(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024049748
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】埋設管窓開け工具
(51)【国際特許分類】
B23B 41/00 20060101AFI20240403BHJP
H02G 1/06 20060101ALI20240403BHJP
H02G 9/06 20060101ALI20240403BHJP
B23B 51/05 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
B23B41/00 E
H02G1/06
H02G9/06
B23B51/05 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022156169
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】591083772
【氏名又は名称】株式会社永木精機
(74)【代理人】
【識別番号】100118924
【弁理士】
【氏名又は名称】廣幸 正樹
(72)【発明者】
【氏名】後藤 啓太
(72)【発明者】
【氏名】岩田 伸也
【テーマコード(参考)】
3C036
3C037
5G352
5G369
【Fターム(参考)】
3C036AA02
3C037FF01
3C037FF08
5G352CG05
5G352CG06
5G369BA04
5G369DC20
5G369EA02
5G369EA04
(57)【要約】
【課題】ケーブルを損傷することなく埋設管の側面に窓を開ける埋設管窓開け工具を提供する。
【解決手段】埋設管窓開け工具1は、一端に筒状部2、他端に引剥し部6を有している。筒状部2と引剥し部6との間には、作業時に把持する筒状の把持部4が形成されている。筒状部2の開口端から奥側に一定の深さとなる位置には、開口径よりも一回り小さくなるように段差部8が形成されている。この段差部8は、埋設管にホールソーによって形成された環状の切削溝100bに対して、筒状部2の先端が嵌入された際、切削溝の内側に形成されたコア部分100cが必要以上に入り込まないように進入を阻止するために設けられている。引剥し部6は、切削溝100bに亀裂を生じさせた後、コア部分100cを引き上げるための半円板部6aを有している。半円板部6aと把持部4との間には、コア部分100cを収容可能なスリット6bが形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
埋設管の側面に窓を開けるための埋設管窓開け工具であって、
前記側面の管厚の中途深さまで環状に切削形成された切削溝内に嵌入可能な筒状部と、
前記筒状部の嵌入側とは逆側に延設された把持部と
を備えたことを特徴とする埋設管窓開け工具。
【請求項2】
前記筒状部の開口端よりも奥側に、前記切削溝の内側のコア部分の進入を阻止する進入阻止構造を有していることを特徴とする請求項1に記載の埋設管窓開け工具。
【請求項3】
前記筒状部の径方向に切断した断面形状は、円形の内壁と、一部に切欠きが形成された外壁とにより形成されていることを特徴とする請求項2に記載の埋設管窓開け工具。
【請求項4】
前記内壁には、対向する2領域の少なくとも一方に、前記コア部分に対する滑り防止構造を有していることを特徴とする請求項3に記載の埋設管窓開け工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルを収容する埋設管の側面に内部確認用の窓を開けるための埋設管窓開け工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
景観がよく、また災害に強いことから、ケーブル類の地中設置化が進んでいる。地中配電設備では、金属管やビニル管などの配管にケーブルが通線される。管路を構築する段階では、電力供給の有無に関わらず、供給が見込まれる範囲も含めて予め配管が敷設され、後に、必要に応じて追加のケーブルが設置されるという方式が採用されている。
【0003】
そのため、新たに通線が必要となった場合には、埋設された配管の側面に窓を開けて、配管内部の状況を確認する作業が必要になる。
【0004】
図7は、従来の配管の内部を確認するための配管穴開け用治具200を示す図である。配管穴開け用治具200は、配管204を対極方向から挟んで固定するための一対のスライドアングル202を備えている。これらスライドアングル202は、アングル受け201に対してスライド可能に設けられる。対象となる配管204の大きさに応じてスライドアングル202の間隔が調節され、固定された状態で穿刺部材203によって配管204に穴が開けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、
図7のような治具を埋設管内の状況確認のために用いると、ケーブルが設置されていない場合は何の問題も生じないが、ケーブルが設置されている配管の場合、ケーブルを損傷する恐れがある。
【0007】
そこで、本発明では、ケーブルを損傷することなく埋設管の側面に窓を開ける埋設管窓開け工具を提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の埋設管窓開け工具は、埋設管の側面に窓を開けるための埋設管窓開け工具であって、前記側面の管厚の中途深さまで環状に切削形成された切削溝内に嵌入可能な筒状部と、前記筒状部の嵌入側とは逆側に延設された把持部とを備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の埋設管窓開け工具は、上記構成に加えて、前記筒状部の開口端よりも奥側に、前記切削溝の内側のコア部分の進入を阻止する進入阻止構造を有していることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の埋設管窓開け工具は、上記構成に加えて、前記筒状部の径方向に切断した断面形状は、円形の内壁と、一部に切欠きが形成された外壁とにより形成されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の埋設管窓開け工具は、上記構成に加えて、前記内壁には、対向する2領域の少なくとも一方に、前記コア部分に対する滑り防止構造を有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明によれば、埋設管の外面に、管厚の中途深さまで環状に切削形成された切削溝内に筒状部が嵌入可能であり、且つ、筒状部の嵌入側とは逆側に把持部が延設されている。このように構成されているので、把持部を揺動操作すると、切削溝に囲まれた内側部分に対して、筒状部の内壁から管壁へ沿った方向へ力を加えることができる。
【0013】
また、本発明によれば、上記効果に加えて、筒状部の開口端よりも奥側に、切削溝の内側のコア部分の進入を阻止する進入阻止構造を有している。このように構成されているので、切削溝内に筒状部を嵌入させた状態で埋設管窓開け工具を揺動操作し、埋設管からコア部分を分離する際に、筒状部の一定の深さでコア部分の進入を阻止できる。これにより、分離されたコア部分を埋設管窓開け工具から容易に除去することができる。また、揺動操作の途中で筒状部の先端が必要以上に埋設管の内側へ入り込むことも阻止できるので、管内に配置されたケーブルに対して筒状部の先端が干渉することを防止できる。
【0014】
また、本発明によれば、上記効果に加えて、筒状部の径方向の切断面のうち、内壁は円形に形成されている。これにより、ホールソーなどの回転工具によって断面円形に切削されたコア部分の外周に密着するように筒状部を嵌入される。よって、コア部分の周縁に対して筒状部の内壁から押圧力が伝達されやすくなる。また、上記筒状部の切断面のうち、外壁には、一部に切欠きが形成されている。これにより、切欠きが形成されている筒状部の外壁部分と切削溝との間に隙間が形成されるので、埋設管と筒状部の外壁との間の干渉が低減される。よって、コア部分だけに力を加えながら埋設管窓開け工具を揺動操作することが可能となる。
【0015】
また、本発明によれば、上記効果に加えて、筒状部の内壁のうち、対向する2領域の少なくとも一方に、前記コア部分に対する滑り防止構造を有しているので、滑り防止構造を有する領域に向けて埋設管窓開け工具を揺動操作すると、滑りによる力の伝達ロスを生じることなく、より確実に筒状部からコア部分の外周に力を加えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の埋設管窓開け工具を示す全体斜視図である。
【
図3】
図2の平面図におけるA-A線で切断したA-A線断面図である。
【
図4】埋設管窓開け工具の使用状態を示す図である。
【
図5】筒状部を用いた窓開け作業を示しており、(a)は揺動中心をコア部分の内側とする場合、(b)は揺動中心をコア部分の外側とする場合の作用を説明する断面図である。
【
図6】
図1の埋設管窓開け工具の変形例を示し、(a)は全体斜視図、(b)は右側面図、(c)は筒状部の開口側の拡大斜視図である。
【
図7】従来の配管の内部を確認するための配管穴開け用治具を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態に係る埋設管窓開け工具について図を用いて説明する。
【0018】
図1は、本発明の埋設管窓開け工具1を示す全体斜視図である。
【0019】
埋設管窓開け工具1は、略円筒状の外形を有している。この埋設管窓開け工具1は、ケ
ーブル等が通線されている埋設管に対して、内部状況を確認する窓を側面に開けるために用いられる。埋設管窓開け工具1を利用する窓開け作業では、ホールソーのように環状の溝を形成できる工具が併用される。
【0020】
埋設管窓開け工具1の一端には筒状部2が形成されており、他端には引剥し部6が形成されている。筒状部2と引剥し部6との間には、作業者が把持するための把持部4が形成されている。本実施の形態に係る埋設管窓開け工具1の内側は、把持部4の辺りまで空洞が形成されている。具体的な内部構造については、後に、断面を示した
図3を用いて説明を行う。筒状部2の開口端から奥側には、段差部8が形成されおり、段差部8から奥側の内径が小さくなっている。
【0021】
他端の引剥し部6は、半円板部6aとスリット6bとにより構成されている。半円板部6aは、把持部4の円筒中心の方向と中心軸を一致させるようにして形成されている。スリット6bは、把持部4の端部と半円板部6aとを隔てるようにして形成されている。
【0022】
図2は、
図1の埋設管窓開け工具1の平面図である。
図2に見て取れるように、引剥し部6の半円板部6aには、弧状の端縁に沿って内側(スリット6b側)に傾斜面が形成されている。
【0023】
図3は、
図2の平面図におけるA-A線で切断したA-A線断面図である。
【0024】
本実施の形態に係る構成では、筒状部2、把持部4の内側及び引剥し部6が一部材によって一体に形成されている。ここでは、把持部4の表面はグリップ部材で覆われている構成を示しているが、このグリップ部材を設けない簡易な構成でも構わない。
【0025】
図3に見て取れるように、埋設管窓開け工具1の内部構造では、空洞が把持部4の半分以上を占める領域に形成されており、軽量化が図られている。これに対して、引剥し部6側は、空洞を形成せず、一定の剛性が確保されている。筒状部2の内側には、上述したように、開口端よりも奥側において、内壁2aの全周に渡って段差部8が形成されている。
【0026】
図4は、埋設管窓開け工具1の使用状態を示す図である。
【0027】
図4では、埋設管100の側面100aに、予め、ホールソーなどの工具を用いて環状の切削溝100bが形成された状態が示されている。切削溝100bは、埋設管100の管厚に対して中途深さまで切削される。このため、切削溝100bの内側に形成されたコア部分100cは埋設管100と一体に繋がり、削り残しの状態となっている。埋設管窓開け工具1の筒状部2は、ホールソーの径に合わせて形成されており、切削溝100bに嵌入させることができる。ホールソーによる切削溝100bは、円筒状に湾曲した側面100aに形成されているので、埋設管100の太さ方向よりも長手方向の領域の方が深く切削されている。よって、嵌入された筒状部2と切削溝100bとの接触面積は、太さ方向よりも長手方向の方が大きい。
【0028】
図5は、筒状部2を用いた窓開け作業を示しており、(a)は揺動中心をコア部分100cの内側とする場合、(b)は揺動中心をコア部分100cの外側とする場合の作用を説明する断面図である。
図5(a)、(b)の何れも、左側の初期段階から右側の仕上げ段階に作業が移行する様子を表している。
【0029】
図5(a)のような使用方法の場合、埋設管窓開け工具1の揺動中心がコア部分100cの内側になるように操作が行われる。上述したように、ホールソーによる切削溝100bは、長手方向の領域の方が太さ方向よりも深く形成されている。よって、埋設管窓開け
工具1を埋設管100の長手方向に沿って揺動させると、コア部分100cに対して筒状部2を最も確実にグリップさせることができる。ホールソーを用いた切削作業において、切削溝100bの底部分を貫通しない程度に削り残しておくと、コア部分100cを揺動させることによって切削溝100bの底部分に繰り返し応力が加えられて、容易に疲労破壊を生じさせることが可能である。
【0030】
図5(a)の場合、長手方向に均等に揺動が繰り返されるので、コア部分100cに対して、長手方向の両側に疲労破壊による亀裂が生じる。このようにして形成された亀裂に対して、筒状部2とは反対側に設けられた引剥し部6の半円板部6a(
図1参照)を差し込むと、スリット6b内に一部を収容した状態で梃子操作によってコア部分100cを持ち上げて分離することができる。このように操作すると、すべての作業は埋設管100の管壁の周辺で行われるので、埋設管窓開け工具1の筒状部2によってケーブル類に損傷を生じさせることなく安全に窓を開けることが可能となる。また、コア部分100cを埋設管100の内側に落下させることなく確実に埋設管100から除去することも可能となる。
【0031】
これに対して、
図5(b)の場合、埋設管窓開け工具1を長手方向に沿って揺動操作する点は同じであるが、
図5(a)のように均等には揺動させず、一方に偏った揺動操作を行う。すなわち、
図5(a)では揺動中心P1がコア部分100cの内側になるような揺動操作となっていたのに対して、
図5(b)では、コア部分100cの外側の揺動中心P2に対して揺動操作が行われる。この場合、筒状部2の開口端のうち、長手方向の一方側を支点として埋設管100に押し当てるようにして、埋設管窓開け工具1が揺動操作される。このような操作を行うと、支点となる揺動中心P2とは長手方向において逆の領域の切削溝100b側に、より大きな応力による歪が生じる。よって、揺動中心P2とは逆側に亀裂が生じるので、
図5(a)の場合と同様に、亀裂により形成された隙間に引剥し部6の半円板部6aを差し込んでコア部分100cを埋設管100から容易に分離することができる。
【0032】
ここで、
図5(b)に表れているように、左側に示した作業の初期段階では、切削溝100bの溝底部分には、まだ疲労破壊が十分に進行していないので、コア部分100cの揺動幅は比較的小さい。このため、埋設管窓開け工具1の筒状部2のうち、主に開口端側の揺動中心P2が支点となる。しかし、切削溝100bの疲労破壊が進行してくると、右側に表したように埋設管窓開け工具1の揺動幅が大きくなる。すると、埋設管100の管壁にはある程度の厚さがあるので、埋設管100の側面100a側と筒状部2の外壁2b(
図1参照)との間で干渉が生じるようになる。これにより、揺動中心がP2とP3との間で入れ替わるような運動に変化するので、仕上げ段階ではより大きくコア部分100cが揺すられて、切削溝100bの疲労破壊が促進される。
【0033】
なお、実際には、
図5(a)、(b)の何れか一方だけが選択されるのではなく、両方の揺動パターンを含んだ複合動作になる可能性もある。しかし、
図5(a)、(b)の何れのパターンであっても、ホールソーによって切削される工程において生じる切削屑が埋設管100内に入り込むことを防止できる。このように、本発明によれば、埋設管100内に何の影響も与えることなく、安全に窓を開けることが可能である。
【0034】
<変形例>
図6は、埋設管窓開け工具1の変形例である埋設管窓開け工具51を示し、(a)は全体斜視図、(b)は右側面図、(c)は筒状部52の開口側の拡大斜視図である。筒状部52以外の構成については、
図1の埋設管窓開け工具1と同じであるため、同一符号を付して表している。
【0035】
図6(a)を参照して、埋設管窓開け工具51の筒状部52には、外壁52b側に2箇所の切欠き部52cが形成されているのが見て取れる。これら切欠き部52cは、円筒状の外壁52bを平面的に切欠いて形成されている。
【0036】
図6(b)では、説明の便宜のために、筒状部52の端面に斜線を施して表している。この
図6(b)に表れているように、切欠き部52cが形成されることにより、切欠き部52cの部分だけ筒状部52の肉厚が薄くなっている。また、これら切欠き部52cは、筒状部52の外壁52bのうち対極する位置関係で形成されている。このように形成されているので、埋設管窓開け工具51の筒状部52を
図5に示したような埋設管100の切削溝100b内に嵌入させると、切欠き部52cの形成されている領域だけ隙間が大きくなる。
【0037】
これに対して、筒状部52の内壁52aは、
図1の埋設管窓開け工具1と同様に、略断面円形となるように形成されている。よって、筒状部52を切削溝100bに嵌入させた場合に、筒状部52の内壁52aと埋設管100のコア部分100cとの接触状態は、
図1の構成と殆ど変わらず、内壁52aがコア部分100cの周囲に均等に接する。
【0038】
すなわち、コア部分100cに対する係合状態を変えずに、筒状部52の対極する外側の2領域に切欠き部52cを形成することによって切削溝100bとの間に隙間を形成できるので、切欠き部52cの形成されている方向への揺動操作における自由度が向上する。これにより、筒状部52と埋設管100との干渉が低減されるので、
図5(b)に示したような側面100a側に揺動中心P3が生じにくくなる。よって、埋設管窓開け工具1の場合と比較して、外壁52bや切欠き部52cと埋設管100との間の干渉が低減される分だけ力の伝達ロスが少なくなるので、作業効率が向上する。
【0039】
また、
図6(c)に示すように、変形例である埋設管窓開け工具51には、筒状部52の内壁52aのうち、切欠き部52cの裏側に滑り防止構造52dが設けられている。これにより、切欠き部52cが形成されている方向に沿って埋設管窓開け工具51を揺動操作するとき、コア部分100cの外周面に対して内壁52aの滑りを防止することができるので、効率良くコア部分100cに力を伝達させることが可能となる。この滑り防止構造52dは、内壁52aに対してエンボス加工によって形成しても良く、また、内壁52aよりも摩擦係数の大きい部材を貼り付けることにより形成しても構わない。
【0040】
以上のように、筒状部52に十分な強度を保てる場合は、外壁52b側に切欠き部52cを形成することにより切削溝100bとの間で自由に揺動できる空間を確保し、作業効率を向上させることが可能である。
【0041】
以上の実施の形態の構成は本発明の一例であり、さらに以下のような変形例も含まれる。
【0042】
(1)上記の実施の形態では、筒状部2内でコア部分100cの進入を阻止する段差部8が、内壁2aに沿って全周域に一定の幅で内径側へ突出するように形成された段差構造である構成例を示した。しかし、コア部分100cの進入を阻止でき、且つ、筒状部2が埋設管100内に差し込まれることを防止できる構造であれば、段差構造に限定されない。例えば、筒状部2の開口端から奥側へ一定の位置で全面を塞ぐような壁構造であっても構わない。また、コア部分100cが通過できないような格子状やブリッジ状の遮蔽構造であっても構わない。
【0043】
(2)上記の実施の形態では、把持部4が筒状部2と略同じ径の筒状の構造である例を示した。しかし、筒状部2の嵌入側とは逆側に延設され、筒状部2を揺動可能な構成であ
れば、筒状部2の筒中心の延びる方向から外れる向きに延設されていても構わない。また、円筒状である必要もない。
【0044】
(3)上記の実施の形態では、変形例の埋設管窓開け工具51において、筒状部52の外壁52bの対極する2領域に切欠き部52cが形成されている構成を例として示した。しかし、埋設管100の切削溝100bと筒状部52との間に隙間を形成し、揺動操作における干渉を防止する構成であれば、切欠き部52cは少なくとも1箇所に形成されていれば良い。
【0045】
また、切欠き部52cの形状は、平面状に限定されない。切削溝100bとの干渉を防止できる構成であれば、凹凸のある形状でも構わない。
【0046】
さらに、対極する2領域に切欠き部52cを形成する場合、対称に形成する必要はない。筒状部52において複数の壁厚で形成される領域を含むように構成すると、対象となる埋設管の管厚に合わせて使い分けることが可能となり、汎用性が向上する。また、同じ埋設管であっても、作業段階の進行状況に応じて異なる壁厚の領域を使い分けることも可能である。
【0047】
(4)上記の実施の形態では、筒状部2、把持部4及び引剥し部6が単一の部材で一体的に形成されている構成を例として示した。しかし、それぞれ別部材で構成されていても同様の効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の埋設管窓開け工具は、管内の設置物に損傷を生じさせないことに加えて、コア部分(管壁の一部)を管内に落下させないようにして除去できるので、ケーブル配管以外にも広い分野で有用である。
【符号の説明】
【0049】
1 埋設管窓開け工具
2 筒状部
2a 内壁
2b 外壁
4 把持部
6 引剥し部
6a 半円板部
6b スリット
8 段差部(進入阻止構造)
51 埋設管窓開け工具
52 筒状部
52a 内壁
52b 外壁
52c 切欠き部
52d 滑り防止構造
100 埋設管
100a 側面
100b 切削溝
100c コア部分
P1、P2、P3 揺動中心