凹部の内壁において、前記第二中芯の挿抜方向に交差する方向に、凸部及び/又は凹部を有する請求項1に記載のゴム成形型。
【請求項3】
ゴムを成形するゴム成形型であって、
第一型と、
第二型と、
前記第一型と前記第二型とに挟まれる第一中芯と、
前記第一中芯に対して挿抜可能な第二中芯と、
前記第二中芯が前記第一中芯に挿入される状態で、前記第一型、前記第二型、及び前記第一中芯と前記第二中芯に囲われて形成され、ゴム材料を注入可能な中空部を備え、
前記第一中芯に対して、前記第二中芯が挿抜されるときの移動方向において、前記第二中芯の挿入方向の側を第一側とし、抜き方向の側を第二側とし、
前記第一中芯は、
前記第二側から前記第一側に向かって形成される第三凹部を備え、
前記第三凹部は、
内壁部に沿ってゴム壁が形成され、
前記第二中芯は、前記第三凹部に挿抜可能であり、該第三凹部に挿入されると外周が前記ゴム壁と接触するゴム成形型。
【請求項4】
ゴム成形品を製造する方法であって、
請求項1又は2に記載のゴム成形型を使用し、
前記第一凹部に前記第二中芯を挿入する第一工程と、
前記中空部に、前記ゴム材料を注入する第二工程と、
前記ゴム材料を加硫する第三工程と、
前記第一型と前記第二型とを離間し、さらに前記第一中芯と前記第二中芯とを離間する第四工程と、
前記第二中芯から前記ゴム成形品を取り外す第五工程を備えるゴム成形品製造方法。
【請求項5】
前記第二工程は、前記第一凹部と前記第二中芯との間の隙間、及び前記第二凹部に前記ゴム材料を注入する工程を含み、
前記第三工程は、
前記第一凹部では、前記隙間に注入した前記ゴム材料を加硫する工程を含み、
前記第二凹部では、注入した前記ゴム材料を加硫する工程を含み、
前記第四工程は、前記第一凹部から前記第二中芯を離間すると、前記第一凹部の内壁部にゴム壁を形成し、前記第二凹部に加硫した前記ゴム材料を留める請求項4に記載のゴム成形品製造方法。
【請求項6】
ゴム成形品を製造する方法であって、
請求項3に記載のゴム成形型を使用し、
前記第三凹部に前記第二中芯を挿入する第一工程と、
前記中空部に、前記ゴム材料を注入する第二工程と、
前記ゴム材料を加硫する第三工程と、
前記第一型と前記第二型とを離間し、さらに前記第一中芯と前記第二中芯とを離間する第四工程と、
前記第二中芯から前記ゴム成形品を取り外す第五工程を備え、
前記第一工程は、前記第二中芯を、前記第三凹部の前記ゴム壁に接触しながら挿入する工程であるゴム成形品製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム成形を行う際のゴム成形型、及びゴム成形型を用いたゴム成形品製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ゴム成形品において、金型のパーティングによるバリを処理しやすいゴム成形品、又はゴム成形品製造方法が提案されている。例えば、特許文献1の記載の筒状ゴム成形品及びその製造方法によれば、金型により成形され、内側に挿嵌された拡径用のインナーコアにより拡径されている筒状ゴム成形品において、該筒状ゴム成形品はその両端部の最小内径端部から外側に向かって拡径するテーパ面を有している。金型により成形された際このテーパ面の最大内径部の位置に前記金型の円周方向のパーティングに起因して生じたバリは前記テーパ面に沿って研磨され除去されていることを特徴とする、と記載されている。
【0003】
これによれば、筒状ゴム成形品の少なくともインナーコアにより拡径される端部において、金型の円周方向のパーティングに起因して発生するバリ発生位置を、最小内径端部から外側に向けて拡径するテーパ面の最大内径部の位置になるように予め成形用の金型を設計しておき、発生したバリを前記テーパ面に沿って研磨し除去すれば、前記バリは容易かつ確実に除去され、よってその後この筒状ゴム成形品がインナーコアで拡径され、長期にわたってその状態で保管されたとしても、後日裂けさせてしまうような事態は回避することができる、と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-7679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示される筒状ゴム成形品及びその製造方法は、発生したバリを容易に除去する構成であるとしても、いわゆる後加工の工程が必要であり、製造コストが高くなる。さらに、後加工でバリ処理を行うため、仕上がり程度にばらつきが生じる可能性がある。特に、バリの発生箇所が奥部であって処理工具が届きにくい場合等は、バリ処理が困難となる。すなわち、従来例では、バリ処理の為の加工工数の増大と、バリ処理後の品質にばらつきが生じる可能性があるという課題がある。
【0006】
本発明の目的は、ゴム成形型の構造により、特定箇所のバリ発生を低減するゴム成形型、及びゴム成形品製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の態様に係るゴムを成形するゴム成形型は、第一型と、第二型と、前記第一型と前記第二型とに挟まれる第一中芯と、前記第一中芯に対して挿抜可能な第二中芯と、前記第二中芯が前記第一中芯に挿入される状態で、前記第一型、前記第二型、及び前記第一中芯と前記第二中芯に囲われて形成され、ゴム材料を注入可能な中空部を備え、前記第一中芯に対して、前記第二中芯が挿抜されるときの移動方向において、前記第二中芯の挿入方向の側を第一側とし、抜き方向の側を第二側とし、前記第一中芯は、前記第二側から前記第一側に向かって形成される第一凹部と、前記第一凹部からさらに前記第一側に向かって形成される第二凹部を備え、前記第二中芯は、前記第一凹部に挿抜可能であり、前記第一凹部は、前記第二中芯が挿入された状態で該第二中芯の外周との間に、前記ゴム材料が流動可能な隙間が形成される。
【0008】
これによれば、ゴム成形型は、第二中芯が第一凹部に挿抜可能であり、第一凹部は、第二中芯が挿入された状態で第二中芯の外周との間に、ゴム材料が流動可能な隙間が形成される。第二中芯が第一中芯から離間するとき、第一凹部及び第二凹部に注入されるゴム材料は残留する。第一凹部と第二中芯の外周との間の隙間において、第一中芯と第二中芯との合わせ面におけるゴム材料は切断される。よって、ゴム成形型はバリの発生を抑えることができる。
【0009】
また、前記ゴム成形型は、前記第二凹部の内壁において、前記第二中芯の挿抜方向に交差する方向に、凸部及び/又は凹部を有してもよい。
【0010】
この場合、第一凹部及び第二凹部に残留するゴム材料は、第二中芯の挿抜方向に交差する方向の凸部及び/又は凹部によって第二中芯が第一中芯から離間する際に引き出されることが抑制される。第二中芯が第一中芯から離間すると、ゴム材料は第一凹部及び第二凹部に残留する。第一凹部と第二中芯の外周との間の隙間において、第一中芯と第二中芯との合わせ面におけるゴム材料が切断される。よって、ゴム成形型は、バリの発生をより抑えることができる。
【0011】
本発明の第二の態様に係るゴムを成形するゴム成形型は、第一型と、第二型と、前記第一型と前記第二型とに挟まれる第一中芯と、前記第一中芯に対して挿抜可能な第二中芯と、前記第二中芯が前記第一中芯に挿入される状態で、前記第一型、前記第二型、及び前記第一中芯と前記第二中芯に囲われて形成され、ゴム材料を注入可能な中空部を備え、前記第一中芯に対して、前記第二中芯が挿抜されるときの移動方向において、前記第二中芯の挿入方向の側を第一側とし、抜き方向の側を第二側とし、前記第一中芯は、前記第二側から前記第一側に向かって形成される第三凹部を備え、前記第三凹部は、内壁部に沿ってゴム壁が形成され、前記第二中芯は、前記第三凹部に挿抜可能であり、該第三凹部に挿入されると外周が前記ゴム壁と接触する。
【0012】
これによれば、第三凹部は、内壁部に沿ってゴム壁が形成され、第二中芯は、第三凹部に挿入されると外周がゴム壁と接触する。よって、ゴム成形型は、第二中芯と第三凹部との間にゴム材料が侵入することが抑制され、第一中芯と第二中芯との合わせ面におけるバリの発生を抑えることができる。
【0013】
本発明の第三の態様に係るゴム成形品製造方法は、ゴム成形品を製造する方法であって、第一態様に係る前記ゴム成形型を使用し、前記第一凹部に前記第二中芯を挿入する第一工程と、前記中空部に、前記ゴム材料を注入する第二工程と、前記ゴム材料を加硫する第三工程と、前記第一型と前記第二型とを離間し、さらに前記第一中芯と前記第二中芯とを離間する第四工程と、前記第二中芯から前記ゴム成形品を取り外す第五工程を備える。
【0014】
これによれば、ゴム成形品製造方法はゴム成形型を使用し、第一工程から第四工程までを行うことでゴム成形品を成形できる。ゴム成形型の構成により、第四工程において第一凹部と第二中芯との間のゴム材料が切断されるので、第一中芯と第二中芯との合わせ面におけるバリの発生が抑制されたゴム成形品を製造することができる。
【0015】
また、前記ゴム成形品製造方法は、前記第二工程が、前記第一凹部と前記第二中芯との間の隙間、及び前記第二凹部に前記ゴム材料を注入する工程を含み、前記第三工程は、前記第一凹部では、前記隙間に注入した前記ゴム材料を加硫する工程を含み、前記第二凹部では、注入した前記ゴム材料を加硫する工程を含み、前記第四工程は、前記第一凹部から前記第二中芯を離間すると、前記第一凹部の内壁部にゴム壁を形成し、前記第二凹部に加硫した前記ゴム材料を留めてもよい。
【0016】
この場合、第四工程は、第一凹部から第二中芯を離間すると、第一凹部の内壁部にゴム壁を形成し、第二凹部に加硫したゴム材料を留める。よって、次回以降にゴム成形品を成形するときに、第一凹部にゴム材料が進入することを抑制できるので、第一中芯と第二中芯との合わせ面におけるバリの発生が抑制されたゴム成形品を製造することができる。
【0017】
本発明の第四の態様に係るゴム成形品製造方法は、ゴム成形品を製造する方法であって、第二の態様に係る前記ゴム成形型を使用し、前記第三凹部に前記第二中芯を挿入する第一工程と、前記中空部に、前記ゴム材料を注入する第二工程と、前記ゴム材料を加硫する第三工程と、前記第一型と前記第二型とを離間し、さらに前記第一中芯と前記第二中芯とを離間する第四工程と、前記第二中芯から前記ゴム成形品を取り外す第五工程を備え、前記第一工程は、前記第二中芯を、前記第三凹部の前記ゴム壁に接触しながら挿入する工程である。
【0018】
これによれば、第一工程は、第二中芯が、第三凹部に対してゴム壁に接触した状態で挿入するので、第三凹部と第二中芯との間にゴム材料が進入することを抑制できる。よって、第一中芯と第二中芯との合わせ面におけるバリの発生が、より抑制されたゴム成形品を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明のゴム成形型1の平面図であり、第一型11と第二型12とのパーティングライン位置で切断したときの断面図である。
図2図1における断面I-Iを示す断面図である。
図3図1のA部を拡大し、ゴム成形型1aによってゴム成形品21を成形する手順を示した断面図であり、(a)は第一中芯3に第二中芯4を装着した状態を示し、(b)は中空部2にゴム材料23を注入して加硫した状態を示し、(c)はゴム成形型1から取り出したゴム成形品21の断面図である。
図4図3(a)のB部を拡大した図であり、第一凹部5と第二中芯4との関係を示した図であり、第二凹部6における凹凸部7が雌ネジ7aの場合を示す。
図5図3(b)の状態から、第一中芯3と第二中芯4とを離間するときに、合わせ面におけるバリが微少バリ26となるメカニズムを示す図であり、(a)はゴム成形品21が成形された状態を示し、(b)は第一中芯3から第二中芯4を矢印方向に離間する状態を示し、(c)は第二中芯4からゴム成形品21を取り外した後の、ゴム成形品21の孔24の状態を示す図である。
図6図5(c)におけるE部詳細図である。
図7図2に対応した、ゴム成形品21の部分断面図である。
図8】本発明のゴム成形型1aにおいて、第二凹部6における凹凸部7が凸部7bによって形成される場合を示す断面図である。
図9】本発明のゴム成形型1aにおいて、第二凹部6における凹凸部7が少なくとも一部に傾斜を伴う凸部7cによって形成される場合を示す断面図である。
図10】本発明のゴム成形型1aにおいて、第二凹部6における凹凸部7が無く、中心線Cの方向にストレートな凹部が形成される場合を示す断面図である。
図11図3(c)において形成されたゴム成形型1bによってゴム成形品21を成形する手順を示した断面図であり、(a)は成形されたゴム成形品21を取り出して次の成形工程に移る状態を示し、第三凹部9に第二中芯4を挿入する状態を示し、(b)は中空部2にゴム材料23を注入し加硫した状態を示し、(c)はゴム成形型1から取り出したゴム成形品21を示す。
図12】ゴム成形型1bの別の例を示す断面図である。
図13】比較例である従来のゴム成形型50を示す断面図であり、(a)はゴム成形型50にゴム材料23を注入して加硫した状態を示し、(b)はゴム成形型50から取り出したゴム成形品51の要部を示した図である。
図14】比較例である従来のゴム成形型50を使用して成形したゴム成形品51と、本発明のゴム成形型1を使用して成形したゴム成形品21とを比較した写真であり、(a)はゴム成形品51の孔57におけるバリ56を示し、(b)はゴム成形品21の孔24における微少バリ26を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照し、本発明を具現化したゴム成形型1、及びゴム成形品製造方法を説明する。なお、発明を実施するための形態、及び参照する図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。本発明はこれらに限定されるものではない。図面に記載されている構成は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0021】
図1から図12までは、本発明に係るゴム成形型1、及びゴム成形品製造方法を示す。ゴム成形型1は、第一の態様としてゴム成形型1a、第二の態様としてゴム成形型1bがある。ゴム成形型1aとゴム成形型1bとは、共通する部分と異なる部分とがある。なお、ゴム成形型1aとゴム成形型1bのいずれの成形型によっても、成形されるゴム成形品21は同様である。
【0022】
<ゴム成形型1aの構成>
図1から図10までを参照して、本発明の第一の態様に係るゴム成形型1aを説明する。ゴム成形型1aはゴムを成形する型である。ゴム成形型1aは、以下を備える。すなわち、第一型11と、第二型12を備える。第一型11と第二型12とに挟まれる第一中芯3と、第一中芯3に対して挿抜可能な第二中芯4を備える。さらに、第二中芯4が第一中芯3に挿入される状態で、第一型11、第二型12、及び第一中芯3と第二中芯4に囲われて形成され、ゴム材料23を注入可能な中空部2を備える。図2に示すように、第一型11と第二型12とは、パーティングライン22において接触して合わされる。なお、例として第一中芯3は第一タイバー13に取り付けられ、第二中芯4は第二タイバー14に取り付けられる。
【0023】
図3等に示すように、第一中芯3に対して、第二中芯4が挿抜されるときの移動方向において、第二中芯4の挿入方向の側を第一側とし、抜き方向の側を第二側とする。第一中芯3は、第二側から第一側に向かって形成される第一凹部5と、第一凹部5からさらに第一側に向かって形成される第二凹部6を備える。第二中芯4は、第一凹部5に挿抜可能である。図4に示すように、第一凹部5は、第二中芯4が挿入された状態で第二中芯4の外周との間に、ゴム材料23が流動可能な隙間8が形成される。また、第二中芯4の先端と第一凹部5との間には所定の空間が形成される。第二中芯4の移動方向の中心線をCとする。
【0024】
図2に示す例では、ゴム成形型1aは、第一型11と第二型12との間に第一中芯3と第二中芯4が挟まれ、第一型11と第二型12とを組み付けたときに中空部2が形成される。例として、第一型11が下型で、第二型12が上型である。図1に示すように、中空部2にはゲート口20が形成され、ゲート口20から中空部2に対してゴム材料23が注入される。
【0025】
図1及び図2に示す例では、第一中芯3は、第一タイバー13である第一タイバー下13aと第一タイバー上13bとに挟まれてボルト17によって取り付けられる。第二中芯4は、第二タイバー14である第二タイバー下14aと第二タイバー上14bに対して、移動方向に移動可能に形成される。図2に示すように、第二中芯4は、二本の軸状の第二中芯4aと第二中芯4bからなる。第二中芯4aと第二中芯4bは、ボルト18を締めると第二中芯押さえ19によって第一側に移動され、第一凹部5aと第一凹部5bにそれぞれ挿入される。ボルト18を弛めると、第二中芯押さえ19を取り外して第二中芯4aと第二中芯4bを第二側へ引き抜くことができる。第一凹部5aの第一側には第二凹部6aが形成され、第一凹部5bの第一側には第二凹部6bが形成される。図2に示すように、第一凹部5及び第二凹部6は、それぞれの中心線Cを中心に形成される。
【0026】
ゴム成形型1aによって成形されるゴム成形品21は、例として自動車のABSに使用するグロメットであり、図7に示すように、ワイヤーハーネスを2本通すための孔24a、孔24bが形成される。ゴム成形品21の形状は、図3(c)、図7、及び図11(c)に示すとおりであるが、第二中芯4aと第二中芯4bは、孔24aと孔24bをそれぞれ形成するためのものである。図7等に示すように、孔24aと孔24bのそれぞれの周りはリブ25を有する。
【0027】
次に、図4を参照して第一中芯3の第一凹部5と第二中芯4との関係を説明する。第二中芯4の第一側の先端部は軸状に形成される。第一凹部5は、第二中芯4の形状に対応して円筒状に形成され、第二中芯4の外周と第一凹部5との間には、隙間8が形成される。隙間8はゴム材料23が流動可能な程度の微少な隙間である。隙間8は、ストレート部10の間で同程度に形成される。第一中芯3と第二中芯4とが離間されるとき、第一凹部5に注入されて加硫されたゴム材料23は、ストレート部10における隙間8にて切断される。第二中芯4の先端と第一凹部5との間には、ゴム材料23が注入されるときに第二凹部6との間で繋がるように空間が形成される。
【0028】
隙間8とストレート部10の設定は、第一中芯3と第二中芯4との合わせ面におけるバリの発生程度に影響を与える。隙間8は所定の隙間に設定され、ストレート部10は所定の長さに設定される。隙間8は、所定の隙間未満の場合にゴム材料23が繋がりにくくなり、逆に所定の隙間を超えると第一中芯3と第二中芯4とを離間したときに、ゴム材料23が切断されにくくバリが発生しやすくなる。また、ストレート部10は、所定の長さ未満の場合と所定の長さを超える場合、第一中芯3と第二中芯4とを離間したときに隙間8においてゴム材料23が切断されにくくバリが発生しやすい。隙間8の隙間寸法と、ストレート部10の長さ寸法は、使用するゴム材料23、ゴム成形品21のサイズ或いは形状等、製造条件等の種々の状況に合わせて最適な範囲が設定される。
【0029】
また、第二凹部6は、内壁において、第二中芯4の挿抜方向に交差する方向に、凸部及び/又は凹部を有する。ここで、凸部及び/又は凹部を、凹凸部7と称する。凹凸部7は、ゴム材料23が第一側から第二側へ向かう方向に引き抜かれようとするときに、ゴム材料23が入り込んで抵抗となる。凹凸部7は種々の形態が可能である。図1から図5に示す例では、第二凹部6の凹凸部7は、少なくとも一部が雌ネジ7aの形状を有する。別の例として、図8に示すように凹凸部7は、第二凹部6の一部に形成される凸部7bでもよい。さらに別の例として、図9に示すように、凹凸部7は第二凹部6の一部に傾斜を伴って形成される凸部7cでもよい。凸部7cは、第一側が広がり第二側へ向かうに従って狭くなるテーパ状に形成される。
【0030】
さらに、図10に示すように、第二凹部6は凹凸部7が無く、中心線Cに沿ってストレートでもよい。この場合、第二凹部6の内周壁の表面には、加硫成形されたゴム材料23が滑りにくくなるように、微少な凹凸が形成されてもよい。また、第二凹部6から加硫されたゴム材料23が引き抜かれるときの抵抗が発生するように、第二凹部6が中心線Cに沿って十分な長さを有してもよい。
【0031】
<ゴム成形型1aの効果>
以上説明したゴム成形型1aによれば、以下の効果を奏する。図3及び図4に示すように、ゴム成形型1aは、第二中芯4が第一凹部5に挿抜可能であり、第一凹部5は、第二中芯4が挿入された状態で第二中芯4の外周との間に、ゴム材料23が流動可能な隙間8が形成される。第二中芯4が第一中芯3から離間するとき、第一凹部5及び第二凹部6に注入されるゴム材料23は残留する。さらに、第一凹部5と第二中芯4の外周との間の隙間8において、第一中芯3と第二中芯4との合わせ面におけるゴム材料23は切断される。よって、ゴム成形型1aはバリの発生を抑えることができる。
【0032】
また、図3等に示すように、第一凹部5及び第二凹部6に残留するゴム材料23は、凹凸部7によって第二中芯4が第一中芯3から離間する際に引き出されることが抑制される。第二中芯4が第一中芯3から離間すると、ゴム材料23は第一凹部5及び第二凹部6に残留する。第一凹部5と第二中芯4の外周との間の隙間8において、第一中芯3と第二中芯4との合わせ面におけるゴム材料23は切断される。よって、ゴム成形型1aは、バリの発生をより抑えることができる。なお、詳細は後述するが、次回からゴム成形を行うときに、ゴム材料23が第一凹部5に進入することが抑制されるので、ゴム成形型1aは、第一中芯3と第二中芯4との合わせ面におけるバリの発生が抑えることができる。
【0033】
また、図4等に示すように、第二凹部6に注入されるゴム材料23は、雌ネジ7aの形状を有する凹凸部7によって、第二中芯4が第一中芯3から離間する際に、第一凹部5及び第二凹部6にゴム材料23が留まって流出がより抑制される。第二中芯4が第一中芯3から離間すると、ゴム材料23は第一凹部5及び第二凹部6に残留する。第一凹部5と第二中芯4の外周との間の隙間8において、第一中芯3と第二中芯4との合わせ面におけるゴム材料23は切断される。よって、ゴム成形型1aは、バリの発生をより抑えることができる。なお、詳細は後述するが、次回からゴム成形を行うときに、ゴム材料23が第一凹部5に進入することが抑制されるので、ゴム成形型1aは、第一中芯3と第二中芯4との合わせ面におけるバリの発生が抑えることができる。
【0034】
なお、第二凹部6に凹凸部7が形成されない場合であっても、第二凹部6内にゴム材料23が留まる場合がある。例として、図10に示すように、第二凹部6が中心線Cに沿って十分長く形成されることにより、ゴム材料23が引き抜かれるときに第二凹部6の内壁との間の摩擦抵抗によって、流出が抑制される場合がある。また、第二凹部6の内壁にゴム材料23との間に摩擦抵抗が生じる微少な凹凸を形成することで、流出が抑制される場合がある。
【0035】
<ゴム成形型1aにおける第一中芯3と第二中芯4との間の合わせ面におけるバリについて>
次に、図4及び図5を参照して、ゴム成形型1aにおける第一中芯3と第二中芯4との間の合わせ面におけるバリについて説明する。図5(a)は、ゴム成形型1aを使用してゴム成形品21を成形する状態を示す。第二凹部6には、第一凹部5から連続してゴム材料23が注入され、加硫成形される。図4に示すように、所定長さのストレート部10において隙間8が形成され、隙間8にはゴム材料23が注入され、加硫成形される。
【0036】
図5(b)に示すように、第一中芯3と第二中芯4とを離間すると、第一中芯3と第二中芯4bに注入されるゴム材料23はそのまま残留した状態である。D部は、第一中芯3と第二中芯4bとの間の合わせ面を示す。隙間8に注入されていたゴム材料23は、第一中芯3と第二中芯4とが離間するときに引っ張られて切断される。このとき、ゴム材料23は、ストレート部10の間で切断される。
【0037】
図5(c)に示すように、第二中芯4から取り外されたゴム成形品21は、孔24において発生するバリが、図6に示すように微少バリ26となって、リブ25の周りに略均等の微少な高さで形成される。これは、第二凹部6に注入されるゴム材料23が、第一中芯3と第二中芯4との離間の際に引き出されること無く残留し、ストレート部10における隙間8の部分で切断されるからである。
【0038】
<ゴム成形型1bの構成>
次に、本発明の第二の態様に係るゴム成形型1bを説明する。ゴム成形型1bは、ゴムを成形する型である。図11及び図12に示すように、ゴム成形型1bは、以下を備える。すなわち、第一型11と、第二型12を備える。第一型11と第二型12とに挟まれる第一中芯3と、第一中芯3に対して挿抜可能な第二中芯4を備える。さらに、第二中芯4が第一中芯3に挿入される状態で、第一型11、第二型12、及び第一中芯3と第二中芯4に囲われて形成され、ゴム材料23を注入可能な中空部2を備える。
【0039】
第一中芯3に対して、第二中芯4が挿抜されるときの移動方向において、第二中芯4の挿入方向の側を第一側とし、抜き方向の側を第二側とする。第一中芯3は、第二側から第一側に向かって形成される第三凹部9を備える。第三凹部9は、内壁部に沿ってゴム壁9aが形成され、第二中芯4は、第三凹部9に挿抜可能である。第二中芯4は、第三凹部9に挿入されると外周がゴム壁9aと接触する。なお、例として図2に示すように、第一中芯3は第一タイバー13に取り付けられ、第二中芯4は第二タイバー14に取り付けられる。
【0040】
図11及び図12は、ゴム成形型1bを示す。図11に示すゴム成形型1bの例は、第二凹部6にゴム材料23が注入されて残留した状態であり、ゴム成形型1aにおける第一凹部5が第三凹部9に置き換わった形態である。ゴム成形品製造方法は後述するが、この場合のゴム成形型1bは、ゴム成形型1aを使用してゴム成形品21を成形し、第一中芯3及び第二中芯4からゴム成形品21を取り外すことで形成可能である。
【0041】
図11(a)に示す例は、ゴム成形型1aにおいて、図3(b)の状態から第二中芯4を取り外した状態を示す。すなわち、ゴム成形型1aを使用してゴム成形品21を成形した後の状態がゴム成形型1bになる場合を示す。図11に示す例では、第三凹部9の第二側に第二凹部6があり、第三凹部9にはゴム壁9aが形成され、第二凹部6には加硫されたゴム材料23が充填されている。
【0042】
図12に示すゴム成形型1bの例は、ゴム成形型1aの第二凹部6に対応する部分は無く、第一凹部5が第三凹部9に置き換わった形態である。この場合のゴム成形型1bは、ゴム成形型1aを使用してゴム成形品21を成形する過程を得ること無く第三凹部9が形成される。ゴム成形型1bは、第三凹部9のゴム壁9aが第二中芯4の先端部の形状に合わせて形成される。
【0043】
<ゴム成形型1bの効果>
以上説明したゴム成形型1bによれば、以下の効果を奏する。第三凹部9は、内壁部に沿ってゴム壁9aが形成され、第二中芯4は、第三凹部9に挿入されると外周がゴム壁9aと接触する。よって、ゴム成形型1bは、第二中芯4と第三凹部9との間にゴム材料23が侵入することが抑制され、第一中芯3と第二中芯4との合わせ面におけるバリの発生を抑えることができる。
【0044】
<ゴム成形型1bにおける第一中芯3と第二中芯4との間の合わせ面におけるバリについて>
次に、図11を参照して、ゴム成形型1bにおける第一中芯3と第二中芯4との間の合わせ面におけるバリについて説明する。図11(a)に示すように、第三凹部9は内周壁にゴム壁9aが形成され、第三凹部9に第二中芯4の先端部が挿入されるとき、第二中芯4は外周がゴム壁9aに接触し、加硫成形によって密着する。ゴム壁9aは、第二中芯4に対して弾性変形を伴って接触する状態でもよい。
【0045】
図11(b)に示すように、中空部2にゴム材料23が注入されるとき、第二中芯4と第三凹部9とは密着した状態なので、ゴム材料23が進入することが抑制される。ゴム壁9aはすでに加硫成形されているので第三凹部9に密着し、脱落することはない。これにより、第一中芯3と第二中芯4との合わせ面は、ゴム材料23の侵入が抑制されるので、図11(c)に示すように、ゴム成形型1bからゴム成形品21を取り外したとき、孔24の周りはバリの発生が抑制される。なお、図11を参照してバリの発生が抑制される説明をしたが、図12の例の場合も同様である。
【0046】
<第三態様のゴム成形品製造方法の説明>
次に、本発明の第三の態様に係るゴム成形品製造方法について説明する。ゴム成形品製造方法は、すでに説明した第一の態様に係るゴム成形型1aを使用する。図3(a)に示すように、ゴム成形品製造方法は、第一凹部5に第二中芯4を挿入する第一工程と、図3(b)に示すように、中空部2にゴム材料23を注入する第二工程と、ゴム材料23を加硫する第三工程を備える。さらに、第一型11と第二型12とを離間し、第一中芯3と第二中芯4とを離間する第四工程と、第二中芯4から図3(c)に示すゴム成形品21を取り外す第五工程を備える。
【0047】
また、ゴム成形品製造方法の第二工程は、第一凹部5と第二中芯4との間の隙間8、及び第二凹部6にゴム材料23を注入する工程を含む。第三工程は、第一凹部5では、隙間8に注入したゴム材料23を加硫する工程を含み、第二凹部6では、注入したゴム材料23を加硫する工程を含む。図5(b)に示すように、第四工程は、第一凹部5から第二中芯4を離間すると、第一凹部5の内壁部にゴム壁9aを形成し、第二凹部6に加硫したゴム材料23を留める。
【0048】
<第三態様のゴム成形品製造方法の効果>
以上説明した第三の態様に係るゴム成形品製造方法によれば、以下の効果を奏する。図3に示すように、ゴム成形品製造方法はゴム成形型1aを使用し、第一工程から第四工程までを行うことでゴム成形品21を成形できる。図5(b)に示すように、第四工程において、第一中芯3と第二中芯4とを離間するときに、第二凹部6内に加硫されたゴム材料23が残留する。第一凹部5と第二中芯4の外周との間の隙間8において、第一凹部5と第二中芯4との間のゴム材料23が切断され、第一中芯3と第二中芯4との合わせ面におけるバリの発生が抑制される。よって、バリの発生が抑制されたゴム成形品21を製造することができる。
【0049】
<第四態様のゴム成形品製造方法の説明>
次に、本発明の第四の態様に係るゴム成形品製造方法について説明する。図11(a)に示すように、ゴム成形品製造方法は、すでに説明した第二の態様に係るゴム成形型1bを使用する。図11(a)に示すように、第四態様のゴム成形品製造方法は、第三凹部9に第二中芯4を挿入する第一工程と、図11(b)に示すように、中空部2に、ゴム材料23を注入する第二工程と、ゴム材料23を加硫する第三工程を備える。さらに、第一型11と第二型12とを離間し、第一中芯3と第二中芯4とを離間する第四工程と、図11(c)に示すように、第二中芯4からゴム成形品21を取り外す第五工程を備える。第一工程は、第二中芯4を、第三凹部9のゴム壁9aに接触しながら挿入する工程である。
【0050】
なお、すでに説明したように、ゴム成形型1bは、図11に示すように、ゴム成形型1aを使用してゴム成形品21が形成された後のゴム成形型1bを使用してもよい。或いは図12に示すように、ゴム成形型1aを使用してゴム成形品21を形成する過程を経ることなく、直接形成されたものを使用してもよい。
【0051】
<第四態様のゴム成形品製造方法の効果>
以上説明した第四の態様に係るゴム成形品製造方法によれば、以下の効果を奏する。図11(a)に示すように、第一工程は、第二中芯4が、第三凹部9に対してゴム壁9aに接触した状態で挿入するので、第三凹部9と第二中芯4との間にゴム材料23が進入することを抑制できる。よって、第一中芯3と第二中芯4との合わせ面におけるバリの発生が、より抑制されたゴム成形品21を製造することができる。ゴム成形型1bが、図12に示す例の場合も同様である。
【0052】
<比較例と本発明のゴム成形型1とによる、バリ発生の違い>
次に、本発明のゴム成形型1によって成形されたゴム成形品21と、比較例である従来のゴム成形型50によって成形されたゴム成形品51とを比較して、バリの発生状態を比較する。ゴム成形型1によるゴム成形品21の成形工程はすでに説明したとおりである。比較例であるゴム成形品51の場合を図13に示す。
【0053】
図13(a)は、中空部2にゴム材料23が注入されて加硫された状態である。ゴム成形型50は、本発明品のような第二凹部6は無く、第一中芯53には第一凹部55のみが形成されている。また、ゴム成形型1bのように第一凹部55には、ゴム成形型1bのようなゴム壁9aは形成されていない。図13(b)は、第二中芯54から第一中芯53を取り外した状態を示す。第一凹部55に充填されたゴム材料23は、ゴム成形品51に繋がった状態で第一凹部55から抜けてしまい、バリ56として残ってしまう。バリ56は、手加工で除去される。
【0054】
図14(a)は、従来品であるゴム成形品51の孔57におけるバリ56が手加工によって除去された状態を示し、図14(b)は、本発明のゴム成形型1aによるゴム成形品21の孔24における微少バリ26の状態を示す。
【0055】
図14に示すように、従来のゴム成形品51は、手加工の精度によって除去されたバリ56にはばらつきが発生し、部分的な凹凸がある。これに対し、本発明によるゴム成形品21は、微少バリ26であって凹凸が少なく、従来のゴム成形品51に比べて高さが低い。すなわち、本発明によるゴム成形型1によれば、成形後にバリ取りを行う必要が無く、さらにバリがあったとしても微少バリ26である。なお、図14(b)に示すバリの状態は、本発明のゴム成形型1aを使用した場合を示すが、ゴム成形型1bを使用した場合も同程度である。
【符号の説明】
【0056】
1、1a、1b ゴム成形型
2 中空部
3 第一中芯
4、4a、4b 第二中芯
5、5a、5b 第一凹部
6、6a、6b 第二凹部
7 凹凸部
8 隙間
9 第三凹部
9a ゴム壁
11 第一型
12 第二型
21 ゴム成形品
23 ゴム材料
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14